神農祭


データ番号095_2
作者名江馬務(えまつとむ)
解説神農氏(しんのうし)は支那古代の王炎帝ともいふ人身牛首、始めて耕作を教へ、百草を嘗めて医薬を創始し人の疾病を治す。市を設けて売買を示ししもこの神なれば、世に農商医の祖と崇む。花洛二条通(にじょうどおり)は古へより薬種商簷を並べ、烏丸西には神農氏を祀れる社あり。毎年十一月三日をもて祭日とし、業者いづれも神饌を供へ、その日は特に業を休みてその神の徳をたたへ、店頭には種々の物品を用ゐて百方趣向をこらし、さまざまの造りものを作り、その妙案奇構人の意表に出で転た貴嘆に堪へざらしむ。此の日は恰も明治節なれば、そを見むとてつどふ人も多く、時ならぬ市をなすも神農氏の心にかなふわざなるべし。