賀茂競馬


データ番号021_2
作者名江馬務(えまつとむ)
解説昔欽明天皇の御宇、天下荒凶にして五穀みのらず、之を占ひしに賀茂の神の祟とありしかば、馬に鈴をかけて走らせ豊穣を得たり。この先例を辿り尚武的競技を行ふ。端午の日を選びて上賀茂神社境内、緑こき芝生にて古へより競馬あり。馬場に埒桟敷を設け、馬出の木は桜、决勝の木は紅葉となし、騎者二十人二人宛左右に分きて、疾風の如く馬を馳せ勝負を争ふ。こを見るもの皆手に汗を握りて赤よ黒よと叫ぶ声、緑したたる明神の森にひびきわたる。騎手は左右共に細纓冠ISO/IEC(7DCC)、左方は赤缺掖袍に赤光襠、右方は黒缺掖蛮絵袍太光襠を着し、共々両面錦指貫に毛抜形の太刀を佩き、腰に菖蒲を巻き鞭を持つ。舎人左右の禄所に坐して審判し、左方勝てば赤の日の丸。右方勝てば白き日の丸の扇をあげ、勝者には白木綿の禄と金一封の賞を与ふ。但し一番のみは左方を勝たしむる習ひなりとぞ。かかる歴史的行事の今も猶ほ退転なく行はるるは、何事も故実を尚ぶ平安の都ならではと思はれて、感謝のこころを先づ賀茂の神に捧げまつりぬ。