今宮祭


データ番号024_2
作者名江馬務(えまつとむ)
解説紫野今宮神社(いまみやじんじゃ)にては五月五日に渡御祭、十五日といふに還幸祭を執行せらる。その行列、白丁割竹を曳きて先駈し、幸の鉾十二本は鉾持の人足によりてゆたかに捧持せられ、もゆるが如き真紅の幡はその後にもつ人もあり。この鉾十二本皆定れる鉾町があり。扇鉾は寺の内一町北大宮西入る町、菊鉾は扇鉾町の西の町より出すとかや。その他御太刀神馬御榊、社司の輿相殿の御車などいづれ雅美ならざるものあらむ。これに続きては神輿三基、例の荒き若者の手に舁がれて今日を晴の御幸し給ふ。あらゆる之やみを免れむとて手を打ちおろがむ人の数しられず。沿道幕を張り、金屏風を立てわたし立花の笄するもあり。夜に入りては燈燭を煌かし、賓客を招きて神酒になそらへ盃とりかはすもの少なからず。この祭礼の形式はやすらひ祭の平安朝に比して、江戸時代(えどじだい)のそれを代表するものなるべし。