上賀茂御生祭


データ番号077_2
作者名江馬務(えまつとむ)
解説賀茂別雷神のあれましし御あれ山のみあれ所にその御霊を祝ひまつる上賀茂社(かみがもしゃ)のみあれ祭は、神秘中の神秘にしてその作法は佯さに知られねど、五月十二日頃上賀茂社の大宮司小宮司禰宜主典出仕神人に歌方を加へ、御料の唐櫃を雑色に棒持せしめ、夜九時頃よりあやめもわかぬ山道を松明の火を力にふみわけ、神館の幄舎にて何くれと準備をととのへ、御生所にて伝れる秘祭を行はるとかや。四面闃として音なふものもなく、暗さは暗き山中の行事とて山気人に迫るを覚え、奉仕の誠も一入神に通ずるやう思はれて、かしこしともかしこき御祭なりかし。洛中祭てふ祭はいと多かれど、古へより当事の神官の外知る人もなき祭は、独この祭なりとぞさる人はいひ侍りし。