データ番号 | 078_2 |
作者名 | 江馬務(えまつとむ) |
解説 | 賀茂の葵祭に先だつ三日、五月十二日に下賀茂の御社(しもがものみやしろ)にては宮司をはじめここらの神人社家たち神に供奉しまゐらせて比叡の麓御蔭の山にて御祭のことあり。名づけて御蔭祭といふ。この賀茂の神にえにし深き御蔭山(みかげやま)にふりはへて出でますこと、神もいかに御心ゆくわざならむ。畏くも神の御霊代は雪にもまがふ白馬に召させられ、その上に錦蓋をかけ奉り、旧社家之に従ひ舞人陪従なども馬上あまた扈従して、威儀のもの捧持の人々と共に行粧平安の古へを偲ばれ目もあやなり。御蔭山にて祭すめば、高野より賀茂波爾社(はにしゃ)を経て切芝にて楽遊を奏し還幸あり。沿道新緑浅うして杜鵑おとづれ、暖かき日ざしの一日は神もさぞや慰み給ふことなるべし。 |