祇園会神輿


データ番号087_2
作者名江馬務(えまつとむ)
解説花洛文月の行事はひとり祇園会を措きてさしたるものもなし。十七、廿四両日の山鉾巡行の日の夕まぐれ、昔を今に弦取見廩の鎧武者を先だてて、鉾楯弓箭錦蓋鸞鳥勅裁御板稚児神職の長列のあと、東中西の三社の神輿は氏子近郊の若者に舁がれて動座あり。舁手の人々の雄たけびに神輿はゆられゆられて過ぎゆくさま、勇ましなんどいふばかりなし。神輿は先づとし修裡を施されたれば、金銀鏤刻の光火影に映えて荘厳いとど神威を感ぜしむ。そも祇園の神輿は清和天皇貞観年中に創始せられしものなれば、今に至り年を閲すること一千載、かく退転なく巡行あるもこれ神の稜威に外ならざるべし。