伏見御香宮祭


データ番号045_2
作者名江馬務(えまつとむ)
解説呉竹の伏見(ふしみ)の里、桃山(ももやま)に近く八幡の神の宮居あり。御香宮(みこうのみや)といふ。勧請平安(へいあん)の古にありといふ。足利の世(あしかがのよ)は拍子ISO/IEC(908C)物風流傘などいづる祭名ありしが、徳川の世(とくがわのよ)にも亦盛大なる祭礼あり。今は例年十月九日に挙行せらる。御列には獅子頭を先駈とし御榊御幣神馬御鉾猿田彦金棒御弓御太刀神輿鎗御長刀社司氏子総代など長蛇の列をなして伏見一円を巡行せられ、盛観限りなく洛外随一と称せらる。この祭には伏見町々に御迎へ提灯とて紅白とりどりの花傘をしつらへ、御神燈などかける提灯に取りつけ神輿を迎へ、夜はこれに点火し大人小人ども何れも絞りの浴衣きて年毎に提灯を携へ、あるは提灯を竹に挿し陳ねなどして町を練りゆくなど古への風流の名残なりかし。提灯の火影は花傘に映じて絢爛目もさむる心地す。夜を日につぎて境内店機関など所せきまでに充満し、淀川わたる風の夜は肌に寒けれど、遠近の人々つどひ来て寸地を余さず。氏子の人々も神の御霊のふゆにて一日を快く過ぐすも祭礼の徳なるべし。