[ 日文研トップ ] [ 日文研データベースの案内 ] [ データベースメニュー ] |
人物名 |
|
||||||||||
本文 |
名は守雌、桑原氏、為渓は字にして通称とす。号は空洞、浪華の人にて瓶花の家也。為リ人ト清廉、隠操有。篆隷八分の諸体を極む。初メ鈴木正直儀左右衛門、臨池堂と号す。 に学ぶといへども、自一家を成し、一時に鳴ル。字学委し。三論を持し、老荘を主とす。生涯、妻を蓄ず子なし。心を方外に遊しめ、洛西泉谷の山中に庵を結びて時々行て独楽す。又仁和寺御門前、光琳が建し家にも住りき。此家頗風流にて蓮池に禅堂などもあり。光琳自画の障子も有しが後やゝ荒たり。 遊山、翫水の癖、尋常にすぎ、はた平生移居を好み、洛中も所々にすめり。久しく居れば近隣の人にも馴て貧着の思を生ずるをいとふとぞ。 |