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人物名 |
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本文 |
白隠禅師の弟子に別首座といへる有。出家は寺を持べきにあらず、寺をもてば在家にひとしとて、所さだめず行脚に年を送る。多くは丹波、但馬の間に遊びしとかや。人間訊するときは、其人の世態をもて示す。或時に乞丐僧示しを請。首座即雨だれの石をさしていふ、あの石を見よ、雨だりにて減たりと。又農人集りて説を請しには曰、田中に水あれば鷺来て泥鰌をもとむ、泥鰌は遁んとす、鷺は踏んとすと。またある元日に、人の許にて雑煮を喰ふ時、主示しを請には、いはく、昨日は大晦日、今日は元日なれば雑煮を喰也と。老婆親切といふべし。 |