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人物名 |
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本文 |
摂津国池田に寓居せる禅僧日初は、もといづこの人といふことをしらず。食あれば閉居し、食尽れば乞走す。甚貧しくして、袈裟破れ衣薄けれども心とせず。禅余、国学を好み、反古のうらに筆を染て、日本春秋といふ書を著す。水戸の日本史に類すといへども、其所志他を善に導むのまうけにて、人々の伝に褒貶あり。されば春秋をもてなづくとなん。其書は池田の人うつしもてりと聞ぬる斗にて、いまだ見ず。唯此人の志を貴むがために、きくまゝにこゝに挙。近年その里にて化せりとぞ。 |