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人物名 |
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本文 |
梶子は祇園林の茶店の女也。もとより其わたりの人にやしらず。其家集梶の葉を見れば、をさなきよりうたをよめり。十四になりける年のくれに、歳暮恋といふことを、 こひこひてことしもあだに暮にけり涙の氷あすやとけなん 又其秀逸とて人の口にあるは、夜霰を、雪ならば梢にとめてあすやみんよるのあられの音にのみして また立春のうたおのれはよしとおもへり。のどけしな豊あし原のけさの春水のこゝろも風の姿も ○百合子は、梶が茶店をつぐよし自いへりし。是もうたを好しかども、梶に及ざること遠し。たゞ茶店の女にして歌よむといふがめづらしさに、ゐなかまでもその名聞たり。これがむすめ町子は大雅が妻となりぬ。既に大雅が伝に出せり。 |