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人物名 |
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本文 |
通女は、讃岐国丸亀の士井上儀右衛門某の女、幼より書をよみ、詩歌ともに成人にまされる才女也。十八の比ほひ、其君の母公に侍して江戸に行ク。此時の道の記を東海紀行と号く。九年をへて帰る時の記を帰家日記といふ。後三田茂右衛門といへる士に嫁し、伝右衛門義勝を産。是侯の侍読の儒臣となり、才志論、養子訓等を著す。通女所著ハスは、右二紀行の外に、其家集を和歌往事集と名づく。詩歌は紀行の印本なるに譲りてこゝにはもらせり。其気象の秀をいはゞ、盤桂禅師と儒仏を論じて戯によめるといへるに、 常にゆくみちなくばこそ世をうみのあまの乗たる舟もたのまめ 此女の事に聞る話もあれど、さだかならねば記さず。 |