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作品集名 | 宝治百首(宝治御百首) |
作品集名読み | ほうじひゃくしゅ(ほうじおんひゃくしゅ) |
作成年月日 | 宝治二年春頃までに(1248年春頃までに) |
場所 |
宝治百首:春 |
宝治百首:夏 |
宝治百首:秋 |
宝治百首:冬 |
宝治百首:恋 |
宝治百首:雑 |
00001 |
未入力 御製 (xxx)
一とせをわきそかねぬるみふゆつきのこる日数の春はきにけり
ひととせを−わきそかねぬる−みふゆつき−のこるひかすの−はるはきにけり |
00002 |
未入力 沙門道助 (xxx)
あらたまのとしとやいはむ立帰る春よりさきに春は来にけり
あらたまの−としとやいはむ−たちかへる−はるよりさきに−はるはきにけり |
00003 |
未入力 従一位臣藤原朝臣実氏 (xxx)
君か代のちとせにあまるしるしとや春よりさきに春のきぬらん
きみかよの−ちとせにあまる−しるしとや−はるよりさきに−はるのきぬらむ |
00004 |
未入力 正二位臣藤原朝臣基家 (xxx)
大空はまた冬なから行く雲にとしをこめてや春はたつらむ
おほそらは−またふゆなから−ゆくくもに−としをこめてや−はるはたつらむ |
00005 |
未入力 家良 (xxx)
くれのこる日数もまたすあら玉のむへも年とや春のきぬらん
くれのこる−ひかすもまたす−あらたまの−むへもとしとや−はるのきぬらむ |
00006 |
未入力 基良 (xxx)
ことしとはいふはかりなる日数にてまた冬なから春はきにけり
ことしとは−いふはかりなる−ひかすにて−またふゆなから−はるはきにけり |
00007 |
未入力 正二位行権大納言臣藤原朝臣隆親上 (xxx)
年のうちも春たちぬとや春日野のとふひののへも霞みそむらん
としのうちも−はるたちぬとや−かすかのの−とふひののへも−かすみそむらむ |
00008 |
未入力 正二位臣藤原為家上 (xxx)
あさ氷とけにけらしな年の内にくみてしらるる春のわか水
あさこほり−とけにけらしな−としのうちに−くみてしらるる−はるのわかみつ |
00009 |
未入力 正二位行権大納言藤原朝臣公相上 (xxx)
行きめくる月日の数は一とせに二たひ春そたちかはりぬる
ゆきめくる−つきひのかすは−ひととせに−ふたたひはるそ−たちかはりぬる |
00010 |
未入力 正二位行権大納言臣藤原朝臣実雄上 (xxx)
としの内に冬の日数はのこるとも去年とやいはむ春はきにけり
としのうちに−ふゆのひかすは−のこるとも−こそとやいはむ−はるはきにけり |
00011 |
未入力 沙弥信覚上 (xxx)
年のうちにきにける春のしるしとて山下水も音たてつなり
としのうちに−きにけるはるの−しるしとて−やましたみつも−おとたてつなり |
00012 |
未入力 正二位行中納言臣藤原朝臣為経上 (xxx)
あら玉のとしはきのふにかはらねとはやくそ春の今朝立ちにける
あらたまの−としはきのふに−かはらねと−はやくそはるの−けさたちにける |
00013 |
未入力 正二位臣藤原朝臣忠定上 (xxx)
待ちあへすはるはきにける誰かためにとしのくれとて猶いそくらん
まちあへす−はるはきにける−たかために−としのくれとて−なほいそくらむ |
00014 |
未入力 参議従二位行侍従兼近江権守臣藤原朝臣資季 (xxx)
朝日影のとかになりぬ春やとき年やおそきとたれにとはまし
あさひかけ−のとかになりぬ−はるやとき−としやおそきと−たれにとはまし |
00015 |
未入力 従二位臣藤原朝臣頼氏上 (xxx)
時しあれは岩戸の関の明方にことしをかけて春はきにけり
ときしあれは−いはとのせきの−あけかたに−ことしをかけて−はるはきにけり |
00016 |
未入力 従二位行兵部卿臣源朝臣有教上 (xxx)
ひととせに二たひはるに逢坂の関のし水やこほりとくらむ
ひととせに−ふたたひはるに−あふさかの−せきのしすいや−こほりとくらむ |
00017 |
未入力 参議従三位行右近衛権中将兼但馬守臣藤原朝臣師継上 (xxx)
年の内もまたくれなくにけふしはやよは春なれや空ののとけき
としのうちも−またくれなくに−けふしはや−よははるなれや−そらののとけき |
00018 |
未入力 参議従三位行大蔵卿兼左兵衛督備前守臣藤原朝臣定嗣上 (xxx)
あらたまの年ゆきかへる月よめはいまた冬にて春はきにけり
あらたまの−としゆきかへる−つきよめは−いまたふゆにて−はるはきにけり |
00019 |
未入力 正二位藤原成実上 (xxx)
冬なから春たつそらの朝日かけ雲井はるかにかけそのとけき
ふゆなから−はるたつそらの−あさひかけ−くもゐはるかに−かけそのとけき |
00020 |
未入力 沙弥蓮性上 (xxx)
大方のとしまたあけぬ民の戸は松やはたてる春きたりとて
おほかたの−としまたあけぬ−たみのとは−まつやはたてる−はるきたりとて |
00021 |
未入力 従三位臣藤原朝臣顕氏上 (xxx)
春たつといかていふらん月よめはまた古年の日かすなりけり
はるたつと−いかていふらむ−つきよめは−またふるとしの−ひかすなりけり |
00022 |
未入力 沙弥寂能上 (xxx)
としはなほ行くせによとむよしの川岩波はやく春はきにけり
としはなほ−ゆくせによとむ−よしのかは−いはなみはやく−はるはきにけり |
00023 |
未入力 正四位下行左近衛権中将臣藤原朝臣為氏上 (xxx)
さらに又こそとやいはむ年の内二たひおなしはるはたつなり
さらにまた−こそとやいはむ−としのうち−ふたたひおなし−はるはたつなり |
00024 |
未入力 釈真観上 (xxx)
くる春も君かためとやいそくらんおくりむかふる年もまたすて
くるはるも−きみかためとや−いそくらむ−おくりむかふる−としもまたすて |
00025 |
未入力 沙弥寂西上 (xxx)
かそふれは猶のこりける年なれと冬とはいはし春たちにけり
かそふれは−なほのこりける−としなれと−ふゆとはいはし−はるたちにけり |
00026 |
未入力 正四位下行中務大輔臣藤原朝臣為継上 (xxx)
年くるる冬の日数もすきぬまにかさねて春のいかてきぬらん
としくるる−ふゆのひかすも−すきぬまに−かさねてはるの−いかてきぬらむ |
00027 |
未入力 従四位上行左京権大夫臣藤原朝臣経朝上 (xxx)
いつのまにそらのけしきも荒玉のとしをのこして春はきぬらん
いつのまに−そらのけしきも−あらたまの−としをのこして−はるはきぬらむ |
00028 |
未入力 散位従四位上臣藤原朝臣行家上 (xxx)
待ちあへす春はきにけりあらたまの年たにいまたくちはてぬめり
まちあへす−はるはきにけり−あらたまの−としたにいまた−くちはてぬめり |
00029 |
未入力 日吉禰宜従四位上前丹後守祝部宿禰成茂上 (xxx)
冬なからけさより空ののとけきは雲井にちよのはるやたつらん
ふゆなから−けさよりそらの−のとけきは−くもゐにちよの−はるやたつらむ |
00030 |
未入力 散位正五位下臣藤原朝臣隆祐上 (xxx)
あら玉のとしもへたてぬ雲ゐよりまつのとかなる春はきにけり
あらたまの−としもへたてぬ−くもゐより−まつのとかなる−はるはきにけり |
00031 |
未入力 沙弥禅信上 (xxx)
荒玉の年をこめてもきにけらし君かめくみの千代のはつ春
あらたまの−としをこめても−きにけらし−きみかめくみの−ちよのはつはる |
00032 |
未入力 安嘉門院高倉 (xxx)
あら玉の春はいつしか立ちぬれとまた古年の月日なりけり
あらたまの−はるはいつしか−たちぬれと−またふるとしの−つきひなりけり |
00033 |
未入力 鷹司院按察 (xxx)
春立ちてきのふをこそとかそふれは冬の日数そなほのこりける
はるたちて−きのふをこそと−かそふれは−ふゆのひかすそ−なほのこりける |
00034 |
未入力 鷹司院帥 (xxx)
大方はまたふる年とおもへとも春たつけふになりそしにける
おほかたは−またふるとしと−おもへとも−はるたつけふに−なりそしにける |
00035 |
未入力 承明門院小宰相 (xxx)
立ちそむる春のけしきのしるけれは年を残して冬や行くらん
たちそむる−はるのけしきの−しるけれは−としをのこして−ふゆやゆくらむ |
00036 |
未入力 俊成卿女 (xxx)
わか君の千代のはしめのけふとてや年よりさきに春もたつらん
わかきみの−ちよのはしめの−けふとてや−としよりさきに−はるもたつらむ |
00037 |
未入力 少将内侍 (xxx)
つひにさてもみちぬ色に春立ちて年の内なる松のひとしほ
つひにさて−もみちぬいろに−はるたちて−としのうちなる−まつのひとしほ |
00038 |
未入力 弁内侍 (xxx)
冬もいまいくかもあらすくれぬるをその程またす春立ちにけり
ふゆもいま−いくかもあらす−くれぬるを−そのほとまたす−はるたちにけり |
00039 |
未入力 藻壁門院但馬 (xxx)
あら玉のとしの残りの日数をもまたてや春のけふはたつらん
あらたまの−としののこりの−ひかすをも−またてやはるの−けふはたつらむ |
00040 |
未入力 下野 (xxx)
あたらしき春はきぬれとかそふれはまた古年の内にそ有りける
あたらしき−はるはきぬれと−かそふれは−またふるとしの−うちにそありける |
00041 |
未入力 御製 (xxx)
いまは又かすみへたてて思ふかなおほうち山の春のあけほの
いまはまた−かすみへたてて−おもふかな−おほうちやまの−はるのあけほの |
00042 |
未入力 道助 (xxx)
おしなへてうつもれぬらんよし野山いふはかりよりふかき霞に
おしなへて−うつもれぬらむ−よしのやま−いふはかりより−ふかきかすみに |
00043 |
未入力 実氏 (xxx)
なかめこし音羽の山もいまさらにかすめはとほき明ほのの空
なかめこし−おとはのやまも−いまさらに−かすめはとほき−あけほののそら |
00044 |
未入力 基家 (xxx)
この春は山のいはほをなてそめてかかる霞やあまのは衣
このはるは−やまのいはほを−なてそめて−かかるかすみや−あまのはころも |
00045 |
未入力 家良 (xxx)
朝かすみいまたてるらし久堅の空にほのめくみよしのの山
あさかすみ−いまたてるらし−ひさかたの−そらにほのめく−みよしののやま |
00046 |
未入力 基良 (xxx)
よし野山かすむはかりの梢にも猶あらたまる色はみえける
よしのやま−かすむはかりの−こすゑにも−なほあらたまる−いろはみえける |
00047 |
未入力 隆親 (xxx)
浅緑はるのしるしやいそくらんいつしかかすむあまのかく山
あさみとり−はるのしるしや−いそくらむ−いつしかかすむ−あまのかくやま |
00048 |
未入力 為家 (xxx)
いつしかとあまのかく山おりはへてほすや霞の春の衣手
いつしかと−あまのかくやま−おりはへて−ほすやかすみの−はるのころもて |
00049 |
未入力 公相 (xxx)
見わたせは霞棚引くあしひきのとほき山へに春やきぬらん
みわたせは−かすみたなひく−あしひきの−とほきやまへに−はるやきぬらむ |
00050 |
未入力 実雄 (xxx)
立ちなるる伊駒の山の雲ならて霞もかくす春の明ほの
たちなるる−いこまのやまの−くもならて−かすみもかくす−はるのあけほの |
00051 |
未入力 信覚 (xxx)
棹姫のかすみの衣うすき程吹きなかくしそ春の山風
さほひめの−かすみのころも−うすきほと−ふきなかくしそ−はるのやまかせ |
00052 |
未入力 為経 (xxx)
いくとせの春の霞に立ちなれて世は久堅のあまのかく山
いくとせの−はるのかすみに−たちなれて−よはひさかたの−あまのかくやま |
00053 |
未入力 忠定 (xxx)
遠山の松のかすみのすり衣うすきこのまの風にみたすな
とほやまの−まつのかすみの−すりころも−うすきこのまの−かせにみたすな |
00054 |
未入力 資季 (xxx)
故郷のよし野の山のおくまても春をしるへとたつ霞かな
ふるさとの−よしののやまの−おくまても−はるをしるへと−たつかすみかな |
00055 |
未入力 頼氏 (xxx)
はるに又かすみにけりな水鳥の鴨のは色の遠山のまつ
はるにまた−かすみにけりな−みつとりの−かものはいろの−とほやまのまつ |
00056 |
未入力 有教 (xxx)
大方に春のけしきはしるけれとわきてそかすむみよしのの山
おほかたに−はるのけしきは−しるけれと−わきてそかすむ−みよしののやま |
00057 |
未入力 師継 (xxx)
みわたせは霞のころも立ちにけり山のはよりや春のきぬらん
みわたせは−かすみのころも−たちにけり−やまのはよりや−はるのきぬらむ |
00058 |
未入力 定嗣 (xxx)
みつもろのその山なみも見えぬまて春の霞はいまたたるらし
みつもろの−そのやまなみも−みえぬまて−はるのかすみは−いまたたるらし |
00059 |
未入力 成実 (xxx)
棹姫のかつらき山にかけてほす春の衣はかすみなりけり
さほひめの−かつらきやまに−かけてほす−はるのころもは−かすみなりけり |
00060 |
未入力 蓮性 (xxx)
む月たち春にはなりぬ三輪山の杉かえしのき朝霞せよ
むつきたち−はるにはなりぬ−みわやまの−すきかえしのき−あさかすみせよ |
00061 |
未入力 顕氏 (xxx)
いつしかも峰立ちならす夕かすみたえすそかかる葛城の山
いつしかも−みねたちならす−ゆふかすみ−たえすそかかる−かつらきのやま |
00062 |
未入力 寂能 (xxx)
君か代はにきはふ民のかまととや山もあまねくたつかすみかな
きみかよは−にきはふたみの−かまととや−やまもあまねく−たつかすみかな |
00063 |
未入力 為氏 (xxx)
衣手の田上山のあさ霞立ちかさねてそ春もきにける
ころもての−たなかみやまの−あさかすみ−たちかさねてそ−はるもきにける |
00064 |
未入力 真観 (xxx)
はる霞たち渡るなり橋たてや松原こしのよさの大山
はるかすみ−たちわたるなり−はしたてや−まつはらこしの−よさのおほやま |
00065 |
未入力 寂西 (xxx)
朝霞たなひきぬるかしからきの外山の嵐吹きたゆむなり
あさかすみ−たなひきぬるか−しからきの−とやまのあらし−ふきたゆむなり |
00066 |
未入力 為継 (xxx)
見わたせは山のはかけて久方の空も一にかすむ春かな
みわたせは−やまのはかけて−ひさかたの−そらもひとつに−かすむはるかな |
00067 |
未入力 経朝 (xxx)
秋津しまくにの都の山たかみいく千代かけてかすみきぬらん
あきつしま−くにのみやこの−やまたかみ−いくちよかけて−かすみきぬらむ |
00068 |
未入力 行家 (xxx)
み冬つき年のこゆてふ山のはに今朝ははやくも立つ霞かな
みふゆつき−としのこゆてふ−やまのはに−けさははやくも−たつかすみかな |
00069 |
未入力 成茂 (xxx)
ささ波やなからの山の朝霞さらにや春のあらたまるらん
ささなみや−なからのやまの−あさかすみ−さらにやはるの−あらたまるらむ |
00070 |
未入力 隆祐 (xxx)
あけわたるはこやの山の行末をはるかになして立つ霞かな
あけわたる−はこやのやまの−ゆくすゑを−はるかになして−たつかすみかな |
00071 |
未入力 禅信 (xxx)
立ちきつるしつはたやまの朝霞春の衣とたれかおりけん
たちきつる−しつはたやまの−あさかすみ−はるのころもと−たれかおりけむ |
00072 |
未入力 高倉 (xxx)
朝霞たつたの山はおしなへてこのめも春に成りにけるかな
あさかすみ−たつたのやまは−おしなへて−このめもはるに−なりにけるかな |
00073 |
未入力 按察 (xxx)
時まちて立出てにける霞かな朝日の山に春やきぬらん
ときまちて−たちいてにける−かすみかな−あさひのやまに−はるやきぬらむ |
00074 |
未入力 帥 (xxx)
山のはもいつくなるらんおしなへてみえぬはかりにかすむ春かな
やまのはも−いつくなるらむ−おしなへて−みえぬはかりに−かすむはるかな |
00075 |
未入力 小宰相 (xxx)
嶺にゐる雲のとたえもわかぬまて霞そかかる葛城の山
みねにゐる−くものとたえも−わかぬまて−かすみそかかる−かつらきのやま |
00076 |
未入力 俊成女 (xxx)
あさくらや山も霞の雲まよりよそに昔の春そ恋しき
あさくらや−やまもかすみの−くもまより−よそにむかしの−はるそこひしき |
00077 |
未入力 少将内侍 (xxx)
今ははや春くる空の朝霞よも山かけてたなひきにけり
いまははや−はるくるそらの−あさかすみ−よもやまかけて−たなひきにけり |
00078 |
未入力 弁内侍 (xxx)
いそのかみふるの山へも春きぬと霞や空にたちかへるらん
いそのかみ−ふるのやまへも−はるきぬと−かすみやそらに−たちかへるらむ |
00079 |
未入力 但馬 (xxx)
葦曳のみ山はxxxxxxxx都の野へは雪間たになし
あしひきの−みやまはxxx−xxxxx−みやこののへは−ゆきまたになし |
00080 |
未入力 下野 (xxx)
あさまたきなかめにとほき山のはそ霞の色はたちまさりけり
あさまたき−なかめにとほき−やまのはそ−かすみのいろは−たちまさりけり |
00081 |
未入力 御製 (xxx)
春の立つあとこそみゆれ朝日影さすや岡へにとくる白雪
はるのたつ−あとこそみゆれ−あさひかけ−さすやをかへに−とくるしらゆき |
00082 |
未入力 道助 (xxx)
みふゆつきこれや形見に残るらん春をもよほす峰の泡雪
みふゆつき−これやかたみに−のこるらむ−はるをもよほす−みねのあはゆき |
00083 |
未入力 実氏 (xxx)
風にほふまことの花にくらへはや桜か枝にふれるしら雪
かせにほふ−まことのはなに−くらへはや−さくらかえたに−ふれるしらゆき |
00084 |
未入力 基家 (xxx)
春も猶川波さえて立田山滝のうはてにみ雪ふるらし
はるもなほ−かはなみさえて−たつたやま−たきのうはてに−みゆきふるらし |
00085 |
未入力 家良 (xxx)
はるはきてをち方人の跡見えし萩のやけふは雪の降りつつ
はるはきて−をちかたひとの−あとみえし−はきのやけふは−ゆきのふりつつ |
00086 |
未入力 基良 (xxx)
春くれと我かふる郷そ跡たゆる野へも山辺も雪のむら消
はるくれと−わかふるさとそ−あとたゆる−のへもやまへも−ゆきのむらきえ |
00087 |
未入力 隆親 (xxx)
泡雪のふるやの軒の梅かえに春さく花の色そかさなる
あはゆきの−ふるやののきの−うめかえに−はるさくはなの−いろそかさなる |
00088 |
未入力 為家 (xxx)
あは雪はふりもやまなむまたきよりまたるる花のちるとまかふに
あはゆきは−ふりもやまなむ−またきより−またるるはなの−ちるとまかふに |
00089 |
未入力 公相 (xxx)
荒玉のとしをへたつる故郷のかきねの雪はかはらさりけり
あらたまの−としをへたつる−ふるさとの−かきねのゆきは−かはらさりけり |
00090 |
未入力 実雄 (xxx)
うちきらしふれとも雪のかつ消えて都ののへは春めきにけり
うちきらし−ふれともゆきの−かつきえて−みやこののへは−はるめきにけり |
00091 |
未入力 信覚 (xxx)
もえいつる草のはつせの山風に雪の下水いまやとくらん
もえいつる−くさのはつせの−やまかせに−ゆきのしたみつ−いまやとくらむ |
00092 |
未入力 為経 (xxx)
みよしのは花と見えつつかけろふのもゆる春日にふれる白雪
みよしのは−はなとみえつつ−かけろふの−もゆるはるひに−ふれるしらゆき |
00093 |
未入力 忠定 (xxx)
老か身のよはひやなにそふりぬれとつもらぬ春の雪も有る世に
おいかみの−よはひやなにそ−ふりぬれと−つもらぬはるの−ゆきもあるよに |
00094 |
未入力 資季 (xxx)
高砂のをのへにふれる雪の色を松に花さく春かとそみる
たかさこの−をのへにふれる−ゆきのいろを−まつにはなさく−はるかとそみる |
00095 |
未入力 頼氏 (xxx)
ふり消えて野にも山にもたまらねとさすかにさむき春の泡雪
ふりきえて−のにもやまにも−たまらねと−さすかにさむき−はるのあはゆき |
00096 |
未入力 有教 (xxx)
かきくらしふるとはすれとかつ消えぬかすめる空の春のあは雪
かきくらし−ふるとはすれと−かつきえぬ−かすめるそらの−はるのあはゆき |
00097 |
未入力 師継 (xxx)
梓弓はるてふ空は引きかへてあらたまれとも猶み雪ふる
あつさゆみ−はるてふそらは−ひきかへて−あらたまれとも−なほみゆきふる |
00098 |
未入力 定嗣 (xxx)
あたらしきとよのことしのしるしとて内にもとにもひかる白雪
あたらしき−とよのことしの−しるしとて−うちにもとにも−ひかるしらゆき |
00099 |
未入力 成実 (xxx)
かすめとも猶ふるとしの余波とてさえてもつもる春の雪かな
かすめとも−なほふるとしの−なこりとて−さえてもつもる−はるのゆきかな |
00100 |
未入力 蓮性 (xxx)
冬かれの岡への梢めもはるにしるや日かけの雪のむら消
ふゆかれの−をかへのこすゑ−めもはるに−しるやひかけの−ゆきのむらきえ |
00101 |
未入力 顕氏 (xxx)
うちなひき春はきたれと今も猶つきてふりしく野への泡雪
うちなひき−はるはきたれと−いまもなほ−つきてふりしく−のへのあはゆき |
00102 |
未入力 寂能 (xxx)
雪きゆる春の玉水なほさえてたるひそ軒のゐせきなりける
ゆききゆる−はるのたまみつ−なほさえて−たるひそのきの−ゐせきなりける |
00103 |
未入力 為氏 (xxx)
かけろふのもゆる春日の浅みとりかすめる空も雪はふりつつ
かけろふの−もゆるはるひの−あさみとり−かすめるそらも−ゆきはふりつつ |
00104 |
未入力 真観 (xxx)
久方のあまつみそらは春なるにいつとさためて雪のふるらし
ひさかたの−あまつみそらは−はるなるに−いつとさためて−ゆきのふるらし |
00105 |
未入力 寂西 (xxx)
つもりにしかきねの雪の消えやらて春にかかれる竹の下をれ
つもりにし−かきねのゆきの−きえやらて−はるにかかれる−たけのしたをれ |
00106 |
未入力 為継 (xxx)
御吉野の山のしら雪けふまても猶古里は春としもなし
みよしのの−やまのしらゆき−けふまても−なほふるさとは−はるとしもなし |
00107 |
未入力 経朝 (xxx)
いまは又花を待つへきみよしのの山かきくらす春のあは雪
いまはまた−はなをまつへき−みよしのの−やまかきくらす−はるのあはゆき |
00108 |
未入力 行家 (xxx)
なににかはちりもまかはむ春きても花なき里にふれる白雪
なににかは−ちりもまかはむ−はるきても−はななきさとに−ふれるしらゆき |
00109 |
未入力 成茂 (xxx)
此里はひら山おろし猶さえて春ともわかす雪そふりしく
このさとは−ひらやまおろし−なほさえて−はるともわかす−ゆきそふりしく |
00110 |
未入力 隆祐 (xxx)
空にのみ冬の日数や残すらんきゆるもしらすふれる白雪
そらにのみ−ふゆのひかすや−のこすらむ−きゆるもしらす−ふれるしらゆき |
00111 |
未入力 禅信 (xxx)
かつ消えてつもりもあへすさわらひのもゆる春日の野への泡雪
かつきえて−つもりもあへす−さわらひの−もゆるはるひの−のへのあはゆき |
00112 |
未入力 高倉 (xxx)
谷ふかみよそより春や立ちぬらん猶消えあへすつもるあはゆき
たにふかみ−よそよりはるや−たちぬらむ−なほきえあへす−つもるあはゆき |
00113 |
未入力 按察 (xxx)
立帰るとしのしるしやなにならんいまさらにふる雪も消えすて
たちかへる−としのしるしや−なにならむ−いまさらにふる−ゆきもきえすて |
00114 |
未入力 帥 (xxx)
春そとは人はいへともみよしのや猶しかすかに雪のふりつつ
はるそとは−ひとはいへとも−みよしのや−なほしかすかに−ゆきのふりつつ |
00115 |
未入力 小宰相 (xxx)
衣手のもりの木本跡たえておりはへのこる春のしら雪
ころもての−もりのこのもと−あとたえて−おりはへのこる−はるのしらゆき |
00116 |
未入力 俊成女 (xxx)
ひかりなき谷のとほそは猶さえてよりこぬ春の泡雪そ降る
ひかりなき−たにのとほそは−なほさえて−よりこぬはるの−あはゆきそふる |
00117 |
未入力 少将内侍 (xxx)
いその上ふるとも雪のたまらめや春くる空といひてしものを
いそのかみ−ふるともゆきの−たまらめや−はるくるそらと−いひてしものを |
00118 |
未入力 弁内侍 (xxx)
おのつからふりしくとしもなけれとも猶そあまきる春の泡雪
おのつから−ふりしくとしも−なけれとも−なほそあまきる−はるのあはゆき |
00119 |
未入力 但馬 (xxx)
なにとこの春の名たてに泡雪のちるてふ花の色にみゆらん
なにとこの−はるのなたてに−あはゆきの−ちるてふはなの−いろにみゆらむ |
00120 |
未入力 下野 (xxx)
うゑたてて春待つそののかひもなく猶梅かえに雪そあまきる
うゑたてて−はるまつそのの−かひもなく−なほうめかえに−ゆきそあまきる |
00121 |
未入力 御製 (xxx)
鴬のさへつるけさのはつねよりあらたまりける春そしらるる
うくひすの−さへつるけさの−はつねより−あらたまりける−はるそしらるる |
00122 |
未入力 道助 (xxx)
春といへはみしかきよはの程もなくあくるまかきにきゐるうくひす
はるといへは−みしかきよはの−ほともなく−あくるまかきに−きゐるうくひす |
00123 |
未入力 実氏 (xxx)
くれ竹のなかくみしかきふしふしに今朝鴬のはつ音鳴くなり
くれたけの−なかくみしかき−ふしふしに−けさうくひすの−はつねなくなり |
00124 |
未入力 基家 (xxx)
鴬のこゑきくなへにいつる日の朝の原は春めきにけり
うくひすの−こゑきくなへに−いつるひの−あしたのはらは−はるめきにけり |
00125 |
未入力 家良 (xxx)
はるの夜のねてのあさけのあけたてはつまとや我を鴬のなく
はるのよの−ねてのあさけの−あけたては−つまとやわれを−うくひすのなく |
00126 |
未入力 基良 (xxx)
うくひすの涙にむすふ氷をはおのか羽風やけさはとくらん
うくひすの−なみたにむすふ−こほりをは−おのかはかせや−けさはとくらむ |
00127 |
未入力 隆親 (xxx)
片糸に柳をよりて鴬の梅の花かさけさもぬふらし
かたいとに−やなきをよりて−うくひすの−うめのはなかさ−けさもぬふらし |
00128 |
未入力 為家 (xxx)
明けぬれとねくらの竹のよの程にかこちよせてやうくひすの鳴く
あけぬれと−ねくらのたけの−よのほとに−かこちよせてや−うくひすのなく |
00129 |
未入力 公相 (xxx)
立ちかはる春ともしらぬ谷の戸をあけ行く空に鴬のなく
たちかはる−はるともしらぬ−たにのとを−あけゆくそらに−うくひすのなく |
00130 |
未入力 実雄 (xxx)
しら雪の古巣はけさも猶さえて鳴く音もとけぬ鴬の声
しらゆきの−ふるすはけさも−なほさえて−なくねもとけぬ−うくひすのこゑ |
00131 |
未入力 信覚 (xxx)
春の日に谷のふるすや出てぬらん跡ものとけきうくひすの声
はるのひに−たにのふるすや−いてぬらむ−あとものとけき−うくひすのこゑ |
00132 |
未入力 為経 (xxx)
谷の戸のあくるあさけの古巣より春しりそむる鴬の声
たにのとの−あくるあさけの−ふるすより−はるしりそむる−うくひすのこゑ |
00133 |
未入力 忠定 (xxx)
竹の葉も朝霜けたすとちこめてまたねくらなる鴬の声
たけのはも−あさしもけたす−とちこめて−またねくらなる−うくひすのこゑ |
00134 |
未入力 資季 (xxx)
はる風のさそひし日よりあさなあさななれてききつる鴬の声
はるかせの−さそひしひより−あさなあさな−なれてききつる−うくひすのこゑ |
00135 |
未入力 頼氏 (xxx)
けさも猶雪けの雲を出てやらて谷のと山のうくひすの声
けさもなほ−ゆきけのくもを−いてやらて−たにのとやまの−うくひすのこゑ |
00136 |
未入力 有教 (xxx)
都にはまつらんものをうくひすのたによりいつる今朝の初声
みやこには−まつらむものを−うくひすの−たによりいつる−けさのはつこゑ |
00137 |
未入力 師継 (xxx)
立ちかへるとしの初の朝より春をしらするうくひすのこゑ
たちかへる−としのはしめの−あしたより−はるをしらする−うくひすのこゑ |
00138 |
未入力 定嗣 (xxx)
春されはたかきにうつる鴬をやとの梢にあさなあさなきく
はるされは−たかきにうつる−うくひすを−やとのこすゑに−あさなあさなきく |
00139 |
未入力 成実 (xxx)
うくひすのこゑ打ちいつる谷の戸のあさ明の山に春はきにけり
うくひすの−こゑうちいつる−たにのとの−あさあけのやまに−はるはきにけり |
00140 |
未入力 蓮性 (xxx)
春のきてあくる朝日の谷のとをすたちもやらす鴬そ鳴く
はるのきて−あくるあさひの−たにのとを−すたちもやらす−うくひすそなく |
00141 |
未入力 顕氏 (xxx)
あさなあさなそともにきなくももちとり身にはよそなる春をつくなり
あさなあさな−そともにきなく−ももちとり−みにはよそなる−はるをつくなり |
00142 |
未入力 寂能 (xxx)
朝ことのみことかしこみしりかほになれもさへつる春のうくひす
あさことの−みことかしこみ−しりかほに−なれもさへつる−はるのうくひす |
00143 |
未入力 為氏 (xxx)
あさなあさなおのれ鳴きてやうくひすの年たち帰るはるをしるらん
あさなあさな−おのれなきてや−うくひすの−としたちかへる−はるをしるらむ |
00144 |
未入力 真観 (xxx)
世は春とたれもしるらし鴬のなききかせたるけさの初こゑ
よははると−たれもしるらし−うくひすの−なききかせたる−けさのはつこゑ |
00145 |
未入力 寂西 (xxx)
うくひすのまたよをこめて鳴くこゑをねなくにきけは明けはてにけり
うくひすの−またよをこめて−なくこゑを−ねなくにきけは−あけはてにけり |
00146 |
未入力 為継 (xxx)
さらてたに春の朝日ののとけきを声しつかなる谷のうくひす
さらてたに−はるのあさひの−のとけきを−こゑしつかなる−たにのうくひす |
00147 |
未入力 経朝 (xxx)
春日野のとふひののもりこととはんけさは初ねか鴬のなく
かすかのの−とふひののもり−こととはむ−けさははつねか−うくひすのなく |
00148 |
未入力 行家 (xxx)
けさははやはねならはしの枝うつり古巣の竹に鴬そなく
けさははや−はねならはしの−えたうつり−ふるすのたけに−うくひすそなく |
00149 |
未入力 成茂 (xxx)
春くれはおのか涙のあさ氷まつ打ちとけてうくひすそなく
はるくれは−おのかなみたの−あさこほり−まつうちとけて−うくひすそなく |
00150 |
未入力 隆祐 (xxx)
やとちかき夜半のねくらの木間より明けはなれぬる鴬のこゑ
やとちかき−よはのねくらの−このまより−あけはなれぬる−うくひすのこゑ |
00151 |
未入力 禅信 (xxx)
呉竹のよるのねくらも立ちやらす明行くままにうくひすそなく
くれたけの−よるのねくらも−たちやらす−あけゆくままに−うくひすそなく |
00152 |
未入力 高倉 (xxx)
春きぬとあしたの原に鴬の谷よりいつるはつね鳴くなり
はるきぬと−あしたのはらに−うくひすの−たによりいつる−はつねなくなり |
00153 |
未入力 按察 (xxx)
花もまたにほはぬ程の朝な朝ななけや鴬春とおもはん
はなもまた−にほはぬほとの−あさなあさな−なけやうくひす−はるとおもはむ |
00154 |
未入力 帥 (xxx)
よをこめておのかね山や出てぬらん今朝わかやとに鴬のなく
よをこめて−おのかねやまや−いてぬらむ−けさわかやとに−うくひすのなく |
00155 |
未入力 小宰相 (xxx)
あさなあさな鳴くうくひすのこゑならて我か身にうとき春の色かな
あさなあさな−なくうくひすの−こゑならて−わかみにうとき−はるのいろかな |
00156 |
未入力 俊成女 (xxx)
あらたまる春の朝のうくひすのももさへつりもいはふかみかせ
あらたまる−はるのあしたの−うくひすの−ももさへつりも−いはふかみかせ |
00157 |
未入力 少将内侍 (xxx)
谷の戸をあくるあさけの春風に古巣うかれて鴬そなく
たにのとを−あくるあさけの−はるかせに−ふるすうかれて−うくひすそなく |
00158 |
未入力 弁内侍 (xxx)
今朝はしも猶さえこほる谷の戸を出てかてにこそ鴬もなけ
けさはしも−なほさえこほる−たにのとを−いてかてにこそ−うくひすもなけ |
00159 |
未入力 但馬 (xxx)
竹の内にまたふしなれぬこゑすなり谷の鴬けさや出てつる
たけのうちに−またふしなれぬ−こゑすなり−たにのうくひす−けさやいてつる |
00160 |
未入力 下野 (xxx)
うくひすの今朝なく時そ山かつのかきほも春にあふ心ちする
うくひすの−けさなくときそ−やまかつの−かきほもはるに−あふここちする |
00161 |
未入力 御製 (xxx)
年をへて沢辺の草はおいにけりなとてわかなといひはしめけん
としをへて−さはへのくさは−おいにけり−なとてわかなと−いひはしめけむ |
00162 |
未入力 道助 (xxx)
氷ゐしさはへの水もとけそめてわかなつむへき程そみえける
こほりゐし−さはへのみつも−とけそめて−わかなつむへき−ほとそみえける |
00163 |
未入力 実氏 (xxx)
里人は山田の沢に袖ぬれてけふこそともにわかなつむらめ
さとひとは−やまたのさはに−そてぬれて−けふこそともに−わかなつむらめ |
00164 |
未入力 基家 (xxx)
いそのかみふるの野沢の跡しめて春やむかしとわかなつみつつ
いそのかみ−ふるののさはの−あとしめて−はるやむかしと−わかなつみつつ |
00165 |
未入力 家良 (xxx)
あたち野の野沢の氷とけにけりますけにましるこせりつみてん
あたちのの−のさはのこほり−とけにけり−ますけにましる−こせりつみてむ |
00166 |
未入力 基良 (xxx)
年をつむ身こそ老いぬれ沢水にいかなる草のわかななるらん
としをつむ−みこそおいぬれ−さはみつに−いかなるくさの−わかななるらむ |
00167 |
未入力 隆親 (xxx)
うちむれて野沢のわかなつむにたにのとけき御世の春そしらるる
うちむれて−のさはのわかな−つむにたに−のとけきみよの−はるそしらるる |
00168 |
未入力 為家 (xxx)
さは水にこほる下ねは猶とけていそくわかなのつみもやられす
さはみつに−こほるしたねは−なほとけて−いそくわかなの−つみもやられす |
00169 |
未入力 公相 (xxx)
諸人の袖ふりはへてけさよりや野沢の水にわかなつむらん
もろひとの−そてふりはへて−けさよりや−のさはのみつに−わかなつむらむ |
00170 |
未入力 実雄 (xxx)
いつかたにわかなつむらん葦曳の山さは水は猶こほりつつ
いつかたに−わかなつむらむ−あしひきの−やまさはみつは−なほこほりつつ |
00171 |
未入力 信覚 (xxx)
若菜つむあさの衣手猶さえてあささはをのに袖はぬれつつ
わかなつむ−あさのころもて−なほさえて−あささはをのに−そてはぬれつつ |
00172 |
未入力 為経 (xxx)
君かため野沢におふる若菜にそ行末とほく年はつむへき
きみかため−のさはにおふる−わかなにそ−ゆくすゑとほく−としはつむへき |
00173 |
未入力 忠定 (xxx)
つまねとも沢辺の水やあらふらんもとよりしろきねせりなりける
つまねとも−さはへのみつや−あらふらむ−もとよりしろき−ねせりなりける |
00174 |
未入力 資季 (xxx)
消えやらぬ沢への氷かき分けてたれみかくれのわかなつむらん
きえやらぬ−さはへのこほり−かきわけて−たれみかくれの−わかなつむらむ |
00175 |
未入力 頼氏 (xxx)
おのつから野沢の芹をつみませて知らぬ形見のわかななりけり
おのつから−のさはのせりを−つみませて−しらぬかたみの−わかななりけり |
00176 |
未入力 有教 (xxx)
春きてはわかなつみにといそけとも野さはの水は猶こほりけり
はるきては−わかなつみにと−いそけとも−のさはのみつは−なほこほりけり |
00177 |
未入力 師継 (xxx)
あし曳の山田の沢に雪消えてわかなつむへき時はきにけり
あしひきの−やまたのさはに−ゆききえて−わかなつむへき−ときはきにけり |
00178 |
未入力 定嗣 (xxx)
いさやこら雪消えぬらし足引の山さはゑくもつみてかへらん
いさやこら−ゆききえぬらし−あしひきの−やまさはゑくも−つみてかへらむ |
00179 |
未入力 成実 (xxx)
春といへは野沢の氷かつ消えてわかなつむへき時をしるかな
はるといへは−のさはのこほり−かつきえて−わかなつむへき−ときをしるかな |
00180 |
未入力 蓬性 (xxx)
国栖らかわかなつむへき時はきぬ野沢の草も下根さしつつ
くにすらか−わかなつむへき−ときはきぬ−のさはのくさも−したねさしつつ |
00181 |
未入力 顕氏 (xxx)
今朝みれは野さはの水のあさみとりゑくのわかなや下萌えぬらん
けさみれは−のさはのみつの−あさみとり−ゑくのわかなや−したもえぬらむ |
00182 |
未入力 寂能 (xxx)
若菜つむ野沢の原の忘水わすれすめくむ春の色かな
わかなつむ−のさはのはらの−わすれみつ−わすれすめくむ−はるのいろかな |
00183 |
未入力 為氏 (xxx)
里人は山沢水のうすこほりとけにし日より若菜つみつつ
さとひとは−やまさはみつの−うすこほり−とけにしひより−わかなつみつつ |
00184 |
未入力 真観 (xxx)
霜かれの沢へのち原ふみしたき春さりくれはわかなをそつむ
しもかれの−さはへのちはら−ふみしたき−はるさりくれは−わかなをそつむ |
00185 |
未入力 寂西 (xxx)
かたみもてさはへの水にみる影はつみかさねたるわかななりけり
かたみもて−さはへのみつに−みるかけは−つみかさねたる−わかななりけり |
00186 |
未入力 為継 (xxx)
今朝はみなわかなつみにとそともなる野沢の水に袖やぬるらん
けさはみな−わかなつみにと−そともなる−のさはのみつに−そてやぬるらむ |
00187 |
未入力 経朝 (xxx)
ききすなく沢のあさなもつま恋に跡ふみつくる春の霜かな
ききすなく−さはのあさなも−つまこひに−あとふみつくる−はるのしもかな |
00188 |
未入力 行家 (xxx)
けふとてもつむ人あらしかくれぬの入江の沢にもゆるわかなは
けふとても−つむひとあらし−かくれぬの−いりえのさはに−もゆるわかなは |
00189 |
未入力 成茂 (xxx)
沢水に身は老いらくの影みえて神のためにとわかなつみつつ
さはみつに−みはおいらくの−かけみえて−かみのためにと−わかなつみつつ |
00190 |
未入力 隆祐 (xxx)
あし曳の山沢水に袖ぬれぬやけ野はまたきわかなつむとて
あしひきの−やまさはみつに−そてぬれぬ−やけのはまたき−わかなつむとて |
00191 |
未入力 禅信 (xxx)
沢水の氷とけ行くひまことに袖ふりはへてわかなつみけり
さはみつの−こほりとけゆく−ひまことに−そてふりはへて−わかなつみけり |
00192 |
未入力 高倉 (xxx)
わかなつむ野さはの水の薄氷とくるにつけてぬるる袖かな
わかなつむ−のさはのみつの−うすこほり−とくるにつけて−ぬるるそてかな |
00193 |
未入力 按察 (xxx)
氷たにまたとけはてぬ沢水にあらふ若菜は流れやはする
こほりたに−またとけはてぬ−さはみつに−あらふわかなは−なかれやはする |
00194 |
未入力 帥 (xxx)
をとめこか沢へのわかなつむ時はうはものすそそほす隙もなき
をとめこか−さはへのわかな−つむときは−うはものすそそ−ほすひまもなき |
00195 |
未入力 小宰相 (xxx)
これのみそおのか春とて山かつの野さはのわかなつみにいつらん
これのみそ−おのかはるとて−やまかつの−のさはのわかな−つみにいつらむ |
00196 |
未入力 俊成女 (xxx)
たれとなく忍ふむかしの形見にもふるののさはにせりなをそつむ
たれとなく−しのふむかしの−かたみにも−ふるののさはに−せりなをそつむ |
00197 |
未入力 少将内侍 (xxx)
沢水に袖そぬれけるあはれわか野へのわかなにつみならひつつ
さはみつに−そてそぬれける−あはれわか−のへのわかなに−つみならひつつ |
00198 |
未入力 弁内侍 (xxx)
袖ぬらす野さはの水に影みれはひとりはつまぬわかななりけり
そてぬらす−のさはのみつに−かけみれは−ひとりはつまぬ−わかななりけり |
00199 |
未入力 但馬 (xxx)
君かため野沢のわかなとしをへていまいくちよの春かつむへき
きみかため−のさはのわかな−としをへて−いまいくちよの−はるかつむへき |
00200 |
未入力 下野 (xxx)
春をあさみ沢辺の氷とけぬまは袖もぬらさてわかなをそつむ
はるをあさみ−さはへのこほり−とけぬまは−そてもぬらさて−わかなをそつむ |
00201 |
未入力 御製 (xxx)
あし曳の山の嵐そ猶さむきむへきさらきと人もいふなり
あしひきの−やまのあらしそ−なほさむき−うへきさらきと−ひともいふなり |
00202 |
未入力 道助 (xxx)
ぬきをうすみ春の衣の白妙に雪なほ寒しきさらきの空
ぬきをうすみ−はるのころもの−しろたへに−ゆきなほさむし−きさらきのそら |
00203 |
未入力 実氏 (xxx)
春きてもなほさえまさる山里はこそとやいはむ峰の木からし
はるきても−なほさえまさる−やまさとは−こそとやいはむ−みねのこからし |
00204 |
未入力 基家 (xxx)
山川のいはねのひはら春かけて氷も霜もいくへさゆらん
やまかはの−いはねのひはら−はるかけて−こほりもしもも−いくへさゆらむ |
00205 |
未入力 家良 (xxx)
春日野の草葉もいまはもゆへきにまた朝霜のさゆる春かな
かすかのの−くさはもいまは−もゆへきに−またあさしもの−さゆるはるかな |
00206 |
未入力 基良 (xxx)
春きても霜おきまさるよもきふのくち葉か本はむへもさえけり
はるきても−しもおきまさる−よもきふの−くちはかもとは−うへもさえけり |
00207 |
未入力 降親 (xxx)
春きても日数はあさき薄氷またうちとけぬ風のおとかな
はるきても−ひかすはあさき−うすこほり−またうちとけぬ−かせのおとかな |
00208 |
未入力 為家 (xxx)
いまさらにしつかを山田打ちかへし雪けもよほす風のさむけさ
いまさらに−しつかをやまた−うちかへし−ゆきけもよほす−かせのさむけさ |
00209 |
未入力 公相 (xxx)
けふもなほ松の嵐の音さえてまたとけやらぬ雪のした水
けふもなほ−まつのあらしの−おとさえて−またとけやらぬ−ゆきのしたみつ |
00210 |
未入力 実雄 (xxx)
春ははや立ちにし空にさらに又雪けの雲のさゆるころかな
はるははや−たちにしそらに−さらにまた−ゆきけのくもの−さゆるころかな |
00211 |
未入力 信覚 (xxx)
日影まつかけひの氷とけやらて猶風寒し春のやまさと
ひかけまつ−かけひのこほり−とけやらて−なほかせさむし−はるのやまさと |
00212 |
未入力 為経 (xxx)
春の空いつまて冬の名残とて霞なからに猶もさゆらん
はるのそら−いつまてふゆの−なこりとて−かすみなからに−なほもさゆらむ |
00213 |
未入力 忠定 (xxx)
山のはに霞さそひしうす雲の雪けに帰るそらのさむけさ
やまのはに−かすみさそひし−うすくもの−ゆきけにかへる−そらのさむけさ |
00214 |
未入力 資季 (xxx)
ふりつみし深山の雪も消えにしに今更さむきねやのさ衣
ふりつみし−みやまのゆきも−きえにしに−いまさらさむき−ねやのさころも |
00215 |
未入力 頼氏 (xxx)
風さむみ又やむすはん立田河氷ひらくる波のはつはな
かせさむみ−またやむすはむ−たつたかは−こほりひらくる−なみのはつはな |
00216 |
未入力 有教 (xxx)
かせさえて霰なほふるま木のやはおとにもきかす春のけしきを
かせさえて−あられなほふる−まきのやは−おとにもきかす−はるのけしきを |
00217 |
未入力 師継 (xxx)
としくれし嵐も雪も猶さえて冬にかはらぬ春のそらかな
としくれし−あらしもゆきも−なほさえて−ふゆにかはらぬ−はるのそらかな |
00218 |
未入力 定嗣 (xxx)
冬のことさむくしあれはをの山にすみやく翁心たのしか
ふゆのこと−さむくしあれは−をのやまに−すみやくおきな−こころたのしか |
00219 |
未入力 成実 (xxx)
あら玉の春ともみえぬ梢かな猶風さゆるしからきのやま
あらたまの−はるともみえぬ−こすゑかな−なほかせさゆる−しからきのやま |
00220 |
未入力 蓮性 (xxx)
春といへと夜とこをさむき難波めかこやの蘆火も今もたくらし
はるといへと−よとこをさむき−なにはめか−こやのあしひも−いまもたくらし |
00221 |
未入力 顕氏 (xxx)
ことしたにまた空寒し久方の雲のいつくを春といはまし
ことしたに−またそらさむし−ひさかたの−くものいつくを−はるといはまし |
00222 |
未入力 寂能 (xxx)
いはこゆるこゑそすくなき玉島の河上さえて猶こほるらし
いはこゆる−こゑそすくなき−たましまの−かはかみさえて−なほこほるらし |
00223 |
未入力 為氏 (xxx)
たちわたる霞の衣きさらきの空ともいはすさゆる山かせ
たちわたる−かすみのころも−きさらきの−そらともいはす−さゆるやまかせ |
00224 |
未入力 真観 (xxx)
よしなくも冬になさけをかけられて我か衣手のいまたこほれる
よしなくも−ふゆになさけを−かけられて−わかころもての−いまたこほれる |
00225 |
未入力 寂西 (xxx)
としをこそ身にはとまると思ひしになにかさむさの冬にかはらぬ
としをこそ−みにはとまると−おもひしに−なにかさむさの−ふゆにかはらぬ |
00226 |
未入力 為継 (xxx)
むすひおく霜も氷もとけやらて春吹く風のかひやなからん
むすひおく−しももこほりも−とけやらて−はるふくかせの−かひやなからむ |
00227 |
未入力 経朝 (xxx)
朝日かけさすかに春の色なから雲は雪けにさゆる空かな
あさひかけ−さすかにはるの−いろなから−くもはゆきけに−さゆるそらかな |
00228 |
未入力 行家 (xxx)
をの山や春さへさゆるゆふこりに猶たきそふるま木のすみかま
をのやまや−はるさへさゆる−ゆふこりに−なほたきそふる−まきのすみかま |
00229 |
未入力 成茂 (xxx)
春きても我か袖なほもこほれるはふりにしとしの雪つもるかも
はるきても−わかそてなほも−こほれるは−ふりにしとしの−ゆきつもるかも |
00230 |
未入力 隆祐 (xxx)
きえ帰る霜よの空のあさほらけなほさりにこそ春はきにけれ
きえかへる−しもよのそらの−あさほらけ−なほさりにこそ−はるはきにけれ |
00231 |
未入力 禅信 (xxx)
けふりさへかすめる空の猶さえて春もたゆまぬをのの炭やき
けふりさへ−かすめるそらの−なほさえて−はるもたゆまぬ−をののすみやき |
00232 |
未入力 高倉 (xxx)
春くれとみ山は夜はの風さえて雪けの雲そ峰にたな引く
はるくれと−みやまはよはの−かせさえて−ゆきけのくもそ−みねにたなひく |
00233 |
未入力 按察 (xxx)
山風のさえのこりたるすみかをや春のいたらぬやとといはまし
やまかせの−さえのこりたる−すみかをや−はるのいたらぬ−やとといはまし |
00234 |
未入力 帥 (xxx)
いかなれはあらたまりぬる春たにも猶山かせのさえわたるらん
いかなれは−あらたまりぬる−はるたにも−なほやまかせの−さえわたるらむ |
00235 |
未入力 小宰相 (xxx)
かきくもりみそれも雪もふりませてさえくらしつる昨日けふかな
かきくもり−みそれもゆきも−ふりませて−さえくらしつる−きのふけふかな |
00236 |
未入力 俊成女 (xxx)
時しらぬみ山のいほの春の霜柴のあみとを猶むすひけり
ときしらぬ−みやまのいほの−はるのしも−しはのあみとを−なほむすひけり |
00237 |
未入力 少将内侍 (xxx)
山の井のあさきは春と思へはやあかすも水のなほこほるらん
やまのゐの−あさきははると−おもへはや−あかすもみつの−なほこほるらむ |
00238 |
未入力 弁内侍 (xxx)
のこれるをさらぬあたりのよひよひに思ひもすてぬ春のうつみ火
のこれるを−さらぬあたりの−よひよひに−おもひもすてぬ−はるのうつみひ |
00239 |
未入力 但馬 (xxx)
さえくれし雪けの雲の晴れやらて空にわかれぬ春の色かな
さえくれし−ゆきけのくもの−はれやらて−そらにわかれぬ−はるのいろかな |
00240 |
未入力 下野 (xxx)
いかに又雪けの雲に帰るらん春立つそらの色は見えしを
いかにまた−ゆきけのくもに−かへるらむ−はるたつそらの−いろはみえしを |
00241 |
未入力 御製 (xxx)
ことならは色をもみせよ梅の花かはかくれなきよはの春風
ことならは−いろをもみせよ−うめのはな−かはかくれなき−よはのはるかせ |
00242 |
未入力 道助 (xxx)
梅の花にほひの外はxxもなし空ももらさぬよもの春風
うめのはな−にほひのほかは−xxもなし−そらももらさぬ−よものはるかせ |
00243 |
未入力 実氏 (xxx)
たか里の梅の立枝を過きぬらん思ひのほかに匂ふはるかせ
たかさとの−うめのたちえを−すきぬらむ−おもひのほかに−にほふはるかせ |
00244 |
未入力 基家 (xxx)
梅かかもその木の本とわきかねぬ夜のまの風や吹きめくるらん
うめかかも−そのこのもとと−わきかねぬ−よのまのかせや−ふきめくるらむ |
00245 |
未入力 家良 (xxx)
むめの花さかりになれは白妙の袖さへにほふ春かせそふく
うめのはな−さかりになれは−しろたへの−そてさへにほふ−はるかせそふく |
00246 |
未入力 基良 (xxx)
あけは又ゆきてとふへき梅かかを夜のまもおくる窓の春風
あけはまた−ゆきてとふへき−うめかかを−よのまもおくる−まとのはるかせ |
00247 |
未入力 隆親 (xxx)
春風に匂をおくる梅かかの誰か袂にか又かよふらむ
はるかせに−にほひをおくる−うめかかの−たかたもとにか−またかよふらむ |
00248 |
未入力 為家 (xxx)
かすめともかくれぬ物はむめの花風にあまれる匂ひなりけり
かすめとも−かくれぬものは−うめのはな−かせにあまれる−にほひなりけり |
00249 |
未入力 公相 (xxx)
夢ならておとろく物は春風の枕ににほふ夜はの梅かえ
ゆめならて−おとろくものは−はるかせの−まくらににほふ−よはのうめかえ |
00250 |
未入力 実雄 (xxx)
行人をこてふににたり梅花さくや牆根ににほふ春風
ゆくひとを−こてふににたり−うめのはな−さくやかきねに−にほふはるかせ |
00251 |
未入力 信覚 (xxx)
吹きおくる梅のにほひにやすらはん木本つけよ春の山かせ
ふきおくる−うめのにほひに−やすらはむ−このもとつけよ−はるのやまかせ |
00252 |
未入力 為経 (xxx)
たか里をわきて尋ねむ梅花さなからにほふよもの春風
たかさとを−わきてたつねむ−うめのはな−さなからにほふ−よものはるかせ |
00253 |
未入力 忠定 (xxx)
梅かかを又たかために吹分けて袂にあまるはるの山かせ
うめかかを−またたかために−ふきわけて−たもとにあまる−はるのやまかせ |
00254 |
未入力 資季 (xxx)
梅かかのいたらぬ里もあらしかし吹きまふよはの風にまかせて
うめかかの−いたらぬさとも−あらしかし−ふきまふよはの−かせにまかせて |
00255 |
未入力 頼氏 (xxx)
さきにけりいまや匂をかすか山みかさののへの梅のした風
さきにけり−いまやにほひを−かすかやま−みかさののへの−うめのしたかせ |
00256 |
未入力 有教 (xxx)
吹きすくる風につけてや梅花にほひをとほく人のしるらん
ふきすくる−かせにつけてや−うめのはな−にほひをとほく−ひとのしるらむ |
00257 |
未入力 師継 (xxx)
立ちかくす霞の内の梅の花匂はしるく春風そふく
たちかくす−かすみのうちの−うめのはな−にほひはしるく−はるかせそふく |
00258 |
未入力 定嗣 (xxx)
我かやとに匂ひまきれは梅花よきてふけとは風もいとはし
わかやとに−にほひまきれは−うめのはな−よきてふけとは−かせもいとはし |
00259 |
未入力 成実 (xxx)
梅かえのにほふさかりに成りにけり花もてはやす春風そ吹く
うめかえの−にほふさかりに−なりにけり−はなもてはやす−はるかせそふく |
00260 |
未入力 蓮性 (xxx)
むめかえを根こめにさそふ風もかなよその匂はえこそあかれね
うめかえを−ねこめにさそふ−かせもかな−よそのにほひは−えこそあかれね |
00261 |
未入力 顕氏 (xxx)
吹きおくる風のたよりにしられけりをちのかきねににほふ梅かえ
ふきおくる−かせのたよりに−しられけり−をちのかきねに−にほふうめかえ |
00262 |
未入力 寂能 (xxx)
梅かかの空にみちぬる春のよはいつくか風のやとりなるらん
うめかかの−そらにみちぬる−はるのよは−いつくかかせの−やとりなるらむ |
00263 |
未入力 為氏 (xxx)
梅花しるへなくとも尋ねみん吹くかたにほふ風のたよりに
うめのはな−しるへなくとも−たつねみむ−ふくかたにほふ−かせのたよりに |
00264 |
未入力 真観 (xxx)
たえたえにかをれる梅のにほひかなよはの村風吹きにけらしも
たえたえに−かをれるうめの−にほひかな−よはのむらかせ−ふきにけらしも |
00265 |
未入力 寂西 (xxx)
見にもこぬ人をやねたく梅かかをありと吹きやる春の夕風
みにもこぬ−ひとをやねたく−うめかかを−ありとふきやる−はるのゆふかせ |
00266 |
未入力 為継 (xxx)
梅花あかぬ匂をいつかたにしらせかほなる風のふくらん
うめのはな−あかぬにほひを−いつかたに−しらせかほなる−かせのふくらむ |
00267 |
未入力 経朝 (xxx)
にほひあれはよるともわかすをられけり風をたよりのやとの梅かえ
にほひあれは−よるともわかす−をられけり−かせをたよりの−やとのうめかえ |
00268 |
未入力 行家 (xxx)
たをやめの花のま袖に吹きませて匂わかれぬ梅のした風
たをやめの−はなのまそてに−ふきませて−にほひわかれぬ−うめのしたかせ |
00269 |
未入力 成茂 (xxx)
軒はなるねこしの梅のさきしより花のかにのみ春風そ吹く
のきはなる−ねこしのうめの−さきしより−はなのかにのみ−はるかせそふく |
00270 |
未入力 隆祐 (xxx)
梅かかを我か袖まてはさそひきてよそになすきそ春の夕風
うめかかを−わかそてまては−さそひきて−よそになすきそ−はるのゆふかせ |
00271 |
未入力 禅信 (xxx)
梅花にほふ軒はもとはれけり風こそやとのしるへなりけれ
うめのはな−にほふのきはも−とはれけり−かせこそやとの−しるへなりけれ |
00272 |
未入力 高倉 (xxx)
むめのはな色こそやみはあやなけれにほふは風のしるへなりけり
うめのはな−いろこそやみは−あやなけれ−にほふはかせの−しるへなりけり |
00273 |
未入力 按察 (xxx)
さても猶色そゆかしき梅花かを吹きかくる風はあれとも
さてもなほ−いろそゆかしき−うめのはな−かをふきかくる−かせはあれとも |
00274 |
未入力 帥 (xxx)
色まかふおほろ月夜の梅花にほひはしるき春風そ吹く
いろまかふ−おほろつきよの−うめのはな−にほひはしるき−はるかせそふく |
00275 |
未入力 小宰相 (xxx)
梅花色をのこして吹く風はかこそあはれとおもひそめける
うめのはな−いろをのこして−ふくかせは−かこそあはれと−おもひそめける |
00276 |
未入力 俊成女 (xxx)
吹きすきてこれかとにほふ梅かかのそなたの風やむかしなるらん
ふきすきて−これかとにほふ−うめかかの−そなたのかせや−むかしなるらむ |
00277 |
未入力 少将内侍 (xxx)
梅花ありとそここに匂ひけるたもとにすくる春の夕かせ
うめのはな−ありとそここに−にほひける−たもとにすくる−はるのゆふかせ |
00278 |
未入力 弁内侍 (xxx)
梅かえの風のたよりのあやしきは風ににほひをつくるなりけり
うめかえの−かせのたよりの−あやしきは−かせににほひを−つくるなりけり |
00279 |
未入力 但馬 (xxx)
いまそみる風をしるへに尋ぬれは思はぬやとの梅の立枝を
いまそみる−かせをしるへに−たつぬれは−おもはぬやとの−うめのたちえを |
00280 |
未入力 下野 (xxx)
吹く風のにほひそ人にしらせける深山かくれの梅のさかりは
ふくかせの−にほひそひとに−しらせける−みやまかくれの−うめのさかりは |
00281 |
未入力 御製 (xxx)
玉桙の道ならなくにはるはるとよりてそみつる青柳の糸
たまほこの−みちならなくに−はるはると−よりてそみつる−あをやきのいと |
00282 |
未入力 道助 (xxx)
道のへや岸の柳の春風と老のちからといつれよわけむ
みちのへや−きしのやなきの−はるかせと−おいのちからと−いつれよわけむ |
00283 |
未入力 実氏 (xxx)
みちのへの一本柳ふしてなひきおきてみたるる春風そ吹く
みちのへの−ひともとやなき−ふしてなひき−おきてみたるる−はるかせそふく |
00284 |
未入力 基家 (xxx)
道の辺に染めてみたるる青柳のかみなひ山をけふやこえなん
みちのへに−そめてみたるる−あをやきの−かみなひやまを−けふやこえなむ |
00285 |
未入力 家良 (xxx)
たかせさす川そひ柳もえぬれはさをてやすらふ春の旅人
たかせさす−かはそひやなき−もえぬれは−さをてやすらふ−はるのたひひと |
00286 |
未入力 基良 (xxx)
打ちなひき春さりくれは道のへに染めてみたるる青柳の糸
うちなひき−はるさりくれは−みちのへに−そめてみたるる−あをやきのいと |
00287 |
未入力 隆親 (xxx)
過きやらて行ての契むすふともたかためなひく青柳のいと
すきやらて−ゆくてのちきり−むすふとも−たかためなひく−あをやきのいと |
00288 |
未入力 為家 (xxx)
浅緑まつ染めてけり青柳の陰ふむ道はいまた冬野に
あさみとり−まつそめてけり−あをやきの−かけふむみちは−いまたふゆのに |
00289 |
未入力 公相 (xxx)
すききつる淀のわたりはかすみつつ川そひ柳春風そふく
すききつる−よとのわたりは−かすみつつ−かはそひやなき−はるかせそふく |
00290 |
未入力 実雄 (xxx)
玉桙の道の行手によりかけてはなたの帯のなひく青柳
たまほこの−みちのゆくてに−よりかけて−はなたのおひの−なひくあをやき |
00291 |
未入力 信覚 (xxx)
青柳のかつらの里のふかみとりみちのたたちに春風そふく
あをやきの−かつらのさとの−ふかみとり−みちのたたちに−はるかせそふく |
00292 |
未入力 為経 (xxx)
立ちよりてみてこそゆかめ玉桙の行ききの道のあをやきの糸
たちよりて−みてこそゆかめ−たまほこの−ゆききのみちの−あをやきのいと |
00293 |
未入力 忠定 (xxx)
行くままにとをちの村の柳原たのめしやとも猶かすみつつ
ゆくままに−とをちのむらの−やなきはら−たのめしやとも−なほかすみつつ |
00294 |
未入力 責季 (xxx)
いそくともよりてやみまし棹姫の春のかつらの青柳の糸
いそくとも−よりてやみまし−さほひめの−はるのかつらの−あをやきのいと |
00295 |
未入力 頼氏 (xxx)
道のへの賀茂の河原の柳かけ春のゆききにたれならすらん
みちのへの−かものかはらの−やなきかけ−はるのゆききに−たれならすらむ |
00296 |
未入力 有教 (xxx)
玉桙の道のへ柳春くれは行きかふ人のかさしにそをる
たまほこの−みちのへやなき−はるくれは−ゆきかふひとの−かさしにそをる |
00297 |
未入力 師継 (xxx)
浅みとり染めかけしより玉柳をちかた人のかつらとそみる
あさみとり−そめかけしより−たまやなき−をちかたひとの−かつらとそみる |
00298 |
未入力 定嗣 (xxx)
道の辺にみたれてなひく青柳の木立もみえぬかけをふむかな
みちのへに−みたれてなひく−あをやきの−こたちもみえぬ−かけをふむかな |
00299 |
未入力 成実 (xxx)
青柳のいともてぬける玉桙の道行きくるる野へのしら雪
あをやきの−いともてぬける−たまほこの−みちゆきくるる−のへのしらゆき |
00300 |
未入力 遮性 (xxx)
青柳の花のかつらのなかき日にうちたえゆけと道そはるけき
あをやきの−はなのかつらの−なかきひに−うちたえゆけと−みちそはるけき |
00301 |
未入力 顕氏 (xxx)
行末の里のしるへの夕けふり色をまかへてなひく青柳
ゆくすゑの−さとのしるへの−ゆふけふり−いろをまかへて−なひくあをやき |
00302 |
未入力 寂能 (xxx)
道のへに柳のいとをそめさらしおるや錦の立ちそわつらふ
みちのへに−やなきのいとを−そめさらし−おるやにしきの−たちそわつらふ |
00303 |
未入力 為氏 (xxx)
道のへの川そひ柳いとはやも春くる色に打ちなひきつつ
みちのへの−かはそひやなき−いとはやも−はるくるいろに−うちなひきつつ |
00304 |
未入力 真観 (xxx)
さされふみはや行きてみむさほちなる川そひ柳もえ渡るらし
さされふみ−はやゆきてみむ−さほちなる−かはそひやなき−もえわたるらし |
00305 |
未入力 寂西 (xxx)
うちなひき行ての方やをしふらん道のさかひの青柳の糸
うちなひき−ゆくてのかたや−をしふらむ−みちのさかひの−あをやきのいと |
00306 |
未入力 為継 (xxx)
青柳のしつえのいとのまつはれてすきこそやらね春の山道
あをやきの−しつえのいとの−まつはれて−すきこそやらね−はるのやまみち |
00307 |
未入力 経朝 (xxx)
しるしらすしはしやすらふ旅人のゆききのをかになひく青柳
しるしらす−しはしやすらふ−たひひとの−ゆききのをかに−なひくあをやき |
00308 |
未入力 行家 (xxx)
打ちわたすこまひきとめて佐保川の岸の柳のなひく影みむ
うちわたす−こまひきとめて−さほかはの−きしのやなきの−なひくかけみむ |
00309 |
未入力 成茂 (xxx)
道のへに朽ちぬと思ひし古柳春日まちえてひこはえにけり
みちのへに−くちぬとおもひし−ふるやなき−はるひまちえて−ひこはえにけり |
00310 |
未入力 隆祐 (xxx)
川辺行くむかひの岸の柳原そかひに成りて遠さかりぬる
かはへゆく−むかひのきしの−やなきはら−そかひになりて−とほさかりぬる |
00311 |
未入力 禅信 (xxx)
駒とめてしはし水かふ河柳うつるもなひく影そみえける
こまとめて−しはしみつかふ−かはやなき−うつるもなひく−かけそみえける |
00312 |
未入力 高倉 (xxx)
風ふけは岸の青柳打ちなひき道さへたとる春の夕くれ
かせふけは−きしのあをやき−うちなひき−みちさへたとる−はるのゆふくれ |
00313 |
未入力 按察 (xxx)
長き日に春しきぬれはおほのちにしけくもみゆる柳かけかな
なかきひに−はるしきぬれは−おほのちに−しけくもみゆる−やなきかけかな |
00314 |
未入力 帥 (xxx)
道のへの河そひ柳春くれは行きかふ人の袖にかけつつ
みちのへの−かはそひやなき−はるくれは−ゆきかふひとの−そてにかけつつ |
00315 |
未入力 小宰相 (xxx)
棹姫の手そめの糸の青柳を道のゆききに春をへてみる
さほひめの−てそめのいとの−あをやきを−みちのゆききに−はるをへてみる |
00316 |
未入力 俊成女 (xxx)
なひくともゆくてにかけてたよりにもくる人そなき青柳の糸
なひくとも−ゆくてにかけて−たよりにも−くるひとそなき−あをやきのいと |
00317 |
未入力 少将内侍 (xxx)
山陰の木のしたすきて行く道にしはしかたよれ青柳のいと
やまかけの−このしたすきて−ゆくみちに−しはしかたよれ−あをやきのいと |
00318 |
未入力 弁内侍 (xxx)
玉桙の道の行ききにくる人のうたてもなひく青柳のいと
たまほこの−みちのゆききに−くるひとの−うたてもなひく−あをやきのいと |
00319 |
未入力 但馬 (xxx)
我のみやむもれはてなむ道のへの朽木の柳春はわすれす
われのみや−うもれはてなむ−みちのへの−くちきのやなき−はるはわすれす |
00320 |
未入力 下野 (xxx)
くりかへしあかぬ心そとまりける行てにみつる青柳のいと
くりかへし−あかぬこころそ−とまりける−ゆくてにみつる−あをやきのいと |
00321 |
未入力 御製 (xxx)
なかしとは名にこそたてれ春雨のふりつるなへにけふもくれつつ
なかしとは−なにこそたてれ−はるさめの−ふりつるなへに−けふもくれつつ |
00322 |
未入力 道助 (xxx)
立ちぬるる花のしつくかしら玉のをやみたにせす春雨そふる
たちぬるる−はなのしつくか−しらたまの−をやみたにせす−はるさめそふる |
00323 |
未入力 実氏 (xxx)
とははやな心よいかにともすれはなかめられぬる春雨のそら
とははやな−こころよいかに−ともすれは−なかめられぬる−はるさめのそら |
00324 |
未入力 基家 (xxx)
しつのをかかへすあら田のうき土に道ふみかぬる春雨の比
しつのをか−かへすあらたの−うきつちに−みちふみかぬる−はるさめのころ |
00325 |
未入力 家良 (xxx)
いたつらにふりぬと思ひし春雨のめくみあまねき御代にあひつつ
いたつらに−ふりぬとおもひし−はるさめの−めくみあまねき−みよにあひつつ |
00326 |
未入力 基良 (xxx)
春雨のあまねき御代のめくみとはたのむものからぬるる袖かな
はるさめの−あまねきみよの−めくみとは−たのむものから−ぬるるそてかな |
00327 |
未入力 隆親 (xxx)
里わかぬうるほひ四方にあふくかな君かめくみの春雨の空
さとわかぬ−うるほひよもに−あふくかな−きみかめくみの−はるさめのそら |
00328 |
未入力 為家 (xxx)
をちこちもわかすや雨にうるふらんあまねき君か春のめくみは
をちこちも−わかすやあめに−うるふらむ−あまねききみか−はるのめくみは |
00329 |
未入力 公相 (xxx)
あまの原へたててふかき霞よりいかにもりてか春雨のふる
あまのはら−へたててふかき−かすみより−いかにもりてか−はるさめのふる |
00330 |
未入力 実雄 (xxx)
みな人も君かめくみをたのむらんこのめは春の雨そそくなり
みなひとも−きみかめくみを−たのむらむ−このめははるの−あめそそくなり |
00331 |
未入力 信覚 (xxx)
春の雨のふりにし御代に帰りきて身の霜かれを哀とはみよ
はるのあめの−ふりにしみよに−かへりきて−みのしもかれを−あはれとはみよ |
00332 |
未入力 為経 (xxx)
浅緑そむるもしるく我かせこか衣春雨いまふりぬなり
あさみとり−そむるもしるく−わかせこか−ころもはるさめ−いまふりぬなり |
00333 |
未入力 忠定 (xxx)
一しほをそめてふりける春雨も色こそみえね松のした露
ひとしほを−そめてふりける−はるさめも−いろこそみえね−まつのしたつゆ |
00334 |
未入力 資季 (xxx)
時雨には色もかはらぬ松かえに緑をそへて春雨そふる
しくれには−いろもかはらぬ−まつかえに−みとりをそへて−はるさめそふる |
00335 |
未入力 頼氏 (xxx)
くるとあくといくかもしらぬ春雨にすけのをかさのいとまなき比
くるとあくと−いくかもしらぬ−はるさめに−すけのをかさの−いとまなきころ |
00336 |
未入力 有教 (xxx)
おしなへてよもの山への草木まてめくみあまねき春雨そ降る
おしなへて−よものやまへの−くさきまて−めくみあまねき−はるさめそふる |
00337 |
未入力 師継 (xxx)
かきくもり雨はふりきぬ鴬の梅の花かさわれにかさなん
かきくもり−あめはふりきぬ−うくひすの−うめのはなかさ−われにかさなむ |
00338 |
未入力 定嗣 (xxx)
春雨のめくみあまねき君か代に跡を尋ねてふるかひそある
はるさめの−めくみあまねき−きみかよに−あとをたつねて−ふるかひそある |
00339 |
未入力 成実 (xxx)
もらすなよあまねき御代の春雨のふりぬる身にも哀かけつつ
もらすなよ−あまねきみよの−はるさめの−ふりぬるみにも−あはれかけつつ |
00340 |
未入力 蓮性 (xxx)
こほりせし山のたるみの音たてていま春雨も岩たたくなる
こほりせし−やまのたるみの−おとたてて−いまはるさめも−いはたたくなる |
00341 |
未入力 顕氏 (xxx)
春雨のふるののをささ年をへてかはらすなから猶そ色こき
はるさめの−ふるののをささ−としをへて−かはらすなから−なほそいろこき |
00342 |
未入力 寂能 (xxx)
たらちねのをやます雨のふることはこのめもはるの色に出てつつ
たらちねの−をやますあめの−ふることは−このめもはるの−いろにいてつつ |
00343 |
未入力 為氏 (xxx)
浅緑このめ春雨ふるなへにかれふのをのそ色まさり行く
あさみとり−このめはるさめ−ふるなへに−かれふのをのそ−いろまさりゆく |
00344 |
未入力 真観 (xxx)
あひにあふ野への草木の気色まてたたにはみえぬ春の雨かな
あひにあふ−のへのくさきの−けしきまて−たたにはみえぬ−はるのあめかな |
00345 |
未入力 寂西 (xxx)
やとからの身のつれつれの雨により春日もことにくらしかねつつ
やとからの−みのつれつれの−あめにより−はるひもことに−くらしかねつつ |
00346 |
未入力 為継 (xxx)
山陰に花まつほとのさひしさのなかめをそへて春雨そふる
やまかけに−はなまつほとの−さひしさの−なかめをそへて−はるさめそふる |
00347 |
未入力 経朝 (xxx)
野も山もかはるけしきの浅緑いま一しほのはるさめそふる
のもやまも−かはるけしきの−あさみとり−いまひとしほの−はるさめそふる |
00348 |
未入力 行家 (xxx)
かくしてや花もにほはむ昨日けふ春雨ふりぬたかまとの山
かくしてや−はなもにほはむ−きのふけふ−はるさめふりぬ−たかまとのやま |
00349 |
未入力 成茂 (xxx)
草も木もあらたまれとも春雨に我か身一そふりまさりける
くさもきも−あらたまれとも−はるさめに−わかみひとつそ−ふりまさりける |
00350 |
未入力 隆祐 (xxx)
ぬれてたに御代のめくみにもれしとてをかさもとらぬ春雨の空
ぬれてたに−みよのめくみに−もれしとて−をかさもとらぬ−はるさめのそら |
00351 |
未入力 禅信 (xxx)
春雨のふるの神杉いかにしてかはらぬ色にそめはしめけん
はるさめの−ふるのかみすき−いかにして−かはらぬいろに−そめはしめけむ |
00352 |
未入力 高倉 (xxx)
つくつくとくもるもなかき春の日の身をしるあめそ晴間たになき
つくつくと−くもるもなかき−はるのひの−みをしるあめそ−はれまたになき |
00353 |
未入力 按察 (xxx)
春の雨いつらは色もみえなくに野へをみとりにいかてそむらん
はるのあめ−いつらはいろも−みえなくに−のへをみとりに−いかてそむらむ |
00354 |
未入力 帥 (xxx)
いととしくくらしかねたるこの比のなかなかしけに春雨そふる
いととしく−くらしかねたる−このころの−なかなかしけに−はるさめそふる |
00355 |
未入力 小宰相 (xxx)
おきもせすねもせぬよはの名残かは雨ふりくらすけふのなかめは
おきもせす−ねもせぬよはの−なこりかは−あめふりくらす−けふのなかめは |
00356 |
未入力 俊成女 (xxx)
袖にさへふる春雨のもるやとは忍草おふる露やおくらん
そてにさへ−ふるはるさめの−もるやとは−しのふくさおふる−つゆやおくらむ |
00357 |
未入力 少将内侍 (xxx)
けふも又ふりやくらさむ片岡のあしたの原の春雨の空
けふもまた−ふりやくらさむ−かたをかの−あしたのはらの−はるさめのそら |
00358 |
未入力 弁内侍 (xxx)
さもこそはこのめも春の雨ならめ板間をもると袖やぬれなん
さもこそは−このめもはるの−あめならめ−いたまをもると−そてやぬれなむ |
00359 |
未入力 但馬 (xxx)
春雨のふるの神杉たちよれとかけもかひなくぬるる袖かな
はるさめの−ふるのかみすき−たちよれと−かけもかひなく−ぬるるそてかな |
00360 |
未入力 下野 (xxx)
のとかなる御代のしるしをみせかほに四方の草木もめくむ春雨
のとかなる−みよのしるしを−みせかほに−よものくさきも−めくむはるさめ |
00361 |
未入力 御製 (xxx)
あかねさす紫野にも名のみしておなし緑の春のわかくさ
あかねさす−むらさきのにも−なのみして−おなしみとりの−はるのわかくさ |
00362 |
未入力 道助 (xxx)
時しあれはかはるなかめそうつり行くこそのかれ葉も野への若草
ときしあれは−かはるなかめそ−うつりゆく−こそのかれはも−のへのわかくさ |
00363 |
未入力 実氏 (xxx)
春日野にまたうらわかきさいたつまつまこもるともいふ人やなき
かすかのに−またうらわかき−さいたつま−つまこもるとも−いふひとやなき |
00364 |
未入力 基家 (xxx)
嶺にのみけふりはあをしふしの山すそのももゆる春のわか草
みねにのみ−けふりはあをし−ふしのやま−すそのももゆる−はるのわかくさ |
00365 |
未入力 家良 (xxx)
もえそめていくかもあらぬ初草のあさ野の原はききす鳴くなり
もえそめて−いくかもあらぬ−はつくさの−あさののはらは−ききすなくなり |
00366 |
未入力 基良 (xxx)
武蔵野にはる待ちえたる若草の行末とほきあさみとりかな
むさしのに−はるまちえたる−わかくさの−ゆくすゑとほき−あさみとりかな |
00367 |
未入力 隆親 (xxx)
みわたせはむら消えわたる雪間より下もえにける野への若草
みわたせは−むらきえわたる−ゆきまより−したもえにける−のへのわかくさ |
00368 |
未入力 為家 (xxx)
春くれはあらたまり行くわか草にいつくふるのの名かのこるへき
はるくれは−あらたまりゆく−わかくさに−いつくふるのの−なかのこるへき |
00369 |
未入力 公相 (xxx)
春くれは荻のやけ原跡とめて又もえいつる野へのわか草
はるくれは−をきのやけはら−あととめて−またもえいつる−のへのわかくさ |
00370 |
未入力 実雄 (xxx)
唐衣すそ野の草のうらわかみ春しきぬれは浅緑なり
からころも−すそののくさの−うらわかみ−はるしきぬれは−あさみとりなり |
00371 |
未入力 信覚 (xxx)
春日野やかれ葉にましる若草のつまもこもらぬ春のあさ明
かすかのや−かれはにましる−わかくさの−つまもこもらぬ−はるのあさあけ |
00372 |
未入力 為経 (xxx)
日影さすかきほの雪のむら消にまつもえいつる春のわか草
ひかけさす−かきほのゆきの−むらきえに−まつもえいつる−はるのわかくさ |
00373 |
未入力 忠定 (xxx)
冬かれものこる雪まの浅みとりややみえそむる野への若草
ふゆかれも−のこるゆきまの−あさみとり−ややみえそむる−のへのわかくさ |
00374 |
未入力 資季 (xxx)
ふみ分けて荻のやけ原いつしかと下もえわたる野へのわか草
ふみわけて−をきのやけはら−いつしかと−したもえわたる−のへのわかくさ |
00375 |
未入力 頼氏 (xxx)
焼きすてし跡ともみえす春草の緑そとほきむさしのの原
やきすてし−あとともみえす−はるくさの−みとりそとほき−むさしののはら |
00376 |
未入力 有教 (xxx)
野へは猶またわか草の浅緑雪間をわけて春はきにけり
のへはなほ−またわかくさの−あさみとり−ゆきまをわけて−はるはきにけり |
00377 |
未入力 師継 (xxx)
霜かれの草はみなからもえにけり春のひかりのやふしわかねは
しもかれの−くさはみなから−もえにけり−はるのひかりの−やふしわかねは |
00378 |
未入力 定嗣 (xxx)
みむろ山この目も春に成りぬれはまつ下草そ浅みとりなる
みむろやま−このめもはるに−なりぬれは−まつしたくさそ−あさみとりなる |
00379 |
未入力 成実 (xxx)
冬かれの霜の下草わかたちに春青葉なる野への色かな
ふゆかれの−しものしたくさ−わかたちに−はるあをはなる−のへのいろかな |
00380 |
未入力 蓮性 (xxx)
日をへては緑そまさるたまさかにきさすと見えしのへの初草
ひをへては−みとりそまさる−たまさかに−きさすとみえし−のへのはつくさ |
00381 |
未入力 顕氏 (xxx)
若葉さすかきほの草の浅緑またふかからぬ春の色かな
わかはさす−かきほのくさの−あさみとり−またふかからぬ−はるのいろかな |
00382 |
未入力 寂能 (xxx)
あしつののおひ出てそめしそのかみに草葉みなから春を知りける
あしつのの−おひいてそめし−そのかみに−くさはみなから−はるをしりける |
00383 |
未入力 為氏 (xxx)
春日野のをのの冬草したもえてひとつ緑に成りにけるかな
かすかのの−をののふゆくさ−したもえて−ひとつみとりに−なりにけるかな |
00384 |
未入力 真観 (xxx)
みよしののやけふをみれはいとはやもにひ草もえて浅みとりなり
みよしのの−やけふをみれは−いとはやも−にひくさもえて−あさみとりなり |
00385 |
未入力 寂西 (xxx)
春のきてまた草たちに成りにけり見しはふるねの荻の焼原
はるのきて−またくさたちに−なりにけり−みしはふるねの−をきのやけはら |
00386 |
未入力 為継 (xxx)
みわたせは一みとりの草わかみそれともわかぬ野への色かな
みわたせは−ひとつみとりの−くさわかみ−それともわかぬ−のへのいろかな |
00387 |
未入力 経朝 (xxx)
ひはりたつやけのにもゆる若草に四方のめくみもしるき春かな
ひはりたつ−やけのにもゆる−わかくさに−よものめくみも−しるきはるかな |
00388 |
未入力 行家 (xxx)
霜かれのすくろの薄もえ出てて粟津のをのは浅みとりなり
しもかれの−すくろのすすき−もえいてて−あはつのをのは−あさみとりなり |
00389 |
未入力 成茂 (xxx)
霜おける老木のかけのこ草まて春のめくみにもらさすもかな
しもおける−おいきのかけの−こくさまて−はるのめくみに−もらさすもかな |
00390 |
未入力 隆祐 (xxx)
ふみわけむ跡こそ猶もいとはるれ雪より後の春のわか草
ふみわけむ−あとこそなほも−いとはるれ−ゆきよりのちの−はるのわかくさ |
00391 |
未入力 禅信 (xxx)
はし鷹のかりはのをのの草わかみかくれもやらてききす鳴くなり
はしたかの−かりはのをのの−くさわかみ−かくれもやらて−ききすなくなり |
00392 |
未入力 高倉 (xxx)
かつきゆる雪の下水露おきて春きにけりとしける若草
かつきゆる−ゆきのしたみつ−つゆおきて−はるきにけりと−しけるわかくさ |
00393 |
未入力 按察 (xxx)
山かけの草葉みなからもえやらて宮こにみゆる春の色かな
やまかけの−くさはみなから−もえやらて−みやこにみゆる−はるのいろかな |
00394 |
未入力 帥 (xxx)
やきすてし山のすそのの草の葉も春にしあへはもえてけるかな
やきすてし−やまのすそのの−くさのはも−はるにしあへは−もえてけるかな |
00395 |
未入力 小宰相 (xxx)
初草のそれともみえぬ末葉よりやかてもぬるる春の朝露
はつくさの−それともみえぬ−すゑはより−やかてもぬるる−はるのあさつゆ |
00396 |
未入力 俊成女 (xxx)
おのつから見えし雪間の緑まていま一しほの春の若草
おのつから−みえしゆきまの−みとりまて−いまひとしほの−はるのわかくさ |
00397 |
未入力 少将内侍 (xxx)
野へはみなまたあさちふの下もえに春の日数の程もみえけり
のへはみな−またあさちふの−したもえに−はるのひかすの−ほともみえけり |
00398 |
未入力 弁内侍 (xxx)
庭もせに緑はかりの下もえはなにの草ともわかれさりけり
にはもせに−みとりはかりの−したもえは−なにのくさとも−わかれさりけり |
00399 |
未入力 但馬 (xxx)
おしなへておなし緑の春の色に空もひとつの野への若草
おしなへて−おなしみとりの−はるのいろに−そらもひとつの−のへのわかくさ |
00400 |
未入力 下野 (xxx)
もえいつるわか葉の薄ほりわけて又うゑかへむこそのふるあと
もえいつる−わかはのすすき−ほりわけて−またうゑかへむ−こそのふるあと |
00401 |
未入力 御製 (xxx)
いつはとは影はわかねと夜はの月かすめは春の物にそ有りける
いつはとは−かけはわかねと−よはのつき−かすめははるの−ものにそありける |
00402 |
未入力 道助 (xxx)
煙立つおほろ月夜のかなしさも春のうみへに塩かまの浦
けふりたつ−おほろつきよの−かなしさも−はるのうみへに−しほかまのうら |
00403 |
未入力 実氏 (xxx)
をしむへき雲のいつくの影もみすかすみてあくる春のよの月
をしむへき−くものいつくの−かけもみす−かすみてあくる−はるのよのつき |
00404 |
未入力 基家 (xxx)
なかめきて年にそへたる哀とも身にしられぬる春の夜の月
なかめきて−としにそへたる−あはれとも−みにしられぬる−はるのよのつき |
00405 |
未入力 家良 (xxx)
春の夜はかすみかすますわかねともおほろにいつる山のはの月
はるのよは−かすみかすます−わかねとも−おほろにいつる−やまのはのつき |
00406 |
未入力 基良 (xxx)
大方はつもるなかめの老よりや春もおほろの月とみゆらん
おほかたは−つもるなかめの−おいよりや−はるもおほろの−つきとみゆらむ |
00407 |
未入力 隆親 (xxx)
塩かまのけふりや空にたゆむらん薄雲はるる春の夜の月
しほかまの−けふりやそらに−たゆむらむ−うすくもはるる−はるのよのつき |
00408 |
未入力 為家 (xxx)
かすむよの月のかつらも木間より光を花とうつろひにけり
かすむよの−つきのかつらも−このまより−ひかりをはなと−うつろひにけり |
00409 |
未入力 公相 (xxx)
おほろ夜の名にこそたてれ山のはの霞のほかにいつる月影
おほろよの−なにこそたてれ−やまのはの−かすみのほかに−いつるつきかけ |
00410 |
未入力 実雄 (xxx)
なかむれはこぬ人またる春のよの月こそうたて空たのめなれ
なかむれは−こぬひとまたる−はるのよの−つきこそうたて−そらたのめなれ |
00411 |
未入力 信覚 (xxx)
しほたるる昔の春を思ひ出てて心よりみるおほろ月よそ
しほたるる−むかしのはるを−おもひいてて−こころよりみる−おほろつきよそ |
00412 |
未入力 為経 (xxx)
大方にかはらぬ月の影も猶春のならひとかすむ空かな
おほかたに−かはらぬつきの−かけもなほ−はるのならひと−かすむそらかな |
00413 |
未入力 忠定 (xxx)
いかにして春のひかりもしらぬ身にかすめる月の袖にみゆらん
いかにして−はるのひかりも−しらぬみに−かすめるつきの−そてにみゆらむ |
00414 |
未入力 資季 (xxx)
夜はの月かすむとまてはなき空も春はなにゆゑおほろなるらん
よはのつき−かすむとまては−なきそらも−はるはなにゆゑ−おほろなるらむ |
00415 |
未入力 頼氏 (xxx)
春のよのおほろのし水きてみれは月もたよりの影そうつろふ
はるのよの−おほろのしみつ−きてみれは−つきもたよりの−かけそうつろふ |
00416 |
未入力 有教 (xxx)
忘れすよ人やわすれむ契りおきし春や昔の春のよの月
わすれすよ−ひとやわすれむ−ちきりおきし−はるやむかしの−はるのよのつき |
00417 |
未入力 師継 (xxx)
はれくもる一かたならすかすみつつ空にそしるき春の夜の月
はれくもる−ひとかたならす−かすみつつ−そらにそしるき−はるのよのつき |
00418 |
未入力 定嗣 (xxx)
春霞たなひく山もくらからす出ててみせたる夜はの月かな
はるかすみ−たなひくやまも−くらからす−いててみせたる−よはのつきかな |
00419 |
未入力 成実 (xxx)
梅かえの花にうつろふ久方の月のかつらもにほふはるかせ
うめかえの−はなにうつろふ−ひさかたの−つきのかつらも−にほふはるかせ |
00420 |
未入力 蓮性 (xxx)
かすみしく空とないひそこれは又春の時しるおほろ月よそ
かすみしく−そらとないひそ−これはまた−はるのときしる−おほろつきよそ |
00421 |
未入力 顕氏 (xxx)
村雲をなにかはいとふ夜はの月かすめる空は絶またになし
むらくもを−なにかはいとふ−よはのつき−かすめるそらは−たえまたになし |
00422 |
未入力 寂能 (xxx)
山のははむら雲かすむ春の空月はいつくのほとを出つらん
やまのはは−むらくもかすむ−はるのそら−つきはいつくの−ほとをいつらむ |
00423 |
未入力 為氏 (xxx)
久方のおなしそらにはみゆれともかすみてかはる春の月影
ひさかたの−おなしそらには−みゆれとも−かすみてかはる−はるのつきかけ |
00424 |
未入力 真観 (xxx)
はるかさてやみにし身をそ思ひしるかすめる月のよはの哀に
はるかさて−やみにしみをそ−おもひしる−かすめるつきの−よはのあはれに |
00425 |
未入力 寂西 (xxx)
かすむ夜の月そと思へと忘れてはさやけからぬそつらさなりける
かすむよの−つきそとおもへと−わすれては−さやけからぬそ−つらさなりける |
00426 |
未入力 為継 (xxx)
夕霞はれぬならひとみゆるよりおほろにいつる山のはの月
ゆふかすみ−はれぬならひと−みゆるより−おほろにいつる−やまのはのつき |
00427 |
未入力 経朝 (xxx)
ますかかみみるめの浦やくもるらん霞そうすき春の夜の月
ますかかみ−みるめのうらや−くもるらむ−かすみそうすき−はるのよのつき |
00428 |
未入力 行家 (xxx)
ときつ風霞吹きとけあまの原すむらんままの月のかけみむ
ときつかせ−かすみふきとけ−あまのはら−すむらむままの−つきのかけみむ |
00429 |
未入力 成茂 (xxx)
おほろさは春のならひの月をさへ老のとかくとうらみつるかな
おほろさは−はるのならひの−つきをさへ−おいのとかくと−うらみつるかな |
00430 |
未入力 隆祐 (xxx)
春のよの霞ににほふひかりにもくもらてふくる月はみえけり
はるのよの−かすみににほふ−ひかりにも−くもらてふくる−つきはみえけり |
00431 |
未入力 禅信 (xxx)
月かけにむかしの春を思出てて我か身一とたれなかむらん
つきかけに−むかしのはるを−おもひいてて−わかみひとつと−たれなかむらむ |
00432 |
未入力 高倉 (xxx)
思ひいつる春は昔の月なからわか身ひとつそうきにかはれる
おもひいつる−はるはむかしの−つきなから−わかみひとつそ−うきにかはれる |
00433 |
未入力 按察 (xxx)
涙にそくもりははつる春の空おほろ月夜もよそにへたてて
なみたにそ−くもりははつる−はるのそら−おほろつきよも−よそにへたてて |
00434 |
未入力 帥 (xxx)
いとと又霞もふかきみ山よりほのかにいつる春の夜の月
いととまた−かすみもふかき−みやまより−ほのかにいつる−はるのよのつき |
00435 |
未入力 小宰相 (xxx)
かすむよの木間もりくる影よりそ月に哀をそへてみるらん
かすむよの−このまもりくる−かけよりそ−つきにあはれを−そへてみるらむ |
00436 |
未入力 俊成女 (xxx)
なかむれと我か身一のあらぬよに昔ににたる春のよの月
なかむれと−わかみひとつの−あらぬよに−むかしににたる−はるのよのつき |
00437 |
未入力 少将内侍 (xxx)
くもるとはみえぬものから久方の空にかすめる春の夜の月
くもるとは−みえぬものから−ひさかたの−そらにかすめる−はるのよのつき |
00438 |
未入力 弁内侍 (xxx)
うちたえていつを霞の絶まともみえぬよころの月の影かな
うちたえて−いつをかすみの−たえまとも−みえぬよころの−つきのかけかな |
00439 |
未入力 但馬 (xxx)
すみわひぬ問ふ人あれな月影のおほろけならぬ宿のさひしさ
すみわひぬ−とふひとあれな−つきかけの−おほろけならぬ−やとのさひしさ |
00440 |
未入力 下野 (xxx)
ふかきよの哀もそらにしられけりおほろにかすむ春の月影
ふかきよの−あはれもそらに−しられけり−おほろにかすむ−はるのつきかけ |
00441 |
未入力 御製 (xxx)
なにゆゑにいさなはれつつ雁かねの行きては帰るならひなるらん
なにゆゑに−いさなはれつつ−かりかねの−ゆきてはかへる−ならひなるらむ |
00442 |
未入力 道助 (xxx)
あけわたると山の末の横雲にはねうちかはしかへるかりかね
あけわたる−とやまのすゑの−よこくもに−はねうちかはし−かへるかりかね |
00443 |
未入力 実氏 (xxx)
たかためにこし雁かねときかねとも帰るはつらき春のわかれち
たかために−こしかりかねと−きかねとも−かへるはつらき−はるのわかれち |
00444 |
未入力 基家 (xxx)
うす衣かけほす山の雲まよりたな引く雁や春の下帯
うすころも−かけほすやまの−くもまより−たなひくかりや−はるのしたおひ |
00445 |
未入力 家良 (xxx)
立ちかへる雲の衣をかさねても猶うらめしき春のかりかね
たちかへる−くものころもを−かさねても−なほうらめしき−はるのかりかね |
00446 |
未入力 基良 (xxx)
しののめの霞の衣きぬきぬに立ちわかれてやかへるかりかね
しののめの−かすみのころも−きぬきぬに−たちわかれてや−かへるかりかね |
00447 |
未入力 隆親 (xxx)
秋風に霧とひわけし雁かねの霞にかへる春はきにけり
あきかせに−きりとひわけし−かりかねの−かすみにかへる−はるはきにけり |
00448 |
未入力 為家 (xxx)
あきかせにさこそ名残はをしみけめこしちしられて帰る雁金
あきかせに−さこそなこりは−をしみけめ−こしちしられて−かへるかりかね |
00449 |
未入力 公相 (xxx)
くれゆかはいつくとまりと白雲にはねうちかはしかへるかりかね
くれゆかは−いつくとまりと−しらくもに−はねうちかはし−かへるかりかね |
00450 |
未入力 実雄 (xxx)
帰る山おのかこしちにありといへはさそやとまらぬ春のかり金
かへるやま−おのかこしちに−ありといへは−さそやとまらぬ−はるのかりかね |
00451 |
未入力 信覚 (xxx)
かへる雁おのかわかれはしらねとも遠さかり行く声そかなしき
かへるかり−おのかわかれは−しらねとも−とほさかりゆく−こゑそかなしき |
00452 |
未入力 為経 (xxx)
あらたまる年にやならふ雁かねの春くることに立ちかへるらん
あらたまる−としにやならふ−かりかねの−はるくることに−たちかへるらむ |
00453 |
未入力 忠定 (xxx)
はるはると霞をわけてみこしちや雪ふる山に帰るかりかね
はるはると−かすみをわけて−みこしちや−ゆきふるやまに−かへるかりかね |
00454 |
未入力 資季 (xxx)
帰る山おのかためとやいひおきしなれてとまらぬ春のかりかね
かへるやま−おのかためとや−いひおきし−なれてとまらぬ−はるのかりかね |
00455 |
未入力 頼氏 (xxx)
山風にそら行く雲も坂こえてあへの田面に帰るかりかね
やまかせに−そらゆくくもも−さかこえて−あへのたのもに−かへるかりかね |
00456 |
未入力 有教 (xxx)
都をは霞とともにかへるかりこしちは春やたちまさるらん
みやこをは−かすみとともに−かへるかり−こしちははるや−たちまさるらむ |
00457 |
未入力 師継 (xxx)
はるかすみ猶たちかくせ帰る山こえ行く雁の道まとふかに
はるかすみ−なほたちかくせ−かへるやま−こえゆくかりの−みちまとふかに |
00458 |
未入力 定嗣 (xxx)
あまの原道とほみかもかすみつつ古郷をしもかへるかり金
あまのはら−みちとほみかも−かすみつつ−ふるさとをしも−かへるかりかね |
00459 |
未入力 成実 (xxx)
帰る雁あけ行くそらはかすみつつみねにわかるる春の白雲
かへるかり−あけゆくそらは−かすみつつ−みねにわかるる−はるのしらくも |
00460 |
未入力 蓮性 (xxx)
たひの空かりのは衣立ちかへりまた故郷の春いそくらし
たひのそら−かりのはころも−たちかへり−またふるさとの−はるいそくらし |
00461 |
未入力 顕氏 (xxx)
さく花に思ひつく身もあるものをよそに見すてて帰るかり金
さくはなに−おもひつくみも−あるものを−よそにみすてて−かへるかりかね |
00462 |
未入力 寂能 (xxx)
あけほのはいつくの山も春そかし宮このほかに帰るかりかね
あけほのは−いつくのやまも−はるそかし−みやこのほかに−かへるかりかね |
00463 |
未入力 為氏 (xxx)
帰るさを何いそくらん人やりの道ならなくにはるのかり金
かへるさを−なにいそくらむ−ひとやりの−みちならなくに−はるのかりかね |
00464 |
未入力 真観 (xxx)
のとかなる雲井の雁のわきていま北にむかふはよそいのるらん
のとかなる−くもゐのかりの−わきていま−きたにむかふは−よそいのるらむ |
00465 |
未入力 寂西 (xxx)
いくつらにはや成りぬらん今はとて帰りたちぬる春のかりかね
いくつらに−はやなりぬらむ−いまはとて−かへりたちぬる−はるのかりかね |
00466 |
未入力 為継 (xxx)
とほさかる程は雲井の春のかりいまはこしちの空に鳴くなる
とほさかる−ほとはくもゐの−はるのかり−いまはこしちの−そらになくなる |
00467 |
未入力 経朝 (xxx)
しるへなき八重のしほちの舟人は帰るかりにや北をわくらん
しるへなき−やへのしほちの−ふなひとは−かへるかりにや−きたをわくらむ |
00468 |
未入力 行家 (xxx)
白雲の道行きくらし帰るかり空にや旅のやとさたむらん
しらくもの−みちゆきくらし−かへるかり−そらにやたひの−やとさたむらむ |
00469 |
未入力 成茂 (xxx)
いつしかとおのかこしちの帰る山ありとやいそく春のかり金
いつしかと−おのかこしちの−かへるやま−ありとやいそく−はるのかりかね |
00470 |
未入力 隆祐 (xxx)
心から帰るわかれもしかすかに哀なれはや雁のなくらん
こころから−かへるわかれも−しかすかに−あはれなれはや−かりのなくらむ |
00471 |
未入力 禅信 (xxx)
みるままにたか玉章の跡もなし雲路に消えて帰るかり金
みるままに−たかたまつさの−あともなし−くもちにきえて−かへるかりかね |
00472 |
未入力 高倉 (xxx)
春の空をたか心よりわかるれはなくなく雁の立ちかへるらん
はるのそらを−たかこころより−わかるれは−なくなくかりの−たちかへるらむ |
00473 |
未入力 按察 (xxx)
つゆはかりあまとふ雁は故郷に春とちきれることやあるらん
つゆはかり−あまとふかりは−ふるさとに−はるとちきれる−ことやあるらむ |
00474 |
未入力 帥 (xxx)
みれとあかぬ花の都を立ちわかれうたても帰るはるのかり金
みれとあかぬ−はなのみやこを−たちわかれ−うたてもかへる−はるのかりかね |
00475 |
未入力 小宰相 (xxx)
帰る雁たかいつはりにならひてか心もとめぬそらになくらん
かへるかり−たかいつはりに−ならひてか−こころもとめぬ−そらになくらむ |
00476 |
未入力 俊成女 (xxx)
古郷の春や恋しき帰るかり秋はたつねしみやこなれとも
ふるさとの−はるやこひしき−かへるかり−あきはたつねし−みやこなれとも |
00477 |
未入力 少将内侍 (xxx)
はるし又こしのしら山いかならん帰帰も雁はなくなり
はるしまた−こしのしらやま−いかならむ−かへるかへるも−かりはなくなり |
00478 |
未入力 弁内侍 (xxx)
としことのならひはなにそ春をおきてあたし心の雁の別ち
としことの−ならひはなにそ−はるをおきて−あたしこころの−かりのわかれち |
00479 |
未入力 但馬 (xxx)
暁のわかれや空にしりぬらん横雲わけて帰るかりかね
あかつきの−わかれやそらに−しりぬらむ−よこくもわけて−かへるかりかね |
00480 |
未入力 下野 (xxx)
うらめしや春のけしきに成りぬれは忘れぬものと帰る雁かね
うらめしや−はるのけしきに−なりぬれは−わすれぬものと−かへるかりかね |
00481 |
未入力 御製 (xxx)
いとはやもやとの桜はさきにけり花待つ人のここにしもくる
いとはやも−やとのさくらは−さきにけり−はなまつひとの−ここにしもくる |
00482 |
未入力 道助 (xxx)
さきそむる梢すくなき花の色にかつかつ行きてをる心かな
さきそむる−こすゑすくなき−はなのいろに−かつかつゆきて−をるこころかな |
00483 |
未入力 実氏 (xxx)
さくら色の初花そめのかり衣きてをやなれむ春の木下
さくらいろの−はつはなそめの−かりころも−きてをやなれむ−はるのこのもと |
00484 |
未入力 基家 (xxx)
けふまては猶こもりえのはつせ山あまたにやらぬ花の色かな
けふまては−なほこもりえの−はつせやま−あまたにやらぬ−はなのいろかな |
00485 |
未入力 家良 (xxx)
夜の程の雨にいそひてあし曳のをのへの桜さきそめにけり
よのほとの−あめにいそひて−あしひきの−をのへのさくら−さきそめにけり |
00486 |
未入力 基良 (xxx)
さきそむる峰の桜のにほひより人の心そうつろひにける
さきそむる−みねのさくらの−にほひより−ひとのこころそ−うつろひにける |
00487 |
未入力 隆親 (xxx)
尋ねきてをりもそやつす此里に花さきそむといひなちらしそ
たつねきて−をりもそやつす−このさとに−はなさきそむと−いひなちらしそ |
00488 |
未入力 為家 (xxx)
とへかしな外のさくらのまたきまに一枝さける花のあるしを
とへかしな−ほかのさくらの−またきまに−ひとえたさける−はなのあるしを |
00489 |
未入力 公相 (xxx)
ちるといふ名をたにきかし今年より春しりそむる初桜花
ちるといふ−なをたにきかし−ことしより−はるしりそむる−はつさくらはな |
00490 |
未入力 実雄 (xxx)
都人外のさかりにとひなれてまつさく山の花をちらすな
みやこひと−ほかのさかりに−とひなれて−まつさくやまの−はなをちらすな |
00491 |
未入力 信覚 (xxx)
軒はなる初花さくらあかなくにかねて日数の春もうらめし
のきはなる−はつはなさくら−あかなくに−かねてひかすの−はるもうらめし |
00492 |
未入力 為経 (xxx)
しら雲のあまたにやらすたつた山初花桜いまさきにけり
しらくもの−あまたにやらす−たつたやま−はつはなさくら−いまさきにけり |
00493 |
未入力 忠定 (xxx)
一枝も軒はの花やさきぬらん今夜枕に風かをるなり
ひとえたも−のきはのはなや−さきぬらむ−こよひまくらに−かせかをるなり |
00494 |
未入力 資季 (xxx)
またれこし遠山桜さきにけりけさ立ちそむる峰のしら雲
またれこし−とほやまさくら−さきにけり−けさたちそむる−みねのしらくも |
00495 |
未入力 頼氏 (xxx)
春の日のゆふ山さくらさきにけりあさゐる雲になかめせしまに
はるのひの−ゆふやまさくら−さきにけり−あさゐるくもに−なかめせしまに |
00496 |
未入力 有教 (xxx)
待ちえても猶そまたるる山桜さく一枝のあかぬにほひを
まちえても−なほそまたるる−やまさくら−さくひとえたの−あかぬにほひを |
00497 |
未入力 師継 (xxx)
葦曳の山の桜のさきそめて人の心も花になりつつ
あしひきの−やまのさくらの−さきそめて−ひとのこころも−はなになりつつ |
00498 |
未入力 定嗣 (xxx)
またれつるこたかき山の桜花末たのもしくさきにけらしな
またれつる−こたかきやまの−さくらはな−すゑたのもしく−さきにけらしな |
00499 |
未入力 成実 (xxx)
なかむれは初さくら花さきにけりいまそたつたの峰の白雲
なかむれは−はつさくらはな−さきにけり−いまそたつたの−みねのしらくも |
00500 |
未入力 蓮性 (xxx)
春のきる花の衣のにひそめは日数かさねて色やますらん
はるのきる−はなのころもの−にひそめは−ひかすかさねて−いろやますらむ |
00501 |
未入力 顕氏 (xxx)
昨日まてつれなくみえし我かやとの若木の桜いまさきにける
きのふまて−つれなくみえし−わかやとの−わかきのさくら−いまさきにける |
00502 |
未入力 寂能 (xxx)
山人のかさしていつる初さくら都に花をちらしそめつる
やまひとの−かさしていつる−はつさくら−みやこにはなを−ちらしそめつる |
00503 |
未入力 為氏 (xxx)
春くれはまつさく山の桜花友まちつけてちらはちらなん
はるくれは−まつさくやまの−さくらはな−ともまちつけて−ちらはちらなむ |
00504 |
未入力 真観 (xxx)
山さくらあすかもあらはさかりとや花のつほみを人につけまし
やまさくら−あすかもあらは−さかりとや−はなのつほみを−ひとにつけまし |
00505 |
未入力 寂西 (xxx)
春といひて日ころはあれとあるかひはけふしさくらの花の一枝
はるといひて−ひころはあれと−あるかひは−けふしさくらの−はなのひとえた |
00506 |
未入力 為継 (xxx)
けふのまはたた一村そさきにけるかたへまたしき峰の初花
けふのまは−たたひとむらそ−さきにける−かたへまたしき−みねのはつはな |
00507 |
未入力 経朝 (xxx)
夜のまにや花さきぬらん昨日みし花の絶まは雲もなかりき
よのまにや−はなさきぬらむ−きのふみし−はなのたえまは−くももなかりき |
00508 |
未入力 行家 (xxx)
さきそむる片枝そにほふ山桜花のさかりと後もしのはん
さきそむる−かたえそにほふ−やまさくら−はなのさかりと−のちもしのはむ |
00509 |
未入力 成茂 (xxx)
ことしよりちらぬならひをしらせはや風のとかなる春の初花
ことしより−ちらぬならひを−しらせはや−かせのとかなる−はるのはつはな |
00510 |
未入力 隆祐 (xxx)
さきなはと思ひしかとも桜花のこりおほかる色そまたるる
さきなはと−おもひしかとも−さくらはな−のこりおほかる−いろそまたるる |
00511 |
未入力 禅信 (xxx)
日数へはさきもふりなむ桜花まれなる花をとふ人もかな
ひかすへは−さきもふりなむ−さくらはな−まれなるはなを−とふひともかな |
00512 |
未入力 高倉 (xxx)
よしの山またれし花もさきぬれはしつ心なき春の明ほの
よしのやま−またれしはなも−さきぬれは−しつこころなき−はるのあけほの |
00513 |
未入力 按察 (xxx)
さかはまついさやとかりて花みんと契りし人にけふしらせはや
さかはまつ−いさやとかりて−はなみむと−ちきりしひとに−けふしらせはや |
00514 |
未入力 帥 (xxx)
見さりつる雲こそみゆれあし曳の山の初花いまやさくらん
みさりつる−くもこそみゆれ−あしひきの−やまのはつはな−いまやさくらむ |
00515 |
未入力 小宰相 (xxx)
待つこともめかれぬ花のおのつからいつの人間にいそくなるらん
まつことも−めかれぬはなの−おのつから−いつのひとまに−いそくなるらむ |
00516 |
未入力 俊成女 (xxx)
春もいま花もさくらの時そとや雲よりにほふかつらきの山
はるもいま−はなもさくらの−ときそとや−くもよりにほふ−かつらきのやま |
00517 |
未入力 少将内侍 (xxx)
我かやとにいまためかれぬ桜花さきぬと人にしらせそめはや
わかやとに−いまためかれぬ−さくらはな−さきぬとひとに−しらせそめはや |
00518 |
未入力 弁内侍 (xxx)
さきそむる吉野の桜けふみすはいつよりにほふ花としらまし
さきそむる−よしののさくら−けふみすは−いつよりにほふ−はなとしらまし |
00519 |
未入力 但馬 (xxx)
けふみれは夜のまに花はさきにけり昨日にもにぬ峰の白雲
けふみれは−よのまにはなは−さきにけり−きのふにもにぬ−みねのしらくも |
00520 |
未入力 下野 (xxx)
けさよりはほのかに風そにほふなる花さきぬらしみよしのの山
けさよりは−ほのかにかせそ−にほふなる−はなさきぬらし−みよしののやま |
00521 |
未入力 御製 (xxx)
としをへて色もかはらすみゆるかな何そは花をあた物といふ
としをへて−いろもかはらす−みゆるかな−なにそははなを−あたものといふ |
00522 |
未入力 道助 (xxx)
山さくらいつの人まもあらはこそおのれと花の色もかはらめ
やまさくら−いつのひとまも−あらはこそ−おのれとはなの−いろもかはらめ |
00523 |
未入力 実氏 (xxx)
いまも又花をしみれはいにしへの人の心そ身にしられぬる
いまもまた−はなをしみれは−いにしへの−ひとのこころそ−みにしられぬる |
00524 |
未入力 基家 (xxx)
ゆふつくひさすやたか木の山桜花の光そ空にうつろふ
ゆふつくひ−さすやたかきの−やまさくら−はなのひかりそ−そらにうつろふ |
00525 |
未入力 家良 (xxx)
春は猶日かけもなかきすかの山見らくにあかぬ花の色かな
はるはなほ−ひかけもなかき−すかのやま−みらくにあかぬ−はなのいろかな |
00526 |
未入力 基良 (xxx)
吹く風ものとけき御世につかへてそ二心なく花はみるへき
ふくかせも−のとけきみよに−つかへてそ−ふたこころなく−はなはみるへき |
00527 |
未入力 隆親 (xxx)
限なき御代にかはらす九重の花をみるこそ身の思ひいて
かきりなき−みよにかはらす−ここのへの−はなをみるこそ−みのおもひいて |
00528 |
未入力 為家 (xxx)
身ははるのよそなりなからやまさくらさきぬる花よえやはめかるる
みははるの−よそなりなから−やまさくら−さきぬるはなよ−えやはめかるる |
00529 |
未入力 公相 (xxx)
みてのみやけふもすきなん白雲の夕ゐる嶺の花の下陰
みてのみや−けふもすきなむ−しらくもの−ゆふゐるみねの−はなのしたかけ |
00530 |
未入力 実雄 (xxx)
をとめこか葛木山のさくら花心にかけて見ぬ時そなき
をとめこか−かつらきやまの−さくらはな−こころにかけて−みぬときそなき |
00531 |
未入力 信覚 (xxx)
なかむれはとほやま桜さきしよりよしのの滝は水まさりつつ
なかむれは−とほやまさくら−さきしより−よしののたきは−みつまさりつつ |
00532 |
未入力 為経 (xxx)
みても猶しつのをたまき長き日のくるるもあかぬ山桜かな
みてもなほ−しつのをたまき−なかきひの−くるるもあかぬ−やまさくらかな |
00533 |
未入力 忠定 (xxx)
花あれはうときもわかす尋入る心の色を人なとかめそ
はなあれは−うときもわかす−たつねいる−こころのいろを−ひとなとかめそ |
00534 |
未入力 資季 (xxx)
宮こ人とはてやすきん独のみなかめておくる花の日数を
みやこひと−とはてやすきむ−ひとりのみ−なかめておくる−はなのひかすを |
00535 |
未入力 頼氏 (xxx)
さきあまる花の宮こにありなから春の心はみよしのの山
さきあまる−はなのみやこに−ありなから−はるのこころは−みよしののやま |
00536 |
未入力 有教 (xxx)
なにゆゑか春の心をなくさめむ花みることのなからましかは
なにゆゑか−はるのこころを−なくさめむ−はなみることの−なからましかは |
00537 |
未入力 師継 (xxx)
うつり行く月日もさらに忘られぬ花のあたりのなかめせしまに
うつりゆく−つきひもさらに−わすられぬ−はなのあたりの−なかめせしまに |
00538 |
未入力 定嗣 (xxx)
さかりなる花にそありける白妙の雲からくせる山とみたれは
さかりなる−はなにそありける−しろたへの−くもからくせる−やまとみたれは |
00539 |
未入力 成実 (xxx)
よしの山めかれぬ花の春ことにつらき霞の中にたつらん
よしのやま−めかれぬはなの−はることに−つらきかすみの−なかにたつらむ |
00540 |
未入力 蓮性 (xxx)
これをかも春にあひぬとなくさめて花にむかへは身のうれへなし
これをかも−はるにあひぬと−なくさめて−はなにむかへは−みのうれへなし |
00541 |
未入力 顕氏 (xxx)
めかれせてけふさへ猶やくれはてむ待ちし桜の花のさかりは
めかれせて−けふさへなほや−くれはてむ−まちしさくらの−はなのさかりは |
00542 |
未入力 寂能 (xxx)
うゑてみる軒はの花にめかれねは心ちらさぬ花もありけり
うゑてみる−のきはのはなに−めかれねは−こころちらさぬ−はなもありけり |
00543 |
未入力 為氏 (xxx)
いかさまの色にしさけは花桜みるにこころのうつりはつらん
いかさまの−いろにしさけは−はなさくら−みるにこころの−うつりはつらむ |
00544 |
未入力 真観 (xxx)
尋ねてそ花をもみまし木本をすみかともせぬ我か身なりせは
たつねてそ−はなをもみまし−このもとを−すみかともせぬ−わかみなりせは |
00545 |
未入力 寂西 (xxx)
むかしといひいまも見らくにみよしのの桜を雲にまかへぬはなし
むかしといひ−いまもみらくに−みよしのの−さくらをくもに−まかへぬはなし |
00546 |
未入力 為継 (xxx)
さく花をさのみや嶺の白雲にまかへはててもめかれせさらん
さくはなを−さのみやみねの−しらくもに−まかへはてても−めかれせさらむ |
00547 |
未入力 経朝 (xxx)
梓弓やよひの雲に引きつれてたかまと山の花をみるかな
あつさゆみ−やよひのくもに−ひきつれて−たかまとやまの−はなをみるかな |
00548 |
未入力 行家 (xxx)
桜花あかぬ心もあやにくにみても猶こそみまくほしけれ
さくらはな−あかぬこころも−あやにくに−みてもなほこそ−みまくほしけれ |
00549 |
未入力 成茂 (xxx)
しめの内は風をも花にやはらけてのとかにみるもめくみなりけり
しめのうちは−かせをもはなに−やはらけて−のとかにみるも−めくみなりけり |
00550 |
未入力 隆祐 (xxx)
さすらふる春の木陰をつくしても猶九重の花そゆかしき
さすらふる−はるのこかけを−つくしても−なほここのへの−はなそゆかしき |
00551 |
未入力 禅信 (xxx)
まてしはし又もきてみむ山桜あかぬ心にいさなはれつつ
まてしはし−またもきてみむ−やまさくら−あかぬこころに−いさなはれつつ |
00552 |
未入力 高倉 (xxx)
世中にありてうき身の思出も花みるほとの春そへにける
よのなかに−ありてうきみの−おもひいても−はなみるほとの−はるそへにける |
00553 |
未入力 按察 (xxx)
うき身には花をしみれと物そ思ふさてもよそなる春のつらさに
うきみには−はなをしみれと−ものそおもふ−さてもよそなる−はるのつらさに |
00554 |
未入力 帥 (xxx)
春ことにみれともあかぬ桜花おなし色かに又さきにけり
はることに−みれともあかぬ−さくらはな−おなしいろかに−またさきにけり |
00555 |
未入力 小宰相 (xxx)
いとまありてなれぬる身をも思ひしれさりとも花はなさけわくらん
いとまありて−なれぬるみをも−おもひしれ−さりともはなは−なさけわくらむ |
00556 |
未入力 俊成女 (xxx)
尋ぬとも思はて入りし奥山のいほもる花を独こそみれ
たつぬとも−おもはていりし−おくやまの−いほもるはなを−ひとりこそみれ |
00557 |
未入力 少将内侍 (xxx)
しら雲とたたにもいはて山桜みれはそ峰の花としりける
しらくもと−たたにもいはて−やまさくら−みれはそみねの−はなとしりける |
00558 |
未入力 弁内侍 (xxx)
白雲に花はまかへとめかれせぬ心は猶そわくかたもなき
しらくもに−はなはまかへと−めかれせぬ−こころはなほそ−わくかたもなき |
00559 |
未入力 但馬 (xxx)
さきつつくいく木の本に日数へてなれてもあかぬ花の比かな
さきつつく−いくこのもとに−ひかすへて−なれてもあかぬ−はなのころかな |
00560 |
未入力 下野 (xxx)
山桜またれまたれてさきしより花にむかはぬ時の間もなし
やまさくら−またれまたれて−さきしより−はなにむかはぬ−ときのまもなし |
00561 |
未入力 御製 (xxx)
いさ桜我もかはらす年をへて老いせぬ春はをりてかささん
いささくら−われもかはらす−としをへて−おいせぬはるは−をりてかささむ |
00562 |
未入力 道助 (xxx)
あかなくのかさしの花もうつろひぬふかき匂をたれとかむらん
あかなくの−かさしのはなも−うつろひぬ−ふかきにほひを−たれとかむらむ |
00563 |
未入力 実氏 (xxx)
かさしてはかくるる老と知りなからたをるはをしき山桜かな
かさしては−かくるるおいと−しりなから−たをるはをしき−やまさくらかな |
00564 |
未入力 基家 (xxx)
ふりまさるよはひを花にかそへてもあかぬ心はたへぬ春かな
ふりまさる−よはひをはなに−かそへても−あかぬこころは−たへぬはるかな |
00565 |
未入力 家良 (xxx)
時の間のめかれもをしき花さかり心ありける月のころかな
ときのまの−めかれもをしき−はなさかり−こころありける−つきのころかな |
00566 |
未入力 基良 (xxx)
みるほとは物思ひなき山さくら春にそ老はなくさみぬへき
みるほとは−ものおもひなき−やまさくら−はるにそおいは−なくさみぬへき |
00567 |
未入力 隆親 (xxx)
千代ふへき冬とそいはむもろ人のけふのかさしにをれる桜は
ちよふへき−ふゆとそいはむ−もろひとの−けふのかさしに−をれるさくらは |
00568 |
未入力 為家 (xxx)
よしやけふ人なとかめそ花さかり我か老いらくに折りてかささむ
よしやけふ−ひとなとかめそ−はなさかり−わかおいらくに−をりてかささむ |
00569 |
未入力 公相 (xxx)
さくら花てことに折りて帰るさは袖こそにほへ春のやま人
さくらはな−てことにをりて−かへるさは−そてこそにほへ−はるのやまひと |
00570 |
未入力 実雄 (xxx)
いさ桜折りてかささむ花にあかぬあたし心の色やまかふと
いささくら−をりてかささむ−はなにあかぬ−あたしこころの−いろやまかふと |
00571 |
未入力 信覚 (xxx)
よしの山しをりもしらし桜かり花の雪には道まとふとて
よしのやま−しをりもしらし−さくらかり−はなのゆきには−みちまとふとて |
00572 |
未入力 為経 (xxx)
をりかさす峰の桜に吹く風ものとかなる世の春そしらるる
をりかさす−みねのさくらに−ふくかせも−のとかなるよの−はるそしらるる |
00573 |
未入力 忠定 (xxx)
さらはたたこほれてにほへ春の風をるてにたにも花はたまらす
さらはたた−こほれてにほへ−はるのかせ−をるてにたにも−はなはたまらす |
00574 |
未入力 資季 (xxx)
よそなからみれともあかぬ桜花折りてもけふはかさしつるかな
よそなから−みれともあかぬ−さくらはな−をりてもけふは−かさしつるかな |
00575 |
未入力 頼氏 (xxx)
ささ竹の大宮人の桜かりはなのところに春やくらさむ
ささたけの−おほみやひとの−さくらかり−はなのところに−はるやくらさむ |
00576 |
未入力 有教 (xxx)
山桜をりなつかしくふく風も枝をならさぬ御代としらすや
やまさくら−をりなつかしく−ふくかせも−えたをならさぬ−みよとしらすや |
00577 |
未入力 師継 (xxx)
けふくれぬあすもこむとは思へともたたまくをしき花の陰かな
けふくれぬ−あすもこむとは−おもへとも−たたまくをしき−はなのかけかな |
00578 |
未入力 定嗣 (xxx)
山桜手にとりもちて長き日もいやめつらしみあかぬ色かな
やまさくら−てにとりもちて−なかきひも−いやめつらしみ−あかぬいろかな |
00579 |
未入力 成実 (xxx)
いつよりか雲井の桜さきそめて千代のかさしと定めおきけん
いつよりか−くもゐのさくら−さきそめて−ちよのかさしと−さためおきけむ |
00580 |
未入力 蓮性 (xxx)
しはしたに老を忘れてけふしこそわかゆはかりに花をかささめ
しはしたに−おいをわすれて−けふしこそ−わかゆはかりに−はなをかささめ |
00581 |
未入力 顕氏 (xxx)
我か君の御代の春風しつかにてあくまて花の色になれぬる
わかきみの−みよのはるかせ−しつかにて−あくまてはなの−いろになれぬる |
00582 |
未入力 寂能 (xxx)
磯上ふる木の桜かさしもてうゑし昔をいましのふかな
いそのかみ−ふるきのさくら−かさしもて−うゑしむかしを−いましのふかな |
00583 |
未入力 為氏 (xxx)
さくら花いまや手ことにたをりもてともにちとせの春にかささん
さくらはな−いまやてことに−たをりもて−ともにちとせの−はるにかささむ |
00584 |
未入力 真観 (xxx)
あさなあさな仏のためといさなひてかめにさしおく花さくらかな
あさなあさな−ほとけのためと−いさなひて−かめにさしおく−はなさくらかな |
00585 |
未入力 寂西 (xxx)
をらはをし花の鏡の水にこそあかぬあたりの袖もぬらさめ
をらはをし−はなのかかみの−みつにこそ−あかぬあたりの−そてもぬらさめ |
00586 |
未入力 為継 (xxx)
くれぬとも心を花にととめつつ木の本さらぬ家ゐをやせん
くれぬとも−こころをはなに−ととめつつ−このもとさらぬ−いへゐをやせむ |
00587 |
未入力 経朝 (xxx)
みよし野やてことにかさす桜かりかへさは花の錦をそきる
みよしのや−てことにかさす−さくらかり−かへさははなの−にしきをそきる |
00588 |
未入力 行家 (xxx)
色もかも袖にうつして山桜花のかたみと後もしのはん
いろもかも−そてにうつして−やまさくら−はなのかたみと−のちもしのはむ |
00589 |
未入力 成茂 (xxx)
なれきつるかさしの桜年をへてしらかにいまはちりまかひぬる
なれきつる−かさしのさくら−としをへて−しらかにいまは−ちりまかひぬる |
00590 |
未入力 隆祐 (xxx)
身にうとき春の恨も帰りこすいつの物とて花になるらん
みにうとき−はるのうらみも−かへりこす−いつのものとて−はなになるらむ |
00591 |
未入力 禅信 (xxx)
かさしとてをる袖ふるる花桜たかうつりかの又にほふらん
かさしとて−をるそてふるる−はなさくら−たかうつりかの−またにほふらむ |
00592 |
未入力 高倉 (xxx)
けふ桜をらはをらなむ風ふかは夜のまもしらぬ花の木すゑに
けふさくら−をらはをらなむ−かせふかは−よのまもしらぬ−はなのこすゑに |
00593 |
未入力 按察 (xxx)
いかにせむ花もてやつす身をしれは猶この本の春も物うし
いかにせむ−はなもてやつす−みをしれは−なほこのもとの−はるもものうし |
00594 |
未入力 帥 (xxx)
打ちむれて春の山へに入りぬれは手ことに花を折りてこそくれ
うちむれて−はるのやまへに−いりぬれは−てことにはなを−をりてこそくれ |
00595 |
未入力 小宰相 (xxx)
ちらぬより花の姿ややつるらんてことにをりて帰るさと人
ちらぬより−はなのすかたや−やつるらむ−てことにをりて−かへるさとひと |
00596 |
未入力 俊成女 (xxx)
みてもあかぬ心は花の夢の内をのかれもはてぬ名こそをしけれ
みてもあかぬ−こころははなの−ゆめのうちを−のかれもはてぬ−なこそをしけれ |
00597 |
未入力 少将内侍 (xxx)
さく花にあかてくらせる春の日はなかしとたにも思ひやはする
さくはなに−あかてくらせる−はるのひは−なかしとたにも−おもひやはする |
00598 |
未入力 弁内侍 (xxx)
折りてみむことのみそうき桜花うつし心はちりもこそすれ
をりてみむ−ことのみそうき−さくらはな−うつしこころは−ちりもこそすれ |
00599 |
未入力 但馬 (xxx)
よそなれは梢は花のまさるかと折りてみるたにあかぬ匂を
よそなれは−こすゑははなの−まさるかと−をりてみるたに−あかぬにほひを |
00600 |
未入力 下野 (xxx)
身にちかくをりてかささむ花桜春ののこりもあかぬ名残を
みにちかく−をりてかささむ−はなさくら−はるののこりも−あかぬなこりを |
00601 |
未入力 御製 (xxx)
かくはかりをしと思ふ日をくれぬとて花みて帰る人さへそうき
かくはかり−をしとおもふひを−くれぬとて−はなみてかへる−ひとさへそうき |
00602 |
未入力 道助 (xxx)
人しれすをしむならひはちる花のまててふことを風にしらせん
ひとしれす−をしむならひは−ちるはなの−まててふことを−かせにしらせむ |
00603 |
未入力 実氏 (xxx)
とまれともいはれぬへくは山桜うつろふ花に物は思はし
とまれとも−いはれぬへくは−やまさくら−うつろふはなに−ものはおもはし |
00604 |
未入力 基家 (xxx)
身にかへて思へはなにかをしむへき花をとめてもおなし別を
みにかへて−おもへはなにか−をしむへき−はなをとめても−おなしわかれを |
00605 |
未入力 家良 (xxx)
うつろはむ世世のならひも忘られぬいまはた花にあかぬ心は
うつろはむ−よよのならひも−わすられぬ−いまはたはなに−あかぬこころは |
00606 |
未入力 基良 (xxx)
雪とちる花をそ思ふ春の風さそはれぬへき身をは惜ます
ゆきとちる−はなをそおもふ−はるのかせ−さそはれぬへき−みをはをします |
00607 |
未入力 隆親 (xxx)
おのつから花をさそはぬ山風のあれなくれ行く春のなさけに
おのつから−はなをさそはぬ−やまかせの−あれなくれゆく−はるのなさけに |
00608 |
未入力 為家 (xxx)
桜はないけらは後とたのますはあかぬに身をもかへやしなまし
さくらはな−いけらはのちと−たのますは−あかぬにみをも−かへやしなまし |
00609 |
未入力 公相 (xxx)
あちきなく又こりすまにをしめともうつろひまさる山さくらかな
あちきなく−またこりすまに−をしめとも−うつろひまさる−やまさくらかな |
00610 |
未入力 実雄 (xxx)
いかにしてしはしととめむ桜花ちりなはなけの春の日数を
いかにして−しはしととめむ−さくらはな−ちりなはなけの−はるのひかすを |
00611 |
未入力 信覚 (xxx)
桜花ふるさと人のみるはかり一木はのこせ峰のはるかせ
さくらはな−ふるさとひとの−みるはかり−ひときはのこせ−みねのはるかせ |
00612 |
未入力 為経 (xxx)
身にかへてをしむにとまれ桜花我か身をのちの春にのこさん
みにかへて−をしむにとまれ−さくらはな−わかみをのちの−はるにのこさむ |
00613 |
未入力 忠定 (xxx)
ちる花の契たのまぬ別にも老いてかひなき命なりけり
ちるはなの−ちきりたのまぬ−わかれにも−おいてかひなき−いのちなりけり |
00614 |
未入力 資季 (xxx)
日数へて花の匂ひはうつろふとちらさて春をすくしてしかな
ひかすへて−はなのにほひは−うつろふと−ちらさてはるを−すくしてしかな |
00615 |
未入力 頼氏 (xxx)
あかなくに見はてむ花の命にもまさりてをしき春風そ吹く
あかなくに−みはてむはなの−いのちにも−まさりてをしき−はるかせそふく |
00616 |
未入力 有教 (xxx)
二なき命にかへてととむとも数ならぬ身を花やきらはむ
ふたつなき−いのちにかへて−ととむとも−かすならぬみを−はなやきらはむ |
00617 |
未入力 師継 (xxx)
あたなれとあひも思はは桜花うつろふ色に身をやかへまし
あたなれと−あひもおもはは−さくらはな−うつろふいろに−みをやかへまし |
00618 |
未入力 定嗣 (xxx)
いくよろつめくりあふへき君か代の春にも花を猶そをしまん
いくよろつ−めくりあふへき−きみかよの−はるにもはなを−なほそをしまむ |
00619 |
未入力 成実 (xxx)
身にかへてうつろふ色をなけくかなよしなや花に思ひつきつつ
みにかへて−うつろふいろを−なけくかな−よしなやはなに−おもひつきつつ |
00620 |
未入力 蓮性 (xxx)
しかりとてちるてふ花もととまらすなにそ山守あるかひもなし
しかりとて−ちるてふはなも−ととまらす−なにそやまもり−あるかひもなし |
00621 |
未入力 顕氏 (xxx)
さりとてもつひにとまらぬ花ゆゑにことしもあやな物思ふらん
さりとても−つひにとまらぬ−はなゆゑに−ことしもあやな−ものおもふらむ |
00622 |
未入力 寂能 (xxx)
ちることを思ひますれは山桜花みる春もうらみやはなき
ちることを−おもひますれは−やまさくら−はなみるはるも−うらみやはなき |
00623 |
未入力 為氏 (xxx)
身にかふる習しあれな山桜あかぬなこりのうきにつけては
みにかふる−ならひしあれな−やまさくら−あかぬなこりの−うきにつけては |
00624 |
未入力 真観 (xxx)
ぬきとめむかたしなけれは桜花心のをにそおもひみたるる
ぬきとめむ−かたしなけれは−さくらはな−こころのをにそ−おもひみたるる |
00625 |
未入力 寂西 (xxx)
老いて後をしむとたにもしらせはやたかひの心花にありやと
おいてのち−をしむとたにも−しらせはや−たかひのこころ−はなにありやと |
00626 |
未入力 為継 (xxx)
をしむからかひなき物はかねてより散ることいそく桜なりけり
をしむから−かひなきものは−かねてより−ちることいそく−さくらなりけり |
00627 |
未入力 経朝 (xxx)
ちるを見はなに心ちせん山桜花をへたてよ峰のしら雲
ちるをみは−なにここちせむ−やまさくら−はなをへたてよ−みねのしらくも |
00628 |
未入力 行家 (xxx)
したへともあひそ思はぬうつり行く花の心のたのみかたさは
したへとも−あひそおもはぬ−うつりゆく−はなのこころの−たのみかたさは |
00629 |
未入力 成茂 (xxx)
ちるまては花をもめてし山桜なれてそ老の身にかへつへき
ちるまては−はなをもめてし−やまさくら−なれてそおいの−みにかへつへき |
00630 |
未入力 隆祐 (xxx)
あひ思ふとしもやあるとしたへともうつろひまさる山さくらかな
あひおもふ−としもやあると−したへとも−うつろひまさる−やまさくらかな |
00631 |
未入力 禅信 (xxx)
身にかへて花をもなにか惜むらん又こむ春にあはさらめやは
みにかへて−はなをもなにか−をしむらむ−またこむはるに−あはさらめやは |
00632 |
未入力 高倉 (xxx)
一すちに風もうらみしをしめともうつろふ色は花のこころを
ひとすちに−かせもうらみし−をしめとも−うつろふいろは−はなのこころを |
00633 |
未入力 按察 (xxx)
うつろふをしたふ習のいとせめて花にもみゆる我かこころかな
うつろふを−したふならひの−いとせめて−はなにもみゆる−わかこころかな |
00634 |
未入力 帥 (xxx)
いつもたたちりかふ花としりなからしたふやなにの心なるらん
いつもたた−ちりかふはなと−しりなから−したふやなにの−こころなるらむ |
00635 |
未入力 小宰相 (xxx)
をしむとてとまる習もなき花にさのみ心をつくさすもかな
をしむとて−とまるならひも−なきはなに−さのみこころを−つくさすもかな |
00636 |
未入力 俊成女 (xxx)
春ことに花の盛をしたへともあひも思はす色かはりつつ
はることに−はなのさかりを−したへとも−あひもおもはす−いろかはりつつ |
00637 |
未入力 少将内侍 (xxx)
いくとせもいけらは後の春をおきて猶をしまるる花桜かな
いくとせも−いけらはのちの−はるをおきて−なほをしまるる−はなさくらかな |
00638 |
未入力 弁内侍 (xxx)
をしからぬ桜なりせは何ゆゑか春のあらしのうきをしらまし
をしからぬ−さくらなりせは−なにゆゑか−はるのあらしの−うきをしらまし |
00639 |
未入力 但馬 (xxx)
さきしよりすくる日数をかそへつつくるるをなけく花の陰かな
さきしより−すくるひかすを−かそへつつ−くるるをなけく−はなのかけかな |
00640 |
未入力 下野 (xxx)
をしめともうつろふ花の木本に吹きくる風をいかてととめむ
をしめとも−うつろふはなの−このもとに−ふきくるかせを−いかてととめむ |
00641 |
未入力 御製 (xxx)
ちりはててあくたになると山桜花の所はあさきよめすな
ちりはてて−あくたになると−やまさくら−はなのところは−あさきよめすな |
00642 |
未入力 道助 (xxx)
いまは又とはれぬ程も日数へて花ちりうつむ庭そふりぬる
いまはまた−とはれぬほとも−ひかすへて−はなちりうつむ−にはそふりぬる |
00643 |
未入力 実氏 (xxx)
雲となり雪とふりしく山桜いつれを花の色とかもみん
くもとなり−ゆきとふりしく−やまさくら−いつれをはなの−いろとかもみむ |
00644 |
未入力 基家 (xxx)
風ふけは波もいくへの桜川名になかれたる水のはるかな
かせふけは−なみもいくへの−さくらかは−なになかれたる−みつのはるかな |
00645 |
未入力 家良 (xxx)
待つほとの人の心をつくしてもみる日すくなくちる桜かな
まつほとの−ひとのこころを−つくしても−みるひすくなく−ちるさくらかな |
00646 |
未入力 基良 (xxx)
いつちをもさこそわするな山桜ねに帰るさを何いそくらん
いつちをも−さこそわするな−やまさくら−ねにかへるさを−なにいそくらむ |
00647 |
未入力 隆親 (xxx)
いつまてか嶺の雲とも思ひけんちれはみゆきとつもる桜を
いつまてか−みねのくもとも−おもひけむ−ちれはみゆきと−つもるさくらを |
00648 |
未入力 為家 (xxx)
消かてのこけちの雪に跡絶えて花をそたとる春のこのもと
きえかての−こけちのゆきに−あとたえて−はなをそたとる−はるのこのもと |
00649 |
未入力 公相 (xxx)
山たかみさこそ嵐はさそふともあまりなるまてちる桜かな
やまたかみ−さこそあらしは−さそふとも−あまりなるまて−ちるさくらかな |
00650 |
未入力 実雄 (xxx)
ちりつもる花のしら雪ふみ分けて猶いてかてのみよしのの山
ちりつもる−はなのしらゆき−ふみわけて−なほいてかての−みよしののやま |
00651 |
未入力 信覚 (xxx)
庭にむす苔のいははし水こえて花もてせける春の山風
にはにむす−こけのいははし−みつこえて−はなもてせける−はるのやまかせ |
00652 |
未入力 為経 (xxx)
雪とのみ吹きしく風の木の本はねにたに花の帰りやはする
ゆきとのみ−ふきしくかせの−このもとは−ねにたにはなの−かへりやはする |
00653 |
未入力 忠定 (xxx)
ふりつもるゆききにまかふ道のへの花そとかをる春の山風
ふりつもる−ゆききにまかふ−みちのへの−はなそとかをる−はるのやまかせ |
00654 |
未入力 資季 (xxx)
さくら花あまきる雪とふりしくにはらはぬ袖のぬれすも有るかな
さくらはな−あまきるゆきと−ふりしくに−はらはぬそての−ぬれすもあるかな |
00655 |
未入力 頼氏 (xxx)
たかために花の下紐とけそめてちるをかきりのわかれなるらん
たかために−はなのしたひも−とけそめて−ちるをかきりの−わかれなるらむ |
00656 |
未入力 有教 (xxx)
都人とははとはなむ山さくら庭をさかりのけふのはる風
みやこひと−とははとはなむ−やまさくら−にはをさかりの−けふのはるかせ |
00657 |
未入力 師継 (xxx)
わかやとの軒はの桜風過きてあつめぬ窓に雪そつもれる
わかやとの−のきはのさくら−かせすきて−あつめぬまとに−ゆきそつもれる |
00658 |
未入力 定嗣 (xxx)
いまは又いとひし風のたよりまて木のもとしらぬ花を尋ねん
いまはまた−いとひしかせの−たよりまて−このもとしらぬ−はなをたつねむ |
00659 |
未入力 成実 (xxx)
風にちる桜の雪のふる郷に跡もさためす夏はらふらん
かせにちる−さくらのゆきの−ふるさとに−あともさためす−なつはらふらむ |
00660 |
未入力 蓮性 (xxx)
けふ桜猶雪とのみふりしかは庭にや花の跡ををしまん
けふさくら−なほゆきとのみ−ふりしかは−にはにやはなの−あとををしまむ |
00661 |
未入力 顕氏 (xxx)
見わたせは梢にかかる雲もなしまかひし花や根に帰るらん
みわたせは−こすゑにかかる−くももなし−まかひしはなや−ねにかへるらむ |
00662 |
未入力 寂能 (xxx)
みよしのの滝のかふちのみなかみは桜吹きしく山おろしの風
みよしのの−たきのかふちの−みなかみは−さくらふきしく−やまおろしのかせ |
00663 |
未入力 為氏 (xxx)
つもり行く日数にそへてみよしのの山の桜は雪とふりつつ
つもりゆく−ひかすにそへて−みよしのの−やまのさくらは−ゆきとふりつつ |
00664 |
未入力 真観 (xxx)
山桜いかなるむくい春にありて風のあなつる花に咲きけん
やまさくら−いかなるむくい−はるにありて−かせのあなつる−はなにさきけむ |
00665 |
未入力 寂西 (xxx)
おのつからちりかかるとも山桜苔の衣のうはきにはせし
おのつから−ちりかかるとも−やまさくら−こけのころもの−うはきにはせし |
00666 |
未入力 為継 (xxx)
いたつらに雪とふりぬる山桜けふ尋ねてもみるかひそなき
いたつらに−ゆきとふりぬる−やまさくら−けふたつねても−みるかひそなき |
00667 |
未入力 経朝 (xxx)
おしなへて梢に春はくれはとりあやにくにのみちる桜かな
おしなへて−こすゑにはるは−くれはとり−あやにくにのみ−ちるさくらかな |
00668 |
未入力 行家 (xxx)
我かやとに花さへちりぬいまは又なにをかことに人をまたまし
わかやとに−はなさへちりぬ−いまはまた−なにをかことに−ひとをまたまし |
00669 |
未入力 成茂 (xxx)
久方の空はくもらぬ雪とのみ木のした風に花そちりしく
ひさかたの−そらはくもらぬ−ゆきとのみ−このしたかせに−はなそちりしく |
00670 |
未入力 隆祐 (xxx)
いささくらちらんといひし偽の人の心をはなやみるらん
いささくら−ちらむといひし−いつはりの−ひとのこころを−はなやみるらむ |
00671 |
未入力 禅信 (xxx)
みよしのやいまはならひにちる花を風のとかとは思はさらなむ
みよしのや−いまはならひに−ちるはなを−かせのとかとは−おもはさらなむ |
00672 |
未入力 高倉 (xxx)
ちるといははいつか別のかたからん花ゆゑ春の風もいとはし
ちるといはは−いつかわかれの−かたからむ−はなゆゑはるの−かせもいとはし |
00673 |
未入力 按察 (xxx)
桜はなとはねは人のつらさにてちらはちれともえこそ思はね
さくらはな−とはねはひとの−つらさにて−ちらはちれとも−えこそおもはね |
00674 |
未入力 帥 (xxx)
吹く風にちりしく庭の八重桜さけともなしか我思ひけん
ふくかせに−ちりしくにはの−やへさくら−さけともなしか−われおもひけむ |
00675 |
未入力 小宰相 (xxx)
ちるとみてえやはうらむる山桜思ひますへき花しなけれは
ちるとみて−えやはうらむる−やまさくら−おもひますへき−はなしなけれは |
00676 |
未入力 俊成女 (xxx)
けふとても桜は雪とふるさとの跡なき庭を花とやはみる
けふとても−さくらはゆきと−ふるさとの−あとなきにはを−はなとやはみる |
00677 |
未入力 少将内侍 (xxx)
山里の花は雪とそふりにけるけふこむ人やつらしと思はん
やまさとの−はなはゆきとそ−ふりにける−けふこむひとや−つらしとおもはむ |
00678 |
未入力 弁内侍 (xxx)
つもりても哀いくへに成りぬらんかつちる花の程そふり行く
つもりても−あはれいくへに−なりぬらむ−かつちるはなの−ほとそふりゆく |
00679 |
未入力 但馬 (xxx)
雲まよふ風にあまきる雪かとてはらへは袖も花のかそする
くもまよふ−かせにあまきる−ゆきかとて−はらへはそても−はなのかそする |
00680 |
未入力 下野 (xxx)
大かたの春の日数もすき行けは梢は花の色ものこらす
おほかたの−はるのひかすも−すきゆけは−こすゑははなの−いろものこらす |
00681 |
未入力 御製 (xxx)
さきぬともいはぬ色なる山吹のまかきの内をしる人そなき
さきぬとも−いはぬいろなる−やまふきの−まかきのうちを−しるひとそなき |
00682 |
未入力 道助 (xxx)
たちはなのこしまのさきの山吹をいかて籬にうつしそめけん
たちはなの−こしまのさきの−やまふきを−いかてまかきに−うつしそめけむ |
00683 |
未入力 実氏 (xxx)
こえしとてやとかる人はなけれともまかきにさける山吹のはな
こえしとて−やとかるひとは−なけれとも−まかきにさける−やまふきのはな |
00684 |
未入力 基家 (xxx)
折る人のしけき籬のあたりにはさけともさかぬ山ふきの花
をるひとの−しけきまかきの−あたりには−さけともさかぬ−やまふきのはな |
00685 |
未入力 家良 (xxx)
うゑおきしまかきの外にあまるまてたわわにさける山吹の花
うゑおきし−まかきのほかに−あまるまて−たわわにさける−やまふきのはな |
00686 |
未入力 基良 (xxx)
苔ふかきまかきにさける山吹をいはぬ色とやとふ人もなし
こけふかき−まかきにさける−やまふきを−いはぬいろとや−とふひともなし |
00687 |
未入力 隆親 (xxx)
さきさかすたれにとはまし故郷のまかきにうゑし山吹の花
さきさかす−たれにとはまし−ふるさとの−まかきにうゑし−やまふきのはな |
00688 |
未入力 為家 (xxx)
山吹の花こそいはぬ色ならめもとのまかきをとふ人もかな
やまふきの−はなこそいはぬ−いろならめ−もとのまかきを−とふひともかな |
00689 |
未入力 公相 (xxx)
とへとたに人につけはや我かやとのまかきににほふやへの山吹
とへとたに−ひとにつけはや−わかやとの−まかきににほふ−やへのやまふき |
00690 |
未入力 実雄 (xxx)
とまれとはいはぬ色なる山吹のさける籬のなそや過きうき
とまれとは−いはぬいろなる−やまふきの−さけるまかきの−なそやすきうき |
00691 |
未入力 信覚 (xxx)
うゑおきてたれかすみける跡ならんふるきまかきの山吹の花
うゑおきて−たれかすみける−あとならむ−ふるきまかきの−やまふきのはな |
00692 |
未入力 為経 (xxx)
きてみよとたれにかいはむ籬なるくちなしそめの山吹の花
きてみよと−たれにかいはむ−まかきなる−くちなしそめの−やまふきのはな |
00693 |
未入力 忠定 (xxx)
夕くれはまかきにうつる日影さへ色をそへたる山ふきの花
ゆふくれは−まかきにうつる−ひかけさへ−いろをそへたる−やまふきのはな |
00694 |
未入力 資季 (xxx)
しめゆひし籬やたわに成りぬらん花おもけなる庭の山吹
しめゆひし−まかきやたわに−なりぬらむ−はなおもけなる−にはのやまふき |
00695 |
未入力 頼氏 (xxx)
うゑそへしまかきの外の山吹の花のえならぬ春のふる郷
うゑそへし−まかきのほかの−やまふきの−はなのえならぬ−はるのふるさと |
00696 |
未入力 有教 (xxx)
我かやとのまかきにたのむ山吹をいはぬ色とや折りつくすらん
わかやとの−まかきにたのむ−やまふきを−いはぬいろとや−をりつくすらむ |
00697 |
未入力 師継 (xxx)
をりつれはかさへなつかし我かやとのまかきの内の山ふきの花
をりつれは−かさへなつかし−わかやとの−まかきのうちの−やまふきのはな |
00698 |
未入力 定嗣 (xxx)
我かやとのまかきもひまそなかるへきやへ山吹の花に咲きつつ
わかやとの−まかきもひまそ−なかるへき−やへやまふきの−はなにさきつつ |
00699 |
未入力 成実 (xxx)
としをへてあるるまかきもうつもれていはぬ色こき山吹の花
としをへて−あるるまかきも−うつもれて−いはぬいろこき−やまふきのはな |
00700 |
未入力 遮性 (xxx)
籬にはしけるむくらもあるものをたたみしままのやへの山吹
まかきには−しけるむくらも−あるものを−たたみしままの−やへのやまふき |
00701 |
未入力 顕氏 (xxx)
春はかり人をもまたむ山吹の花のまかきを折りなつくしそ
はるはかり−ひとをもまたむ−やまふきの−はなのまかきを−をりなつくしそ |
00702 |
未入力 寂能 (xxx)
さきなるるまかきはなにのつらけれはいはて露けき山吹の花
さきなるる−まかきはなにの−つらけれは−いはてつゆけき−やまふきのはな |
00703 |
未入力 為氏 (xxx)
いはぬ色に人こそとはね山吹の口なしそめの花のまかきは
いはぬいろに−ひとこそとはね−やまふきの−くちなしそめの−はなのまかきは |
00704 |
未入力 真観 (xxx)
山吹のさきそふ花にかこはれてふるき籬はあれまくもなし
やまふきの−さきそふはなに−かこはれて−ふるきまかきは−あれまくもなし |
00705 |
未入力 寂西 (xxx)
かこへとはたれかいひけん山吹の花のまかきそみれはあやしき
かこへとは−たれかいひけむ−やまふきの−はなのまかきそ−みれはあやしき |
00706 |
未入力 為継 (xxx)
山吹の花のまかきをたのみつつ又はかこはぬ井てのさと人
やまふきの−はなのまかきを−たのみつつ−またはかこはぬ−ゐてのさとひと |
00707 |
未入力 経朝 (xxx)
たれかみむ今さかりなる我かやとのまかきにあまる山吹の花
たれかみむ−いまさかりなる−わかやとの−まかきにあまる−やまふきのはな |
00708 |
未入力 行家 (xxx)
心あらは人もきてとへ山吹の花のやへさく春のまかきを
こころあらは−ひともきてとへ−やまふきの−はなのやへさく−はるのまかきを |
00709 |
未入力 成茂 (xxx)
とまれともいはぬ色にも山吹のまかきや春の過きうかるらん
とまれとも−いはぬいろにも−やまふきの−まかきやはるの−すきうかるらむ |
00710 |
未入力 隆祐 (xxx)
山吹は春さく花のまかきとも思ひゆるさすおけるしら露
やまふきは−はるさくはなの−まかきとも−おもひゆるさす−おけるしらつゆ |
00711 |
未入力 禅信 (xxx)
うちはへて枝もとををにさきにけりおのれ籬の庭の山吹
うちはへて−えたもとををに−さきにけり−おのれまかきの−にはのやまふき |
00712 |
未入力 高倉 (xxx)
いはぬ色に春のかたみや残るらむまかきにさける山ふきの花
いはぬいろに−はるのかたみや−のこるらむ−まかきにさける−やまふきのはな |
00713 |
未入力 按察 (xxx)
ぬしやたれをりてもみはや山吹の花のまかきに春は過くとも
ぬしやたれ−をりてもみはや−やまふきの−はなのまかきに−はるはすくとも |
00714 |
未入力 帥 (xxx)
わかやとのまかきににほふ山吹を過きかてになとみる人のなき
わかやとの−まかきににほふ−やまふきを−すきかてになと−みるひとのなき |
00715 |
未入力 小宰相 (xxx)
くれぬとて人もとまらぬ籬にはさく山吹の花の名もをし
くれぬとて−ひともとまらぬ−まかきには−さくやまふきの−はなのなもをし |
00716 |
未入力 俊成女 (xxx)
いはぬ色の花にそみゆるゐての里庭も籬も春のくれとは
いはぬいろの−はなにそみゆる−ゐてのさと−にはもまかきも−はるのくれとは |
00717 |
未入力 少将内侍 (xxx)
ことならはやへまてかこへ山吹の花のまかきの春の山さと
ことならは−やへまてかこへ−やまふきの−はなのまかきの−はるのやまさと |
00718 |
未入力 弁内侍 (xxx)
人とはぬ春のかきねをうしとたにいはてそさける山吹のはな
ひととはぬ−はるのかきねを−うしとたに−いはてそさける−やまふきのはな |
00719 |
未入力 但馬 (xxx)
山吹は花より後の花なれはまかきの外にめこそうつらね
やまふきは−はなよりのちの−はななれは−まかきのほかに−めこそうつらね |
00720 |
未入力 下野 (xxx)
やまふきの花こそ春を返しけれくれぬと思ふやとのまかきに
やまふきの−はなこそはるを−かへしけれ−くれぬとおもふ−やとのまかきに |
00721 |
未入力 御製 (xxx)
深緑色もかはらぬ松かえは藤こそ春のしるしなりけれ
ふかみとり−いろもかはらぬ−まつかえは−ふちこそはるの−しるしなりけれ |
00722 |
未入力 道助 (xxx)
松かえの緑すくなくかくろへて梢もおもくかかるふちなみ
まつかえの−みとりすくなく−かくろへて−こすゑもおもく−かかるふちなみ |
00723 |
未入力 実氏 (xxx)
さきつつく藤さかへむと春日山松にそ君をいはひかけつる
さきつつく−ふちさかえむと−かすかやま−まつにそきみを−いはひかけつる |
00724 |
未入力 基家 (xxx)
雲とのみ藤さきかかるみ山には松の雨とや風もなるらん
くもとのみ−ふちさきかかる−みやまには−まつのあめとや−かせもなるらむ |
00725 |
未入力 家良 (xxx)
さきかかるふせの浦まの藤波にうつる影のみ松はみえけり
さきかかる−ふせのうらまの−ふちなみに−うつるかけのみ−まつはみえけり |
00726 |
未入力 基良 (xxx)
しひて猶をりからにほふ藤の花ちとせを松の梢とやみむ
しひてなほ−をりからにほふ−ふちのはな−ちとせをまつの−こすゑとやみむ |
00727 |
未入力 隆親 (xxx)
くれて行く春のなこりと人もみよみきはは松にかかる藤波
くれてゆく−はるのなこりと−ひともみよ−みきははまつに−かかるふちなみ |
00728 |
未入力 為家 (xxx)
春風のおとせさりせは藤の花かかれる松やわすられなまし
はるかせの−おとせさりせは−ふちのはな−かかれるまつや−わすられなまし |
00729 |
未入力 公相 (xxx)
ちとせまて松にとのみやかかるらん花さきそむる春の藤波
ちとせまて−まつにとのみや−かかるらむ−はなさきそむる−はるのふちなみ |
00730 |
未入力 実雄 (xxx)
いつもみる松のときはの色にさへ春くれかかる池のふちなみ
いつもみる−まつのときはの−いろにさへ−はるくれかかる−いけのふちなみ |
00731 |
未入力 信覚 (xxx)
なこり思ふ色もなつかしさきかかる藤波こゆる末の松山
なこりおもふ−いろもなつかし−さきかかる−ふちなみこゆる−すゑのまつやま |
00732 |
未入力 為経 (xxx)
みきはなる松の緑もうつもれて紫ふかくにほふふちなみ
みきはなる−まつのみとりも−うつもれて−むらさきふかく−にほふふちなみ |
00733 |
未入力 忠定 (xxx)
めくみあらは藤の若葉や花さくと老木の松も下にこそまて
めくみあらは−ふちのわかはや−はなさくと−おいきのまつも−したにこそまて |
00734 |
未入力 資季 (xxx)
すむ鶴も松の梢やたとるらんみとりもみえすかかる藤波
すむつるも−まつのこすゑや−たとるらむ−みとりもみえす−かかるふちなみ |
00735 |
未入力 頼氏 (xxx)
すみよしのまつより松にうつりきてしつえは岸にかかる藤波
すみよしの−まつよりまつに−うつりきて−しつえはきしに−かかるふちなみ |
00736 |
未入力 有教 (xxx)
藤の花さきぬる時はみ山への松の梢もうつろひにけり
ふちのはな−さきぬるときは−みやまへの−まつのこすゑも−うつろひにけり |
00737 |
未入力 師継 (xxx)
色かへぬみきはの松をあらふなり紫ふかき池の藤なみ
いろかへぬ−みきはのまつを−あらふなり−むらさきふかき−いけのふちなみ |
00738 |
未入力 定嗣 (xxx)
十廻の松えの花やこれならん千とせをこめてかかる藤波
とかへりの−まつえのはなや−これならむ−ちとせをこめて−かかるふちなみ |
00739 |
未入力 成実 (xxx)
かそふれはくるる春日の末葉よりたれ松かえにかかる藤なみ
かそふれは−くるるはるひの−すゑはより−たれまつかえに−かかるふちなみ |
00740 |
未入力 蓮性 (xxx)
みれは又松にひかれていやとしにさもそ木たかくさける藤波
みれはまた−まつにひかれて−いやとしに−さもそこたかく−さけるふちなみ |
00741 |
未入力 顕氏 (xxx)
松かえのおのか緑もうつもれてむらさきふかき池の藤波
まつかえの−おのかみとりも−うつもれて−むらさきふかき−いけのふちなみ |
00742 |
未入力 寂能 (xxx)
君か代の松にかかれる藤なれは千たひさくへき花かとそ思ふ
きみかよの−まつにかかれる−ふちなれは−ちたひさくへき−はなかとそおもふ |
00743 |
未入力 為氏 (xxx)
色かへぬみきはの松も今更に花さきかかるはるの藤波
いろかへぬ−みきはのまつも−いまさらに−はなさきかかる−はるのふちなみ |
00744 |
未入力 真観 (xxx)
紫の雪かとみれは藤の花さきおほふ松の木すゑなりけり
むらさきの−ゆきかとみれは−ふちのはな−さきおほふまつの−こすゑなりけり |
00745 |
未入力 寂西 (xxx)
しつえのみあらふとみしを浦松の梢にかくる藤波のはな
しつえのみ−あらふとみしを−うらまつの−こすゑにかくる−ふちなみのはな |
00746 |
未入力 為継 (xxx)
代よへたる松はふる木の枝なから若紫にかかるふちなみ
よよへたる−まつはふるきの−えたなから−わかむらさきに−かかるふちなみ |
00747 |
未入力 経朝 (xxx)
松の葉のおのか緑もなかりけり梢もみえすかかる藤なみ
まつのはの−おのかみとりも−なかりけり−こすゑもみえす−かかるふちなみ |
00748 |
未入力 行家 (xxx)
おきつ風ふけとふかねと住吉の松にかけこす岸の藤浪
おきつかせ−ふけとふかねと−すみよしの−まつにかけこす−きしのふちなみ |
00749 |
未入力 成茂 (xxx)
君かため千代のかさしに契りてや松には藤のさきかかるらん
きみかため−ちよのかさしに−ちきりてや−まつにはふちの−さきかかるらむ |
00750 |
未入力 隆祐 (xxx)
ときはなる松たにかはる紫の花さく藤にもるる袖かな
ときはなる−まつたにかはる−むらさきの−はなさくふちに−もるるそてかな |
00751 |
未入力 禅信 (xxx)
としをへてはふ木あまたに成りにけり松より松にかかる藤波
としをへて−はふきあまたに−なりにけり−まつよりまつに−かかるふちなみ |
00752 |
未入力 高倉 (xxx)
みるたひに松の花とそまかひぬれかかりてさける池の藤波
みるたひに−まつのはなとそ−まかひぬれ−かかりてさける−いけのふちなみ |
00753 |
未入力 按察 (xxx)
あたに見し心の色のゆかりとや松の梢をこゆるふちなみ
あたにみし−こころのいろの−ゆかりとや−まつのこすゑを−こゆるふちなみ |
00754 |
未入力 帥 (xxx)
住吉の松のしつえもをるはかりはひまつはれてかかる藤浪
すみよしの−まつのしつえも−をるはかり−はひまつはれて−かかるふちなみ |
00755 |
未入力 小宰相 (xxx)
いかにしてときはの松のおなしえにかかれる藤の花に咲くらん
いかにして−ときはのまつの−おなしえに−かかれるふちの−はなにさくらむ |
00756 |
未入力 俊成女 (xxx)
君か代のちとせの春の藤の花松にとのみそさきかかりける
きみかよの−ちとせのはるの−ふちのはな−まつにとのみそ−さきかかりける |
00757 |
未入力 少将内侍 (xxx)
九重の池の藤波かけてこそみきはの松も色まさりけれ
ここのへの−いけのふちなみ−かけてこそ−みきはのまつも−いろまさりけれ |
00758 |
未入力 弁内侍 (xxx)
春ふかくにほふ藤波かけてけり松はときはの色とみしかと
はるふかく−にほふふちなみ−かけてけり−まつはときはの−いろとみしかと |
00759 |
未入力 但馬 (xxx)
藤波のかかるさかりに成りぬれはさらに花さく岸の松かえ
ふちなみの−かかるさかりに−なりぬれは−さらにはなさく−きしのまつかえ |
00760 |
未入力 下野 (xxx)
さきかかる梢の藤の花の色をたをらは松の色ややつれん
さきかかる−こすゑのふちの−はなのいろを−たをらはまつの−いろややつれむ |
00761 |
未入力 御製 (xxx)
梓弓春の日数もけふはかりいるかことくも過きにけるかな
あつさゆみ−はるのひかすも−けふはかり−いるかことくも−すきにけるかな |
00762 |
未入力 道助 (xxx)
花鳥のなかめすきにし日数さへやよひはかりに猶残りつつ
はなとりの−なかめすきにし−ひかすさへ−やよひはかりに−なほのこりつつ |
00763 |
未入力 実氏 (xxx)
花みつるとしのいくとせかそへても猶しのはるる春の暮かな
はなみつる−としのいくとせ−かそへても−なほしのはるる−はるのくれかな |
00764 |
未入力 基家 (xxx)
里わかすおなし夕に行く春を我そ別とたれをしむらん
さとわかす−おなしゆふへに−ゆくはるを−われそわかれと−たれをしむらむ |
00765 |
未入力 家良 (xxx)
思ひかね猶いかさまになくさめむわれふるそてに春の別を
おもひかね−なほいかさまに−なくさめむ−われふるそてに−はるのわかれを |
00766 |
未入力 基良 (xxx)
なそもかく心にしみて惜むらん我か身一の春のくれかは
なそもかく−こころにしみて−をしむらむ−わかみひとつの−はるのくれかは |
00767 |
未入力 隆親 (xxx)
あちきなくなにをなさけとをしむらん行方見せぬ春の夕暮
あちきなく−なにをなさけと−をしむらむ−ゆくかたみせぬ−はるのゆふくれ |
00768 |
未入力 為家 (xxx)
かすみてものこる程こそすくなけれやよひの末の在明の月
かすみても−のこるほとこそ−すくなけれ−やよひのすゑの−ありあけのつき |
00769 |
未入力 公相 (xxx)
桜川なかるる花をせきとめてとまらぬ春の思出にせん
さくらかは−なかるるはなを−せきとめて−とまらぬはるの−おもひいてにせむ |
00770 |
未入力 実雄 (xxx)
たのまれぬ人の心の花にたに猶をしまれて過くる春かな
たのまれぬ−ひとのこころの−はなにたに−なほをしまれて−すくるはるかな |
00771 |
未入力 信覚 (xxx)
よしさらは芳野の河にせきとめよ春の形見の花のうたかた
よしさらは−よしののかはに−せきとめよ−はるのかたみの−はなのうたかた |
00772 |
未入力 為経 (xxx)
春の行く方はいつくとしらねともしたふ心をたくへてそやる
はるのゆく−かたはいつくと−しらねとも−したふこころを−たくへてそやる |
00773 |
未入力 忠定 (xxx)
なかめこし山のすゑのの夕霞その色となくをしき春かな
なかめこし−やまのすゑのの−ゆふかすみ−そのいろとなく−をしきはるかな |
00774 |
未入力 資季 (xxx)
鴬のおのかなくへき春くれて谷の故郷跡もとむらむ
うくひすの−おのかなくへき−はるくれて−たにのふるさと−あともとむらむ |
00775 |
未入力 頼氏 (xxx)
みな人のをしむならひの夕くれにしるへもなくて春や行くらん
みなひとの−をしむならひの−ゆふくれに−しるへもなくて−はるやゆくらむ |
00776 |
未入力 有教 (xxx)
をしめとも春はとまらぬ習そと人にはいひて猶そうらむる
をしめとも−はるはとまらぬ−ならひそと−ひとにはいひて−なほそうらむる |
00777 |
未入力 師継 (xxx)
かくはかりくるる別をしたふとも思ひもしらす春や行くらん
かくはかり−くるるわかれを−したふとも−おもひもしらす−はるやゆくらむ |
00778 |
未入力 定嗣 (xxx)
ととむるにとまらぬ春といひなからをしむはみなの人の心そ
ととむるに−とまらぬはると−いひなから−をしむはみなの−ひとのこころそ |
00779 |
未入力 成実 (xxx)
しのはしよ命にかへてをしめとも片思ひなる春のわかれを
しのはしよ−いのちにかへて−をしめとも−かたおもひなる−はるのわかれを |
00780 |
未入力 蓮性 (xxx)
こし方にそへても猶やしのはれんことしも春の過くる日数を
こしかたに−そへてもなほや−しのはれむ−ことしもはるの−すくるひかすを |
00781 |
未入力 顕氏 (xxx)
くれぬとも春のなこりをしたへとやせきに霞の猶ととむらん
くれぬとも−はるのなこりを−したへとや−せきにかすみの−なほととむらむ |
00782 |
未入力 寂能 (xxx)
杉の葉はしるしもみえすいくたひかくれ行く春に逢坂の関
すきのはは−しるしもみえす−いくたひか−くれゆくはるに−あふさかのせき |
00783 |
未入力 為氏 (xxx)
くれかたき空とはなにに思ひけんすくる程なき春の日数を
くれかたき−そらとはなにに−おもひけむ−すくるほとなき−はるのひかすを |
00784 |
未入力 真観 (xxx)
ありし世に思ひそめてし心にて忘れすいまもをしき春かな
ありしよに−おもひそめてし−こころにて−わすれすいまも−をしきはるかな |
00785 |
未入力 寂西 (xxx)
恨みかねせめてそ思ふ春のくれくははるとしにいつかめくらん
うらみかね−せめてそおもふ−はるのくれ−くははるとしに−いつかめくらむ |
00786 |
未入力 為継 (xxx)
年ことにけふの恨はかさなれと猶つれなくもくるる春かな
としことに−けふのうらみは−かさなれと−なほつれなくも−くるるはるかな |
00787 |
未入力 経朝 (xxx)
おのつからいまは霞の関の名やとまらぬ春の形見なるへき
おのつから−いまはかすみの−せきのなや−とまらぬはるの−かたみなるへき |
00788 |
未入力 行家 (xxx)
いくかへりやよひの空のくれことにこりぬ心の春したふらん
いくかへり−やよひのそらの−くれことに−こりぬこころの−はるしたふらむ |
00789 |
未入力 成茂 (xxx)
今さらに思はしとてもむかしよりをしみなれたる春のくれかな
いまさらに−おもはしとても−むかしより−をしみなれたる−はるのくれかな |
00790 |
未入力 隆祐 (xxx)
跡をさへ誰かためしのふ春なれは霞の内にくれて行くらん
あとをさへ−たかためしのふ−はるなれは−かすみのうちに−くれてゆくらむ |
00791 |
未入力 禅信 (xxx)
行く春のいくかもあらぬはつせ山けふは名残の入あひの鐘
ゆくはるの−いくかもあらぬ−はつせやま−けふはなこりの−いりあひのかね |
00792 |
未入力 高倉 (xxx)
嵐ふく山のした道ふみまよひととめぬ春の名残をそとふ
あらしふく−やまのしたみち−ふみまよひ−ととめぬはるの−なこりをそとふ |
00793 |
未入力 按祭 (xxx)
年をへてそをたに後の形見とや心にあかて春の過くらん
としをへて−そをたにのちの−かたみとや−こころにあかて−はるのすくらむ |
00794 |
未入力 帥 (xxx)
又もこむ春そといまは思へともなくさめかたきけふのくれかな
またもこむ−はるそといまは−おもへとも−なくさめかたき−けふのくれかな |
00795 |
未入力 小宰相 (xxx)
けふの日も入あひの鐘のこゑきけはいかにとむへき春の別そ
けふのひも−いりあひのかねの−こゑきけは−いかにとむへき−はるのわかれそ |
00796 |
未入力 俊成女 (xxx)
春も又をしみかほなる夕かな今夜はかりの空のなこりは
はるもまた−をしみかほなる−ゆふへかな−こよひはかりの−そらのなこりは |
00797 |
未入力 少将内侍 (xxx)
いかにせむさならぬことも思ふ身にましてわかれの春の夕暮
いかにせむ−さならぬことも−おもふみに−ましてわかれの−はるのゆふくれ |
00798 |
未入力 弁内侍 (xxx)
夏とのみうはの空にそいひかへるくれ行く春のあかぬあまりは
なつとのみ−うはのそらにそ−いひかへる−くれゆくはるの−あかぬあまりは |
00799 |
未入力 但馬 (xxx)
大井河くたす筏にさす棹のはやくも春のくれそ過行く
おほゐかは−くたすいかたに−さすさをの−はやくもはるの−くれそすきゆく |
00800 |
未入力 下野 (xxx)
くれはつるけふの日影もかたふきて名残すくなく残る春かな
くれはつる−けふのひかけも−かたふきて−なこりすくなく−のこるはるかな |
00801 |
未入力 御製 (xxx)
荒玉の年をかさねてかへつれと猶ひとへなる夏衣かな
あらたまの−としをかさねて−かへつれと−なほひとへなる−なつころもかな |
00802 |
未入力 道助 (xxx)
昨日まて花にまかひししら雲の面影うすくたつ衣かな
きのふまて−はなにまかひし−しらくもの−おもかけうすく−たつころもかな |
00803 |
未入力 実氏 (xxx)
のこりけるみ山かくれのおそ桜夏さへ風を猶やいとはむ
のこりける−みやまかくれの−おそさくら−なつさへかせを−なほやいとはむ |
00804 |
未入力 基家 (xxx)
こえきつるとほ山鳥のおそ桜宮こにしらぬ春やのこれる
こえきつる−とほやまとりの−おそさくら−みやこにしらぬ−はるやのこれる |
00805 |
未入力 家良 (xxx)
春をのみをしみし程に夏衣たつ日にはやく成りにけるかな
はるをのみ−をしみしほとに−なつころも−たつひにはやく−なりにけるかな |
00806 |
未入力 基良 (xxx)
春をのみ人はしのへはうの花のかけにかくれて夏やきぬらん
はるをのみ−ひとはしのへは−うのはなの−かけにかくれて−なつやきぬらむ |
00807 |
未入力 隆親 (xxx)
昨日まて袂にそめし花の色の形見もしらぬ衣かへかな
きのふまて−たもとにそめし−はなのいろの−かたみもしらぬ−ころもかへかな |
00808 |
未入力 為家 (xxx)
夏きてはたたひとへなる衣手にいかてか春を立ちへたつらん
なつきては−たたひとへなる−ころもてに−いかてかはるを−たちへたつらむ |
00809 |
未入力 公相 (xxx)
たちかはるけふを卯月の始とや神のみむろに榊とるらん
たちかはる−けふをうつきの−はしめとや−かみのみむろに−さかきとるらむ |
00810 |
未入力 実雄 (xxx)
けふとてや大宮人の白妙にかさねてきたる蝉のは衣
けふとてや−おほみやひとの−しろたへに−かさねてきたる−せみのはころも |
00811 |
未入力 信覚 (xxx)
めくりあひて夏きにけらし久方のあまの羽衣たちやかふらん
めくりあひて−なつきにけらし−ひさかたの−あまのはころも−たちやかふらむ |
00812 |
未入力 為経 (xxx)
あかさりし花のかとりの衣かへ春のかたみや猶のこるらん
あかさりし−はなのかとりの−ころもかへ−はるのかたみや−なほのこるらむ |
00813 |
未入力 忠定 (xxx)
昨日かもかすみしものをあまつ空てる日の色に夏はきにけり
きのふかも−かすみしものを−あまつそら−てるひのいろに−なつはきにけり |
00814 |
未入力 資季 (xxx)
白妙の雲のはたての夏衣いまかほすらんあまのかこ山
しろたへの−くものはたての−なつころも−いまかほすらむ−あまのかこやま |
00815 |
未入力 頼氏 (xxx)
春のきし霞もけさは立ちかへてうすき衣に夏はきにけり
はるのきし−かすみもけさは−たちかへて−うすきころもに−なつはきにけり |
00816 |
未入力 有教 (xxx)
しるしらすなれこし春のこの本をとふ人もなき夏はきにけり
しるしらす−なれこしはるの−このもとを−とふひともなき−なつはきにけり |
00817 |
未入力 師継 (xxx)
花の色をけふぬきかふる夏衣春の形見やうすく成るらん
はなのいろを−けふぬきかふる−なつころも−はるのかたみや−うすくなるらむ |
00818 |
未入力 定嗣 (xxx)
ことさらにけふつかへてそももしきの大宮人もかとりをはきる
ことさらに−けふつかへてそ−ももしきの−おほみやひとも−かとりをはきる |
00819 |
未入力 成実 (xxx)
たちなれし花の面かけしたひきてひとへにつらき夏衣かな
たちなれし−はなのおもかけ−したひきて−ひとへにつらき−なつころもかな |
00820 |
未入力 蓮性 (xxx)
ちりのこる花をみなから夏衣心をかへて風をまつらん
ちりのこる−はなをみなから−なつころも−こころをかへて−かせをまつらむ |
00821 |
未入力 顕氏 (xxx)
立ちかふるうすき衣も白妙の色もてはやすやとのうの花
たちかふる−うすきころもも−しろたへの−いろもてはやす−やとのうのはな |
00822 |
未入力 寂能 (xxx)
布引の滝のしらいと夏くれはいはねの苔も色やかふらん
ぬのひきの−たきのしらいと−なつくれは−いはねのこけも−いろやかふらむ |
00823 |
未入力 為氏 (xxx)
けさよりは蝉の羽衣おりはへてたたひとへにそ夏はきにける
けさよりは−せみのはころも−おりはへて−たたひとへにそ−なつはきにける |
00824 |
未入力 真観 (xxx)
いまもさく岡へのすそのつつし原いつらは春の後とみえける
いまもさく−をかへのすその−つつしはら−いつらははるの−のちとみえける |
00825 |
未入力 寂西 (xxx)
けふははやみあれの月の始とて神の社もころもかへせり
けふははや−みあれのつきの−はしめとて−かみのやしろも−ころもかへせり |
00826 |
未入力 為継 (xxx)
せめて猶春の形見をぬきすててけふたちそむる夏衣かな
せめてなほ−はるのかたみを−ぬきすてて−けふたちそむる−なつころもかな |
00827 |
未入力 経朝 (xxx)
なつそひくうすき衣にたちそめておのれもかはる風の音かな
なつそひく−うすきころもに−たちそめて−おのれもかはる−かせのおとかな |
00828 |
未入力 行家 (xxx)
榊葉に卯月のみしめ引きかけてみむろの山は神まつるなり
さかきはに−うつきのみしめ−ひきかけて−みむろのやまは−かみまつるなり |
00829 |
未入力 成茂 (xxx)
夏きぬといふはかりにておそ桜ちらぬ限や春とたのまん
なつきぬと−いふはかりにて−おそさくら−ちらぬかきりや−はるとたのまむ |
00830 |
未入力 隆祐 (xxx)
すかのねの長き日はかり形見にて春は跡なきみよしのの山
すかのねの−なかきひはかり−かたみにて−はるはあとなき−みよしののやま |
00831 |
未入力 禅信 (xxx)
夏衣たつたの山のしら雲をしはしは花の形見ともみん
なつころも−たつたのやまの−しらくもを−しはしははなの−かたみともみむ |
00832 |
未入力 高倉 (xxx)
花の色にかさねし袖を引きかへてひとへにいそく夏衣かな
はなのいろに−かさねしそてを−ひきかへて−ひとへにいそく−なつころもかな |
00833 |
未入力 按察 (xxx)
なにしかも花の色にもそめてけん袖の別の夏はきにけり
なにしかも−はなのいろにも−そめてけむ−そてのわかれの−なつはきにけり |
00834 |
未入力 帥 (xxx)
夏くれはやとにまつさく卯花をなとかは人の雪とみるらん
なつくれは−やとにまつさく−うのはなを−なとかはひとの−ゆきとみるらむ |
00835 |
未入力 小宰相 (xxx)
花の色の袖はさなから夏衣かさなるけふの習なりせは
はなのいろの−そてはさなから−なつころも−かさなるけふの−ならひなりせは |
00836 |
未入力 俊成女 (xxx)
ぬきかへし花染衣それならぬ苔の袖にも夏そしらるる
ぬきかへし−はなそめころも−それならぬ−こけのそてにも−なつそしらるる |
00837 |
未入力 少将内侍 (xxx)
いつしかとけふより夏に立ちかへてたたひとへなるあまのは衣
いつしかと−けふよりなつに−たちかへて−たたひとへなる−あまのはころも |
00838 |
未入力 弁内侍 (xxx)
おそ桜のこるためしもありといはは猶たちかへし花染の袖
おそさくら−のこるためしも−ありといはは−なほたちかへし−はなそめのそて |
00839 |
未入力 但馬 (xxx)
身にしめし花の色かもととまらすうすき衣に立ちかへてけり
みにしめし−はなのいろかも−ととまらす−うすきころもに−たちかへてけり |
00840 |
未入力 下野 (xxx)
花にあかぬ心ならひに夏衣けふ白妙の袖もものうし
はなにあかぬ−こころならひに−なつころも−けふしろたへの−そてもものうし |
00841 |
未入力 御製 (xxx)
身にしらは初ねきかせよ郭公五月をまつもくるしかるらん
みにしらは−はつねきかせよ−ほとときす−さつきをまつも−くるしかるらむ |
00842 |
未入力 道助 (xxx)
一こゑを猶やをしまむほとときすあかつきふかく待つかひもなく
ひとこゑを−なほやをしまむ−ほとときす−あかつきふかく−まつかひもなく |
00843 |
未入力 実氏 (xxx)
郭公いまはと思ふ山のはに月をまつことなれをこそまて
ほとときす−いまはとおもふ−やまのはに−つきをまつこと−なれをこそまて |
00844 |
未入力 基家 (xxx)
出てやらぬときはの山のほとときす此里からやつれなかるらん
いてやらぬ−ときはのやまの−ほとときす−このさとからや−つれなかるらむ |
00845 |
未入力 家良 (xxx)
いかなれは五月まつまは時鳥なくねを人にをしみそめけん
いかなれは−さつきまつまは−ほとときす−なくねをひとに−をしみそめけむ |
00846 |
未入力 基良 (xxx)
とことはに待つそくるしき郭公なかぬ夜をたにしるよしもかな
とことはに−まつそくるしき−ほとときす−なかぬよをたに−しるよしもかな |
00847 |
未入力 隆親 (xxx)
郭公初ねもいまは待つほとに成行くやとの夏木立かな
ほとときす−はつねもいまは−まつほとに−なりゆくやとの−なつこたちかな |
00848 |
未入力 為家 (xxx)
あふひ草かさす卯月の郭公人の心にまつかかりつつ
あふひくさ−かさすうつきの−ほとときす−ひとのこころに−まつかかりつつ |
00849 |
未入力 公相 (xxx)
契りおきしことしなけれと村雨の空にまたるる郭公かな
ちきりおきし−ことしなけれと−むらさめの−そらにまたるる−ほとときすかな |
00850 |
未入力 実雄 (xxx)
われそまつこととひ渡る郭公人つてにたに猶またれつつ
われそまつ−こととひわたる−ほとときす−ひとつてにたに−なほまたれつつ |
00851 |
未入力 信覚 (xxx)
山かけやいまもなかなん郭公待つ夜むなしきしののめの空
やまかけや−いまもなかなむ−ほとときす−まつよむなしき−しののめのそら |
00852 |
未入力 為経 (xxx)
郭公きかぬ限はまとろまてまてはや夏の夜はのみしかき
ほとときす−きかぬかきりは−まとろまて−まてはやなつの−よはのみしかき |
00853 |
未入力 忠定 (xxx)
今夜ともたのめぬものを郭公おもへはよその恨なりけり
こよひとも−たのめぬものを−ほとときす−おもへはよその−うらみなりけり |
00854 |
未入力 資季 (xxx)
時鳥なくへき比に成りしよりみしかき夜はをねてあかすかな
ほとときす−なくへきころに−なりしより−みしかきよはを−ねてあかすかな |
00855 |
未入力 頼氏 (xxx)
ほとときす待つとせしまの道はかりしけりもあへぬ杜の下草
ほとときす−まつとせしまの−みちはかり−しけりもあへぬ−もりのしたくさ |
00856 |
未入力 有教 (xxx)
尋入るやまほとときすさのみやはつれなくありて世をわたるへき
たつねいる−やまほとときす−さのみやは−つれなくありて−よをわたるへき |
00857 |
未入力 師継 (xxx)
いたつらに月日もすきぬ郭公心つくさていまはなかなん
いたつらに−つきひもすきぬ−ほとときす−こころつくさて−いまはなかなむ |
00858 |
未入力 定嗣 (xxx)
玉にぬくあふちさくめり時鳥はや我かやとに一こゑもかな
たまにぬく−あふちさくめり−ほとときす−はやわかやとに−ひとこゑもかな |
00859 |
未入力 成実 (xxx)
郭公なかてはやまぬものゆゑに人くるしめにこゑをしむらん
ほとときす−なかてはやまぬ−ものゆゑに−ひとくるしめに−こゑをしむらむ |
00860 |
未入力 蓮性 (xxx)
ほとときすくへきよひとやたのままし人はたれかはくものふるまひ
ほとときす−くへきよひとや−たのままし−ひとはたれかは−くものふるまひ |
00861 |
未入力 顕氏 (xxx)
五月たに鳴きもふるさぬ郭公せめても夜はの心つくしに
さつきたに−なきもふるさぬ−ほとときす−せめてもよはの−こころつくしに |
00862 |
未入力 寂能 (xxx)
明けぬとてまちもたゆまし時鳥初ねはよはにかきるものかは
あけぬとて−まちもたゆまし−ほとときす−はつねはよはに−かきるものかは |
00863 |
未入力 為氏 (xxx)
まてはこそつれなかるらめ郭公思ひすててや初ねきかまし
まてはこそ−つれなかるらめ−ほとときす−おもひすててや−はつねきかまし |
00864 |
未入力 真観 (xxx)
野も山もたたゆきこえん時鳥なかなくこゑのあふ所まて
のもやまも−たたゆきこえむ−ほとときす−なかなくこゑの−あふところまて |
00865 |
未入力 寂西 (xxx)
夜もすから我かあらましの時鳥なかぬ初ねもめはさましけり
よもすから−わかあらましの−ほとときす−なかぬはつねも−めはさましけり |
00866 |
未入力 為経 (xxx)
初ねきく人をはわかしほとときすねぬ夜かさなる宿をとへかし
はつねきく−ひとをはわかし−ほとときす−ねぬよかさなる−やとをとへかし |
00867 |
未入力 経朝 (xxx)
よもすから心をつくす郭公またぬ里にやなきふるすらん
よもすから−こころをつくす−ほとときす−またぬさとにや−なきふるすらむ |
00868 |
未入力 行家 (xxx)
やよやなけあり明の空の郭公こゑをしむへき月の影かは
やよやなけ−ありあけのそらの−ほとときす−こゑをしむへき−つきのかけかは |
00869 |
未入力 成茂 (xxx)
郭公まつ夜かさなる今夜もや猶つれなさはなかてあけなむ
ほとときす−まつよかさなる−こよひもや−なほつれなさは−なかてあけなむ |
00870 |
未入力 隆祐 (xxx)
いつをかも契りおきてか郭公心のままのねををしむらん
いつをかも−ちきりおきてか−ほとときす−こころのままの−ねををしむらむ |
00871 |
未入力 禅信 (xxx)
郭公こゑ待つほとの故郷に花たちはなそまつにほひける
ほとときす−こゑまつほとの−ふるさとに−はなたちはなそ−まつにほひける |
00872 |
未入力 高倉 (xxx)
我もさそしのへはくるし時鳥まつ夕くれにこゑなをしみそ
われもさそ−しのへはくるし−ほとときす−まつゆふくれに−こゑなをしみそ |
00873 |
未入力 按察 (xxx)
わかためのこゑにもあらし郭公かたらへとしもなとおもふらん
わかための−こゑにもあらし−ほとときす−かたらへとしも−なとおもふらむ |
00874 |
未入力 帥 (xxx)
かくはかりまてとかひなき郭公なにとしてかはきくへかるらん
かくはかり−まてとかひなき−ほとときす−なにとしてかは−きくへかるらむ |
00875 |
未入力 小宰相 (xxx)
時鳥たよりをしへよ卯花のかけにしのふるかけたにもせす
ほとときす−たよりをしへよ−うのはなの−かけにしのふる−かけたにもせす |
00876 |
未入力 俊成女 (xxx)
待つよひの心つくしに郭公なとしのひねをもらしたにせぬ
まつよひの−こころつくしに−ほとときす−なとしのひねを−もらしたにせぬ |
00877 |
未入力 少将内侍 (xxx)
郭公初ねまたるるときにこそみしかき夜半もあかしかねけれ
ほとときす−はつねまたるる−ときにこそ−みしかきよはも−あかしかねけれ |
00878 |
未入力 弁内侍 (xxx)
我にたたなきてきかせよ郭公しのひねならは人にかたらし
われにたた−なきてきかせよ−ほとときす−しのひねならは−ひとにかたらし |
00879 |
未入力 但馬 (xxx)
うらみしなおもふにたかふやとなれはまつにおとせぬ山ほとときす
うらみしな−おもふにたかふ−やとなれは−まつにおとせぬ−やまほとときす |
00880 |
未入力 下野 (xxx)
郭公外のはつねやすきぬらん待つかひもなき軒のたち花
ほとときす−ほかのはつねや−すきぬらむ−まつかひもなき−のきのたちはな |
00881 |
未入力 御製 (xxx)
我も又いさかたらはむ郭公待ちつるほとの心つくしを
われもまた−いさかたらはむ−ほとときす−まちつるほとの−こころつくしを |
00882 |
未入力 道助 (xxx)
郭公ふりいててなけ神代にもから紅のこゑはきこえす
ほとときす−ふりいててなけ−かみよにも−からくれなゐの−こゑはきこえす |
00883 |
未入力 実氏 (xxx)
ともにきく人こそかはれ郭公ことしもこそのこゑになくなり
ともにきく−ひとこそかはれ−ほとときす−ことしもこその−こゑになくなり |
00884 |
未入力 基家 (xxx)
ちはやふる神かき山をこえすきて鳴く郭公身をやをしまぬ
ちはやふる−かみかきやまを−こえすきて−なくほとときす−みをやをしまぬ |
00885 |
未入力 家良 (xxx)
郭公あかす過行く里ことになかなくこゑもいとなかるらん
ほとときす−あかすすきゆく−さとことに−なかなくこゑも−いとなかるらむ |
00886 |
未入力 基良 (xxx)
時鳥まれにもたれかかたらはんおのかなさけそ身にはしらるる
ほとときす−まれにもたれか−かたらはむ−おのかなさけそ−みにはしらるる |
00887 |
未入力 隆親 (xxx)
足引の山ちくらして時鳥しはしかたらふゆふくれのこゑ
あしひきの−やまちくらして−ほとときす−しはしかたらふ−ゆふくれのこゑ |
00888 |
未入力 為家 (xxx)
たちかへり山郭公なのれともたそかれ時はなほやとはまし
たちかへり−やまほとときす−なのれとも−たそかれときは−なほやとはまし |
00889 |
未入力 公相 (xxx)
おのつからとふ人もなきみ山へに我のみなのるほとときすかな
おのつから−とふひともなき−みやまへに−われのみなのる−ほとときすかな |
00890 |
未入力 実雄 (xxx)
をちかへりなきふるせとも郭公猶あかなくにけふもくらしつ
をちかへり−なきふるせとも−ほとときす−なほあかなくに−けふもくらしつ |
00891 |
未入力 為経 (xxx)
ききつやと人にそつくる郭公我か待ちかねしこころならひに
ききつやと−ひとにそつくる−ほとときす−わかまちかねし−こころならひに |
00892 |
未入力 信覚 (xxx)
名もつらし老その杜の郭公おのか涙もとしやへぬらん
なもつらし−おいそのもりの−ほとときす−おのかなみたも−としやへぬらむ |
00893 |
未入力 忠定 (xxx)
鳴きすてしなれもわかれぬ郭公うきはならひのあかつきの空
なきすてし−なれもわかれぬ−ほとときす−うきはならひの−あかつきのそら |
00894 |
未入力 資季 (xxx)
またきかぬ人につけはや五月待つ山ほとときすこゑならすなり
またきかぬ−ひとにつけはや−さつきまつ−やまほとときす−こゑならすなり |
00895 |
未入力 頼氏 (xxx)
たち花の軒はの山の郭公五月まちけるこゑつつくなり
たちはなの−のきはのやまの−ほとときす−さつきまちける−こゑつつくなり |
00896 |
未入力 有教 (xxx)
あし曳の山ほとときすいかにしてあかれぬねには鳴きはしめけん
あしひきの−やまほとときす−いかにして−あかれぬねには−なきはしめけむ |
00897 |
未入力 師継 (xxx)
郭公なにをうしとか卯花の陰にかくれてなきわたるらん
ほとときす−なにをうしとか−うのはなの−かけにかくれて−なきわたるらむ |
00898 |
未入力 定嗣 (xxx)
たれもみな物思ひなき御世なれはいとはてそきく山ほとときす
たれもみな−ものおもひなき−みよなれは−いとはてそきく−やまほとときす |
00899 |
未入力 成実 (xxx)
行すゑもしらぬ山ちの郭公又やきなくとここに待見む
ゆくすゑも−しらぬやまちの−ほとときす−またやきなくと−ここにまちみむ |
00900 |
未入力 蓮性 (xxx)
いかにして忘れすきなくほとときすかたらふ人もあらぬ我か身を
いかにして−わすれすきなく−ほとときす−かたらふひとも−あらぬわかみを |
00901 |
未入力 顕氏 (xxx)
去年のねといひふるせとも郭公いやめつらなる夕くれのこゑ
こそのねと−いひふるせとも−ほとときす−いやめつらなる−ゆふくれのこゑ |
00902 |
未入力 寂能 (xxx)
み山いてて鳴きおくれたる郭公待ちえぬ里の人もきくらん
みやまいてて−なきおくれたる−ほとときす−まちえぬさとの−ひともきくらむ |
00903 |
未入力 為氏 (xxx)
鳴きふるす五月の空の郭公いととあやめのねをやそふらん
なきふるす−さつきのそらの−ほとときす−いととあやめの−ねをやそふらむ |
00904 |
未入力 真観 (xxx)
すきねたたことつてもせし郭公哀といはむ人もなき身そ
すきねたた−ことつてもせし−ほとときす−あはれといはむ−ひともなきみそ |
00905 |
未入力 寂西 (xxx)
なきぬとてあなかま人のさわくまにききまよはせる郭公かな
なきぬとて−あなかまひとの−さわくまに−ききまよはせる−ほとときすかな |
00906 |
未入力 為継 (xxx)
しののめの横雲わたる絶間よりこゑかすかなる郭公かな
しののめの−よこくもわたる−たえまより−こゑかすかなる−ほとときすかな |
00907 |
未入力 経朝 (xxx)
郭公あかぬ心をしるへにて思ひそおくる雲のをちかた
ほとときす−あかぬこころを−しるへにて−おもひそおくる−くものをちかた |
00908 |
未入力 行家 (xxx)
つま恋のこゑほのかなる郭公神なひ山のこすゑはるかに
つまこひの−こゑほのかなる−ほとときす−かみなひやまの−こすゑはるかに |
00909 |
未入力 成茂 (xxx)
いくこゑもあくへき物か郭公たた鳴きふるせおのか五月は
いくこゑも−あくへきものか−ほとときす−たたなきふるせ−おのかさつきは |
00910 |
未入力 隆祐 (xxx)
思ひしる我かやとからの郭公一こゑなくもなさけなりけり
おもひしる−わかやとからの−ほとときす−ひとこゑなくも−なさけなりけり |
00911 |
未入力 禅信 (xxx)
をりはへて山郭公なのるなりたそかれ時のむら雲の空
をりはへて−やまほとときす−なのるなり−たそかれときの−むらくものそら |
00912 |
未入力 高倉 (xxx)
郭公なきて過きぬるあまの戸のおしあけ方にのこる月影
ほとときす−なきてすきぬる−あまのとの−おしあけかたに−のこるつきかけ |
00913 |
未入力 按察 (xxx)
郭公いさやすかたはみもわかす昔なりけるこゑはかりして
ほとときす−いさやすかたは−みもわかす−むかしなりける−こゑはかりして |
00914 |
未入力 帥 (xxx)
郭公なきふるしてしこゑなれと聞くたひことにあかれやはする
ほとときす−なきふるしてし−こゑなれと−きくたひことに−あかれやはする |
00915 |
未入力 小宰相 (xxx)
郭公こゑのかきりをつくすへきおのか五月といまそしりける
ほとときす−こゑのかきりを−つくすへき−おのかさつきと−いまそしりける |
00916 |
未入力 俊成女 (xxx)
きく人に心やかよふほとときすわれも昔のなのりしてける
きくひとに−こころやかよふ−ほとときす−われもむかしの−なのりしてける |
00917 |
未入力 少将内侍 (xxx)
五月きて鳴きふるせとも郭公おのかなくねのあかれやはする
さつききて−なきふるせとも−ほとときす−おのかなくねの−あかれやはする |
00918 |
未入力 弁内侍 (xxx)
郭公なきふるすまて成りにけりこふのかきりや五月なるらん
ほとときす−なきふるすまて−なりにけり−こふのかきりや−さつきなるらむ |
00919 |
未入力 但馬 (xxx)
なれもけにしのはさりけり郭公ねにたてつへき空のけしきを
なれもけに−しのはさりけり−ほとときす−ねにたてつへき−そらのけしきを |
00920 |
未入力 下野 (xxx)
郭公たそかれ時になのるなりおのかね山へ帰るさのこゑ
ほとときす−たそかれときに−なのるなり−おのかねやまへ−かへるさのこゑ |
00921 |
未入力 御製 (xxx)
足曳の山田のさなへとりとりに民のしわさはにきはひにけり
あしひきの−やまたのさなへ−とりとりに−たみのしわさは−にきはひにけり |
00922 |
未入力 道助 (xxx)
あし引の山たのさなへ数数に年ある民のほとそしらるる
あしひきの−やまたのさなへ−かすかすに−としあるたみの−ほとそしらるる |
00923 |
未入力 実氏 (xxx)
雨すくるますけのをかさかたよりにを田のさをとめ早苗とるなり
あめすくる−ますけのをかさ−かたよりに−をたのさをとめ−さなへとるなり |
00924 |
未入力 基家 (xxx)
山かけのを田のしめ縄長き日のくれかかるまてとる早苗かな
やまかけの−をたのしめなは−なかきひの−くれかかるまて−とるさなへかな |
00925 |
未入力 家良 (xxx)
この程は民の草葉のはつなへにとりもたゆますいくかへぬらん
このほとは−たみのくさはの−はつなへに−とりもたゆます−いくかへぬらむ |
00926 |
未入力 基良 (xxx)
遠山田おりたつ田子のいとまなみとるや早苗にけふも暮れつつ
とほやまた−おりたつたこの−いとまなみ−とるやさなへに−けふもくれつつ |
00927 |
未入力 隆親 (xxx)
くれかかる山田のたこのぬれ衣ほさてやあすも早苗とるへき
くれかかる−やまたのたこの−ぬれころも−ほさてやあすも−さなへとるへき |
00928 |
未入力 為家 (xxx)
道のへの山田のみしめ引きはへて長き日つきに早苗とるなり
みちのへの−やまたのみしめ−ひきはへて−なかきひつきに−さなへとるなり |
00929 |
未入力 公相 (xxx)
今よりは五月なりとやいそくらん山田の早苗とらぬ日そなき
いまよりは−さつきなりとや−いそくらむ−やまたのさなへ−とらぬひそなき |
00930 |
未入力 実雄 (xxx)
昨日まて苗代水をせきかけしわさ田の早苗今そとるなる
きのふまて−なはしろみつを−せきかけし−わさたのさなへ−いまそとるなる |
00931 |
未入力 信覚 (xxx)
早苗とる田子のもすそのみしふつきあせこす水にぬれぬ日そなき
さなへとる−たこのもすその−みしふつき−あせこすみつに−ぬれぬひそなき |
00932 |
未入力 為経 (xxx)
いそきとれ五月たけなは足引の山田の早苗程すきぬへし
いそきとれ−さつきたけなは−あしひきの−やまたのさなへ−ほとすきぬへし |
00933 |
未入力 忠定 (xxx)
早苗とる田の面の水のあさ緑すすしき色に山風そ吹く
さなへとる−たのものみつの−あさみとり−すすしきいろに−やまかせそふく |
00934 |
未入力 資季 (xxx)
山しろのとはたの面に立つ民もおのか時とや早苗とるらむ
やましろの−とはたのおもに−たつたみも−おのかときとや−さなへとるらむ |
00935 |
未入力 頼氏 (xxx)
今はとて早苗とるらしみ山田にせきいるる水の末そにこれる
いまはとて−さなへとるらし−みやまたに−せきいるるみつの−すゑそにこれる |
00936 |
未入力 有教 (xxx)
五月待つわさたの早苗老いぬとやおりたつ田子のけふいそくらん
さつきまつ−わさたのさなへ−おいぬとや−おりたつたこの−けふいそくらむ |
00937 |
未入力 師継 (xxx)
またれつる時は五月に成りにけり小田の早苗も今いそかなん
またれつる−ときはさつきに−なりにけり−をたのさなへも−いまいそかなむ |
00938 |
未入力 定嗣 (xxx)
坂こえて民はきにけりたつのゐるあへの田のもにさなへとるなり
さかこえて−たみはきにけり−たつのゐる−あへのたのもに−さなへとるなり |
00939 |
未入力 成実 (xxx)
五月きていそく早苗をとりもあへす御代さかゆへき程を知るかな
さつききて−いそくさなへを−とりもあへす−みよさかゆへき−ほとをしるかな |
00940 |
未入力 蓮性 (xxx)
けふも又田子のいた舟さしうけてぬま江をふかみとる早苗かな
けふもまた−たこのいたふね−さしうけて−ぬまえをふかみ−とるさなへかな |
00941 |
未入力 顕氏 (xxx)
みたやもりいそく早苗のとりとりによにふる道はけにそくるしき
みたやもり−いそくさなへの−とりとりに−よにふるみちは−けにそくるしき |
00942 |
未入力 寂能 (xxx)
まつら川あゆつるせせの水きよみにこらぬ末に早苗とるなり
まつらかは−あゆつるせせの−みつきよみ−にこらぬすゑに−さなへとるなり |
00943 |
未入力 為氏 (xxx)
おしなへて五月きぬとや足引の山田の早苗とらぬ日もなし
おしなへて−さつききぬとや−あしひきの−やまたのさなへ−とらぬひもなし |
00944 |
未入力 真観 (xxx)
まきおきし石田のわせの種なれは外にまたしき早苗とるなり
まきおきし−いしたのわせの−たねなれは−ほかにまたしき−さなへとるなり |
00945 |
未入力 寂西 (xxx)
かついそく田子のもろこゑ打ちむれてうたふや五月早苗とるなり
かついそく−たこのもろこゑ−うちむれて−うたふやさつき−さなへとるなり |
00946 |
未入力 為継 (xxx)
五月こぬ程と思へと小山田にはやもいそくか早苗とるなり
さつきこぬ−ほととおもへと−をやまたに−はやもいそくか−さなへとるなり |
00947 |
未入力 経朝 (xxx)
ますらをか山田の早苗とりとりにいそく五月に雨うるふなり
ますらをか−やまたのさなへ−とりとりに−いそくさつきに−あめうるふなり |
00948 |
未入力 行家 (xxx)
三輪川の水せきかけてやまとなるふるのわさたは早苗とるなり
みわかはの−みつせきかけて−やまとなる−ふるのわさたは−さなへとるなり |
00949 |
未入力 成実 (xxx)
五月きぬみとしろ小田にしめはへて神の宮つこ早苗とるらん
さつききぬ−みとしろをたに−しめはへて−かみのみやつこ−さなへとるらむ |
00950 |
未入力 隆祐 (xxx)
日くるれはうたふをとめかこゑすみてとほき田面に早苗とるなり
ひくるれは−うたふをとめか−こゑすみて−とほきたのもに−さなへとるなり |
00951 |
未入力 禅信 (xxx)
ひくしめのいくたひ民のいとまなく昨日もけふもとる早苗かな
ひくしめの−いくたひたみの−いとまなく−きのふもけふも−とるさなへかな |
00952 |
未入力 高倉 (xxx)
たまゆらにむろのはやわせとりそめて世渡るしつそくるしかりける
たまゆらに−むろのはやわせ−とりそめて−よわたるしつそ−くるしかりける |
00953 |
未入力 按察 (xxx)
今よりや早苗とるらんしつのめも五月まつ間はいそかさりしを
いまよりや−さなへとるらむ−しつのめも−さつきまつまは−いそかさりしを |
00954 |
未入力 帥 (xxx)
足引の山田のしつかいとまなみおのか五月ととるさなへかな
あしひきの−やまたのしつか−いとまなみ−おのかさつきと−とるさなへかな |
00955 |
未入力 小宰相 (xxx)
早苗とりおりたつたこのけしきまてをさまれる世はまつしるきかな
さなへとり−おりたつたこの−けしきまて−をさまれるよは−まつしるきかな |
00956 |
未入力 俊成女 (xxx)
小山田に早苗とるしつのぬれ衣たかためいそく袖のしつくそ
をやまたに−さなへとるしつの−ぬれころも−たかためいそく−そてのしつくそ |
00957 |
未入力 少将内侍 (xxx)
けふいくかぬれそふ袖をほしやらており立つ田子の早苗とるらん
けふいくか−ぬれそふそてを−ほしやらて−おりたつたこの−さなへとるらむ |
00958 |
未入力 弁内侍 (xxx)
小山田にまかする水のあさみこそ袖はひつらめ早苗とるまて
をやまたに−まかするみつの−あさみこそ−そてはひつらめ−さなへとるまて |
00959 |
未入力 但馬 (xxx)
早苗とるしつのをたまき長き日に猶くり返しぬらす袖かな
さなへとる−しつのをたまき−なかきひに−なほくりかへし−ぬらすそてかな |
00960 |
未入力 下野 (xxx)
雨ふれは山田の早苗とりとりにおり立つ田子のもすそぬらしつ
あめふれは−やまたのさなへ−とりとりに−おりたつたこの−もすそぬらしつ |
00961 |
未入力 御製 (xxx)
谷川の渡りしせせもひひくまて音こそまされ五月雨の比
たにかはの−わたりしせせも−ひひくまて−おとこそまされ−さみたれのころ |
00962 |
未入力 道助 (xxx)
はつせ山おのれ五月のやみそへてひはらの谷に雨そそくなり
はつせやま−おのれさつきの−やみそへて−ひはらのたにに−あめそそくなり |
00963 |
未入力 実氏 (xxx)
五月雨にたえやしぬらん音羽川うき木つたひの谷の通路
さみたれに−たえやしぬらむ−おとはかは−うききつたひの−たにのかよひち |
00964 |
未入力 基家 (xxx)
玉かつら谷のかけはし波こえてくる人たゆる五月雨のころ
たまかつら−たにのかけはし−なみこえて−くるひとたゆる−さみたれのころ |
00965 |
未入力 家良 (xxx)
ゆきなやみさされかくれぬ谷水のxxxxxxxxxxxxxx
ゆきなやみ−さされかくれぬ−たにみつの−xxxxxxx−xxxxxxx |
00966 |
未入力 基良 (xxx)
五月雨の雲さへふかき谷風はさまゆふいかて人にしられん
さみたれの−くもさへふかき−たにかせは−さまゆふいかて−ひとにしられむ |
00967 |
未入力 隆親 (xxx)
旅人のこまうちわたす道もなし細谷川の五月雨のころ
たひひとの−こまうちわたす−みちもなし−ほそたにかはの−さみたれのころ |
00968 |
未入力 為家 (xxx)
水まさる谷のむもれ木根をたえてさそはれいつる五月雨の比
みつまさる−たにのうもれき−ねをたえて−さそはれいつる−さみたれのころ |
00969 |
未入力 公相 (xxx)
谷川の岩間の水はかつこえて音まさり行く五月雨のころ
たにかはの−いはまのみつは−かつこえて−おとまさりゆく−さみたれのころ |
00970 |
未入力 実雄 (xxx)
谷川に通ひし水のいはつたひ波そこえ行く五月雨のころ
たにかはに−かよひしみつの−いはつたひ−なみそこえゆく−さみたれのころ |
00971 |
未入力 信覚 (xxx)
せきいるる谷のを河の五月雨にいはこす水も音とよむなり
せきいるる−たにのをかはの−さみたれに−いはこすみつも−おととよむなり |
00972 |
未入力 為経 (xxx)
日数へて水まさり行く五月雨になかれにけりな谷のかけはし
ひかすへて−みつまさりゆく−さみたれに−なかれにけりな−たにのかけはし |
00973 |
未入力 忠定 (xxx)
五月雨は谷のかよひち絶えにけり水の下なる波のかけはし
さみたれは−たにのかよひち−たえにけり−みつのしたなる−なみのかけはし |
00974 |
未入力 資季 (xxx)
をちこちの滝の数そふ五月雨に細谷川の音ひひくなり
をちこちの−たきのかすそふ−さみたれに−ほそたにかはの−おとひひくなり |
00975 |
未入力 頼氏 (xxx)
五月雨の日をふるままに埋木のそこともみえぬ谷の下水
さみたれの−ひをふるままに−うもれきの−そこともみえぬ−たにのしたみつ |
00976 |
未入力 有教 (xxx)
五月雨に谷のかけはし水こえて嶺のふし木をかよふ山人
さみたれに−たにのかけはし−みつこえて−みねのふしきを−かよふやまひと |
00977 |
未入力 師継 (xxx)
としへぬる谷の埋木あらはれてさてもやすきむ五月雨の比
としへぬる−たにのうもれき−あらはれて−さてもやすきむ−さみたれのころ |
00978 |
未入力 定嗣 (xxx)
渋谷のありそのさきもみえぬまて波たかからし五月雨の比
しふたにの−ありそのさきも−みえぬまて−なみたかからし−さみたれのころ |
00979 |
未入力 成実 (xxx)
さらてたには山か谷のいふせきに雲とちはつる五月雨の比
さらてたに−はやまかたにの−いふせきに−くもとちはつる−さみたれのころ |
00980 |
未入力 蓮性 (xxx)
谷川の滝つせせなるしら玉のをやみもみえぬ五月雨の空
たにかはの−たきつせせなる−しらたまの−をやみもみえぬ−さみたれのそら |
00981 |
未入力 顕氏 (xxx)
谷陰やむすふいほりのしはしたに袖まきほさぬ五月雨の比
たにかけや−むすふいほりの−しはしたに−そてまきほさぬ−さみたれのころ |
00982 |
未入力 寂能 (xxx)
五月雨にみをのはやせはととまらてよとみにわたす谷の柴橋
さみたれに−みをのはやせは−ととまらて−よとみにわたす−たにのしははし |
00983 |
未入力 為氏 (xxx)
五月雨はいくか日数のふりぬらんさなから淵の谷川の水
さみたれは−いくかひかすの−ふりぬらむ−さなからふちの−たにかはのみつ |
00984 |
未入力 真観 (xxx)
いはかねにとかくせかれし谷水のうへになかるる五月雨の比
いはかねに−とかくせかれし−たにみつの−うへになかるる−さみたれのころ |
00985 |
未入力 寂西 (xxx)
かけつくる谷のいほりの軒はよりしつくもなかし五月雨の比
かけつくる−たにのいほりの−のきはより−しつくもなかし−さみたれのころ |
00986 |
未入力 為継 (xxx)
五月雨に道こそなけれみなそこの岩ねつたひの谷のかけ橋
さみたれに−みちこそなけれ−みなそこの−いはねつたひの−たにのかけはし |
00987 |
未入力 経朝 (xxx)
五月雨によもの谷川水こえて波こそわたれせせの高はし
さみたれに−よものたにかは−みつこえて−なみこそわたれ−せせのたかはし |
00988 |
未入力 行家 (xxx)
五月雨に山のしつくもおちそひて岩波たかし谷川の水
さみたれに−やまのしつくも−おちそひて−いはなみたかし−たにかはのみつ |
00989 |
未入力 成茂 (xxx)
五月雨はのとかにふれと谷川の岩こす水は山もととろに
さみたれは−のとかにふれと−たにかはの−いはこすみつは−やまもととろに |
00990 |
未入力 隆祐 (xxx)
谷川のまかせぬ水はあまりきてかけひなかるる五月雨の比
たにかはの−まかせぬみつは−あまりきて−かけひなかるる−さみたれのころ |
00991 |
未入力 禅信 (xxx)
流れそふ山のしつくの五月雨にあさせもふかき谷川の水
なかれそふ−やまのしつくの−さみたれに−あさせもふかき−たにかはのみつ |
00992 |
未入力 高倉 (xxx)
五月雨に谷のかけはし水こえてゆききもみえぬみねの通路
さみたれに−たにのかけはし−みつこえて−ゆききもみえぬ−みねのかよひち |
00993 |
未入力 按察 (xxx)
谷のとのいはかきし水いかはかりこの五月雨に流れそふらむ
たにのとの−いはかきしみつ−いかはかり−このさみたれに−なかれそふらむ |
00994 |
未入力 帥 (xxx)
五月雨のはれまもみえぬ比なれはさそ朽ちぬらん谷の埋木
さみたれの−はれまもみえぬ−ころなれは−さそくちぬらむ−たにのうもれき |
00995 |
未入力 小宰相 (xxx)
いかはかり谷のいはかきこえつらん川音たかき五月雨の比
いかはかり−たにのいはかき−こえつらむ−かはおとたかき−さみたれのころ |
00996 |
未入力 俊成女 (xxx)
谷陰やとふ人まれの通路も水なみxxx五月雨の比
たにかけや−とふひとまれの−かよひちも−みつなみxxx−さみたれのころ |
00997 |
未入力 少将内侍 (xxx)
かきくらしふる五月雨の比をへて谷のを川も音まさるなり
かきくらし−ふるさみたれの−ころをへて−たにのをかはも−おとまさるなり |
00998 |
未入力 弁内侍 (xxx)
谷陰の石間つたひの忘水なかれてまさるさみたれの比
たにかけの−いしまつたひの−わすれみつ−なかれてまさる−さみたれのころ |
00999 |
未入力 但馬 (xxx)
さらてたに日影すくなき谷のとにあくるもしらぬ五月雨の空
さらてたに−ひかけすくなき−たにのとに−あくるもしらぬ−さみたれのそら |
01000 |
未入力 下野 (xxx)
ふりそむる日数やあさき五月雨に谷のいはまの水もまさらす
ふりそむる−ひかすやあさき−さみたれに−たにのいはまの−みつもまさらす |
01001 |
未入力 御製 (xxx)
ふりたつるゆすゑも見えす夏草の野島か道を過くる狩人
ふりたつる−ゆすゑもみえす−なつくさの−のしまかみちを−すくるかりひと |
01002 |
未入力 道助 (xxx)
夏草にましるさゆりはおのつから秋にしられぬ露やおくらん
なつくさに−ましるさゆりは−おのつから−あきにしられぬ−つゆやおくらむ |
01003 |
未入力 実氏 (xxx)
露むすふ籬にふかき夏草のなにともなしにことしけの身や
つゆむすふ−まかきにふかき−なつくさの−なにともなしに−ことしけのみや |
01004 |
未入力 基家 (xxx)
あけわたる夏野分行く里人は草かくれにや友よはふらん
あけわたる−なつのわけゆく−さとひとは−くさかくれにや−ともよはふらむ |
01005 |
未入力 家良 (xxx)
ますらをはいたくなかりそ姫ゆりのしけみにましる花もこそあれ
ますらをは−いたくなかりそ−ひめゆりの−しけみにましる−はなもこそあれ |
01006 |
未入力 基良 (xxx)
かりにとふ人たにみえす露ふかき夏野の庵の草の下道
かりにとふ−ひとたにみえす−つゆふかき−なつののいほの−くさのしたみち |
01007 |
未入力 隆親 (xxx)
まくすはふ夏野の草はしけれとも君か御代には道そおほかる
まくすはふ−なつののくさは−しけれとも−きみかみよには−みちそおほかる |
01008 |
未入力 為家 (xxx)
かへりみぬなこりそいまも故郷はやつれてのみとしける夏草
かへりみぬ−なこりそいまも−ふるさとは−やつれてのみと−しけるなつくさ |
01009 |
未入力 公相 (xxx)
武蔵野やほりかねの井のふかくのみしけりそまさる四方の夏草
むさしのや−ほりかねのゐの−ふかくのみ−しけりそまさる−よものなつくさ |
01010 |
未入力 実雄 (xxx)
分けわひて今も人めはかれぬへししける夏のの草のふかさに
わけわひて−いまもひとめは−かれぬへし−しけるなつのの−くさのふかさに |
01011 |
未入力 信覚 (xxx)
吹く風の音こそたてね夏草の下露むすふ野辺のふる道
ふくかせの−おとこそたてね−なつくさの−したつゆむすふ−のへのふるみち |
01012 |
未入力 為経 (xxx)
しけり行く草は夏野にふかくとも道ある世には人もまよはし
しけりゆく−くさはなつのに−ふかくとも−みちあるよには−ひともまよはし |
01013 |
未入力 忠定 (xxx)
この比はかこはぬ草のやへかきに夏野の野守もるひまやなき
このころは−かこはぬくさの−やへかきに−なつのののもり−もるひまやなき |
01014 |
未入力 資季 (xxx)
磯上ふるの中道いまさらにふみ分けかたくしけるなつ草
いそのかみ−ふるのなかみち−いまさらに−ふみわけかたく−しけるなつくさ |
01015 |
未入力 頼氏 (xxx)
さかりなる野島かさきの夏草に秋待つ露はおきもつくさし
さかりなる−のしまかさきの−なつくさに−あきまつつゆは−おきもつくさし |
01016 |
未入力 有教 (xxx)
しけり行く夏野の草の深緑なひく葉すゑの風そ涼しき
しけりゆく−なつののくさの−ふかみとり−なひくはすゑの−かせそすすしき |
01017 |
未入力 師継 (xxx)
おほあらきの杜の下草跡もなしふかくや草のしけりはてぬる
おほあらきの−もりのしたくさ−あともなし−ふかくやくさの−しけりはてぬる |
01018 |
未入力 定嗣 (xxx)
とほつ人なつみくるかも深山ちの夏野の草のしけるこの比
とほつひと−なつみくるかも−みやまちの−なつののくさの−しけるこのころ |
01019 |
未入力 成実 (xxx)
狩人のいるのの草のしけけれははやむる駒も行きなつむらし
かりひとの−いるののくさの−しけけれは−はやむるこまも−ゆきなつむらし |
01020 |
未入力 蓮性 (xxx)
いまたにも引く人あれや山しろのこまのうりふにおふる下草
いまたにも−ひくひとあれや−やましろの−こまのうりふに−おふるしたくさ |
01021 |
未入力 顕氏 (xxx)
かる人もなくてや今もしけるらんふみ分けかたき杜の下草
かるひとも−なくてやいまも−しけるらむ−ふみわけかたき−もりのしたくさ |
01022 |
未入力 寂能 (xxx)
はつまきのをふのしけみになくかはつ草の物いふむかしおもほゆ
はつまきの−をふのしけみに−なくかはつ−くさのものいふ−むかしおもほゆ |
01023 |
未入力 為氏 (xxx)
夏ふかく成りにけらしな唐衣すそのの杜のかけの下草
なつふかく−なりにけらしな−からころも−すそののもりの−かけのしたくさ |
01024 |
未入力 真観 (xxx)
かれはてん後もうらめしまくすてふ夏のの草をかる人もかな
かれはてむ−のちもうらめし−まくすてふ−なつののくさを−かるひともかな |
01025 |
未入力 寂西 (xxx)
片山のはたのかきほの薄原たねよりもけにしける夏かな
かたやまの−はたのかきほの−すすきはら−たねよりもけに−しけるなつかな |
01026 |
未入力 為継 (xxx)
故郷は庭もまかきも夏草のしけるよりこそ野とも成るらめ
ふるさとは−にはもまかきも−なつくさの−しけるよりこそ−のともなるらめ |
01027 |
未入力 経朝 (xxx)
春にあかぬなかめせしまに玉ほこの道みえぬまてしける草かな
はるにあかぬ−なかめせしまに−たまほこの−みちみえぬまて−しけるくさかな |
01028 |
未入力 行家 (xxx)
今ははや道ふみたえてこぬ人のつらさあらはすやとの夏草
いまははや−みちふみたえて−こぬひとの−つらさあらはす−やとのなつくさ |
01029 |
未入力 成茂 (xxx)
しけりあふ夏野の草も吹きわけて道のしるへの風そ涼しき
しけりあふ−なつののくさも−ふきわけて−みちのしるへの−かせそすすしき |
01030 |
未入力 隆祐 (xxx)
あしのやのあれにし跡もこの比はひまこそなけれ草かくれつつ
あしのやの−あれにしあとも−このころは−ひまこそなけれ−くさかくれつつ |
01031 |
未入力 禅信 (xxx)
ふみ分けてとふへき程の道もなししけき夏野の深草の里
ふみわけて−とふへきほとの−みちもなし−しけきなつのの−ふかくさのさと |
01032 |
未入力 高倉 (xxx)
ふる里の露のよすかをしるへとやはらはぬ庭にしける夏草
ふるさとの−つゆのよすかを−しるへとや−はらはぬにはに−しけるなつくさ |
01033 |
未入力 按察 (xxx)
おもへとも夏野の草のさしもなとしけくは物のかなしかるらん
おもへとも−なつののくさの−さしもなと−しけくはものの−かなしかるらむ |
01034 |
未入力 帥 (xxx)
山里のしつか牆ねの草かつらくる人なしとしけるころかな
やまさとの−しつかかきねの−くさかつら−くるひとなしと−しけるころかな |
01035 |
未入力 小宰相 (xxx)
すすしさはくれ行く空もなかりけり風吹きわけぬ草のしけみに
すすしさは−くれゆくそらも−なかりけり−かせふきわけぬ−くさのしけみに |
01036 |
未入力 俊成女 (xxx)
人めなくあれ行くやとは夏草の心のままにしける庭かな
ひとめなく−あれゆくやとは−なつくさの−こころのままに−しけるにはかな |
01037 |
未入力 少将内侍 (xxx)
夏草は心のままにしけれたたむすふはかりの庵にもせむ
なつくさは−こころのままに−しけれたた−むすふはかりの−いほりにもせむ |
01038 |
未入力 弁内侍 (xxx)
山かつのかきほにしける夏草にかこはぬ道も跡や絶えなん
やまかつの−かきほにしける−なつくさに−かこはぬみちも−あとやたえなむ |
01039 |
未入力 但馬 (xxx)
しけりあふ夏野の草をかき分けてかりにもとはん人はまたれす
しけりあふ−なつののくさを−かきわけて−かりにもとはむ−ひとはまたれす |
01040 |
未入力 下野 (xxx)
分けわひぬをち方人の跡たえて夏のの草に道もまとひぬ
わけわひぬ−をちかたひとの−あとたえて−なつののくさに−みちもまとひぬ |
01041 |
未入力 御製 (xxx)
夏の夜も影そすすしき久方の月のいつこに秋やとるらん
なつのよも−かけそすすしき−ひさかたの−つきのいつこに−あきやとるらむ |
01042 |
未入力 道助 (xxx)
しるしらす道行く人も山の井に水よりむすふ月そすすしき
しるしらす−みちゆくひとも−やまのゐに−みつよりむすふ−つきそすすしき |
01043 |
未入力 実氏 (xxx)
玉こゆるはすのうき葉にやとかりて影もにこらぬ夏の夜の月
たまこゆる−はすのうきはに−やとかりて−かけもにこらぬ−なつのよのつき |
01044 |
未入力 基家 (xxx)
をしむらん山のあなたにしらねともいつるはおそき夏のよの月
をしむらむ−やまのあなたに−しらねとも−いつるはおそき−なつのよのつき |
01045 |
未入力 家良 (xxx)
難波かたくもるはつらし夏かりの蘆のみしかき夜はの月影
なにはかた−くもるはつらし−なつかりの−あしのみしかき−よはのつきかけ |
01046 |
未入力 基良 (xxx)
雪の色のよはの扇におもなれていつる月さへ閨そ涼し
ゆきのいろの−よはのあふきに−おもなれて−いつるつきさへ−ねやそすすしき |
01047 |
未入力 隆親 (xxx)
瀬のこゑも秋にちかつく川水に夏をよそなる月の影かな
せのこゑも−あきにちかつく−かはみつに−なつをよそなる−つきのかけかな |
01048 |
未入力 為家 (xxx)
名にたつるさこそみしか夜あかなくに月には夏のしられすもかな
なにたつる−さこそみしかよ−あかなくに−つきにはなつの−しられすもかな |
01049 |
未入力 公相 (xxx)
夏の夜は山のはいつる月影のさなからのこる在明のそら
なつのよは−やまのはいつる−つきかけの−さなからのこる−ありあけのそら |
01050 |
未入力 実雄 (xxx)
よそへつる扇の風やかよふらん涼しくすめる山のはの月
よそへつる−あふきのかせや−かよふらむ−すすしくすめる−やまのはのつき |
01051 |
未入力 信覚 (xxx)
ささ竹のみしかき夜はのうたたねに月影すすし庭の木かくれ
ささたけの−みしかきよはの−うたたねに−つきかけすすし−にはのこかくれ |
01052 |
未入力 為経 (xxx)
あまの戸はあけやすくとも山のはに影さしとめよ夏のよの月
あまのとは−あけやすくとも−やまのはに−かけさしとめよ−なつのよのつき |
01053 |
未入力 忠定 (xxx)
月のすむと山に秋をならしはのしはしもみせすあくる空かな
つきのすむ−とやまにあきを−ならしはの−しはしもみせす−あくるそらかな |
01054 |
未入力 資季 (xxx)
夏の夜もむすへる霜とみゆるまて袖に涼しき月の影かな
なつのよも−むすへるしもと−みゆるまて−そてにすすしき−つきのかけかな |
01055 |
未入力 頼氏 (xxx)
あまの河このせにのこる夏の月みつかけ草のかけやあふらん
あまのかは−このせにのこる−なつのつき−みつかけくさの−かけやあふらむ |
01056 |
未入力 有教 (xxx)
夏衣ひとへに秋の心ちして袖に涼しき夜はの月かけ
なつころも−ひとへにあきの−ここちして−そてにすすしき−よはのつきかけ |
01057 |
未入力 師継 (xxx)
心あらはいててもふけよ夏のよのみるもみしかき山のはの月
こころあらは−いててもふけよ−なつのよの−みるもみしかき−やまのはのつき |
01058 |
未入力 定嗣 (xxx)
夏なれと庭のいさこにおくしものしろきをみれはてる月夜かな
なつなれと−にはのいさこに−おくしもの−しろきをみれは−てるつきよかな |
01059 |
未入力 成実 (xxx)
吹く風のならのはそよく夏山の秋のけしきにすめる月かけ
ふくかせの−ならのはそよく−なつやまの−あきのけしきに−すめるつきかけ |
01060 |
未入力 蓮性 (xxx)
待つほとにふけなはいかに短夜の心もしらぬ山のはの月
まつほとに−ふけなはいかに−みしかよの−こころもしらぬ−やまのはのつき |
01061 |
未入力 顕氏 (xxx)
ま木のとのあくるもやすき短夜にまたれす出てよいさよひの月
まきのとの−あくるもやすき−みしかよに−またれすいてよ−いさよひのつき |
01062 |
未入力 寂能 (xxx)
あまのとのあくるほとなき夜はの月またて水鶏のなにたたくらん
あまのとの−あくるほとなき−よはのつき−またてくひなの−なにたたくらむ |
01063 |
未入力 為氏 (xxx)
夏かりの玉江のあしのみしか夜はけにあけやすき月の影かな
なつかりの−たまえのあしの−みしかよは−けにあけやすき−つきのかけかな |
01064 |
未入力 真観 (xxx)
秋とてもかはかりこそは待ちもみめすすしく山をいつる月かな
あきとても−かはかりこそは−まちもみめ−すすしくやまを−いつるつきかな |
01065 |
未入力 寂西 (xxx)
みしか夜の月をやとせは夏衣うすくもかけのあけ渡るかな
みしかよの−つきをやとせは−なつころも−うすくもかけの−あけわたるかな |
01066 |
未入力 為継 (xxx)
月ゆゑにをしと思ふ夜の夏なれとふす程もなくあくる空かな
つきゆゑに−をしとおもふよの−なつなれと−ふすほともなく−あくるそらかな |
01067 |
未入力 経朝 (xxx)
夏山の木間やくらくしけるらんもりくる月の影そ稀なる
なつやまの−このまやくらく−しけるらむ−もりくるつきの−かけそまれなる |
01068 |
未入力 行家 (xxx)
夏と秋と行あひちかき空なれはさそな夜渡る月はすすしき
なつとあきと−ゆきあひちかき−そらなれは−さそなよわたる−つきはすすしき |
01069 |
未入力 成茂 (xxx)
なかめつつたたすすしさの時の間もあかぬにあくる夏のよの月
なかめつつ−たたすすしさの−ときのまも−あかぬにあくる−なつのよのつき |
01070 |
未入力 隆祐 (xxx)
よひの間にしはしたたよふ雲間より待出ててみれはあくる月影
よひのまに−しはしたたよふ−くもまより−まちいててみれは−あくるつきかけ |
01071 |
未入力 禅信 (xxx)
かたふかて月のあけ行くみしか夜はいる方をしむ山のはもなし
かたふかて−つきのあけゆく−みしかよは−いるかたをしむ−やまのはもなし |
01072 |
未入力 高倉 (xxx)
夏ふかき木すゑを月のもりかねて雲にやとかる夜はそみしかき
なつふかき−こすゑをつきの−もりかねて−くもにやとかる−よはそみしかき |
01073 |
未入力 按察 (xxx)
月みすて思ひしよりも夏のよのみしかき程は今そしらるる
つきみすて−おもひしよりも−なつのよの−みしかきほとは−いまそしらるる |
01074 |
未入力 帥 (xxx)
夏のよはねなくにあくる空そとも月みて人やいひはしめけん
なつのよは−ねなくにあくる−そらそとも−つきみてひとや−いひはしめけむ |
01075 |
未入力 小宰相 (xxx)
木間行くほとたにをしき夏の月山のはにけよ空にのこさむ
このまゆく−ほとたにをしき−なつのつき−やまのはにけよ−そらにのこさむ |
01076 |
未入力 俊成女 (xxx)
影やとすうつせみのはの衣手にくもるくまなき夏のよの月
かけやとす−うつせみのはの−ころもてに−くもるくまなき−なつのよのつき |
01077 |
未入力 少将内侍 (xxx)
山のはにせめては月のかたふくとみてたに夏のよをあかさはや
やまのはに−せめてはつきの−かたふくと−みてたになつの−よをあかさはや |
01078 |
未入力 弁内侍 (xxx)
まきのとをささてもあけぬ夏のよのうたたねにのみ月をみしまに
まきのとを−ささてもあけぬ−なつのよの−うたたねにのみ−つきをみしまに |
01079 |
未入力 但馬 (xxx)
てにならす扇の風も忘られてねやもる月の影そすすしき
てにならす−あふきのかせも−わすられて−ねやもるつきの−かけそすすしき |
01080 |
未入力 下野 (xxx)
夏の夜のあくるははやきあまの河なかるる月をせく人もかな
なつのよの−あくるははやき−あまのかは−なかるるつきを−せくひともかな |
01081 |
未入力 御製 (xxx)
山水のたきりておつる岩かけに玉ちりまかひとふほたるかな
やまみつの−たきりておつる−いはかけに−たまちりまかひ−とふほたるかな |
01082 |
未入力 道助 (xxx)
とふ蛍消えぬ思ひもあらはれて水かけ草に露そおきそふ
とふほたる−きえぬおもひも−あらはれて−みつかけくさに−つゆそおきそふ |
01083 |
未入力 実氏 (xxx)
下くらきあしまの水に影みえて数もあらはにとふほたるかな
したくらき−あしまのみつに−かけみえて−かすもあらはに−とふほたるかな |
01084 |
未入力 基家 (xxx)
きよきせに蛍ゆふゐる玉ささの葉分の水の色そ涼しき
きよきせに−ほたるゆふゐる−たまささの−はわけのみつの−いろそすすしき |
01085 |
未入力 家良 (xxx)
みこもりのぬまのいはかき我はかり行方みえてとふ蛍かな
みこもりの−ぬまのいはかき−われはかり−ゆくかたみえて−とふほたるかな |
01086 |
未入力 基良 (xxx)
行くほたるよそにみきはのひかりにも窓をてらさぬ身はしつみつつ
ゆくほたる−よそにみきはの−ひかりにも−まとをてらさぬ−みはしつみつつ |
01087 |
未入力 隆親 (xxx)
なかれ行く音もすすしき山河の岩間かくれにとふほたるかな
なかれゆく−おともすすしき−やまかはの−いはまかくれに−とふほたるかな |
01088 |
未入力 為家 (xxx)
もえあかす夜はの蛍の思ひにも野中の水やぬるまさるらん
もえあかす−よはのほたるの−おもひにも−のなかのみつや−ぬるまさるらむ |
01089 |
未入力 公相 (xxx)
あし曳の山下水のしたにさへ影をならへてとふほたるかな
あしひきの−やましたみつの−したにさへ−かけをならへて−とふほたるかな |
01090 |
未入力 実雄 (xxx)
草ふかみありともみえぬ忘水すたく蛍のひかりにそしる
くさふかみ−ありともみえぬ−わすれみつ−すたくほたるの−ひかりにそしる |
01091 |
未入力 信覚 (xxx)
袖のうへの思ひはおなし夏むしの影やとし行く山川のみつ
そてのうへの−おもひはおなし−なつむしの−かけやとしゆく−やまかはのみつ |
01092 |
未入力 為経 (xxx)
あたりたにすすしき水の上になともえて蛍のよをわたるらん
あたりたに−すすしきみつの−うへになと−もえてほたるの−よをわたるらむ |
01093 |
未入力 忠定 (xxx)
外よりも蛍のしけく成行くはのさはの水にかけやうつれる
ほかよりも−ほたるのしけく−なりゆくは−のさはのみつに−かけやうつれる |
01094 |
未入力 資季 (xxx)
いつ方に行くともみえぬ沼水に影をならへてとふ蛍かな
いつかたに−ゆくともみえぬ−ぬまみつに−かけをならへて−とふほたるかな |
01095 |
未入力 頼氏 (xxx)
くれゆけはこの下くらき岩橋のみたらし河にとふ蛍かな
くれゆけは−このしたくらき−いははしの−みたらしかはに−とふほたるかな |
01096 |
未入力 有教 (xxx)
蘆わくる波のよるとそくらからしおのれともして行く蛍かな
あしわくる−なみのよるとそ−くらからし−おのれともして−ゆくほたるかな |
01097 |
未入力 師継 (xxx)
夏のよは波にほたるの影そへてみきはによする玉かとそみる
なつのよは−なみにほたるの−かけそへて−みきはによする−たまかとそみる |
01098 |
未入力 定嗣 (xxx)
水の面にすたく蛍をあつめこししるしや今のひかりともなる
みつのおもに−すたくほたるを−あつめこし−しるしやいまの−ひかりともなる |
01099 |
未入力 成実 (xxx)
せきとめてすすむ木陰の山水にゆふくれしるくとふ蛍かな
せきとめて−すすむこかけの−やまみつに−ゆふくれしるく−とふほたるかな |
01100 |
未入力 蓮性 (xxx)
これは又衛士のたく火かももしきのみかはの池の夏虫の影
これはまた−ゑしのたくひか−ももしきの−みかはのいけの−なつむしのかけ |
01101 |
未入力 顕氏 (xxx)
山川の岩間の水のたえたえにひかりもみえてとふ蛍かな
やまかはの−いはまのみつの−たえたえに−ひかりもみえて−とふほたるかな |
01102 |
未入力 寂能 (xxx)
ふる河のみくつせかれししからみにのこるかかりは蛍なりける
ふるかはの−みくつせかれし−しからみに−のこるかかりは−ほたるなりける |
01103 |
未入力 為氏 (xxx)
沢水に消えぬ思ひのほとみえてわれつれなくもとふ蛍かな
さはみつに−きえぬおもひの−ほとみえて−われつれなくも−とふほたるかな |
01104 |
未入力 真観 (xxx)
思ひけつかたもやあると石はしる滝つあたりを行く蛍かな
おもひけつ−かたもやあると−いしはしる−たきつあたりを−ゆくほたるかな |
01105 |
未入力 寂西 (xxx)
みなそこにもえたる影のうつらすはかた思ひなる蛍ならまし
みなそこに−もえたるかけの−うつらすは−かたおもひなる−ほたるならまし |
01106 |
未入力 為継 (xxx)
夕すすみせくてふ水の影に又もゆるほたるの思ひをそみる
ゆふすすみ−せくてふみつの−かけにまた−もゆるほたるの−おもひをそみる |
01107 |
未入力 経朝 (xxx)
草ふかき沢への水にすむ蛍いはぬ思ひのしたそつれなき
くさふかき−さはへのみつに−すむほたる−いはぬおもひの−したそつれなき |
01108 |
未入力 行家 (xxx)
くれぬるか浅沢水のたえたえにひかりみえても行く蛍かな
くれぬるか−あささはみつの−たえたえに−ひかりみえても−ゆくほたるかな |
01109 |
未入力 成茂 (xxx)
かくれぬの流れぬ水にすたきてもいつ方となくゆく蛍かな
かくれぬの−なかれぬみつに−すたきても−いつかたとなく−ゆくほたるかな |
01110 |
未入力 隆祐 (xxx)
行く水の底にみたるる影みえてよるの玉もやほたるなるらん
ゆくみつの−そこにみたるる−かけみえて−よるのたまもや−ほたるなるらむ |
01111 |
未入力 禅信 (xxx)
くらき夜もおのかひかりをしるへにて野沢の水にとふ蛍かな
くらきよも−おのかひかりを−しるへにて−のさはのみつに−とふほたるかな |
01112 |
未入力 高倉 (xxx)
はれぬよは野沢の水に影まよひ蛍も里もわきそかねぬる
はれぬよは−のさはのみつに−かけまよひ−ほたるもさとも−わきそかねぬる |
01113 |
未入力 按察 (xxx)
行く蛍きえぬ思ひのたくひとや水の底なるかけをみるらん
ゆくほたる−きえぬおもひの−たくひとや−みつのそこなる−かけをみるらむ |
01114 |
未入力 帥 (xxx)
名取川いかにせむとか日くるれはせせにみたれて蛍とふらん
なとりかは−いかにせむとか−ひくるれは−せせにみたれて−ほたるとふらむ |
01115 |
未入力 小宰相 (xxx)
くれにけりすたく蛍の数数に名もあらはるる井ての玉水
くれにけり−すたくほたるの−かすかすに−なもあらはるる−ゐてのたまみつ |
01116 |
未入力 俊成女 (xxx)
秋ちかし雲井まてとや行く蛍さはへの水にかけのみたるる
あきちかし−くもゐまてとや−ゆくほたる−さはへのみつに−かけのみたるる |
01117 |
未入力 少将内侍 (xxx)
さりとても思ひはきえしとふ蛍下行くみつにもえあかすなり
さりとても−おもひはきえし−とふほたる−したゆくみつに−もえあかすなり |
01118 |
未入力 弁内侍 (xxx)
身より猶あまる思ひをさそふ水ありとやここにほたるとふらん
みよりなほ−あまるおもひを−さそふみつ−ありとやここに−ほたるとふらむ |
01119 |
未入力 但馬 (xxx)
とふほたる野中の水に影みえてもゆる思ひのほとやしるらん
とふほたる−のなかのみつに−かけみえて−もゆるおもひの−ほとやしるらむ |
01120 |
未入力 下野 (xxx)
みたらしやささわくる水にとふ蛍もゆる影さへすすしかりけり
みたらしや−ささわくるみつに−とふほたる−もゆるかけさへ−すすしかりけり |
01121 |
未入力 御製 (xxx)
かきくらす空ともみえす夕立の過行く雲に入日さしつつ
かきくらす−そらともみえす−ゆふたちの−すきゆくくもに−いりひさしつつ |
01122 |
未入力 道助 (xxx)
日をさふるならのひろ葉に鳴く蝉の声よりはるる夕立の空
ひをさふる−ならのひろはに−なくせみの−こゑよりはるる−ゆふたちのそら |
01123 |
未入力 実氏 (xxx)
山たかみ梢にあらき風すきて谷よりのほる夕立の雲
やまたかみ−こすゑにあらき−かせすきて−たによりのほる−ゆふたちのくも |
01124 |
未入力 基家 (xxx)
淡路島ゆふたちすらし住吉の岸のむかひにかかる村雲
あはちしま−ゆふたちすらし−すみよしの−きしのむかひに−かかるむらくも |
01125 |
未入力 家良 (xxx)
見わたしの山のはまてはくもれとも里をわきつる夕立の空
みわたしの−やまのはまては−くもれとも−さとをわきつる−ゆふたちのそら |
01126 |
未入力 基良 (xxx)
片山は日影うつろふそらなからさとわきて行く夕立の雲
かたやまは−ひかけうつろふ−そらなから−さとわきてゆく−ゆふたちのくも |
01127 |
未入力 隆親 (xxx)
秋のくる日数もまたす浅茅生に露おきそむる夕立の空
あきのくる−ひかすもまたす−あさちふに−つゆおきそむる−ゆふたちのそら |
01128 |
未入力 為家 (xxx)
山本のをちの日影はさたかにてかたへすすしき夕立の空
やまもとの−をちのひかけは−さたかにて−かたへすすしき−ゆふたちのそら |
01129 |
未入力 公相 (xxx)
朝露の跡みぬ庭のあさちふに玉ぬきかくるゆふ立のあめ
あさつゆの−あとみぬにはの−あさちふに−たまぬきかくる−ゆふたちのあめ |
01130 |
未入力 実雄 (xxx)
この里は雲間もみえぬ夕立に日かけいさよふをちの山のは
このさとは−くもまもみえぬ−ゆふたちに−ひかけいさよふ−をちのやまのは |
01131 |
未入力 信覚 (xxx)
風過きて夕立はるる片岡の露にをれふすやまとなてしこ
かせすきて−ゆふたちはるる−かたをかの−つゆにをれふす−やまとなてしこ |
01132 |
未入力 為経 (xxx)
うちなひくもりの木の葉に露おちて名残もしるき夕立の雨
うちなひく−もりのこのはに−つゆおちて−なこりもしるき−ゆふたちのあめ |
01133 |
未入力 忠定 (xxx)
風あらき昨日の雲のけしきにて又やとみゆるゆふ立の雨
かせあらき−きのふのくもの−けしきにて−またやとみゆる−ゆふたちのあめ |
01134 |
未入力 資季 (xxx)
夕立のすきぬる跡の名残まて庭のあさちの露そ涼しき
ゆふたちの−すきぬるあとの−なこりまて−にはのあさちの−つゆそすすしき |
01135 |
未入力 頼氏 (xxx)
かきくらす空も程なき夕立の雲にたまらぬいなつまの影
かきくらす−そらもほとなき−ゆふたちの−くもにたまらぬ−いなつまのかけ |
01136 |
未入力 有教 (xxx)
夕立の雲は一村すきぬれといく里かけて露のおくらん
ゆふたちの−くもはひとむら−すきぬれと−いくさとかけて−つゆのおくらむ |
01137 |
未入力 師継 (xxx)
思ひやるそなたの雲になる神のおとにのみきくゆふ立の空
おもひやる−そなたのくもに−なるかみの−おとにのみきく−ゆふたちのそら |
01138 |
未入力 定嗣 (xxx)
夕立の雨しふれれは久方のあまかこ山に雲そおほへる
ゆふたちの−あめしふれれは−ひさかたの−あまかこやまに−くもそおほへる |
01139 |
未入力 成実 (xxx)
河上のゆつはの村にすきにけり此里まては夕立もせす
かはかみの−ゆつはのむらに−すきにけり−このさとまては−ゆふたちもせす |
01140 |
未入力 蓮性 (xxx)
たかねより夕立雲にふる雨の音ははけしき山おろしの風
たかねより−ゆふたちくもに−ふるあめの−おとははけしき−やまおろしのかせ |
01141 |
未入力 顕氏 (xxx)
いなつまのひかりはかりや残るらん夕立過くる雲のまにまに
いなつまの−ひかりはかりや−のこるらむ−ゆふたちすくる−くものまにまに |
01142 |
未入力 寂能 (xxx)
いくかてるいはもとすけのよられ葉も露おきうるふ夕立の空
いくかてる−いはもとすけの−よられはも−つゆおきうるふ−ゆふたちのそら |
01143 |
未入力 為氏 (xxx)
かきくもる空とみえつる夕立は又いつ方に遠さかるらん
かきくもる−そらとみえつる−ゆふたちは−またいつかたに−とほさかるらむ |
01144 |
未入力 真観 (xxx)
山のはの雲のけしきをみつるよりかねてもしるし夕立の空
やまのはの−くものけしきを−みつるより−かねてもしるし−ゆふたちのそら |
01145 |
未入力 寂西 (xxx)
みれは又さも名残なく晴れにけりこほしかけつる夕立の雨
みれはまた−さもなこりなく−はれにけり−こほしかけつる−ゆふたちのあめ |
01146 |
未入力 為継 (xxx)
くもりつるたた一村の跡はれて又名残なき夕立の空
くもりつる−たたひとむらの−あとはれて−またなこりなき−ゆふたちのそら |
01147 |
未入力 経朝 (xxx)
夕立の空とはかりはなる神もこゑをさまれる雲の上かな
ゆふたちの−そらとはかりは−なるかみも−こゑをさまれる−くものうへかな |
01148 |
未入力 行家 (xxx)
ゆふたちの雨の名残ははちす葉に玉こす露のさもそ涼しき
ゆふたちの−あめのなこりは−はちすはに−たまこすつゆの−さもそすすしき |
01149 |
未入力 成茂 (xxx)
夏山の木のはの色はそめねとも時雨ににたる夕立のそら
なつやまの−このはのいろは−そめねとも−しくれににたる−ゆふたちのそら |
01150 |
未入力 隆祐 (xxx)
木の本も音はさすかにたゆむなりのこるしつくの夕立のあめ
このもとも−おとはさすかに−たゆむなり−のこるしつくの−ゆふたちのあめ |
01151 |
未入力 禅信 (xxx)
波こゆとぬるる草木やおもふらん夕立すくるすゑの松やま
なみこゆと−ぬるるくさきや−おもふらむ−ゆふたちすくる−すゑのまつやま |
01152 |
未入力 高倉 (xxx)
うかれ行くよその村雲さそひきて晴間もみせぬ夕立の空
うかれゆく−よそのむらくも−さそひきて−はれまもみせぬ−ゆふたちのそら |
01153 |
未入力 按察 (xxx)
夏の日もすすしかりけり風はやみ雲の行きかふ夕たちの空
なつのひも−すすしかりけり−かせはやみ−くものゆきかふ−ゆふたちのそら |
01154 |
未入力 帥 (xxx)
山めくる雲の下にそ成りにけるふもとの里の夕立のそら
やまめくる−くものしたにそ−なりにける−ふもとのさとの−ゆふたちのそら |
01155 |
未入力 小宰相 (xxx)
夕立の雲路はるかになるままに入日色こきにしの山のは
ゆふたちの−くもちはるかに−なるままに−いりひいろこき−にしのやまのは |
01156 |
未入力 俊成女 (xxx)
夕立の名残の露のかことにも秋をかけたるをののしの原
ゆふたちの−なこりのつゆの−かことにも−あきをかけたる−をののしのはら |
01157 |
未入力 少将内侍 (xxx)
此里も雲はすくれと夕立の山よりをちに音そきこゆる
このさとも−くもはすくれと−ゆふたちの−やまよりをちに−おとそきこゆる |
01158 |
未入力 弁内侍 (xxx)
おのつからかたへの雲や晴れぬらん山のはとほき夕立のそら
おのつから−かたへのくもや−はれぬらむ−やまのはとほき−ゆふたちのそら |
01159 |
未入力 但馬 (xxx)
たか里のよそなる雲と思ふまにやかてはけしきゆふ立の空
たかさとの−よそなるくもと−おもふまに−やかてはけしき−ゆふたちのそら |
01160 |
未入力 下野 (xxx)
夕立の雲こそおそくなりにけれま木の板やに音よわるなり
ゆふたちの−くもこそおそく−なりにけれ−まきのいたやに−おとよわるなり |
01161 |
未入力 御製 (xxx)
大ぬさの引く手あまたの里ことになこしのはらへけふいそくなり
おほぬさの−ひくてあまたの−さとことに−なこしのはらへ−けふいそくなり |
01162 |
未入力 道助 (xxx)
みそき河なかるるあさのうきこともけふこそはやくみな月の空
みそきかは−なかるるあさの−うきことも−けふこそはやく−みなつきのそら |
01163 |
未入力 実氏 (xxx)
春秋の行くをのみやはをしむへきあやにくにする夏祓かな
はるあきの−ゆくをのみやは−をしむへき−あやにくにする−なつはらへかな |
01164 |
未入力 基家 (xxx)
あさの葉もみなかみかけていつみ河こま山人やみそきしつらん
あさのはも−みなかみかけて−いつみかは−こまやまひとや−みそきしつらむ |
01165 |
未入力 家良 (xxx)
風ふけはたたすの河に立つ波のゆふかたかけてみそきをそする
かせふけは−たたすのかはに−たつなみの−ゆふかたかけて−みそきをそする |
01166 |
未入力 基良 (xxx)
今夜又ちとせをのふるみそきしていとと久しき御代そしらるる
こよひまた−ちとせをのふる−みそきして−いととひさしき−みよそしらるる |
01167 |
未入力 隆親 (xxx)
いくかへりちとせの命かさぬらんなこしのはらへ数つもりつつ
いくかへり−ちとせのいのち−かさぬらむ−なこしのはらへ−かすつもりつつ |
01168 |
未入力 為家 (xxx)
みそき川つひによるせはしらねとも引く手あまたになかす大ぬさ
みそきかは−つひによるせは−しらねとも−ひくてあまたに−なかすおほぬさ |
01169 |
未入力 公相 (xxx)
底清き河せの水はあさの葉にしらゆふかけてみそきをそする
そこきよき−かはせのみつは−あさのはに−しらゆふかけて−みそきをそする |
01170 |
未入力 実雄 (xxx)
みそき川はやく行くせの波の上に秋をいそかす風わたるなり
みそきかは−はやくゆくせの−なみのうへに−あきをいそかす−かせわたるなり |
01171 |
未入力 信覚 (xxx)
うきしつみあさの葉なかるみそき河波のいくせに秋の立つらん
うきしつみ−あさのはなかる−みそきかは−なみのいくせに−あきのたつらむ |
01172 |
未入力 為経 (xxx)
夏くるる神なひ川のせをはやみみそきにかくる波のしらゆふ
なつくるる−かみなひかはの−せをはやみ−みそきにかくる−なみのしらゆふ |
01173 |
未入力 忠定 (xxx)
みそきするをかへのちはら立ちなからまつはらふなりならの川風
みそきする−をかへのちはら−たちなから−まつはらふなり−ならのかはかせ |
01174 |
未入力 資季 (xxx)
みな月のみそきかはらの帰るさになこしの山の雲そ明けゆく
みなつきの−みそきかはらの−かへるさに−なこしのやまの−くもそ明けゆく |
01175 |
未入力 頼氏 (xxx)
くれはつる夏のわかれのけふことになとみそきする習なるらん
くれはつる−なつのわかれの−けふことに−なとみそきする−ならひなるらむ |
01176 |
未入力 有教 (xxx)
みそき川なかれてはやき月日へて今夜そ夏の限なりける
みそきかは−なかれてはやき−つきひへて−こよひそなつの−かきりなりける |
01177 |
未入力 師継 (xxx)
けふのみやしるもしらぬもみそきしておなし心に秋を待つらん
けふのみや−しるもしらぬも−みそきして−おなしこころに−あきをまつらむ |
01178 |
未入力 定嗣 (xxx)
みな月の月みむとてや夏祓むかしはけふとさためさりけん
みなつきの−つきみむとてや−なつはらへ−むかしはけふと−さためさりけむ |
01179 |
未入力 成実 (xxx)
千代まてとあらふる神にいのるかな三たひすかぬく夏祓して
ちよまてと−あらふるかみに−いのるかな−みたひすかぬく−なつはらへして |
01180 |
未入力 蓮性 (xxx)
あはれ又われいくとせのけふにあひてあさちすかぬきみそきしつらん
あはれまた−われいくとせの−けふにあひて−あさちすかぬき−みそきしつらむ |
01181 |
未入力 顕氏 (xxx)
夏はつるけふのみそきのひたりなはあらふる神も心とくらし
なつはつる−けふのみそきの−ひたりなは−あらふるかみも−こころとくらし |
01182 |
未入力 寂能 (xxx)
君か代のとほつ河波たちまちにちとせのみそき神やうけひく
きみかよの−とほつかはなみ−たちまちに−ちとせのみそき−かみやうけひく |
01183 |
未入力 為氏 (xxx)
みそき川しらゆふかけてあさの葉をぬさとたむくる夏の別ち
みそきかは−しらゆふかけて−あさのはを−ぬさとたむくる−なつのわかれち |
01184 |
未入力 真観 (xxx)
今夜われすかぬきかくる輪を出ててなかく此世にめくらすもかな
こよひわれ−すかぬきかくる−わをいてて−なかくこのよに−めくらすもかな |
01185 |
未入力 寂西 (xxx)
みそきしてちとせをいのるぬさにこそつひには夏のとり所あれ
みそきして−ちとせをいのる−ぬさにこそ−つひにはなつの−とりところあれ |
01186 |
未入力 為継 (xxx)
みそきする川せすすしき夕まくれ波をへたてて秋やきぬらん
みそきする−かはせすすしき−ゆふまくれ−なみをへたてて−あきやきぬらむ |
01187 |
未入力 経朝 (xxx)
みそきする河せに波のかけまくもかしこき千代は我か君のため
みそきする−かはせになみの−かけまくも−かしこきちよは−わかきみのため |
01188 |
未入力 行家 (xxx)
河のせにあさの大ぬさとりしててけふの今夜や夏はらひせむ
かはのせに−あさのおほぬさ−とりしてて−けふのこよひや−なつはらひせむ |
01189 |
未入力 成茂 (xxx)
たちかへり神代の松のかけにゐてけふのみそきはしかのから崎
たちかへり−かみよのまつの−かけにゐて−けふのみそきは−しかのからさき |
01190 |
未入力 隆祐 (xxx)
みそきする今夜は夏のみなと河あらふる神もすすしかるらん
みそきする−こよひはなつの−みなとかは−あらふるかみも−すすしかるらむ |
01191 |
未入力 禅信 (xxx)
くれはつる夏の川せの夕すすみやかてみそきのぬさそとりける
くれはつる−なつのかはせの−ゆふすすみ−やかてみそきの−ぬさそとりける |
01192 |
未入力 高倉 (xxx)
たれかけふあさのをかりのすかたにて身のうきせせにみそきしそかし
たれかけふ−あさのをかりの−すかたにて−みのうきせせに−みそきしそかし |
01193 |
未入力 按察 (xxx)
みそきするけふとしいへはみな月のなこしの山を夏の行くらん
みそきする−けふとしいへは−みなつきの−なこしのやまを−なつのゆくらむ |
01194 |
未入力 帥 (xxx)
みな月のみそきのよはのすすしきは秋のちかくもなれはなりけり
みなつきの−みそきのよはの−すすしきは−あきのちかくも−なれはなりけり |
01195 |
未入力 小宰相 (xxx)
みそきする河せすすしき風の音は秋の色にや吹きかはるらん
みそきする−かはせすすしき−かせのおとは−あきのいろにや−ふきかはるらむ |
01196 |
未入力 俊成女 (xxx)
みそきするあさの葉末のなひくより人の心にかよふあき風
みそきする−あさのはすゑの−なひくより−ひとのこころに−かよふあきかせ |
01197 |
未入力 少将内侍 (xxx)
夏と秋と行きかふせにやなかるらんみそき川原のあさのおほぬさ
なつとあきと−ゆきかふせにや−なかるらむ−みそきかはらの−あさのおほぬさ |
01198 |
未入力 弁内侍 (xxx)
みそきしてすすしくも有るか山川のみきはに秋やちかく成るらん
みそきして−すすしくもあるか−やまかはの−みきはにあきや−ちかくなるらむ |
01199 |
未入力 但馬 (xxx)
あさの葉にゆふしてかけて思ふことみなつきねとてはらひつるかな
あさのはに−ゆふしてかけて−おもふこと−みなつきねとて−はらひつるかな |
01200 |
未入力 下野 (xxx)
おもふこと猶おほぬさのゆふまくれけふみな月はなのみなりけり
おもふこと−なほおほぬさの−ゆふまくれ−けふみなつきは−なのみなりけり |
01201 |
未入力 御製 (xxx)
風の音のにはかにかはるくれはとりあやしと思へは秋はきにけり
かせのおとの−にはかにかはる−くれはとり−あやしとおもへは−あきはきにけり |
01202 |
未入力 道助 (xxx)
中中にけふもとはとそ思ひやるいくたの杜の秋のけしきは
なかなかに−けふもとはとそ−おもひやる−いくたのもりの−あきのけしきは |
01203 |
未入力 実氏 (xxx)
かせの音もあすはいかなる色ならん今日より秋の夕くれの空
かせのおとも−あすはいかなる−いろならむ−けふよりあきの−ゆふくれのそら |
01204 |
未入力 基家 (xxx)
よもの海波のやしまの外まてもおなし空にや秋は立つらん
よものうみ−なみのやしまの−ほかまても−おなしそらにや−あきはたつらむ |
01205 |
未入力 家良 (xxx)
白妙の袖そすすしき高島のみをのかちのの秋のはつかせ
しろたへの−そてそすすしき−たかしまの−みをのかちのの−あきのはつかせ |
01206 |
未入力 基良 (xxx)
秋きぬとおのか色にはみえねともいまはたしるき松の風かな
あききぬと−おのかいろには−みえねとも−いまはたしるき−まつのかせかな |
01207 |
未入力 隆親 (xxx)
あききぬと誰かはつくるおく山のまつふく風のこゑの外には
あききぬと−たれかはつくる−おくやまの−まつふくかせの−こゑのほかには |
01208 |
未入力 為家 (xxx)
白露も草葉をおきて袖ぬらす我か身一と秋はきにけり
しらつゆも−くさはをおきて−そてぬらす−わかみひとつと−あきはきにけり |
01209 |
未入力 公相 (xxx)
いとはやもすすしかりけり烏羽玉のよのまに秋や立ちはしむらん
いとはやも−すすしかりけり−うはたまの−よのまにあきや−たちはしむらむ |
01210 |
未入力 実雄 (xxx)
吹きそめていくかもあらぬ秋風にいとはや袖の露けかるらん
ふきそめて−いくかもあらぬ−あきかせに−いとはやそての−つゆけかるらむ |
01211 |
未入力 信覚 (xxx)
足引の山下露のおきそめてまた色そめぬ秋のはつかせ
あしひきの−やましたつゆの−おきそめて−またいろそめぬ−あきのはつかせ |
01212 |
未入力 為経 (xxx)
せみのはの木すゑにうすき夏衣かはらすなから秋はきにけり
せみのはの−こすゑにうすき−なつころも−かはらすなから−あきはきにけり |
01213 |
未入力 忠定 (xxx)
老いぬともなとかちきらて別れけんいまはと思ひし秋はきにけり
おいぬとも−なとかちきらて−わかれけむ−いまはとおもひし−あきはきにけり |
01214 |
未入力 資季 (xxx)
たつぬへきしるしは色にみえねとも三わのすき山秋そきにける
たつぬへき−しるしはいろに−みえねとも−みわのすきやま−あきそきにける |
01215 |
未入力 頼氏 (xxx)
秋をあさみまたうらなれぬ衣手のかたのの末に風そすすしき
あきをあさみ−またうらなれぬ−ころもての−かたののすゑに−かせそすすしき |
01216 |
未入力 有教 (xxx)
おしなへて秋のけしきはかはりけりさしてそれとはみえぬものから
おしなへて−あきのけしきは−かはりけり−さしてそれとは−みえぬものから |
01217 |
未入力 師継 (xxx)
わくらはにとひこし人の跡たゆるむくらの門に秋はきにけり
わくらはに−とひこしひとの−あとたゆる−むくらのかとに−あきはきにけり |
01218 |
未入力 定嗣 (xxx)
はつせ河かは風すすしけさの間も秋やきぬらん三輪の山本
はつせかは−かはかせすすし−けさのまも−あきやきぬらむ−みわのやまもと |
01219 |
未入力 成実 (xxx)
せみのはのうすき袂を吹く風に露もたまらぬ秋はきにけり
せみのはの−うすきたもとを−ふくかせに−つゆもたまらぬ−あきはきにけり |
01220 |
未入力 蓮性 (xxx)
秋のきて風ふきたらはささかにのくものすかきのあれまくもをし
あきのきて−かせふきたらは−ささかにの−くものすかきの−あれまくもをし |
01221 |
未入力 顕氏 (xxx)
秋きてもいくかもあらぬ朝露のやかておきゐる袖そさむけき
あききても−いくかもあらぬ−あさつゆの−やかておきゐる−そてそさむけき |
01222 |
未入力 寂能 (xxx)
我かためにくる秋ならぬくすかつらまつうらめしき風の音かな
わかために−くるあきならぬ−くすかつら−まつうらめしき−かせのおとかな |
01223 |
未入力 為氏 (xxx)
いつしかと秋のはしめをけふとてやまつ身にしみて風そすすしき
いつしかと−あきのはしめを−けふとてや−まつみにしみて−かせそすすしき |
01224 |
未入力 真観 (xxx)
時しらぬ身とも思はし秋くれは誰か袖よりもつゆけかりけり
ときしらぬ−みともおもはし−あきくれは−たかそてよりも−つゆけかりけり |
01225 |
未入力 寂西 (xxx)
夏衣うすきかうへにうすきかとおほゆるけさの秋の初かせ
なつころも−うすきかうへに−うすきかと−おほゆるけさの−あきのはつかせ |
01226 |
未入力 為継 (xxx)
秋のくる朝のそらのあまつ風けふはいつしか身にそしみける
あきのくる−あしたのそらの−あまつかせ−けふはいつしか−みにそしみける |
01227 |
未入力 経朝 (xxx)
吹く風の秋はけふとやつけつらんのなる草木もまつなひきける
ふくかせの−あきはけふとや−つけつらむ−のなるくさきも−まつなひきける |
01228 |
未入力 行家 (xxx)
露たにもまたおきあへぬ草の葉に思ひなせはや秋のくるらん
つゆたにも−またおきあへぬ−くさのはに−おもひなせはや−あきのくるらむ |
01229 |
未入力 成茂 (xxx)
いつの間に秋はきぬらんうたたねのあさけの風も身にそしみける
いつのまに−あきはきぬらむ−うたたねの−あさけのかせも−みにそしみける |
01230 |
未入力 隆祐 (xxx)
木葉ちる秋のはしめのことわりもさひしきやとのたよりにそしる
このはちる−あきのはしめの−ことわりも−さひしきやとの−たよりにそしる |
01231 |
未入力 禅信 (xxx)
秋といへはいかに吹くらん昨日にもかはるけしきのもりの下かせ
あきといへは−いかにふくらむ−きのふにも−かはるけしきの−もりのしたかせ |
01232 |
未入力 高倉 (xxx)
風の音を玉まくくすのうらむとも思ひしらすや秋はきぬらん
かせのおとを−たままくくすの−うらむとも−おもひしらすや−あきはきぬらむ |
01233 |
未入力 按察 (xxx)
秋きぬとおもへはいととかなしきに我か心にはけふなしらせそ
あききぬと−おもへはいとと−かなしきに−わかこころには−けふなしらせそ |
01234 |
未入力 帥 (xxx)
打ちつけにけふふくかせの身にしむはいかなる秋のたてはなるらん
うちつけに−けふふくかせの−みにしむは−いかなるあきの−たてはなるらむ |
01235 |
未入力 小宰相 (xxx)
秋きぬといふはかりなるなかめより昨日にはにぬ明ほのの空
あききぬと−いふはかりなる−なかめより−きのふにはにぬ−あけほののそら |
01236 |
未入力 俊成女 (xxx)
風かはる夏のあふきはてになれて袖にまつおく秋の白露
かせかはる−なつのあふきは−てになれて−そてにまつおく−あきのしらつゆ |
01237 |
未入力 少将内侍 (xxx)
秋きぬといはぬをしるは吹く風の身にしむ時の心なりけり
あききぬと−いはぬをしるは−ふくかせの−みにしむときの−こころなりけり |
01238 |
未入力 弁内侍 (xxx)
身にしむも思ひをそふるつらさにてなといひしらぬ秋のはつ風
みにしむも−おもひをそふる−つらさにて−なといひしらぬ−あきのはつかせ |
01239 |
未入力 但馬 (xxx)
白露はまたおきあへぬうたたねの袖におとろく秋のはつかせ
しらつゆは−またおきあへぬ−うたたねの−そてにおとろく−あきのはつかせ |
01240 |
未入力 下野 (xxx)
木すゑにはまた色かへぬ青葉よりもるる日かけそ秋をしらする
こすゑには−またいろかへぬ−あをはより−もるるひかけそ−あきをしらする |
01241 |
未入力 御製 (xxx)
七夕にかしつることのおなしくはひきもととめよあかぬ別を
たなはたに−かしつることの−おなしくは−ひきもととめよ−あかぬわかれを |
01242 |
未入力 道助 (xxx)
七夕の逢ふ夜の影やうつるらん雲井の庭にまかふともし火
たなはたの−あふよのかけや−うつるらむ−くもゐのにはに−まかふともしひ |
01243 |
未入力 実氏 (xxx)
白露の玉のをことのたむけして庭にかかくる秋のともし火
しらつゆの−たまのをことの−たむけして−にはにかかくる−あきのともしひ |
01244 |
未入力 基家 (xxx)
おくことのかひやなからむ星逢の秋の別はひきもととめす
おくことの−かひやなからむ−ほしあひの−あきのわかれは−ひきもととめす |
01245 |
未入力 家良 (xxx)
七夕に庭の灯たむけつつあまの河原のゆききをそ待つ
たなはたに−にはのともしひ−たむけつつ−あまのかはらの−ゆききをそまつ |
01246 |
未入力 基良 (xxx)
彦星のあまつ光やかよふちし庭につらぬる灯のかけ
ひこほしの−あまつひかりや−かよふちし−にはにつらぬる−ともしひのかけ |
01247 |
未入力 隆親 (xxx)
年をへて今日七夕にかすいとのよるともみえす庭のともしひ
としをへて−けふたなはたに−かすいとの−よるともみえす−にはのともしひ |
01248 |
未入力 為家 (xxx)
七夕のあはすは何を白露の玉の緒こともけふはかさまし
たなはたの−あはすはなにを−しらつゆの−たまのをことも−けふはかさまし |
01249 |
未入力 公相 (xxx)
よひの間はあまの河瀬もたとるやと数数みする庭の灯
よひのまは−あまのかはせも−たとるやと−かすかすみする−にはのともしひ |
01250 |
未入力 実雄 (xxx)
七夕にかしてたむくることのをはたえぬ契のためしにそ引く
たなはたに−かしてたむくる−ことのをは−たえぬちきりの−ためしにそひく |
01251 |
未入力 信覚 (xxx)
待渡る秋の七日の灯の庭にかけ見る星逢のそら
まちわたる−あきのなぬかの−ともしひの−にはにかけみる−ほしあひのそら |
01252 |
未入力 為経 (xxx)
ももしきや庭の呉竹夜もすから待ちてそみつる星逢の空
ももしきや−にはのくれたけ−よもすから−まちてそみつる−ほしあひのそら |
01253 |
未入力 忠定 (xxx)
彦星も影をやかはす灯のきよくすすしき玉の砌に
ひこほしも−かけをやかはす−ともしひの−きよくすすしき−たまのみきりに |
01254 |
未入力 資季 (xxx)
久方のあまつ星逢を雲の上に程もまちかくけふまつるらし
ひさかたの−あまつほしあひを−くものうへに−ほともまちかく−けふまつるらし |
01255 |
未入力 頼氏 (xxx)
今日まつる雲井の庭の灯に二の星の影やとむらん
けふまつる−くもゐのにはの−ともしひに−ふたつのほしの−かけやとむらむ |
01256 |
未入力 有教 (xxx)
星逢の空に光をまかへつつほのかにのこる庭のともしひ
ほしあひの−そらにひかりを−まかへつつ−ほのかにのこる−にはのともしひ |
01257 |
未入力 師継 (xxx)
庭にたくそらたき物やかよふらん七夕つめの袖のにほひに
にはにたく−そらたきものや−かよふらむ−たなはたつめの−そてのにほひに |
01258 |
未入力 定耐 (xxx)
ななのはりぬきてやぬはむ七夕のいほはたたてておれる衣を
ななのはり−ぬきてやぬはむ−たなはたの−いほはたたてて−おれるころもを |
01259 |
未入力 成実 (xxx)
星逢の空たのめせぬ秋ことに光くまなき庭のともしひ
ほしあひの−そらたのめせぬ−あきことに−ひかりくまなき−にはのともしひ |
01260 |
未入力 蓮性 (xxx)
星逢の行あひの空にたむけしていたたきまつる此夕かな
ほしあひの−ゆきあひのそらに−たむけして−いたたきまつる−このゆふへかな |
01261 |
未入力 顕氏 (xxx)
呉竹の庭の灯よよをへてたえぬ逢瀬をたれまつるらん
くれたけの−にはのともしひ−よよをへて−たえぬあふせを−たれまつるらむ |
01262 |
未入力 寂能 (xxx)
彦星に光をみかけ九重に玉しく庭のたけのともしひ
ひこほしに−ひかりをみかけ−ここのへに−たましくにはの−たけのともしひ |
01263 |
未入力 為氏 (xxx)
ひかりそふ玉しく庭のともし火に面影みゆる星逢のそら
ひかりそふ−たましくにはの−ともしひに−おもかけみゆる−ほしあひのそら |
01264 |
未入力 真観 (xxx)
すへらきのみなみのそらにみいてせしその代の秋は今夜なりけり
すへらきの−みなみのそらに−みいてせし−そのよのあきは−こよひなりけり |
01265 |
未入力 寂西 (xxx)
みるままに庭の灯かすかにて七夕まつる夜はふけにけり
みるままに−にはのともしひ−かすかにて−たなはたまつる−よはふけにけり |
01266 |
未入力 為継 (xxx)
星逢の空まてにほへ庭の面におもひをこかすよはのたき物
ほしあひの−そらまてにほへ−にはのおもに−おもひをこかす−よはのたきもの |
01267 |
未入力 経朝 (xxx)
庭もせに今夜たむくるともし火やたえぬ星逢の光なるらん
にはもせに−こよひたむくる−ともしひや−たえぬほしあひの−ひかりなるらむ |
01268 |
未入力 行家 (xxx)
七夕のつままつよひの衣手ににほひをかはせ庭のそらたき
たなはたの−つままつよひの−ころもてに−にほひをかはせ−にはのそらたき |
01269 |
未入力 成茂 (xxx)
まちかくやそらたき物も匂ふらん雲井にまつる星逢のよは
まちかくや−そらたきものも−にほふらむ−くもゐにまつる−ほしあひのよは |
01270 |
未入力 隆祐 (xxx)
七夕の袖の匂やまさるらん庭よりたつる夜はのけふりに
たなはたの−そてのにほひや−まさるらむ−にはよりたつる−よはのけふりに |
01271 |
未入力 禅信 (xxx)
たき物のけふりそかよふ七夕の雲の衣や袖にほふらん
たきものの−けふりそかよふ−たなはたの−くものころもや−そてにほふらむ |
01272 |
未入力 高倉 (xxx)
七夕のあふよのいたくふけぬれはつま松風にかよふことのね
たなはたの−あふよのいたく−ふけぬれは−つままつかせに−かよふことのね |
01273 |
未入力 按察 (xxx)
七夕に心をかさは庭の面にたえぬおもひのかすやそはまし
たなはたに−こころをかさは−にはのおもに−たえぬおもひの−かすやそはまし |
01274 |
未入力 帥 (xxx)
いまこそは庭のともしひほのかにてたなはたつめのあふよなるらめ
いまこそは−にはのともしひ−ほのかにて−たなはたつめの−あふよなるらめ |
01275 |
未入力 小宰相 (xxx)
まれにあふ七夕つめにかすことはちよを一よにひきもとめなん
まれにあふ−たなはたつめに−かすことは−ちよをひとよに−ひきもとめなむ |
01276 |
未入力 俊成女 (xxx)
星逢のそらたきものや匂ふらん七夕つめの夜はのまくらに
ほしあひの−そらたきものや−にほふらむ−たなはたつめの−よはのまくらに |
01277 |
未入力 少将内侍 (xxx)
星逢のそらたきものの煙まて七夕つめの思ひにそかる
ほしあひの−そらたきものの−けふりまて−たなはたつめの−おもひにそかる |
01278 |
未入力 弁内侍 (xxx)
おくことのねにはたてねとをたえせてなかきためしの星逢の空
おくことの−ねにはたてねと−をたえせて−なかきためしの−ほしあひのそら |
01279 |
未入力 但馬 (xxx)
星逢の空に光やまさるらん影もくもらぬ庭のともしひ
ほしあひの−そらにひかりや−まさるらむ−かけもくもらぬ−にはのともしひ |
01280 |
未入力 下野 (xxx)
星逢はしのひもすらん雲の上をさやかにてらすよはの灯
ほしあひは−しのひもすらむ−くものうへを−さやかにてらす−よはのともしひ |
01281 |
未入力 御製 (xxx)
たのめおく人なくよはも秋風のそよとおとろく庭の荻原
たのめおく−ひとなくよはも−あきかせの−そよとおとろく−にはのをきはら |
01282 |
未入力 道助 (xxx)
長き夜のいやはかなくに夢もみすねさめをかこつ荻の上風
なかきよの−いやはかなくに−ゆめもみす−ねさめをかこつ−をきのうはかせ |
01283 |
未入力 実氏 (xxx)
物思はて心をくたく心かなうゑすはきかしをきのうはかせ
ものおもはて−こころをくたく−こころかな−うゑすはきかし−をきのうはかせ |
01284 |
未入力 基家 (xxx)
つくつくと秋の日なかき山里に荻の葉すくる峰のこからし
つくつくと−あきのひなかき−やまさとに−をきのはすくる−みねのこからし |
01285 |
未入力 家良 (xxx)
ちはやふる神代もかくや荻のはに秋かせふけはなみたおちけん
ちはやふる−かみよもかくや−をきのはに−あきかせふけは−なみたおちけむ |
01286 |
未入力 基良 (xxx)
つらからん風の音とも思はてやまかきにうゑし庭のをき原
つらからむ−かせのおととも−おもはてや−まかきにうゑし−にはのをきはら |
未入力 隆親 (xxx)
(空白)
xxxxx−xxxxxxx−xxxxx−xxxxxxx−xxxxxxx |
01287 |
未入力 為家 (xxx)
我かなみたそよ又何と荻のはに秋風ふけはまつこほるらん
わかなみた−そよまたなにと−をきのはに−あきかせふけは−まつこほるらむ |
01288 |
未入力 公相 (xxx)
さらてたに身にしむ色の秋風を軒はの荻の音にたつなる
さらてたに−みにしむいろの−あきかせを−のきはのをきの−おとにたつなる |
01289 |
未入力 実雄 (xxx)
さならてもなみたおつやと秋の風荻の上葉をよきてふかなん
さならても−なみたおつやと−あきのかせ−をきのうははを−よきてふかなむ |
01290 |
未入力 信覚 (xxx)
荒玉の年もうらめし身につもる秋となつけて荻の上風
あらたまの−としもうらめし−みにつもる−あきとなつけて−をきのうはかせ |
01291 |
未入力 為経 (xxx)
物思ふつまとそなれる我かやとの軒はの荻の秋のはつかせ
ものおもふ−つまとそなれる−わかやとの−のきはのをきの−あきのはつかせ |
01292 |
未入力 忠定 (xxx)
こゑたてて我ともつゆはこほるれと人そしをるる荻の上風
こゑたてて−われともつゆは−こほるれと−ひとそしをるる−をきのうはかせ |
01293 |
未入力 資季 (xxx)
すすしさは思ひもあへぬ秋風のおとにもつくる庭の荻原
すすしさは−おもひもあへぬ−あきかせの−おとにもつくる−にはのをきはら |
01294 |
未入力 頼氏 (xxx)
この比はたつことやすき秋風をまつしる物は庭の荻原
このころは−たつことやすき−あきかせを−まつしるものは−にはのをきはら |
01295 |
未入力 有教 (xxx)
我かやとの庭の荻原吹く風のおとより外にとふ人もかな
わかやとの−にはのをきはら−ふくかせの−おとよりほかに−とふひともかな |
01296 |
未入力 師継 (xxx)
今そきく荻の葉わけのそよさらに風こそ秋のはしめなりけれ
いまそきく−をきのはわけの−そよさらに−かせこそあきの−はしめなりけれ |
01297 |
未入力 定嗣 (xxx)
今きけはのきはの荻もおとたかし簾うこかす風の便に
いまきけは−のきはのをきも−おとたかし−すたれうこかす−かせのたよりに |
01298 |
未入力 成実 (xxx)
秋きぬと吹きおとろかす暁の風よりしるき荻のおとかな
あききぬと−ふきおとろかす−あかつきの−かせよりしるき−をきのおとかな |
01299 |
未入力 蓮性 (xxx)
夕くれの風におとろく荻のはのすゑもととろに音そ聞ゆる
ゆふくれの−かせにおとろく−をきのはの−すゑもととろに−おとそきこゆる |
01300 |
未入力 為氏 (xxx)
荻の葉に今はたおとを吹きたてて人にしらるる秋のはつかせ
をきのはに−いまはたおとを−ふきたてて−ひとにしらるる−あきのはつかせ |
01301 |
未入力 顕氏 (xxx)
荻のはにふきくる風の音信もをりからつらき秋の夕くれ
をきのはに−ふきくるかせの−おとつれも−をりからつらき−あきのゆふくれ |
01302 |
未入力 真観 (xxx)
きけは又をきのうへこす秋風もせめてのことく身をこかすかな
きけはまた−をきのうへこす−あきかせも−せめてのことく−みをこかすかな |
01303 |
未入力 寂能 (xxx)
秋のくる空こそあらめ荻のはに風の音さへ吹きかはるらん
あきのくる−そらこそあらめ−をきのはに−かせのおとさへ−ふきかはるらむ |
01304 |
未入力 寂西 (xxx)
くやしくものきはの荻をうゑおきて我すこしたる風の音かな
くやしくも−のきはのをきを−うゑおきて−われすこしたる−かせのおとかな |
01305 |
未入力 為継 (xxx)
昨日今日秋のはつかせ吹きそめておとつれやまぬ庭の荻はら
きのふけふ−あきのはつかせ−ふきそめて−おとつれやまぬ−にはのをきはら |
01306 |
未入力 経朝 (xxx)
いまよりの秋の夕のいかならんおとたてそむる荻の上風
いまよりの−あきのゆふへの−いかならむ−おとたてそむる−をきのうはかせ |
01307 |
未入力 行家 (xxx)
うちつけに物のかなしき秋といひてにはかに吹きぬ荻の上風
うちつけに−もののかなしき−あきといひて−にはかにふきぬ−をきのうはかせ |
01308 |
未入力 成茂 (xxx)
老いぬれはさらてもやすくねぬものをなにおとろかす荻の上かせ
おいぬれは−さらてもやすく−ねぬものを−なにおとろかす−をきのうはかせ |
01309 |
未入力 隆祐 (xxx)
中中にとふにつらさのある身ともしらてやすくる荻の上風
なかなかに−とふにつらさの−あるみとも−しらてやすくる−をきのうはかせ |
01310 |
未入力 禅信 (xxx)
吹きすくる風もたゆまぬ荻の葉に結ひかねたる秋のゆふつゆ
ふきすくる−かせもたゆまぬ−をきのはに−むすひかねたる−あきのゆふつゆ |
01311 |
未入力 高倉 (xxx)
いつもきく荻の葉そよく風の音もほに出てて物は秋そかなしき
いつもきく−をきのはそよく−かせのおとも−ほにいててものは−あきそかなしき |
01312 |
未入力 按察 (xxx)
吹きむすふ荻のうは葉の風の音もなにしかいたく袖のぬるらん
ふきむすふ−をきのうははの−かせのおとも−なにしかいたく−そてのぬるらむ |
01313 |
未入力 帥 (xxx)
荻の葉にいたくな風の吹きそかしねさめは秋のならひなれとも
をきのはに−いたくなかせの−ふきそかし−ねさめはあきの−ならひなれとも |
01314 |
未入力 小宰相 (xxx)
秋ことに物おもふことのしるへする風のやとりや庭の荻はら
あきことに−ものおもふことの−しるへする−かせのやとりや−にはのをきはら |
01315 |
未入力 俊成女 (xxx)
とへかしな荻の葉すくるかせならは我か身一の秋をいかにと
とへかしな−をきのはすくる−かせならは−わかみひとつの−あきをいかにと |
01316 |
未入力 少将内侍 (xxx)
音つるる荻のはよりそ秋風のふきとふくよのこともしらるる
おとつるる−をきのはよりそ−あきかせの−ふきとふくよの−こともしらるる |
01317 |
未入力 弁内侍 (xxx)
いかはかりねさめせられむ荻のはに今夜はいたく秋風そふく
いかはかり−ねさめせられむ−をきのはに−こよひはいたく−あきかせそふく |
01318 |
未入力 但馬 (xxx)
秋のくるいろはみえねと荻のはに待ちける風の音そ身にしむ
あきのくる−いろはみえねと−をきのはに−まちけるかせの−おとそみにしむ |
01319 |
未入力 下野 (xxx)
人はこぬよはの嵐におきふして簾うこかす軒の下荻
ひとはこぬ−よはのあらしに−おきふして−すたれうこかす−のきのしたをき |
01320 |
未入力 御製 (xxx)
白露もこほれてにほふ高円の野辺の秋萩いま盛なり
しらつゆも−こほれてにほふ−たかまとの−のへのあきはき−いまさかりなり |
01321 |
未入力 道助 (xxx)
鶉なく小萩かはらの夕くれに露を分けたる花の下ふし
うつらなく−こはきかはらの−ゆふくれに−つゆをわけたる−はなのしたふし |
01322 |
未入力 実氏 (xxx)
露をおもみ本くたち行く秋萩のすゑもとををにいかて相みん
つゆをおもみ−もとくたちゆく−あきはきの−すゑもとををに−いかてあひみむ |
01323 |
未入力 基家 (xxx)
わきもこか袖のつまする色ことに乱れておつるはきの朝露
わきもこか−そてのつまする−いろことに−みたれておつる−はきのあさつゆ |
01324 |
未入力 家良 (xxx)
いかにせむはらははをしみ白露の玉になひける本あらの萩
いかにせむ−はらははをしみ−しらつゆの−たまになひける−もとあらのはき |
01325 |
未入力 基良 (xxx)
真萩原枝もたわわにさく花の色にいててもおける露かな
まはきはら−えたもたわわに−さくはなの−いろにいてても−おけるつゆかな |
01326 |
未入力 隆親 (xxx)
分けきつるかたみなれとや旅衣露よりうつる萩のはなすり
わけきつる−かたみなれとや−たひころも−つゆよりうつる−はきのはなすり |
01327 |
未入力 為家 (xxx)
をとめこかかさしの萩の花のえに玉をかされる秋の白露
をとめこか−かさしのはきの−はなのえに−たまをかされる−あきのしらつゆ |
01328 |
未入力 公相 (xxx)
あさまたきかつおく露も乱れつつ花おもけなる庭の萩原
あさまたき−かつおくつゆも−みたれつつ−はなおもけなる−にはのはきはら |
01329 |
未入力 実雄 (xxx)
白露の心もおかすをりとらは萩の錦の中やたえなん
しらつゆの−こころもおかす−をりとらは−はきのにしきの−なかやたえなむ |
01330 |
未入力 信覚 (xxx)
秋はきの野への夕つゆかき分けてぬるるはかりも誰かたつねん
あきはきの−のへのゆふつゆ−かきわけて−ぬるるはかりも−たれかたつねむ |
01331 |
未入力 為経 (xxx)
秋はきの花さきしより宮城野の木の下露のおかぬまそなき
あきはきの−はなさきしより−みやきのの−このしたつゆの−おかぬまそなき |
01332 |
未入力 忠定 (xxx)
おくままによもの草木はうつろひておのれをそむる萩の上露
おくままに−よものくさきは−うつろひて−おのれをそむる−はきのうはつゆ |
01333 |
未入力 資季 (xxx)
おきまよふ野への白露色に出てて萩の初花いまはさくらん
おきまよふ−のへのしらつゆ−いろにいてて−はきのはつはな−いまはさくらむ |
01334 |
未入力 頼氏 (xxx)
またちらぬもとあらの萩のもとつはをかつかつそむる秋の朝露
またちらぬ−もとあらのはきの−もとつはを−かつかつそむる−あきのあさつゆ |
01335 |
未入力 有教 (xxx)
露のぬきおりはへてけりさほひめのはきの錦の秋の色色
つゆのぬき−おりはへてけり−さほひめの−はきのにしきの−あきのいろいろ |
01336 |
未入力 師継 (xxx)
立ちよりてとらはけぬへき白露を玉にもぬくかのへの秋はき
たちよりて−とらはけぬへき−しらつゆを−たまにもぬくか−のへのあきはき |
01337 |
未入力 定嗣 (xxx)
うつしうゑしこの秋萩の枝たわみあさに日ことにおける白露
うつしうゑし−このあきはきの−えたたわみ−あさにひことに−おけるしらつゆ |
01338 |
未入力 成実 (xxx)
色色に萩の錦をそめてけりたれしら露といひはしめけん
いろいろに−はきのにしきを−そめてけり−たれしらつゆと−いひはしめけむ |
01339 |
未入力 蓮性 (xxx)
人はこぬ草葉のとこの露のうへにかたしきねたる萩か花つま
ひとはこぬ−くさはのとこの−つゆのうへに−かたしきねたる−はきかはなつま |
01340 |
未入力 顕氏 (xxx)
おきわたす露やもりても染めつらん下葉色こきをのの萩原
おきわたす−つゆやもりても−そめつらむ−したはいろこき−をののはきはら |
01341 |
未入力 寂能 (xxx)
うつろはぬまののしら萩下葉のみおのかちくさにそむる露かな
うつろはぬ−まののしらはき−したはのみ−おのかちくさに−そむるつゆかな |
01342 |
未入力 為氏 (xxx)
白露もうつろひにけり高円ののもせにさける秋はきのはな
しらつゆも−うつろひにけり−たかまとの−のもせにさける−あきはきのはな |
01343 |
未入力 真観 (xxx)
萩の上におくも限のありけれはあまりは袖にかかるしら露
はきのうへに−おくもかきりの−ありけれは−あまりはそてに−かかるしらつゆ |
01344 |
未入力 寂西 (xxx)
葉にあまるしつくもあるを萩のえにおきなかしたる秋の露かな
はにあまる−しつくもあるを−はきのえに−おきなかしたる−あきのつゆかな |
01345 |
未入力 為継 (xxx)
萩の葉におきあまれはや秋の露わくれは袖の色に成るらん
はきのはに−おきあまれはや−あきのつゆ−わくれはそての−いろになるらむ |
01346 |
未入力 経朝 (xxx)
ま萩原さくのの色にうつろひて露をは花の染むるなりけり
まはきはら−さくののいろに−うつろひて−つゆをははなの−染むるなりけり |
01347 |
未入力 行家 (xxx)
秋はきの花の錦のたてぬきをおのれ染めてもおける露かな
あきはきの−はなのにしきの−たてぬきを−おのれそめても−おけるつゆかな |
01348 |
未入力 成茂 (xxx)
宮木のや枝もとををの白露にをれぬとみゆる秋の萩はら
みやきのや−えたもとををの−しらつゆに−をれぬとみゆる−あきのはきはら |
01349 |
未入力 隆祐 (xxx)
ちりちらす一になして朝露の庭にしきたる秋萩のはな
ちりちらす−ひとつになして−あさつゆの−にはにしきたる−あきはきのはな |
01350 |
未入力 禅信 (xxx)
しらすけのまのの萩原さきしより我か色ならて露そうつろふ
しらすけの−まののはきはら−さきしより−わかいろならて−つゆそうつろふ |
01351 |
未入力 高倉 (xxx)
白露のおくとはよそにみえしかと花の色こきのへの秋はき
しらつゆの−おくとはよそに−みえしかと−はなのいろこき−のへのあきはき |
01352 |
未入力 按察 (xxx)
とへかしな庭の秋はきつゆけさのこれよりまさるやとはあらしな
とへかしな−にはのあきはき−つゆけさの−これよりまさる−やとはあらしな |
01353 |
未入力 帥 (xxx)
唐衣すそのの萩の花すりにうつりにけりなおけるしら露
からころも−すそののはきの−はなすりに−うつりにけりな−おけるしらつゆ |
01354 |
未入力 小宰相 (xxx)
宮木のの木の下とほき萩のえにおのれと結ふ露そうつろふ
みやきのの−このしたとほき−はきのえに−おのれとむすふ−つゆそうつろふ |
01355 |
未入力 俊成女 (xxx)
秋を思ふ人の涙も萩の上の露よりうつるそての色かな
あきをおもふ−ひとのなみたも−はきのうへの−つゆよりうつる−そてのいろかな |
01356 |
未入力 少将内侍 (xxx)
夜もすからおきそふのへの白露に下をれぬへき秋はきの花
よもすから−おきそふのへの−しらつゆに−したをれぬへき−あきはきのはな |
01357 |
未入力 弁内侍 (xxx)
萩か花うつろひ行くをつらさにてみる我さへそ露けかりける
はきかはな−うつろひゆくを−つらさにて−みるわれさへそ−つゆけかりける |
01358 |
未入力 但馬 (xxx)
あれはててはらはぬやとやかこつらん露にをらるる庭の萩はら
あれはてて−はらはぬやとや−かこつらむ−つゆにをらるる−にはのはきはら |
01359 |
未入力 下野 (xxx)
さきそめて花はつれなき萩かえにかつちる露の色そうつろふ
さきそめて−はなはつれなき−はきかえに−かつちるつゆの−いろそうつろふ |
01360 |
未入力 御製 (xxx)
我なから思ひもわかぬ涙かなたそかれ時のあきのならひは
われなから−おもひもわかぬ−なみたかな−たそかれときの−あきのならひは |
01361 |
未入力 道助 (xxx)
誰しかも外にやはみむ野も山も心よりしる秋の夕暮
たれしかも−ほかにやはみむ−のもやまも−こころよりしる−あきのゆふくれ |
01362 |
未入力 実氏 (xxx)
なかむれはすすろにおつるなみたかないかなるそらそ秋の夕暮
なかむれは−すすろにおつる−なみたかな−いかなるそらそ−あきのゆふくれ |
01363 |
未入力 基家 (xxx)
物ことに秋はかくしもうきものといつよりなれる夕なるらん
ものことに−あきはかくしも−うきものと−いつよりなれる−ゆふへなるらむ |
01364 |
未入力 家良 (xxx)
ふりぬれは哀そひける夕とも秋こそ人に思ひしらすれ
ふりぬれは−あはれそひける−ゆふへとも−あきこそひとに−おもひしらすれ |
01365 |
未入力 基良 (xxx)
大方は夕にかきる哀ともたかならはしのなみたとかしる
おほかたは−ゆふへにかきる−あはれとも−たかならはしの−なみたとかしる |
01366 |
未入力 隆親 (xxx)
秋風の身にしみわたる夕くれは袖もひとつに露そこほるる
あきかせの−みにしみわたる−ゆふくれは−そてもひとつに−つゆそこほるる |
01367 |
未入力 為家 (xxx)
身のうさをいとははしらて過きなましなさけそつらき秋の夕暮
みのうさを−いとははしらて−すきなまし−なさけそつらき−あきのゆふくれ |
01368 |
未入力 公相 (xxx)
をりからにわきてぬれそふ袂かな深山の里の秋の夕くれ
をりからに−わきてぬれそふ−たもとかな−みやまのさとの−あきのゆふくれ |
01369 |
未入力 実雄 (xxx)
我か袖のぬるるや何のかことそと秋の夕をたれにとはまし
わかそての−ぬるるやなにの−かことそと−あきのゆふへを−たれにとはまし |
01370 |
未入力 信覚 (xxx)
谷のとはこの葉みたるる秋かせに人もたつねぬ入合のかね
たにのとは−このはみたるる−あきかせに−ひともたつねぬ−いりあひのかね |
01371 |
未入力 為経 (xxx)
おほつかな何ゆゑ秋の夕とてもろき涙のおちまさるらん
おほつかな−なにゆゑあきの−ゆふへとて−もろきなみたの−おちまさるらむ |
01372 |
未入力 忠定 (xxx)
思ひいれし心の色もそめかへて我か身老いぬる秋の夕くれ
おもひいれし−こころのいろも−そめかへて−わかみおいぬる−あきのゆふくれ |
01373 |
未入力 資季 (xxx)
秋の雨そ時時軒にそそくなるさひしきやとの夕暮の空
おもひいれし−こころのいろも−そめかへて−わかみおいぬる−あきのゆふくれ |
01374 |
未入力 頼氏 (xxx)
なかむれは其事としもなけれとも夕身にしむ秋の空かな
なかむれは−そのこととしも−なけれとも−ゆふへみにしむ−あきのそらかな |
01375 |
未入力 有教 (xxx)
いつも吹く軒はの松の風なれとわきて身にしむ秋の夕暮
いつもふく−のきはのまつの−かせなれと−わきてみにしむ−あきのゆふくれ |
01376 |
未入力 師継 (xxx)
夕くれはさらぬ月日もあるものを秋は何とてなにたてるらん
ゆふくれは−さらぬつきひも−あるものを−あきはなにとて−なにたてるらむ |
01377 |
未入力 定嗣 (xxx)
蝉のこゑ虫の恨そきこゆなる松の台の秋の夕くれ
せみのこゑ−むしのうらみそ−きこゆなる−まつのうてなの−あきのゆふくれ |
01378 |
未入力 成実 (xxx)
いく秋か我か身一の夕くれとちちに物おもふとしのへぬらん
いくあきか−わかみひとつの−ゆふくれと−ちちにものおもふ−としのへぬらむ |
01379 |
未入力 蓮性 (xxx)
この秋は六十あまりに露そおく老や夕のあはれとはなる
このあきは−むそちあまりに−つゆそおく−おいやゆふへの−あはれとはなる |
01380 |
未入力 顕氏 (xxx)
女郎花花のひもとく夕くれに野をなつかしみゆきそやられぬ
をみなへし−はなのひもとく−ゆふくれに−のをなつかしみ−ゆきそやられぬ |
01381 |
未入力 寂能 (xxx)
あさちふのおのれしをるる袖の露おくとそなけく秋の夕暮
あさちふの−おのれしをるる−そてのつゆ−おくとそなけく−あきのゆふくれ |
01382 |
未入力 為氏 (xxx)
秋きては我か身一のゆゑならぬ夕の空をなにうらむらむ
あききては−わかみひとつの−ゆゑならぬ−ゆふへのそらを−なにうらむらむ |
01383 |
未入力 真観 (xxx)
世中は思ひすててもすてかたき時こそありけれ秋の夕暮
よのなかは−おもひすてても−すてかたき−ときこそありけれ−あきのゆふくれ |
01384 |
未入力 寂西 (xxx)
秋風のけにも身にしむ色ならは千しほの程や夕なるらん
あきかせの−けにもみにしむ−いろならは−ちしほのほとや−ゆふへなるらむ |
01385 |
未入力 為継 (xxx)
いかなれは秋のならひをさしもやと思ふにも猶すくる夕暮
いかなれは−あきのならひを−さしもやと−おもふにもなほ−すくるゆふくれ |
01386 |
未入力 経朝 (xxx)
まつ人のあらは恨やかさねまし桐の葉おつる秋の夕くれ
まつひとの−あらはうらみや−かさねまし−きりのはおつる−あきのゆふくれ |
01387 |
未入力 行家 (xxx)
夕とてかならす袖のしをれめや秋の哀は時もわかしを
ゆふへとて−かならすそての−しをれめや−あきのあはれは−ときもわかしを |
01388 |
未入力 成茂 (xxx)
わきつ猶夕はつらき物そとも誰か秋にかおもひそめけん
わきてなほ−ゆふへはつらき−ものそとも−たれかあきにか−おもひそめけむ |
01389 |
未入力 隆祐 (xxx)
野わきする空のけしきに成りにけり村雲はやき秋の夕暮
のわきする−そらのけしきに−なりにけり−むらくもはやき−あきのゆふくれ |
01390 |
未入力 禅信 (xxx)
中中に思ひいれしと思ふさへ心つくしのあきのゆふくれ
なかなかに−おもひいれしと−おもふさへ−こころつくしの−あきのゆふくれ |
01391 |
未入力 高倉 (xxx)
物おもへと露をは袖におきそへて心をしをる秋の夕くれ
ものおもへと−つゆをはそてに−おきそへて−こころをしをる−あきのゆふくれ |
01392 |
未入力 按察 (xxx)
さらになとかなしかるらんあまたうしなれぬるものを秋の夕暮
さらになと−かなしかるらむ−あまたうし−なれぬるものを−あきのゆふくれ |
01393 |
未入力 帥 (xxx)
さらぬたに物おもふころの夕暮をいかにせよとて秋風の吹く
さらぬたに−ものおもふころの−ゆふくれを−いかにせよとて−あきかせのふく |
01394 |
未入力 小宰相 (xxx)
身にしみて雲のはたてを吹く風やあやしとききし夕なるらん
みにしみて−くものはたてを−ふくかせや−あやしとききし−ゆふへなるらむ |
01395 |
未入力 俊成女 (xxx)
これもみなさそなならひの秋そとも思ひかねたる夕まくれかな
これもみな−さそなならひの−あきそとも−おもひかねたる−ゆふまくれかな |
01396 |
未入力 少将内侍 (xxx)
さひしさはさなから秋の空なれと此夕くれと猶やまたまし
さひしさは−さなからあきの−そらなれと−このゆふくれと−なほやまたまし |
01397 |
未入力 弁内侍 (xxx)
わひはつる時とや今をしらすらん物のかなしき秋の夕くれ
わひはつる−ときとやいまを−しらすらむ−もののかなしき−あきのゆふくれ |
01398 |
未入力 但馬 (xxx)
なかめわひぬ我かやとからの夕かと又たか里の秋をとははや
なかめわひぬ−わかやとからの−ゆふへかと−またたかさとの−あきをとははや |
01399 |
未入力 下野 (xxx)
なかむれは秋は夕の空まても身にしむ物と色かはりけり
なかむれは−あきはゆふへの−そらまても−みにしむものと−いろかはりけり |
01400 |
未入力 御製 (xxx)
ほのほのと朝霧かくれ初雁のはつかにすくる声きこゆなり
ほのほのと−あさきりかくれ−はつかりの−はつかにすくる−こゑきこゆなり |
01401 |
未入力 道助 (xxx)
秋をつくる風の便にいそくなり雲の南にはつかりの声
あきをつくる−かせのたよりに−いそくなり−くものみなみに−はつかりのこゑ |
01402 |
未入力 実氏 (xxx)
つくはねの嶺の朝霧飛分けて都になるるはつかりのこゑ
つくはねの−みねのあさきり−とひわけて−みやこになるる−はつかりのこゑ |
01403 |
未入力 基家 (xxx)
秋立ちてまたきかなくに菅原やふしみのくれに雁はきにけり
あきたちて−またきかなくに−すかはらや−ふしみのくれに−かりはきにけり |
01404 |
未入力 家良 (xxx)
我かためにくるともきかぬかりかねの空にまたるる秋にも有るかな
わかために−くるともきかぬ−かりかねの−そらにまたるる−あきにもあるかな |
01405 |
未入力 基良 (xxx)
心から秋しもなとかこしちより都を旅とかりのなくらん
こころから−あきしもなとか−こしちより−みやこをたひと−かりのなくらむ |
01406 |
未入力 隆親 (xxx)
今更におとろかれぬるねさめかなことしもきけははつかりの声
いまさらに−おとろかれぬる−ねさめかな−ことしもきけは−はつかりのこゑ |
01407 |
未入力 為家 (xxx)
かりかねはいまきこゆなり秋風もむへこそさむく吹きまさるらめ
かりかねは−いまきこゆなり−あきかせも−うへこそさむく−ふきまさるらめ |
01408 |
未入力 公相 (xxx)
こしちより鳴きふるしけんかりかねをけふは都に待ちつつそ聞く
こしちより−なきふるしけむ−かりかねを−けふはみやこに−まちつつそきく |
01409 |
未入力 実雄 (xxx)
ぬししらぬうはの空なる玉章を誰かためかけて雁のきつらん
ぬししらぬ−うはのそらなる−たまつさを−たかためかけて−かりのきつらむ |
01410 |
未入力 信覚 (xxx)
昔思ふ身を徒に初かりの啼くねかひなきあきもうらめし
むかしおもふ−みをいたつらに−はつかりの−なくねかひなき−あきもうらめし |
01411 |
未入力 為経 (xxx)
吹きそめていくかもあらぬ秋風にはやさそはれて雁はきにけり
ふきそめて−いくかもあらぬ−あきかせに−はやさそはれて−かりはきにけり |
01412 |
未入力 忠定 (xxx)
此比もこしちやさむき初雁のつはさに雲の衣かくなり
このころも−こしちやさむき−はつかりの−つはさにくもの−ころもかくなり |
01413 |
未入力 資季 (xxx)
帰るさのつれなくみえしかりかねも秋をはかれす今きなくなり
かへるさの−つれなくみえし−かりかねも−あきをはかれす−いまきなくなり |
01414 |
未入力 頼氏 (xxx)
あまを舟はつせの山の初かりも風をたよりの空になくなり
あまをふね−はつせのやまの−はつかりも−かせをたよりの−そらになくなり |
01415 |
未入力 有教 (xxx)
初雁はいまそ雲路にきなくなるかくる玉章誰かみつらん
はつかりは−いまそくもちに−きなくなる−かくるたまつさ−たれかみつらむ |
01416 |
未入力 師継 (xxx)
大空にいまた旅なる雁かねは雲のいつこにやとをかるらん
おほそらに−いまたたひなる−かりかねは−くものいつこに−やとをかるらむ |
01417 |
未入力 定嗣 (xxx)
都にも秋風寒しかりかねはあらちの山をいまやこゆらん
みやこにも−あきかせさむし−かりかねは−あらちのやまを−いまやこゆらむ |
01418 |
未入力 成実 (xxx)
夕されは誰か玉章のことつてに秋くるままの初かりのこゑ
ゆふされは−たかたまつさの−ことつてに−あきくるままの−はつかりのこゑ |
01419 |
未入力 蓮性 (xxx)
旅の空あはれいくへの山こえてけさみやこちに雁のきつらん
たひのそら−あはれいくへの−やまこえて−けさみやこちに−かりのきつらむ |
01420 |
未入力 顕氏 (xxx)
昨日今日いまた旅なる雁かねは誰をたのみに鳴きわたるらん
きのふけふ−いまたたひなる−かりかねは−たれをたのみに−なきわたるらむ |
01421 |
未入力 寂能 (xxx)
久方のあまとふ雁はきにけらし露の玉章誰にかくらん
ひさかたの−あまとふかりは−きにけらし−つゆのたまつさ−たれにかくらむ |
01422 |
未入力 為氏 (xxx)
片岡の柞のこすゑ色つきて朝風さむく雁そ鳴くなる
かたをかの−ははそのこすゑ−いろつきて−あさかせさむく−かりそなくなる |
01423 |
未入力 真観 (xxx)
哀にもきこゆる雁の初ねかななにをうしとか思ひつらぬる
あはれにも−きこゆるかりの−はつねかな−なにをうしとか−おもひつらぬる |
01424 |
未入力 寂西 (xxx)
此秋のにひ玉つさのことつてのいまこそあれと雁はきにけり
このあきの−にひたまつさの−ことつての−いまこそあれと−かりはきにけり |
01425 |
未入力 為経 (xxx)
今はとて雲のはたての秋風にあくかれわたるはつかりの声
いまはとて−くものはたての−あきかせに−あくかれわたる−はつかりのこゑ |
01426 |
未入力 経朝 (xxx)
しをりせし花の春をやしのふらん雲に跡とふ初かりの声
しをりせし−はなのはるをや−しのふらむ−くもにあととふ−はつかりのこゑ |
01427 |
未入力 行家 (xxx)
身にさむく秋風ふきぬむへしこそ衣かりかねけさは鳴くなれ
みにさむく−あきかせふきぬ−うへしこそ−ころもかりかね−けさはなくなれ |
01428 |
未入力 成茂 (xxx)
秋山の木葉も色やかはるらんけさ初雁はなきてきにけり
あきやまの−このはもいろや−かはるらむ−けさはつかりは−なきてきにけり |
01429 |
未入力 隆祐 (xxx)
きても又ねさめの空に過きぬなり契かひなき秋のかりかね
きてもまた−ねさめのそらに−すきぬなり−ちきりかひなき−あきのかりかね |
01430 |
未入力 禅信 (xxx)
今こむと秋をたのむの里人もまつかひあれや初雁の声
いまこむと−あきをたのむの−さとひとも−まつかひあれや−はつかりのこゑ |
01431 |
未入力 高倉 (xxx)
かけて待つ誰か玉章はなけれとも秋をたのむの雁もきにけり
かけてまつ−たかたまつさは−なけれとも−あきをたのむの−かりもきにけり |
01432 |
未入力 按察 (xxx)
我か身にも秋しうけれは鳴く雁のはつねをよその哀とやきく
わかみにも−あきしうけれは−なくかりの−はつねをよその−あはれとやきく |
01433 |
未入力 帥 (xxx)
くれかかる雲井のよそに今こそはほの鳴きわたれ秋のかり金
くれかかる−くもゐのよそに−いまこそは−ほのなきわたれ−あきのかりかね |
01434 |
未入力 小宰相 (xxx)
こしの海をいつか出てけんあまを舟初かりかねそ空にきこゆる
こしのうみを−いつかいてけむ−あまをふね−はつかりかねそ−そらにきこゆる |
01435 |
未入力 俊成女 (xxx)
かけてくる誰か玉章とまたねとも秋はかなしき初雁のこゑ
かけてくる−たかたまつさと−またねとも−あきはかなしき−はつかりのこゑ |
01436 |
未入力 少将内侍 (xxx)
はつしほの紅葉やすらん秋山にけさなくかりの涙おちつつ
はつしほの−もみちやすらむ−あきやまに−けさなくかりの−なみたおちつつ |
01437 |
未入力 弁内侍 (xxx)
空に鳴く秋の哀をつけそめてまつ一つらの雁はきにけり
そらになく−あきのあはれを−つけそめて−まつひとつらの−かりはきにけり |
01438 |
未入力 但馬 (xxx)
時しもあれ身のあらましをかきつらね思ふねさめの初かりの声
ときしもあれ−みのあらましを−かきつらね−おもふねさめの−はつかりのこゑ |
01439 |
未入力 下野 (xxx)
時しもあれややはたさむき秋のよにまちしたのむの雁はきにけり
ときしもあれ−ややはたさむき−あきのよに−まちしたのむの−かりはきにけり |
01440 |
未入力 御製 (xxx)
梓弓春は荒田とみえしものをはやほに出ててなるこ引くなり
あつさゆみ−はるはあらたと−みえしものを−はやほにいてて−なるこひくなり |
01441 |
未入力 道助 (xxx)
もらさしないつくをわかすおく露のいな葉にあまる秋の色かな
もらさしな−いつくをわかす−おくつゆの−いなはにあまる−あきのいろかな |
01442 |
未入力 実氏 (xxx)
おしねかる山田のあせにさすくしのしとろもとろに秋風そ吹く
おしねかる−やまたのあせに−さすくしの−しとろもとろに−あきかせそふく |
01443 |
未入力 基家 (xxx)
夕日さす門田の秋のいなむしろわさほかりしき今やほすらん
ゆふひさす−かとたのあきの−いなむしろ−わさほかりしき−いまやほすらむ |
01444 |
未入力 家良 (xxx)
露おつるわさたのほさき打ちなひきけさ吹く風は袖そさむけき
つゆおつる−わさたのほさき−うちなひき−けさふくかせは−そてそさむけき |
01445 |
未入力 基良 (xxx)
風渡る民の草葉もとしあれは君にそなひく千代の秋まて
かせわたる−たみのくさはも−としあれは−きみにそなひく−ちよのあきまて |
01446 |
未入力 隆親 (xxx)
民もみなをさまれる世と祈るなりかりほすいねの数もかくさす
たみもみな−をさまれるよと−いのるなり−かりほすいねの−かすもかくさす |
01447 |
未入力 為家 (xxx)
はるかなる田のものおしねなす雲の立ちさかへたる御代の秋かな
はるかなる−たのものおしね−なすくもの−たちさかへたる−みよのあきかな |
01448 |
未入力 公相 (xxx)
ほにいつる伏見のを田をみわたせはいなはにつつくうちの河波
ほにいつる−ふしみのをたを−みわたせは−いなはにつつく−うちのかはなみ |
01449 |
未入力 実雄 (xxx)
風さむきかりほのとまのひまをあらみたれいねかてに山田もるらん
かせさむき−かりほのとまの−ひまをあらみ−たれいねかてに−やまたもるらむ |
01450 |
未入力 信覚 (xxx)
を山田のいなはにかよふ秋風に露おきはつる夕くれもなし
をやまたの−いなはにかよふ−あきかせに−つゆおきはつる−ゆふくれもなし |
01451 |
未入力 為経 (xxx)
ゆたかなる民のしわさのひまもなくかりしくをたのいな莚かな
ゆたかなる−たみのしわさの−ひまもなく−かりしくをたの−いなむしろかな |
01452 |
未入力 忠定 (xxx)
秋とめるとはたのうへを見わたせは国さかへたるよとの川舟
あきとめる−とはたのうへを−みわたせは−くにさかえたる−よとのかはふね |
01453 |
未入力 資季 (xxx)
人もらぬ山田のなるこたえすのみおとつれ渡るよはのあき風
ひともらぬ−やまたのなるこ−たえすのみ−おとつれわたる−よはのあきかせ |
01454 |
未入力 頼氏 (xxx)
長き夜にいくたひ露を吹きすててたのもの草にかへる秋風
なかきよに−いくたひつゆを−ふきすてて−たのものくさに−かへるあきかせ |
01455 |
未入力 有教 (xxx)
とへかしなとはたのおものいなむしろしくものもなき秋のけしきを
とへかしな−とはたのおもの−いなむしろ−しくものもなき−あきのけしきを |
01456 |
未入力 師継 (xxx)
我か門のむろのはやわせかりあけておくてにのこるひたの音かな
わかかとの−むろのはやわせ−かりあけて−おくてにのこる−ひたのおとかな |
01457 |
未入力 定嗣 (xxx)
秋の田をみれはよろつのこの車いくそのいねをつみわたすらん
あきのたを−みれはよろつの−このくるま−いくそのいねを−つみわたすらむ |
01458 |
未入力 成実 (xxx)
見わたせは田のものいねのおしなへて雲なす御代の程を知るかな
みわたせは−たのものいねの−おしなへて−くもなすみよの−ほとをしるかな |
01459 |
未入力 蓮性 (xxx)
露むすふわさたのほくみ打ちとけてかりほのとこにいやはねらるる
つゆむすふ−わさたのほくみ−うちとけて−かりほのとこに−いやはねらるる |
01460 |
未入力 顕氏 (xxx)
水ふかき刈田のいねをかりあけて又ほしわふるしつか衣手
みつふかき−かりたのいねを−かりあけて−またほしわふる−しつかころもて |
01461 |
未入力 寂能 (xxx)
秋の田のはつほのいねに雲かけて民ゆたかにもみゆる比かな
あきのたの−はつほのいねに−くもかけて−たみゆたかにも−みゆるころかな |
01462 |
未入力 為氏 (xxx)
白露ももるやかりほのを山田に猶いねかての秋かせそふく
しらつゆも−もるやかりほの−をやまたに−なほいねかての−あきかせそふく |
01463 |
未入力 真観 (xxx)
遠山田むらむらほさき出てにけりいまやみもりのいほりさすらん
とほやまた−むらむらほさき−いてにけり−いまやみもりの−いほりさすらむ |
01464 |
未入力 寂西 (xxx)
しつのをかこゑうちそふるを山たのひたのひひきそよたたさひしき
しつのをか−こゑうちそふる−をやまたの−ひたのひひきそ−よたたさひしき |
01465 |
未入力 為継 (xxx)
またからぬ門田のいなは打ちなひき秋のさかりは風渡るなり
またからぬ−かとたのいなは−うちなひき−あきのさかりは−かせわたるなり |
01466 |
未入力 経朝 (xxx)
つくはねのすそわの田ゐのいなむしろ吹きしく風も時はたかはす
つくはねの−すそわのたゐの−いなむしろ−ふきしくかせも−ときはたかはす |
01467 |
未入力 行家 (xxx)
ひきうゑし程もへなくに我か門のわさたははやくほにそ出てぬる
ひきうゑし−ほともへなくに−わかかとの−わさたははやく−ほにそいてぬる |
01468 |
未入力 成茂 (xxx)
けさみれはをかへのわさたほたちしていほさすまてに成りにけるかな
けさみれは−をかへのわさた−ほたちして−いほさすまてに−なりにけるかな |
01469 |
未入力 隆祐 (xxx)
風ふけは田つらのいほのうちまてもいなはかたふき露にそほちぬ
かせふけは−たつらのいほの−うちまても−いなはかたふき−つゆにそほちぬ |
01470 |
未入力 禅信 (xxx)
すかはらやふしみのをたの夕くれにいなはおしなみ風わたるみゆ
すかはらや−ふしみのをたの−ゆふくれに−いなはおしなみ−かせわたるみゆ |
01471 |
未入力 高倉 (xxx)
いな葉吹く風にたもとのしをるるは露こそ秋の涙なりけれ
いなはふく−かせにたもとの−しをるるは−つゆこそあきの−なみたなりけれ |
01472 |
未入力 按察 (xxx)
いなつまの光の程も思出てはふるのわさたの身をはなけかし
いなつまの−ひかりのほとも−おもひいては−ふるのわさたの−みをはなけかし |
01473 |
未入力 帥 (xxx)
とほ山田人なきよりも秋のよはかりほのひたの音そさひしき
とほやまた−ひとなきよりも−あきのよは−かりほのひたの−おとそさひしき |
01474 |
未入力 小宰相 (xxx)
山里はわさたかるよりしられにし秋のけしきそふかくなり行く
やまさとは−わさたかるより−しられにし−あきのけしきそ−ふかくなりゆく |
01475 |
未入力 俊成女 (xxx)
を山田のいほもるしつの秋の袖やとかる露そおきあかしける
をやまたの−いほもるしつの−あきのそて−やとかるつゆそ−おきあかしける |
01476 |
未入力 少将内侍 (xxx)
かりそめのいほりもさすか世中にすめはすみかのしつかを山田
かりそめの−いほりもさすか−よのなかに−すめはすみかの−しつかをやまた |
01477 |
未入力 弁内侍 (xxx)
うゑてみし人もきにけりを山田のいなはを分けていほやもるらん
うゑてみし−ひともきにけり−をやまたの−いなはをわけて−いほやもるらむ |
01478 |
未入力 但馬 (xxx)
これも又秋の習にを山田のいほもるしつの袖やつゆけき
これもまた−あきのならひに−をやまたの−いほもるしつの−そてやつゆけき |
01479 |
未入力 下野 (xxx)
秋くれは露とわさたのかりいほといつれかまつは結ひそめけむ
あきくれは−つゆとわさたの−かりいほと−いつれかまつは−むすひそめけむ |
01480 |
未入力 御製 (xxx)
きく人の袖もつゆけしさよ衣妻恋に鳴くさをしかの声
きくひとの−そてもつゆけし−さよころも−つまこひになく−さをしかのこゑ |
01481 |
未入力 道助 (xxx)
今夜こそ恨もまされから衣つまもかくれす鹿の鳴くらん
こよひこそ−うらみもまされ−からころも−つまもかくれす−しかのなくらむ |
01482 |
未入力 実氏 (xxx)
をしか鳴くみねのしはふの秋風に羽山のいほの夢は絶えにき
をしかなく−みねのしはふの−あきかせに−はやまのいほの−ゆめはたえにき |
01483 |
未入力 基家 (xxx)
秋の色に身をかへてける棹鹿はわかこのもとや夜寒なるらん
あきのいろに−みをかへてける−さをしかは−わかこのもとや−よさむなるらむ |
01484 |
未入力 家良 (xxx)
秋風になみしはのののよるよるは思ひそふとや鹿の鳴くらん
あきかせに−なみしはののの−よるよるは−おもひそふとや−しかのなくらむ |
01485 |
未入力 基良 (xxx)
宮木のの秋草しのき鳴く鹿のつまとふ夜はもふけにけらしな
みやきのの−あきくさしのき−なくしかの−つまとふよはも−ふけにけらしな |
01486 |
未入力 隆親 (xxx)
この里のむかひの岡の鹿のねもつままちかねてさよふけにけり
このさとの−むかひのをかの−しかのねも−つままちかねて−さよふけにけり |
01487 |
未入力 為家 (xxx)
秋きては独かために長き夜を我しりかほに鹿の鳴くなる
あききては−ひとりかために−なかきよを−われしりかほに−しかのなくなる |
01488 |
未入力 公相 (xxx)
やとちかくつまとふ鹿のこゑのみそ秋のねさめの友となりける
やとちかく−つまとふしかの−こゑのみそ−あきのねさめの−ともとなりける |
01489 |
未入力 実雄 (xxx)
あしひきの山のさをしか妻恋のよるはすからにねをや鳴くらん
あしひきの−やまのさをしか−つまこひの−よるはすからに−ねをやなくらむ |
01490 |
未入力 信覚 (xxx)
むはたまの夢の枕の秋風にちかくもおくるさをしかの声
うはたまの−ゆめのまくらの−あきかせに−ちかくもおくる−さをしかのこゑ |
01491 |
未入力 為経 (xxx)
おく山のすかのねなかき秋のよにたえすそ鹿の妻恋に鳴く
おくやまの−すかのねなかき−あきのよに−たえすそしかの−つまこひになく |
01492 |
未入力 忠定 (xxx)
妻恋の秋の思ひの長き夜をあかしかねたるしかのこゑかな
つまこひの−あきのおもひの−なかきよを−あかしかねたる−しかのこゑかな |
01493 |
未入力 資季 (xxx)
独ねは長きならひの秋のよをあかしかねてや鹿も鳴くらん
ひとりねは−なかきならひの−あきのよを−あかしかねてや−しかもなくらむ |
01494 |
未入力 頼氏 (xxx)
み山ふく夜はの嵐にやとりきてすそ野によわる棹鹿の声
みやまふく−よはのあらしに−やとりきて−すそのによわる−さをしかのこゑ |
01495 |
未入力 有教 (xxx)
高砂のをのへの鹿も秋風の身にさむきよやつまをこふらん
たかさこの−をのへのしかも−あきかせの−みにさむきよや−つまをこふらむ |
01496 |
未入力 師継 (xxx)
秋といへはさらてたに猶長き夜をいねすきけとや鹿の鳴くらん
あきといへは−さらてたになほ−なかきよを−いねすきけとや−しかのなくらむ |
01497 |
未入力 定嗣 (xxx)
むはたまのよるさりくれは棹鹿の鳴くこゑたかしつまこひかねて
うはたまの−よるさりくれは−さをしかの−なくこゑたかし−つまこひかねて |
01498 |
未入力 成実 (xxx)
葦曳の山のはふかく鳴く鹿のおのれさひしき秋のよはかな
あしひきの−やまのはふかく−なくしかの−おのれさひしき−あきのよはかな |
01499 |
未入力 蓮性 (xxx)
ふけゆけは猶妻恋に鹿そ鳴くのへの草はに露や寒けき
ふけゆけは−なほつまこひに−しかそなく−のへのくさはに−つゆやさむけき |
01500 |
未入力 顕氏 (xxx)
おのれさへたのむよころやふけぬらん独ねかたく鹿も鳴くなり
おのれさへ−たのむよころや−ふけぬらむ−ひとりねかたく−しかもなくなり |
01501 |
未入力 寂能 (xxx)
秋の夜は露をそいととかさねける衣かけほす棹鹿の声
あきのよは−つゆをそいとと−かさねける−ころもかけほす−さをしかのこゑ |
01502 |
未入力 為氏 (xxx)
我のみとねをも鳴くかな秋のよのなかき恨はしかはかりかは
われのみと−ねをもなくかな−あきのよの−なかきうらみは−しかはかりかは |
01503 |
未入力 真観 (xxx)
秋かせもややはた寒し棹鹿のつまこふ時のよやふけぬらん
あきかせも−ややはたさむし−さをしかの−つまこふときの−よやふけぬらむ |
01504 |
未入力 寂西 (xxx)
秋風につま待つ山の夜をさむみさこそをのへの鹿は鳴くらめ
あきかせに−つままつやまの−よをさむみ−さこそをのへの−しかはなくらめ |
01505 |
未入力 為継 (xxx)
むはたまのよのふけゆけは高砂のをのへの鹿のこゑそたゆまぬ
うはたまの−よのふけゆけは−たかさこの−をのへのしかの−こゑそたゆまぬ |
01506 |
未入力 経朝 (xxx)
唐衣つまとふ鹿もよやさむきすそのの原に声のうらむる
からころも−つまとふしかも−よやさむき−すそののはらに−こゑのうらむる |
01507 |
未入力 行家 (xxx)
夜をさむみ草のいとすちまとほにて衣やうすき鹿の鳴くなる
よをさむみ−くさのいとすち−まとほにて−ころもやうすき−しかのなくなる |
01508 |
未入力 成茂 (xxx)
秋のよのさよふけかたの山かせにつま待ちかねて鹿そ鳴くなる
あきのよの−さよふけかたの−やまかせに−つままちかねて−しかそなくなる |
01509 |
未入力 隆祐 (xxx)
おのつから秋の哀になく鹿もつまとふよはの名にや立つらん
おのつから−あきのあはれに−なくしかも−つまとふよはの−なにやたつらむ |
01510 |
未入力 禅信 (xxx)
唐衣つまとひかねて長き夜もいねすや鹿の鳴きあかすらん
からころも−つまとひかねて−なかきよも−いねすやしかの−なきあかすらむ |
01511 |
未入力 高倉 (xxx)
春日のにつまよふ鹿の夜もすから秋そ忍のみたれなりける
かすかのに−つまよふしかの−よもすから−あきそしのふの−みたれなりける |
01512 |
未入力 按察 (xxx)
物思ふかきりをしれとふくる夜に鹿こそはなけとふ人はなし
ものおもふ−かきりをしれと−ふくるよに−しかこそはなけ−とふひとはなし |
01513 |
未入力 帥 (xxx)
たくひなく哀とそきくさよふけてつまをたつぬる棹鹿の声
たくひなく−あはれとそきく−さよふけて−つまをたつぬる−さをしかのこゑ |
01514 |
未入力 小宰相 (xxx)
あかしかねつまとふ鹿の秋のよをあふ人からとたれをしむらん
あかしかね−つまとふしかの−あきのよを−あふひとからと−たれをしむらむ |
01515 |
未入力 俊成女 (xxx)
さよすから恋のつまとふさをしかののはらの風にこゑまかふなり
さよすから−こひのつまとふ−さをしかの−のはらのかせに−こゑまかふなり |
01516 |
未入力 少将内侍 (xxx)
今夜もや松風さむみ高砂のをのへの鹿のたえす鳴くらん
こよひもや−まつかせさむみ−たかさこの−をのへのしかの−たえすなくらむ |
01517 |
未入力 弁内侍 (xxx)
つまこふる秋のをしかの声にこそ夜はのかなしきことも知りけれ
つまこふる−あきのをしかの−こゑにこそ−よはのかなしき−こともしりけれ |
01518 |
未入力 但馬 (xxx)
いととしくいまは夜寒の秋風に鳴くねもたえす棹鹿の声
いととしく−いまはよさむの−あきかせに−なくねもたえす−さをしかのこゑ |
01519 |
未入力 下野 (xxx)
山里はまちかき庭のあしかきによやふけぬらん鹿の鳴くなる
やまさとは−まちかきにはの−あしかきに−よやふけぬらむ−しかのなくなる |
01520 |
未入力 御製 (xxx)
暁の枕の下にすみなれてねさめこととふきりきりすかな
あかつきの−まくらのしたに−すみなれて−ねさめこととふ−きりきりすかな |
01521 |
未入力 道助 (xxx)
蛬暁ふかきまとの雨にひとのおもひをなみたにそかる
きりきりす−あかつきふかき−まとのあめに−ひとのおもひを−なみたにそかる |
01522 |
未入力 実氏 (xxx)
こゑこゑにちよ松虫そ聞ゆなる君をしいのる老のねさめに
こゑこゑに−ちよまつむしそ−きこゆなる−きみをしいのる−おいのねさめに |
01523 |
未入力 基家 (xxx)
あり明の野へ吹きおくるおひかせに虫のねならぬ草のはそなき
ありあけの−のへふきおくる−おひかせに−むしのねならぬ−くさのはそなき |
01524 |
未入力 家良 (xxx)
蛬いたく鳴くのの浅茅生は暁さむきつゆやおくらん
きりきりす−いたくなくのの−あさちふは−あかつきさむき−つゆやおくらむ |
01525 |
未入力 基良 (xxx)
なれにける秋のねさめも今更にしののめくらき虫の声かな
なれにける−あきのねさめも−いまさらに−しののめくらき−むしのこゑかな |
01526 |
未入力 隆親 (xxx)
さりともとたのむもよわる明方に猶まつ虫の声そ残れる
さりともと−たのむもよわる−あけかたに−なほまつむしの−こゑそのこれる |
01527 |
未入力 為家 (xxx)
秋はかり露にうれふる蛬わかとことはのねさめをそしる
あきはかり−つゆにうれふる−きりきりす−わかとことはの−ねさめをそしる |
01528 |
未入力 公相 (xxx)
しけり行くむくらの門の蛬あけかたにしもなとうらむらん
しけりゆく−むくらのかとの−きりきりす−あけかたにしも−なとうらむらむ |
01529 |
未入力 実雄 (xxx)
暁のねさめこととふ虫のねに我さへあやな涙おちけり
あかつきの−ねさめこととふ−むしのねに−われさへあやな−なみたおちけり |
01530 |
未入力 信覚 (xxx)
あさちふのおのか秋とは知りなから猶あか月もまつ虫そなく
あさちふの−おのかあきとは−しりなから−なほあかつきも−まつむしそなく |
01531 |
未入力 為経 (xxx)
暁はつゆもなみたもいかならんねにたてて鳴くのへの松虫
あかつきは−つゆもなみたも−いかならむ−ねにたててなく−のへのまつむし |
01532 |
未入力 忠定 (xxx)
あけゆけは野原の虫もかはるなり誰を恨のねをもなかまし
あけゆけは−のはらのむしも−かはるなり−たれをうらみの−ねをもなかまし |
01533 |
未入力 資季 (xxx)
ふるさとのあさちかねやの蛬あか月おきの露になくなり
ふるさとの−あさちかねやの−きりきりす−あかつきおきの−つゆになくなり |
01534 |
未入力 頼氏 (xxx)
あさちふのをのにしめゆふ虫のねを暁露にきくそさひしき
あさちふの−をのにしめゆふ−むしのねを−あかつきつゆに−きくそさひしき |
01535 |
未入力 有教 (xxx)
露さむきむくらか下の虫のねもしのひかねける暁のこゑ
つゆさむき−むくらかしたの−むしのねも−しのひかねける−あかつきのこゑ |
01536 |
未入力 師継 (xxx)
暁はつゆけき物といひなからなと蛬あまりなくらん
あかつきは−つゆけきものと−いひなから−なときりきりす−あまりなくらむ |
01537 |
未入力 定嗣 (xxx)
夢さむる床の下なる蛬声いそかはしあけぬこの夜は
ゆめさむる−とこのしたなる−きりきりす−こゑいそかはし−あけぬこのよは |
01538 |
未入力 成実 (xxx)
くるるより暁かけて鳴く虫の露やなみたと思ひおくらん
くるるより−あかつきかけて−なくむしの−つゆやなみたと−おもひおくらむ |
01539 |
未入力 蓮性 (xxx)
長月のくれこそあらめ蛬夜のあくるにも声よわるなり
なかつきの−くれこそあらめ−きりきりす−よのあくるにも−こゑよわるなり |
01540 |
未入力 顕氏 (xxx)
長月の暁ふかくおくしもにややこゑよわる庭のまつ虫
なかつきの−あかつきふかく−おくしもに−ややこゑよわる−にはのまつむし |
01541 |
未入力 寂能 (xxx)
ときはなる名にはたてともまつ虫のかるる霜夜の暁の声
ときはなる−なにはたてとも−まつむしの−かるるしもよの−あかつきのこゑ |
01542 |
未入力 為氏 (xxx)
いまよりはこゑよわるなり蛬あか月おきの露や寒けき
いまよりは−こゑよわるなり−きりきりす−あかつきおきの−つゆやさむけき |
01543 |
未入力 真観 (xxx)
きぬきぬのはたおる虫のねをそへてたか別ちの露に鳴くらん
きぬきぬの−はたおるむしの−ねをそへて−たかわかれちの−つゆになくらむ |
01544 |
未入力 寂西 (xxx)
蛬枕かたさることやなき暁かけてゆめおとろかす
きりきりす−まくらかたさる−ことやなき−あかつきかけて−ゆめおとろかす |
01545 |
未入力 為継 (xxx)
風さむみ明かたちかくおく露を我かためとのみ虫そなくなる
かせさむみ−あけかたちかく−おくつゆを−わかためとのみ−むしそなくなる |
01546 |
未入力 経朝 (xxx)
虫のねはまたかれなくに初霜のをかへの草の暁のいろ
むしのねは−またかれなくに−はつしもの−をかへのくさの−あかつきのいろ |
01547 |
未入力 行家 (xxx)
鳴く虫のこゑうらふれて此比の有明かたはつゆそさむけき
なくむしの−こゑうらふれて−このころの−ありあけかたは−つゆそさむけき |
01548 |
未入力 成茂 (xxx)
まくす原暁おきの白露にかつ恨みてや虫のなくらん
まくすはら−あかつきおきの−しらつゆに−かつうらみてや−むしのなくらむ |
01549 |
未入力 隆祐 (xxx)
たか秋の別になりて蛬あくるまくらを遠さかるらん
たかあきの−わかれになりて−きりきりす−あくるまくらを−とほさかるらむ |
01550 |
未入力 禅信 (xxx)
秋ふかくなるる枕の蛬あかつきことにこゑそすくなき
あきふかく−なるるまくらの−きりきりす−あかつきことに−こゑそすくなき |
01551 |
未入力 高倉 (xxx)
あけぬよの長き思ひは蛬秋のならひをなにうらむらん
あけぬよの−なかきおもひは−きりきりす−あきのならひを−なにうらむらむ |
01552 |
未入力 按察 (xxx)
なくむしのなみたの露も寒からし草のとさしの明かたの空
なくむしの−なみたのつゆも−さむからし−くさのとさしの−あけかたのそら |
01553 |
未入力 帥 (xxx)
蛬こゑそたえせぬ明方のとこは草葉の露やさむけき
きりきりす−こゑそたえせぬ−あけかたの−とこはくさはの−つゆやさむけき |
01554 |
未入力 小宰相 (xxx)
我かためになく虫のねにあらねともねさめなれはやかなしかるらん
わかために−なくむしのねに−あらねとも−ねさめなれはや−かなしかるらむ |
01555 |
未入力 俊成女 (xxx)
明けぬとてわかれぬ虫のこゑにさへ袖になみたの露そこほるる
あけぬとて−わかれぬむしの−こゑにさへ−そてになみたの−つゆそこほるる |
01556 |
未入力 少将内侍 (xxx)
いまははや霜おきぬへき暁を草葉にわふる虫のこゑかな
いまははや−しもおきぬへき−あかつきを−くさはにわふる−むしのこゑかな |
01557 |
未入力 弁内侍 (xxx)
露しけき暁はかりうき物はなくなくのへの虫もわふなる
つゆしけき−あかつきはかり−うきものは−なくなくのへの−むしもわふなる |
01558 |
未入力 但馬 (xxx)
鐘の音につきせぬねのみなく虫のこゑの限をききあかしつる
かねのおとに−つきせぬねのみ−なくむしの−こゑのかきりを−ききあかしつる |
01559 |
未入力 下野 (xxx)
心していたくな鳴きそ蛬かことかましき老のねさめに
こころして−いたくななきそ−きりきりす−かことかましき−おいのねさめに |
01560 |
未入力 御製 (xxx)
いつくにも月は一をいかにしてをはすて山はてりまさるらん
いつくにも−つきはひとつを−いかにして−をはすてやまは−てりまさるらむ |
01561 |
未入力 道助 (xxx)
月よたた行末とほく契りおきし我か山のはに影なくもりそ
つきよたた−ゆくすゑとほく−ちきりおきし−わかやまのはに−かけなくもりそ |
01562 |
未入力 実氏 (xxx)
あまつ空きよき夕の秋風に山のはのほる月をみるかな
あまつそら−きよきゆふへの−あきかせに−やまのはのほる−つきをみるかな |
01563 |
未入力 基家 (xxx)
山のはに絶え絶えのこる浮雲をてらしけちてもすめる月かな
やまのはに−たえたえのこる−うきくもを−てらしけちても−すめるつきかな |
01564 |
未入力 家良 (xxx)
神さふるいこまの山の高根よりいまさしのほる月のさやけさ
かみさふる−いこまのやまの−たかねより−いまさしのほる−つきのさやけさ |
01565 |
未入力 基良 (xxx)
さしのほる月をみゆきとみかさ山ふりてつかへしなこそ忘れね
さしのほる−つきをみゆきと−みかさやま−ふりてつかへし−なこそわすれね |
01566 |
未入力 隆親 (xxx)
時わかす名こそをくらの山なれとひかりは秋とすめる月かな
ときわかす−なこそをくらの−やまなれと−ひかりはあきと−すめるつきかな |
01567 |
未入力 為家 (xxx)
あまくたる神ちの山の木間よりひかりさやかに出つる月かけ
あまくたる−かみちのやまの−このまより−ひかりさやかに−いつるつきかけ |
01568 |
未入力 公相 (xxx)
くれぬともよるとはいはし紅葉はの下てる山をいつる月かけ
くれぬとも−よるとはいはし−もみちはの−したてるやまを−いつるつきかけ |
01569 |
未入力 実雄 (xxx)
君かすむはこやの山をいつるよりくもらぬ月は空にすみつつ
きみかすむ−はこやのやまを−いつるより−くもらぬつきは−そらにすみつつ |
01570 |
未入力 信覚 (xxx)
いはとあけし神代の月のめくりきてかけもくまなきあまのかく山
いはとあけし−かみよのつきの−めくりきて−かけもくまなき−あまのかくやま |
01571 |
未入力 為経 (xxx)
ひさにふるみむろの山のよはの月いく秋おなし影にすむらん
ひさにふる−みむろのやまの−よはのつき−いくあきおなし−かけにすむらむ |
01572 |
未入力 忠定 (xxx)
まさこ行くちくまの川にうつりきてをはすて山をいつる月影
まさこゆく−ちくまのかはに−うつりきて−をはすてやまを−いつるつきかけ |
01573 |
未入力 資季 (xxx)
秋の日のややくれかかる山のはにまた影うすき月はいてつつ
あきのひの−ややくれかかる−やまのはに−またかけうすき−つきはいてつつ |
01574 |
未入力 頼氏 (xxx)
秋のよのかつらの山の空はれてのこる影なく月やすむらん
あきのよの−かつらのやまの−そらはれて−のこるかけなく−つきやすむらむ |
01575 |
未入力 有教 (xxx)
みても猶なほたくひなきひかりかな月すみのほるさらしなの山
みてもなほ−なほたくひなき−ひかりかな−つきすみのほる−さらしなのやま |
01576 |
未入力 師継 (xxx)
大原やをしほの山のふりぬれは月も神世や思ひいつらん
おほはらや−をしほのやまの−ふりぬれは−つきもかみよや−おもひいつらむ |
01577 |
未入力 定嗣 (xxx)
ふけ行けはあまつみそらにすむ月をいさゆふくれにみねちかく見む
ふけゆけは−あまつみそらに−すむつきを−いさゆふくれに−みねちかくみむ |
01578 |
未入力 成実 (xxx)
月かけの出入る山はかはらねと秋のひかりや空にしるらん
つきかけの−いているやまは−かはらねと−あきのひかりや−そらにしるらむ |
01579 |
未入力 蓮性 (xxx)
たれしかも雲井はるかにとよ国のゆふ山いつる月をみるらん
たれしかも−くもゐはるかに−とよくにの−ゆふやまいつる−つきをみるらむ |
01580 |
未入力 顕氏 (xxx)
もろともにすむへき物とちきらねとみ山のいほに月そよかれぬ
もろともに−すむへきものと−ちきらねと−みやまのいほに−つきそよかれぬ |
01581 |
未入力 寂能 (xxx)
風はまたいたりいたらぬ秋のよに山をつくして月はすみけり
かせはまた−いたりいたらぬ−あきのよに−やまをつくして−つきはすみけり |
01582 |
未入力 為氏 (xxx)
ときは山かはる梢はみえねとも月こそ秋の色に出てけれ
ときはやま−かはるこすゑは−みえねとも−つきこそあきの−いろにいてけれ |
01583 |
未入力 真観 (xxx)
漢河ゐせきの山の高根より月のみ舟の影そさしこす
あまのかは−ゐせきのやまの−たかねより−つきのみふねの−かけそさしこす |
01584 |
未入力 寂西 (xxx)
山のはを吹きこす風に空晴れてさらにみえたる月のさやけさ
やまのはを−ふきこすかせに−そらはれて−さらにみえたる−つきのさやけさ |
01585 |
未入力 為継 (xxx)
空はれてくるれはおなし山のはにいくよさやけき月の出つらん
そらはれて−くるれはおなし−やまのはに−いくよさやけき−つきのいつらむ |
01586 |
未入力 経朝 (xxx)
葦曳の山を木たかみいつる月いく里かけて物思ふらん
あしひきの−やまをこたかみ−いつるつき−いくさとかけて−ものおもふらむ |
01587 |
未入力 行家 (xxx)
つくは山は山のしけみ出てかてにしはしいさよふ夜はの月影
つくはやま−はやまのしけみ−いてかてに−しはしいさよふ−よはのつきかけ |
01588 |
未入力 成茂 (xxx)
うこきなきはこやの山にすむ月のはるかにてらす千代の行末
うこきなき−はこやのやまに−すむつきの−はるかにてらす−ちよのゆくすゑ |
01589 |
未入力 隆祐 (xxx)
もる山も木のはかくれはのこりける待ちいつる程の秋の月影
もるやまも−このはかくれは−のこりける−まちいつるほとの−あきのつきかけ |
01590 |
未入力 禅信 (xxx)
さしも草露を分けてややとるらん秋といふきの山のはの月
さしもくさ−つゆをわけてや−やとるらむ−あきといふきの−やまのはのつき |
01591 |
未入力 高倉 (xxx)
ときは山色なき峰にすむ月はおのれ出ててや秋を知るらん
ときはやま−いろなきみねに−すむつきは−おのれいててや−あきをしるらむ |
01592 |
未入力 按察 (xxx)
かけていのるみむろの山の秋の月神のみまへの鏡とやみん
かけていのる−みむろのやまの−あきのつき−かみのみまへの−かかみとやみむ |
01593 |
未入力 帥 (xxx)
尋ねてもみわのしけ山今夜こそ人のとへとも月はすみけれ
たつねても−みわのしけやま−こよひこそ−ひとのとへとも−つきはすみけれ |
01594 |
未入力 小宰相 (xxx)
秋のよは空行く月もしら鳥のさきさか山の名にそすむらし
あきのよは−そらゆくつきも−しらとりの−さきさかやまの−なにそすむらし |
01595 |
未入力 俊成女 (xxx)
さひしさもあはれとも又ためしたにあらしの山の秋の月影
さひしさも−あはれともまた−ためしたに−あらしのやまの−あきのつきかけ |
01596 |
未入力 少将内侍 (xxx)
山風の吹きやる空の白雲をはるかになしていつる月かけ
やまかせの−ふきやるそらの−しらくもを−はるかになして−いつるつきかけ |
01597 |
未入力 弁内侍 (xxx)
みる程もよや寒からしあし曳の山おろし吹きて月そさやけき
みるほとも−よやさむからし−あしひきの−やまおろしふきて−つきそさやけき |
01598 |
未入力 但馬 (xxx)
思出てになにをかせましさらしなやをはすて山の月みさりせは
おもひいてに−なにをかせまし−さらしなや−をはすてやまの−つきみさりせは |
01599 |
未入力 下野 (xxx)
山ふかみ問ふ人あらはかこたまし心をわけす月をみるよは
やまふかみ−とふひとあらは−かこたまし−こころをわけす−つきをみるよは |
01600 |
未入力 御製 (xxx)
ささ波やしかの浦風海ふけはにほてりまさる月の影かな
ささなみや−しかのうらかせ−うみふけは−にほてりまさる−つきのかけかな |
01601 |
未入力 道助 (xxx)
にほの海や雲よりうへに波こえて月をそあらふ比良の山風
にほのうみや−くもよりうへに−なみこえて−つきをそあらふ−ひらのやまかせ |
01602 |
未入力 実氏 (xxx)
ささ波の数よむはかりすむ月にうらさひしかるしかのから崎
ささなみの−かすよむはかり−すむつきに−うらさひしかる−しかのからさき |
01603 |
未入力 基家 (xxx)
にほてると名におふ浦の秋なれは月になきたるをちのささ波
にほてると−なにおふうらの−あきなれは−つきになきたる−をちのささなみ |
01604 |
未入力 家良 (xxx)
あふみかたみをのみさきの浦風にくもらぬおきの月をみるかな
あふみかた−みをのみさきの−うらかせに−くもらぬおきの−つきをみるかな |
01605 |
未入力 基良 (xxx)
しかの浦やいさよふ波にあらはれてにほてりまさる夜はの月かけ
しかのうらや−いさよふなみに−あらはれて−にほてりまさる−よはのつきかけ |
01606 |
未入力 隆親 (xxx)
しかの浦や底まてきよく月すめはみかみのたけの影そうつれる
しかのうらや−そこまてきよく−つきすめは−みかみのたけの−かけそうつれる |
01607 |
未入力 為家 (xxx)
とほさかるみきはもわかすにほてるや月の氷の秋の浦なみ
とほさかる−みきはもわかす−にほてるや−つきのこほりの−あきのうらなみ |
01608 |
未入力 公相 (xxx)
あまのはら月さえ渡る秋のよに氷をよするしかのうら浪
あまのはら−つきさえわたる−あきのよに−こほりをよする−しかのうらなみ |
01609 |
未入力 実雄 (xxx)
すはの海のこほらぬ水にいかにしてそら行く月のさえ渡るらん
すはのうみの−こほらぬみつに−いかにして−そらゆくつきの−さえわたるらむ |
01610 |
未入力 信覚 (xxx)
にほの海やねぬよの月にこく舟の氷を渡る跡のしらなみ
にほのうみや−ねぬよのつきに−こくふねの−こほりをわたる−あとのしらなみ |
01611 |
未入力 為経 (xxx)
雲きゆるひらの高ねの山風に月影きよししかのから崎
くもきゆる−ひらのたかねの−やまかせに−つきかけきよし−しかのからさき |
01612 |
未入力 忠定 (xxx)
しかの浦やみきはは波のよせなからこほりはとほくうつる月かけ
しかのうらや−みきははなみの−よせなから−こほりはとほく−うつるつきかけ |
01613 |
未入力 資季 (xxx)
にほの海や秋の氷とみるまてにうつれる月の影そきえける
にほのうみや−あきのこほりと−みるまてに−うつれるつきの−かけそきえける |
01614 |
未入力 頼氏 (xxx)
しかの浦やささ波しろくすむ月にをちかた人の心をそ知る
しかのうらや−ささなみしろく−すむつきに−をちかたひとの−こころをそしる |
01615 |
未入力 有教 (xxx)
ささ波やしかの唐崎空晴れて月吹きすさむひらの山かせ
ささなみや−しかのからさき−そらはれて−つきふきすさふ−ひらのやまかせ |
01616 |
未入力 師継 (xxx)
ささ波やしかのおほわたみわたせは浦さひしくもすめる月かな
ささなみや−しかのおほわた−みわたせは−うらさひしくも−すめるつきかな |
01617 |
未入力 定嗣 (xxx)
ささ波やしかの大津に又もみむまことに秋の月はすみけり
ささなみや−しかのおほつに−またもみむ−まことにあきの−つきはすみけり |
01618 |
未入力 成実 (xxx)
くもりなき影をいくよかうつすらんにほてるおきの月の鏡に
くもりなき−かけをいくよか−うつすらむ−にほてるおきの−つきのかかみに |
01619 |
未入力 蓮性 (xxx)
あま人もおものの浜のはまつとを月にあけぬと今やいそかむ
あまひとも−おもののはまの−はまつとを−つきにあけぬと−いまやいそかむ |
01620 |
未入力 顕氏 (xxx)
今夜又にほてる月の影をみてかはらぬ波に秋をしるかな
こよひまた−にほてるつきの−かけをみて−かはらぬなみに−あきをしるかな |
01621 |
未入力 寂能 (xxx)
ささ波や月をはれよと吹きにけりひらのたかねの山おろしのかせ
ささなみや−つきをはれよと−ふきにけり−ひらのたかねの−やまおろしのかせ |
01622 |
未入力 為氏 (xxx)
ささ波やこほりにけりな秋のよの月のにほてるしかの浦風
ささなみや−こほりにけりな−あきのよの−つきのにほてる−しかのうらかせ |
01623 |
未入力 真観 (xxx)
秋風によそふけぬらしあちかまのしほつをさして月渡るみゆ
あきかせに−よそふけぬらし−あちかまの−しほつをさして−つきわたるみゆ |
01624 |
未入力 寂西 (xxx)
にほの海をいつてふ月のよひのまに影はにしなるから崎の松
にほのうみを−いつてふつきの−よひのまに−かけはにしなる−からさきのまつ |
01625 |
未入力 為継 (xxx)
ささ浪やしかの浦人いくかへりつりする袖に月をみるらん
ささなみや−しかのうらひと−いくかへり−つりするそてに−つきをみるらむ |
01626 |
未入力 経朝 (xxx)
水鳥のにほてる月のささ波はこほれと音もたえせさりけり
みつとりの−にほてるつきの−ささなみは−こほれとおとも−たえせさりけり |
01627 |
未入力 行家 (xxx)
にほの海やあみのみるめもなきものを誰かためにとか月はすむらん
にほのうみや−あみのみるめも−なきものを−たかためにとか−つきはすむらむ |
01628 |
未入力 成茂 (xxx)
すみなれししかの浦浪立ちかへり心はれたる月をみるかな
すみなれし−しかのうらなみ−たちかへり−こころはれたる−つきをみるかな |
01629 |
未入力 隆祐 (xxx)
月のみそ袖やぬるらんあま人のくみもならはぬしほつすか浦
つきのみそ−そてやぬるらむ−あまひとの−くみもならはぬ−しほつすかうら |
01630 |
未入力 単雪目 (xxx)
さよふけてしかのうら風海ふけは月影なからささ波そたつ
さよふけて−しかのうらかせ−うみふけは−つきかけなから−ささなみそたつ |
01631 |
未入力 高倉 (xxx)
鏡山くもらぬ秋の月なれはひかりをみかくしかのうらなみ
かかみやま−くもらぬあきの−つきなれは−ひかりをみかく−しかのうらなみ |
01632 |
未入力 按察 (xxx)
みるめなき我か身をうらの月影にしかつのあまや杣ぬらすらん
みるめなき−わかみをうらの−つきかけに−しかつのあまや−そまぬらすらむ |
01633 |
未入力 帥 (xxx)
しかの浦や今夜の月の影にこそつりするあまの袖もみえけれ
しかのうらや−こよひのつきの−かけにこそ−つりするあまの−そてもみえけれ |
01634 |
未入力 小宰相 (xxx)
ひかりそふ月のためとやくるるよりひら山おろし海に吹くらん
ひかりそふ−つきのためとや−くるるより−ひらやまおろし−うみにふくらむ |
01635 |
未入力 俊成女 (xxx)
にほの海の秋のよ渡るあまを舟月にのりてや浦つたひする
にほのうみの−あきのよわたる−あまをふね−つきにのりてや−うらつたひする |
01636 |
未入力 少将内侍 (xxx)
しかのあまのみるめはなしと思へとも秋の月よに成りにけるかな
しかのあまの−みるめはなしと−おもへとも−あきのつきよに−なりにけるかな |
01637 |
未入力 弁内侍 (xxx)
さこそ又月もすむらめ浮雲をみるめはよそににほの浦風
さこそまた−つきもすむらめ−うきくもを−みるめはよそに−にほのうらかせ |
01638 |
未入力 但馬 (xxx)
しかの浦やくもらぬ月のきよけれはまほにそみゆるおきのつり舟
しかのうらや−くもらぬつきの−きよけれは−まほにそみゆる−おきのつりふね |
01639 |
未入力 下野 (xxx)
浪たたは月もうつらしにほの海のひら山おろし雲に吹くらん
なみたたは−つきもうつらし−にほのうみの−ひらやまおろし−くもにふくらむ |
01640 |
未入力 御製 (xxx)
いるかたの山のはもなき武蔵野のあくともよはの月やのこらん
いるかたの−やまのはもなき−むさしのの−あくともよはの−つきやのこらむ |
01641 |
未入力 道助 (xxx)
むさしのやとほさもしらてすむ月は山のはわけて入るかたもなし
むさしのや−とほさもしらて−すむつきは−やまのはわけて−いるかたもなし |
01642 |
未入力 夷氏 (xxx)
わきてみんかたこそなけれ露しけき野なる草木もやとる月影
わきてみむ−かたこそなけれ−つゆしけき−のなるくさきも−やとるつきかけ |
01643 |
未入力 基家 (xxx)
春日野やひかりもきよくてらすよの月と神とに身をそまかする
かすかのや−ひかりもきよく−てらすよの−つきとかみとに−みをそまかする |
01644 |
未入力 家良 (xxx)
高円やあきののうへの月かけに夜風をさむみ露こほれつつ
たかまとや−あきののうへの−つきかけに−よかせをさむみ−つゆこほれつつ |
01645 |
未入力 基良 (xxx)
月やとるのへはみなから月くさのぬれての色に秋風そふく
つきやとる−のへはみなから−つきくさの−ぬれてのいろに−あきかせそふく |
01646 |
未入力 隆親 (xxx)
露しけき草葉をすくる秋風に月も分行くむさしののはら
つゆしけき−くさはをすくる−あきかせに−つきもわけゆく−むさしののはら |
01647 |
未入力 為家 (xxx)
草の原のもせの露にやとかりてそらにいそかぬ月の影かな
くさのはら−のもせのつゆに−やとかりて−そらにいそかぬ−つきのかけかな |
01648 |
未入力 公相 (xxx)
旅衣きつつそみつるすみよしの遠里をのの秋のよの月
たひころも−きつつそみつる−すみよしの−とほさとをのの−あきのよのつき |
01649 |
未入力 実雄 (xxx)
いまよりはあさち色つくやたののにさえたるよはの月のさひしき
いまよりは−あさちいろつく−やたののに−さえたるよはの−つきのさひしき |
01650 |
未入力 信覚 (xxx)
うちはらひ片野のましはふみ分けて月かけあまる袖の上の露
うちはらひ−かたののましは−ふみわけて−つきかけあまる−そてのうへのつゆ |
01651 |
未入力 為経 (xxx)
いにしへにかはらぬかけやうつるらんの中の水のもとの心に
いにしへに−かはらぬかけや−うつるらむ−のなかのみつの−もとのこころに |
01652 |
未入力 忠定 (xxx)
すむ月のひとつひかりにむさしののくさはみなから秋の初霜
すむつきの−ひとつひかりに−むさしのの−くさはみなから−あきのはつしも |
01653 |
未入力 資季 (xxx)
夜もすから月をへたつる影もなしのへに出ててそみるへかりける
よもすから−つきをへたつる−かけもなし−のへにいててそ−みるへかりける |
01654 |
未入力 頼氏 (xxx)
おちまかふ木の下露の時雨にもかたへそくもるみやきのの月
おちまかふ−このしたつゆの−しくれにも−かたへそくもる−みやきののつき |
01655 |
未入力 有教 (xxx)
いそのかみふるののあさち霜かれてすゑはの露もやとる月かけ
いそのかみ−ふるののあさち−しもかれて−すゑはのつゆも−やとるつきかけ |
01656 |
未入力 師継 (xxx)
あまの河なかるる月のさ夜ふけて片野のみのにやとやかるらん
あまのかは−なかるるつきの−さよふけて−かたののみのに−やとやかるらむ |
01657 |
未入力 定嗣 (xxx)
ふなはりのなみしはの野の秋風にはやくよわたる月のさやけさ
ふなはりの−なみしはののの−あきかせに−はやくよわたる−つきのさやけさ |
01658 |
未入力 成実 (xxx)
さきつくす千草の露の色色を瑩きてすめるのへの月影
さきつくす−ちくさのつゆの−いろいろを−みかきてすめる−のへのつきかけ |
01659 |
未入力 蓮性 (xxx)
いなみののあさちか原にしく露ややとかる月の夜とこなるらん
いなみのの−あさちかはらに−しくつゆや−やとかるつきの−よとこなるらむ |
01660 |
未入力 顕氏 (xxx)
絶えはてぬ野中の清水いにしへを忘れす月の影そすみける
たえはてぬ−のなかのしみつ−いにしへを−わすれすつきの−かけそすみける |
01661 |
未入力 寂能 (xxx)
思ひわひねぬ夜あまたの野へのいほにまたしとすれと月そもりくる
おもひわひね−ぬよあまたのの−へのいほに−またしとすれと−つきそもりくる |
01662 |
未入力 為氏 (xxx)
梓弓ひくまの野へのはるかにもいる方とほくすめる月かけ
あつさゆみ−ひくまののへの−はるかにも−いるかたとほく−すめるつきかけ |
01663 |
未入力 真観 (xxx)
高円の野へはふくすの秋風にかへすかへすもみつるつきかな
たかまとの−のへはふくすの−あきかせに−かへすかへすも−みつるつきかな |
01664 |
未入力 寂西 (xxx)
おのつから野へにむかひのやとしめてすむ程とほく月をみるかな
おのつから−のへにむかひの−やとしめて−すむほととほく−つきをみるかな |
01665 |
未入力 為継 (xxx)
木の下の心つくしもなかりけり野中にはるる秋の夜の月
このしたの−こころつくしも−なかりけり−のなかにはるる−あきのよのつき |
01666 |
未入力 経朝 (xxx)
とれはけぬおけは玉なす露の間も忘かたみののへの月影
とれはけぬ−おけはたまなす−つゆのまも−わすれかたみの−のへのつきかけ |
01667 |
未入力 行家 (xxx)
秋風の末ふきなひくすすき野のほむけにのこる月の影かな
あきかせの−すゑふきなひく−すすきのの−ほむけにのこる−つきのかけかな |
01668 |
未入力 成茂 (xxx)
旅人の友とやたのむ高島やかちののはらの秋の月かけ
たひひとの−ともとやたのむ−たかしまや−かちののはらの−あきのつきかけ |
01669 |
未入力 隆祐 (xxx)
かるもかくいなのの原のかり枕さてもねられぬ月をみるかな
かるもかく−いなののはらの−かりまくら−さてもねられぬ−つきをみるかな |
01670 |
未入力 禅信 (xxx)
いにしへの秋の契やのこるらん野中の清水月そすみける
いにしへの−あきのちきりや−のこるらむ−のなかのしみつ−つきそすみける |
01671 |
未入力 高倉 (xxx)
尋ねくる人はかたののささのはに露のやとかる秋のよの月
たつねくる−ひとはかたのの−ささのはに−つゆのやとかる−あきのよのつき |
01672 |
未入力 按察 (xxx)
野へみれはくまなきものを秋の月春をしらすと誰かいひけん
のへみれは−くまなきものを−あきのつき−はるをしらすと−たれかいひけむ |
01673 |
未入力 帥 (xxx)
武蔵野や草葉みなからおく露に末はるかなる月をみるかな
むさしのや−くさはみなから−おくつゆに−すゑはるかなる−つきをみるかな |
01674 |
未入力 小宰相 (xxx)
我かままに野守はみるや秋の月草のいほりを露にまかせて
わかままに−のもりはみるや−あきのつき−くさのいほりを−つゆにまかせて |
01675 |
未入力 俊成女 (xxx)
露にとや花のえことにちきるらん月にやとかる宮木のの原
つゆにとや−はなのえことに−ちきるらむ−つきにやとかる−みやきののはら |
01676 |
未入力 少将内侍 (xxx)
野へみれはやや草枯の霜の色に猶さやかなる秋のよの月
のへみれは−ややくさかれの−しものいろに−なほさやかなる−あきのよのつき |
01677 |
未入力 弁内侍 (xxx)
わすれすはをののしの原忍ふとやあまりてやとる露の月影
わすれすは−をののしのはら−しのふとや−あまりてやとる−つゆのつきかけ |
01678 |
未入力 但馬 (xxx)
秋といへはのこるくまなくすみなれて月こそのへのあるしなりけれ
あきといへは−のこるくまなく−すみなれて−つきこそのへの−あるしなりけれ |
01679 |
未入力 下野 (xxx)
長き夜のあけぬにいそくみかり人いるののすゑの月やみるらん
なかきよの−あけぬにいそく−みかりひと−いるののすゑの−つきやみるらむ |
01680 |
未入力 御製 (xxx)
さしのほる月もさやけし天川とほき渡と秋やなるらん
さしのほる−つきもさやけし−あまのかは−とほきわたりと−あきやなるらむ |
01681 |
未入力 道助 (xxx)
山城の淀の渡をなかむれは月の氷はとくるまそなき
やましろの−よとのわたりを−なかむれは−つきのこほりは−とくるまそなき |
01682 |
未入力 実氏 (xxx)
さして行くなるとのおきの夕塩にひかりみちたる秋の夜の月
さしてゆく−なるとのおきの−ゆふしほに−ひかりみちたる−あきのよのつき |
01683 |
未入力 基家 (xxx)
月さゆるゆらの湊やふけぬらんをちかた人のこゑそのこれる
つきさゆる−ゆらのみなとや−ふけぬらむ−をちかたひとの−こゑそのこれる |
01684 |
未入力 家良 (xxx)
いせの海の塩のひままつみわたしにいそかすやとる秋のよの月
いせのうみの−しほのひままつ−みわたしに−いそかすやとる−あきのよのつき |
01685 |
未入力 基良 (xxx)
川舟の月をあかすやみなれ棹さしもさやけき淀の渡を
かはふねの−つきをあかすや−みなれさを−さしもさやけき−よとのわたりを |
01686 |
未入力 隆親 (xxx)
尋ねみむこつのわたりの渡守いつれのきしか月はくまなき
たつねみむ−こつのわたりの−わたしもり−いつれのきしか−つきはくまなき |
01687 |
未入力 為家 (xxx)
月かけはさして出てぬるゆらのとに塩風まつととまる舟人
つきかけは−さしていてぬる−ゆらのとに−しほかせまつと−とまるふなひと |
01688 |
未入力 公相 (xxx)
浪の上にとわたる舟もあけぬとやいる方いそくあはち島山
なみのうへに−とわたるふねも−あけぬとや−いるかたいそく−あはちしまやま |
01689 |
未入力 実雄 (xxx)
むはたまのよわたる月のひかりにも淀の川をさみ舟さすらし
うはたまの−よわたるつきの−ひかりにも−よとのかはをさ−みふねさすらし |
01690 |
未入力 信覚 (xxx)
有明の月影きよきゆらのとにわたりもはてぬあまのつり舟
ありあけの−つきかけきよき−ゆらのとに−わたりもはてぬ−あまのつりふね |
01691 |
未入力 為経 (xxx)
久方の桂の河の渡し舟よなよな月のかけやすむらん
ひさかたの−かつらのかはの−わたしふね−よなよなつきの−かけやすむらむ |
01692 |
未入力 忠定 (xxx)
月よには我のみと鳴くしかすかのわたりは波のこゑもすみけり
つきよには−われのみとなく−しかすかの−わたりはなみの−こゑもすみけり |
01693 |
未入力 資季 (xxx)
わたの原とほきわたりをこきゆけは夜舟をおくる波の上の月
わたのはら−とほきわたりを−こきゆけは−よふねをおくる−なみのうへのつき |
01694 |
未入力 頼氏 (xxx)
秋風のおくらぬよはの河舟のわたりの波に月そそひゆく
あきかせの−おくらぬよはの−かはふねの−わたりのなみに−つきそそひゆく |
01695 |
未入力 有教 (xxx)
心あるよとの河せの渡し守月をみよとやいそかさるらん
こころある−よとのかはせの−わたしもり−つきをみよとや−いそかさるらむ |
01696 |
未入力 師継 (xxx)
山城のとはにあひみる夜はの月よとの渡に影そふけ行く
やましろの−とはにあひみる−よはのつき−よとのわたりに−かけそふけゆく |
01697 |
未入力 定嗣 (xxx)
久方の月をはるけみ見つるかなつしまの渡わたなかにして
ひさかたの−つきをはるけみ−みつるかな−つしまのわたり−わたなかにして |
01698 |
未入力 成実 (xxx)
なかむれは秋のひかりをさしそへて月によわたるよとの河をさ
なかむれは−あきのひかりを−さしそへて−つきによわたる−よとのかはをさ |
01699 |
未入力 蓮性 (xxx)
すみた川あなかま舟のかちかくせ夜わたる月をととむはかりに
すみたかは−あなかまふねの−かちかくせ−よわたるつきを−ととむはかりに |
01700 |
未入力 顕氏 (xxx)
なるみかた波ちの月をなかめつついそかて渡る秋の舟人
なるみかた−なみちのつきを−なかめつつ−いそかてわたる−あきのふなひと |
01701 |
未入力 寂能 (xxx)
淀河のよとまぬ月の渡し守わたるせはやきあまの友舟
よとかはの−よとまぬつきの−わたしもり−わたるせはやき−あまのともふね |
01702 |
未入力 為氏 (xxx)
まてしはしいそかてゆかんわたし舟さしても月の影はさすらん
まてしはし−いそかてゆかむ−わたしふね−さしてもつきの−かけはさすらむ |
01703 |
未入力 真観 (xxx)
あはちかた塩のはやみのせとわたり心そらなる月をみるかな
あはちかた−しほのはやみの−せとわたり−こころそらなる−つきをみるかな |
01704 |
未入力 寂西 (xxx)
猶しはし淀の河せの月をみむわたしを舟はこきなつけそも
なほしはし−よとのかはせの−つきをみむ−わたしをふねは−こきなつけそも |
01705 |
未入力 為継 (xxx)
渡守はやといへともすみた河くらせるよひの月をこそみれ
わたしもり−はやといへとも−すみたかは−くらせるよひの−つきをこそみれ |
01706 |
未入力 経朝 (xxx)
大淀のわたるせなみの数ことにひかりをやとす秋のよの月
おほよとの−わたるせなみの−かすことに−ひかりをやとす−あきのよのつき |
01707 |
未入力 行家 (xxx)
泉河川せの波も閑にてとほきわたりにすめる月かけ
いつみかは−かはせのなみも−しつかにて−とほきわたりに−すめるつきかけ |
01708 |
未入力 成茂 (xxx)
秋のよの月をしみれはしかすかに心そとまる渡なりける
あきのよの−つきをしみれは−しかすかに−こころそとまる−わたりなりける |
01709 |
未入力 隆祐 (xxx)
月に猶をちかた人やわたすらんよるもつなかぬよとの河舟
つきになほ−をちかたひとや−わたすらむ−よるもつなかぬ−よとのかはふね |
01710 |
未入力 禅信 (xxx)
わたしふね波のよるさへ行きかへり月に棹さすよとの川長
わたしふね−なみのよるさへ−ゆきかへり−つきにさをさす−よとのかはをさ |
01711 |
未入力 高倉 (xxx)
しかすかに秋のひかりやまさるらん夜渡る月の影そさやけき
しかすかに−あきのひかりや−まさるらむ−よわたるつきの−かけそさやけき |
01712 |
未入力 按察 (xxx)
我はかり物思はすはちはや人うちの渡の月やみるらん
われはかり−ものおもはすは−ちはやひと−うちのわたりの−つきやみるらむ |
01713 |
未入力 帥 (xxx)
月のすむ淀の渡のふかき夜に行きかふ舟の音そきこゆる
つきのすむ−よとのわたりの−ふかきよに−ゆきかふふねの−おとそきこゆる |
01714 |
未入力 小宰相 (xxx)
月やとるよとの河舟この程は心すみてそ行きかへるらん
つきやとる−よとのかはふね−このほとは−こころすみてそ−ゆきかへるらむ |
01715 |
未入力 俊成女 (xxx)
しかすかの渡りなれにし月かけも猶すみまさる秋のよの空
しかすかの−わたりなれにし−つきかけも−なほすみまさる−あきのよのそら |
01716 |
未入力 少将内侍 (xxx)
尋ねみる人こそここにいつみ川わたりをとほみすめる月影
たつねみる−ひとこそここに−いつみかは−わたりをとほみ−すめるつきかけ |
01717 |
未入力 弁内侍 (xxx)
月かけにまた夜ふかしと思へとも淀の渡は舟いそくなり
つきかけに−またよふかしと−おもへとも−よとのわたりは−ふねいそくなり |
01718 |
未入力 但馬 (xxx)
舟よするむかひの岸はちかけれと月にそ今夜渡りかねぬる
ふねよする−むかひのきしは−ちかけれと−つきにそこよひ−わたりかねぬる |
01719 |
未入力 下野 (xxx)
雲もなくなきたるよはの月かけにゆらのみなとを渡る舟人
くももなく−なきたるよはの−つきかけに−ゆらのみなとを−わたるふなひと |
01720 |
未入力 御製 (xxx)
夜をかさね露の玉しく庭もせにひかりそへたる秋の月影
よをかさね−つゆのたましく−にはもせに−ひかりそへたる−あきのつきかけ |
01721 |
未入力 道助 (xxx)
のこりなく庭の千草はうつろひぬやとれる月も露やそむらん
のこりなく−にはのちくさは−うつろひぬ−やとれるつきも−つゆやそむらむ |
01722 |
未入力 実氏 (xxx)
かはりける雲井の月の秋よりや衛士のたく火をたゆみそめけん
かはりける−くもゐのつきの−あきよりや−ゑしのたくひを−たゆみそめけむ |
01723 |
未入力 基家 (xxx)
閑なるやとからいととさひしきはみれともふりぬ秋のよの月
しつかなる−やとからいとと−さひしきは−みれともふりぬ−あきのよのつき |
01724 |
未入力 家良 (xxx)
夜をさむみうら葉かれ行く庭くさにさひしかれともすめる月かな
よをさむみ−うらはかれゆく−にはくさに−さひしかれとも−すめるつきかな |
01725 |
未入力 基良 (xxx)
なへてよのひかりもしかし白露の玉の砌にみかく月影
なへてよの−ひかりもしかし−しらつゆの−たまのみきりに−みかくつきかけ |
01726 |
未入力 隆親 (xxx)
よひのまにしくるる空や晴れぬらんぬれてもやとる庭の月かけ
よひのまに−しくるるそらや−はれぬらむ−ぬれてもやとる−にはのつきかけ |
01727 |
未入力 為家 (xxx)
月やとすかきほの霜のふる蓬つもれは老の秋そたけ行く
つきやとす−かきほのしもの−ふるよもき−つもれはおいの−あきそたけゆく |
01728 |
未入力 公相 (xxx)
ひさかたの空にあらしや払ふらん玉しく庭をみかく月影
ひさかたの−そらにあらしや−はらふらむ−たましくにはを−みかくつきかけ |
01729 |
未入力 実雄 (xxx)
九重や玉しく庭の竹のはに露をみかける秋の月影
ここのへや−たましくにはの−たけのはに−つゆをみかける−あきのつきかけ |
01730 |
未入力 信覚 (xxx)
秋もうし人もとひこぬ山のはのをのへのいほの庭の月影
あきもうし−ひともとひこぬ−やまのはの−をのへのいほの−にはのつきかけ |
01731 |
未入力 為経 (xxx)
秋の月影うつり行く庭の面にふけぬるよはの程そみえける
あきのつき−かけうつりゆく−にはのおもに−ふけぬるよはの−ほとそみえける |
01732 |
未入力 忠定 (xxx)
つもりぬる我かよもきふの秋の霜ふり行く庭の月そさひしき
つもりぬる−わかよもきふの−あきのしも−ふりゆくにはの−つきそさひしき |
01733 |
未入力 資季 (xxx)
蓬生に道しけりあふ庭まても里わかぬ月の影はすみけり
よもきふに−みちしけりあふ−にはまても−さとわかぬつきの−かけはすみけり |
01734 |
未入力 頼氏 (xxx)
故郷とあれにし庭のまさこちに玉しきすつる秋のよの月
ふるさとと−あれにしにはの−まさこちに−たましきすつる−あきのよのつき |
01735 |
未入力 有教 (xxx)
千とせまてすむへき秋の庭なれは月のひかりもかきりなきかな
ちとせまて−すむへきあきの−にはなれは−つきのひかりも−かきりなきかな |
01736 |
未入力 師継 (xxx)
あさちふも玉しく庭とみゆるまて露をみかける秋のよの月
あさちふも−たましくにはと−みゆるまて−つゆをみかける−あきのよのつき |
01737 |
未入力 定嗣 (xxx)
さらぬたに人ことおほき庭のうへにささらえをとこ影をよせけり
さらぬたに−ひとことおほき−にはのうへに−ささらえをとこ−かけをよせけり |
01738 |
未入力 成実 (xxx)
身をかこつ袖よりおつるなみたとて蓬か庭に月もうつりぬ
みをかこつ−そてよりおつる−なみたとて−よもきかにはに−つきもうつりぬ |
01739 |
未入力 蓮性 (xxx)
庭もせにまやのあまりの程なきにわりなく月の影もすみけり
にはもせに−まやのあまりの−ほとなきに−わりなくつきの−かけもすみけり |
01740 |
未入力 顕氏 (xxx)
しけりあふ庭の蓬の跡とめて故郷しのふ秋のよの月
しけりあふ−にはのよもきの−あととめて−ふるさとしのふ−あきのよのつき |
01741 |
未入力 寂能 (xxx)
いく夜かも庭のささふのあれまくにをしあけかたの窓の月かけ
いくよかも−にはのささふの−あれまくに−をしあけかたの−まとのつきかけ |
01742 |
未入力 為氏 (xxx)
さしのほるしるへともかな玉しきのみはしになるる秋の月かけ
さしのほる−しるへともかな−たましきの−みはしになるる−あきのつきかけ |
01743 |
未入力 真観 (xxx)
あさちふの庭の白露おきそめてふくるにまさる夜はの月かけ
あさちふの−にはのしらつゆ−おきそめて−ふくるにまさる−よはのつきかけ |
01744 |
未入力 寂西 (xxx)
むす苔もまさこましりの庭のうへははたれに月の影そさやけき
むすこけも−まさこましりの−にはのうへは−はたれにつきの−かけそさやけき |
01745 |
未入力 為継 (xxx)
くるるよの庭の蓬生露しけみはらはぬからに月のみそすむ
くるるよの−にはのよもきふ−つゆしけみ−はらはぬからに−つきのみそすむ |
01746 |
未入力 経朝 (xxx)
みても猶人そまたるるしら露の玉しく庭にすめる月かけ
みてもなほ−ひとそまたるる−しらつゆの−たましくにはに−すめるつきかけ |
01747 |
未入力 行家 (xxx)
うらかるる庭のあさちの初霜をおきかさねたる月の色かな
うらかるる−にはのあさちの−はつしもを−おきかさねたる−つきのいろかな |
01748 |
未入力 成茂 (xxx)
やはらくるひかりやかよふひろまへの庭のいさこをてらす月影
やはらくる−ひかりやかよふ−ひろまへの−にはのいさこを−てらすつきかけ |
01749 |
未入力 隆祐 (xxx)
のきはよりひかりをわけてもる月もおとろく程の秋のうたたね
のきはより−ひかりをわけて−もるつきも−おとろくほとの−あきのうたたね |
01750 |
未入力 禅信 (xxx)
払ひこし庭の蓬の露の上にとはれぬよはの月をみるかな
はらひこし−にはのよもきの−つゆのうへに−とはれぬよはの−つきをみるかな |
01751 |
未入力 高倉 (xxx)
里はあれて庭の蓬はしけれともかはらす月の影はすみけり
さとはあれて−にはのよもきは−しけれとも−かはらすつきの−かけはすみけり |
01752 |
未入力 按察 (xxx)
露はらふ人たにもなき庭もせになさけあれはや月のすむらん
つゆはらふ−ひとたにもなき−にはもせに−なさけあれはや−つきのすむらむ |
01753 |
未入力 帥 (xxx)
故郷とあれにし庭のあさちふにさひしくも有るかすめる月影
ふるさとと−あれにしにはの−あさちふに−さひしくもあるか−すめるつきかけ |
01754 |
未入力 小宰相 (xxx)
こぬ人にみせもきかせはとひやせん月にさえたる庭の松かせ
こぬひとに−みせもきかせは−とひやせむ−つきにさえたる−にはのまつかせ |
01755 |
未入力 俊成女 (xxx)
たつねても忘れぬ月の影そとふ蓬か庭の露のふかさの
たつねても−わすれぬつきの−かけそとふ−よもきかにはの−つゆのふかさの |
01756 |
未入力 少将内侍 (xxx)
庭もせにやとりにけりなあさちふの露の上なる秋の月かけ
にはもせに−やとりにけりな−あさちふの−つゆのうへなる−あきのつきかけ |
01757 |
未入力 弁内侍 (xxx)
我か門を行く人あらは月よよしこてふににたる庭の上かな
わかかとを−ゆくひとあらは−つきよよし−こてふににたる−にはのうへかな |
01758 |
未入力 但馬 (xxx)
軒はもる月にねぬよそつもりぬるなれてくやしき物思へとて
のきはもる−つきにねぬよそ−つもりぬる−なれてくやしき−ものおもへとて |
01759 |
未入力 下野 (xxx)
軒ふかき蓬をわくる秋風や月のひかりをさそひ入るらん
のきふかき−よもきをわくる−あきかせや−つきのひかりを−さそひいるらむ |
01760 |
未入力 御製 (xxx)
旅人の友まとはしてよはふなり朝霧ふかきあしからの関
たひひとの−ともまとはして−よはふなり−あさきりふかき−あしからのせき |
01761 |
未入力 道助 (xxx)
不破の関関守もなき夕まくれ霧はかりにそ立ちとまりぬる
ふはのせき−せきもりもなき−ゆふまくれ−きりはかりにそ−たちとまりぬる |
01762 |
未入力 実氏 (xxx)
しひてやは猶過きゆかむ相坂の関のわらやの秋の夕きり
しひてやは−なほすきゆかむ−あふさかの−せきのわらやの−あきのゆふきり |
01763 |
未入力 基家 (xxx)
あさ霧に宮こやいつここし方も行へもけふは白河の関
あさきりに−みやこやいつこ−こしかたも−ゆくへもけふは−しらかはのせき |
01764 |
未入力 家良 (xxx)
かち人の関のゆききももりわひぬ相坂山のきりのまよひに
かちひとの−せきのゆききも−もりわひぬ−あふさかやまの−きりのまよひに |
01765 |
未入力 基良 (xxx)
はれすのみ関ちへたつる夕霧にたかあふ坂の道まよふらん
はれすのみ−せきちへたつる−ゆふきりに−たかあふさかの−みちまよふらむ |
01766 |
未入力 隆親 (xxx)
あけくれの空も一に霧こめてたれか衣の関をわくらん
あけくれの−そらもひとつに−きりこめて−たれかころもの−せきをわくらむ |
01767 |
未入力 為家 (xxx)
鳥のねはいそく習の関のとにあくるをみせぬ秋の朝霧
とりのねは−いそくならひの−せきのとに−あくるをみせぬ−あきのあさきり |
01768 |
未入力 公相 (xxx)
鳥のねはあけぬとつくる関のとに猶道たとるやまの朝霧
とりのねは−あけぬとつくる−せきのとに−なほみちたとる−やまのあさきり |
01769 |
未入力 実雄 (xxx)
夕霧にえそ過きやらぬあつまちや関はかすみの名にたてれとも
ゆふきりに−えそすきやらぬ−あつまちや−せきはかすみの−なにたてれとも |
01770 |
未入力 信覚 (xxx)
あさあけのをちかた人の跡もなし霧立渡る関の藤川
あさあけの−をちかたひとの−あともなし−きりたちわたる−せきのふちかは |
01771 |
未入力 為経 (xxx)
旅人の相坂山は霧こめて行くも帰るもわかぬころかな
たひひとの−あふさかやまは−きりこめて−ゆくもかへるも−わかぬころかな |
01772 |
未入力 忠定 (xxx)
行人にこの関とほせ秋の霧おのれはしはしあさたたすとも
ゆくひとに−このせきとほせ−あきのきり−おのれはしはし−あさたたすとも |
01773 |
未入力 資季 (xxx)
けふも又夕霧たちぬ相坂の関のゆききの道見えぬまて
けふもまた−ゆふきりたちぬ−あふさかの−せきのゆききの−みちみえぬまて |
01774 |
未入力 頼氏 (xxx)
すすか山あくる関戸も猶閉ちてきり間の道に行く人そなき
すすかやま−あくるせきとも−なほとちて−きりまのみちに−ゆくひとそなき |
01775 |
未入力 有教 (xxx)
みちのくの衣の関をきてみれは立つ朝霧そはるる間もなき
みちのくの−ころものせきを−きてみれは−たつあさきりそ−はるるまもなき |
01776 |
未入力 師継 (xxx)
おほつかなここやなこその関ならん霧の隔に行方もなし
おほつかな−ここやなこその−せきならむ−きりのへたてに−ゆくかたもなし |
01777 |
未入力 定嗣 (xxx)
関こゆる道たつたつし足柄の山へをかくすあまつ霧かも
せきこゆる−みちたつたつし−あしからの−やまへをかくす−あまつきりかも |
01778 |
未入力 成実 (xxx)
秋霧によもの山へはこめなからたちやとまらん相坂の関
あききりに−よものやまへは−こめなから−たちやとまらむ−あふさかのせき |
01779 |
未入力 蓮性 (xxx)
関といふ名こそたかしの浦人はきりを分けても行きかよひつつ
せきといふ−なこそたかしの−うらひとは−きりをわけても−ゆきかよひつつ |
01780 |
未入力 顕氏 (xxx)
霧ふかみ行ききの人もみえわかすいつこ相坂関の名もうし
きりふかみ−ゆききのひとも−みえわかす−いつこあふさか−せきのなもうし |
01781 |
未入力 寂能 (xxx)
霧のうちは行くも帰るもしられねはおとをとかむる不破の関守
きりのうちは−ゆくもかへるも−しられねは−おとをとかむる−ふはのせきもり |
01782 |
未入力 為氏 (xxx)
春は又霞の関とききしかと秋の霧さへ猶たちにけり
はるはまた−かすみのせきと−ききしかと−あきのきりさへ−なほたちにけり |
01783 |
未入力 真観 (xxx)
夕露や立ちへたつらん岩かきのみつきの関は舟もととめす
ゆふつゆや−たちへたつらむ−いはかきの−みつきのせきは−ふねもととめす |
01784 |
未入力 寂西 (xxx)
音羽山霧立渡る相坂のせきちまさしくみえぬ秋かな
おとはやま−きりたちわたる−あふさかの−せきちまさしく−みえぬあきかな |
01785 |
未入力 為継 (xxx)
相坂を越えてや人の迷ふらん関のを川の秋のあさきり
あふさかを−こえてやひとの−まよふらむ−せきのをかはの−あきのあさきり |
01786 |
未入力 経朝 (xxx)
関の戸をさすことしらぬ君か代に霧にやすらふ足柄の山
せきのとを−さすことしらぬ−きみかよに−きりにやすらふ−あしからのやま |
01787 |
未入力 行家 (xxx)
霧ふかみえそ行きやらぬ清見かた関もる波のひまはあれとも
きりふかみ−えそゆきやらぬ−きよみかた−せきもるなみの−ひまはあれとも |
01788 |
未入力 成茂 (xxx)
君か代に又相坂の道しあれはへたてし霧をよそにみるかな
きみかよに−またあふさかの−みちしあれは−へたてしきりを−よそにみるかな |
01789 |
未入力 隆祐 (xxx)
こえきぬる日数もあるを秋霧の又へたてたる白河のせき
こえきぬる−ひかすもあるを−あききりの−またへたてたる−しらかはのせき |
01790 |
未入力 禅信 (xxx)
こえかねてととめぬ人もとまりけり霧のまよひの足柄の関
こえかねて−ととめぬひとも−とまりけり−きりのまよひの−あしからのせき |
01791 |
未入力 高倉 (xxx)
秋霧にたつ旅人を清見かたかさねてとむるなみの関守
あききりに−たつたひひとを−きよみかた−かさねてとむる−なみのせきもり |
01792 |
未入力 按察 (xxx)
相坂や霧のまよひに関こえてしるもしらぬもえこそわかれね
あふさかや−きりのまよひに−せきこえて−しるもしらぬも−えこそわかれね |
01793 |
未入力 帥 (xxx)
此比はさそへたつらん東路のなこその関の秋の夕きり
このころは−さそへたつらむ−あつまちの−なこそのせきの−あきのゆふきり |
01794 |
未入力 小宰相 (xxx)
ふかき夜と人はやすらふ関の戸に霧立ちてけり足柄の山
ふかきよと−ひとはやすらふ−せきのとに−きりたちてけり−あしからのやま |
01795 |
未入力 俊成女 (xxx)
立ちこむるせきちをまよふ夕霧に猶ふきこゆるすまの秋風
たちこむる−せきちをまよふ−ゆふきりに−なほふきこゆる−すまのあきかせ |
01796 |
未入力 少将内侍 (xxx)
秋霧は夜をしこめてや立ちぬらんふはの関との明けやらぬより
あききりは−よをしこめてや−たちぬらむ−ふはのせきとの−あけやらぬより |
01797 |
未入力 弁内侍 (xxx)
誰か又かさねてもきむ秋霧のたてともさむき衣手の関
たれかまた−かさねてもきむ−あききりの−たてともさむき−ころもてのせき |
01798 |
未入力 但馬 (xxx)
清見かた関ちもみえす立つ霧に行ての波もいかかかそへむ
きよみかた−せきちもみえす−たつきりに−ゆくてのなみも−いかかかそへむ |
01799 |
未入力 下野 (xxx)
明けぬとてゆるす関ちのかひもなし行さきとつる霧のふかさに
あけぬとて−ゆるすせきちの−かひもなし−ゆくさきとつる−きりのふかさに |
01800 |
未入力 御製 (xxx)
よやさむきしつのをたまきくり返しいやしき閨に衣うつなり
よやさむき−しつのをたまき−くりかへし−いやしきねやに−ころもうつなり |
01801 |
未入力 道助 (xxx)
里人の夢もまはらになりにけりいく夜かさねて衣うつらん
さとひとの−ゆめもまはらに−なりにけり−いくよかさねて−ころもうつらむ |
01802 |
未入力 実氏 (xxx)
嵐吹く松の木陰にうつ衣いつれ身にしむ音となるらん
あらしふく−まつのこかけに−うつころも−いつれみにしむ−おととなるらむ |
01803 |
未入力 基家 (xxx)
明かたのあまのと渡る月影にうき人さへやころもうつらん
あけかたの−あまのとわたる−つきかけに−うきひとさへや−ころもうつらむ |
01804 |
未入力 家良 (xxx)
秋ふかく成りまさるとやむはたまの一夜もおちす衣うつらん
あきふかく−なりまさるとや−うはたまの−ひとよもおちす−ころもうつらむ |
01805 |
未入力 基良 (xxx)
いつくかは身にさむからぬ秋の風誰か里わきて衣うつらん
いつくかは−みにさむからぬ−あきのかせ−たかさとわきて−ころもうつらむ |
01806 |
未入力 隆親 (xxx)
誰かためにいそく心としらねともねぬめをさますつちの音かな
たかために−いそくこころと−しらねとも−ねぬめをさます−つちのおとかな |
01807 |
未入力 為家 (xxx)
おきあかす霜夜をさむみ独ある人のならひと衣うつなり
おきあかす−しもよをさむみ−ひとりある−ひとのならひと−ころもうつなり |
01808 |
未入力 公相 (xxx)
夜もすからひまこそなけれ蘆かきのまちかきやとに衣うつ音
よもすから−ひまこそなけれ−あしかきの−まちかきやとに−ころもうつおと |
01809 |
未入力 実雄 (xxx)
よはにふくしつかふせやの秋風や身にさむからし衣うつなり
よはにふく−しつかふせやの−あきかせや−みにさむからし−ころもうつなり |
01810 |
未入力 信覚 (xxx)
ささのいほ露もあらしの山のはにぬる夜もうとく衣うつなり
ささのいほ−つゆもあらしの−やまのはに−ぬるよもうとく−ころもうつなり |
01811 |
未入力 為経 (xxx)
わきもこか秋さり衣いまよりの夜寒のとこの霜にうつなり
わきもこか−あきさりころも−いまよりの−よさむのとこの−しもにうつなり |
01812 |
未入力 忠定 (xxx)
霜さむみ人もかれ行くあさちふにたのむこととは衣うつなり
しもさむみ−ひともかれゆく−あさちふに−たのむこととは−ころもうつなり |
01813 |
未入力 資季 (xxx)
ひひきをはよその哀となしはててたれ身のために衣うつらん
ひひきをは−よそのあはれと−なしはてて−たれみのために−ころもうつらむ |
01814 |
未入力 頼氏 (xxx)
雪を打つたか白妙の衣手にころもしられぬ秋風そ吹く
ゆきをうつ−たかしろたへの−ころもてに−ころもしられぬ−あきかせそふく |
01815 |
未入力 有教 (xxx)
風さむきとをちの里のさよ衣打つ音たかくふきおくるなり
かせさむき−とをちのさとの−さよころも−うつおとたかく−ふきおくるなり |
01816 |
未入力 師継 (xxx)
秋のよのきぬたの音のふくるまてあさのさ衣うちもたゆます
あきのよの−きぬたのおとの−ふくるまて−あさのさころも−うちもたゆます |
01817 |
未入力 定嗣 (xxx)
きけは又今夜も千声万声やむ時もなくうつころもかな
きけはまた−こよひもちこゑ−よろつこゑ−やむときもなく−うつころもかな |
01818 |
未入力 成実 (xxx)
山かつのあさのさ衣打ちわひてねぬことしるきよはそさひしき
やまかつの−あさのさころも−うちわひて−ねぬことしるき−よはそさひしき |
01819 |
未入力 蓮性 (xxx)
しつのめはしはしたゆます我かためのよを長月と衣うつなり
しつのめは−しはしたゆます−わかための−よをなかつきと−ころもうつなり |
01820 |
未入力 顕氏 (xxx)
音たててよそにもしるし山かつのおのれもいそくよはのさ衣
おとたてて−よそにもしるし−やまかつの−おのれもいそく−よはのさころも |
01821 |
未入力 寂能 (xxx)
まとろまは旅ねの夢のいかならん衣うつ夜の故郷のそら
まとろまは−たひねのゆめの−いかならむ−ころもうつよの−ふるさとのそら |
01822 |
未入力 為氏 (xxx)
よそにきく我かねさめたに長き夜をあかすやしつか衣うつらん
よそにきく−わかねさめたに−なかきよを−あかすやしつか−ころもうつらむ |
01823 |
未入力 真観 (xxx)
大方もさひしと思ふ秋のよに心すこくもうつ衣かな
おほかたも−さひしとおもふ−あきのよに−こころすこくも−うつころもかな |
01824 |
未入力 寂西 (xxx)
うちかへしうてはやよはのから衣さもうらめしき音の聞ゆる
うちかへし−うてはやよはの−からころも−さもうらめしき−おとのきこゆる |
01825 |
未入力 為継 (xxx)
いまよりのねさめの空の秋風にいかにせよとか衣うつらん
いまよりの−ねさめのそらの−あきかせに−いかにせよとか−ころもうつらむ |
01826 |
未入力 経朝 (xxx)
誰かためにあさのさ衣うちわひてねられぬよはをかさねきぬらん
たかために−あさのさころも−うちわひて−ねられぬよはを−かさねきぬらむ |
01827 |
未入力 行家 (xxx)
山かつの袖の初霜よやさむきしてうち衣いまいそくなり
やまかつの−そてのはつしも−よやさむき−してうちころも−いまいそくなり |
01828 |
未入力 成茂 (xxx)
霜さむきやや長月のよをかさねたれこひしらに衣うつらん
しもさむき−ややなかつきの−よをかさね−たれこひしらに−ころもうつらむ |
01829 |
未入力 隆祐 (xxx)
秋風のあまり身にしむをりをりやよはの衣はうちまさるらん
あきかせの−あまりみにしむ−をりをりや−よはのころもは−うちまさるらむ |
01830 |
未入力 禅信 (xxx)
誰かためも夜寒の衣うちとけてねられぬままの秋風そふく
たかためも−よさむのころも−うちとけて−ねられぬままの−あきかせそふく |
01831 |
未入力 高倉 (xxx)
時しもあれ秋はあらしのさむけれは長き夜あかす衣うつなり
ときしもあれ−あきはあらしの−さむけれは−なかきよあかす−ころもうつなり |
01832 |
未入力 按察 (xxx)
思ひねの夢ちも絶えてかなしきになとかよるしも衣うつらん
おもひねの−ゆめちもたえて−かなしきに−なとかよるしも−ころもうつらむ |
01833 |
未入力 帥 (xxx)
風ならて身にしむこゑの聞ゆるはよはに衣をたれかうつらん
かせならて−みにしむこゑの−きこゆるは−よはにころもを−たれかうつらむ |
01834 |
未入力 小宰相 (xxx)
きく人の身にしむ秋のつまそとも思ひも入れすうつころもかな
きくひとの−みにしむあきの−つまそとも−おもひもいれす−うつころもかな |
01835 |
未入力 俊成女 (xxx)
あちきなしいそかぬよその枕まて夢ちとほさすうつ衣かな
あちきなし−いそかぬよその−まくらまて−ゆめちとほさす−うつころもかな |
01836 |
未入力 少将内侍 (xxx)
きくからにいやはねらるるしきたへのあさのさ衣うたぬはかりそ
きくからに−いやはねらるる−しきたへの−あさのさころも−うたぬはかりそ |
01837 |
未入力 弁内侍 (xxx)
よそなからねぬよの友としらせはや独や人の衣うつらん
よそなから−ねぬよのともと−しらせはや−ひとりやひとの−ころもうつらむ |
01838 |
未入力 但馬 (xxx)
しらしかしあさのさ衣うつ音によその袂のぬるるものとは
しらしかし−あさのさころも−うつおとに−よそのたもとの−ぬるるものとは |
01839 |
未入力 下野 (xxx)
里とほき野守のいほやそれならん尾花かすゑに衣うつなり
さととほき−のもりのいほや−それならむ−をはなかすゑに−ころもうつなり |
01840 |
未入力 御製 (xxx)
いくめくりかきらぬとしをつむ菊の数さへみゆるけふのさか月
いくめくり−かきらぬとしを−つむきくの−かすさへみゆる−けふのさかつき |
01841 |
未入力 道助 (xxx)
九重にうつろひそむる菊の花つらぬる袖とけふそみえつる
ここのへに−うつろひそむる−きくのはな−つらぬるそてと−けふそみえつる |
01842 |
未入力 実氏 (xxx)
紫につらぬる袖やうつるらん雲のうへまてにほふ白菊
むらさきに−つらぬるそてや−うつるらむ−くものうへまて−にほふしらきく |
01843 |
未入力 基家 (xxx)
かきおける詞の露も玉しきの九重にさへ庭のしら菊
かきおける−ことはのつゆも−たましきの−ここのへにさへ−にはのしらきく |
01844 |
未入力 家良 (xxx)
九重に千代やかさねんをとめこか袖にまかへるしら菊の花
ここのへに−ちよやかさねむ−をとめこか−そてにまかへる−しらきくのはな |
01845 |
未入力 基良 (xxx)
むらさきの袖をつらぬる雲の上にうつろふ菊のなさけそふらし
むらさきの−そてをつらぬる−くものうへに−うつろふきくの−なさけそふらし |
01846 |
未入力 隆親 (xxx)
ももしきの大宮人のけふといへはかさしにさけるちよの白菊
ももしきの−おほみやひとの−けふといへは−かさしにさける−ちよのしらきく |
01847 |
未入力 為家 (xxx)
もろ人のけふここのへに匂ふてふ菊にみかける露のことのは
もろひとの−けふここのへに−にほふてふ−きくにみかける−つゆのことのは |
01848 |
未入力 公相 (xxx)
九重に千代をかさねてかさすかなけふをりえたる白菊の花
ここのへに−ちよをかさねて−かさすかな−けふをりえたる−しらきくのはな |
01849 |
未入力 実雄 (xxx)
長月の菊の杯九重にいくめくりともあきはかきらし
なかつきの−きくのさかつき−ここのへに−いくめくりとも−あきはかきらし |
01850 |
未入力 信覚 (xxx)
九重にやへさく菊はをとめこか袖ふるけふも千世はへぬへし
ここのへに−やへさくきくは−をとめこか−そてふるけふも−ちよはへぬへし |
01851 |
未入力 為経 (xxx)
年ことにけふ九重の雲の上にかけさしめくる菊のさか月
としことに−けふここのへの−くものうへに−かけさしめくる−きくのさかつき |
01852 |
未入力 忠定 (xxx)
唐国のことのはしけくひらくなりけふを待ちけるここのへの菊
からくにの−ことのはしけく−ひらくなり−けふをまちける−ここのへのきく |
01853 |
未入力 資季 (xxx)
九重にかさねてにほへをとめこか立ちまふ袖にまかふしら菊
ここのへに−かさねてにほへ−をとめこか−たちまふそてに−まかふしらきく |
01854 |
未入力 頼氏 (xxx)
山人はあとはいくよの跡ふりて秋を忘れぬきくのさか月
やまひとは−あとはいくよの−あとふりて−あきをわすれぬ−きくのさかつき |
01855 |
未入力 有教 (xxx)
をりえたる菊の白露杯にくみてつきせぬ御世はみえけり
をりえたる−きくのしらつゆ−さかつきに−くみてつきせぬ−みよはみえけり |
01856 |
未入力 師継 (xxx)
さか月のかけさしそへてみゆるかな雲の上なる白菊の花
さかつきの−かけさしそへて−みゆるかな−くものうへなる−しらきくのはな |
01857 |
未入力 定嗣 (xxx)
さくりえて其一もしそあらはるるはこをひらけは菊のことのは
きくのはな−けふここのへに−かさしてそ−おいせぬほとの−いろもみすへき |
01858 |
未入力 成実 (xxx)
杯にうつろふ菊のけふことにいくちよかみむ雲の上人
けふかさす−きくのしたつゆ−としをへて−ふちとなるへき−みよそひさしき |
01859 |
未入力 蓮性 (xxx)
ももしきや秋のいくとせふりぬらんけふさく菊の露のことのは
なかつきや−けふをるきくの−はなのえに−よろつよちきる−くものうへひと |
01860 |
未入力 顕氏 (xxx)
杯にうかへてみつる菊の花よはひのふへきしるしなるらし
けふことに−おほみやひとの−かさしそと−ここのへにさく−しらきくのはな |
01861 |
未入力 寂能 (xxx)
あまつ星ひかりをかはす菊の花いく長月のけふはかささむ
めくりあふ−つきひもおなし−ここのへに−かさねてみゆる−ちよのしらきく |
01862 |
未入力 為氏 (xxx)
九重に久しくめくれもろ人の老いせぬ秋の菊のさかつき
さかつきに−うかへるきくの−をりをえて−はなのなさけも−けふそしらるる |
01863 |
未入力 真観 (xxx)
我か君のよを長月によるひをはけふ白菊の花にまかひぬ
けふといへは−おほみやひとの−ことのはに−ひかりをそふる−ちよのしらきく |
01864 |
未入力 寂西 (xxx)
千代ふへき山ちの菊をかめにうゑていま長月の雲井にそかる
めくりあはむ−あきもかきらし−くものうへに−ちよさしそふる−きくのさかつき |
01865 |
未入力 為継 (xxx)
菊の花けふ九重にかさしてそ老いせぬほとの色もみすへき
をとめこか−たちまふそても−にほふらむ−けふここのへの−しらきくのはな |
01866 |
未入力 経朝 (xxx)
けふかさす菊の下露としをへてふちとなるへき御代そ久しき
さかつきの−ちよのひかりも−なかつきの−けふやむかしと−きくそうつろふ |
01867 |
未入力 行家 (xxx)
長月やけふをる菊の花のえに万代ちきる雲の上人
をるひとの−おいせぬあきの−つゆのまに−ちとせをめくる−きくのさかつき |
01868 |
未入力 成茂 (xxx)
けふことに大宮人のかさしそと九重にさくしら菊のはな
つらなれる−ほしのくらゐも−みゆるかな−あきのくもゐの−きくのかさしは |
01869 |
未入力 隆祐 (xxx)
めくりあふ月日もおなし九重にかさねてみゆる千代の白菊
なかつきの−ここのかといふ−ときにこそ−きくををりはへ−かさすもろひと |
01870 |
未入力 禅信 (xxx)
杯にうかへる菊のをりをえて花のなさけもけふそしらるる
もろひとの−なさけすすめて−つむきくの−くもゐにめくる−けふのさかつき |
01871 |
未入力 高倉 (xxx)
けふといへは大宮人のことのはにひかりをそふる千代の白菊
おのれのみ−けふやにほはむ−くものうへを−はなもてかさる−あきのしらきく |
01872 |
未入力 按察 (xxx)
めくりあはむ秋もかきらし雲の上に千代さしそふる菊の杯
たつたひめ−もみちのにしき−おりかけて−たむけしてけり−かみなひのもり |
01873 |
未入力 帥 (xxx)
をとめこか立ちまふ袖もにほふらんけふ九重のしら菊の花
うつりゆく−ひかすもいくか−もみちはを−しはしととめよ−こからしのもり |
01874 |
未入力 小宰相 (xxx)
さかつきの千代の光も長月のけふや昔ときくそうつろふ
いまよりの−しくれもつゆも−いかならむ−うつろひそめし−かみなひのもり |
01875 |
未入力 俊成女 (xxx)
をる人の老いせぬ秋の露の間に千とせをめくる菊のさかつき
かみなひの−もりのわたりは−むらさめの−ふりにしひより−いろつきにけり |
01876 |
未入力 少将内侍 (xxx)
つらなれる星の位もみゆるかな秋の雲井の菊のかさしは
むらしくれ−いくしほそめて−わたつうみの−なきさのもりの−もみちしぬらむ |
01877 |
未入力 弁内侍 (xxx)
長月の九日といふ時にこそ菊ををりはへかさすもろ人
さくりえて−そのひともしそ−あらはるる−はこをひらけは−きくのことのは |
01878 |
未入力 但馬 (xxx)
もろ人のなさけすすめてつむ菊の雲ゐにめくるけふの杯
さかつきに−うつろふきくの−けふことに−いくちよかみむ−くものうへひと |
01879 |
未入力 下野 (xxx)
おのれのみけふやにほはむ雲の上を花もてかさる秋の白菊
ももしきや−あきのいくとせ−ふりぬらむ−けふさくきくの−つゆのことのは |
01880 |
未入力 御製 (xxx)
竜田姫紅葉の錦おりかけてたむけしてけり神なひの杜
さかつきに−うかへてみつる−きくのはな−よはひのふへき−しるしなるらし |
01881 |
未入力 道助 (xxx)
うつり行く日数もいくか紅葉はをしはしととめよ木からしの杜
あまつほし−ひかりをかはす−きくのはな−いくなかつきの−けふはかささむ |
01882 |
未入力 実氏 (xxx)
いまよりの時雨も露もいかならんうつろひそめし神なひの杜
ここのへに−ひさしくめくれ−もろひとの−おいせぬあきの−きくのさかつき |
01883 |
未入力 基家 (xxx)
神なひのもりのわたりは村雨のふりにし日より色つきにけり
わかきみの−よをなかつきに−よるひをは−けふしらきくの−はなにまかひぬ |
01884 |
未入力 家良 (xxx)
村時雨いくしほそめてわたつ海のなきさの杜の紅葉しぬらん
ちよふへき−やまちのきくを−かめにうゑて−いまなかつきの−くもゐにそかる |
01885 |
未入力 基良 (xxx)
いとはやも紅葉ちにけりな神なひの杜の時雨も染めあへぬ間に
いとはやも−もみちにけりな−かみなひの−もりのしくれも−そめあへぬまに |
01886 |
未入力 隆親 (xxx)
この杜をわきて時雨や染めつらんさかり久しき木木の紅葉は
このもりを−わきてしくれや−そめつらむ−さかりひさしき−ききのもみちは |
01887 |
未入力 為家 (xxx)
時雨行く紅葉の色もしたはれて帰りかてなる神なひの杜
しくれゆく−もみちのいろも−したはれて−かへりかてなる−かみなひのもり |
01888 |
未入力 公相 (xxx)
神なひのいはせの杜の紅葉葉をいかに時雨のわきて染むらん
かみなひの−いはせのもりの−もみちはを−いかにしくれの−わきてそむらむ |
01889 |
未入力 実雄 (xxx)
ふりにけるいはたの杜のいくとせか時雨れて秋の紅葉そむらん
ふりにける−いはたのもりの−いくとせか−しくれてあきの−もみちそむらむ |
01890 |
未入力 信覚 (xxx)
露むすふふかき紅葉の色色にしのたの杜のちえの秋風
つゆむすふ−ふかきもみちの−いろいろに−しのたのもりの−ちえのあきかせ |
01891 |
未入力 為経 (xxx)
秋にあへすまつ色かはる木の葉かな時雨もまたき神なひの杜
あきにあへす−まついろかはる−このはかな−しくれもまたき−かみなひのもり |
01892 |
未入力 忠定 (xxx)
名にたてる老その杜の朽木松よそのもみちの色もたのます
なにたてる−おいそのもりの−くちきまつ−よそのもみちの−いろもたのます |
01893 |
未入力 資季 (xxx)
神なひのもりの下露紅に木末の色をいかてそむらん
かみなひの−もりのしたつゆ−くれなゐに−こすゑのいろを−いかてそむらむ |
01894 |
未入力 頼氏 (xxx)
松さむきときはの杜の夕時雨たまたまそむる秋の紅葉は
まつさむき−ときはのもりの−ゆふしくれ−たまたまそむる−あきのもみちは |
01895 |
未入力 有教 (xxx)
うつり行くけしきの杜の下紅葉秋きにけりとみゆる色かな
うつりゆく−けしきのもりの−したもみち−あききにけりと−みゆるいろかな |
01896 |
未入力 師継 (xxx)
とふ人の袖さへそてる津の国のいくたの杜の秋の紅葉は
とふひとの−そてさへそてる−つのくにの−いくたのもりの−あきのもみちは |
01897 |
未入力 定嗣 (xxx)
あかねさす夕日かかやく影そへてもみちことなるかしは木の杜
あかねさす−ゆふひかかやく−かけそへて−もみちことなる−かしはきのもり |
01898 |
未入力 成実 (xxx)
露時雨もりの木葉の紅に色そめつくすあきとみゆらん
つゆしくれ−もりのこのはの−くれなゐに−いろそめつくす−あきとみゆらむ |
01899 |
未入力 蓮性 (xxx)
村時雨けさもゆききの雲の杜いくたひ秋の梢そむらん
むらしくれ−けさもゆききの−くものもり−いくたひあきの−こすゑそむらむ |
01900 |
未入力 顕氏 (xxx)
おほあらきの浮田の杜のうす紅葉かつかつ露や色をそめけん
おほあらきの−うきたのもりの−うすもみち−かつかつつゆや−いろをそめけむ |
01901 |
未入力 寂能 (xxx)
誰かための紅葉の錦立田姫きてもかへらぬころも手の杜
たかための−もみちのにしき−たつたひめ−きてもかへらぬ−ころもてのもり |
01902 |
未入力 為氏 (xxx)
時雨もておるてふ秋の唐錦立ちかさねたる衣手のもり
しくれもて−おるてふあきの−からにしき−たちかさねたる−ころもてのもり |
01903 |
未入力 真観 (xxx)
時雨の雨まなくしふるか名にしおふ木の葉の杜の色かはり行く
しくれのあめ−まなくしふるか−なにしおふ−このはのもりの−いろかはりゆく |
01904 |
未入力 寂西 (xxx)
かしは木の杜の葉もりの立田姫ましける色の紅葉をそみる
かしはきの−もりのはもりの−たつたひめ−ましけるいろの−もみちをそみる |
01905 |
未入力 為継 (xxx)
いくたひかいくたのもりの時雨るらん染めて色こき秋の紅葉葉
いくたひか−いくたのもりの−しくるらむ−そめていろこき−あきのもみちは |
01906 |
未入力 経朝 (xxx)
名にしおはは忍の杜の紅葉はのいかて時雨の色に出つらん
なにしおはは−しのふのもりの−もみちはの−いかてしくれの−いろにいつらむ |
01907 |
未入力 行家 (xxx)
深山なるしけりの杜の下紅葉いつくをもりてそむる時雨そ
みやまなる−しけりのもりの−したもみち−いつくをもりて−そむるしくれそ |
01908 |
未入力 成茂 (xxx)
竜田姫わきて紅葉やたむくらんその名ことなる神なひの杜
たつたひめ−わきてもみちや−たむくらむ−そのなことなる−かみなひのもり |
01909 |
未入力 隆祐 (xxx)
久方のたかまの杜の時雨れてや雲のはたての錦おるらん
ひさかたの−たかまのもりの−しくれてや−くものはたての−にしきおるらむ |
01910 |
未入力 禅信 (xxx)
紅葉するいくたの杜のいくたひか時雨れて後に色かはるらん
もみちする−いくたのもりの−いくたひか−しくれてのちに−いろかはるらむ |
01911 |
未入力 高倉 (xxx)
やよやまて今はかきりの秋の色はもみちにかきる木からしの杜
やよやまて−いまはかきりの−あきのいろは−もみちにかきる−こからしのもり |
01912 |
未入力 按察 (xxx)
日をへつつ時雨るることに故郷のみかさの杜や色まさるらん
ひをへつつ−しくるることに−ふるさとの−みかさのもりや−いろまさるらむ |
01913 |
未入力 帥 (xxx)
露霜の染めてけるかな山城のいはせの杜の秋の紅葉は
つゆしもの−そめてけるかな−やましろの−いはせのもりの−あきのもみちは |
01914 |
未入力 小宰相 (xxx)
としつもる老その杜の紅葉とてむすひやそむる秋の初霜
としつもる−おいそのもりの−もみちとて−むすひやそむる−あきのはつしも |
01915 |
未入力 俊成女 (xxx)
時雨行くいくたの杜の秋の色をとはてそよそにみるへかりける
しくれゆく−いくたのもりの−あきのいろを−とはてそよそに−みるへかりける |
01916 |
未入力 少将内侍 (xxx)
かねてよりうつろふ色はしるかりき木葉しくるる神なひの杜
かねてより−うつろふいろは−しるかりき−このはしくるる−かみなひのもり |
01917 |
未入力 弁内侍 (xxx)
時雨の雨さしもふれはやかすかなる三笠の杜は紅葉しぬらん
しくれのあめ−さしもふれはや−かすかなる−みかさのもりは−もみちしぬらむ |
01918 |
未入力 但馬 (xxx)
晴れくもりしくるるたひに神なひの杜の木葉そぬれて色こき
はれくもり−しくるるたひに−かみなひの−もりのこのはそ−ぬれていろこき |
01919 |
未入力 下野 (xxx)
この杜に神のしめなは引きかへてをる人もなき下紅葉かな
このもりに−かみのしめなは−ひきかへて−をるひともなき−したもみちかな |
01920 |
未入力 御製 (xxx)
流れつる紅葉そとまる大井川ゐせきやもとのふるはなるらん
なかれつる−もみちそとまる−おほゐかは−ゐせきやもとの−ふるはなるらむ |
01921 |
未入力 道助 (xxx)
紅に梢の色のうつるより秋のにしきをあらふ谷川
くれなゐに−こすゑのいろの−うつるより−あきのにしきを−あらふたにかは |
01922 |
未入力 実氏 (xxx)
舟くたす岸の紅葉も大井川うつるかけさへ庭になかるる
ふねくたす−きしのもみちも−おほゐかは−うつるかけさへ−にはになかるる |
01923 |
未入力 基氏 (xxx)
玉しまやこの河かりの柳かけうつる紅葉もせかぬ日そなき
たましまや−このかはかみの−やなきかけ−うつるもみちも−せかぬひそなき |
01924 |
未入力 家良 (xxx)
いろふかきははその紅葉いかなれやさほの河原に風はやみなり
いろふかき−ははそのもみち−いかなれや−さほのかはらに−かせはやみなり |
01925 |
未入力 基良 (xxx)
たつた川ちらぬ梢のうつるより波の下てる秋の紅葉は
たつたかは−ちらぬこすゑの−うつるより−なみのしたてる−あきのもみちは |
01926 |
未入力 隆親 (xxx)
紅葉はの下てる色やうつるらん錦なかるるやまかはの水
もみちはの−したてるいろや−うつるらむ−にしきなかるる−やまかはのみつ |
01927 |
未入力 為家 (xxx)
大井河昔のみゆきまちかほに今も紅葉の時雨れてそふる
おほゐかは−むかしのみゆき−まちかほに−いまももみちの−しくれてそふる |
01928 |
未入力 公相 (xxx)
唐錦たつた河原に秋くれてもみちを渡すせせの岩なみ
からにしき−たつたかはらに−あきくれて−もみちをわたす−せせのいはなみ |
01929 |
未入力 実雄 (xxx)
ちらぬ間もいさよふ波のたつ田かはうつる紅葉の影たにもなし
ちらぬまも−いさよふなみの−たつたかは−うつるもみちの−かけたにもなし |
01930 |
未入力 信覚 (xxx)
たつた川紅葉の錦ちらぬ間は浪にをらるるかけそ残れる
たつたかは−もみちのにしき−ちらぬまは−なみにをらるる−かけそのこれる |
01931 |
未入力 為経 (xxx)
行く水の淵瀬もわかすあすか川秋の紅葉の色にいてつつ
ゆくみつの−ふちせもわかす−あすかかは−あきのもみちの−いろにいてつつ |
01932 |
未入力 忠定 (xxx)
うつりけるかけをやたのむあすか河ふちせも分かす行く紅葉かな
うつりける−かけをやたのむ−あすかかは−ふちせもわかす−ゆくもみちかな |
01933 |
未入力 資季 (xxx)
たつた河わたれとたえぬから錦山の木葉そ影うつしける
たつたかは−わたれとたえぬ−からにしき−やまのこのはそ−かけうつしける |
01934 |
未入力 頼氏 (xxx)
みなの川河のせみれはまたちらぬ峰の紅葉のちりて行く水
みなのかは−かはのせみれは−またちらぬ−みねのもみちの−ちりてゆくみつ |
01935 |
未入力 有教 (xxx)
紅葉はのちりしく時は音羽河音にのみきく水のしら浪
もみちはの−ちりしくときは−おとはかは−おとにのみきく−みつのしらなみ |
01936 |
未入力 師継 (xxx)
この比は錦の浪の立田川ちらぬ紅葉のかけそうつろふ
このころは−にしきのなみの−たつたかは−ちらぬもみちの−かけそうつろふ |
01937 |
未入力 定嗣 (xxx)
いもかひも錦と秋はみゆるまて結ふ河内は紅葉しにけり
いもかひも−にしきとあきは−みゆるまて−むすふかふちは−もみちしにけり |
01938 |
未入力 成実 (xxx)
やま姫の紅葉の露のそめ衣きて影うつす谷河の水
やまひめの−もみちのつゆの−そめころも−きてかけうつす−たにかはのみつ |
01939 |
未入力 蓮性 (xxx)
いかたしのかさす紅葉の色にみよ此河上のあきのふかさは
いかたしの−かさすもみちの−いろにみよ−このかはかみの−あきのふかさは |
01940 |
未入力 顕氏 (xxx)
山川にかたえさしおほふ紅葉はのうつれる色は波もさそはす
やまかはに−かたえさしおほふ−もみちはの−うつれるいろは−なみもさそはす |
01941 |
未入力 寂能 (xxx)
山河のいはかき紅葉おのれのみしたてるはかりうつろひにけり
やまかはの−いはかきもみち−おのれのみ−したてるはかり−うつろひにけり |
01942 |
未入力 為氏 (xxx)
立た川水のまにまにたつね見ん紅葉に秋のとまりありやと
たつたかは−みつのまにまに−たつねみむ−もみちにあきの−とまりありやと |
01943 |
未入力 真観 (xxx)
巻向のあなし河かせよきてふけにほへる紅葉いまさかりなり
まきむくの−あなしかはかせ−よきてふけ−にほへるもみち−いまさかりなり |
01944 |
未入力 寂西 (xxx)
河そひの浪のかけてや染めつらんいはもとかつら紅葉しにけり
かはそひの−なみのかけてや−そめつらむ−いはもとかつら−もみちしにけり |
01945 |
未入力 為継 (xxx)
河かせのやや吹きそむる木のしたにちりかたちかき紅葉をそみる
かはかせの−ややふきそむる−このしたに−ちりかたちかき−もみちをそみる |
01946 |
未入力 経朝 (xxx)
立田川河せをきよみ影みえてちらねと底にうつる紅葉は
たつたかは−かはせをきよみ−かけみえて−ちらねとそこに−うつるもみちは |
01947 |
未入力 行家 (xxx)
なにか又色には出てし山川のいはかけ紅葉人もみなくに
なにかまた−いろにはいてし−やまかはの−いはかけもみち−ひともみなくに |
01948 |
未入力 成茂 (xxx)
昨日とふり今日も時雨れて明日香川もみちも深く成りにけるかな
きのふとふり−けふもしくれて−あすかかは−もみちもふかく−なりにけるかな |
01949 |
未入力 隆祐 (xxx)
いかにして行きてたをらん河こしの岩間にみゆる秋の紅葉は
いかにして−ゆきてたをらむ−かはこしの−いはまにみゆる−あきのもみちは |
01950 |
未入力 禅信 (xxx)
竜田川うつる紅葉の唐錦をりなき水もあきそみえける
たつたかは−うつるもみちの−からにしき−をりなきみつも−あきそみえける |
01951 |
未入力 高倉 (xxx)
竜田川梢をうつす水の秋は底に紅葉の色そみえける
たつたかは−こすゑをうつす−みつのあきは−そこにもみちの−いろそみえける |
01952 |
未入力 按察 (xxx)
吹く風の音なし川の紅葉はは心つからやちりはしむらん
ふくかせの−おとなしかはの−もみちはは−こころつからや−ちりはしむらむ |
01953 |
未入力 帥 (xxx)
たつた川うつる紅葉の影にこそちらぬ紅葉とみえ渡りけれ
たつたかは−うつるもみちの−かけにこそ−ちらぬもみちと−みえわたりけれ |
01954 |
未入力 小宰相 (xxx)
たかねよりおちてなかるる山河にかつかつかはる風の白川
たかねより−おちてなかるる−やまかはに−かつかつかはる−かせのしらかは |
01955 |
未入力 俊成女 (xxx)
たつた河わたれとたえぬ唐錦峰の紅葉の影をひたして
たつたかは−わたれとたえぬ−からにしき−みねのもみちの−かけをひたして |
01956 |
未入力 少将内侍 (xxx)
打ちわたる程はいそかし佐保川のみきはのははそ紅葉しにけり
うちわたる−ほとはいそかし−さほかはの−みきはのははそ−もみちしにけり |
01957 |
未入力 弁内侍 (xxx)
紅葉はのちるてふことのなきのみそたつたの河の底にみえける
もみちはの−ちるてふことの−なきのみそ−たつたのかはの−そこにみえける |
01958 |
未入力 但馬 (xxx)
立田川ちらぬ紅葉のかけとめて流もやらぬ秋のくれなゐ
たつたかは−ちらぬもみちの−かけとめて−なかれもやらぬ−あきのくれなゐ |
01959 |
未入力 下野 (xxx)
河水にちらぬかけみる紅葉ははいつか錦の中はたえけん
かはみつに−ちらぬかけみる−もみちはは−いつかにしきの−なかはたえけむ |
01960 |
未入力 御製 (xxx)
をしみかねちちにそけふはなくさむる我か身一の秋の暮かは
をしみかね−ちちにそけふは−なくさむる−わかみひとつの−あきのくれかは |
01961 |
未入力 道助 (xxx)
まくすはふ籬の霜もおきわかれとまらぬ秋をうらみかほなり
まくすはふ−まかきのしもも−おきわかれ−とまらぬあきを−うらみかほなり |
01962 |
未入力 実氏 (xxx)
ゆくあきのなこりをけふに限るとも夕はあすの空もかはらし
ゆくあきの−なこりをけふに−かきるとも−ゆふへはあすの−そらもかはらし |
01963 |
未入力 基家 (xxx)
なくさめのあすをのこさぬ別ちはいかはかりなる秋とかはしる
なくさめの−あすをのこさぬ−わかれちは−いかはかりなる−あきとかはしる |
01964 |
未入力 家良 (xxx)
いかにせむ心をぬさとくたきても行へしらせぬ秋の別ち
いかにせむ−こころをぬさと−くたきても−ゆくへしらせぬ−あきのわかれち |
01965 |
未入力 基良 (xxx)
いく秋かくれぬとはかり惜むらん霜ふりはつる身をはわすれて
いくあきか−くれぬとはかり−をしむらむ−しもふりはつる−みをはわすれて |
01966 |
未入力 隆親 (xxx)
けふのみと秋の日数を惜めともかきらぬ御代の千千の行末
けふのみと−あきのひかすを−をしめとも−かきらぬみよの−ちちのゆくすゑ |
01967 |
未入力 為家 (xxx)
限あるけふのなこりをしたふとてまたこりすまに秋に見えぬる
かきりある−けふのなこりを−したふとて−またこりすまに−あきにみえぬる |
01968 |
未入力 公相 (xxx)
けふのみとくれ行く秋の空なれは心をさへそつくしはてぬる
けふのみと−くれゆくあきの−そらなれは−こころをさへそ−つくしはてぬる |
01969 |
未入力 実雄 (xxx)
しはしたに猶立ちかへれまくす原うらかれて行く秋のわかれち
しはしたに−なほたちかへれ−まくすはら−うらかれてゆく−あきのわかれち |
01970 |
未入力 信覚 (xxx)
滝河のはやせの浪はととむともせくかたもなき秋の暮かな
たきかはの−はやせのなみは−ととむとも−せくかたもなき−あきのくれかな |
01971 |
未入力 為経 (xxx)
なか月は名のみなりけり春夏のおなし日数にくるる秋かな
なかつきは−なのみなりけり−はるなつの−おなしひかすに−くるるあきかな |
01972 |
未入力 忠定 (xxx)
心あてにみねの嵐やおくるらん行方しらぬ秋のわかれち
こころあて−にみねのあらし−やおくるら−むゆくへしらぬ−あきのわかれち |
01973 |
未入力 資季 (xxx)
まちとほに又こむとしをたのめともくれ行く秋のをしき今日かな
まちとほに−またこむとしを−たのめとも−くれゆくあきの−をしきけふかな |
01974 |
未入力 頼氏 (xxx)
吹く風もこれより北や寒からし秋と冬とのさよの中山
ふくかせも−これよりきたや−さむからし−あきとふゆとの−さよのなかやま |
01975 |
未入力 有教 (xxx)
かねてしる秋の別を今更にけふもくれぬとなにうらむらん
かねてしる−あきのわかれを−いまさらに−けふもくれぬと−なにうらむらむ |
01976 |
未入力 師継 (xxx)
長き夜のふけ行くかねに限るなりたたかた時の秋のなこりは
なかきよの−ふけゆくかねに−かきるなり−たたかたときの−あきのなこりは |
01977 |
未入力 定嗣 (xxx)
かきとむる詞の海のかひそなき紅葉の舟に秋もすくなり
かきとむる−ことはのうみの−かひそなき−もみちのふねに−あきもすくなり |
01978 |
未入力 成実 (xxx)
をしめともかなはぬ物としりなからさてしもなけく秋の暮かな
をしめとも−かなはぬものと−しりなから−さてしもなけく−あきのくれかな |
01979 |
未入力 蓮性 (xxx)
秋はいまくるるもをしきけふの日のさもあやにくにくもる空かな
あきはいま−くるるもをしき−けふのひの−さもあやにくに−くもるそらかな |
01980 |
未入力 顕氏 (xxx)
したふともかひやなからんしはしたに立ちもとまらぬ秋の別ち
したふとも−かひやなからむ−しはしたに−たちもとまらぬ−あきのわかれち |
01981 |
未入力 寂能 (xxx)
山かつのしつかてひきのいとせめてくるるはをしき長月の空
やまかつの−しつかてひきの−いとせめて−くるるはをしき−なかつきのそら |
01982 |
未入力 為氏 (xxx)
されはとてとまる習のありかほに秋の名残を又をしむらん
されはとて−とまるならひの−ありかほに−あきのなこりを−またをしむらむ |
01983 |
未入力 真観 (xxx)
何事か心に物のかなひけるそへにさこそは秋もいぬらめ
なにことか−こころにものの−かなひける−そへにさこそは−あきもいぬらめ |
01984 |
未入力 寂西 (xxx)
けふし又とまりやはせむ秋といひてくれならひにし程の日数は
けふしまた−とまりやはせむ−あきといひて−くれならひにし−ほとのひかすは |
01985 |
未入力 為継 (xxx)
今日の間と思ふにつけてくれやすき秋の別をえやはととめん
けふのまと−おもふにつけて−くれやすき−あきのわかれを−えやはととめむ |
01986 |
未入力 経朝 (xxx)
秋はけふくれていなはの末の露初霜しろくあすやなかめん
あきはけふ−くれていなはの−すゑのつゆ−はつしもしろく−あすやなかめむ |
01987 |
未入力 行家 (xxx)
とりとめぬ秋の日数の行きすきてけふや別のゆふ暮の空
とりとめぬ−あきのひかすの−ゆきすきて−けふやわかれの−ゆふくれのそら |
01988 |
未入力 成茂 (xxx)
今日くるる習は有りとも君か代に千度もめくる秋の長月
けふくるる−ならひはありとも−きみかよに−ちたひもめくる−あきのなかつき |
01989 |
未入力 隆祐 (xxx)
木からしのけふ吹きすくる音きけは人につけてそ秋は暮れぬる
こからしの−けふふきすくる−おときけは−ひとにつけてそ−あきはくれぬる |
01990 |
未入力 禅信 (xxx)
大原や秋のなこりのをしほ山をしむもしらすけふそ暮れぬる
おほはらや−あきのなこりの−をしほやま−をしむもしらす−けふそくれぬる |
01991 |
未入力 高倉 (xxx)
虫のねのよわるはかりを形見にて夕にかきる秋そかなしき
むしのねの−よわるはかりを−かたみにて−ゆふへにかきる−あきそかなしき |
01992 |
未入力 按察 (xxx)
このくれのをしくもあるかな秋を猶あすともたのむ日数ならねは
このくれの−をしくもあるかな−あきをなほ−あすともたのむ−ひかすならねは |
01993 |
未入力 帥 (xxx)
何とてか立ちもとまらん限ありてすき行く秋のけふの別は
なにとてか−たちもとまらむ−かきりありて−すきゆくあきの−けふのわかれは |
01994 |
未入力 小宰相 (xxx)
けふはかりまさ木のつなをかけてたにとめてもみはや秋の別を
けふはかり−まさきのつなを−かけてたに−とめてもみはや−あきのわかれを |
01995 |
未入力 俊成女 (xxx)
かれかれによわるも虫のねのみかはあるにもあらぬ身を秋のくれ
かれかれに−よわるもむしの−ねのみかは−あるにもあらぬ−みをあきのくれ |
01996 |
未入力 少将内侍 (xxx)
花薄草の袂やきぬきぬの秋のわかれにしもはおくらん
はなすすき−くさのたもとや−きぬきぬの−あきのわかれに−しもはおくらむ |
01997 |
未入力 弁内侍 (xxx)
名残をは夕の空にととめおきてあすとたになき秋の暮かな
なこりをは−ゆふへのそらに−ととめおきて−あすとたになき−あきのくれかな |
01998 |
未入力 但馬 (xxx)
あすよりや冬の嵐にたちかへむけふを限の秋のゆふ風
あすよりや−ふゆのあらしに−たちかへむ−けふをかきりの−あきのゆふかせ |
01999 |
未入力 下野 (xxx)
秋の色に心くたけぬをりはあらしけふか限とくるる空まて
あきのいろに−こころくたけぬ−をりはあらし−けふかかきりと−くるるそらまて |
02000 |
未入力 御製 (xxx)
冬きては衣ほすてふひまもなくしくるる空のあまのかこやま
ふゆきては−ころもほすてふ−ひまもなく−しくるるそらの−あまのかこやま |
02001 |
未入力 道助 (xxx)
秋されはよもの草木をそめはてし時雨の末に冬はきにけり
あきされは−よものくさきを−そめはてし−しくれのすゑに−ふゆはきにけり |
02002 |
未入力 実氏 (xxx)
竜田山時雨の雨のおる錦冬きたりとてとふ人もなし
たつたやま−しくれのあめの−おるにしき−ふゆきたりとて−とふひともなし |
02003 |
未入力 基家 (xxx)
神無月時雨や冬のはつせ山峰行く雲はさためなけれと
かみなつき−しくれやふゆの−はつせやま−みねゆくくもは−さためなけれと |
02004 |
未入力 家良 (xxx)
昨日みし空もかはらぬ神無月いましもいかに時雨そふらん
きのふみし−そらもかはらぬ−かみなつき−いましもいかに−しくれそふらむ |
02005 |
未入力 基良 (xxx)
冬きてもふるにかひなき夕時雨身をしる袖はさそなかはらぬ
ふゆきても−ふるにかひなき−ゆふしくれ−みをしるそては−さそなかはらぬ |
02006 |
未入力 隆親 (xxx)
長月の影もとまらぬあしたとてよもの山へのしくれそむらん
なかつきの−かけもとまらぬ−あしたとて−よものやまへの−しくれそむらむ |
02007 |
未入力 為家 (xxx)
はれくもりいつしかかはる神無月時雨や冬の名にはふりけん
はれくもり−いつしかかはる−かみなつき−しくれやふゆの−なにはふりけむ |
02008 |
未入力 公相 (xxx)
はれくもり時雨ふりおける片岡のならの葉そよき冬はきにけり
はれくもり−しくれふりおける−かたをかの−ならのはそよき−ふゆはきにけり |
02009 |
未入力 実雄 (xxx)
山のはにしくるる雲をさきたててけさのあさけに冬はきにけり
やまのはに−しくるるくもを−さきたてて−けさのあさけに−ふゆはきにけり |
02010 |
未入力 信覚 (xxx)
身にたくふたつをたまきの初時雨そめし昔の色をこひつつ
みにたくふ−たつをたまきの−はつしくれ−そめしむかしの−いろをこひつつ |
02011 |
未入力 為経 (xxx)
さもこそは秋の名残のをしからめ空も時雨るる神無月かな
さもこそは−あきのなこりの−をしからめ−そらもしくるる−かみなつきかな |
02012 |
未入力 忠定 (xxx)
冬くれは日影も山をめくるなり高根の雲の時雨れてやゆく
ふゆくれは−ひかけもやまを−めくるなり−たかねのくもの−しくれてやゆく |
02013 |
未入力 資季 (xxx)
神無月はけしさまさる風ませに時雨るる雲は山めくるなり
かみなつき−はけしさまさる−かせませに−しくるるくもは−やまめくるなり |
02014 |
未入力 頼氏 (xxx)
ふりそむる時雨も冬も里なれぬ深山のおくの夕くれの空
ふりそむる−しくれもふゆも−さとなれぬ−みやまのおくの−ゆふくれのそら |
02015 |
未入力 有教 (xxx)
神無月しくるる雲を先たてて冬のけしきは空にみえけり
かみなつき−しくるるくもを−さきたてて−ふゆのけしきは−そらにみえけり |
02016 |
未入力 師継 (xxx)
秋すきて冬はきにけり久方の空かきくもり時雨ふりつつ
あきすきて−ふゆはきにけり−ひさかたの−そらかきくもり−しくれふりつつ |
02017 |
未入力 定嗣 (xxx)
まなくもか時雨ふるらし千早振神無月てふ空のしるしに
まなくもか−しくれふるらし−ちはやふる−かみなつきてふ−そらのしるしに |
02018 |
未入力 成実 (xxx)
冬きぬとわくへき色はみえねともしくれそめぬる神無月かな
ふゆきぬと−わくへきいろは−みえねとも−しくれそめぬる−かみなつきかな |
02019 |
未入力 蓮性 (xxx)
秋をこそ露おく袖とかこてれは時雨はまさる神無月かな
あきをこそ−つゆおくそてと−かこてれは−しくれはまさる−かみなつきかな |
02020 |
未入力 顕氏 (xxx)
かみな月時雨を冬のしるしにていつしか空のかきくもるらん
かみなつき−しくれをふゆの−しるしにて−いつしかそらの−かきくもるらむ |
02021 |
未入力 寂能 (xxx)
はつしくれふりさけきけはならのはの名におふ都風そきたれる
はつしくれ−ふりさけきけは−ならのはの−なにおふみやこ−かせそきたれる |
02022 |
未入力 為氏 (xxx)
神無月時雨とともにさそはすはなににか冬の空をわかまし
かみなつき−しくれとともに−さそはすは−なににかふゆの−そらをわかまし |
02023 |
未入力 真観 (xxx)
いかて我袖もほさまししくれつつけしき空なる冬はきにけり
いかてわれ−そてもほさまし−しくれつつ−けしきそらなる−ふゆはきにけり |
02024 |
未入力 寂西 (xxx)
日数今ふるとはいはし朝時雨松一むらに冬そきにける
ひかすいま−ふるとはいはし−あさしくれ−まつひとむらに−ふゆそきにける |
02025 |
未入力 為継 (xxx)
冬の来てかならすけふの初時雨思ひあへける神無月かな
ふゆのきて−かならすけふの−はつしくれ−おもひあへける−かみなつきかな |
02026 |
未入力 経朝 (xxx)
初しくれそめぬ緑とみし程にときはの松に冬そきにける
はつしくれ−そめぬみとりと−みしほとに−ときはのまつに−ふゆそきにける |
02027 |
未入力 行家 (xxx)
今朝はまつ時雨れておくる村雲の気色もしるき冬はきにける
けさはまつ−しくれておくる−むらくもの−けしきもしるき−ふゆはきにける |
02028 |
未入力 成茂 (xxx)
まきのやのねさめにすくる時雨にそ冬のはしめはおとろかれぬる
まきのやの−ねさめにすくる−しくれにそ−ふゆのはしめは−おとろかれぬる |
02029 |
未入力 隆祐 (xxx)
長月も時雨なれにし空なれは日数そ冬のはしめなりける
なかつきも−しくれなれにし−そらなれは−ひかすそふゆの−はしめなりける |
02030 |
未入力 禅信 (xxx)
冬きぬとさゆるけしきそかはりける秋よりなれし時雨なれとも
ふゆきぬと−さゆるけしきそ−かはりける−あきよりなれし−しくれなれとも |
02031 |
未入力 高倉 (xxx)
里わかす冬は来にけり神無月むらむらすくる時雨なれとも
さとわかす−ふゆはきにけり−かみなつき−むらむらすくる−しくれなれとも |
02032 |
未入力 按察 (xxx)
さらすとて袖やはかわく神無月なにと時雨のふりそはるらん
さらすとて−そてやはかわく−かみなつき−なにとしくれの−ふりそはるらむ |
02033 |
未入力 帥 (xxx)
秋はてて冬やきぬらむさほ山の木すゑさひしく時雨ふるなり
あきはてて−ふゆやきぬらむ−さほやまの−こすゑさひしく−しくれふるなり |
02034 |
未入力 小宰相 (xxx)
さらに又おのれ時雨れてつけすとも人やはしらぬ冬のくるとは
さらにまた−おのれしくれて−つけすとも−ひとやはしらぬ−ふゆのくるとは |
02035 |
未入力 俊成女 (xxx)
まきのやに夜半の時雨のおとつれてねさめに冬とつけて過きぬる
まきのやに−よはのしくれの−おとつれて−ねさめにふゆと−つけてすきぬる |
02036 |
未入力 少将内侍 (xxx)
しくるれとかはらぬ色をしるしにて三わの杉村冬はきにけり
しくるれと−かはらぬいろを−しるしにて−みわのすきむら−ふゆはきにけり |
02037 |
未入力 弁内侍 (xxx)
しくれ行く峰の嵐のはけしさを聞きおとろけは冬はきにけり
しくれゆく−みねのあらしの−はけしさを−ききおとろけは−ふゆはきにけり |
02038 |
未入力 但馬 (xxx)
雲間なき時雨そ冬としらせけるまた露ほさぬ秋の袂に
くもまなき−しくれそふゆと−しらせける−またつゆほさぬ−あきのたもとに |
02039 |
未入力 下野 (xxx)
けさまては秋の時雨のけしきにてかはりもやらぬ冬の空かな
けさまては−あきのしくれの−けしきにて−かはりもやらぬ−ふゆのそらかな |
02040 |
未入力 御製 (xxx)
葦曳の山の木葉も散りはててあらはに冬のけしきなるかな
あしひきの−やまのこのはも−ちりはてて−あらはにふゆの−けしきなるかな |
02041 |
未入力 道助 (xxx)
神無月たかふみわけし跡もなし風のしたなる庭の紅葉葉
かみなつき−たかふみわけし−あともなし−かせのしたなる−にはのもみちは |
02042 |
未入力 実氏 (xxx)
いつまてかふるをもよそに思ひけん時雨に成りぬ峰の紅葉葉
いつまてか−ふるをもよそに−おもひけむ−しくれになりぬ−みねのもみちは |
02043 |
未入力 基家 (xxx)
み山よりおちくる水の遠けれはさそひのこさぬよもの紅葉葉
みやまより−おちくるみつの−とほけれは−さそひのこさぬ−よものもみちは |
02044 |
未入力 家良 (xxx)
吹く風もたかためとてか紅葉はのむくらのやとに錦おるらん
ふくかせも−たかためとてか−もみちはの−むくらのやとに−にしきおるらむ |
02045 |
未入力 基良 (xxx)
ふりはつる庭の紅葉はおのれのみ残るや形見秋の色とて
ふりはつる−にはのもみちは−おのれのみ−のこるやかたみ−あきのいろとて |
02046 |
未入力 隆親 (xxx)
氷せぬころも岩間はせかれけりもみちはよとむ山川の水
こほりせぬ−ころもいはまは−せかれけり−もみちはよとむ−やまかはのみつ |
02047 |
未入力 為家 (xxx)
うちつけにさもふりまさる木葉かな跡みすなとて秋や行きけん
うちつけに−さもふりまさる−このはかな−あとみすなとて−あきやゆきけむ |
02048 |
未入力 公相 (xxx)
夜をかさね峰のこからしおとつれていくへに成りぬ庭の紅葉は
よをかさね−みねのこからし−おとつれて−いくへになりぬ−にはのもみちは |
02049 |
未入力 実雄 (xxx)
冬きてはさゆる嵐の山かせにつきて木のはのふらぬ日はなし
ふゆきては−さゆるあらしの−やまかせに−つきてこのはの−ふらぬひはなし |
02050 |
未入力 信覚 (xxx)
うつり行く秋の梢のかたみとて朝霜そむる庭のもみちは
うつりゆく−あきのこすゑの−かたみとて−あさしもそむる−にはのもみちは |
02051 |
未入力 為経 (xxx)
たまさかに時雨れぬひまのこすゑにも散りかひくもる峰の紅葉は
たまさかに−しくれぬひまの−こすゑにも−ちりかひくもる−みねのもみちは |
02052 |
未入力 忠定 (xxx)
枯れはつる落葉かうへの夕時雨染めし名残の色やわすれぬ
かれはつる−おちはかうへの−ゆふしくれ−そめしなこりの−いろやわすれぬ |
02053 |
未入力 資季 (xxx)
今よりのおのれともろきもみちはは嵐の間にも絶えす散りつつ
いまよりの−おのれともろき−もみちはは−あらしのまにも−たえすちりつつ |
02054 |
未入力 頼氏 (xxx)
神無月つれなき松の山風によもの木のはのはてはみえけり
かみなつき−つれなきまつの−やまかせに−よものこのはの−はてはみえけり |
02055 |
未入力 有教 (xxx)
もみちはやまことふりぬる神なひのみむろの山はあらしふくなり
もみちはや−まことふりぬる−かみなひの−みむろのやまは−あらしふくなり |
02056 |
未入力 師継 (xxx)
もみちはのつもりはてぬる我かやとの庭こそ秋のかたみなりけれ
もみちはの−つもりはてぬる−わかやとの−にはこそあきの−かたみなりけれ |
02057 |
未入力 定嗣 (xxx)
木本はふりはてぬるとみる程に嵐にめくるよその紅葉は
このもとは−ふりはてぬると−みるほとに−あらしにめくる−よそのもみちは |
02058 |
未入力 成実 (xxx)
まきもくのひはらの嵐吹きすきて残る色なく散る木のはかな
まきもくの−ひはらのあらし−ふきすきて−のこるいろなく−ちるこのはかな |
02059 |
未入力 蓮性 (xxx)
秋はいぬ風ははけしく声たてていやしきしきにふるこの葉かな
あきはいぬ−かせははけしく−こゑたてて−いやしきしきに−ふるこのはかな |
02060 |
未入力 顕氏 (xxx)
散りちらすさそふ嵐はわかねとも松より外のいろはのこらし
ちりちらす−さそふあらしは−わかねとも−まつよりほかの−いろはのこらし |
02061 |
未入力 寂能 (xxx)
あかて行く秋のかたみの影もなし木のはにしつむ山の井の水
あかてゆく−あきのかたみの−かけもなし−このはにしつむ−やまのゐのみつ |
02062 |
未入力 為氏 (xxx)
むらしくれさそふ嵐にさすらひて冬は木のはそふりまさりける
むらしくれ−さそふあらしに−さすらひて−ふゆはこのはそ−ふりまさりける |
02063 |
未入力 真観 (xxx)
ちりかかるもみちは山のなみたそとみれはそ人の袖もぬるらん
ちりかかる−もみちはやまの−なみたそと−みれはそひとの−そてもぬるらむ |
02064 |
未入力 寂西 (xxx)
しはしとや風のなさけにのこすらんこのした紅葉つもるはかりを
しはしとや−かせのなさけに−のこすらむ−このしたもみち−つもるはかりを |
02065 |
未入力 為継 (xxx)
もみちはのおつとはみれとおとは猶時雨にのみそふりまかひける
もみちはの−おつとはみれと−おとはなほ−しくれにのみそ−ふりまかひける |
02066 |
未入力 経朝 (xxx)
こすゑには木葉残らす成りにけり庭の嵐のこゑをきくかな
こすゑには−このはのこらす−なりにけり−にはのあらしの−こゑをきくかな |
02067 |
未入力 行家 (xxx)
別れにし秋のかたみのからにしきたちたにのこせ山のこからし
わかれにし−あきのかたみの−からにしき−たちたにのこせ−やまのこからし |
02068 |
未入力 成茂 (xxx)
時雨かと思ひてきけは神無月あらしにおつるこのはなりけり
しくれかと−おもひてきけは−かみなつき−あらしにおつる−このはなりけり |
02069 |
未入力 隆祐 (xxx)
霜結ふ我かもとゆひの神無月この葉もしかとふりまさるなり
しもむすふ−わかもとゆひの−かみなつき−このはもしかと−ふりまさるなり |
02070 |
未入力 禅信 (xxx)
山風のよそのもみちを吹きためて松のしたさへ道はまかひぬ
やまかせの−よそのもみちを−ふきためて−まつのしたさへ−みちはまかひぬ |
02071 |
未入力 高倉 (xxx)
吹きとむる庭のもみちは残りけり嵐そたえぬ秋のかたみは
ふきとむる−にはのもみちは−のこりけり−あらしそたえぬ−あきのかたみは |
02072 |
未入力 按察 (xxx)
風のおとも冬は物うき習とやおつるこのはになみたそふらん
かせのおとも−ふゆはものうき−ならひとや−おつるこのはに−なみたそふらむ |
02073 |
未入力 帥 (xxx)
かたみとて秋のとめたる紅葉葉をうたてもさそふ山おろしかな
かたみとて−あきのとめたる−もみちはを−うたてもさそふ−やまおろしかな |
02074 |
未入力 小宰相 (xxx)
花ゆゑはまれなる人もまちなれてもみちふりしく比そさひしき
はなゆゑは−まれなるひとも−まちなれて−もみちふりしく−ころそさひしき |
02075 |
未入力 俊成女 (xxx)
さらにまたはらひたにせよふりかくすもみちを庭のこからしの風
さらにまた−はらひたにせよ−ふりかくす−もみちをにはの−こからしのかせ |
02076 |
未入力 少将内侍 (xxx)
みわたせはこすゑまはらに冬のきて庭のちしほとちる紅葉かな
みわたせは−こすゑまはらに−ふゆのきて−にはのちしほと−ちるもみちかな |
02077 |
未入力 弁内侍 (xxx)
ととめあへすむへも散りけり山風にしかもあたなる峰の紅葉は
ととめあへす−うへもちりけり−やまかせに−しかもあたなる−みねのもみちは |
02078 |
未入力 但馬 (xxx)
こすゑよりおちて色こきもみちはは冬の物とや霜のおくらん
こすゑより−おちていろこき−もみちはは−ふゆのものとや−しものおくらむ |
02079 |
未入力 下野 (xxx)
みるままにふもとをうつむ紅葉葉はいかに嵐の山にふくらん
みるままに−ふもとをうつむ−もみちはは−いかにあらしの−やまにふくらむ |
02080 |
未入力 御製 (xxx)
かきねなる草も人めも霜かれぬ秋のとなりやとほさかるらん
かきねなる−くさもひとめも−しもかれぬ−あきのとなりや−とほさかるらむ |
02081 |
未入力 道助 (xxx)
霜かれのを花か本のおもひ草結ひかへてしあとものこらす
しもかれの−をはなかもとの−おもひくさ−むすひかへてし−あとものこらす |
02082 |
未入力 実氏 (xxx)
わけわひし軒の下草かれはててさやく霜夜の風そ身にしむ
わけわひし−のきのしたくさ−かれはてて−さやくしもよの−かせそみにしむ |
02083 |
未入力 基家 (xxx)
秋の色はかりにもみえしあしひきの山のかけのの霜の下草
あきのいろは−かりにもみえし−あしひきの−やまのかけのの−しものしたくさ |
02084 |
未入力 家良 (xxx)
うつらふすをののかやふは霜かれてをれはかたより風さやくなり
うつらふす−をののかやふは−しもかれて−をれはかたより−かせさやくなり |
02085 |
未入力 基良 (xxx)
なにゆゑか人もすさめむおきな草身はくちはつる野への霜枯
なにゆゑか−ひともすさへむ−おきなくさ−みはくちはつる−のへのしもかれ |
02086 |
未入力 隆親 (xxx)
吹く風もあたになすきそおのつから霜かれ残る庭のあさちふ
ふくかせも−あたになすきそ−おのつから−しもかれのこる−にはのあさちふ |
02087 |
未入力 為家 (xxx)
しはしこそもえての春も頼みけめよにかれまさる霜の下草
しはしこそ−もえてのはるも−たのみけめ−よにかれまさる−しものしたくさ |
02088 |
未入力 公相 (xxx)
色色に秋のさかりはみしものをそれともわかぬ野への霜かれ
いろいろに−あきのさかりは−みしものを−それともわかぬ−のへのしもかれ |
02089 |
未入力 実雄 (xxx)
武蔵野ののへはみなから霜かれてあはれ草葉の行へしらすも
むさしのの−のへはみなから−しもかれて−あはれくさはの−ゆくへしらすも |
02090 |
未入力 信覚 (xxx)
しほたるるあまのとまやも風さえて枯葉も寒し伊勢の浜荻
しほたるる−あまのとまやも−かせさえて−かれはもさむし−いせのはまをき |
02091 |
未入力 為経 (xxx)
今は又ひとつ色にそ成りにける秋見し草の霜かれのころ
いまはまた−ひとついろにそ−なりにける−あきみしくさの−しもかれのころ |
02092 |
未入力 忠定 (xxx)
しはしこそすゑこす風も恨みしかうつもれはつる霜の下荻
しはしこそ−すゑこすかせも−うらみしか−うつもれはつる−しものしたをき |
02093 |
未入力 資季 (xxx)
おのつから葉わけの霜やもりつらん名のみときはの杜の下草
おのつから−はわけのしもや−もりつらむ−なのみときはの−もりのしたくさ |
02094 |
未入力 頼氏 (xxx)
冬かれの草もまはらに成るままにあさけの霜やおきよわるらん
ふゆかれの−くさもまはらに−なるままに−あさけのしもや−おきよわるらむ |
02095 |
未入力 有教 (xxx)
初霜のふるのの浅茅うらかれて秋のけしきそとほさかり行く
はつしもの−ふるののあさち−うらかれて−あきのけしきそ−とほさかりゆく |
02096 |
未入力 師継 (xxx)
けさみれは草葉もしろく霜おきて野へのけしきはうら枯れにけり
けさみれは−くさはもしろく−しもおきて−のへのけしきは−うらかれにけり |
02097 |
未入力 定嗣 (xxx)
色色にみしこともなく霜おけはひとつにかるる野への冬草
いろいろに−みしこともなく−しもおけは−ひとつにかるる−のへのふゆくさ |
02098 |
未入力 成実 (xxx)
冬草の葉すゑをよわみおく霜のおのれかれのの跡そさひしき
ふゆくさの−はすゑをよわみ−おくしもの−おのれかれのの−あとそさひしき |
02099 |
未入力 蓮性 (xxx)
冬きても人めはしけき道のへに草葉そはやく霜かれにける
ふゆきても−ひとめはしけき−みちのへに−くさはそはやく−しもかれにける |
02100 |
未入力 顕氏 (xxx)
おのつから枯れても残る冬草の跡たにみせすうつむ朝しも
おのつから−かれてものこる−ふゆくさの−あとたにみせす−うつむあさしも |
02101 |
未入力 寂能 (xxx)
草枯の門田の原のいなくきにさらてもたてる霜はしらかな
くさかれの−かとたのはらの−いなくきに−さらてもたてる−しもはしらかな |
02102 |
未入力 為氏 (xxx)
武蔵野や千種にみえし秋の色のひとつにかはる冬はきにけり
むさしのや−ちくさにみえし−あきのいろの−ひとつにかはる−ふゆはきにけり |
02103 |
未入力 真観 (xxx)
霜枯のかきほの荻のおとつれは秋よりもけにきこえけるかな
しもかれの−かきほのをきの−おとつれは−あきよりもけに−きこえけるかな |
02104 |
未入力 寂西 (xxx)
霜枯の草葉も物やおもひいての秋のさかりをすくしきにけん
しもかれの−くさはもものや−おもひいての−あきのさかりを−すくしきにけむ |
02105 |
未入力 為継 (xxx)
冬枯にはや成りにけりひさきおふるをのの浅茅に霜やおくらん
ふゆかれに−はやなりにけり−ひさきおふる−をののあさちに−しもやおくらむ |
02106 |
未入力 経朝 (xxx)
春はみな千草残らぬ冬枯の霜にさひしき野へのかやはら
はるはみな−ちくさのこらぬ−ふゆかれの−しもにさひしき−のへのかやはら |
02107 |
未入力 行家 (xxx)
さもこそは霜のふりはのしをるともねさへかれめや野への冬草
さもこそは−しものふりはの−しをるとも−ねさへかれめや−のへのふゆくさ |
02108 |
未入力 成茂 (xxx)
草の原たれにとはまし人めたにみな霜枯の秋の名残を
くさのはら−たれにとはまし−ひとめたに−みなしもかれの−あきのなこりを |
02109 |
未入力 隆祐 (xxx)
野へみれはまはらにたてる花すすきこほらぬ袖もさむけかるらん
のへみれは−まはらにたてる−はなすすき−こほらぬそても−さむけかるらむ |
02110 |
未入力 禅信 (xxx)
さきましる野辺の千草の色色もおなしすかたに霜枯れにけり
さきましる−のへのちくさの−いろいろも−おなしすかたに−しもかれにけり |
02111 |
未入力 高倉 (xxx)
たつぬへき秋の名残の露きえて霜おきまよふ野への道しは
たつぬへき−あきのなこりの−つゆきえて−しもおきまよふ−のへのみちしは |
02112 |
未入力 按察 (xxx)
今こそは霜のふり葉とみゆれともねさへ枯れめやのへの冬草
いまこそは−しものふりはと−みゆれとも−ねさへかれめや−のへのふゆくさ |
02113 |
未入力 禅信 (xxx)
露おきし千草も今は霜かれて野辺こそあまりさひしかりけれ
つゆおきし−ちくさもいまは−しもかれて−のへこそあまり−さひしかりけれ |
02114 |
未入力 小宰相 (xxx)
いつれそと草のゆかりもとひわかぬしもかれはつるむさしののはら
いつれそと−くさのゆかりも−とひわかぬ−しもかれはつる−むさしののはら |
02115 |
未入力 俊成女 (xxx)
染めかへす秋のまかきの露の上と見しにもあらぬ霜の下草
そめかへす−あきのまかきの−つゆのうへと−みしにもあらぬ−しものしたくさ |
02116 |
未入力 少将内侍 (xxx)
冬されは夕かけ草の枯れそめて人めもおなし時そまれなる
ふゆされは−ゆふかけくさの−かれそめて−ひとめもおなし−ときそまれなる |
02117 |
未入力 弁内侍 (xxx)
かれゆけと外に人めは残るらん猶さひしきはやとの冬草
かれゆけと−ほかにひとめは−のこるらむ−なほさひしきは−やとのふゆくさ |
02118 |
未入力 但馬 (xxx)
花すすきそれともみえすしもかれて残るもつらし秋のかたみは
はなすすき−それともみえす−しもかれて−のこるもつらし−あきのかたみは |
02119 |
未入力 下野 (xxx)
とちはてしむくらの門の冬枯にさしても誰と待つ人はなし
とちはてし−むくらのかとの−ふゆかれに−さしてもたれと−まつひとはなし |
02120 |
未入力 御製 (xxx)
このねぬる朝風さむしむへしこそはたれにつもれ夜はの白雪
このねぬる−あさかせさむし−うへしこそ−はたれにつもれ−よはのしらゆき |
02121 |
未入力 道助 (xxx)
夜もすからふれとたまらぬ跡みえてまかきもかろし今朝の白雪
よもすから−ふれとたまらぬ−あとみえて−まかきもかろし−けさのしらゆき |
02122 |
未入力 実氏 (xxx)
岩の上の苔の衣もうつもれすたたひとへなるけさの白雪
いはのうへの−こけのころもも−うつもれす−たたひとへなる−けさのしらゆき |
02123 |
未入力 基家 (xxx)
ふる程そしはしも雪に笠取の山行く駒はみちもまよはす
ふるほとそ−しはしもゆきに−かさとりの−やまゆくこまは−みちもまよはす |
02124 |
未入力 家良 (xxx)
旅人の道の行てはかつきえて草のははかりかかるしら雪
たひひとの−みちのゆくては−かつきえて−くさのははかり−かかるしらゆき |
02125 |
未入力 基良 (xxx)
あさまたき庭のはたらにふる雪のつもらぬさきに人の問へかし
あさまたき−にはのはたらに−ふるゆきの−つもらぬさきに−ひとのとへかし |
02126 |
未入力 隆親 (xxx)
庭の面に残る木葉の色をたにうつみもはてぬけさの白雪
にはのおもに−のこるこのはの−いろをたに−うつみもはてぬ−けさのしらゆき |
02127 |
未入力 為家 (xxx)
ふれとまたつめもかくれぬさをしかの朝立つをのの冬のしら雪
ふれとまた−つめもかくれぬ−さをしかの−あさたつをのの−ふゆのしらゆき |
02128 |
未入力 公相 (xxx)
跡つけん人なとかめそ山さとのあさけの雪はまたひとへなり
あとつけむ−ひとなとかめそ−やまさとの−あさけのゆきは−またひとへなり |
02129 |
未入力 実雄 (xxx)
夜はにおく霜にいくらもまさらねとふるとはみゆる今朝の初雪
よはにおく−しもにいくらも−まさらねと−ふるとはみゆる−けさのはつゆき |
02130 |
未入力 信覚 (xxx)
おほはらやけさより雪のふるさとにつもらぬさきを問ふ人もかな
おほはらや−けさよりゆきの−ふるさとに−つもらぬさきを−とふひともかな |
02131 |
未入力 為経 (xxx)
さえあかすささやのいほのかりひさしたたひとへなるよはの白雪
さえあかす−ささやのいほの−かりひさし−たたひとへなる−よはのしらゆき |
02132 |
未入力 忠定 (xxx)
白妙のいさこに色をかさねても猶ひとへなるにはのしら雪
しろたへの−いさこにいろを−かさねても−なほひとへなる−にはのしらゆき |
02133 |
未入力 資季 (xxx)
けさまても雲の名残にちりこすは霜とやみましよはの初雪
けさまても−くものなこりに−ちりこすは−しもとやみまし−よはのはつゆき |
02134 |
未入力 頼氏 (xxx)
やたののやたまれはかてに下きえて時雨にましる冬のあは雪
やたののや−たまれはかてに−したきえて−しくれにましる−ふゆのあはゆき |
02135 |
未入力 有教 (xxx)
菊の花残れる色そうつり行くうつむはかりの雪ならねとも
きくのはな−のこれるいろそ−うつりゆく−うつむはかりの−ゆきならねとも |
02136 |
未入力 師継 (xxx)
おきあかす霜とやみえむ浅茅原うつみもはてぬけさの初雪
おきあかす−しもとやみえむ−あさちはら−うつみもはてぬ−けさのはつゆき |
02137 |
未入力 定嗣 (xxx)
白妙にふりしく雪のうすひ山夕こえくれはしかも道あり
しろたへに−ふりしくゆきの−うすひやま−ゆふこえくれは−しかもみちあり |
02138 |
未入力 成実 (xxx)
ふかからぬをののと山の初雪に都へいそきいつるさと人
ふかからぬ−をののとやまの−はつゆきに−みやこへいそき−いつるさとひと |
02139 |
未入力 蓮性 (xxx)
さはた川水の心もあらはれて袖つくはかりふれる白ゆき
さはたかは−みつのこころも−あらはれて−そてつくはかり−ふれるしらゆき |
02140 |
未入力 顕氏 (xxx)
ふりすさむ外山の雪の朝ほらけまたふかからぬ道はまよはし
ふりすさふ−とやまのゆきの−あさほらけ−またふかからぬ−みちはまよはし |
02141 |
未入力 寂能 (xxx)
いつよりか跡絶えはてむ山里にまたふかからぬはつ雪の空
いつよりか−あとたえはてむ−やまさとに−またふかからぬ−はつゆきのそら |
02142 |
未入力 為氏 (xxx)
ちりつもる木葉の色も猶見えて只ひとへふるけさの初雪
ちりつもる−このはのいろも−なほみえて−たたひとへふる−けさのはつゆき |
02143 |
未入力 真観 (xxx)
草枯の冬のの鹿の跡はあれとつめたにひちぬ今朝の雪かな
くさかれの−ふゆののしかの−あとはあれと−つめたにひちぬ−けさのゆきかな |
02144 |
未入力 寂西 (xxx)
ふりそむる庭の白雪おのつからつもりやせむとみゆるはかりそ
ふりそむる−にはのしらゆき−おのつから−つもりやせむと−みゆるはかりそ |
02145 |
未入力 為経 (xxx)
道たえぬ程にはみえぬ故郷の庭の初雪とふ人そなき
みちたえぬ−ほとにはみえぬ−ふるさとの−にはのはつゆき−とふひとそなき |
02146 |
未入力 経朝 (xxx)
白雪のふれともいまた浅ちはらにきりのくちははかくれさりけり
しらゆきの−ふれともいまた−浅ちはらに−きりのくちはは−かくれさりけり |
02147 |
未入力 行家 (xxx)
山風にあれまくみゆる杉のやの板間もあはすふれる雪かな
やまかせに−あれまくみゆる−すきのやの−いたまもあはす−ふれるゆきかな |
02148 |
未入力 成茂 (xxx)
散積る木のはの上のはたれ雪吹きなかくしそけさの山かせ
ちりつもる−このはのうへの−はたれゆき−ふきなかくしそ−けさのやまかせ |
02149 |
未入力 隆祐 (xxx)
雲まよふ夕日かくれの山陰にややみえそめてふれるしら雪
くもまよふ−ゆふひかくれの−やまかけに−ややみえそめて−ふれるしらゆき |
02150 |
未入力 禅信 (xxx)
跡つけてとはれにけりとみゆるまてむら消えそむる庭の薄雪
あとつけて−とはれにけりと−みゆるまて−むらきえそむる−にはのうすゆき |
02151 |
未入力 高倉 (xxx)
思ひきゆる我か心にやたくふらんつもりもやらぬ庭のしら雪
おもひきゆる−わかこころにや−たくふらむ−つもりもやらぬ−にはのしらゆき |
02152 |
未入力 按察 (xxx)
空さゆる日かすはかりは浅けれと只ひとへなる今朝の雪かな
そらさゆる−ひかすはかりは−あさけれと−たたひとへなる−けさのゆきかな |
02153 |
未入力 帥 (xxx)
かきくらしふるとはすれと野も山もうつみそはてぬけさの初雪
かきくらし−ふるとはすれと−のもやまも−うつみそはてぬ−けさのはつゆき |
02154 |
未入力 小宰相 (xxx)
うちたえてふるとはふらぬ雪なれとあさきか庭そしろく成行く
うちたえて−ふるとはふらぬ−ゆきなれと−あさきかにはそ−しろくなりゆく |
02155 |
未入力 俊成女 (xxx)
すそのふく嵐にさえてもみちはのむすほほれたる今朝の初雪
すそのふく−あらしにさえて−もみちはの−むすほほれたる−けさのはつゆき |
02156 |
未入力 少将内侍 (xxx)
山風にうすくや雲のさえぬらんまたひとへなる今朝の初雪
やまかせに−うすくやくもの−さえぬらむ−またひとへなる−けさのはつゆき |
02157 |
未入力 弁内侍 (xxx)
問へかしな庭の白雪只ひとへかさねてふらは人もかよはし
とへかしな−にはのしらゆき−たたひとへ−かさねてふらは−ひともかよはし |
02158 |
未入力 但馬 (xxx)
さゆれとも冬の日数を浅しとやつもりもやらぬ庭のしら雪
さゆれとも−ふゆのひかすを−あさしとや−つもりもやらぬ−にはのしらゆき |
02159 |
未入力 下野 (xxx)
雪気とてはけしかりける風よりは霜にわかれぬ今朝の庭かな
ゆきけとて−はけしかりける−かせよりは−しもにわかれぬ−けさのにはかな |
02160 |
未入力 御製 (xxx)
峰におふる木木のこすゑもうつもれて山よりたかくみゆる雪かな
みねにおふる−ききのこすゑも−うつもれて−やまよりたかく−みゆるゆきかな |
02161 |
未入力 道助 (xxx)
朝夕に通ふ山人みちたえて峰のときは木雪おもるなり
あさゆふに−かよふやまひと−みちたえて−みねのときはき−ゆきおもるなり |
02162 |
未入力 実氏 (xxx)
山深み朝たつ鹿のむねわけよ猶道まよふ峰の白雪
やまふかみ−あさたつしかの−むねわけよ−なほみちまよふ−みねのしらゆき |
02163 |
未入力 基家 (xxx)
日数ふる花の都にひかりそふ雪や昔のあとをみすらん
ひかすふる−はなのみやこに−ひかりそふ−ゆきやむかしの−あとをみすらむ |
02164 |
未入力 家良 (xxx)
をさまれるみよしるあらしとよとしの程もあらはにふれる白雪
をさまれる−みよしるあらし−とよとしの−ほともあらはに−ふれるしらゆき |
02165 |
未入力 基良 (xxx)
あとたえてふりぬる雪の日数にそ年ゆたかなる御代は知らるる
あとたえて−ふりぬるゆきの−ひかすにそ−としゆたかなる−みよはしらるる |
02166 |
未入力 隆親 (xxx)
けふいくかふるの神杉みえぬまてたむけにあける雪のしらゆふ
けふいくか−ふるのかみすき−みえぬまて−たむけにあける−ゆきのしらゆふ |
02167 |
未入力 為家 (xxx)
かつらきや山はたかまもなかりけりもとふりうつむ雪のふかさに
かつらきや−やまはたかまも−なかりけり−もとふりうつむ−ゆきのふかさに |
02168 |
未入力 公相 (xxx)
草も木もわきこそかぬれけさみれは野山をかけて積る白雪
くさもきも−わきこそかぬれ−けさみれは−のやまをかけて−つもるしらゆき |
02169 |
未入力 実雄 (xxx)
友と聞く籬の竹の雪をれもうつもれはてておとつれもせす
ともときく−まかきのたけの−ゆきをれも−うつもれはてて−おとつれもせす |
02170 |
未入力 信覚 (xxx)
山のはの松の雪たにけぬかうへに猶ふりしけるみよしのの里
やまのはの−まつのゆきたに−けぬかうへに−なほふりしける−みよしののさと |
02171 |
未入力 為経 (xxx)
ふりつもる程そしらるるみよしののたかきの山をうつむしら雪
ふりつもる−ほとそしらるる−みよしのの−たかきのやまを−うつむしらゆき |
02172 |
未入力 忠定 (xxx)
ひとりなと道あるみよにまよふらん跡たにたゆなつもるしら雪
ひとりなと−みちあるみよに−まよふらむ−あとたにたゆな−つもるしらゆき |
02173 |
未入力 資季 (xxx)
昨日たに踏分けかたき白雪のはるる間もなくふりくらしつる
きのふたに−ふみわけかたき−しらゆきの−はるるまもなく−ふりくらしつる |
02174 |
未入力 頼氏 (xxx)
ま柴かる道やたえなん山かつのいやしきふれる夜はの白雪
ましはかる−みちやたえなむ−やまかつの−いやしきふれる−よはのしらゆき |
02175 |
未入力 有教 (xxx)
ふみわけて朝行く人の道もなし不尽のすそのの雪の明ほの
ふみわけて−あさゆくひとの−みちもなし−ふしのすそのの−ゆきのあけほの |
02176 |
未入力 師継 (xxx)
都たに日かすつもれる白雪の深きみ山のおくそゆかしき
みやこたに−ひかすつもれる−しらゆきの−ふかきみやまの−おくそゆかしき |
02177 |
未入力 定嗣 (xxx)
みやまきにこほれる雪の風をいたみくたけて空に又やふるらん
みやまきに−こほれるゆきの−かせをいたみ−くたけてそらに−またやふるらむ |
02178 |
未入力 成実 (xxx)
おしなへて富士のしは山わきかねぬ雪たかからぬ所なけれは
おしなへて−ふしのしはやま−わきかねぬ−ゆきたかからぬ−ところなけれは |
02179 |
未入力 蓮性 (xxx)
しはしこそ花とも見つれみよしののこすゑふりしく山の白雪
しはしこそ−はなともみつれ−みよしのの−こすゑふりしく−やまのしらゆき |
02180 |
未入力 顕氏 (xxx)
とはれぬも身のとかならすふる雪にうつもれはつるみ山への里
とはれぬも−みのとかならす−ふるゆきに−うつもれはつる−みやまへのさと |
02181 |
未入力 寂能 (xxx)
ひさにふる雪の下にもおとつれてかよひもはてぬ峰の松風
ひさにふる−ゆきのしたにも−おとつれて−かよひもはてぬ−みねのまつかせ |
02182 |
未入力 為氏 (xxx)
かきおける軒はさなからうつもれぬ余ふりつむ雪のふかさに
かきおける−のきはさなから−うつもれぬ−あまりふりつむ−ゆきのふかさに |
02183 |
未入力 真観 (xxx)
今もふる山路の雪のおときけはさも分けかたく人もこさらん
いまもふる−やまちのゆきの−おときけは−さもわけかたく−ひともこさらむ |
02184 |
未入力 寂西 (xxx)
いつまてかふみもわけけむ深山へのしみたる雪は道たえにけり
いつまてか−ふみもわけけむ−みやまへの−しみたるゆきは−みちたえにけり |
02185 |
未入力 為継 (xxx)
みよしののよしのの雪の習とてつもれる程はいくへともなし
みよしのの−よしののゆきの−ならひとて−つもれるほとは−いくへともなし |
02186 |
未入力 経朝 (xxx)
道たゆる比もうらみすさひしさに身はならはしのやとの白雪
みちたゆる−ころもうらみす−さひしさに−みはならはしの−やとのしらゆき |
02187 |
未入力 行家 (xxx)
下折のいささむらたけなひききて里をもうつむ今朝の雪かな
したをれの−いささむらたけ−なひききて−さとをもうつむ−けさのゆきかな |
02188 |
未入力 成茂 (xxx)
よを祈るとよのそらこそあらはるれ神かきふかき雪をわけつつ
よをいのる−とよのそらこそ−あらはるれ−かみかきふかき−ゆきをわけつつ |
02189 |
未入力 隆祐 (xxx)
つきてふる雪のさかりと成りぬれは竹の末葉もねに帰りけり
つきてふる−ゆきのさかりと−なりぬれは−たけのすゑはも−ねにかへりけり |
02190 |
未入力 禅信 (xxx)
白雪の日ころふりぬるときは山うつみのこせる青葉たになし
しらゆきの−ひころふりぬる−ときはやま−うつみのこせる−あをはたになし |
02191 |
未入力 高倉 (xxx)
風吹けはこすゑにかへす白雪の積るにたへぬ松のした折
かせふけは−こすゑにかへす−しらゆきの−つもるにたへぬ−まつのしたをれ |
02192 |
未入力 按察 (xxx)
み雪ふるいこまの山の朝日陰猶つもるへきそらの色かな
みゆきふる−いこまのやまの−あさひかけ−なほつもるへき−そらのいろかな |
02193 |
未入力 帥 (xxx)
ふりつみてふままくをしき白雪に我かまつ人は今なとひこそ
ふりつみて−ふままくをしき−しらゆきに−わかまつひとは−いまなとひこそ |
02194 |
未入力 小宰相 (xxx)
けぬかうへにいくへも積る雪みれはいつくもおなし山はふしのね
けぬかうへに−いくへもつもる−ゆきみれは−いつくもおなし−やまはふしのね |
02195 |
未入力 俊成女 (xxx)
跡もなくふりつむ雪にことのはの昔をxxるをのの山路
あともなく−ふりつむゆきに−ことのはの−むかしをxxる−をののやまみち |
02196 |
未入力 少将内侍 (xxx)
ここのへといふはかりにやかさぬらんみかきの中の夜はのしら雪
ここのへと−いふはかりにや−かさぬらむ−みかきのうちの−よはのしらゆき |
02197 |
未入力 弁内侍 (xxx)
みよしのの山のみ雪の日をへてはふもとまてこそ道はたえぬれ
みよしのの−やまのみゆきの−ひをへては−ふもとまてこそ−みちはたえぬれ |
02198 |
未入力 但馬 (xxx)
おのつからとふへき人も跡絶えて雪のみ深き山のおくかな
おのつから−とふへきひとも−あとたえて−ゆきのみふかき−やまのおくかな |
02199 |
未入力 下野 (xxx)
まつ人も人をもとはぬやとなれは跡たえはつる雪のふるさと
まつひとも−ひとをもとはぬ−やとなれは−あとたえはつる−ゆきのふるさと |
02200 |
未入力 御製 (xxx)
朝ことに氷そ今は結ひけるしもかれはてしきくの池水
あさことに−こほりそいまは−むすひける−しもかれはてし−きくのいけみつ |
02201 |
未入力 道助 (xxx)
残なく氷りはてたる池水に数かきとめぬにほのした道
のこりなく−こほりはてたる−いけみつに−かすかきとめぬ−にほのしたみち |
02202 |
未入力 実氏 (xxx)
氷りゐて波間もこえぬ池水にをしのうきねも床求むらん
こほりゐて−なみまもこえぬ−いけみつに−をしのうきねも−とこもとむらむ |
02203 |
未入力 基家 (xxx)
池水の玉藻かもとの玉かしはいくへをかけてなほ氷るらむ
いけみつの−たまもかもとの−たまかしは−いくへをかけて−なほこほるらむ |
02204 |
未入力 家良 (xxx)
朝氷結ひにけりな白糸のよるかのいけはゐる鳥もなし
あさこほり−むすひにけりな−しらいとの−よるかのいけは−ゐるとりもなし |
02205 |
未入力 基良 (xxx)
こほる夜はとけてもえやはねぬなはの下にくるしき池のをし鳥
こほるよは−とけてもえやは−ねぬなはの−したにくるしき−いけのをしとり |
02206 |
未入力 隆親 (xxx)
池水は氷りにけりなをし鳥のさ夜のうきねはいつくなるらん
いけみつは−こほりにけりな−をしとりの−さよのうきねは−いつくなるらむ |
02207 |
未入力 為家 (xxx)
山かけのたつらの池の冬寒み氷りにけりなもる水もなし
やまかけの−たつらのいけの−ふゆさむみ−こほりにけりな−もるみつもなし |
02208 |
未入力 公相 (xxx)
冬寒み汀にさわくあしかものつららのとこをむすふ池水
ふゆさむみ−みきはにさわく−あしかもの−つららのとこを−むすふいけみつ |
02209 |
未入力 実雄 (xxx)
鳰とりのかくれてすみし池水のしたの通も氷とちつつ
にほとりの−かくれてすみし−いけみつの−したのかよひも−こほりとちつつ |
02210 |
未入力 信覚 (xxx)
池水のこほらぬ程にゐる鳥のおのかは風も猶や寒けき
いけみつの−こほらぬほとに−ゐるとりの−おのかはかせも−なほやさむけき |
02211 |
未入力 為経 (xxx)
をし鳥のよとこの池のうき枕こほらぬ水のひまもとむらし
をしとりの−よとこのいけの−うきまくら−こほらぬみつの−ひまもとむらし |
02212 |
未入力 忠定 (xxx)
をし鳥の下の思ひやまけつらんけたれす氷る池の水かな
をしとりの−したのおもひや−まけつらむ−けたれすこほる−いけのみつかな |
02213 |
未入力 資季 (xxx)
冬の池の鳰のうきねのとこあれて波も残らす氷りはてぬる
ふゆのいけの−にほのうきねの−とこあれて−なみものこらす−こほりはてぬる |
02214 |
未入力 頼氏 (xxx)
風吹けは浦わの池にいるしほやよるの氷の絶まなるらん
かせふけは−うらわのいけに−いるしほや−よるのこほりの−たえまなるらむ |
02215 |
未入力 有教 (xxx)
あさ氷いくへか結ふおほつかな風さえまさるまのの池水
あさこほり−いくへかむすふ−おほつかな−かせさえまさる−まののいけみつ |
02216 |
未入力 師継 (xxx)
鳰鳥の下の通路氷りゐてよかれやすらんやとの池水
にほとりの−したのかよひち−こほりゐて−よかれやすらむ−やとのいけみつ |
02217 |
未入力 定嗣 (xxx)
月かけのたまりて池に氷れはやふけ行くままにさえ渡るらん
つきかけの−たまりていけに−こほれはや−ふけゆくままに−さえわたるらむ |
02218 |
未入力 成実 (xxx)
あさなあさな氷かさぬる池水に汀の波のおとそたえ行く
あさなあさな−こほりかさぬる−いけみつに−みきはのなみの−おとそたえゆく |
02219 |
未入力 蓮性 (xxx)
ねぬる夜はむへさえけらし今朝は又あしまの池もつららゐにけり
ねぬるよは−うへさえけらし−けさはまた−あしまのいけも−つららゐにけり |
02220 |
未入力 顕氏 (xxx)
あしかものさわく汀のうす氷結ひもはてぬひろさはのいけ
あしかもの−さわくみきはの−うすこほり−むすひもはてぬ−ひろさはのいけ |
02221 |
未入力 寂能 (xxx)
月影は氷の下もはれぬらし池のうき草ねさへあれつつ
つきかけは−こほりのしたも−はれぬらし−いけのうきくさ−ねさへあれつつ |
02222 |
未入力 為氏 (xxx)
をし鳥の羽風も氷る冬のよに池の玉藻のとこやあるらん
をしとりの−はかせもこほる−ふゆのよに−いけのたまもの−とこやあるらむ |
02223 |
未入力 真観 (xxx)
ぬなはひくあちまの池をきてみれは河上かけて今朝そ氷れる
ぬなはひく−あちまのいけを−きてみれは−かはかみかけて−けさそこほれる |
02224 |
未入力 寂西 (xxx)
むへしこそ氷とちけれ霜枯の冬のにつつくはらの池水
うへしこそ−こほりとちけれ−しもかれの−ふゆのにつつく−はらのいけみつ |
02225 |
未入力 為継 (xxx)
蘆ふきのあたりのこやの池なれは結ふ氷も又ひまそなき
あしふきの−あたりのこやの−いけなれは−むすふこほりも−またひまそなき |
02226 |
未入力 経朝 (xxx)
氷りゐるさやまの池のもかり舟xxxxxxxxxxxxxx
こほりゐる−さやまのいけの−もかりふね−xxxxxxx−xxxxxxx |
02227 |
未入力 行家 (xxx)
よなよなのゐなの山かせおとさえていくへかこほるこやの池水
よなよなの−ゐなのやまかせ−おとさえて−いくへかこほる−こやのいけみつ |
02228 |
未入力 成茂 (xxx)
氷りゐてみな白妙のます鏡老のすかたの池とこそ見れ
こほりゐて−みなしろたへの−ますかかみ−おいのすかたの−いけとこそみれ |
02229 |
未入力 隆祐 (xxx)
いつとてもなかれておちぬ池水をせきとめかほに氷る冬かな
いつとても−なかれておちぬ−いけみつを−せきとめかほに−こほるふゆかな |
02230 |
未入力 禅信 (xxx)
すみなるるこやの池水氷して通路しらぬ鳰の浮鳥
すみなるる−こやのいけみつ−こほりして−かよひちしらぬ−にほのうきとり |
02231 |
未入力 高倉 (xxx)
つららゐるますたの池のねぬなはのむすほほれてや下にくるしき
つららゐる−ますたのいけの−ねぬなはの−むすほほれてや−したにくるしき |
02232 |
未入力 按察 (xxx)
氷する冬の池なるうきぬなはくるしやとけすむすほほれつつ
こほりする−ふゆのいけなる−うきぬなは−くるしやとけす−むすほほれつつ |
02233 |
未入力 帥 (xxx)
津国のこやの池水今朝みれは蘆間の氷とちてけるかな
つのくにの−こやのいけみつ−けさみれは−あしまのこほり−とちてけるかな |
02234 |
未入力 小宰相 (xxx)
池にすむ鳰の浮すも中中にこほれる程やたよりなるらん
いけにすむ−にほのうきすも−なかなかに−こほれるほとや−たよりなるらむ |
02235 |
未入力 俊成女 (xxx)
さゆる夜の池にうきねのをし鳥は氷を玉のうてなにやする
さゆるよの−いけにうきねの−をしとりは−こほりをたまの−うてなにやする |
02236 |
未入力 少将内侍 (xxx)
冬の池の水を浅みとみゆるかな氷の上の鳰のかよひ路
ふゆのいけの−みつをあさみと−みゆるかな−こほりのうへの−にほのかよひち |
02237 |
未入力 弁内侍 (xxx)
さらぬたになかれぬ水の上なれは氷るもやすき冬の池かな
さらぬたに−なかれぬみつの−うへなれは−こほるもやすき−ふゆのいけかな |
02238 |
未入力 但馬 (xxx)
とけやらぬ氷や猶もむすふらんこゑさへさむき池のをし鳥
とけやらぬ−こほりやなほも−むすふらむ−こゑさへさむき−いけのをしとり |
02239 |
未入力 下野 (xxx)
いととまたさそはぬ水にねをとめて氷にとつる池のうき草
いととまた−さそはぬみつに−ねをとめて−こほりにとつる−いけのうきくさ |
02240 |
未入力 御製 (xxx)
あまをとめたまもすそひく雲の上の豊明そ面かけにみゆ
あまをとめ−たまもすそひく−くものうへの−とよのあかりそ−おもかけにみゆ |
02241 |
未入力 道助 (xxx)
ひさかたの雲のかけはしみわたせはをとめの袖に霜やおきそふ
ひさかたの−くものかけはし−みわたせは−をとめのそてに−しもやおきそふ |
02242 |
未入力 実氏 (xxx)
もろ人のをとめのすかたみる月にのほりそかぬる雲のかけはし
もろひとの−をとめのすかた−みるつきに−のほりそかぬる−くものかけはし |
02243 |
未入力 基家 (xxx)
風さゆるみかきの竹のふえのねにをとめ立ちゐる雲の通路
かせさゆる−みかきのたけの−ふえのねに−をとめたちゐる−くものかよひち |
02244 |
未入力 家良 (xxx)
忘れすよとよのあかりに日かけしてまつさきたてしをみの衣手
わすれすよ−とよのあかりに−ひかけして−まつさきたてし−をみのころもて |
02245 |
未入力 基良 (xxx)
わすられぬ豊明の日かけかな雪をかさせる身xxxxxx
わすられぬ−とよのあかりの−ひかけかな−ゆきをかさせる−みxxxxxx |
未入力 隆親 (xxx)
(空白)
xxxxx−xxxxxxx−xxxxx−xxxxxxx−xxxxxxx |
02246 |
未入力 為家 (xxx)
をみ衣けふきてかさす日かけ草豊明の名こそしるけれ
をみころも−けふきてかさす−ひかけくさ−とよのあかりの−なこそしるけれ |
02247 |
未入力 公相 (xxx)
山あゐのをみの衣手月さえて雲ゐの庭に出つるもろひと
やまあゐの−をみのころもて−つきさえて−くもゐのにはに−いつるもろひと |
02248 |
未入力 実雄 (xxx)
月さゆる豊明の雲の上にをとめの袖もひかりそへつつ
つきさゆる−とよのあかりの−くものうへに−をとめのそても−ひかりそへつつ |
02249 |
未入力 信覚 (xxx)
むかし見し豊明にかけとめてをみの衣は猶そわすれぬ
むかしみし−とよのあかりに−かけとめて−をみのころもは−なほそわすれぬ |
02250 |
未入力 為経 (xxx)
むかしよりをとめか袖のふりはへて猶山あゐの色そかはらぬ
むかしより−をとめかそての−ふりはへて−なほやまあゐの−いろそかはらぬ |
02251 |
未入力 忠定 (xxx)
あかさりし豊明の月もみむわれになとちそ雲のかよひち
あかさりし−とよのあかりの−つきもみむ−われになとちそ−くものかよひち |
02252 |
未入力 資季 (xxx)
けふにあふ豊明の日かけ草いつれのよよりかけはしめけん
けふにあふ−とよのあかりの−ひかけくさ−いつれのよより−かけはしめけむ |
02253 |
未入力 頼氏 (xxx)
けふまては豊明のいとまなみ月にもうとき雲のうへ人
けふまては−とよのあかりの−いとまなみ−つきにもうとき−くものうへひと |
02254 |
未入力 有教 (xxx)
袖ふれしあまの羽衣かさねてもをとめのすかたかはらさりけり
そてふれし−あまのはころも−かさねても−をとめのすかた−かはらさりけり |
02255 |
未入力 師継 (xxx)
ももしきの豊明の月影にあまつをとめのすかたをそみる
ももしきの−とよのあかりの−つきかけに−あまつをとめの−すかたをそみる |
02256 |
未入力 定嗣 (xxx)
いにしとし豊明のをとめをは我たてまつり袖ふらしてき
いにしとし−とよのあかりの−をとめをは−われたてまつり−そてふらしてき |
02257 |
未入力 成実 (xxx)
もろ人のたちぬる庭に月さえて豊明をそらにしるかな
もろひとの−たちぬるにはに−つきさえて−とよのあかりを−そらにしるかな |
02258 |
未入力 蓮性 (xxx)
雲の上にあまつ日かけのさしなからをとめさひすも年のへにける
くものうへに−あまつひかけの−さしなから−をとめさひすも−としのへにける |
02259 |
未入力 顕氏 (xxx)
をとめこか昔のすかたそれなからいつたひかへす山あゐの袖
をとめこか−むかしのすかた−それなから−いつたひかへす−やまあゐのそて |
02260 |
未入力 寂能 (xxx)
あまつ袖ふる白雪のいくかへりをとめさひすもけふにあふらん
あまつそて−ふるしらゆきの−いくかへり−をとめさひすも−けふにあふらむ |
02261 |
未入力 為氏 (xxx)
をとめこか雲の通路月すみてとよのあかりの影そさやけき
をとめこか−くものかよひち−つきすみて−とよのあかりの−かけそさやけき |
02262 |
未入力 真観 (xxx)
いて我もとよのあかりのをみ衣きつつつかへてありし物なり
いてわれも−とよのあかりの−をみころも−きつつつかへて−ありしものなり |
02263 |
未入力 寂西 (xxx)
もろ人のむれても庭にたつの日は豊明そいやめつらなる
もろひとの−むれてもにはに−たつのひは−とよのあかりそ−いやめつらなる |
02264 |
未入力 為継 (xxx)
ここのへにとよのあかりをみるたひに光そへたるをみ衣かな
ここのへに−とよのあかりを−みるたひに−ひかりそへたる−をみころもかな |
02265 |
未入力 経朝 (xxx)
をとめこか雪をめくらすあまつ袖ためしはたつの日影なりけり
をとめこか−ゆきをめくらす−あまつそて−ためしはたつの−ひかけなりけり |
02266 |
未入力 行家 (xxx)
みの山のしら玉つはきいつよりか豊明にあひはしめけん
みのやまの−しらたまつはき−いつよりか−とよのあかりに−あひはしめけむ |
02267 |
未入力 成茂 (xxx)
よそなから豊明もみつるかな思ひもかけぬあまつをとめこ
よそなから−とよのあかりも−みつるかな−おもひもかけぬ−あまつをとめこ |
02268 |
未入力 隆祐 (xxx)
日かけさすとよのあかりもよそなれはひとりやみなるよにまとひつつ
ひかけさす−とよのあかりも−よそなれは−ひとりやみなる−よにまとひつつ |
02269 |
未入力 禅信 (xxx)
雲の上のあまつをとめか玉かつらよろつよかけて君のみそみる
くものうへの−あまつをとめか−たまかつら−よろつよかけて−きみのみそみる |
未入力 高倉 (xxx)
(空白)
xxxxx−xxxxxxx−xxxxx−xxxxxxx−xxxxxxx |
02270 |
未入力 按察 (xxx)
をみ衣すれる山ゐのあかひものとけし昔や今夜なるらん
をみころも−すれるやまゐの−あかひもの−とけしむかしや−こよひなるらむ |
02271 |
未入力 帥 (xxx)
もろ人のひかけの糸のなかきよにいかてかみまし豊明を
もろひとの−ひかけのいとの−なかきよに−いかてかみまし−とよのあかりを |
02272 |
未入力 小宰相 (xxx)
たち渡るをとめの袖もここのへのみはしの霜やさえまさるらん
たちわたる−をとめのそても−ここのへの−みはしのしもや−さえまさるらむ |
02273 |
未入力 俊成女 (xxx)
くもりなきとよのあかりのをみ衣日かけにみかく雲の上人
くもりなき−とよのあかりの−をみころも−ひかけにみかく−くものうへひと |
02274 |
未入力 少将内侍 (xxx)
雲の上の豊明に立出ててみはしのそらに月も見しかな
くものうへの−とよのあかりに−たちいてて−みはしのそらに−つきもみしかな |
02275 |
未入力 弁内侍 (xxx)
雲の上や豊明の月の色に日かけをそふるをみのをとめこ
くものうへや−とよのあかりの−つきのいろに−ひかけをそふる−をみのをとめこ |
02276 |
未入力 但馬 (xxx)
雲の上に今も絶えせぬをとめこか袖ふる事も遠きむかしを
くものうへに−いまもたえせぬ−をとめこか−そてふることも−とほきむかしを |
02277 |
未入力 下野 (xxx)
もろ人の袖をつらぬる雲上にをとめのすかた昔をそしる
もろひとの−そてをつらぬる−くものうへに−をとめのすかた−むかしをそしる |
02278 |
未入力 御製 (xxx)
白妙の光そまさる冬の夜の月のかつらに雪つもるらし
しろたへの−ひかりそまさる−ふゆのよの−つきのかつらに−ゆきつもるらし |
02279 |
未入力 道助 (xxx)
さえくらす峰の浮雲ととまらて嵐にもれて月そいさよふ
さえくらす−みねのうきくも−ととまらて−あらしにもれて−つきそいさよふ |
02280 |
未入力 実氏 (xxx)
さえこほる嵐の風を身にしめて独そみつるあり明の月
さえこほる−あらしのかせを−みにしめて−ひとりそみつる−ありあけのつき |
02281 |
未入力 基家 (xxx)
行く水の浅瀬こほれる長き夜にむすほほれたる月の寒けさ
ゆくみつの−あさせこほれる−なかきよに−むすほほれたる−つきのさむけさ |
02282 |
未入力 家良 (xxx)
あけやらぬあまの河戸の冬のよに渡りかねたる月そ残れる
あけやらぬ−あまのかはとの−ふゆのよに−わたりかねたる−つきそのこれる |
02283 |
未入力 基良 (xxx)
思ひかね行くせにつらき河風にまたさえわたる夜はの月影
おもひかね−ゆくせにつらき−かはかせに−またさえわたる−よはのつきかけ |
02284 |
未入力 隆親 (xxx)
いかはかりさえても月のやとるらん霜のふるえの蘆の枯葉に
いかはかり−さえてもつきの−やとるらむ−しものふるえの−あしのかれはに |
02285 |
未入力 為家 (xxx)
さらてたに長きをかこつ冬のよにねられぬ月の影そひさしき
さらてたに−なかきをかこつ−ふゆのよに−ねられぬつきの−かけそひさしき |
02286 |
未入力 公相 (xxx)
霜結ふ窓のくれ竹風すきて夜ことにさゆる冬の月かけ
しもむすふ−まとのくれたけ−かせすきて−よことにさゆる−ふゆのつきかけ |
02287 |
未入力 実雄 (xxx)
いふき山さしもはけしきこからしに峰たちはなれ出つる月かけ
いふきやま−さしもはけしき−こからしに−みねたちはなれ−いつるつきかけ |
02288 |
未入力 信覚 (xxx)
あしかきのまちかき山のこからしに木葉くもらぬ月をみるかな
あしかきの−まちかきやまの−こからしに−このはくもらぬ−つきをみるかな |
02289 |
未入力 為経 (xxx)
おほ空をさえても月の渡るかなあまの河原や氷とつらん
おほそらを−さえてもつきの−わたるかな−あまのかはらや−こほりとつらむ |
02290 |
未入力 忠定 (xxx)
風はやみ行瀬の水もこほる夜は雲になかるるあり明の月
かせはやみ−ゆくせのみつも−こほるよは−くもになかるる−ありあけのつき |
02291 |
未入力 資季 (xxx)
冬の夜の嵐の音ははけしくてさえたる空の月をみるかな
ふゆのよの−あらしのおとは−はけしくて−さえたるそらの−つきをみるかな |
02292 |
未入力 頼氏 (xxx)
ひとりねの枕の上に影寒しふらぬ雪気の雲間行く月
ひとりねの−まくらのうへに−かけさむし−ふらぬゆきけの−くもまゆくつき |
02293 |
未入力 有教 (xxx)
秋とのみ思ひしものを月かけはさゆる霜夜そ見るへかりける
あきとのみ−おもひしものを−つきかけは−さゆるしもよそ−みるへかりける |
02294 |
未入力 師継 (xxx)
冬の夜の雲のさ衣ぬきをうすみ嵐たてはや月のさやけさ
ふゆのよの−くものさころも−ぬきをうすみ−あらしたてはや−つきのさやけさ |
02295 |
未入力 定嗣 (xxx)
秋たにも思ひまかへし夜はの月冬はさなから雪にそ有りける
あきたにも−おもひまかへし−よはのつき−ふゆはさなから−ゆきにそありける |
02296 |
未入力 成実 (xxx)
山あゐの袖うちふりしそのかみの霜夜の月の影そ忘れぬ
やまあゐの−そてうちふりし−そのかみの−しもよのつきの−かけそわすれぬ |
02297 |
未入力 通性 (xxx)
今夜我心ならすや月をみん衣手さえていこそねられね
こよひわれ−こころならすや−つきをみむ−ころもてさえて−いこそねられね |
02298 |
未入力 顕氏 (xxx)
久方の天河原やさえぬらんそらにこほれる月のかけかな
ひさかたの−あまのかはらや−さえぬらむ−そらにこほれる−つきのかけかな |
02299 |
未入力 寂能 (xxx)
霜こほる山田に残るかりいほに猶すむ物は冬の夜の月
しもこほる−やまたにのこる−かりいほに−なほすむものは−ふゆのよのつき |
02300 |
未入力 為氏 (xxx)
霜深き夜はにや空もさえぬらんかけまてこほる山のはの月
しもふかき−よはにやそらも−さえぬらむ−かけまてこほる−やまのはのつき |
02301 |
未入力 真観 (xxx)
さらてたにさえとほりたる月にまたはけしや今夜山おろしの風
さらてたに−さえとほりたる−つきにまた−はけしやこよひ−やまおろしのかせ |
02302 |
未入力 寂西 (xxx)
今はとて嵐吹きそふ神無月さむく夜ことに月そさえ行く
いまはとて−あらしふきそふ−かみなつき−さむくよことに−つきそさえゆく |
02303 |
未入力 為継 (xxx)
難波江にたてるあしへの冬の月光は霜のうへそさひしき
なにはえに−たてるあしへの−ふゆのつき−ひかりはしもの−うへそさひしき |
02304 |
未入力 経朝 (xxx)
ひさきおふる清き河原の霜の上にかさねてさゆる冬のよの月
ひさきおふる−きよきかはらの−しものうへに−かさねてさゆる−ふゆのよのつき |
02305 |
未入力 行家 (xxx)
たえす猶月そなかるる天河冬もこほらぬ雲のみをにて
たえすなほ−つきそなかるる−あまのかは−ふゆもこほらぬ−くものみをにて |
02306 |
未入力 成茂 (xxx)
冬まつり榊にさゆる夜はの月又たちまひてみるもかしこし
ふゆまつり−さかきにさゆる−よはのつき−またたちまひて−みるもかしこし |
02307 |
未入力 隆祐 (xxx)
冬枯も空にはみえぬ月かけのいかにすめはかさひしかるらん
ふゆかれも−そらにはみえぬ−つきかけの−いかにすめはか−さひしかるらむ |
02308 |
未入力 禅信 (xxx)
あらし山木のは吹きしく大井河ゐせきにくもる冬の夜の月
あらしやま−このはふきしく−おほゐかは−ゐせきにくもる−ふゆのよのつき |
02309 |
未入力 高倉 (xxx)
ならひこし露のゆかりをたつねてや霜にやとかるよはの月かけ
ならひこし−つゆのゆかりを−たつねてや−しもにやとかる−よはのつきかけ |
02310 |
未入力 按察 (xxx)
おく霜にぬれてさえたる袖の上のいく夜の月にまたこほるらん
おくしもに−ぬれてさえたる−そてのうへの−いくよのつきに−またこほるらむ |
02311 |
未入力 元帥 (xxx)
かたしきの衣のいたくさゆるかな霜おく夜はの袖の月かけ
かたしきの−ころものいたく−さゆるかな−しもおくよはの−そてのつきかけ |
02312 |
未入力 小宰相 (xxx)
峰の雪汀の氷かけそへてまきのを山に月そかかれる
みねのゆき−みきはのこほり−かけそへて−まきのをやまに−つきそかかれる |
02313 |
未入力 俊成女 (xxx)
冬の夜のそらにこほれる月影の鏡とみゆるしもの上かな
ふゆのよの−そらにこほれる−つきかけの−かかみとみゆる−しものうへかな |
02314 |
未入力 少将内侍 (xxx)
雲もなく嵐はかりを雪けにてさやけき月の影のさむけさ
くももなく−あらしはかりを−ゆきけにて−さやけきつきの−かけのさむけさ |
02315 |
未入力 弁内侍 (xxx)
冬も猶かけみる水は有るものをこほりなはてそ山のはの月
ふゆもなほ−かけみるみつは−あるものを−こほりなはてそ−やまのはのつき |
02316 |
未入力 但馬 (xxx)
吹きはらふ雲も残らす山かせにそらさへさえて出つる月かけ
ふきはらふ−くもものこらす−やまかせに−そらさへさえて−いつるつきかけ |
02317 |
未入力 下野 (xxx)
すさましき物といひけんいにしへの人さへつらき冬のよの月
すさましき−ものといひけむ−いにしへの−ひとさへつらき−ふゆのよのつき |
02318 |
未入力 御製 (xxx)
此夕しほみちくらし難波かたあしまの千鳥声さわくなり
このゆふへ−しほみちくらし−なにはかた−あしまのちとり−こゑさわくなり |
02319 |
未入力 道助 (xxx)
はまひさしつま吹く風に恨みわひしほひのかたに千鳥鳴くなり
はまひさし−つまふくかせに−うらみわひ−しほひのかたに−ちとりなくなり |
02320 |
未入力 実氏 (xxx)
和歌の浦や塩ひのかたにすむ千鳥昔の跡をみるもかしこし
わかのうらや−しほひのかたに−すむちとり−むかしのあとを−みるもかしこし |
02321 |
未入力 基家 (xxx)
まつらかたもろこし舟の出てぬ日も波路をさして千鳥鳴くなり
まつらかた−もろこしふねの−いてぬひも−なみちをさして−ちとりなくなり |
02322 |
未入力 家良 (xxx)
難波潟暁寒き浪風にみきはたちぬと千鳥なくなり
なにはかた−あかつきさむき−なみかせに−みきはたちぬと−ちとりなくなり |
02323 |
未入力 基良 (xxx)
あかしかたいかに契りて友千鳥たちそふ波になれて鳴くらん
あかしかた−いかにちきりて−ともちとり−たちそふなみに−なれてなくらむ |
02324 |
未入力 隆親 (xxx)
なにはかた汀の千鳥さゆる夜はあしまの霜をうらみてそ鳴く
なにはかた−みきはのちとり−さゆるよは−あしまのしもを−うらみてそなく |
02325 |
未入力 為家 (xxx)
ときつ風寒く吹くらしかすひかたしほひの千鳥夜はに鳴くなり
ときつかせ−さむくふくらし−かすひかた−しほひのちとり−よはになくなり |
02326 |
未入力 公相 (xxx)
夕されは塩ひのかたになく千鳥声をは千代にや千代とそ鳴く
ゆふされは−しほひのかたに−なくちとり−こゑをはちよに−やちよとそなく |
02327 |
未入力 実雄 (xxx)
夜のまにも塩のひかたそしられける汀の千鳥遠さかるなり
よのまにも−しほのひかたそ−しられける−みきはのちとり−とほさかるなり |
02328 |
未入力 信覚 (xxx)
思ひいつる昔もとほくなるみかたたへぬ涙になく千鳥かな
おもひいつる−むかしもとほく−なるみかた−たへぬなみたに−なくちとりかな |
02329 |
未入力 為経 (xxx)
遠さかる塩のひかたの浦風に夕浪たかく千鳥鳴くなり
とほさかる−しほのひかたの−うらかせに−ゆふなみたかく−ちとりなくなり |
02330 |
未入力 忠定 (xxx)
波のひくしほひのかたのはま千鳥なれさへこゑの遠さかり行く
なみのひく−しほひのかたの−はまちとり−なれさへこゑの−とほさかりゆく |
02331 |
未入力 資季 (xxx)
夕しほやとほつひかたにみちぬらん鳴きてちかつく友千鳥かな
ゆふしほや−とほつひかたに−みちぬらむ−なきてちかつく−ともちとりかな |
02332 |
未入力 頼氏 (xxx)
あすかかた跡ふみつくるかち人のしほひの道に千鳥鳴くなり
あすかかた−あとふみつくる−かちひとの−しほひのみちに−ちとりなくなり |
02333 |
未入力 有教 (xxx)
波よするいそをむれたつ友千鳥しほひのかたに猶き鳴くなり
なみよする−いそをむれたつ−ともちとり−しほひのかたに−なほきなくなり |
02334 |
未入力 師継 (xxx)
今来鳴くしほのひかたの夕千鳥立ちにし跡の友したふなり
いまきなく−しほのひかたの−ゆふちとり−たちにしあとの−ともしたふなり |
02335 |
未入力 定嗣 (xxx)
さよふけてうなかみかたに舟とめつしは鳴く千鳥今きかんかも
さよふけて−うなかみかたに−ふねとめつ−しはなくちとり−いまきかむかも |
02336 |
未入力 成実 (xxx)
友千鳥おきのひかたの月影にさ渡るこゑそとほさかり行く
ともちとり−おきのひかたの−つきかけに−さわたるこゑそ−とほさかりゆく |
02337 |
未入力 蓮性 (xxx)
夕波のたゆたひくれはあさかかた塩ひのゆたに千鳥鳴くなり
ゆふなみの−たゆたひくれは−あさかかた−しほひのゆたに−ちとりなくなり |
02338 |
未入力 顕氏 (xxx)
さよ千鳥跡ふみつけしかたをなみみちくるしほのいやましにして
さよちとり−あとふみつけし−かたをなみ−みちくるしほの−いやましにして |
02339 |
未入力 寂能 (xxx)
夕しほのひかたの舟の友千鳥波のうつにはさわかさりけり
ゆふしほの−ひかたのふねの−ともちとり−なみのうつには−さわかさりけり |
02340 |
未入力 為氏 (xxx)
風寒きふけひの浦のさよ千鳥遠きしほひのかたに鳴くなり
かせさむき−ふけひのうらの−さよちとり−とほきしほひの−かたになくなり |
02341 |
未入力 真観 (xxx)
あゆちかたしほひにけらしゆふさらす遊ふ千鳥もこゑのとかなる
あゆちかた−しほひにけらし−ゆふさらす−あそふちとりも−こゑのとかなる |
02342 |
未入力 寂西 (xxx)
風さゆる浦わの千鳥むれつつも猶そしほひのかたに鳴くなる
かせさゆる−うらわのちとり−むれつつも−なほそしほひの−かたになくなる |
02343 |
未入力 為継 (xxx)
風はやきしほひのかたの友千鳥いかはかりかは夜寒なるらん
かせはやき−しほひのかたの−ともちとり−いかはかりかは−よさむなるらむ |
02344 |
未入力 経朝 (xxx)
夕くれのしほ風あらくなるみかた方も定めすなく千鳥かな
ゆふくれの−しほかせあらく−なるみかた−かたもさためす−なくちとりかな |
02345 |
未入力 行家 (xxx)
難波かた浪吹きよする浦風のさえたる夜はになく千鳥かな
なにはかた−なみふきよする−うらかせの−さえたるよはに−なくちとりかな |
02346 |
未入力 成茂 (xxx)
なるみかたしほみちくらし友千鳥空にむれたる声聞ゆなり
なるみかた−しほみちくらし−ともちとり−そらにむれたる−こゑきこゆなり |
02347 |
未入力 隆祐 (xxx)
なるみかたしほみちくれは跡たえて身のたくひなる友千鳥かな
なるみかた−しほみちくれは−あとたえて−みのたくひなる−ともちとりかな |
02348 |
未入力 禅信 (xxx)
船よするなきさもとほき浦千鳥しほひのかたをさして鳴くなり
ふねよする−なきさもとほき−うらちとり−しほひのかたを−さしてなくなり |
02349 |
未入力 高倉 (xxx)
なるみかたしほみちまさる浦風に夕浪立ちて千鳥鳴くなり
なるみかた−しほみちまさる−うらかせに−ゆふなみたちて−ちとりなくなり |
02350 |
未入力 按察 (xxx)
石見かた妻恋ひかぬるさよ千鳥ふかき恨のねをや鳴くらむ
いはみかた−つまこひかぬる−さよちとり−ふかきうらみの−ねをやなくらむ |
02351 |
未入力 帥 (xxx)
霜さえてふけ行くままにはりまかたこゑもはるかに千鳥鳴くなり
しもさえて−ふけゆくままに−はりまかた−こゑもはるかに−ちとりなくなり |
02352 |
未入力 小宰柑 (xxx)
あはれとや老のね覚のあかしかたとひかほにしも千鳥なくらん
あはれとや−おいのねさめの−あかしかた−とひかほにしも−ちとりなくらむ |
02353 |
未入力 俊成女 (xxx)
難波かた月のてしほに立つ千鳥友よふ声の遠さかり行く
なにはかた−つきのてしほに−たつちとり−ともよふこゑの−とほさかりゆく |
02354 |
未入力 少将内侍 (xxx)
夕されはしほひのかたのうら風にいふかひなしや千鳥なくなり
ゆふされは−しほひのかたの−うらかせに−いふかひなしや−ちとりなくなり |
02355 |
未入力 弁内侍 (xxx)
あかしかた浦風あれてさむきよは立つ方しらす鳴く千鳥かな
あかしかた−うらかせあれて−さむきよは−たつかたしらす−なくちとりかな |
02356 |
未入力 但馬 (xxx)
あかしかたかたもさためす立つ千鳥浦風あらく波そよりける
あかしかた−かたもさためす−たつちとり−うらかせあらく−なみそよりける |
02357 |
未入力 下野 (xxx)
身の程はいはてそ思ふ石見かたなにと恨みて千鳥なくらむ
みのほとは−いはてそおもふ−いはみかた−なにとうらみて−ちとりなくらむ |
02358 |
未入力 御製 (xxx)
是そ此つもれは老と成るとしのくるるをしらてなにいそくらん
これそこの−つもれはおいと−なるとしの−くるるをしらて−なにいそくらむ |
02359 |
未入力 道助 (xxx)
あはれ又末の松山六十にもちかつくとしのこえむとすらん
あはれまた−すゑのまつやま−むそちにも−ちかつくとしの−こえむとすらむ |
02360 |
未入力 実氏 (xxx)
夕つくひみるかけさへにととまらてかたふく山を年やこゆらん
ゆふつくひ−みるかけさへに−ととまらて−かたふくやまを−としやこゆらむ |
02361 |
未入力 基家 (xxx)
かつこえてわかるる冬の山陰に人たのめなるはるのうくひす
かつこえて−わかるるふゆの−やまかけに−ひとたのめなる−はるのうくひす |
02362 |
未入力 家良 (xxx)
いたつらに我か身ふり行くたひことにをしさもまさるとしのくれかな
いたつらに−わかみふりゆく−たひことに−をしさもまさる−としのくれかな |
02363 |
未入力 基良 (xxx)
行くとしをいかかをしまぬ老いらくのくるともしらぬ春にかへては
ゆくとしを−いかかをしまぬ−おいらくの−くるともしらぬ−はるにかへては |
02364 |
未入力 隆親 (xxx)
はるかにもききて過きにしとし波の我か身にかかる春そちかつく
はるかにも−ききてすきにし−としなみの−わかみにかかる−はるそちかつく |
02365 |
未入力 為家 (xxx)
をりふしの月日すきける程なさも今更をしきとしの暮かな
をりふしの−つきひすきける−ほとなさも−いまさらをしき−としのくれかな |
02366 |
未入力 公相 (xxx)
限ありてくれ行くとしと知りなから今更人のなにいそくらん
かきりありて−くれゆくとしと−しりなから−いまさらひとの−なにいそくらむ |
02367 |
未入力 実雄 (xxx)
今日とくれ今夜と明けて年月の又もはしめに成りぬへきかな
けふとくれ−こよひとあけて−としつきの−またもはしめに−なりぬへきかな |
02368 |
未入力 信覚 (xxx)
さりともと君につかへし跡はあれと又いたつらに暮るるとしかな
さりともと−きみにつかへし−あとはあれと−またいたつらに−くるるとしかな |
02369 |
未入力 為経 (xxx)
身の上につもる月日のめくりきていくたひ同し年のくるらん
みのうへに−つもるつきひの−めくりきて−いくたひおなし−としのくるらむ |
02370 |
未入力 忠定 (xxx)
をしきかな我か世もとしもせまり行く六十の冬の夕暮の空
をしきかな−わかよもとしも−せまりゆく−むそちのふゆの−ゆふくれのそら |
02371 |
未入力 資季 (xxx)
徒に過行くものと思ひにし年のなにとて身につもるらん
いたつらに−すきゆくものと−おもひにし−としのなにとて−みにつもるらむ |
02372 |
未入力 頼氏 (xxx)
荒玉のとしの暮行くいとなみは民やすき世もかはらさりけり
あらたまの−としのくれゆく−いとなみは−たみやすきよも−かはらさりけり |
02373 |
未入力 有教 (xxx)
くれぬとも何かをしまむ思出てもなくて過きぬるとしのつらさを
くれぬとも−なにかをしまむ−おもひいても−なくてすきぬる−としのつらさを |
02374 |
未入力 師継 (xxx)
いたつらにけふもくれぬといひいひてとしの終に成りにけるかな
いたつらに−けふもくれぬと−いひいひて−としのをはりに−なりにけるかな |
02375 |
未入力 定嗣 (xxx)
つかふとてよるひるわかすいそくまにわたくししらて年そ暮れぬる
つかふとて−よるひるわかす−いそくまに−わたくししらて−としそくれぬる |
02376 |
未入力 成実 (xxx)
いたつらにことしもくれて行く水にかく数ならぬうき身をそ知る
いたつらに−ことしもくれて−ゆくみつに−かくかすならぬ−うきみをそしる |
02377 |
未入力 蓮性 (xxx)
くれぬとて何かはいそく年をへて人のためなる春とみなから
くれぬとて−なにかはいそく−としをへて−ひとのためなる−はるとみなから |
02378 |
未入力 顕氏 (xxx)
いそのかみふるやみゆきの日数へてつもりはてぬるとしの暮かな
いそのかみ−ふるやみゆきの−ひかすへて−つもりはてぬる−としのくれかな |
02379 |
未入力 寂能 (xxx)
ももとりのふるすもとめしすもりこの帰らぬ物はくるるとし波
ももとりの−ふるすもとめし−すもりこの−かへらぬものは−くるるとしなみ |
02380 |
未入力 為氏 (xxx)
身につもる物とは人の知りなから猶いそきけるとしのくれかな
みにつもる−ものとはひとの−しりなから−なほいそきける−としのくれかな |
02381 |
未入力 真観 (xxx)
なそや身のうきに哀をとりそへてとしさへ又はくれかさぬらん
なそやみの−うきにあはれを−とりそへて−としさへまたは−くれかさぬらむ |
02382 |
未入力 寂西 (xxx)
よしさらは身にもかさなれ行くとしのつもるをたにも人数にせん
よしさらは−みにもかさなれ−ゆくとしの−つもるをたにも−ひとかすにせむ |
02383 |
未入力 為継 (xxx)
数ならてふるにもつもる月日かな人にもよらぬとしのくれとて
かすならて−ふるにもつもる−つきひかな−ひとにもよらぬ−としのくれとて |
02384 |
未入力 経朝 (xxx)
めくりあふ春を隣とたのますはいかてかとしの暮にたへまし
めくりあふ−はるをとなりと−たのますは−いかてかとしの−くれにたへまし |
02385 |
未入力 行家 (xxx)
徒につもる月日のはては又たた一とせのくれにそ有りける
いたつらに−つもるつきひの−はてはまた−たたひととせの−くれにそありける |
02386 |
未入力 成茂 (xxx)
七十のさかひをしめて待つ程はをしまてすくるとしのくれかな
ななそちの−さかひをしめて−まつほとは−をしまてすくる−としのくれかな |
02387 |
未入力 隆祐 (xxx)
たまさかに月をそへたる年たにもくるれはたれも猶や惜しけん
たまさかに−つきをそへたる−としたにも−くるれはたれも−なほやをしけむ |
02388 |
未入力 禅信 (xxx)
立帰る物ならなくに人しれす行くとし波をなにいそくらん
たちかへる−ものならなくに−ひとしれす−ゆくとしなみを−なにいそくらむ |
02389 |
未入力 高倉 (xxx)
なへて世のうきにつけては中中につもらんとしのくれもいとはし
なへてよの−うきにつけては−なかなかに−つもらむとしの−くれもいとはし |
02390 |
未入力 按察 (xxx)
しらぬ間の月日は空に行きかへりむへもとしとそくれはてにける
しらぬまの−つきひはそらに−ゆきかへり−うへもとしとそ−くれはてにける |
02391 |
未入力 帥 (xxx)
誰も皆身にこそつもる年なれとなとしもけふのくれ急くらん
たれもみな−みにこそつもる−としなれと−なとしもけふの−くれいそくらむ |
02392 |
未入力 小宰相 (xxx)
身にそへて行くとし波にあらねともくるるをいかにをしみそめけん
みにそへて−ゆくとしなみに−あらねとも−くるるをいかに−をしみそめけむ |
02393 |
未入力 俊成女 (xxx)
思出ても涙ふり行くけふことにさすかに物のとしそくれぬる
おもひいても−なみたふりゆく−けふことに−さすかにものの−としそくれぬる |
02394 |
未入力 少将内侍 (xxx)
日ころよりつもりきにけるとしの暮今夜をつらく思ひけるかな
ひころより−つもりきにける−としのくれ−こよひをつらく−おもひけるかな |
02395 |
未入力 弁内侍 (xxx)
春のくるためこそとしのくれ行くを身にうらめしく思ひけるかな
はるのくる−ためこそとしの−くれゆくを−みにうらめしく−おもひけるかな |
02396 |
未入力 但馬 (xxx)
ふりはてて春はよそなる身のうさにくれ行く年のいとなみもなし
ふりはてて−はるはよそなる−みのうさに−くれゆくとしの−いとなみもなし |
02397 |
未入力 下野 (xxx)
さりともと待ちかほにのみすくせともとしくるるまてうきはかはらす
さりともと−まちかほにのみ−すくせとも−としくるるまて−うきはかはらす |
02398 |
未入力 御製 (xxx)
かきくもり空行く月の影をたにまたみぬ人を恋ひやわたらむ
かきくもり−そらゆくつきの−かけをたに−またみぬひとを−こひやわたらむ |
02399 |
未入力 道助 (xxx)
たのめてもむなしき空の偽にふけ行く月を待出てつるかな
たのめても−むなしきそらの−いつはりに−ふけゆくつきを−まちいてつるかな |
02400 |
未入力 実氏 (xxx)
待つとせし人はつれなき我か袖の涙こととへいさよひの月
まつとせし−ひとはつれなき−わかそての−なみたこととへ−いさよひのつき |
02401 |
未入力 基家 (xxx)
うちはらふ我か敷妙のとことはに待つ夜かさねてつらき月かな
うちはらふ−わかしきたへの−とことはに−まつよかさねて−つらきつきかな |
02402 |
未入力 家良 (xxx)
しられしな霞にもるる三日月のほのみし人にこひわひぬとも
しられしな−かすみにもるる−みかつきの−ほのみしひとに−こひわひぬとも |
02403 |
未入力 基良 (xxx)
さても又いかなる夜はの月影にうきおも影をさそひ初めけん
さてもまた−いかなるよはの−つきかけに−うきおもかけを−さそひそめけむ |
02404 |
未入力 隆親 (xxx)
わひぬれは有明の空もまたれけりわかれしままの月の影とて
わひぬれは−ありあけのそらも−またれけり−わかれしままの−つきのかけとて |
02405 |
未入力 為家 (xxx)
くれかかる山の端ちかきみか月のいて我まほにいつか逢ひみん
くれかかる−やまのはちかき−みかつきの−いてわれまほに−いつかあひみむ |
02406 |
未入力 公相 (xxx)
まちかぬる今夜もつらし有明の月はわかれの物と見しかと
まちかぬる−こよひもつらし−ありあけの−つきはわかれの−ものとみしかと |
02407 |
未入力 実雄 (xxx)
我か恋はよそにのみして久堅の月のかつらの手にもとられす
わかこひは−よそにのみして−ひさかたの−つきのかつらの−てにもとられす |
02408 |
未入力 信覚 (xxx)
もらすなよおもふ心も久かたの月や涙の色はしるらむ
もらすなよ−おもふこころも−ひさかたの−つきやなみたの−いろはしるらむ |
02409 |
未入力 為経 (xxx)
山の端に影まつ月の出てやらて心つくしに人を恋ひつつ
やまのはに−かけまつつきの−いてやらて−こころつくしに−ひとをこひつつ |
02410 |
未入力 忠定 (xxx)
つつみあまりいつよりかかる露ならん尋ねて袖に月のすむまて
つつみあまり−いつよりかかる−つゆならむ−たつねてそてに−つきのすむまて |
02411 |
未入力 資季 (xxx)
あまの河光ととめす行く月の早くも人に恋ひやわたらん
あまのかは−ひかりととめす−ゆくつきの−はやくもひとに−こひやわたらむ |
02412 |
未入力 頼氏 (xxx)
なかむれは月にもくもる涙かないひしはかりの秋ならねとも
なかむれは−つきにもくもる−なみたかな−いひしはかりの−あきならねとも |
02413 |
未入力 有教 (xxx)
三日月のほのかにみてしおも影をうはの空にや恋渡るへき
みかつきの−ほのかにみてし−おもかけを−うはのそらにや−こひわたるへき |
02414 |
未入力 師継 (xxx)
ほのかなるおもかけはかりみか月のわれて思ふとしらせてしかな
ほのかなる−おもかけはかり−みかつきの−われておもふと−しらせてしかな |
02415 |
未入力 定嗣 (xxx)
恋恋ひていつよりも猶あけやらて月や今夜にかたよりにせん
こひこひて−いつよりもなほ−あけやらて−つきやこよひに−かたよりにせむ |
02416 |
未入力 成実 (xxx)
こひそめておつる涙の数ことに我か身はなれぬ袖の月影
こひそめて−おつるなみたの−かすことに−わかみはなれぬ−そてのつきかけ |
02417 |
未入力 蓮性 (xxx)
いかてかは我か恋ひさらんよひよひにいさよふ月の心つくしを
いかてかは−わかこひさらむ−よひよひに−いさよふつきの−こころつくしを |
02418 |
未入力 顕氏 (xxx)
月てはとたのめし空のふけ行くを思ひもいれて君やねぬらん
つきてはと−たのめしそらの−ふけゆくを−おもひもいれて−きみやねぬらむ |
02419 |
未入力 寂能 (xxx)
あしかきにもりくる月のほのかにも隙なき恋をいかてしらせん
あしかきに−もりくるつきの−ほのかにも−ひまなきこひを−いかてしらせむ |
02420 |
未入力 為氏 (xxx)
山の端にふけて出てたる月影のはつかにたにもいかてしらせん
やまのはに−ふけていてたる−つきかけの−はつかにたにも−いかてしらせむ |
02421 |
未入力 真観 (xxx)
月にこそあくかれめとはおもふよに又我さそふ恋やなになる
つきにこそ−あくかれめとは−おもふよに−またわれさそふ−こひやなになる |
02422 |
未入力 寂西 (xxx)
みすもあらぬ人のおも影いつよりか空行くよはの月にそひけん
みすもあらぬ−ひとのおもかけ−いつよりか−そらゆくよはの−つきにそひけむ |
02423 |
未入力 為継 (xxx)
忍ふれは月をもいたくなかめしとおもふにつけて涙おちけり
しのふれは−つきをもいたく−なかめしと−おもふにつけて−なみたおちけり |
02424 |
未入力 経朝 (xxx)
よひのまにうはの空行くみか月の影はかりみし人にこひつつ
よひのまに−うはのそらゆく−みかつきの−かけはかりみし−ひとにこひつつ |
02425 |
未入力 行家 (xxx)
しるらめやほのかにみえし三日月の空にも人を恋ひわたるとは
しるらめや−ほのかにみえし−みかつきの−そらにもひとを−こひわたるとは |
02426 |
未入力 成茂 (xxx)
みすもあらぬ木のまの月のおほつかないかにかせまし心つくしを
みすもあらぬ−このまのつきの−おほつかな−いかにかせまし−こころつくしを |
02427 |
未入力 隆祐 (xxx)
深けにける槙の板戸のやすらひに月こそ出つれ人はつれなし
ふけにける−まきのいたとの−やすらひに−つきこそいつれ−ひとはつれなし |
02428 |
未入力 禅信 (xxx)
月ゆゑになれにし人のおも影はやかて思ひのたよりとそなる
つきゆゑに−なれにしひとの−おもかけは−やかておもひの−たよりとそなる |
02429 |
未入力 高倉 (xxx)
おもふより袖に先たつ涙かなぬるるかほなる月のしるへに
おもふより−そてにさきたつ−なみたかな−ぬるるかほなる−つきのしるへに |
02430 |
未入力 按察 (xxx)
さたかにはみもせぬ人のおもかけを何そや月に思ひいつらん
さたかには−みもせぬひとの−おもかけを−なにそやつきに−おもひいつらむ |
02431 |
未入力 帥 (xxx)
月みれはすすろに音こそなかれけれ是や物おもふはしめなるらん
つきみれは−すすろにねこそ−なかれけれ−これやものおもふ−はしめなるらむ |
02432 |
未入力 小宰相 (xxx)
目にはみて雲井のよそに行く月のたよりもしらぬ我か思ひかな
めにはみて−くもゐのよそに−ゆくつきの−たよりもしらぬ−わかおもひかな |
02433 |
未入力 俊成女 (xxx)
月ゆゑにあくかれそめし有明の空にしめゆふ忍もちすり
つきゆゑに−あくかれそめし−ありあけの−そらにしめゆふ−しのふもちすり |
02434 |
未入力 少将内侍 (xxx)
人めのみしけき木のまをもる月の心つくしに恋ひわたれとや
ひとめのみ−しけきこのまを−もるつきの−こころつくしに−こひわたれとや |
02435 |
未入力 弁内侍 (xxx)
袖にしも月ゆゑとまるおも影のなにと身にそふ涙なるらむ
そてにしも−つきゆゑとまる−おもかけの−なにとみにそふ−なみたなるらむ |
02436 |
未入力 但馬 (xxx)
なにとなく物思ひそめてなかむれはかはらぬ月も袖ぬらしけり
なにとなく−ものおもひそめて−なかむれは−かはらぬつきも−そてぬらしけり |
02437 |
未入力 下野 (xxx)
月をたにくもらぬ空にみしものを誰かおも影のかきくらすらむ
つきをたに−くもらぬそらに−みしものを−たかおもかけの−かきくらすらむ |
02438 |
未入力 御製 (xxx)
はかなしや夢のおも影きえはつる朝の雲はかたみなれとも
はかなしや−ゆめのおもかけ−きえはつる−あしたのくもは−かたみなれとも |
02439 |
未入力 道助 (xxx)
これをたに君かかたみとおもひいてよなかむるそらにのこるうき雲
これをたに−きみかかたみと−おもひいてよ−なかむるそらに−のこるうきくも |
02440 |
未入力 実氏 (xxx)
又もみし峰のよこ雲たちわかれきえてかなしきしののめの空
またもみし−みねのよこくも−たちわかれ−きえてかなしき−しののめのそら |
02441 |
未入力 基家 (xxx)
ゆくへなき無き名は空に立ちにけりかつらき山に雲はゐれとも
ゆくへなき−なきなはそらに−たちにけり−かつらきやまに−くもはゐれとも |
02442 |
未入力 家良 (xxx)
何とうき身をはしらすて白雲のかかるおもひにうかれそめけん
なにとうき−みをはしらすて−しらくもの−かかるおもひに−うかれそめけむ |
02443 |
未入力 基良 (xxx)
恋ひしなんうき名はかりにきえわひていくよか雲の空にまよはん
こひしなむ−うきなはかりに−きえわひて−いくよかくもの−そらにまよはむ |
02444 |
未入力 隆親 (xxx)
夢にみしあたなる雲の跡をたになと夕暮にたのめさりけむ
ゆめにみし−あたなるくもの−あとをたに−なとゆふくれに−たのめさりけむ |
02445 |
未入力 為家 (xxx)
たのめはやさたにもいひて恋ひしなん夕の空の雲はわれそと
たのめはや−さたにもいひて−こひしなむ−ゆふへのそらの−くもはわれそと |
02446 |
未入力 公相 (xxx)
逢ふ事は跡たにもなきしらくもの空にのみたつ名をいかにせん
あふことは−あとたにもなき−しらくもの−そらにのみたつ−なをいかにせむ |
02447 |
未入力 実雄 (xxx)
あはれわか心にかかるあま雲のよそにや人をおもひきえなん
あはれわか−こころにかかる−あまくもの−よそにやひとを−おもひきえなむ |
02448 |
未入力 信覚 (xxx)
恨みても誰にとはまし白雲のよそにかかれるかつらきのやま
うらみても−たれにとはまし−しらくもの−よそにかかれる−かつらきのやま |
02449 |
未入力 為経 (xxx)
しら雲の跡なき契なにゆゑにきえぬうき名のまたきたつらん
しらくもの−あとなきちきり−なにゆゑに−きえぬうきなの−またきたつらむ |
02450 |
未入力 忠定 (xxx)
いけるより空の雲とや成りぬらん月日にそへていとはるる身は
いけるより−そらのくもとや−なりぬらむ−つきひにそへて−いとはるるみは |
02451 |
未入力 資季 (xxx)
あしひきの山よりをちにゐる雲の思ひきゆとも人しらめやは
あしひきの−やまよりをちに−ゐるくもの−おもひきゆとも−ひとしらめやは |
02452 |
未入力 頼氏 (xxx)
心あらは伊駒嵐やはらふらん君かあたりの山の端の雲
こころあらは−いこまあらしや−はらふらむ−きみかあたりの−やまのはのくも |
02453 |
未入力 有教 (xxx)
恋すてふうき名は空に立つ雲のかかるつらさに消えやはてなん
こひすてふ−うきなはそらに−たつくもの−かかるつらさに−きえやはてなむ |
02454 |
未入力 師継 (xxx)
あま雲のよそにみしよりかきくらす心の中をいかてしらせん
あまくもの−よそにみしより−かきくらす−こころのうちを−いかてしらせむ |
02455 |
未入力 定嗣 (xxx)
我か恋はたゆたひやすきしら雲の風にまかせて行へしられす
わかこひは−たゆたひやすき−しらくもの−かせにまかせて−ゆくへしられす |
02456 |
未入力 成実 (xxx)
逢ふにかへて身は浮雲のきえもせてつらき我か名やよよに立ちなん
あふにかへて−みはうきくもの−きえもせて−つらきわかなや−よよにたちなむ |
02457 |
未入力 蓮性 (xxx)
空にのみ行きてわかるるうきくものなにのたつきに逢ひみそめけん
そらにのみ−ゆきてわかるる−うきくもの−なにのたつきに−あひみそめけむ |
02458 |
未入力 顕氏 (xxx)
わかせこか心は空にかよふともつらきゆふへの雲やへたてむ
わかせこか−こころはそらに−かよふとも−つらきゆふへの−くもやへたてむ |
02459 |
未入力 寂能 (xxx)
八雲たついつもの宮の神代よりたえす物思ふみとのまくはひ
やくもたつ−いつものみやの−かみよより−たえすものおもふ−みとのまくはひ |
02460 |
未入力 為民 (xxx)
中空に浮きたる雲のはてもなく行へしらすもこひわたるかな
なかそらに−うきたるくもの−はてもなく−ゆくへしらすも−こひわたるかな |
02461 |
未入力 真観 (xxx)
人しれすおもふ心は山の端にたなひく雲のゆたにたえすも
ひとしれす−おもふこころは−やまのはに−たなひくくもの−ゆたにたえすも |
02462 |
未入力 寂西 (xxx)
あた人の心の花にまかへはやうきたる雲の跡もさためぬ
あたひとの−こころのはなに−まかへはや−うきたるくもの−あともさためぬ |
02463 |
未入力 為継 (xxx)
いはぬまは心そはれぬよそにのみなにしかみゆるみねのしら雲
いはぬまは−こころそはれぬ−よそにのみ−なにしかみゆる−みねのしらくも |
02464 |
未入力 経朝 (xxx)
いたつらに夕の雲もなれにけり待ちしかたみのなかめせしまに
いたつらに−ゆふへのくもも−なれにけり−まちしかたみの−なかめせしまに |
02465 |
未入力 行家 (xxx)
伊駒山峰に朝ゐるしら雲のへたつる中は遠さかりつつ
いこまやま−みねにあさゐる−しらくもの−へたつるなかは−とほさかりつつ |
02466 |
未入力 成茂 (xxx)
よそにみしかつらき山の峰のくもうたて心にかかりそめけむ
よそにみし−かつらきやまの−みねのくも−うたてこころに−かかりそめけむ |
02467 |
未入力 隆祐 (xxx)
つらからぬ雲をはなにとなかむらん心よりこそ中はへたつれ
つらからぬ−くもをはなにと−なかむらむ−こころよりこそ−なかはへたつれ |
02468 |
未入力 禅信 (xxx)
逢ふ事はうはの空なる村雲のたえまをしけく何おもふらん
あふことは−うはのそらなる−むらくもの−たえまをしけく−なにおもふらむ |
02469 |
未入力 高倉 (xxx)
つれもなき人の心はうき雲のたえたえになるはてそかなしき
つれもなき−ひとのこころは−うきくもの−たえたえになる−はてそかなしき |
02470 |
未入力 按察 (xxx)
されはたた恋ひもしねとやしら雲のよそにのみして人のつれなき
されはたた−こひもしねとや−しらくもの−よそにのみして−ひとのつれなき |
02471 |
未入力 帥 (xxx)
我なからもとかしきかなしらくものうはの空なる人恋ふる身は
われなから−もとかしきかな−しらくもの−うはのそらなる−ひとこふるみは |
02472 |
未入力 小宰相 (xxx)
君かあたり伊駒の山はよそなからへたつる雲の色もはかなし
きみかあたり−いこまのやまは−よそなから−へたつるくもの−いろもはかなし |
02473 |
未入力 俊成女 (xxx)
しられしな夕の雲をそれとたにいはておもひのしたにきえなは
しられしな−ゆふへのくもを−それとたに−いはておもひの−したにきえなは |
02474 |
未入力 少将内侍 (xxx)
いかにせん跡なき雲と思へとも我か名は空に立ちにけるかな
いかにせむ−あとなきくもと−おもへとも−わかなはそらに−たちにけるかな |
02475 |
未入力 弁内侍 (xxx)
うきなからきえすはありとも白雲の空に乱れて恋ひやわたらん
うきなから−きえすはありとも−しらくもの−そらにみたれて−こひやわたらむ |
02476 |
未入力 但馬 (xxx)
わきてみる夕の雲のなかめにもしのふけしきを人やとかめん
わきてみる−ゆふへのくもの−なかめにも−しのふけしきを−ひとやとかめむ |
02477 |
未入力 下野 (xxx)
なかめやるそなたの空の雲たにも跡なきはてそきえてかなしき
なかめやる−そなたのそらの−くもたにも−あとなきはてそ−きえてかなしき |
02478 |
未入力 御製 (xxx)
はれくもりふりつる雨といひなしてけふこそやすく袖ぬらしつれ
はれくもり−ふりつるあめと−いひなして−けふこそやすく−そてぬらしつれ |
02479 |
未入力 道助 (xxx)
おほつかな誰かぬれきぬそ雨やまぬ軒もたもともおつる玉水
おほつかな−たかぬれきぬそ−あめやまぬ−のきもたもとも−おつるたまみつ |
02480 |
未入力 実氏 (xxx)
こかれゆくよその紅葉にくらへみよたもとにかきる秋の村雨
こかれゆく−よそのもみちに−くらへみよ−たもとにかきる−あきのむらさめ |
02481 |
未入力 基家 (xxx)
くもれはとなほさり事をたのみしも今は昔の秋のむらさめ
くもれはと−なほさりことを−たのみしも−いまはむかしの−あきのむらさめ |
02482 |
未入力 家良 (xxx)
我か恋はみほの岩屋にふる雨のいつこもりてか人にしられし
わかこひは−みほのいはやに−ふるあめの−いつこもりてか−ひとにしられし |
02483 |
未入力 基良 (xxx)
かきくらす涙もはれぬ衣手にいつれを雨とわきてしほらん
かきくらす−なみたもはれぬ−ころもてに−いつれをあめと−わきてしほらむ |
02484 |
未入力 隆親 (xxx)
春雨に猶ふりまさる涙こそつらき恨のかたみなりけれ
はるさめに−なほふりまさる−なみたこそ−つらきうらみの−かたみなりけれ |
02485 |
未入力 為家 (xxx)
雨涙身をしりかほにふりそへて恋のま袖はほすかたもなし
あめなみた−みをしりかほに−ふりそへて−こひのまそては−ほすかたもなし |
02486 |
未入力 公相 (xxx)
ふる雨をいつまてよそに思ひけんぬるるは恋のたもとなりけり
ふるあめを−いつまてよそに−おもひけむ−ぬるるはこひの−たもとなりけり |
02487 |
未入力 実雄 (xxx)
うたたねの夢のちきりのかたみとて夕の空にすくるむらさめ
うたたねの−ゆめのちきりの−かたみとて−ゆふへのそらに−すくるむらさめ |
02488 |
未入力 信覚 (xxx)
ふみまよふ野原の萩の色に出てて袖にこととふ秋の村雨
ふみまよふ−のはらのはきの−いろにいてて−そてにこととふ−あきのむらさめ |
02489 |
未入力 為経 (xxx)
我か涙うき身をしれる雨なれはふりこそまされはるるまもなし
わかなみた−うきみをしれる−あめなれは−ふりこそまされ−はるるまもなし |
02490 |
未入力 忠定 (xxx)
忘らるる身をしる袖のゆかりにも雨やは待ちし軒のたま水
わすらるる−みをしるそての−ゆかりにも−あめやはまちし−のきのたまみつ |
02491 |
未入力 資季 (xxx)
むらさめにぬるともゆかん我かせこかたのめし夜はと待ちもこそすれ
むらさめに−ぬるともゆかむ−わかせこか−たのめしよはと−まちもこそすれ |
02492 |
未入力 頼氏 (xxx)
いとはすよちきり深行く夜の雨はかこつ涙のたよりはかりに
いとはすよ−ちきりふけゆく−よるのあめは−かこつなみたの−たよりはかりに |
02493 |
未入力 有教 (xxx)
誰にかはとはぬ恨ものこるへき身をしる雨は日比へぬれと
たれにかは−とはぬうらみも−のこるへき−みをしるあめは−ひころへぬれと |
02494 |
未入力 師継 (xxx)
数ならぬ身をしる雨はあた人のとふにつけつつふりそまされる
かすならぬ−みをしるあめは−あたひとの−とふにつけつつ−ふりそまされる |
02495 |
未入力 定嗣 (xxx)
かきくらすけふのこさめにま袖ぬれいも立待つとしるらめやそも
かきくらす−けふのこさめに−まそてぬれ−いもたちまつと−しるらめやそも |
02496 |
未入力 成実 (xxx)
あまそそき程ふるやとに待ちわひてうたても袖やぬれてしほらん
あまそそき−ほとふるやとに−まちわひて−うたてもそてや−ぬれてしほらむ |
02497 |
未入力 蓮性 (xxx)
ことならはけさふる雨に我ぬれて夜はの涙をしはしまかへむ
ことならは−けさふるあめに−われぬれて−よはのなみたを−しはしまかへむ |
02498 |
未入力 顕氏 (xxx)
わすれ行く人をはうしといひもせて身をしる雨そ袖にたゆまぬ
わすれゆく−ひとをはうしと−いひもせて−みをしるあめそ−そてにたゆまぬ |
02499 |
未入力 寂能 (xxx)
袖にもる雨も涙も早瀬河せくかたなきはこころなりけり
そてにもる−あめもなみたも−はやせかは−せくかたなきは−こころなりけり |
02500 |
未入力 為氏 (xxx)
恋すてふうき名なかすな我か袖の涙も雨とふるにまかせて
こひすてふ−うきななかすな−わかそての−なみたもあめと−ふるにまかせて |
02501 |
未入力 真観 (xxx)
あはれ我なにここちせんわかせこかふるとも雨にぬれてきたらは
あはれわれ−なにここちせむ−わかせこか−ふるともあめに−ぬれてきたらは |
02502 |
未入力 寂西 (xxx)
我か恋はあれたるやとにふる雨のもらしやすくもぬるる袖かな
わかこひは−あれたるやとに−ふるあめの−もらしやすくも−ぬるるそてかな |
02503 |
未入力 為継 (xxx)
待ちかぬる涙ににたる夕くれの空かきくもる雨はふりつつ
まちかぬる−なみたににたる−ゆふくれの−そらかきくもる−あめはふりつつ |
02504 |
未入力 経朝 (xxx)
物おもへは空かきくらしふる雨のはれなは袖を何にまかへむ
ものおもへは−そらかきくらし−ふるあめの−はれなはそてを−なににまかへむ |
02505 |
未入力 行家 (xxx)
さらてたにさはりかちなる夕暮に又かきくもり雨はふりきぬ
さらてたに−さはりかちなる−ゆふくれに−またかきくもり−あめはふりきぬ |
02506 |
未入力 成茂 (xxx)
なく涙かたしきわふる閨にしもあはぬ板間のあめもふりつつ
なくなみた−かたしきわふる−ねやにしも−あはぬいたまの−あめもふりつつ |
02507 |
未入力 隆祐 (xxx)
過きやすき夕の空のむらさめをやかてかことにこぬ夜とそなる
すきやすき−ゆふへのそらの−むらさめを−やかてかことに−こぬよとそなる |
02508 |
未入力 禅信 (xxx)
君しのふ心の中もかきくらし身をしる雨のわひつつそふる
きみしのふ−こころのうちも−かきくらし−みをしるあめの−わひつつそふる |
02509 |
未入力 高倉 (xxx)
紅の千しほに袖はそめてけり人のつらさの秋のしくれに
くれなゐの−ちしほにそては−そめてけり−ひとのつらさの−あきのしくれに |
02510 |
未入力 按察 (xxx)
わひつつもえやはねらるるおのつからたのむるよはの雨のつらさに
わひつつも−えやはねらるる−おのつから−たのむるよはの−あめのつらさに |
02511 |
未入力 帥 (xxx)
雨ふれは庭に数そふうたかたのあはれもかけぬ人そ恋しき
あめふれは−にはにかすそふ−うたかたの−あはれもかけぬ−ひとそこひしき |
02512 |
未入力 小宰相 (xxx)
思ひきや涙にしほる袖に猶身をしるあめをそへん物とは
おもひきや−なみたにしをる−そてになほ−みをしるあめを−そへむものとは |
02513 |
未入力 俊成女 (xxx)
おも影を夢にまかへよむかしみし夕の雨の恋のつまとも
おもかけを−ゆめにまかへよ−むかしみし−ゆふへのあめの−こひのつまとも |
02514 |
未入力 少将内侍 (xxx)
雨ならて又もる物は我か袖の涙あらはす人めなりけり
あめならて−またもるものは−わかそての−なみたあらはす−ひとめなりけり |
02515 |
未入力 弁内侍 (xxx)
とひかたみさてもや人のつらからんうき身をしれる袖の雨かな
とひかたみ−さてもやひとの−つらからむ−うきみをしれる−そてのあめかな |
02516 |
未入力 但馬 (xxx)
いとと猶はれぬおもひそまさりける人待つよひの雨のけしきを
いととなほ−はれぬおもひそ−まさりける−ひとまつよひの−あめのけしきを |
02517 |
未入力 下野 (xxx)
かきくもれたのむるよひのむらさめにさはらぬ人の心をもみん
かきくもれ−たのむるよひの−むらさめに−さはらぬひとの−こころをもみむ |
02518 |
未入力 御製 (xxx)
いもとぬるすきまの風そ猶さむきいつならひける心なるらん
いもとぬる−すきまのかせそ−なほさむき−いつならひける−こころなるらむ |
02519 |
未入力 道助 (xxx)
あまのすむ里によわらぬ塩風も人の恨に吹きなれにけり
あまのすむ−さとによわらぬ−しほかせも−ひとのうらみに−ふきなれにけり |
02520 |
未入力 実氏 (xxx)
夕されはあまつ空なる秋風の行へもしらぬ人を恋ひつつ
ゆふされは−あまつそらなる−あきかせの−ゆくへもしらぬ−ひとをこひつつ |
02521 |
未入力 基家 (xxx)
待つ人のこぬみの浦のおきつかせあらきけしきを猶やしたはん
まつひとの−こぬみのうらの−おきつかせ−あらきけしきを−なほやしたはむ |
02522 |
未入力 家良 (xxx)
秋風の露ふくかせのくすかつらつらしうらめし人の心は
あきかせの−つゆふくかせの−くすかつら−つらしうらめし−ひとのこころは |
02523 |
未入力 基良 (xxx)
此暮の荻の葉にたに音つれぬ人ををしふる秋風もかな
このくれの−をきのはにたに−おとつれぬ−ひとををしふる−あきかせもかな |
02524 |
未入力 隆親 (xxx)
そよいかに思ひいつともしらせましゐなのささふの風につけても
そよいかに−おもひいつとも−しらせまし−ゐなのささふの−かせにつけても |
02525 |
未入力 為家 (xxx)
まとろまてなけくならひもしるはかりこぬ人にふけ夜はの松風
まとろまて−なけくならひも−しるはかり−こぬひとにふけ−よはのまつかせ |
02526 |
未入力 公相 (xxx)
こぬ人をまつ吹く風もをりからやなほ夕暮は音にたつらん
こぬひとを−まつふくかせも−をりからや−なほゆふくれは−おとにたつらむ |
02527 |
未入力 実雄 (xxx)
秋風の身にしむ比をとひみはやつれなき人も涙おつやと
あきかせの−みにしむころを−とひみはや−つれなきひとも−なみたおつやと |
02528 |
未入力 信覚 (xxx)
さくらあさのをふのうら風恨みても波によかれぬ夢のかよひち
さくらあさの−をふのうらかせ−うらみても−なみによかれぬ−ゆめのかよひち |
02529 |
未入力 為経 (xxx)
敷妙のとこの山風あやにくにひとりぬる夜はさむく吹くなり
しきたへの−とこのやまかせ−あやにくに−ひとりぬるよは−さむくふくなり |
02530 |
未入力 忠定 (xxx)
あた人の心の花にふく風のめにみぬ色ををしみかねつつ
あたひとの−こころのはなに−ふくかせの−めにみぬいろを−をしみかねつつ |
02531 |
未入力 資季 (xxx)
さらぬたにわかれもやらぬしののめに身にしめと吹くねやの秋風
さらぬたに−わかれもやらぬ−しののめに−みにしめとふく−ねやのあきかせ |
02532 |
未入力 頼氏 (xxx)
さすらふるみちもはかなしこぬ人のそなたの風に袖をまかせて
さすらふる−みちもはかなし−こぬひとの−そなたのかせに−そてをまかせて |
02533 |
未入力 有教 (xxx)
たのめてもこぬはならひの我かやとにいかてとふらん庭の松かせ
たのめても−こぬはならひの−わかやとに−いかてとふらむ−にはのまつかせ |
02534 |
未入力 師継 (xxx)
ことのははたよりあらはとおもひしをことかたにのみ秋風そふく
ことのはは−たよりあらはと−おもひしを−ことかたにのみ−あきかせそふく |
02535 |
未入力 定嗣 (xxx)
いかほ風吹く日ふかぬ日ましらははなと我か袖のほす時のなき
いかほかせ−ふくひふかぬひ−ましらはは−なとわかそての−ほすときのなき |
02536 |
未入力 成実 (xxx)
玉簾これをたよりのしるへともたのまぬ風のひまもとめつつ
たますたれ−これをたよりの−しるへとも−たのまぬかせの−ひまもとめつつ |
02537 |
未入力 蓮性 (xxx)
我かせこか袖のにほひをさそひこはこち吹く風をまたましものを
わかせこか−そてのにほひを−さそひこは−こちふくかせを−またましものを |
02538 |
未入力 顕氏 (xxx)
そなたより吹きくる風のつてにたになさけをかくる音つれそなき
そなたより−ふきくるかせの−つてにたに−なさけをかくる−おとつれそなき |
02539 |
未入力 寂能 (xxx)
おのつから人は思ひもいてすともそなたの風はなほまたれつつ
おのつから−ひとはおもひも−いてすとも−そなたのかせは−なほまたれつつ |
02540 |
未入力 為氏 (xxx)
こりすまにさのみな吹きそ今こんといひてむなしき庭の松風
こりすまに−さのみなふきそ−いまこむと−いひてむなしき−にはのまつかせ |
02541 |
未入力 真観 (xxx)
いもにこひ夜さむなる身のいねかてにさも吹きまさる風の音かな
いもにこひ−よさむなるみの−いねかてに−さもふきまさる−かせのおとかな |
02542 |
未入力 寂西 (xxx)
出てかての老の我か身の風をいたみさもつつましき恋もするかな
いてかての−おいのわかみの−かせをいたみ−さもつつましき−こひもするかな |
02543 |
未入力 為継 (xxx)
あまつ風めにみぬ色のつてにたに猶身にしみて人そ恋しき
あまつかせ−めにみぬいろの−つてにたに−なほみにしみて−ひとそこひしき |
02544 |
未入力 経朝 (xxx)
天つ風雲吹きはらふ中空にいとはれてのみふる身なりけり
あまつかせ−くもふきはらふ−なかそらに−いとはれてのみ−ふるみなりけり |
02545 |
未入力 行家 (xxx)
来ぬ人のつらさをそへて今夜しも夜さむにふきぬ閨の秋風
こぬひとの−つらさをそへて−こよひしも−よさむにふきぬ−ねやのあきかせ |
02546 |
未入力 成茂 (xxx)
吹く風のしるへはうはの空なれとそなたときかむおとつれもかな
ふくかせの−しるへはうはの−そらなれと−そなたときかむ−おとつれもかな |
02547 |
未入力 隆祐 (xxx)
目に見えぬ心の花をさそへはや風のやとりをしられさるらん
めにみえぬ−こころのはなを−さそへはや−かせのやとりを−しられさるらむ |
02548 |
未入力 禅信 (xxx)
夜をかさね松吹く風のさむしろにねられぬままの夢をのこしつ
よをかさね−まつふくかせの−さむしろに−ねられぬままの−ゆめをのこしつ |
02549 |
未入力 高倉 (xxx)
涙のみむなしき袖にかかる身のくるれははらふとこのうらかせ
なみたのみ−むなしきそてに−かかるみの−くるれははらふ−とこのうらかせ |
02550 |
未入力 按察 (xxx)
いつとても袖のよそとはならはねとうき身にさむき風の音かな
いつとても−そてのよそとは−ならはねと−うきみにさむき−かせのおとかな |
02551 |
未入力 帥 (xxx)
秋風にかきほのまくす吹きかへしうらみはかりはたゆる夜もなし
あきかせに−かきほのまくす−ふきかへし−うらみはかりは−たゆるよもなし |
02552 |
未入力 小宰相 (xxx)
おのつから風のたよりを待ちえてもなくさむ程のことのはそなき
おのつから−かせのたよりを−まちえても−なくさむほとの−ことのはそなき |
02553 |
未入力 俊成女 (xxx)
いかにせんまとふ恋ちにしるへして身を浮舟をさそふしほ風
いかにせむ−まとふこひちに−しるへして−みをうきふねを−さそふしほかせ |
02554 |
未入力 少将内侍 (xxx)
身にさむく秋風ふかは忘れなん我をふるせるときしうけれは
みにさむく−あきかせふかは−わすれなむ−われをふるせる−ときしうけれは |
02555 |
未入力 弁内侍 (xxx)
身にしみて秋かせさむきよひたにも衣かたしきひとりねよとや
みにしみて−あきかせさむき−よひたにも−ころもかたしき−ひとりねよとや |
02556 |
未入力 但馬 (xxx)
いかにせんそなたの風のつてにたにあはれをかくることのはもなし
いかにせむ−そなたのかせの−つてにたに−あはれをかくる−ことのはもなし |
02557 |
未入力 下野 (xxx)
さりともと待つにむなしきよなよなはこととふ風のおともうらめし
さりともと−まつにむなしき−よなよなは−こととふかせの−おともうらめし |
02558 |
未入力 御製 (xxx)
よしや人みまれ見すまれ今はたためつらしけなき恋の煙を
よしやひと−みまれみすまれ−いまはたた−めつらしけなき−こひのけふりを |
02559 |
未入力 道助 (xxx)
空にのみ恋のけふりや立ちぬらんをちかた人もとかむはかりに
そらにのみ−こひのけふりや−たちぬらむ−をちかたひとも−とかむはかりに |
02560 |
未入力 実氏 (xxx)
するかなる山はふしのね我かことやたえぬけふりにむすほほるらん
するかなる−やまはふしのね−わかことや−たえぬけふりに−むすほほるらむ |
02561 |
未入力 基家 (xxx)
うらむてふ里のしるへにあま人のしほやかぬ日もたつ煙かな
うらむてふ−さとのしるへに−あまひとの−しほやかぬひも−たつけふりかな |
02562 |
未入力 家良 (xxx)
身にあまる思ひを何にくらへましむろのやしまもけふりこそたて
みにあまる−おもひをなにに−くらへまし−むろのやしまも−けふりこそたて |
02563 |
未入力 基良 (xxx)
我はかりおもひこかれぬかはら屋の煙もなほそしたむせふなる
われはかり−おもひこかれぬ−かはらやの−けふりもなほそ−したむせふなる |
02564 |
未入力 隆親 (xxx)
夕煙なひくならひをたのますはおもひたつへき恋の道かは
ゆふけふり−なひくならひを−たのますは−おもひたつへき−こひのみちかは |
02565 |
未入力 為家 (xxx)
しほたれて我か身すくもに立つ煙あまのしわさといつ思ひけん
しほたれて−わかみすくもに−たつけふり−あまのしわさと−いつおもひけむ |
02566 |
未入力 公相 (xxx)
すくもたくもしほのけふりなひけたた恨みし末のしるへともみむ
すくもたく−もしほのけふり−なひけたた−うらみしすゑの−しるへともみむ |
02567 |
未入力 実雄 (xxx)
まつしまやあまのもしほ木それならてこりぬおもひにたつ煙かな
まつしまや−あまのもしほき−それならて−こりぬおもひに−たつけふりかな |
02568 |
未入力 信覚 (xxx)
くらへてもしらしなふしの夕けふり猶立ちのほるおもひありとは
くらへても−しらしなふしの−ゆふけふり−なほたちのほる−おもひありとは |
02569 |
未入力 為経 (xxx)
あまのやくもしほの煙我か方になひかぬ恋の身をこかすかな
あまのやく−もしほのけふり−わかかたに−なひかぬこひの−みをこかすかな |
02570 |
未入力 忠定 (xxx)
恋ひしなはむろのやしまにあらすともおもひのほとはけふりにもみよ
こひしなは−むろのやしまに−あらすとも−おもひのほとは−けふりにもみよ |
02571 |
未入力 資季 (xxx)
蚊遣火のしたにくるしき夕けふりまたき無き名や空に立つらん
かやりひの−したにくるしき−ゆふけふり−またきなきなや−そらにたつらむ |
02572 |
未入力 頼氏 (xxx)
はるかなるふしの煙を身にそへてまちかき人にこふる比かな
はるかなる−ふしのけふりを−みにそへて−まちかきひとに−こふるころかな |
02573 |
未入力 有教 (xxx)
年ふれとおもひはつきしふしのねに心たかくもたつけふりかな
としふれと−おもひはつきし−ふしのねに−こころたかくも−たつけふりかな |
02574 |
未入力 師継 (xxx)
かはらやの下にこかるる夕けふりたえぬおもひのありとたにみよ
かはらやの−したにこかるる−ゆふけふり−たえぬおもひの−ありとたにみよ |
02575 |
未入力 定嗣 (xxx)
ふしのねにいつよりけふり立ちそめていやとほなかきおもひなるらん
ふしのねに−いつよりけふり−たちそめて−いやとほなかき−おもひなるらむ |
02576 |
未入力 成実 (xxx)
あまのすむ里のしるへを恨みても行方しらす立つけふりかな
あまのすむ−さとのしるへを−うらみても−ゆくかたしらす−たつけふりかな |
02577 |
未入力 連性 (xxx)
もえわたるおもひはそれとあらはれてふしのみたけも煙立つなり
もえわたる−おもひはそれと−あらはれて−ふしのみたけも−けふりたつなり |
02578 |
未入力 顕氏 (xxx)
つれもなき人にみせはや浦にたくもしほの煙なひきけりとも
つれもなき−ひとにみせはや−うらにたく−もしほのけふり−なひきけりとも |
02579 |
未入力 寂能 (xxx)
身にあまる思ひやそらにみちのくのしのふかひなくたつけふりかな
みにあまる−おもひやそらに−みちのくの−しのふかひなく−たつけふりかな |
02580 |
未入力 為氏 (xxx)
あま人のたくもの煙なひくともこと浦風をいかかたのまん
あまひとの−たくものけふり−なひくとも−ことうらかせを−いかかたのまむ |
02581 |
未入力 真観 (xxx)
なにはめかあし火のけふり立つと見はうきふしことにもゆとしらなん
なにはめか−あしひのけふり−たつとみは−うきふしことに−もゆとしらなむ |
02582 |
未入力 寂西 (xxx)
すくも火の煙につけておさへたるめをたに今は見せぬ君かな
すくもひの−けふりにつけて−おさへたる−めをたにいまは−みせぬきみかな |
02583 |
未入力 為継 (xxx)
いかにせんしほやくあまの夕煙なひかぬ程はそらにみゆらん
いかにせむ−しほやくあまの−ゆふけふり−なひかぬほとは−そらにみゆらむ |
02584 |
未入力 経明 (xxx)
煙たつあさまの山のみねの雲もゆるおもひもわかれさりけり
けふりたつ−あさまのやまの−みねのくも−もゆるおもひも−わかれさりけり |
02585 |
未入力 行家 (xxx)
すくも火のほには恋ひめやくゆりわひたえぬ煙は空に立つとも
すくもひの−ほにはこひめや−くゆりわひ−たえぬけふりは−そらにたつとも |
02586 |
未入力 成茂 (xxx)
したもえの思ひを空にしのはすはふしの煙はたちもおよはし
したもえの−おもひをそらに−しのはすは−ふしのけふりは−たちもおよはし |
02587 |
未入力 隆祐 (xxx)
あはれともをちこち人のみるへきにさすかあさまの煙とはなし
あはれとも−をちこちひとの−みるへきに−さすかあさまの−けふりとはなし |
02588 |
未入力 禅信 (xxx)
いたつらに立つ名そをしき下もえの思ひのけふりさてもきえなは
いたつらに−たつなそをしき−したもえの−おもひのけふり−さてもきえなは |
02589 |
未入力 高倉 (xxx)
もしほやく煙は空になひききてうき名はかりや空にたつらん
もしほやく−けふりはそらに−なひききて−うきなはかりや−そらにたつらむ |
02590 |
未入力 按察 (xxx)
いかにせんふしのけふりのとしふれとわするる程にならぬおもひを
いかにせむ−ふしのけふりの−としふれと−わするるほとに−ならぬおもひを |
02591 |
未入力 帥 (xxx)
すまのあまのしほやく煙絶えすのみこかれて物をなと思ふらん
すまのあまの−しほやくけふり−たえすのみ−こかれてものを−なとおもふらむ |
02592 |
未入力 小宰相 (xxx)
煙たつなたの塩屋を尋ぬともたきもすさまぬこひやなからん
けふりたつ−なたのしほやを−たつぬとも−たきもすさまぬ−こひやなからむ |
02593 |
未入力 俊成女 (xxx)
いかなりし恋の煙のきえやらてむろのやしまの名をのこしけん
いかなりし−こひのけふりの−きえやらて−むろのやしまの−なをのこしけむ |
02594 |
未入力 少将内侍 (xxx)
けふりたつ空にもしるやふしのねのもえつつとはに思ひありとは
けふりたつ−そらにもしるや−ふしのねの−もえつつとはに−おもひありとは |
02595 |
未入力 弁内侍 (xxx)
うき名たつもしほの煙ことならは又こと浦の風になひくな
うきなたつ−もしほのけふり−ことならは−またことうらの−かせになひくな |
02596 |
未入力 但馬 (xxx)
したにのみたえぬおもひそしられぬるむすほほれ行く空の煙に
したにのみ−たえぬおもひそ−しられぬる−むすほほれゆく−そらのけふりに |
02597 |
未入力 下野 (xxx)
物おもふ身よりあまりてたつ煙ふしのたかねをよそにやはみん
ものおもふ−みよりあまりて−たつけふり−ふしのたかねを−よそにやはみむ |
02598 |
未入力 御製 (xxx)
聞くたひになこその関の名もつらし行きてはかへる身にしられつつ
きくたひに−なこそのせきの−なもつらし−ゆきてはかへる−みにしられつつ |
02599 |
未入力 道助 (xxx)
夢路には関守もなし相坂の名にはたかへるうつつなりけり
ゆめちには−せきもりもなし−あふさかの−なにはたかへる−うつつなりけり |
02600 |
未入力 実氏 (xxx)
人めもる心の中のせきなれはゆくもかへるも誰かいさめむ
ひとめもる−こころのうちの−せきなれは−ゆくもかへるも−たれかいさめむ |
02601 |
未入力 基家 (xxx)
夢ちにはなこその関やつつくらん我か身にかよふおも影そなき
ゆめちには−なこそのせきや−つつくらむ−わかみにかよふ−おもかけそなき |
02602 |
未入力 家良 (xxx)
ひとめもる衣のせきのせきかねてとまらぬ物は涙なりけり
ひとめもる−ころものせきの−せきかねて−とまらぬものは−なみたなりけり |
02603 |
未入力 基良 (xxx)
いつまてか我かかよひちと恨みけんゆききたえたるよその関もり
いつまてか−わかかよひちと−うらみけむ−ゆききたえたる−よそのせきもり |
02604 |
未入力 隆親 (xxx)
尋ねても人はゆるさすあふさかの関はむなしき名のみなりけり
たつねても−ひとはゆるさす−あふさかの−せきはむなしき−なのみなりけり |
02605 |
未入力 為家 (xxx)
うたて誰思ひか中にせきすゑて人の心のかよひたえなん
うたてたれ−おもひかなかに−せきすゑて−ひとのこころの−かよひたえなむ |
02606 |
未入力 公相 (xxx)
みちのくのいはての関のいはてのみ過くる月日をしる人そなき
みちのくの−いはてのせきの−いはてのみ−すくるつきひを−しるひとそなき |
02607 |
未入力 実雄 (xxx)
いとはるる我か身にかきる名をとめてなへて名こその関といふらん
いとはるる−わかみにかきる−なをとめて−なへてなこその−せきといふらむ |
02608 |
未入力 信覚 (xxx)
おのつからみし夜の夢はかひもなし名のみそ絶えぬ相坂の関
おのつから−みしよのゆめは−かひもなし−なのみそたえぬ−あふさかのせき |
02609 |
未入力 為経 (xxx)
はかなくも猶相坂とたのむかなへたつる関の名をわすれつつ
はかなくも−なほあふさかと−たのむかな−へたつるせきの−なをわすれつつ |
02610 |
未入力 忠定 (xxx)
跡絶えて人もかよはぬひとりねの衣のせきをもる涙かな
あとたえて−ひともかよはぬ−ひとりねの−ころものせきを−もるなみたかな |
02611 |
未入力 資季 (xxx)
なれてたにかたき心の関もると君さへやすくぬる夜はそなき
なれてたに−かたきこころの−せきもると−きみさへやすく−ぬるよはそなき |
02612 |
未入力 頼氏 (xxx)
あたなりやおとに聞きつつ音羽川思ひわたりしあふさかのやま
あたなりや−おとにききつつ−おとはかは−おもひわたりし−あふさかのやま |
02613 |
未入力 有教 (xxx)
相坂の関の戸あけぬせきもりはつれなき人の心なりけり
あふさかの−せきのとあけぬ−せきもりは−つれなきひとの−こころなりけり |
02614 |
未入力 師継 (xxx)
逢ひみても猶や恨みん身にちかき衣の関のへたてはかりに
あひみても−なほやうらみむ−みにちかき−ころものせきの−へたてはかりに |
02615 |
未入力 定嗣 (xxx)
明けわたるとなみの関のまさしくはかつわかれ行くせなをととめよ
あけわたる−となみのせきの−まさしくは−かつわかれゆく−せなをととめよ |
02616 |
未入力 成実 (xxx)
名にまよふなこその関のいかならんさても恋路にとまるものかは
なにまよふ−なこそのせきの−いかならむ−さてもこひちに−とまるものかは |
02617 |
未入力 蓮性 (xxx)
しなのちやかよふ心はありなからさもそあふちの関はさひしき
しなのちや−かよふこころは−ありなから−さもそあふちの−せきはさひしき |
02618 |
未入力 顕氏 (xxx)
おもへともいはてのせきに年へぬる我かこふらくはしる人もなし
おもへとも−いはてのせきに−としへぬる−わかこふらくは−しるひともなし |
02619 |
未入力 寂能 (xxx)
よそにのみたれかゆききの名もつらし身にはならはぬあふ坂のせき
よそにのみ−たれかゆききの−なもつらし−みにはならはぬ−あふさかのせき |
02620 |
未入力 為氏 (xxx)
いとはるる我か身なこその関の名はつれなき中やはしめなりけん
いとはるる−わかみなこその−せきのなは−つれなきなかや−はしめなりけむ |
02621 |
未入力 真観 (xxx)
おとは山いかにせきもる神なれは我かこふらくをととめさるらん
おとはやま−いかにせきもる−かみなれは−わかこふらくを−ととめさるらむ |
02622 |
未入力 寂西 (xxx)
我か袖をさそな衣のせきといひてしのふ涙をとほさすもかな
わかそてを−さそなころもの−せきといひて−しのふなみたを−とほさすもかな |
02623 |
未入力 為継 (xxx)
名をたのむ心はかりをしるへにてこえはわかれしあふさかのせき
なをたのむ−こころはかりを−しるへにて−こえはわかれし−あふさかのせき |
02624 |
未入力 経朝 (xxx)
きよみかたおきには風の吹かぬまもたもとに波のかけぬ日はなし
きよみかた−おきにはかせの−ふかぬまも−たもとになみの−かけぬひはなし |
02625 |
未入力 行家 (xxx)
誰かすゑし相坂山のせきなれは我にゆるさぬ戸さしなるらん
たかすゑし−あふさかやまの−せきなれは−われにゆるさぬ−とさしなるらむ |
02626 |
未入力 成茂 (xxx)
おなしくはあはれしのふのおくにあれな人にしられぬあふ坂の関
おなしくは−あはれしのふの−おくにあれな−ひとにしられぬ−あふさかのせき |
02627 |
未入力 隆祐 (xxx)
あれはつるふはの関屋もあるものを今更かよふ道なととめそ
あれはつる−ふはのせきやも−あるものを−いまさらかよふ−みちなととめそ |
02628 |
未入力 禅信 (xxx)
たのめつつ行きあふさかの関守も今夜はかりは心あらなむ
たのめつつ−ゆきあふさかの−せきもりも−こよひはかりは−こころあらなむ |
02629 |
未入力 高倉 (xxx)
こえやらぬ契もつらし相坂の人たのめなる関の名そうさ
こえやらぬ−ちきりもつらし−あふさかの−ひとたのめなる−せきのなそうさ |
02630 |
未入力 按察 (xxx)
かくはかりうきにまきれぬ我か恋の心をとむるせきもりもかな
かくはかり−うきにまきれぬ−わかこひの−こころをとむる−せきもりもかな |
02631 |
未入力 帥 (xxx)
いかにせん行逢ふ坂と聞きしかとよひよひことの関路なりけり
いかにせむ−ゆきあふさかと−ききしかと−よひよひことの−せきちなりけり |
02632 |
未入力 小宰相 (xxx)
まれにたに逢ふ事かたき道なれと一筆みせよ文字の関もり
まれにたに−あふことかたき−みちなれと−ひとふてみせよ−もしのせきもり |
02633 |
未入力 俊成女 (xxx)
こえて又恋しき人にあふさかのせきならはこそなほもたのまめ
こえてまた−こひしきひとに−あふさかの−せきならはこそ−なほもたのまめ |
02634 |
未入力 少将内侍 (xxx)
いかなれは行逢ふ坂に関すゑて夜をしとほさぬ契なるらむ
いかなれは−ゆきあふさかに−せきすゑて−よをしとほさぬ−ちきりなるらむ |
02635 |
未入力 弁内侍 (xxx)
中中につらさそまさる逢坂のせきはその名を遠さかりつる
なかなかに−つらさそまさる−あふさかの−せきはそのなを−とほさかりつる |
02636 |
未入力 但馬 (xxx)
おもはすよ越えてくやしき相坂のせきとめかたき涙なれとは
おもはすよ−こえてくやしき−あふさかの−せきとめかたき−なみたなれとは |
02637 |
未入力 下野 (xxx)
相坂のを河の水はなかれつつせきとめられぬ名をたのむかな
あふさかの−をかはのみつは−なかれつつ−せきとめられぬ−なをたのむかな |
02638 |
未入力 御製 (xxx)
音に聞くよしののたきもよしや我か杣におちける涙なりけり
おとにきく−よしののたきも−よしやわか−そまにおちける−なみたなりけり |
02639 |
未入力 道助 (xxx)
こきちらす滝のしら玉くたけつつ涙は袖に数まさりけり
こきちらす−たきのしらたま−くたけつつ−なみたはそてに−かすまさりけり |
02640 |
未入力 実氏 (xxx)
ぬきとめよあはすはなにをかたいとのみたれておつる滝の白玉
ぬきとめよ−あはすはなにを−かたいとの−みたれておつる−たきのしらたま |
02641 |
未入力 基家 (xxx)
あた人の心そみえぬ我か袖にせき入れておとす滝はあれとも
あたひとの−こころそみえぬ−わかそてに−せきいれておとす−たきはあれとも |
02642 |
未入力 家良 (xxx)
みよしのの滝の岩淵なれをしもいかにふかめてたのめそめけん
みよしのの−たきのいはふち−なれをしも−いかにふかめて−たのめそめけむ |
02643 |
未入力 基良 (xxx)
せきあへぬ涙の末やなる滝のたきつおもひはよとむまもなし
せきあへぬ−なみたのすゑや−なるたきの−たきつおもひは−よとむまもなし |
02644 |
未入力 隆親 (xxx)
せきかぬるなみたのたきのはやきせにきえては水のあはれともみよ
せきかぬる−なみたのたきの−はやきせに−きえてはみつの−あはれともみよ |
02645 |
未入力 為家 (xxx)
音なしのたきのみなかみ人とははしのひにしほる袖やみせまし
おとなしの−たきのみなかみ−ひととはは−しのひにしほる−そてやみせまし |
02646 |
未入力 公相 (xxx)
いかにせんなかれ逢ふ瀬を待つとてもたのめし人は音なしのたき
いかにせむ−なかれあふせを−まつとても−たのめしひとは−おとなしのたき |
02647 |
未入力 実雄 (xxx)
みよしのの吉野の滝も尋ねつつおちそふ袖のなみたまかへむ
みよしのの−よしののたきも−たつねつつ−おちそふそての−なみたまかへむ |
02648 |
未入力 信覚 (xxx)
石はしるたきある山の岩つつしいはぬ涙や袖そかくらむ
いしはしる−たきあるやまの−いはつつし−いはぬなみたや−そてそかくらむ |
02649 |
未入力 為経 (xxx)
人しれぬ心の中の滝つせはおもひせくにそ袖もくちぬる
ひとしれぬ−こころのうちの−たきつせは−おもひせくにそ−そてもくちぬる |
02650 |
未入力 忠定 (xxx)
まかへてもあた名そたかき白雲のたつたの山の滝のみなかみ
まかへても−あたなそたかき−しらくもの−たつたのやまの−たきのみなかみ |
02651 |
未入力 資季 (xxx)
袖におつる涙の玉のしらいとや人にむすはぬ契なるらん
そてにおつる−なみたのたまの−しらいとや−ひとにむすはぬ−ちきりなるらむ |
02652 |
未入力 頼氏 (xxx)
逢ふ事もしらぬいもせの名の立つはよしのの滝の玉のをはかり
あふことも−しらぬいもせの−なのたつは−よしののたきの−たまのをはかり |
02653 |
未入力 有教 (xxx)
年ふれと人はしらしな涙川枕にふかきおとなしの滝
としふれと−ひとはしらしな−なみたかは−まくらにふかき−おとなしのたき |
02654 |
未入力 師継 (xxx)
岩そそく滝のしらいとあはれ我か思ひみたれてくるしきやなそ
いはそそく−たきのしらいと−あはれわか−おもひみたれて−くるしきやなそ |
02655 |
未入力 定嗣 (xxx)
恋すとはみな人はやく聞きつらんみやのたきつの玉とひひけは
こひすとは−みなひとはやく−ききつらむ−みやのたきつの−たまとひひけは |
02656 |
未入力 成実 (xxx)
みよしののたきの岩根を行く水のせかれぬ恋にしからみそなき
みよしのの−たきのいはねを−ゆくみつの−せかれぬこひに−しからみそなき |
02657 |
未入力 蓮性 (xxx)
はやくより水のみなかみふかめつついなせもみせすいな淵の滝
はやくより−みつのみなかみ−ふかめつつ−いなせもみせす−いなふちのたき |
02658 |
未入力 顕氏 (xxx)
みせはやなたきのみなわのわきかへりおもふ思ひのとしへぬる身を
みせはやな−たきのみなわの−わきかへり−おもふおもひの−としへぬるみを |
02659 |
未入力 寂能 (xxx)
み吉野のたきのみなかみ数そはは色ある袖やなみたなるへき
みよしのの−たきのみなかみ−かすそはは−いろあるそてや−なみたなるへき |
02660 |
未入力 為氏 (xxx)
我か涙なとやせかれぬ滝つせの中にもよとはありとこそきけ
わかなみた−なとやせかれぬ−たきつせの−うちにもよとは−ありとこそきけ |
02661 |
未入力 真観 (xxx)
されは我かなきぬらしける涙かも衣のたきにおつるみなわは
されはわか−なきぬらしける−なみたかも−ころものたきに−おつるみなわは |
02662 |
未入力 寂西 (xxx)
わかなみたよしののたきのたゆる夜もなきもためしに恋や渡らん
わかなみた−よしののたきの−たゆるよも−なきもためしに−こひやわたらむ |
02663 |
未入力 為継 (xxx)
忍ひかね玉のをとけてくたくてふ滝は心としらせてしかな
しのひかね−たまのをとけて−くたくてふ−たきはこころと−しらせてしかな |
02664 |
未入力 経朝 (xxx)
世世をへてみたれて物を思ふかな我かみなかみのたきのしらいと
よよをへて−みたれてものを−おもふかな−わかみなかみの−たきのしらいと |
02665 |
未入力 行家 (xxx)
おとなしの滝になかるるみなかみはわかしのひねにおつる涙か
おとなしの−たきになかるる−みなかみは−わかしのひねに−おつるなみたか |
02666 |
未入力 成茂 (xxx)
みなの河恋の淵よりなかれ出つる涙の滝はえやはせかるる
みなのかは−こひのふちより−なかれいつる−なみたのたきは−えやはせかるる |
02667 |
未入力 隆祐 (xxx)
見し人を音にもきかぬ滝つせのなにそは袖に絶えす落つらん
みしひとを−おとにもきかぬ−たきつせの−なにそはそてに−たえすおつらむ |
02668 |
未入力 禅信 (xxx)
袖のうへにわきてなかるる思川たきつ涙やたえすおつらん
そてのうへに−わきてなかるる−おもひかは−たきつなみたや−たえすおつらむ |
02669 |
未入力 高倉 (xxx)
あらはれてせく袖もなき涙川しのふるからにおとなしの滝
あらはれて−せくそてもなき−なみたかは−しのふるからに−おとなしのたき |
02670 |
未入力 按察 (xxx)
そてにせく涙の河のたきつせや恋する人の心みすらむ
そてにせく−なみたのかはの−たきつせや−こひするひとの−こころみすらむ |
02671 |
未入力 帥 (xxx)
みよしのやおちくる滝のしらいとの絶えすみたれて人の恋しき
みよしのや−おちくるたきの−しらいとの−たえすみたれて−ひとのこひしき |
02672 |
未入力 小宰相 (xxx)
せきかぬる滝つ心は音羽川なかれてのちに逢瀬ありやと
せきかぬる−たきつこころは−おとはかは−なかれてのちに−あふせありやと |
02673 |
未入力 俊成女 (xxx)
せきかぬる滝つ岩根のよしのかは岩こす波に名そくたけぬる
せきかぬる−たきついはねの−よしのかは−いはこすなみに−なそくたけぬる |
02674 |
未入力 少将内侍 (xxx)
つれもなき岩にかかれるたきのいとのくるしや心たえぬものから
つれもなき−いはにかかれる−たきのいとの−くるしやこころ−たえぬものから |
02675 |
未入力 弁内侍 (xxx)
音に猶たてぬもくるしおもひせく心の中のたきなくもかな
おとになほ−たてぬもくるし−おもひせく−こころのうちの−たきなくもかな |
02676 |
未入力 但馬 (xxx)
涙にもかる人やなきつつめとも袖に玉ちる音なしの滝
なみたにも−かるひとやなき−つつめとも−そてにたまちる−おとなしのたき |
02677 |
未入力 下野 (xxx)
いとはやもおつる涙のたきつせに袖のこほりもえやはとちける
いとはやも−おつるなみたの−たきつせに−そてのこほりも−えやはとちける |
02678 |
未入力 御製 (xxx)
このねぬる朝の原の露けきはおきわかれつるなこりなりけり
このねぬる−あしたのはらの−つゆけきは−おきわかれつる−なこりなりけり |
02679 |
未入力 道助 (xxx)
年をへてつれなき色やならふらん塩ひも遠きわかの松原
としをへて−つれなきいろや−ならふらむ−しほひもとほき−わかのまつはら |
02680 |
未入力 実氏 (xxx)
あさちはらあさくは露も分けこぬに人のとふまてぬるる袖かな
あさちはら−あさくはつゆも−わけこぬに−ひとのとふまて−ぬるるそてかな |
02681 |
未入力 基家 (xxx)
みかの原なかるる河のいつみきとおほえぬせにもぬるる袖かな
みかのはら−なかるるかはの−いつみきと−おほえぬせにも−ぬるるそてかな |
02682 |
未入力 家良 (xxx)
かれぬるか心の秋もかみなひのあささは原の露のしたくさ
かれぬるか−こころのあきも−かみなひの−あささははらの−つゆのしたくさ |
02683 |
未入力 基良 (xxx)
しのはらや秋風またぬ夕露のもろくも袖にちる涙かな
しのはらや−あきかせまたぬ−ゆふつゆの−もろくもそてに−ちるなみたかな |
02684 |
未入力 隆親 (xxx)
いたつらに露やおくらん人しれす忍の里のおくのささはら
いたつらに−つゆやおくらむ−ひとしれす−しのふのさとの−おくのささはら |
02685 |
未入力 為家 (xxx)
うきふしのしけさまされるしの原は我しかよへとなひくともなし
うきふしの−しけさまされる−しのはらは−われしかよへと−なひくともなし |
02686 |
未入力 公相 (xxx)
いたつらにとしはへにけりあさちふのをののしの原忍ふはかりに
いたつらに−としはへにけり−あさちふの−をののしのはら−しのふはかりに |
02687 |
未入力 実雄 (xxx)
うきなからかはらぬ色にとしもへぬかことや何そいきの松はら
うきなから−かはらぬいろに−としもへぬ−かことやなにそ−いきのまつはら |
02688 |
未入力 信覚 (xxx)
忘れめやみしはむかしの夢なれと我のみつらきさのの松はら
わすれめや−みしはむかしの−ゆめなれと−われのみつらき−さののまつはら |
02689 |
未入力 為経 (xxx)
あさちふのした葉も色に出てぬへしをののしのはらしのふ涙に
あさちふの−したはもいろに−いてぬへし−をののしのはら−しのふなみたに |
02690 |
未入力 忠定 (xxx)
みかの原国のみやこと身をなして思ひうつりしあとしのへとや
みかのはら−くにのみやこと−みをなして−おもひうつりし−あとしのへとや |
02691 |
未入力 資季 (xxx)
時雨たにつれなき色はえそそめぬ名のみなりけりあふの松原
しくれたに−つれなきいろは−えそそめぬ−なのみなりけり−あふのまつはら |
02692 |
未入力 頼氏 (xxx)
待ちなれし人はのきはのいにしへを忍かはらの夕くれのそら
まちなれし−ひとはのきはの−いにしへを−しのふかはらの−ゆふくれのそら |
02693 |
未入力 有教 (xxx)
心さしあさちか原に色かはる秋の末葉は露そおきそふ
こころさし−あさちかはらに−いろかはる−あきのすゑはは−つゆそおきそふ |
02694 |
未入力 師継 (xxx)
いたつらに我かかよひちの露けきに人の心もなひけしのはら
いたつらに−わかかよひちの−つゆけきに−ひとのこころも−なひけしのはら |
02695 |
未入力 定嗣 (xxx)
くれぬれと君をおもへはたかしまのかちのの原の露をわけつつ
くれぬれと−きみをおもへは−たかしまの−かちののはらの−つゆをわけつつ |
02696 |
未入力 成実 (xxx)
つらかりし人の心をしりかほに露おきとむる草の原かな
つらかりし−ひとのこころを−しりかほに−つゆおきとむる−くさのはらかな |
02697 |
未入力 蓮性 (xxx)
人をいかて思ひわすれんおほ原やこのいちしはのつかのまはかり
ひとをいかて−おもひわすれむ−おほはらや−このいちしはの−つかのまはかり |
02698 |
未入力 顕氏 (xxx)
すかはらやふしみは夢の契にて又もかよはぬ月日つらしな
すかはらや−ふしみはゆめの−ちきりにて−またもかよはぬ−つきひつらしな |
02699 |
未入力 寂能 (xxx)
物おもふと嵐も波もするかなるふしのみわたの浮島の原
ものおもふと−あらしもなみも−するかなる−ふしのみわたの−うきしまのはら |
02700 |
未入力 為氏 (xxx)
よよふともあたにちらすな神なひのあささは原の露のことのは
よよふとも−あたにちらすな−かみなひの−あささははらの−つゆのことのは |
02701 |
未入力 真観 (xxx)
いかにかく袖はぬるるそ露ふかきひめすか原の草もからぬに
いかにかく−そてはぬるるそ−つゆふかき−ひめすかはらの−くさもからぬに |
02702 |
未入力 寂西 (xxx)
あふみてふよさみの原に行く人はいもかあたりの事かたらなん
あふみてふ−よさみのはらに−ゆくひとは−いもかあたりの−ことかたらなむ |
02703 |
未入力 為継 (xxx)
ひとしれすおもふ心はこもりえのはつせのひはら色そつれなき
ひとしれす−おもふこころは−こもりえの−はつせのひはら−いろそつれなき |
02704 |
未入力 経朝 (xxx)
人心あたちの原の秋の草色にいつともえやはたのまん
ひとこころ−あたちのはらの−あきのくさ−いろにいつとも−えやはたのまむ |
02705 |
未入力 行家 (xxx)
あさちふのをののしのはら風立ちてしのふかたなく露そこほるる
あさちふの−をののしのはら−かせたちて−しのふかたなく−つゆそこほるる |
02706 |
未入力 成茂 (xxx)
篠分くる朝の原の露たにもかくやは袖の色はかはらむ
ささわくる−あしたのはらの−つゆたにも−かくやはそての−いろはかはらむ |
02707 |
未入力 隆祐 (xxx)
契りしはあさちかはらのゆかりそと思ひしらせてうらかれにけり
ちきりしは−あさちかはらの−ゆかりそと−おもひしらせて−うらかれにけり |
02708 |
未入力 禅信 (xxx)
帰るさの朝の原のあをつつらくるしき身そと今そしりける
かへるさの−あしたのはらの−あをつつら−くるしきみそと−いまそしりける |
02709 |
未入力 高倉 (xxx)
恋ひしなん命は人のためなれはあさちか原の露をたにとへ
こひしなむ−いのちはひとの−ためなれは−あさちかはらの−つゆをたにとへ |
02710 |
未入力 按察 (xxx)
ことに出てていふ人なくはあさちふのをののしの原色かはるとも
ことにいてて−いふひとなくは−あさちふの−をののしのはら−いろかはるとも |
02711 |
未入力 帥 (xxx)
忘れしと契りし人のことのはもしもにかれゆくをののしのはら
わすれしと−ちきりしひとの−ことのはも−しもにかれゆく−をののしのはら |
02712 |
未入力 小宰相 (xxx)
色かはる人にみせはやとしふれと秋にしられぬひはら杉はら
いろかはる−ひとにみせはや−としふれと−あきにしられぬ−ひはらすきはら |
02713 |
未入力 俊成女 (xxx)
萩か原わけこし袖の露よりやうつりそめけん人のこころも
はきかはら−わけこしそての−つゆよりや−うつりそめけむ−ひとのこころも |
02714 |
未入力 少将内侍 (xxx)
我か袖にあまる涙をおさふともえやあさちふのをののしの原
わかそてに−あまるなみたを−おさふとも−えやあさちふの−をののしのはら |
02715 |
未入力 弁内侍 (xxx)
恋恋ひてかなしき物は露わくる朝のはらのわかれなりけり
こひこひて−かなしきものは−つゆわくる−あしたのはらの−わかれなりけり |
02716 |
未入力 但馬 (xxx)
よしさらはきえなはきえねうき身世にとはれんものか草の原まて
よしさらは−きえなはきえね−うきみよに−とはれむものか−くさのはらまて |
02717 |
未入力 下野 (xxx)
うつり行く心の秋をしりかほに露のみしけきをののしのはら
うつりゆく−こころのあきを−しりかほに−つゆのみしけき−をののしのはら |
02718 |
未入力 御製 (xxx)
くれは又こんと契りてわかれにしままの継橋待ちやわたらむ
くれはまた−こむとちきりて−わかれにし−ままのつきはし−まちやわたらむ |
02719 |
未入力 道助 (xxx)
影も今は波の下にやしつみにしはまなの橋は恋ひわたれとも
かけもいまは−なみのしたにや−しつみにし−はまなのはしは−こひわたれとも |
02720 |
未入力 実氏 (xxx)
夢にたにかよひし中も絶えはてぬ見しや其夜のままの継橋
ゆめにたに−かよひしなかも−たえはてぬ−みしやそのよの−ままのつきはし |
02721 |
未入力 基家 (xxx)
なくさめてうらとふ橋よまさしかれつれなき中をみても渡らん
なくさめて−うらとふはしよ−まさしかれ−つれなきなかを−みてもわたらむ |
02722 |
未入力 家良 (xxx)
さのみやはとつなのはしのなからへてくるしなからも恋ひわたるへき
さのみやは−とつなのはしの−なからへて−くるしなからも−こひわたるへき |
02723 |
未入力 基良 (xxx)
恨みても今さらいかかいははしの夜のちきりはたえてうき身を
うらみても−いまさらいかか−いははしの−よるのちきりは−たえてうきみを |
02724 |
未入力 隆親 (xxx)
ふりにけるなからのはしの跡よりも猶たえぬへき恋の道かな
ふりにける−なからのはしの−あとよりも−なほたえぬへき−こひのみちかな |
02725 |
未入力 為家 (xxx)
津の国のなにはさすかにたてなからかよはぬ橋と跡はたえにき
つのくにの−なにはさすかに−たてなから−かよはぬはしと−あとはたえにき |
02726 |
未入力 公相 (xxx)
かつらきや久米の岩橋中絶えてかよはぬ人の契をそしる
かつらきや−くめのいははし−なかたえて−かよはぬひとの−ちきりをそしる |
02727 |
未入力 実雄 (xxx)
あふ事はをたえのはしのとしをへてわたらぬ中に我や成りなん
あふことは−をたえのはしの−としをへて−わたらぬなかに−われやなりなむ |
02728 |
未入力 信覚 (xxx)
とはすなる限もしらぬなみたかなをくらのはしの名にや立ちなん
とはすなる−かきりもしらぬ−なみたかな−をくらのはしの−なにやたちなむ |
02729 |
未入力 為経 (xxx)
聞きわたるくめちのはしはよそにして夜の契の身にや絶えなむ
ききわたる−くめちのはしは−よそにして−よるのちきりの−みにやたえなむ |
02730 |
未入力 忠定 (xxx)
恨みてもかつそ恋しきかつしかやままのつき橋おもひたえなて
うらみても−かつそこひしき−かつしかや−ままのつきはし−おもひたえなて |
02731 |
未入力 資季 (xxx)
かつらきのよるの契の岩橋やたえてかよはぬたくひなるらむ
かつらきの−よるのちきりの−いははしや−たえてかよはぬ−たくひなるらむ |
02732 |
未入力 頼氏 (xxx)
契あれはいかにあふみにわたせともをたえのはしの名にや立ちなん
ちきりあれは−いかにあふみに−わたせとも−をたえのはしの−なにやたちなむ |
02733 |
未入力 有教 (xxx)
今更にくる人もなしかつらきや契たえにしくめのいははし
いまさらに−くるひともなし−かつらきや−ちきりたえにし−くめのいははし |
02734 |
未入力 師継 (xxx)
いそのかみふるのたかはし誰か為にこひわたれはか心かよはぬ
いそのかみ−ふるのたかはし−たかために−こひわたれはか−こころかよはぬ |
02735 |
未入力 定嗣 (xxx)
逢ふ事は今はをたえのまろ木橋あやふなからも猶やたのまん
あふことは−いまはをたえの−まろきはし−あやふなからも−なほやたのまむ |
02736 |
未入力 成実 (xxx)
更に又恋ひやわたらん夢にたにたた一夜見しままのつきはし
さらにまた−こひやわたらむ−ゆめにたに−たたひとよみし−ままのつきはし |
02737 |
未入力 蓮性 (xxx)
いたつらに月日そわたるあしひきの山のたなはしかけて恋ひつつ
いたつらに−つきひそわたる−あしひきの−やまのたなはし−かけてこひつつ |
02738 |
未入力 顕氏 (xxx)
かけてたにしられしものをしなのなるきそちの橋の恋渡るとも
かけてたに−しられしものを−しなのなる−きそちのはしの−こひわたるとも |
02739 |
未入力 寂能 (xxx)
逢ふ事も今はなからの橋柱かたりし跡は名やのこるへき
あふことも−いまはなからの−はしはしら−かたりしあとは−なやのこるへき |
02740 |
未入力 為氏 (xxx)
ききわたる其名もつらし逢ふ事のなとてをたえのはしと成りけん
ききわたる−そのなもつらし−あふことの−なとてをたえの−はしとなりけむ |
02741 |
未入力 真観 (xxx)
しひて猶恋ひこそわたれあふみにかありてふせたの橋もととろに
しひてなほ−こひこそわたれ−あふみにか−ありてふせたの−はしもととろに |
02742 |
未入力 寂西 (xxx)
岩橋のいかにかけたる道なれはなかきとたえの中となるらむ
いははしの−いかにかけたる−みちなれは−なかきとたえの−なかとなるらむ |
02743 |
未入力 為継 (xxx)
あはれわか恋に命をかけ橋のさていつまてかたのみわたらん
あはれわか−こひにいのちを−かけはしの−さていつまてか−たのみわたらむ |
02744 |
未入力 経朝 (xxx)
まのの浦のよとのつき橋つきもせすつらしと人を聞きわたるかな
まののうらの−よとのつきはし−つきもせす−つらしとひとを−ききわたるかな |
02745 |
未入力 行家 (xxx)
あしひきの山のかけちのひとつはし又ためしなく恋ひわたるかな
あしひきの−やまのかけちの−ひとつはし−またためしなく−こひわたるかな |
02746 |
未入力 成茂 (xxx)
むかしみしままの継橋なからへてあらは逢瀬にわたしもやせん
むかしみし−ままのつきはし−なからへて−あらはあふせに−わたしもやせむ |
02747 |
未入力 隆祐 (xxx)
かよへとて河瀬にわたす浮橋のあくかるる物は恋ちなりけり
かよへとて−かはせにわたす−うきはしの−あくかるるものは−こひちなりけり |
02748 |
未入力 禅信 (xxx)
恋ひわたる心は空にかよへともあふはよそなるかささきのはし
こひわたる−こころはそらに−かよへとも−あふはよそなる−かささきのはし |
02749 |
未入力 高倉 (xxx)
つれなさを命にかけて逢ふまても待つ夜をわたるさのの舟橋
つれなさを−いのちにかけて−あふまても−まつよをわたる−さののふなはし |
02750 |
未入力 按察 (xxx)
ふみかよふみちたにあれないははしの夜のちきりはむかしなりとも
ふみかよふ−みちたにあれな−いははしの−よるのちきりは−むかしなりとも |
02751 |
未入力 帥 (xxx)
かつらきのくめの岩橋としをへて中たえねとはいつか契りし
かつらきの−くめのいははし−としをへて−なかたえねとは−いつかちきりし |
02752 |
未入力 小宰相 (xxx)
行末のなかきちきりもたのまれす身をうちはしのたえまたえまに
ゆくすゑの−なかきちきりも−たのまれす−みをうちはしの−たえまたえまに |
02753 |
未入力 俊成女 (xxx)
心から後のうき名のはてしらぬをたえの橋にふみまよひけん
こころから−のちのうきなの−はてしらぬ−をたえのはしに−ふみまよひけむ |
02754 |
未入力 少将内侍 (xxx)
むは玉の夢のうきはしあはれなと人めをよきて恋ひわたるらん
うはたまの−ゆめのうきはし−あはれなと−ひとめをよきて−こひわたるらむ |
02755 |
未入力 弁内侍 (xxx)
忘らるるちきりをたえの橋柱くちなはよそに恋ひやわたらむ
わすらるる−ちきりをたえの−はしはしら−くちなはよそに−こひやわたらむ |
02756 |
未入力 但馬 (xxx)
うつつにや恋ひわたるへきあふ事はたたよひのまの夢のうき橋
うつつにや−こひわたるへき−あふことは−たたよひのまの−ゆめのうきはし |
02757 |
未入力 下野 (xxx)
人しれぬ我か袖にこそかかりけれなからのはしの跡のうきなみ
ひとしれぬ−わかそてにこそ−かかりけれ−なからのはしの−あとのうきなみ |
02758 |
未入力 御製 (xxx)
おなしくはもろこし舟もよりななんしる人もなき袖のみなとに
おなしくは−もろこしふねも−よりななむ−しるひともなき−そてのみなとに |
02759 |
未入力 道助 (xxx)
水くきの岡の湊にたつなみのふかき心はくみてしらなむ
みつくきの−をかのみなとに−たつなみの−ふかきこころは−くみてしらなむ |
02760 |
未入力 実氏 (xxx)
あまを舟よるかたもなし涙せく袖のみなとは名のみさわけと
あまをふね−よるかたもなし−なみたせく−そてのみなとは−なのみさわけと |
02761 |
未入力 基家 (xxx)
よしさらはもとのみなとのみなれさをこきのく波にかはる浦風
よしさらは−もとのみなとの−みなれさを−こきのくなみに−かはるうらかせ |
02762 |
未入力 家良 (xxx)
浪さわく袖のみなとのかせをいたみこふるによらぬ舟もつれなし
なみさわく−そてのみなとの−かせをいたみ−こふるによらぬ−ふねもつれなし |
02763 |
未入力 基良 (xxx)
いかにせん数かきわふる水くきのをかのみなとにあまるなみたを
いかにせむ−かすかきわふる−みつくきの−をかのみなとに−あまるなみたを |
02764 |
未入力 隆親 (xxx)
風ふけはみなとに波のさわきつつたちゐに袖をぬらす比かな
かせふけは−みなとになみの−さわきつつ−たちゐにそてを−ぬらすころかな |
02765 |
未入力 為家 (xxx)
恋すてふ我か名は湊さわけとも今はた舟のよるときもなし
こひすてふ−わかなはみなと−さわけとも−いまはたふねの−よるときもなし |
02766 |
未入力 公相 (xxx)
いつとなく袖になかるる涙川つもるや恋のみなとなるらん
いつとなく−そてになかるる−なみたかは−つもるやこひの−みなとなるらむ |
02767 |
未入力 実雄 (xxx)
せきかねぬ物おもふ袖のみなとかは今はつつまぬ名をやなかさん
せきかねぬ−ものおもふそての−みなとかは−いまはつつまぬ−なをやなかさむ |
02768 |
未入力 信覚 (xxx)
逢ふ事はたか恨よりたえぬらんうきはみなとの波のかよひ路
あふことは−たかうらみより−たえぬらむ−うきはみなとの−なみのかよひち |
02769 |
未入力 為経 (xxx)
風あらきとさのみなとをこく舟のくるしき物は恋ちなりけり
かせあらき−とさのみなとを−こくふねの−くるしきものは−こひちなりけり |
02770 |
未入力 忠定 (xxx)
かたしきの袖のしたなるみなと河これや涙のうきねなるらん
かたしきの−そてのしたなる−みなとかは−これやなみたの−うきねなるらむ |
02771 |
未入力 資季 (xxx)
かたしきの袖のみなとのみをつくしつくしはてつる我かこころかな
かたしきの−そてのみなとの−みをつくし−つくしはてつる−わかこころかな |
02772 |
未入力 頼氏 (xxx)
みなと入のあしかりを舟さはらねとひとりかなしき恋の道かな
みなと入の−あしかりをふね−さはらねと−ひとりかなしき−こひのみちかな |
02773 |
未入力 有教 (xxx)
逢ふとなき涙の川の行末やふかきうらみのみなとなるらん
あふとなき−なみたのかはの−ゆくすゑや−ふかきうらみの−みなとなるらむ |
02774 |
未入力 師継 (xxx)
ひかたふくをかのみなとに立つ波のなみにおもはぬ人に恋ひつつ
ひかたふく−をかのみなとに−たつなみの−なみにおもはぬ−ひとにこひつつ |
02775 |
未入力 定嗣 (xxx)
我か舟はやそのみなとにこき出てなん君にあふみの海といふなり
わかふねは−やそのみなとに−こきいてなむ−きみにあふみの−うみといふなり |
02776 |
未入力 成実 (xxx)
身を秋の袖に波たつみなと河これやうき名のとまりなるらん
みをあきの−そてになみたつ−みなとかは−これやうきなの−とまりなるらむ |
02777 |
未入力 蓮性 (xxx)
人しれぬ音をこそなかめまとかたの湊のす鳥なみにぬれつつ
ひとしれぬ−ねをこそなかめ−まとかたの−みなとのすとり−なみにぬれつつ |
02778 |
未入力 顕氏 (xxx)
いさやさはみなと入江の波のとに我か思ふかたのみるめもとめむ
いさやさは−みなといりえの−なみのとに−わかおもふかたの−みるめもとめむ |
02779 |
未入力 寂能 (xxx)
やほか行くはまのみなとのまさこちにしをれてたてるまつかひもなし
やほかゆく−はまのみなとの−まさこちに−しをれてたてる−まつかひもなし |
02780 |
未入力 為氏 (xxx)
たちかへりみなとにさわくしらなみのしらしなおなし人にこふとも
たちかへり−みなとにさわく−しらなみの−しらしなおなし−ひとにこふとも |
02781 |
未入力 真観 (xxx)
あふことはよをへたつなと玉かきの水のみなとにたむけをそする
あふことは−よをへたつなと−たまかきの−みつのみなとに−たむけをそする |
02782 |
未入力 寂西 (xxx)
おもふ事みなとにちかふはや舟のとまりもあへぬ恋もするかな
おもふこと−みなとにちかふ−はやふねの−とまりもあへぬ−こひもするかな |
02783 |
未入力 為継 (xxx)
漢河さらてもふかきわか恋をいかにせよとてしほのみつらん
あまのかは−さらてもふかき−わかこひを−いかにせよとて−しほのみつらむ |
02784 |
未入力 経朝 (xxx)
みなと川瀬瀬にうつまくたまさかもほすまあらせよ袖のしら波
みなとかは−せせにうつまく−たまさかも−ほすまあらせよ−そてのしらなみ |
02785 |
未入力 行家 (xxx)
とし月に涙のつもる我か袖のみなとや恋のとまりなるらむ
としつきに−なみたのつもる−わかそての−みなとやこひの−とまりなるらむ |
02786 |
未入力 成茂 (xxx)
舟とむるふかき湊のみをつくしおもふ心のしるしあらはせ
ふねとむる−ふかきみなとの−みをつくし−おもふこころの−しるしあらはせ |
02787 |
未入力 隆祐 (xxx)
我か恋はみなとをさしてみつしほにせかれてかへる水のしらなみ
わかこひは−みなとをさして−みつしほに−せかれてかへる−みつのしらなみ |
02788 |
未入力 禅信 (xxx)
浪たかき湊にさわくうき舟のよるかたもなき我かこころかな
なみたかき−みなとにさわく−うきふねの−よるかたもなき−わかこころかな |
02789 |
未入力 高倉 (xxx)
しるへせよみなとを出つるあまを舟人をみぬめのうらはかひなし
しるへせよ−みなとをいつる−あまをふな−ひとをみぬめの−うらはかひなし |
02790 |
未入力 按察 (xxx)
たのましよたななしを舟行末もこきかへるへきみなとならねは
たのましよ−たななしをふね−ゆくすゑも−こきかへるへき−みなとならねは |
02791 |
未入力 帥 (xxx)
湊出のあまのを舟もうらやましつらきさはりもあらしと思へは
みなといての−あまのをふねも−うらやまし−つらきさはりも−あらしとおもへは |
02792 |
未入力 小宰相 (xxx)
みるめなきおなしみなとにたとりわひたななしを舟こきや出てなん
みるめなき−おなしみなとに−たとりわひ−たななしをふね−こきやいてなむ |
02793 |
未入力 俊成女 (xxx)
ぬるるかほにやとる月たに涙河袖の湊のさわくちきりに
ぬるるかほに−やとるつきたに−なみたかは−そてのみなとの−さわくちきりに |
02794 |
未入力 少将内侍 (xxx)
おもひつついはねはいとと心のみさわくは袖のみなとなりけり
おもひつつ−いはねはいとと−こころのみ−さわくはそての−みなとなりけり |
02795 |
未入力 弁内待 (xxx)
今はとてみなとに出つる河なみの又はいつくの逢瀬待つらん
いまはとて−みなとにいつる−かはなみの−またはいつくの−あふせまつらむ |
02796 |
未入力 但馬 (xxx)
湊入のあしまをわけてこく舟も思ふ中にはさはらさりけり
みなといりの−あしまをわけて−こくふねも−おもふなかには−さはらさりけり |
02797 |
未入力 下野 (xxx)
しらせはや袖の湊の波にのみもろこし舟のこかれわたると
しらせはや−そてのみなとの−なみにのみ−もろこしふねの−こかれわたると |
02798 |
未入力 御製 (xxx)
あらはれて後はうくともなとり河逢ふはうれしき瀬瀬の埋木
あらはれて−のちはうくとも−なとりかは−あふはうれしき−せせのうもれき |
02799 |
未入力 道助 (xxx)
谷ふかきかけのくち木と成りはてて我か身をしらぬ恋そかなしき
たにふかき−かけのくちきと−なりはてて−わかみをしらぬ−こひそかなしき |
02800 |
未入力 実氏 (xxx)
いかにせん朽木の桜老いぬとて心の花はしる人もなし
いかにせむ−くちきのさくら−おいぬとて−こころのはなは−しるひともなし |
02801 |
未入力 基家 (xxx)
かはらしといひししひ柴つれなかれたとへは秋に身はしくるとも
かはらしと−いひししひしは−つれなかれ−たとへはあきに−みはしくるとも |
02802 |
未入力 家良 (xxx)
神風やみつのかしはのうきしつみとふにつけてもぬるる袖かな
かみかせや−みつのかしはの−うきしつみ−とふにつけても−ぬるるそてかな |
02803 |
未入力 基良 (xxx)
契りきなよをへたつともみ山木の枝をつらぬる身とならんとは
ちきりきな−よをへたつとも−みやまきの−えたをつらぬる−みとならむとは |
02804 |
未入力 隆親 (xxx)
いたつらに年をつもりのうらみかな松は久しき色としれとも
いたつらに−としをつもりの−うらみかな−まつはひさしき−いろとしれとも |
02805 |
未入力 為家 (xxx)
伊勢の海のあまのもしほ木こりなからからしやけたぬおなし煙は
いせのうみの−あまのもしほき−こりなから−からしやけたぬ−おなしけふりは |
02806 |
未入力 公相 (xxx)
つれなくてつひに朽ちにしみ山木の猶こりはてぬ身こそつらけれ
つれなくて−つひにくちにし−みやまきの−なほこりはてぬ−みこそつらけれ |
02807 |
未入力 実雄 (xxx)
よそにのみみるはかりなる深山木の其名もしらぬ人に恋ひつつ
よそにのみ−みるはかりなる−みやまきの−そのなもしらぬ−ひとにこひつつ |
02808 |
未入力 信覚 (xxx)
忘れしなおもふ心もとしへぬる松のあらしも色はかはらし
わすれしな−おもふこころも−としへぬる−まつのあらしも−いろはかはらし |
02809 |
未入力 為経 (xxx)
こりすまの浦のもしほ木何と又おなしなきさの波にくつらん
こりすまの−うらのもしほき−なにとまた−おなしなきさの−なみにくつらむ |
02810 |
未入力 忠定 (xxx)
心こそたとへは色にかへすともさかはや朽木人のめたてむ
こころこそ−たとへはいろに−かへすとも−さかはやくちき−ひとのめたてむ |
02811 |
未入力 資季 (xxx)
よしさらはあらはれてたにくちはてね逢瀬をしらぬ浪の埋木
よしさらは−あらはれてたに−くちはてね−あふせをしらぬ−なみのうもれき |
02812 |
未入力 頼氏 (xxx)
たちはなの花はみなからむかしにてうらみし人はうつろひにけり
たちはなの−はなはみなから−むかしにて−うらみしひとは−うつろひにけり |
02813 |
未入力 有教 (xxx)
夕時雨ふる木の紅葉色ふかくおもひそむとも人はしらしな
ゆふしくれ−ふるきのもみち−いろふかく−おもひそむとも−ひとはしらしな |
02814 |
未入力 師継 (xxx)
うつり行く心は花のあた人をおもひくち木と身はなりにけり
うつりゆく−こころははなの−あたひとを−おもひくちきと−みはなりにけり |
02815 |
未入力 定嗣 (xxx)
我かせこかきましやすると池のへのをつきかしたにたちそやすらふ
わかせこか−きましやすると−いけのへの−をつきかしたに−たちそやすらふ |
02816 |
未入力 成実 (xxx)
ゆふかひもかけはなれたる榊葉よ神のゆるしをいつとまたまし
ゆふかひも−かけはなれたる−さかきはよ−かみのゆるしを−いつとまたまし |
02817 |
未入力 蓮性 (xxx)
あちきなくいはねはしらし苔かけにたつをたまきのくちははつとも
あちきなく−いはねはしらし−こけかけに−たつをたまきの−くちははつとも |
02818 |
未入力 顕氏 (xxx)
ときは木のつれなき色の程をみよ世にはかはらぬためしありとも
ときはきの−つれなきいろの−ほとをみよ−よにはかはらぬ−ためしありとも |
02819 |
未入力 寂能 (xxx)
しほのまにつりするあまのなかしなはくる夜は亀の浮木なりけり
しほのまに−つりするあまの−なかしなは−くるよはかめの−うききなりけり |
02820 |
未入力 為氏 (xxx)
思河みわたにかかるむもれ木のなかれも末の名こそをしけれ
おもひかは−みわたにかかる−うもれきの−なかれもすゑの−なこそをしけれ |
02821 |
未入力 真観 (xxx)
いかにせんをのへにたてるうつほ木のあな恋しともいふ方のなき
いかにせむ−をのへにたてる−うつほきの−あなこひしとも−いふかたのなき |
02822 |
未入力 寂西 (xxx)
とりかぬるあさきの宮木ふししけみさもわれにくく人のいふかな
とりかぬる−あさきのみやき−ふししけみ−さもわれにくく−ひとのいふかな |
02823 |
未入力 為継 (xxx)
山人のおへるつま木もかくはかりくるしき程の身をはしをらし
やまひとの−おへるつまきも−かくはかり−くるしきほとの−みをはしをらし |
02824 |
未入力 経朝 (xxx)
物おもふしるしはかりはとしふりて人もとひこぬみわの杉むら
ものおもふ−しるしはかりは−としふりて−ひともとひこぬ−みわのすきむら |
02825 |
未入力 行家 (xxx)
すまの浦のあまのもしほ木年ふりてからくや恋のもえ渡るらん
すまのうらの−あまのもしほき−としふりて−からくやこひの−もえわたるらむ |
02826 |
未入力 成茂 (xxx)
数ならぬかかる朽木の老の身にのこるこころの花をみせはや
かすならぬ−かかるくちきの−おいのみに−のこるこころの−はなをみせはや |
02827 |
未入力 隆祐 (xxx)
たのめとやぬれてくち行くなかれ木の逢瀬にかかるおもひ有りける
たのめとや−ぬれてくちゆく−なかれきの−あふせにかかる−おもひありける |
02828 |
未入力 禅信 (xxx)
おのつからありとはきけとははききのあはぬならひの身こそつらけれ
おのつから−ありとはきけと−ははききの−あはぬならひの−みこそつらけれ |
02829 |
未入力 高倉 (xxx)
身をすてんよしのの山もかはらすやつらき嘆のもとはしけけむ
みをすてむ−よしののやまも−かはらすや−つらきなけきの−もとはしけけむ |
02830 |
未入力 按察 (xxx)
我か袖のぬれてかひなきときは木のつれなやさらはちらさすもかな
わかそての−ぬれてかひなき−ときはきの−つれなやさらは−ちらさすもかな |
02831 |
未入力 帥 (xxx)
深山木のこりすも人をこふるかなつれなやさのみかからすもかな
みやまきの−こりすもひとを−こふるかな−つれなやさのみ−かからすもかな |
02832 |
未入力 小宰相 (xxx)
祈りこししるしもみえす神山のしひしはかくれしのひはてなて
いのりこし−しるしもみえす−かみやまの−しひしはかくれ−しのひはてなて |
02833 |
未入力 俊成女 (xxx)
人とはぬ月日のみこそすきの門まつよりもなほかひなかりけり
ひととはぬ−つきひのみこそ−すきのかと−まつよりもなほ−かひなかりけり |
02834 |
未入力 少将内侍 (xxx)
み山木のこりぬ心のなからへて我もつれなくひとに見えつつ
みやまきの−こりぬこころの−なからへて−われもつれなく−ひとにみえつつ |
02835 |
未入力 弁内侍 (xxx)
とはてのみ今は夕の庭の松まつらんとたにおもひおこせよ
とはてのみ−いまはゆふへの−にはのまつ−まつらむとたに−おもひおこせよ |
02836 |
未入力 但馬 (xxx)
逢ひみんとおもふ心にうきなから世にふる河のふたもとの杉
あひみむと−おもふこころに−うきなから−よにふるかはの−ふたもとのすき |
02837 |
未入力 下野 (xxx)
中中にありとはみえてはは木木のゆくへもしらぬみちにまよひぬ
なかなかに−ありとはみえて−ははききの−ゆくへもしらぬ−みちにまよひぬ |
02838 |
未入力 御製 (xxx)
恋ひわひて身はうき草とおもへともねはたえすこそ先なかれけれ
こひわひて−みはうきくさと−おもへとも−ねはたえすこそ−まつなかれけれ |
02839 |
未入力 道助 (xxx)
契たにかたののみののくさの葉にむすひそめけん露のみそうき
ちきりたに−かたののみのの−くさのはに−むすひそめけむ−つゆのみそうき |
02840 |
未入力 実氏 (xxx)
恨みすよさそことわりに忘らるる草はみなからおもひしられて
うらみすよ−さそことわりに−わすらるる−くさはみなから−おもひしられて |
02841 |
未入力 基家 (xxx)
忘行く中なる草の名もうきになにすみよしと人のいふらむ
わすれゆく−なかなるくさの−なもうきに−なにすみよしと−ひとのいふらむ |
02842 |
未入力 家良 (xxx)
あたにのみ色かはれとは桜あさのをふのした草露もかけきや
あたにのみ−いろかはれとは−さくらあさの−をふのしたくさ−つゆもかけきや |
02843 |
未入力 基良 (xxx)
いつか又逢ふにしかへんふるさとのしのふにまけておつる涙を
いつかまた−あふにしかへむ−ふるさとの−しのふにまけて−おつるなみたを |
02844 |
未入力 隆親 (xxx)
人しれす我か身にしける恋草はいく車にもつみやあまらん
ひとしれす−わかみにしける−こひくさは−いくくるまにも−つみやあまらむ |
02845 |
未入力 為家 (xxx)
みつしほの波のした草いやましにみらくそ人のとほさかり行く
みつしほの−なみのしたくさ−いやましに−みらくそひとの−とほさかりゆく |
02846 |
未入力 公相 (xxx)
ひとしれす忍の草におく露のみたれてのみやおもひきえなん
ひとしれす−しのふのくさに−おくつゆの−みたれてのみや−おもひきえなむ |
02847 |
未入力 実雄 (xxx)
たねまきし人の心はつらけれとわひてはしのふ恋わすれ草
たねまきし−ひとのこころは−つらけれと−わひてはしのふ−こひわすれくさ |
02848 |
未入力 信覚 (xxx)
人心あさはの野へのわすれ水たえてこすけのねをのみそなく
ひとこころ−あさはののへの−わすれみつ−たえてこすけの−ねをのみそなく |
02849 |
未入力 為経 (xxx)
しられしな君かあたりの草の葉に露の命をかけてこふとは
しられしな−きみかあたりの−くさのはに−つゆのいのちを−かけてこふとは |
02850 |
未入力 忠定 (xxx)
草葉にもうつろふ色やみえつらん人のこころの秋のはつしも
くさはにも−うつろふいろや−みえつらむ−ひとのこころの−あきのはつしも |
02851 |
未入力 資季 (xxx)
住吉の忘るる草のたねもかなつれなき人をよそにおもはん
すみよしの−わするるくさの−たねもかな−つれなきひとを−よそにおもはむ |
02852 |
未入力 頼氏 (xxx)
歎かしなを花にましる草葉たにおもひあれはそ露こほるらん
なけかしな−をはなにましる−くさはたに−おもひあれはそ−つゆこほるらむ |
02853 |
未入力 有教 (xxx)
月草の花もあたにやおもふらんぬれぬにうつる人の心を
つきくさの−はなもあたにや−おもふらむ−ぬれぬにうつる−ひとのこころを |
02854 |
未入力 師継 (xxx)
つれもなき人の心をたねとしてわするる草のしけりはてぬる
つれもなき−ひとのこころを−たねとして−わするるくさの−しけりはてぬる |
02855 |
未入力 定嗣 (xxx)
人しれすこふらくおもふいもかためすかのみとると山ち暮しつ
ひとしれす−こふらくおもふ−いもかため−すかのみとると−やまちくらしつ |
02856 |
未入力 成実 (xxx)
あたにみし心の中のおもひ草かりにもいかて露のおくらん
あたにみし−こころのうちの−おもひくさ−かりにもいかて−つゆのおくらむ |
02857 |
未入力 蓮性 (xxx)
さのみやはうきにとしへんうきくさのねもみぬ人を思絶えなて
さのみやは−うきにとしへむ−うきくさの−ねもみぬひとを−おもひたえなて |
02858 |
未入力 顕氏 (xxx)
忘るるもしのふもおなしふるさとの軒端の草の名こそつらけれ
わするるも−しのふもおなし−ふるさとの−のきはのくさの−なこそつらけれ |
02859 |
未入力 寂能 (xxx)
あさちふのをののしけみにかる草のつかのまにてもいかてあひみん
あさちふの−をののしけみに−かるくさの−つかのまにても−いかてあひみむ |
02860 |
未入力 為氏 (xxx)
かれねたた其名もよしや忍草思ふにまけは人もこそしれ
かれねたた−そのなもよしや−しのふくさ−おもふにまけは−ひともこそしれ |
02861 |
未入力 真観 (xxx)
山かつのかきほにしける桜あさのをたねの千えに恋ひつつそふる
やまかつの−かきほにしける−さくらあさの−をたねのちえに−こひつつそふる |
02862 |
未入力 寂西 (xxx)
うきぬなは草の下根の入りくみてはやみたれにきおもふこころは
うきぬなは−くさのしたねの−いりくみて−はやみたれにき−おもふこころは |
02863 |
未入力 為継 (xxx)
今は又我かためつらきわすれ草何をかたねと人のかるらむ
いまはまた−わかためつらき−わすれくさ−なにをかたねと−ひとのかるらむ |
02864 |
未入力 経朝 (xxx)
つらからむ人のためにはわすれなてを花か本の草の名そうき
つらからむ−ひとのためには−わすれなて−をはなかもとの−くさのなそうき |
02865 |
未入力 行家 (xxx)
みしまのにかるやみこものつかのまもみたれていもに恋ひぬ日そなき
みしまのに−かるやみこもの−つかのまも−みたれていもに−こひぬひそなき |
02866 |
未入力 成茂 (xxx)
しらせはやを花かもとの草の葉におきぬる露の消えぬへき身を
しらせはや−をはなかもとの−くさのはに−おきぬるつゆの−きえぬへきみを |
02867 |
未入力 隆祐 (xxx)
ふみ分くるしののは草のしののめにかりの契のわかれをそしる
ふみわくる−しののはくさの−しののめに−かりのちきりの−わかれをそしる |
02868 |
未入力 禅信 (xxx)
ことのはをさのみはいかに月草のうつし心やよわりはてなん
ことのはを−さのみはいかに−つきくさの−うつしこころや−よわりはてなむ |
02869 |
未入力 高倉 (xxx)
月草のうつろひやすき心さへ我か涙にはつれなかりけり
つきくさの−うつろひやすき−こころさへ−わかなみたには−つれなかりけり |
02870 |
未入力 按察 (xxx)
おほかたの露もうらめし月草のうつろへとやはちきりおきけん
おほかたの−つゆもうらめし−つきくさの−うつろへとやは−ちきりおきけむ |
02871 |
未入力 帥 (xxx)
しけり行く夏野の草にあらねともふかくも恋の成りまさるかな
しけりゆく−なつののくさに−あらねとも−ふかくもこひの−なりまさるかな |
02872 |
未入力 小宰相 (xxx)
かひなしや我のみふかきおもひにはむくらのやとに袖をしきても
かひなしや−われのみふかき−おもひには−むくらのやとに−そてをしきても |
02873 |
未入力 俊成女 (xxx)
きえわひし露のした荻しをれ葉にいくよなよなの霜むすふらん
きえわひし−つゆのしたをき−しをれはに−いくよなよなの−しもむすふらむ |
02874 |
未入力 少将内侍 (xxx)
霜むすふ草にもあらぬ我か中にかれてのみなと人のみゆらん
しもむすふ−くさにもあらぬ−わかなかに−かれてのみなと−ひとのみゆらむ |
02875 |
未入力 弁内侍 (xxx)
としをへておもひふるやの軒におふる忍の草の名をかけよとや
としをへて−おもひふるやの−のきにおふる−しのふのくさの−なをかけよとや |
02876 |
未入力 但馬 (xxx)
露をたにあはれとはみよ君かすむあたりの草に思ひきえなは
つゆをたに−あはれとはみよ−きみかすむ−あたりのくさに−おもひきえなは |
02877 |
未入力 下野 (xxx)
恨みても恋ひても人をしのふ草とてもかくても露そこほるる
うらみても−こひてもひとを−しのふくさ−とてもかくても−つゆそこほるる |
02878 |
未入力 御製 (xxx)
我か恋に誰かまさるとくらへみんよるはすからにもゆる夏虫
わかこひに−たれかまさると−くらへみむ−よるはすからに−もゆるなつむし |
02879 |
未入力 道助 (xxx)
うつせみのむなしき年のいくめくり音をのみ鳴きて過しきぬらん
うつせみの−むなしきとしの−いくめくり−ねをのみなきて−すくしきぬらむ |
02880 |
未入力 実氏 (xxx)
かれて行く草のゆかりのきりきりすおもひよわらぬ音ををしへてや
かれてゆく−くさのゆかりの−きりきりす−おもひよわらぬ−ねををしへてや |
02881 |
未入力 基家 (xxx)
まことにはもにすむ虫の声はせすなくうつせみのわれからそうき
まことには−もにすむむしの−こゑはせす−なくうつせみの−われからそうき |
02882 |
未入力 家良 (xxx)
たえはてはいかにせんとかうつせみのむなしき暮はねをのみそなく
たえはては−いかにせむとか−うつせみの−むなしきくれは−ねをのみそなく |
02883 |
未入力 基良 (xxx)
なくなくもなほやたのまんうつせみの身をかへてたに逢ふよ有りやと
なくなくも−なほやたのまむ−うつせみの−みをかへてたに−あふよありやと |
02884 |
未入力 隆親 (xxx)
思ひあまりとははや夜はのきりきりす誰か枕にも露やかかると
おもひあまり−とははやよはの−きりきりす−たかまくらにも−つゆやかかると |
02885 |
未入力 為家 (xxx)
たえねはとおもふもかなしささかにのいとはれなからかかるちきりは
たえねはと−おもふもかなし−ささかにの−いとはれなから−かかるちきりは |
02886 |
未入力 公相 (xxx)
はかなくもむすふ契にささかにのいととたのみをかけてすくさん
はかなくも−むすふちきりに−ささかにの−いととたのみを−かけてすくさむ |
02887 |
未入力 実雄 (xxx)
身をかへてなにしかおもふうつせみのよはたのまれぬ人の心を
みをかへて−なにしかおもふ−うつせみの−よはたのまれぬ−ひとのこころを |
02888 |
未入力 信覚 (xxx)
めくりあはんかたこそしらねかけろふのおのか契を猶たのめとも
めくりあはむ−かたこそしらね−かけろふの−おのかちきりを−なほたのめとも |
02889 |
未入力 為経 (xxx)
あくかるる我かたましひのきえやらてたえぬおもひにとふほたるかな
あくかるる−わかたましひの−きえやらて−たえぬおもひに−とふほたるかな |
02890 |
未入力 忠定 (xxx)
うきを猶忍ふにかかるささかにのいとはかなきは我かおもひかな
うきをなほ−しのふにかかる−ささかにの−いとはかなきは−わかおもひかな |
02891 |
未入力 資季 (xxx)
つつみあまる色にもえつつ空にのみあくかれわたる夜はの夏虫
つつみあまる−いろにもえつつ−そらにのみ−あくかれわたる−よはのなつむし |
02892 |
未入力 頼氏 (xxx)
物おもへははたおる虫の声にさへ秋の心のぬるるかほなる
ものおもへは−はたおるむしの−こゑにさへ−あきのこころの−ぬるるかほなる |
02893 |
未入力 有教 (xxx)
身をかへて後も忘るなうつせみのはにおく露を袖にかけても
みをかへて−のちもわするな−うつせみの−はにおくつゆを−そてにかけても |
02894 |
未入力 師継 (xxx)
恨みわひ我からぬるるたもとかなもにすむ虫にあらぬ身なれと
うらみわひ−われからぬるる−たもとかな−もにすむむしに−あらぬみなれと |
02895 |
未入力 定嗣 (xxx)
みし人のくへきよひともたのまれすいたくななきそ松虫の声
みしひとの−くへきよひとも−たのまれす−いたくななきそ−まつむしのこゑ |
02896 |
未入力 成実 (xxx)
すすむしのふりにし身とはしりなから逢ひみし人を忘れすそなく
すすむしの−ふりにしみとは−しりなから−あひみしひとを−わすれすそなく |
02897 |
未入力 蓮性 (xxx)
我かせこかこぬたにつらき風の音にさこそはなかめ秋のみのむし
わかせこか−こぬたにつらき−かせのおとに−さこそはなかめ−あきのみのむし |
02898 |
未入力 顕氏 (xxx)
なほさりの其偽をたのみ来てうきねつきせぬ庭のまつ虫
なほさりの−そのいつはりを−たのみきて−うきねつきせぬ−にはのまつむし |
02899 |
未入力 寂能 (xxx)
久堅のあまのかるもにすむ虫の我から物は思ひそめてき
ひさかたの−あまのかるもに−すむむしの−われからものは−おもひそめてき |
02900 |
未入力 為氏 (xxx)
恨みわひあまのかるもにすむ虫のそよ我からに音そなかれける
うらみわひ−あまのかるもに−すむむしの−そよわれからに−ねそなかれける |
02901 |
未入力 真観 (xxx)
とふ蛍ひるのありかをいつくともしらせぬ恋にもえやわたらん
とふほたる−ひるのありかを−いつくとも−しらせぬこひに−もえやわたらむ |
02902 |
未入力 寂西 (xxx)
偽をなにかふるまふささかにのいかに待つともくへきよひかは
いつはりを−なにかふるまふ−ささかにの−いかにまつとも−くへきよひかは |
02903 |
未入力 為継 (xxx)
君にそふ心も今やかけろふの夕そわきておもひみたるる
きみにそふ−こころもいまや−かけろふの−ゆふへそわきて−おもひみたるる |
02904 |
未入力 経朝 (xxx)
秋そうき人の心はあさちはら思ひによわる松むしのこゑ
あきそうき−ひとのこころは−あさちはら−おもひによわる−まつむしのこゑ |
02905 |
未入力 行家 (xxx)
ねになきて我恋ひしなはうつせみのむなしきからを哀ともみよ
ねになきて−われこひしなは−うつせみの−むなしきからを−あはれともみよ |
02906 |
未入力 成茂 (xxx)
ひるはきえ暮るれはもゆる夏虫のいはぬ思ひをそれとしらなん
ひるはきえ−くるれはもゆる−なつむしの−いはぬおもひを−それとしらなむ |
02907 |
未入力 隆祐 (xxx)
たのめこし時そとおもへは日くらしのなくねにつけて袖はぬれけり
たのめこし−ときそとおもへは−ひくらしの−なくねにつけて−そてはぬれけり |
02908 |
未入力 禅信 (xxx)
なきあかす心の中そしられけるあはれいく夜のまつ虫の声
なきあかす−こころのうちそ−しられける−あはれいくよの−まつむしのこゑ |
02909 |
未入力 高倉 (xxx)
忘れしのことのはかへす秋風に今はとよわるまつむしの声
わすれしの−ことのはかへす−あきかせに−いまはとよわる−まつむしのこゑ |
02910 |
未入力 按察 (xxx)
よしいまはみきとなかけそせみのはのうすき契はなきになしても
よしいまは−みきとなかけそ−せみのはの−うすきちきりは−なきになしても |
02911 |
未入力 帥 (xxx)
よしさらはくもてに物のかなしきにたたかきたえね軒のささかに
よしさらは−くもてにものの−かなしきに−たたかきたえね−のきのささかに |
02912 |
未入力 小宰相 (xxx)
なそもかく我か身にそはぬかけろふのもゆる思ひをむねにしるらん
なそもかく−わかみにそはぬ−かけろふの−もゆるおもひを−むねにしるらむ |
02913 |
未入力 俊成女 (xxx)
忘れしと契りしやとに秋やこしなほまつむしは声よわるまて
わすれしと−ちきりしやとに−あきやこし−なほまつむしは−こゑよわるまて |
02914 |
未入力 少将内侍 (xxx)
鳴暮し思ひくらしてうつせみの涙おりはへたえぬこひかな
なきくらし−おもひくらして−うつせみの−なみたおりはへ−たえぬこひかな |
02915 |
未入力 弁内侍 (xxx)
身にあまる思ひやなそと夏虫のひとつにたくふ恋そかなしき
みにあまる−おもひやなそと−なつむしの−ひとつにたくふ−こひそかなしき |
02916 |
未入力 但馬 (xxx)
人心かはる契のあきかせにおのれうらみて松むしそなく
ひとこころ−かはるちきりの−あきかせに−おのれうらみて−まつむしそなく |
02917 |
未入力 下野 (xxx)
忍ひあまるおもひは空にあらはれてつつむかたなくとふ蛍かな
しのひあまる−おもひはそらに−あらはれて−つつむかたなく−とふほたるかな |
02918 |
未入力 御製 (xxx)
とし月そ早く過行くとふ鳥のあすかけふかと君を待つまに
としつきそ−はやくすきゆく−とふとりの−あすかけふかと−きみをまつまに |
02919 |
未入力 道助 (xxx)
逢ふ事はいなおほせとりのなきしより秋風つらき夕暮の空
あふことは−いなおほせとりの−なきしより−あきかせつらき−ゆふくれのそら |
02920 |
未入力 実氏 (xxx)
またき立つ名ををし鳥のかりにきてかくれもはてぬみつからそうき
またきたつ−なををしとりの−かりにきて−かくれもはてぬ−みつからそうき |
02921 |
未入力 基家 (xxx)
これまてもつかはぬをしのなくさめに影やならひの池となるらむ
これまても−つかはぬをしの−なくさめに−かけやならひの−いけとなるらむ |
02922 |
未入力 家良 (xxx)
いかにせんとやてのたかのあふ事もまれなるこひにかかりそめなは
いかにせむ−とやてのたかの−あふことも−まれなるこひに−かかりそめなは |
02923 |
未入力 基良 (xxx)
我か思ふ人こそしらねみやことり恋しきたひのしるへたにせよ
わかおもふ−ひとこそしらね−みやことり−こひしきたひの−しるへたにせよ |
02924 |
未入力 隆親 (xxx)
思ひそめし色はかはらし水鳥のあをはの山はなほしくるとも
おもひそめし−いろはかはらし−みつとりの−あをはのやまは−なほしくるとも |
02925 |
未入力 為家 (xxx)
みさひえの鳰のした道かきたえねかよふをそこと人しらぬまに
みさひえの−にほのしたみち−かきたえね−かよふをそこと−ひとしらぬまに |
02926 |
未入力 公相 (xxx)
村鳥のたちゐにつけて歎くかなうきて空なる人のちきりに
むらとりの−たちゐにつけて−なけくかな−うきてそらなる−ひとのちきりに |
02927 |
未入力 実雄 (xxx)
あしかものおりゐる池の水波の立つ事やすき我か名なりけり
あしかもの−おりゐるいけの−みつなみの−たつことやすき−わかななりけり |
02928 |
未入力 信覚 (xxx)
あしかきのほのかに人を水とりのうきねになとかおもひそめけん
あしかきの−ほのかにひとを−みつとりの−うきねになとか−おもひそめけむ |
02929 |
未入力 為経 (xxx)
いかさまにいはせのもりのよふこ鳥つれなき人のこたへたにせよ
いかさまに−いはせのもりの−よふことり−つれなきひとの−こたへたにせよ |
02930 |
未入力 忠定 (xxx)
無き名のみたつ事しけきあしかものさわく入江のみつからそうき
なきなのみ−たつことしけき−あしかもの−さわくいりえの−みつからそうき |
02931 |
未入力 資季 (xxx)
岩間行く河瀬の波にゐる鳥のうきたる恋に身をしをりつつ
いはまゆく−かはせのなみに−ゐるとりの−うきたるこひに−みをしをりつつ |
02932 |
未入力 頼氏 (xxx)
角田河すみこし月のみやことり鳥の名にさへ人そ恋しき
すみたかは−すみこしつきの−みやことり−とりのなにさへ−ひとそこひしき |
02933 |
未入力 有教 (xxx)
とふ人の行へもしらぬ宮こ鳥名をむつましみ猶そかたらふ
とふひとの−ゆくへもしらぬ−みやことり−なをむつましみ−なほそかたらふ |
02934 |
未入力 師継 (xxx)
水をあさみかくるとすれとむらとりの立ちにし我か名しるしあらめや
みつをあさみ−かくるとすれと−むらとりの−たちにしわかな−しるしあらめや |
02935 |
未入力 定嗣 (xxx)
我か恋は音にのみそなく山きはに渡る秋さの行へしらすも
わかこひは−ねにのみそなく−やまきはに−わたるあきさの−ゆくへしらすも |
02936 |
未入力 成実 (xxx)
かりにとも契らぬものを何として身をはうつらの鳴きあかすらん
かりにとも−ちきらぬものを−なにとして−みをはうつらの−なきあかすらむ |
02937 |
未入力 蓮性 (xxx)
袖にみつ夜はの涙をたつねこて水こひとりのひとりわふらん
そてにみつ−よはのなみたを−たつねこて−みつこひとりの−ひとりわふらむ |
02938 |
未入力 顕氏 (xxx)
尋ねてもかひなかりけるしるへかな霞にたとるもすの草くき
たつねても−かひなかりける−しるへかな−かすみにたとる−もすのくさくき |
02939 |
未入力 寂能 (xxx)
つれて行くね山もしらぬしら鳥のさきよりもうき身の契かな
つれてゆく−ねやまもしらぬ−しらとりの−さきよりもうき−みのちきりかな |
02940 |
未入力 為氏 (xxx)
池水のいひや出てまし鳰鳥の我のみしたにかよふこころを
いけみつの−いひやいてまし−にほとりの−われのみしたに−かよふこころを |
02941 |
未入力 真観 (xxx)
かりにても心やすむるかたそなき雉かくれたる恋のしけさに
かりにても−こころやすむる−かたそなき−きしかくれたる−こひのしけさに |
02942 |
未入力 寂西 (xxx)
あふ事をいなおほせとりにおほせてそ人のつらさの音をも鳴きける
あふことを−いなおほせとりに−おほせてそ−ひとのつらさの−ねをもなきける |
02943 |
未入力 為継 (xxx)
鳰鳥のかよへるみちもあるものをしたにもなとか人のたのめぬ
にほとりの−かよへるみちも−あるものを−したにもなとか−ひとのたのめぬ |
02944 |
未入力 経朝 (xxx)
逢ふことはかた野にそるるはしたかの恋はむなしき名をや立つへき
あふことは−かたのにそるる−はしたかの−こひはむなしき−なをやたつへき |
02945 |
未入力 行家 (xxx)
つらしなほ逢ふ夜もしらぬうかれ鳥あけもはてぬに別つくなり
つらしなほ−あふよもしらぬ−うかれとり−あけもはてぬに−わかれつくなり |
02946 |
未入力 成茂 (xxx)
かひもあらし人の心のはま千とりなれこしかたを恋ひてなくとも
かひもあらし−ひとのこころの−はまちとり−なれこしかたを−こひてなくとも |
02947 |
未入力 隆祐 (xxx)
もののふのやたののききすおのれもやあらきけしきの妻恋になく
もののふの−やたののききす−おのれもや−あらきけしきの−つまこひになく |
02948 |
未入力 禅信 (xxx)
と屋こめておもふもくるしはしたかの恋しとたにもいひや出てまし
とやこめて−おもふもくるし−はしたかの−こひしとたにも−いひやいてまし |
02949 |
未入力 高倉 (xxx)
我か恋は遠山鳥のねをたえてなくさむ程のおも影もなし
わかこひは−とほやまとりの−ねをたえて−なくさむほとの−おもかけもなし |
02950 |
未入力 按察 (xxx)
あはれなと跡たにみえぬ村鳥の空にうき名の立ちまよふらむ
あはれなと−あとたにみえぬ−むらとりの−そらにうきなの−たちまよふらむ |
02951 |
未入力 帥 (xxx)
かかるうきおのかきぬきぬ誰つけてよそなる鳥も音には立つらん
かかるうき−おのかきぬきぬ−たれつけて−よそなるとりも−ねにはたつらむ |
02952 |
未入力 小宰相 (xxx)
わか門のいく井はあれとかほよとり聞きしににたる声たにもなし
わかかとの−いくひはあれと−かほよとり−ききしににたる−こゑたにもなし |
02953 |
未入力 俊成女 (xxx)
待ちかねて君かこぬ夜の数よりも涙おちそふしきのはねかき
まちかねて−きみかこぬよの−かすよりも−なみたおちそふ−しきのはねかき |
02954 |
未入力 少将内侍 (xxx)
いかにせんおなしえならぬ契のみうき名ををしの音こそ鳴かるれ
いかにせむ−おなしえならぬ−ちきりのみ−うきなををしの−ねこそなかるれ |
02955 |
未入力 弁内侍 (xxx)
うき人のこぬ夜の数もよそなからしるや朝の鴫のはねかき
うきひとの−こぬよのかすも−よそなから−しるやあしたの−しきのはねかき |
02956 |
未入力 但馬 (xxx)
逢ふ事はかたののききすねにたてて草葉露けく鳴かぬ日そなき
あふことは−かたののききす−ねにたてて−くさはつゆけく−なかぬひそなき |
02957 |
未入力 下野 (xxx)
あふことは遠山鳥のをのつからなからへはともなにたのみけむ
あふことは−とほやまとりの−をのつから−なからへはとも−なにたのみけむ |
02958 |
未入力 御製 (xxx)
あらくまもなれはなれなんしはせ山しはしもあらすつらき君かな
あらくまも−なれはなれなむ−しはせやま−しはしもあらす−つらききみかな |
02959 |
未入力 道助 (xxx)
おのつから君たにすまはあらくまのすむ山かけも尋ねみてまし
おのつから−きみたにすまは−あらくまの−すむやまかけも−たつねみてまし |
02960 |
未入力 実氏 (xxx)
歎かすはねなましものをよひよひにやすくふすゐの床ならすとも
なけかすは−ねなましものを−よひよひに−やすくふすゐの−とこならすとも |
02961 |
未入力 基家 (xxx)
恋すてふ秋なく鹿のおもひ草とへかし人の露もなみたも
こひすてふ−あきなくしかの−おもひくさ−とへかしひとの−つゆもなみたも |
02962 |
未入力 家良 (xxx)
草にふす夏野の鹿のかくろへてこふともいかて人にしらせん
くさにふす−なつののしかの−かくろへて−こふともいかて−ひとにしらせむ |
02963 |
未入力 基良 (xxx)
いかかせんひとりふすゐの床あれていをやすくぬるよひよひもなし
いかかせむ−ひとりふすゐの−とこあれて−いをやすくぬる−よひよひもなし |
02964 |
未入力 隆親 (xxx)
君かためとらふす野へも尋ねてん心を道のしるへとはして
きみかため−とらふすのへも−たつねてむ−こころをみちの−しるへとはして |
02965 |
未入力 為家 (xxx)
駒とめてかちよりわたるこはた河思ひあまるとうき名なかすな
こまとめて−かちよりわたる−こはたかは−おもひあまると−うきななかすな |
02966 |
未入力 公相 (xxx)
夕暮は野かひの牛に吹く笛の音にのみたてて待つとしらすや
ゆふくれは−のかひのうしに−ふくふえの−ねにのみたてて−まつとしらすや |
02967 |
未入力 実雄 (xxx)
かけてたにかよふといふな人しれす駒うちわたす前のたなはし
かけてたに−かよふといふな−ひとしれす−こまうちわたす−まへのたなはし |
02968 |
未入力 信覚 (xxx)
草枕いかにむすひしちきりとてふすゐの床の夢そみしかき
くさまくら−いかにむすひし−ちきりとて−ふすゐのとこの−ゆめそみしかき |
02969 |
未入力 為経 (xxx)
あれて行く野かひの駒もひくつなのしたふかたへはよるとこそきけ
あれてゆく−のかひのこまも−ひくつなの−したふかたへは−よるとこそきけ |
02970 |
未入力 忠定 (xxx)
ととめえぬ心のむまのつなひきにたつなははやき恋の道かな
ととめえぬ−こころのうまの−つなひきに−たつなははやき−こひのみちかな |
02971 |
未入力 資季 (xxx)
草しけきみつのみまきにかふ駒のあれ行く人を何したふらん
くさしけき−みつのみまきに−かふこまの−あれゆくひとを−なにしたふらむ |
02972 |
未入力 頼氏 (xxx)
君すまはおくれんものかあらくまのしはせの山はいくかこふとも
きみすまは−おくれむものか−あらくまの−しはせのやまは−いくかこふとも |
02973 |
未入力 有教 (xxx)
いかにせん野かふをふちの駒よりもあれのみまさる人の心を
いかにせむ−のかふをふちの−こまよりも−あれのみまさる−ひとのこころを |
02974 |
未入力 師継 (xxx)
逢ふことはかたかひこまのはなれつつあれのみ行くか人のこころの
あふことは−かたかひこまの−はなれつつ−あれのみゆくか−ひとのこころの |
02975 |
未入力 定嗣 (xxx)
いももまち我又おもふこころをもしるとしならはあゆめくろこま
いももまち−われまたおもふ−こころをも−しるとしならは−あゆめくろこま |
02976 |
未入力 成実 (xxx)
身をすてていく夜ねなましから国のとらふす野へにまてと契らは
みをすてて−いくよねなまし−からくにの−とらふすのへに−まてとちきらは |
02977 |
未入力 蓮性 (xxx)
人そうきくはたのあゆき山にてもなれにしやとを忘れやはせし
ひとそうき−くはたのあゆき−やまにても−なれにしやとを−わすれやはせし |
02978 |
未入力 顕氏 (xxx)
丑三にふけ行く程もあらはれて待つにねぬよのさもそくるしき
うしみつに−ふけゆくほとも−あらはれて−まつにねぬよの−さもそくるしき |
02979 |
未入力 寂能 (xxx)
ひとりのみふすゐのかるもかきたえてねぬ夜は夢も待たれさりけり
ひとりのみ−ふすゐのかるも−かきたえて−ねぬよはゆめも−またれさりけり |
02980 |
未入力 為氏 (xxx)
あふみちにかよひなれたる駒もかなつれなき中の恋のしるへに
あふみちに−かよひなれたる−こまもかな−つれなきなかの−こひのしるへに |
02981 |
未入力 真観 (xxx)
つひにさて雲にほえけんけた物のなさけ程たにかけぬ君かな
つひにさて−くもにほえけむ−けたものの−なさけほとたに−かけぬきみかな |
02982 |
未入力 寂西 (xxx)
かくはかり心のはやる恋のみちなつめるこまもえこそやすめね
かくはかり−こころのはやる−こひのみち−なつめるこまも−えこそやすめね |
02983 |
未入力 為継 (xxx)
妻こふるならひときけはさをしかの音になく秋もためしなりけり
つまこふる−ならひときけは−さをしかの−ねになくあきも−ためしなりけり |
02984 |
未入力 経朝 (xxx)
こまとめしひのくま河はそれなから袖のみぬれて影たにもみす
こまとめし−ひのくまかはは−それなから−そてのみぬれて−かけたにもみす |
02985 |
未入力 行家 (xxx)
我かせこか待つらむ夜はのふけぬまにはやむる駒の道ななつみそ
わかせこか−まつらむよはの−ふけぬまに−はやむるこまの−みちななつみそ |
02986 |
未入力 成茂 (xxx)
一夜たにふすゐの床をえてしかなねられは夢に逢ふとみゆやと
ひとよたに−ふすゐのとこを−えてしかな−ねられはゆめに−あふとみゆやと |
02987 |
未入力 隆祐 (xxx)
宮こにはとらふす野へのあらはこそすつる命を君にしらせめ
みやこには−とらふすのへの−あらはこそ−すつるいのちを−きみにしらせめ |
02988 |
未入力 禅信 (xxx)
あふ事は命の中とちきれともひつしのあゆみいかかたのまむ
あふことは−いのちのうちと−ちきれとも−ひつしのあゆみ−いかかたのまむ |
02989 |
未入力 高倉 (xxx)
恨みわひ身をかくすへきかたそなきとらふす野へもおなしうき世を
うらみわひ−みをかくすへき−かたそなき−とらふすのへも−おなしうきよを |
02990 |
未入力 按察 (xxx)
久堅の月毛の駒よいくめくりよそなる影を恋ひやわたらん
ひさかたの−つきけのこまよ−いくめくり−よそなるかけを−こひやわたらむ |
02991 |
未入力 帥 (xxx)
いかにせん道行くこまのはやくのみ我かおもふ人は遠さかるなり
いかにせむ−みちゆくこまの−はやくのみ−わかおもふひとは−とほさかるなり |
02992 |
未入力 小宰相 (xxx)
つらからて待つ人あらはもろこしのとらふす野へもわけさらめやは
つらからて−まつひとあらは−もろこしの−とらふすのへも−わけさらめやは |
02993 |
未入力 俊成女 (xxx)
うしやなと鹿のなくねと契りけんみはてぬ夢の残るねさめを
うしやなと−しかのなくねと−ちきりけむ−みはてぬゆめの−のこるねさめを |
02994 |
未入力 少将内侍 (xxx)
いをやすきふすゐの床をあはれ我かかる物にもか夢にみゆやと
いをやすき−ふすゐのとこを−あはれわれ−かかるものにもか−ゆめにみゆやと |
02995 |
未入力 弁内侍 (xxx)
いたつらに一村すすきしけりつつ君か手なれのこまそまたるる
いたつらに−ひとむらすすき−しけりつつ−きみかたなれの−こまそまたるる |
02996 |
未入力 但馬 (xxx)
今はけにとらふす野辺に身をすててさのみはつらき心をもうし
いまはけに−とらふすのへに−みをすてて−さのみはつらき−こころをもうし |
02997 |
未入力 下野 (xxx)
ちきりをはしはしとおもふよひのまを人しるまてに犬そとかむる
ちきりをは−しはしとおもふ−よひのまを−ひとしるまてに−いぬそとかむる |
02998 |
未入力 御製 (xxx)
ひこほしのかさしの玉のたまたまも逢ふ夜さためてあふよしもかな
ひこほしの−かさしのたまの−たまたまも−あふよさためて−あふよしもかな |
02999 |
未入力 道助 (xxx)
みかきおく玉の光もくもりなく心の中をいかてしらせむ
みかきおく−たまのひかりも−くもりなく−こころのうちを−いかてしらせむ |
03000 |
未入力 実氏 (xxx)
人とははかかりとつけよ白露の袖に玉まくくすのした風
ひととはは−かかりとつけよ−しらつゆの−そてにたままく−くすのしたかせ |
03001 |
未入力 基家 (xxx)
瀬たえする身の中河の忘水うきてあわをの玉やみたれん
せたえする−みのなかかはの−わすれみつ−うきてあわをの−たまやみたれむ |
03002 |
未入力 家良 (xxx)
磯かくれたたよふ玉のたまたまもあはすて人に恋ひやわたらん
いそかくれ−たたよふたまの−たまたまも−あはすてひとに−こひやわたらむ |
03003 |
未入力 基良 (xxx)
まほろしもかよはぬ夢はいかかせん玉のかさしのちきりありとも
まほろしも−かよはぬゆめは−いかかせむ−たまのかさしの−ちきりありとも |
03004 |
未入力 隆親 (xxx)
逢ふ事の又偽のちきりとやなみたのたまのひまなかるらん
あふことの−またいつはりの−ちきりとや−なみたのたまの−ひまなかるらむ |
03005 |
未入力 為家 (xxx)
又あはぬ名こそxxxxかたいとにぬきたる玉はをたえしにけり
またあはぬ−なこそxxxx−かたいとに−ぬきたるたまは−をたえしにけり |
03006 |
未入力 公相 (xxx)
白玉か何そとたとる人もあらは涙の露をいかかこたへむ
しらたまか−なにそとたとる−ひともあらは−なみたのつゆを−いかかこたへむ |
03007 |
未入力 実雄 (xxx)
伊勢の海きよきなきさにひろふとも涙の玉に数はまさらし
いせのうみ−きよきなきさに−ひろふとも−なみたのたまに−かすはまさらし |
03008 |
未入力 信覚 (xxx)
いかにせん袖の恨による玉のいととなみたにぬれつつそふる
いかにせむ−そてのうらみに−よるたまの−いととなみたに−ぬれつつそふる |
03009 |
未入力 為経 (xxx)
浪たかきいその浦わにかつくてふみえこぬ玉のいもに恋ひつつ
なみたかき−いそのうらわに−かつくてふ−みえこぬたまの−いもにこひつつ |
03010 |
未入力 忠定 (xxx)
なかきねや今はかたみのあやめ草五月の玉のかけしとおもふに
なかきねや−いまはかたみの−あやめくさ−さつきのたまの−かけしとおもふに |
03011 |
未入力 資季 (xxx)
ひろふへき玉か何そと人とははいかかなみたの露をこたへむ
ひろふへき−たまかなにそと−ひととはは−いかかなみたの−つゆをこたへむ |
03012 |
未入力 頼氏 (xxx)
今は又かよふためしもよそにきく玉のをことのさとのまつかせ
いまはまた−かよふためしも−よそにきく−たまのをことの−さとのまつかせ |
03013 |
未入力 有教 (xxx)
一すちにおもひなたえそ玉のをのなかきちきりに結ひそめても
ひとすちに−おもひなたえそ−たまのをの−なかきちきりに−むすひそめても |
03014 |
未入力 師継 (xxx)
かさしけんぬしは白玉しらねとも手にとるからにあはれとそ思ふ
かさしけむ−ぬしはしらたま−しらねとも−てにとるからに−あはれとそおもふ |
03015 |
未入力 定嗣 (xxx)
かつきするあまの手にまきもたる玉見まくををしみいもに恋ひつつ
かつきする−あまのてにまき−もたるたま−みまくををしみ−いもにこひつつ |
03016 |
未入力 成実 (xxx)
恋ひわひて身よりあまれる思ひかなひろはぬ玉の袖にみたるる
こひわひて−みよりあまれる−おもひかな−ひろはぬたまの−そてにみたるる |
03017 |
未入力 蓮性 (xxx)
涙せく床の白玉まろひあひてねぬ夜はしるく袖のぬるらん
なみたせく−とこのしらたま−まろひあひて−ねぬよはしるく−そてのぬるらむ |
03018 |
未入力 顕氏 (xxx)
玉のをのなかくもかなとおもへともたえすもとはん末そしられぬ
たまのをの−なかくもかなと−おもへとも−たえすもとはむ−すゑそしられぬ |
03019 |
未入力 寂能 (xxx)
わたつうみのしほみつたまの塩あひを待ちおほれつつくつる袖かな
わたつうみの−しほみつたまの−しほあひを−まちおほれつつ−くつるそてかな |
03020 |
未入力 為氏 (xxx)
はや河のいはせの玉のかすかすにおもひくたけてこふとしらすや
はやかはの−いはせのたまの−かすかすに−おもひくたけて−こふとしらすや |
03021 |
未入力 真観 (xxx)
逢ふ事はいはほの中のたまたまもかたしやいかにわれくたくとも
あふことは−いはほのうちの−たまたまも−かたしやいかに−われくたくとも |
03022 |
未入力 寂西 (xxx)
人心またあらいその波の玉をにもぬかねはとりやはつさん
ひとこころ−またあらいその−なみのたま−をにもぬかねは−とりやはつさむ |
03023 |
未入力 為継 (xxx)
つつめとも袖にみたるるよなよなの涙の玉のををはたのまし
つつめとも−そてにみたるる−よなよなの−なみたのたまの−ををはたのまし |
03024 |
未入力 経朝 (xxx)
伊勢島や塩ひにひろふ玉ゆらも涙かわかぬ袖のうへかな
いせしまや−しほひにひろふ−たまゆらも−なみたかわかぬ−そてのうへかな |
03025 |
未入力 行家 (xxx)
今は我涙の玉もぬきとめす恋のみたれのをたえせしより
いまはわれ−なみたのたまも−ぬきとめす−こひのみたれの−をたえせしより |
03026 |
未入力 成茂 (xxx)
をとめこかかさしの玉をなにとして手にとるへしと思ひかけけん
をとめこか−かさしのたまを−なにとして−てにとるへしと−おもひかけけむ |
03027 |
未入力 隆祐 (xxx)
いつはりのことのはにおく物とてや涙の露も玉と見ゆらん
いつはりの−ことのはにおく−ものとてや−なみたのつゆも−たまとみゆらむ |
03028 |
未入力 禅信 (xxx)
塩たるる袖しの浦にすみそめてなみたの玉をひろひそへつつ
しほたるる−そてしのうらに−すみそめて−なみたのたまを−ひろひそへつつ |
03029 |
未入力 高倉 (xxx)
きえねたた何そはあたのことのはにかけてもつらき袖の白玉
きえねたた−なにそはあたの−ことのはに−かけてもつらき−そてのしらたま |
03030 |
未入力 按察 (xxx)
いかにせん思ひにきえぬ玉のをのへにけるほとそいともつれなき
いかにせむ−おもひにきえぬ−たまのをの−へにけるほとそ−いともつれなき |
03031 |
未入力 帥 (xxx)
玉のをのたえてつれなきうき人を命にかけてちきりけるかな
たまのをの−たえてつれなき−うきひとを−いのちにかけて−ちきりけるかな |
03032 |
未入力 小宰相 (xxx)
我か恋はあまもかつきぬ波まより手にもかからすうきしつむ玉
わかこひは−あまもかつきぬ−なみまより−てにもかからす−うきしつむたま |
03033 |
未入力 俊成女 (xxx)
露をみて玉かととひしみちよりもあはてくる夜の袖そかなしき
つゆをみて−たまかととひし−みちよりも−あはてくるよの−そてそかなしき |
03034 |
未入力 少将内侍 (xxx)
おろかにはおもはぬものを我か袖にかかるなみたの玉とみゆらん
おろかには−おもはぬものを−わかそてに−かかるなみたの−たまとみゆらむ |
03035 |
未入力 弁内侍 (xxx)
思ひかねおつる涙のたまたまもほさてや袖のはてはくちなむ
おもひかね−おつるなみたの−たまたまも−ほさてやそての−はてはくちなむ |
03036 |
未入力 但馬 (xxx)
ぬきみたるなみたの玉のおのつから逢ふ夜も袖のかわきやはする
ぬきみたる−なみたのたまの−おのつから−あふよもそての−かわきやはする |
03037 |
未入力 下野 (xxx)
いかにせん玉まく葛のうら風に思ひくたけて露そこほるる
いかにせむ−たままくくすの−うらかせに−おもひくたけて−つゆそこほるる |
03038 |
未入力 御製 (xxx)
おも影のとまるやあると帰るさのあさことにみるます鏡かな
おもかけの−とまるやあると−かへるさの−あさことにみる−ますかかみかな |
03039 |
未入力 道助 (xxx)
むかしをも今をもうつすます鏡君かすかたはみるかけもなし
むかしをも−いまをもうつす−ますかかみ−きみかすかたは−みるかけもなし |
03040 |
未入力 実氏 (xxx)
忍ふとも影たにみえしますかかみうつりはてにし人のこころは
しのふとも−かけたにみえし−ますかかみ−うつりはてにし−ひとのこころは |
03041 |
未入力 基家 (xxx)
わかれにし行へをしへよ秋の月鏡をかけて空にしるらん
わかれにし−ゆくへをしへよ−あきのつき−かかみをかけて−そらにしるらむ |
03042 |
未入力 家良 (xxx)
いつまてか山鳥のをのをかかみにつらき心をかけてみるへき
いつまてか−やまとりのをの−をかかみに−つらきこころを−かけてみるへき |
03043 |
未入力 基良 (xxx)
人心さてもつらさはますかかみうつりやすさの影はたえつつ
ひとこころ−さてもつらさは−ますかかみ−うつりやすさの−かけはたえつつ |
03044 |
未入力 隆親 (xxx)
としをへていとと思ひをます鏡つらき影たにみてややみなむ
としをへて−いととおもひを−ますかかみ−つらきかけたに−みてややみなむ |
03045 |
未入力 為家 (xxx)
うれふへき鏡にみゆる影たにもしらぬおきなはいふかひもなし
うれふへき−かかみにみゆる−かけたにも−しらぬおきなは−いふかひもなし |
03046 |
未入力 公相 (xxx)
ひとりねの閨にかけつつますかかみ我か身の影を友とたにみん
ひとりねの−ねやにかけつつ−ますかかみ−わかみのかけを−ともとたにみむ |
03047 |
未入力 実雄 (xxx)
ます鏡誰に心のうつりつつ逢ひみし人のかけたえにけむ
ますかかみ−たれにこころの−うつりつつ−あひみしひとの−かけたえにけむ |
03048 |
未入力 信覚 (xxx)
忘らるる袖の涙のますかかみほのみし影もえやはうらみん
わすらるる−そてのなみたの−ますかかみ−ほのみしかけも−えやはうらみむ |
03049 |
未入力 為経 (xxx)
心こそへたてはつともますかかみみしおもかけをえやはうつさぬ
こころこそ−へたてはつとも−ますかかみ−みしおもかけを−えやはうつさぬ |
03050 |
未入力 忠定 (xxx)
玉にぬく涙はかりそます鏡きよき月夜の影もうつらす
たまにぬく−なみたはかりそ−ますかかみ−きよきつきよの−かけもうつらす |
03051 |
未入力 資季 (xxx)
山とりのをのへの鏡いたつらにかけても人の影をやはみむ
やまとりの−をのへのかかみ−いたつらに−かけてもひとの−かけをやはみむ |
03052 |
未入力 頼氏 (xxx)
うき身には野守の鏡くもれたたおもひ思はす人もこそみれ
うきみには−のもりのかかみ−くもれたた−おもひおもはす−ひともこそみれ |
03053 |
未入力 有教 (xxx)
影をたにうつしととめよますかかみ見しよにかはるつらさなりとも
かけをたに−うつしととめよ−ますかかみ−みしよにかはる−つらさなりとも |
03054 |
未入力 師継 (xxx)
思ふともたれにかいはんます鏡そこなる影はありてかひなし
おもふとも−たれにかいはむ−ますかかみ−そこなるかけは−ありてかひなし |
03055 |
未入力 定嗣 (xxx)
ももねりのますみのかかみいにしへもかかる恋する影はうつらし
ももねりの−ますみのかかみ−いにしへも−かかるこひする−かけはうつらし |
03056 |
未入力 成実 (xxx)
よしさらは涙にくもれみるたひにかはるかかみのかけもはつかし
よしさらは−なみたにくもれ−みるたひに−かはるかかみの−かけもはつかし |
03057 |
未入力 蓮性 (xxx)
からくしけあくれはむかふますかかみ我か影はかりみてはなにせむ
からくしけ−あくれはむかふ−ますかかみ−わかかけはかり−みてはなにせむ |
03058 |
未入力 顕氏 (xxx)
見ても又かたみなるへき影をたにくもるかかみのへたてはてつつ
みてもまた−かたみなるへき−かけをたに−くもるかかみの−へたてはてつつ |
03059 |
未入力 寂能 (xxx)
いほつつのやたの鏡のはれけれは物おもふ身のかけもさやかに
いほつつの−やたのかかみの−はれけれは−ものおもふみの−かけもさやかに |
03060 |
未入力 為氏 (xxx)
ますかかみなにおも影ののこるらんつらき心はうつりはてにさ
ますかかみ−なにおもかけの−のこるらむ−つらきこころは−うつりはてにさ |
03061 |
未入力 真観 (xxx)
うき人のかけや見えつるます鏡ますますいまもねこそ鳴かるれ
うきひとの−かけやみえつる−ますかかみ−ますますいまも−ねこそ鳴かるれ |
03062 |
未入力 寂西 (xxx)
おきなありとみてたに君かいとひしにましてかかみの影はかはりぬ
おきなありと−みてたにきみか−いとひしに−ましてかかみの−かけはかはりぬ |
03063 |
未入力 為継 (xxx)
おも影のなれしかかみのほかに又かはる心のうつりやはせん
おもかけの−なれしかかみの−ほかにまた−かはるこころの−うつりやはせむ |
03064 |
未入力 経朝 (xxx)
影とめぬ人の恨のますかかみうつるこころの色ものこらす
かけとめぬ−ひとのうらみの−ますかかみ−うつるこころの−いろものこらす |
03065 |
未入力 行家 (xxx)
山鳥のはつをの鏡それならはへたつる人のかけもみてまし
やまとりの−はつをのかかみ−それならは−へたつるひとの−かけもみてまし |
03066 |
未入力 成茂 (xxx)
見しかけはかたみなるへきます鏡それたにいまはくもりはてぬる
みしかけは−かたみなるへき−ますかかみ−それたにいまは−くもりはてぬる |
03067 |
未入力 隆祐 (xxx)
朝ことにかかみのかけはおとろへてつらき心のなとまさるらん
あさことに−かかみのかけは−おとろへて−つらきこころの−なとまさるらむ |
03068 |
未入力 禅信 (xxx)
ますかかみくもる涙やへたつらん我か影さへにうとくなりぬる
ますかかみ−くもるなみたや−へたつらむ−わかかけさへに−うとくなりぬる |
03069 |
未入力 高倉 (xxx)
おもはすは野守の鏡よそにみん絶えぬちきりの人めはかりに
おもはすは−のもりのかかみ−よそにみむ−たえぬちきりの−ひとめはかりに |
03070 |
未入力 按察 (xxx)
うつり行く人のこころのます鏡さてや我か身も影となるらん
うつりゆく−ひとのこころの−ますかかみ−さてやわかみも−かけとなるらむ |
03071 |
未入力 帥 (xxx)
ます鏡うつしてみれはなそもかく我か身は影となりはてぬらん
ますかかみ−うつしてみれは−なそもかく−わかみはかけと−なりはてぬらむ |
03072 |
未入力 小宰相 (xxx)
ます鏡うき身の影をうつしても物おもふ人の数そそひぬる
ますかかみ−うきみのかけを−うつしても−ものおもふひとの−かすそそひぬる |
03073 |
未入力 俊成女 (xxx)
あさことにかけみし人の鏡にものこるかたみはとまらさりけり
あさことに−かけみしひとの−かかみにも−のこるかたみは−とまらさりけり |
03074 |
未入力 少将内侍 (xxx)
むかひゐてみゆとはいかかおもふへきおも影はかりさらぬかかみを
むかひゐて−みゆとはいかか−おもふへき−おもかけはかり−さらぬかかみを |
03075 |
未入力 弁内侍 (xxx)
ますかかみおのか心とくもりける涙をしらてなにかこつらん
ますかかみ−おのかこころと−くもりける−なみたをしらて−なにかこつらむ |
03076 |
未入力 但馬 (xxx)
見るたひにいととおもひそます鏡こひしき人の影もとめねは
みるたひに−いととおもひそ−ますかかみ−こひしきひとの−かけもとめねは |
03077 |
未入力 下野 (xxx)
増鏡われても人にあはんとてわかれし月のかけそかなしき
ますかかみ−われてもひとに−あはむとて−わかれしつきの−かけそかなしき |
03078 |
未入力 御製 (xxx)
ひとりねのあり数とてやつもりぬる塵もはらはしつけのを枕
ひとりねの−ありかすとてや−つもりぬる−ちりもはらはし−つけのをまくら |
03079 |
未入力 道助 (xxx)
今は又これもあたなりいつはりのわすれかたみのふるき枕は
いまはまた−これもあたなり−いつはりの−わすれかたみの−ふるきまくらは |
03080 |
未入力 実氏 (xxx)
わひぬれは涙ゆるさぬ枕たにこたふはかりになけきつるかな
わひぬれは−なみたゆるさぬ−まくらたに−こたふはかりに−なけきつるかな |
03081 |
未入力 基家 (xxx)
朝ねかみふれし枕のなこりとやおのれみたれて夢もみゆらん
あさねかみ−ふれしまくらの−なこりとや−おのれみたれて−ゆめもみゆらむ |
03082 |
未入力 家良 (xxx)
せきあへす涙にぬるる袖まくらかわかすなからいく夜ねぬらん
せきあへす−なみたにぬるる−そてまくら−かわかすなから−いくよねぬらむ |
03083 |
未入力 基良 (xxx)
うつつにはまたならはすよしきたへの枕のみしる夢のかよひち
うつつには−またならはすよ−しきたへの−まくらのみしる−ゆめのかよひち |
03084 |
未入力 隆親 (xxx)
おも影に涙のみこそとまりけれ昔かたりのたまくらのそて
おもかけに−なみたのみこそ−とまりけれ−むかしかたりの−たまくらのそて |
03085 |
未入力 為家 (xxx)
ととめはやなみたのみをのうき枕そをたにありしかたみはかりに
ととめはや−なみたのみをの−うきまくら−そをたにありし−かたみはかりに |
03086 |
未入力 公相 (xxx)
朝露のおきわかれにしかたみとて涙そのこるつけのをまくら
あさつゆの−おきわかれにし−かたみとて−なみたそのこる−つけのをまくら |
03087 |
未入力 実雄 (xxx)
夢にたにあはしとすれや敷妙の枕さためてねんかたもなし
ゆめにたに−あはしとすれや−しきたへの−まくらさためて−ねむかたもなし |
03088 |
未入力 信覚 (xxx)
しきたへの枕になれし下荻のなかはの霜や袖におくらん
しきたへの−まくらになれし−したをきの−なかはのしもや−そてにおくらむ |
03089 |
未入力 為経 (xxx)
独ねの枕にかかる涙をや人をみぬめのうらといふらん
ひとりねの−まくらにかかる−なみたをや−ひとをみぬめの−うらといふらむ |
03090 |
未入力 忠定 (xxx)
涙のみ先しりそむるゆかりとてうきもつらきもつけのを枕
なみたのみ−まつしりそむる−ゆかりとて−うきもつらきも−つけのをまくら |
03091 |
未入力 資季 (xxx)
敷妙の枕にのこるうつり香を我か身にしめて独かもねむ
しきたへの−まくらにのこる−うつりかを−わかみにしめて−ひとりかもねむ |
03092 |
未入力 頼氏 (xxx)
待ちよわるみとせの枕あらためて又今更にものそかなしき
まちよわる−みとせのまくら−あらためて−またいまさらに−ものそかなしき |
03093 |
未入力 有教 (xxx)
しきたへのまくらもしらし我か恋は袖よりもらす涙ならねは
しきたへの−まくらもしらし−わかこひは−そてよりもらす−なみたならねは |
03094 |
未入力 師継 (xxx)
しきたへの枕に塵のおきゐつつ君を待つ夜の数そつもれる
しきたへの−まくらにちりの−おきゐつつ−きみをまつよの−かすそつもれる |
03095 |
未入力 定嗣 (xxx)
知るといへはそれもうるさし敷妙の枕かたさりねてをあかさむ
しるといへは−それもうるさし−しきたへの−まくらかたさり−ねてをあかさむ |
03096 |
未入力 成実 (xxx)
敷妙のまくらをとほるなみた河身さへくつともうき名なかすな
しきたへの−まくらをとほる−なみたかは−みさへくつとも−うきななかすな |
03097 |
未入力 蓮性 (xxx)
見しままに床もはなれぬつけ枕されとも人は行へやはしる
みしままに−とこもはなれぬ−つけまくら−されともひとは−ゆくへやはしる |
03098 |
未入力 顕氏 (xxx)
つもりぬる涙のほとを人とはは身さへなかるとつけのをまくら
つもりぬる−なみたのほとを−ひととはは−みさへなかると−つけのをまくら |
03099 |
未入力 寂能 (xxx)
今はたた夢をもまたすいつまてか枕さためてまとろまれけむ
いまはたた−ゆめをもまたす−いつまてか−まくらさためて−まとろまれけむ |
03100 |
未入力 為氏 (xxx)
いかにねてみえし其夜の夢そともつけの枕にとははこたへよ
いかにねて−みえしそのよの−ゆめそとも−つけのまくらに−とははこたへよ |
03101 |
未入力 真観 (xxx)
見るもうしありし夜床のすか枕なかくや人におきわかれけん
みるもうし−ありしよとこの−すかまくら−なかくやひとに−おきわかれけむ |
03102 |
未入力 寂西 (xxx)
逢ふことをしるといふともおのつからぬる夜の枕いかてかはさむ
あふことを−しるといふとも−おのつから−ぬるよのまくら−いかてかはさむ |
03103 |
未入力 為継 (xxx)
はらひかねつもれる塵のつらさにもかはすは夢の枕なりけり
はらひかね−つもれるちりの−つらさにも−かはすはゆめの−まくらなりけり |
03104 |
未入力 経朝 (xxx)
おのつからぬれぬ夜なくて朽ちぬともたれかはつけの枕なるへき
おのつから−ぬれぬよなくて−くちぬとも−たれかはつけの−まくらなるへき |
03105 |
未入力 行家 (xxx)
流行く床の涙のうきまくらうきねは夢もさたかにもみす
なかれゆく−とこのなみたの−うきまくら−うきねはゆめも−さたかにもみす |
03106 |
未入力 成茂 (xxx)
うちたえてむなしき床のさ夜枕ありしやされはかきりなりけん
うちたえて−むなしきとこの−さよまくら−ありしやされは−かきりなりけむ |
03107 |
未入力 隆祐 (xxx)
夢路にもよるはこえしとみるはかり枕のちりよ山とたになれ
ゆめちにも−よるはこえしと−みるはかり−まくらのちりよ−やまとたになれ |
03108 |
未入力 禅信 (xxx)
しきたへの枕のちりをはらひつつたたあらましのひとりねの床
しきたへの−まくらのちりを−はらひつつ−たたあらましの−ひとりねのとこ |
03109 |
未入力 高倉 (xxx)
独のみかたしく袖のたまくらによかれぬ物はなみたなりけり
ひとりのみ−かたしくそての−たまくらに−よかれぬものは−なみたなりけり |
03110 |
未入力 按察 (xxx)
おもはすよ夜かれん床のかたみそと枕にのこることのはもかな
おもはすよ−よかれむとこの−かたみそと−まくらにのこる−ことのはもかな |
03111 |
未入力 帥 (xxx)
敷妙の枕もうとくなるまてにさてもねぬ夜のつもりぬるかな
しきたへの−まくらもうとく−なるまてに−さてもねぬよの−つもりぬるかな |
03112 |
未入力 小宰相 (xxx)
よひよひにはかなき夢のなくさめも枕さためていつまてかみし
よひよひに−はかなきゆめの−なくさめも−まくらさためて−いつまてかみし |
03113 |
未入力 俊成女 (xxx)
思ふ事枕はかりはしるなれはかかる涙の色も見るらん
おもふこと−まくらはかりは−しるなれは−かかるなみたの−いろもみるらむ |
03114 |
未入力 少将内侍 (xxx)
あはぬ夜のつもれる数の塵ならは枕に立つやうき名なるらん
あはぬよの−つもれるかすの−ちりならは−まくらにたつや−うきななるらむ |
03115 |
未入力 弁内侍 (xxx)
ひとりのみいく夜ねぬとも敷妙の我か手枕に袖をしつつも
ひとりのみ−いくよねぬとも−しきたへの−わかたまくらに−そてをしつつも |
03116 |
未入力 但馬 (xxx)
くろかみの誰か手枕になれなれて今はよそにそおもひみたるる
くろかみの−たかたまくらに−なれなれて−いまはよそにそ−おもひみたるる |
03117 |
未入力 下野 (xxx)
もらすなよ枕の外にしる人もなくなくちきるよよのかねこと
もらすなよ−まくらのほかに−しるひとも−なくなくちきる−よよのかねこと |
03118 |
未入力 御製 (xxx)
むらさきのねすりの衣かさねこし君かゆかりの色もなつかし
むらさきの−ねすりのころも−かさねこし−きみかゆかりの−いろもなつかし |
03119 |
未入力 道助 (xxx)
くちねたた露と霜とのたてぬきにおるもうらめし恋の衣は
くちねたた−つゆとしもとの−たてぬきに−おるもうらめし−こひのころもは |
03120 |
未入力 実氏 (xxx)
色みえぬこれやしのふのすり衣おもひみたるる袖のしら露
いろみえぬ−これやしのふの−すりころも−おもひみたるる−そてのしらつゆ |
03121 |
未入力 基家 (xxx)
みつしほのそこひのうらにくらふとも我か衣手は猶やしつまむ
みつしほの−そこひのうらに−くらふとも−わかころもては−なほやしつまむ |
03122 |
未入力 家良 (xxx)
恋衣袖のまよひのよなよなをまちのみまちてなほやうらみん
こひころも−そてのまよひの−よなよなを−まちのみまちて−なほやうらみむ |
03123 |
未入力 基良 (xxx)
せく袖の涙の色やくれなゐの千しほの衣そめてくちなん
せくそての−なみたのいろや−くれなゐの−ちしほのころも−そめてくちなむ |
03124 |
未入力 隆親 (xxx)
唐衣恋のなみたのくれなゐにいくしほ袖のそめまさるらん
からころも−こひのなみたの−くれなゐに−いくしほそての−そめまさるらむ |
03125 |
未入力 為家 (xxx)
雨露の身のしろ衣我はかりきてしとはねはぬれつつそふる
あめつゆの−みのしろころも−われはかり−きてしとはねは−ぬれつつそふる |
03126 |
未入力 公相 (xxx)
思ひねの夢にかさねしさ夜衣さてもなくさむつまとこそなれ
おもひねの−ゆめにかさねし−さよころも−さてもなくさむ−つまとこそなれ |
03127 |
未入力 実雄 (xxx)
いとせめておもはぬ中のから衣さそもろこしとへたてはてにし
いとせめて−おもはぬなかの−からころも−さそもろこしと−へたてはてにし |
03128 |
未入力 信覚 (xxx)
たえぬるか待ちしならひもむは玉の夜の衣はむかしなれとも
たえぬるか−まちしならひも−うはたまの−よるのころもは−むかしなれとも |
03129 |
未入力 為経 (xxx)
もろこしの人にとははやから衣かかる涙のためしありやと
もろこしの−ひとにとははや−からころも−かかるなみたの−ためしありやと |
03130 |
未入力 忠定 (xxx)
恋ひしねと露やくたくるさ夜衣玉ちるはかり秋風そふく
こひしねと−つゆやくたくる−さよころも−たまちるはかり−あきかせそふく |
03131 |
未入力 資季 (xxx)
色かはる涙なりともくれなゐのこそめの衣人はあやめし
いろかはる−なみたなりとも−くれなゐの−こそめのころも−ひとはあやめし |
03132 |
未入力 頼氏 (xxx)
人しれすおさへてしのふ恋衣涙のままにくちやはてなん
ひとしれす−おさへてしのふ−こひころも−なみたのままに−くちやはてなむ |
03133 |
未入力 有教 (xxx)
いまよりはかへさておきむからころも見はてぬ夢はかひなかりけり
いまよりは−かへさておきむ−からころも−みはてぬゆめは−かひなかりけり |
03134 |
未入力 師継 (xxx)
恨むるもさこそうき身のから衣なれはまさらてしほたれにけり
うらむるも−さこそうきみの−からころも−なれはまさらて−しほたれにけり |
03135 |
未入力 定嗣 (xxx)
我かしたにきたるかたみの衣手はつねは涙にくちぬへきかな
わかしたに−きたるかたみの−ころもては−つねはなみたに−くちぬへきかな |
03136 |
未入力 成実 (xxx)
月草にうつろふ中の花ころも思ひそめにしかひなかりけり
つきくさに−うつろふなかの−はなころも−おもひそめにし−かひなかりけり |
03137 |
未入力 蓮性 (xxx)
なれなれし床もふるきのかは衣君きまさねはあたり寒けし
なれなれし−とこもふるきの−かはころも−きみきまさねは−あたりさむけし |
03138 |
未入力 顕氏 (xxx)
心さしふかく染めてしからあゐのやしほの衣色はかはらし
こころさし−ふかくそめてし−からあゐの−やしほのころも−いろはかはらし |
03139 |
未入力 寂能 (xxx)
かはりける心をしらてなつ衣うらなく人を何たのみけむ
かはりける−こころをしらて−なつころも−うらなくひとを−なにたのみけむ |
03140 |
未入力 為氏 (xxx)
しほたるるなにはをとめのあさ衣ほさぬや人のかたみなるへき
しほたるる−なにはをとめの−あさころも−ほさぬやひとの−かたみなるへき |
03141 |
未入力 真観 (xxx)
いつまてのつらさなりけんから衣中にへたてしよはの恨は
いつまての−つらさなりけむ−からころも−なかにへたてし−よはのうらみは |
03142 |
未入力 寂西 (xxx)
うちたえておつる涙のあま衣身のいつまてかしをれはつへき
うちたえて−おつるなみたの−あまころも−みのいつまてか−しをれはつへき |
03143 |
未入力 為継 (xxx)
かさねしもむかしなりけん唐衣かたしくのみそいまはかなしき
かさねしも−むかしなりけむ−からころも−かたしくのみそ−いまはかなしき |
03144 |
未入力 経朝 (xxx)
ひとりのみうちもねられぬ床とはにかへす衣のかひやなからん
ひとりのみ−うちもねられぬ−とことはに−かへすころもの−かひやなからむ |
03145 |
未入力 行家 (xxx)
くちねたた名さへうらめし恋衣ほすまたになくぬるるたもとは
くちねたた−なさへうらめし−こひころも−ほすまたになく−ぬるるたもとは |
03146 |
未入力 成茂 (xxx)
又もあははなにをかさねんから衣あわとうきぬる床の海かな
またもあはは−なにをかさねむ−からころも−あわとうきぬる−とこのうみかな |
03147 |
未入力 隆祐 (xxx)
須磨のあまに衣はからむおのつから袖の涙もまとほなりやと
すまのあまに−ころもはからむ−おのつから−そてのなみたも−まとほなりやと |
03148 |
未入力 禅信 (xxx)
くやしきにぬるるたもとのさ夜衣思ひかへすもかひなかりけり
くやしきに−ぬるるたもとの−さよころも−おもひかへすも−かひなかりけり |
03149 |
未入力 高倉 (xxx)
夜をかさねかへすころものいつはりに逢ふとはみえぬ夢そかなしき
よをかさね−かへすころもの−いつはりに−あふとはみえぬ−ゆめそかなしき |
03150 |
未入力 按察 (xxx)
あけくれは涙にぬるるから衣さも音もせすなりもゆくかな
あけくれは−なみたにぬるる−からころも−さもおともせす−なりもゆくかな |
03151 |
未入力 帥 (xxx)
朝夕にみるめをかつく伊勢のあまの衣たにこそぬるといふなれ
あさゆふに−みるめをかつく−いせのあまの−ころもたにこそ−ぬるといふなれ |
03152 |
未入力 小宰相 (xxx)
忍ひこし夜はの衣もはては又なみたなからそ色にもえ行く
しのひこし−よはのころもも−はてはまた−なみたなからそ−いろにもえゆく |
03153 |
未入力 俊成女 (xxx)
なれてしもかさねてかなしさ夜衣かたしく袖ににほふうつり香
なれてしも−かさねてかなし−さよころも−かたしくそてに−にほふうつりか |
03154 |
未入力 少将内待 (xxx)
おのつからあふ夜もあらはすまのあまの塩やき衣まとほなりとも
おのつから−あふよもあらは−すまのあまの−しほやきころも−まとほなりとも |
03155 |
未入力 弁内侍 (xxx)
すまのあまのしほやき衣なれをこそうしといひてもためしにはみれ
すまのあまの−しほやきころも−なれをこそ−うしといひても−ためしにはみれ |
03156 |
未入力 但馬 (xxx)
うつり行く人の心につき草の花色衣ほすひまもなし
うつりゆく−ひとのこころに−つきくさの−はないろころも−ほすひまもなし |
03157 |
未入力 下野 (xxx)
物思ふなみたにふかきくれなゐを衣の色と人や見るらむ
ものおもふ−なみたにふかき−くれなゐを−ころものいろと−ひとやみるらむ |
03158 |
未入力 御製 (xxx)
偽のまゆみつき弓としふれとおきふし君をまたぬまそなさ
いつはりの−まゆみつきゆみ−としふれと−おきふしきみを−またぬまそなさ |
03159 |
未入力 道助 (xxx)
にしききはいく夜まてとかたつか弓ゆるそ時なき思ひなりけり
にしききは−いくよまてとか−たつかゆみ−ゆるそときなき−おもひなりけり |
03160 |
未入力 実氏 (xxx)
かり人のとかりのゆつるさしもやはたえぬ契をかけて待つへき
かりひとの−とかりのゆつる−さしもやは−たえぬちきりを−かけてまつへき |
03161 |
未入力 基家 (xxx)
恋をのみしなののまゆみひきかねてつよき歎は夜そくるしき
こひをのみ−しなののまゆみ−ひきかねて−つよきなけきは−よるそくるしき |
03162 |
未入力 家良 (xxx)
しらさりきあたちのま弓あたにのみなひきし末のつらき物とも
しらさりき−あたちのまゆみ−あたにのみ−なひきしすゑの−つらきものとも |
03163 |
未入力 基良 (xxx)
梓弓春のききすをえてたにも人の心にいるよしもかな
あつさゆみ−はるのききすを−えてたにも−ひとのこころに−いるよしもかな |
03164 |
未入力 隆親 (xxx)
人心あたちのまゆみそりはててひきかへすへき末そしられぬ
ひとこころ−あたちのまゆみ−そりはてて−ひきかへすへき−すゑそしられぬ |
03165 |
未入力 為家 (xxx)
かへりてや恨もすへき外さまにひきなされにしまゆみつき弓
かへりてや−うらみもすへき−ほかさまに−ひきなされにし−まゆみつきゆみ |
03166 |
未入力 公相 (xxx)
しはしたに猶ひきとめよあつさ弓つれなくかへるけさのわかれち
しはしたに−なほひきとめよ−あつさゆみ−つれなくかへる−けさのわかれち |
03167 |
未入力 実雄 (xxx)
人はいさおもひおもはすしらまゆみ又たかかたにこころひくらん
ひとはいさ−おもひおもはす−しらまゆみ−またたかかたに−こころひくらむ |
03168 |
未入力 信覚 (xxx)
契りしもあたちのまゆみひきかへてよるかたもなき身のうらみかな
ちきりしも−あたちのまゆみ−ひきかへて−よるかたもなき−みのうらみかな |
03169 |
未入力 為経 (xxx)
われひけとうたてよりこぬしらまゆみ心つよさはおもひしりにき
われひけと−うたてよりこぬ−しらまゆみ−こころつよさは−おもひしりにき |
03170 |
未入力 忠定 (xxx)
おもひいる末たになひけあつさ弓しはしはつよき心なりとも
おもひいる−すゑたになひけ−あつさゆみ−しはしはつよき−こころなりとも |
03171 |
未入力 資季 (xxx)
帰るへき人やとまると梓弓おしてはる雨晴れすもあらなん
かへるへき−ひとやとまると−あつさゆみ−おしてはるさめ−はれすもあらなむ |
03172 |
未入力 頼氏 (xxx)
もののふのあたちのまゆみ末つひに心よわさのたのみたになし
もののふの−あたちのまゆみ−すゑつひに−こころよわさの−たのみたになし |
03173 |
未入力 有教 (xxx)
心ひくかたにしよらは梓弓おしてもいかかたのまさるへき
こころひく−かたにしよらは−あつさゆみ−おしてもいかか−たのまさるへき |
03174 |
未入力 師継 (xxx)
梓弓末の松山波こえてもとのこころはひきかへてけり
あつさゆみ−すゑのまつやま−なみこえて−もとのこころは−ひきかへてけり |
03175 |
未入力 定嗣 (xxx)
みちのくのあたちのま弓あたら夜をさて明せとやひけとよりこぬ
みちのくの−あたちのまゆみ−あたらよを−さてあかせとや−ひけとよりこぬ |
03176 |
未入力 成実 (xxx)
我か恋はあたちのまゆみもとよりや心つよさのためしにはひく
わかこひは−あたちのまゆみ−もとよりや−こころつよさの−ためしにはひく |
03177 |
未入力 蓮性 (xxx)
あつさ弓おきふし我をなけかせて心つよくやとはて過きなむ
あつさゆみ−おきふしわれを−なけかせて−こころつよくや−とはてすきなむ |
03178 |
未入力 顕氏 (xxx)
わかかたによるともきかは梓弓おしても人をひきこころみん
わかかたに−よるともきかは−あつさゆみ−おしてもひとを−ひきこころみむ |
03179 |
未入力 寂能 (xxx)
あつさゆみいそ立ちのほる夕塩のからくも人にわかれにしかな
あつさゆみ−いそたちのほる−ゆふしほの−からくもひとに−わかれにしかな |
03180 |
未入力 為氏 (xxx)
逢ふ事はまたもとしらすしらま弓恨みてこそはひきはなれけめ
あふことは−またもとしらす−しらまゆみ−うらみてこそは−ひきはなれけめ |
03181 |
未入力 真観 (xxx)
やよいかにいひははなたてさすか又絶えすゆつるのかけたるやなそ
やよいかに−いひははなたて−さすかまた−たえすゆつるの−かけたるやなそ |
03182 |
未入力 寂西 (xxx)
手にならすかひこそなけれ梓弓ひけは中のみ遠さかりつつ
てにならす−かひこそなけれ−あつさゆみ−ひけはなかのみ−とほさかりつつ |
03183 |
未入力 為継 (xxx)
あた人の心の末もしらま弓ひけとよりこぬ恋の道かな
あたひとの−こころのすゑも−しらまゆみ−ひけとよりこぬ−こひのみちかな |
03184 |
未入力 経朝 (xxx)
たのみこし契あたちのしらま弓しらぬ命にいつをまつらん
たのみこし−ちきりあたちの−しらまゆみ−しらぬいのちに−いつをまつらむ |
03185 |
未入力 行家 (xxx)
ひきたえし梓のま弓我かかたによるとも人のまたれやはする
ひきたえし−あつさのまゆみ−わかかたに−よるともひとの−またれやはする |
03186 |
未入力 成茂 (xxx)
ふりにけりひかてすておく梓弓かへらぬ人を待つとせしまに
ふりにけり−ひかてすておく−あつさゆみ−かへらぬひとを−まつとせしまに |
03187 |
未入力 隆祐 (xxx)
梓弓いるまとかたはとほくとも末にこたふるちきりともかな
あつさゆみ−いるまとかたは−とほくとも−すゑにこたふる−ちきりともかな |
03188 |
未入力 禅信 (xxx)
あつさ弓いかにちきりのひきかへて心の末のよりこさるらん
あつさゆみ−いかにちきりの−ひきかへて−こころのすゑの−よりこさるらむ |
03189 |
未入力 高倉 (xxx)
いたつらにつもる月日もしらま弓いく夜おきふし物思ふらん
いたつらに−つもるつきひも−しらまゆみ−いくよおきふし−ものおもふらむ |
03190 |
未入力 按察 (xxx)
身のうさをおもひためたるあつさゆみさてもやいつか君に語らん
みのうさを−おもひためたる−あつさゆみ−さてもやいつか−きみにかたらむ |
03191 |
未入力 帥 (xxx)
我かせこかその手ならしの梓弓ひきわかれてもあられけるかな
わかせこか−そのたならしの−あつさゆみ−ひきわかれても−あられけるかな |
03192 |
未入力 小宰相 (xxx)
誰かかたに心いるともあつさ弓ひきののつつらくる夜有りせは
たかかたに−こころいるとも−あつさゆみ−ひきののつつら−くるよありせは |
03193 |
未入力 俊成女 (xxx)
人しれぬ心よせけるあつさ弓いかに契をひきたかへけむ
ひとしれぬ−こころよせける−あつさゆみ−いかにちきりを−ひきたかへけむ |
03194 |
未入力 少将内侍 (xxx)
いたつらにまた手もふれぬ梓弓心つよくや人のみゆらん
いたつらに−またてもふれぬ−あつさゆみ−こころつよくや−ひとのみゆらむ |
03195 |
未入力 弁内侍 (xxx)
みちのくのあたちのまゆみ末つひにあらぬ方にもひく心かな
みちのくの−あたちのまゆみ−すゑつひに−あらぬかたにも−ひくこころかな |
03196 |
未入力 但馬 (xxx)
今はたたあたちのま弓ひく手にもかはる心のはとそしらるる
いまはたた−あたちのまゆみ−ひくてにも−かはるこころの−はとそしらるる |
03197 |
未入力 下野 (xxx)
なにとしておもひそめけん梓弓心つよさはひくかひもなし
なにとして−おもひそめけむ−あつさゆみ−こころつよさは−ひくかひもなし |
03198 |
未入力 御製 (xxx)
ねさめする暁やみのうつつにも夢にも鳥の声そ聞ゆる
ねさめする−あかつきやみの−うつつにも−ゆめにもとりの−こゑそきこゆる |
03199 |
未入力 道助 (xxx)
鳥の音を聞きてののちもまとろます我か暁の程をしれとや
とりのねを−ききてののちも−まとろます−わかあかつきの−ほとをしれとや |
03200 |
未入力 実氏 (xxx)
いにしへもちかきねさめの袖のうへに八声の鳥の涙をそかる
いにしへも−ちかきねさめの−そてのうへに−やこゑのとりの−なみたをそかる |
03201 |
未入力 基家 (xxx)
行末も霞にたとるあふさかのさかひしらるる鳥の声かな
ゆくすゑも−かすみにたとる−あふさかの−さかひしらるる−とりのこゑかな |
03202 |
未入力 家良 (xxx)
鶏のかけのたれをの誰はかりうき暁とおきわかるらん
にはとりの−かけのたれをの−たれはかり−うきあかつきと−おきわかるらむ |
03203 |
未入力 基良 (xxx)
いたつらにゆふつけとりそ音はたつるうきねさめをはしる人もなし
いたつらに−ゆふつけとりそ−ねはたつる−うきねさめをは−しるひともなし |
03204 |
未入力 隆親 (xxx)
うしのくひさすかとすれは天の戸のあくるを告くる鳥の声かな
うしのくひ−さすかとすれは−あまのとの−あくるをつくる−とりのこゑかな |
03205 |
未入力 為家 (xxx)
今更にゆふつけ鳥も聞捨てす朝またれし音のみなかれて
いまさらに−ゆふつけとりも−ききすてす−あしたまたれし−ねのみなかれて |
03206 |
未入力 公相 (xxx)
むかしよりゆふつけ鳥は名のみしてあくるをしもはいかに告くらん
むかしより−ゆふつけとりは−なのみして−あくるをしもは−いかにつくらむ |
03207 |
未入力 実雄 (xxx)
つかふとて待ちならひぬる鳥の音をたかきぬきぬに恨みそめけむ
つかふとて−まちならひぬる−とりのねを−たかきぬきぬに−うらみそめけむ |
03208 |
未入力 信覚 (xxx)
槙の戸をおしあけかたのとりのねにあかぬ別を誰したふらん
まきのとを−おしあけかたの−とりのねに−あかぬわかれを−たれしたふらむ |
03209 |
未入力 為経 (xxx)
仕へつつふりぬる霜はあかつきの鳥の音よりそおき習ひける
つかへつつ−ふりぬるしもは−あかつきの−とりのねよりそ−おきならひける |
03210 |
未入力 忠定 (xxx)
鳴きあかすゆふつけ鳥にやみふかき我かよのあけん暁もかな
なきあかす−ゆふつけとりに−やみふかき−わかよのあけむ−あかつきもかな |
03211 |
未入力 資季 (xxx)
何ゆゑに鳥のなくらん暁のねくらのつまはわかれしもせし
なにゆゑに−とりのなくらむ−あかつきの−ねくらのつまは−わかれしもせし |
03212 |
未入力 頼氏 (xxx)
たよりあるゆふつけ鳥の声すなりたつたの山の暁の空
たよりある−ゆふつけとりの−こゑすなり−たつたのやまの−あかつきのそら |
03213 |
未入力 有教 (xxx)
夜をかさね老のねさめに待つものをゆふつけ鳥の暁の声
よをかさね−おいのねさめに−まつものを−ゆふつけとりの−あかつきのこゑ |
03214 |
未入力 師継 (xxx)
関の戸の鳥のそら音といひなして猶やすらはんよはの明くれ
せきのとの−とりのそらねと−いひなして−なほやすらはむ−よはのあけくれ |
03215 |
未入力 定嗣 (xxx)
有明の月に猶行くたはれをは関戸の鳥のなくは聞くかも
ありあけの−つきになほゆく−たはれをは−せきとのとりの−なくはきくかも |
03216 |
未入力 成実 (xxx)
老か夜は八声の鳥の初声をきかぬさきより夢さましつつ
おいかよは−やこゑのとりの−はつこゑを−きかぬさきより−ゆめさましつつ |
03217 |
未入力 蓮性 (xxx)
過来つる里もはるかに鳴く鳥のかけろふをののしののめの空
すききつる−さともはるかに−なくとりの−かけろふをのの−しののめのそら |
03218 |
未入力 顕氏 (xxx)
限あれはかけのたれをの長き夜もさすかにしらむしののめの空
かきりあれは−かけのたれをの−なかきよも−さすかにしらむ−しののめのそら |
03219 |
未入力 寂能 (xxx)
鳥の音はまた夜をこむる関の戸に我のみあくる山のはの月
とりのねは−またよをこむる−せきのとに−われのみあくる−やまのはのつき |
03220 |
未入力 為氏 (xxx)
旅人の暁いそくせきのとはとりのねよりやあけ始むらむ
たひひとの−あかつきいそく−せきのとは−とりのねよりや−あけはしむらむ |
03221 |
未入力 真観 (xxx)
いましはや鳥も鳴くなりあつまちのこてのよひさか誰か越ゆらん
いましはや−とりもなくなり−あつまちの−こてのよひさか−たれかこゆらむ |
03222 |
未入力 寂西 (xxx)
かねてみしゆふつけ鳥の夕まとひ暁おきのためにそ有りける
かねてみし−ゆふつけとりの−ゆふまとひ−あかつきおきの−ためにそありける |
03223 |
未入力 為継 (xxx)
ねさめして閑なるへきあかつきに鳥の八声のなとしきるらん
ねさめして−しつかなるへき−あかつきに−とりのやこゑの−なとしきるらむ |
03224 |
未入力 経朝 (xxx)
暁は袖やはかわくとりの音をいとひなれにし心ならひに
あかつきは−そてやはかわく−とりのねを−いとひなれにし−こころならひに |
03225 |
未入力 行家 (xxx)
夜はいまた暁ふかし今こそはゆふつけ鳥も初音なくなれ
よはいまた−あかつきふかし−いまこそは−ゆふつけとりも−はつねなくなれ |
03226 |
未入力 成茂 (xxx)
神垣の玉のとほそのあけかたも鳥の音にこそ先急きけれ
かみかきの−たまのとほその−あけかたも−とりのねにこそ−まついそきけれ |
03227 |
未入力 隆祐 (xxx)
つれなしとゆふつけ鳥や思ふらん鳴く音にたてぬ人の寝覚を
つれなしと−ゆふつけとりや−おもふらむ−なくねにたてぬ−ひとのねさめを |
03228 |
未入力 禅信 (xxx)
今はとて関の戸あくる鳥の音にやかて朝たつ秋の旅人
いまはとて−せきのとあくる−とりのねに−やかてあさたつ−あきのたひひと |
03229 |
未入力 高倉 (xxx)
つらしとも思ひそはてぬとりのねのあかしかねては先またれけり
つらしとも−おもひそはてぬ−とりのねの−あかしかねては−まつまたれけり |
03230 |
未入力 按察 (xxx)
きけは又明かたちかき鳥の音にあはれや誰か今別るらむ
きけはまた−あけかたちかき−とりのねに−あはれやたれか−いまわかるらむ |
03231 |
未入力 帥 (xxx)
何として暁方になりぬれはゆふつけ鳥のなきはしめけん
なにとして−あかつきかたに−なりぬれは−ゆふつけとりの−なきはしめけむ |
03232 |
未入力 小宰相 (xxx)
いかなれはうき物といふ有明の月にちきりて鳥はなくらん
いかなれは−うきものといふ−ありあけの−つきにちきりて−とりはなくらむ |
03233 |
未入力 俊成女 (xxx)
たかみそきゆふつけとりの声になと明けぬと人に告始めけむ
たかみそき−ゆふつけとりの−こゑになと−あけぬとひとに−つけはしめけむ |
03234 |
未入力 少将内侍 (xxx)
名にたてて八声といへと明けはつる程を限に鳥はなくなり
なにたてて−やこゑといへと−あけはつる−ほとをかきりに−とりはなくなり |
03235 |
未入力 弁内侍 (xxx)
長き夜はその程しらぬ暁のかならす鳥の音にそあらはす
なかきよは−そのほとしらぬ−あかつきの−かならすとりの−ねにそあらはす |
03236 |
未入力 但馬 (xxx)
おきあかす袖の涙の露をさへ八声の鳥にうらみつるかな
おきあかす−そてのなみたの−つゆをさへ−やこゑのとりに−うらみつるかな |
03237 |
未入力 下野 (xxx)
いつも聞くゆふつけ鳥の声にさへ老の涙はとまらさりけり
いつもきく−ゆふつけとりの−こゑにさへ−おいのなみたは−とまらさりけり |
03238 |
未入力 御製 (xxx)
なかき夜の心のやみのしるへせよ猶残りける法のともし火
なかきよの−こころのやみの−しるへせよ−なほのこりける−のりのともしひ |
03239 |
未入力 道助 (xxx)
窓ふかき法のともし火まてしはしよなよなうすき影や残ると
まとふかき−のりのともしひ−まてしはし−よなよなうすき−かけやのこると |
03240 |
未入力 実氏 (xxx)
まよふなるうき世のやみを聞くたひにたとへもうれしよはの灯
まよふなる−うきよのやみを−きくたひに−たとへもうれし−よはのともしひ |
03241 |
未入力 基家 (xxx)
浪間よりたえたえ照す灯のあかしのとまや誰明すらん
なみまより−たえたえてらす−ともしひの−あかしのとまや−たれあかすらむ |
03242 |
未入力 家良 (xxx)
かたしきの袖さむき夜におとろけはほのほののこる窓のともし火
かたしきの−そてさむきよに−おとろけは−ほのほののこる−まとのともしひ |
03243 |
未入力 基良 (xxx)
消えやらぬ窓のともしひほのかにていつか心のやみをてらさん
きえやらぬ−まとのともしひ−ほのかにて−いつかこころの−やみをてらさむ |
03244 |
未入力 隆親 (xxx)
何となくそのかねことにふけしよのなこりにのこる窓の灯
なにとなく−そのかねことに−ふけしよの−なこりにのこる−まとのともしひ |
03245 |
未入力 為家 (xxx)
あはれにそ月にそむくる灯の有りとはなしに我か世ふけぬる
あはれにそ−つきにそむくる−ともしひの−ありとはなしに−わかよふけぬる |
03246 |
未入力 公相 (xxx)
鐘の音もやや明方に成るままにほのかにのこるよはの灯
かねのおとも−ややあけかたに−なるままに−ほのかにのこる−よはのともしひ |
03247 |
未入力 実雄 (xxx)
なよ竹のなかき夜比の霜さえて光もさむき窓の灯
なよたけの−なかきよころの−しもさえて−ひかりもさむき−まとのともしひ |
03248 |
未入力 信覚 (xxx)
誰とめて思入りけんくさのいほにかすかにのこる夜はの灯
たれとめて−おもひいりけむ−くさのいほに−かすかにのこる−よはのともしひ |
03249 |
未入力 為経 (xxx)
ふかき夜のねさめに影そ残りけるかかけつくさぬ窓のともしひ
ふかきよの−ねさめにかけそ−のこりける−かかけつくさぬ−まとのともしひ |
03250 |
未入力 忠定 (xxx)
なかき夜にそむきたてたる灯のかへにむかふはかなしかりけり
なかきよに−そむきたてたる−ともしひの−かへにむかふは−かなしかりけり |
03251 |
未入力 資季 (xxx)
秋のよも暁ちかくなりにけりややかすかなる窓のともし火
あきのよも−あかつきちかく−なりにけり−ややかすかなる−まとのともしひ |
03252 |
未入力 頼氏 (xxx)
昔おもふ六十の秋の窓の中にともなふ物は夜のともしひ
むかしおもふ−むそちのあきの−まとのうちに−ともなふものは−よるのともしひ |
03253 |
未入力 有教 (xxx)
永き夜の夢の枕のねさめにはのこるもさひし窓の灯
なかきよの−ゆめのまくらの−ねさめには−のこるもさひし−まとのともしひ |
03254 |
未入力 師継 (xxx)
かつみれは我か身の影そ友となる人目まれなるやとのともし火
かつみれは−わかみのかけそ−ともとなる−ひとめまれなる−やとのともしひ |
03255 |
未入力 定嗣 (xxx)
暮れぬとて先ともしひそいそかるる日影をきほふ心ならひに
くれぬとて−まつともしひそ−いそかるる−ひかけをきほふ−こころならひに |
03256 |
未入力 成実 (xxx)
人とはてかへにそむくる灯を心ほそくもたれかかくらん
ひととはて−かへにそむくる−ともしひを−こころほそくも−たれかかくらむ |
03257 |
未入力 蓮性 (xxx)
ふけぬとてかかけおこたる灯のきえかてにのみ影そほのめく
ふけぬとて−かかけおこたる−ともしひの−きえかてにのみ−かけそほのめく |
03258 |
未入力 顕氏 (xxx)
うちとけてまたふしやらぬ閨の中に残おほかるよひの灯
うちとけて−またふしやらぬ−ねやのうちに−のこりおほかる−よひのともしひ |
03259 |
未入力 寂能 (xxx)
世を照す御代の光のあまねきにくらきよるなき窓の灯
よをてらす−みよのひかりの−あまねきに−くらきよるなき−まとのともしひ |
03260 |
未入力 為氏 (xxx)
長き夜のふけ行く程の影みえて光そうすき窓のともしひ
なかきよの−ふけゆくほとの−かけみえて−ひかりそうすき−まとのともしひ |
03261 |
未入力 真観 (xxx)
しつかなる夜はに心ををさめてそひかりはまさる法のともし火
しつかなる−よはにこころを−をさめてそ−ひかりはまさる−のりのともしひ |
03262 |
未入力 寂西 (xxx)
灯をくらきにえたるここちしてよるもかかるる老のうたかな
ともしひを−くらきにえたる−ここちして−よるもかかるる−おいのうたかな |
03263 |
未入力 為継 (xxx)
いつまてかやみをはよそに灯の光をのみそ猶たのむへき
いつまてか−やみをはよそに−ともしひの−ひかりをのみそ−なほたのむへき |
03264 |
未入力 経朝 (xxx)
あれはつる籬も風はへたてけり草の庵にのこるともしひ
あれはつる−まかきもかせは−へたてけり−くさのいほりに−のこるともしひ |
03265 |
未入力 行家 (xxx)
ほのかなる光にしるし今夜はやさよふけにけりねやのともし火
ほのかなる−ひかりにしるし−こよひはや−さよふけにけり−ねやのともしひ |
03266 |
未入力 成茂 (xxx)
ともし火を神のみまへにかかけつつあきらけき世を猶祈るかな
ともしひを−かみのみまへに−かかけつつ−あきらけきよを−なほいのるかな |
03267 |
未入力 隆祐 (xxx)
書きおけるみのりをしふる草の庵の窓の灯きゆるよもなし
かきおける−みのりをしふる−くさのいほの−まとのともしひ−きゆるよもなし |
03268 |
未入力 禅信 (xxx)
をしめとも月はかたふく窓の中に光かはらす残るともしひ
をしめとも−つきはかたふく−まとのうちに−ひかりかはらす−のこるともしひ |
03269 |
未入力 高倉 (xxx)
身のうさをおもふねさめの枕には影よわり行くねやの灯
みのうさを−おもふねさめの−まくらには−かけよわりゆく−ねやのともしひ |
03270 |
未入力 按察 (xxx)
ほのかにもいく夜かはみしいにしへのおもかけさへにのこるともし火
ほのかにも−いくよかはみし−いにしへの−おもかけさへに−のこるともしひ |
03271 |
未入力 帥 (xxx)
夜のふくる程そしらるる灯のほのかにのこるまとの中には
よのふくる−ほとそしらるる−ともしひの−ほのかにのこる−まとのうちには |
03272 |
未入力 小宰相 (xxx)
かくれすむ草のとさしのかひもなし閨あらはるる夜のともし火
かくれすむ−くさのとさしの−かひもなし−ねやあらはるる−よるのともしひ |
03273 |
未入力 俊成女 (xxx)
独のみねもせておもふそなたとてにしにそむくるよるの灯
ひとりのみ−ねもせておもふ−そなたとて−にしにそむくる−よるのともしひ |
03274 |
未入力 少将内侍 (xxx)
明けやらぬねさめにのこる灯は長き夜のまの友となりけり
あけやらぬ−ねさめにのこる−ともしひは−なかきよのまの−ともとなりけり |
03275 |
未入力 弁内侍 (xxx)
さ夜中の時しる声におとろけはまたといさむるともし火の影
さよなかの−ときしるこゑに−おとろけは−またといさむる−ともしひのかけ |
03276 |
未入力 但馬 (xxx)
いつもたたひとりおきゐるともし火の影より外にとふ人もなし
いつもたた−ひとりおきゐる−ともしひの−かけよりほかに−とふひともなし |
03277 |
未入力 下野 (xxx)
やとはあれて風の隙もる山かけにそむけかねたる閨の灯
やとはあれて−かせのひまもる−やまかけに−そむけかねたる−ねやのともしひ |
03278 |
未入力 御製 (xxx)
三吉野の青根か嶺の名もしるしときはにみゆる松の村立
みよしのの−あをねかみねの−なもしるし−ときはにみゆる−まつのむらたち |
03279 |
未入力 道助 (xxx)
秋ふかきしくれはしらぬ色なからおもひそめてし峰の松風
あきふかき−しくれはしらぬ−いろなから−おもひそめてし−みねのまつかせ |
03280 |
未入力 実氏 (xxx)
君か代は千千に枝させ峰たかきはこやの山のまつの行末
きみかよは−ちちにえたさせ−みねたかき−はこやのやまの−まつのゆくすゑ |
03281 |
未入力 基家 (xxx)
跡絶えて峰のかけちはあれ行くにいかなる松の猶残るらん
あとたえて−みねのかけちは−あれゆくに−いかなるまつの−なほのこるらむ |
03282 |
未入力 家良 (xxx)
高砂の山のをのへにとしへたる松をためしに身はふりにけり
たかさこの−やまのをのへに−としへたる−まつをためしに−みはふりにけり |
03283 |
未入力 基良 (xxx)
いく千代を雲かかるまて契るらん峰におひそふ松の行末
いくちよを−くもかかるまて−ちきるらむ−みねにおひそふ−まつのゆくすゑ |
03284 |
未入力 隆親 (xxx)
たかさこの山のをのへに松たてり春はみとりの色をかさねて
たかさこの−やまのをのへに−まつたてり−はるはみとりの−いろをかさねて |
03285 |
未入力 為家 (xxx)
嶺越ゆる風のゆききの音つれをたえすやまつと名にたてるらん
みねこゆる−かせのゆききの−おとつれを−たえすやまつと−なにたてるらむ |
03286 |
未入力 公相 (xxx)
ためしあれは一むらさめに立ちよらんかさとり山の峰の松かけ
ためしあれは−ひとむらさめに−たちよらむ−かさとりやまの−みねのまつかけ |
03287 |
未入力 実雄 (xxx)
ちはやふるをしほの山の峰に生ふる松そ神代の事も知るらん
ちはやふる−をしほのやまの−みねにおふる−まつそかみよの−こともしるらむ |
03288 |
未入力 信覚 (xxx)
しら露もしくれも染めぬみ山ちのをのへに遠き松風の声
しらつゆも−しくれもそめぬ−みやまちの−をのへにとほき−まつかせのこゑ |
03289 |
未入力 為経 (xxx)
あしひきの山としたかき峰におふる松はちとせの影そ久しき
あしひきの−やまとしたかき−みねにおふる−まつはちとせの−かけそひさしき |
03290 |
未入力 忠定 (xxx)
名にたてて松を久しとしらせけり木末に出つる山のはの月
なにたてて−まつをひさしと−しらせけり−こすゑにいつる−やまのはのつき |
03291 |
未入力 資季 (xxx)
つくはねの峰のときは木しけけれと松にそ風の音はたてける
つくはねの−みねのときはき−しけけれと−まつにそかせの−おとはたてける |
03292 |
未入力 頼氏 (xxx)
おしなへておなしみとりも色かはる峰のあなたの峰の松原
おしなへて−おなしみとりも−いろかはる−みねのあなたの−みねのまつはら |
03293 |
未入力 有教 (xxx)
万代の声ははるかにきこゆなりはこやの山の峰の松風
よろつよの−こゑははるかに−きこゆなり−はこやのやまの−みねのまつかせ |
03294 |
未入力 師継 (xxx)
よろつ代の声たかさこの峰におふる松もとかへり花や咲くらん
よろつよの−こゑたかさこの−みねにおふる−まつもとかへり−はなやさくらむ |
03295 |
未入力 定嗣 (xxx)
雲もなく空はれわたる峰にても雨をふくむは松の音なり
くももなく−そらはれわたる−みねにても−あめをふくむは−まつのおとなり |
03296 |
未入力 成実 (xxx)
君か代に峰の小松のかねてより千世あらはなるふかみとりかな
きみかよに−みねのこまつの−かねてより−ちよあらはなる−ふかみとりかな |
03297 |
未入力 蓮性 (xxx)
神さふる伊駒高根の昔より松にへにけるとしはしられす
かみさふる−いこまたかねの−むかしより−まつにへにける−としはしられす |
03298 |
未入力 顕氏 (xxx)
位山かくてかはらぬ峰の松いまひとしほの春をしらせよ
くらゐやま−かくてかはらぬ−みねのまつ−いまひとしほの−はるをしらせよ |
03299 |
未入力 寂能 (xxx)
かささきの山とひこえて行く跡にあま雲かかる峰の松か枝
かささきの−やまとひこえて−ゆくあとに−あまくもかかる−みねのまつかえ |
03300 |
未入力 為氏 (xxx)
ふりにける神代は遠し小塩山おなしみとりの峰の松原
ふりにける−かみよはとほし−をしほやま−おなしみとりの−みねのまつはら |
03301 |
未入力 真襯 (xxx)
世をたえて峰にとしふるうき身をは松もあはれと思ふらんやは
よをたえて−みねにとしふる−うきみをは−まつもあはれと−おもふらむやは |
03302 |
未入力 寂西 (xxx)
しら雲のたてるもおなし峰なれは友ありけりな松の一本
しらくもの−たてるもおなし−みねなれは−ともありけりな−まつのひともと |
03303 |
未入力 為継 (xxx)
峰におふるおなし木末の松なれはいつれとわかす万代やへん
みねにおふる−おなしこすゑの−まつなれは−いつれとわかす−よろつよやへむ |
03304 |
未入力 経朝 (xxx)
高砂の嶺にとしふる松のたねおひそふ千代のかけそはるけき
たかさこの−みねにとしふる−まつのたね−おひそふちよの−かけそはるけき |
03305 |
未入力 行家 (xxx)
峰高き春日の山の岩根松空にそ千世のかけはみえける
みねたかき−かすかのやまの−いはねまつ−そらにそちよの−かけはみえける |
03306 |
未入力 成茂 (xxx)
ふもとにもときはのかけをあふくかな大内山のみねのわか松
ふもとにも−ときはのかけを−あふくかな−おほうちやまの−みねのわかまつ |
03307 |
未入力 隆祐 (xxx)
春日山おひそふ峰の松はあれとかけはもれてそ身はふりにける
かすかやま−おひそふみねの−まつはあれと−かけはもれてそ−みはふりにける |
03308 |
未入力 禅信 (xxx)
いくかへりにほはぬ花のさきぬらん又雲かかる峰の松か枝
いくかへり−にほはぬはなの−さきぬらむ−またくもかかる−みねのまつかえ |
03309 |
未入力 高倉 (xxx)
なれなはと思ひし峰のいほにしも松の嵐のおとそかなしき
なれなはと−おもひしみねの−いほにしも−まつのあらしの−おとそかなしき |
03310 |
未入力 按察 (xxx)
誰しかもいまきの峰といひそめて妻松の木の年をへぬらん
たれしかも−いまきのみねと−いひそめて−つままつのきの−としをへぬらむ |
03311 |
未入力 帥 (xxx)
かすか山木たかきみねの松か枝に吹きくる風の音そのとけき
かすかやま−こたかきみねの−まつかえに−ふきくるかせの−おとそのとけき |
03312 |
未入力 小宰相 (xxx)
なほさりの誰か契より松風のいなはの山の峰に吹くらん
なほさりの−たかちきりより−まつかせの−いなはのやまの−みねにふくらむ |
03313 |
未入力 俊成女 (xxx)
君をいはふ人の心をみねの松花さくかすと山そこたふる
きみをいはふ−ひとのこころを−みねのまつ−はなさくかすと−やまそこたふる |
03314 |
未入力 少将内侍 (xxx)
風あらきいなはの山の嶺にしもおひける松の陰そふりぬる
かせあらき−いなはのやまの−みねにしも−おひけるまつの−かけそふりぬる |
03315 |
未入力 弁内待 (xxx)
千代のかけ今もみよとや峰に生ふる松の梢の木たかかるらん
ちよのかけ−いまもみよとや−みねにおふる−まつのこすゑの−こたかかるらむ |
03316 |
未入力 但馬 (xxx)
かかみ山君かためとや峰におふる松もちとせのかけは見えけり
かかみやま−きみかためとや−みねにおふる−まつもちとせの−かけはみえけり |
03317 |
未入力 下野 (xxx)
我か友と君か千年をみねの松まつなりけりな色もかはらて
わかともと−きみかちとせを−みねのまつ−まつなりけりな−いろもかはらて |
03318 |
未入力 御製 (xxx)
おもひいるみ山の里のしるしとてうき世へたつる窓のくれ竹
おもひいる−みやまのさとの−しるしとて−うきよへたつる−まとのくれたけ |
03319 |
未入力 道助 (xxx)
里つつきおともさひしく成りにけり竹の葉そよくしののをふふき
さとつつき−おともさひしく−なりにけり−たけのはそよく−しののをふふき |
03320 |
未入力 実氏 (xxx)
いな葉より風吹きおくる笛竹の伏見の里に今一夜ねむ
いなはより−かせふきおくる−ふえたけの−ふしみのさとに−いまひとよねむ |
03321 |
未入力 基家 (xxx)
故郷の軒もる月はさ夜ふけてさえたる竹のおとそ身にしむ
ふるさとの−のきもるつきは−さ夜ふけて−さえたるたけの−おとそみにしむ |
03322 |
未入力 家良 (xxx)
風ふけは竹の葉そよく秋の野の里もさひしき夕ま暮かな
かせふけは−たけのはそよく−あきののの−さともさひしき−ゆふまくれかな |
03323 |
未入力 基良 (xxx)
くれ竹のふしみは里の名にふりて葉かへぬ色や契りおきけん
くれたけの−ふしみはさとの−なにふりて−はかへぬいろや−ちきりおきけむ |
03324 |
未入力 隆親 (xxx)
此里に誰かうゑけんくれ竹のうれしきふしも数そひにけり
このさとに−たれかうゑけむ−くれたけの−うれしきふしも−かすそひにけり |
03325 |
未入力 為家 (xxx)
あれまくにたれほりうゑてくれ竹のふしみの里は世世ふりにけん
あれまくに−たれほりうゑて−くれたけの−ふしみのさとは−よよふりにけむ |
03326 |
未入力 公相 (xxx)
誰か世よりうゑてその名をととめけんそのふの竹の二むらの里
たかよより−うゑてそのなを−ととめけむ−そのふのたけの−ふたむらのさと |
03327 |
未入力 実雄 (xxx)
里人の竹をりかくるかこひにもすめはすまるる世はしられけり
さとひとの−たけをりかくる−かこひにも−すめはすまるる−よはしられけり |
03328 |
未入力 信覚 (xxx)
聞くやいかに嵐の音もくれ竹のふしみの里の秋の夜の月
きくやいかに−あらしのおとも−くれたけの−ふしみのさとの−あきのよのつき |
03329 |
未入力 為経 (xxx)
夕日さす山の麓の村竹に里をしらせてたつけふりかな
ゆふひさす−やまのふもとの−むらたけに−さとをしらせて−たつけふりかな |
03330 |
未入力 忠定 (xxx)
柴ましる園のくれ竹をりかけて里しめてける誰かかきねそ
しはましる−そののくれたけ−をりかけて−さとしめてける−たれかかきねそ |
03331 |
未入力 資季 (xxx)
世世をへてかきほの竹そしけり行く人もふるさぬ深草の里
よよをへて−かきほのたけそ−しけりゆく−ひともふるさぬ−ふかくさのさと |
03332 |
未入力 頼氏 (xxx)
見渡せは波もかすみて河上のゆつはのむらになひくくれ竹
みわたせは−なみもかすみて−かはかみの−ゆつはのむらに−なひくくれたけ |
03333 |
未入力 有教 (xxx)
よよをへてふりぬる里の籬そといはねとしるくしける呉竹
よよをへて−ふりぬるさとの−まかきそと−いはねとしるく−しけるくれたけ |
03334 |
未入力 師継 (xxx)
玉鉾の里のしるへやこれならん煙に似たる竹のひとむら
たまほこの−さとのしるへや−これならむ−けふりににたる−たけのひとむら |
03335 |
未入力 定嗣 (xxx)
此君のよよに仕へむかしこさをまつてふ里に我としをへて
このきみの−よよにつかへむ−かしこさを−まつてふさとに−われとしをへて |
03336 |
未入力 成実 (xxx)
葉かへせて色はつねなるくれ竹のふしみの里に幾代へぬらん
はかへせて−いろはつねなる−くれたけの−ふしみのさとに−いくよへぬらむ |
03337 |
未入力 蓮性 (xxx)
竹の葉もたもとそほちて唐衣きなれの里は夕露けし
たけのはも−たもとそほちて−からころも−きなれのさとは−ゆふへつゆけし |
03338 |
未入力 顕氏 (xxx)
しめゆひて籬の中にみし竹のあまりもしける里はふりにき
しめゆひて−まかきのうちに−みしたけの−あまりもしける−さとはふりにき |
03339 |
未入力 寂能 (xxx)
誰か里もちひろの竹のかけしけみうゑてや代代の友と成るへき
たかさとも−ちひろのたけの−かけしけみ−うゑてやよよの−ともとなるへき |
03340 |
未入力 為氏 (xxx)
たかさとの家居なるらしかた山の麓にめくる竹のひと村
たかさとの−いへゐなるらし−かたやまの−ふもとにめくる−たけのひとむら |
03341 |
未入力 真観 (xxx)
この山の麓にそみるくれ竹の葉室の里のよよのおも影
このやまの−ふもとにそみる−くれたけの−はむろのさとの−よよのおもかけ |
03342 |
未入力 寂西 (xxx)
草木にもあらぬかきねのかこひして竹の林の里の一むら
くさきにも−あらぬかきねの−かこひして−たけのはやしの−さとのひとむら |
03343 |
未入力 為継 (xxx)
色かへぬ籬の竹をしるへにて人もきなれの里やふりなん
いろかへぬ−まかきのたけを−しるへにて−ひともきなれの−さとやふりなむ |
03344 |
未入力 経朝 (xxx)
くれ竹のふしておほくの夢もみす里吹きこゆる夜はの嵐に
くれたけの−ふしておほくの−ゆめもみす−さとふきこゆる−よはのあらしに |
03345 |
未入力 行家 (xxx)
此里はいく世をへてかくれ竹のあまたふるねのおひかはるらん
このさとは−いくよをへてか−くれたけの−あまたふるねの−おひかはるらむ |
03346 |
未入力 成茂 (xxx)
このさとのかきほの竹のみとりにも代代にかはらぬ影をこそみれ
このさとの−かきほのたけの−みとりにも−よよにかはらぬ−かけをこそみれ |
03347 |
未入力 隆祐 (xxx)
このさとは柴こる山の遠けれは竹の落葉をかかぬ日そなき
このさとは−しはこるやまの−とほけれは−たけのおちはを−かかぬひそなき |
03348 |
未入力 禅信 (xxx)
行末に里はありともしられけりかすかにみゆる竹の一村
ゆくすゑに−さとはありとも−しられけり−かすかにみゆる−たけのひとむら |
03349 |
未入力 高倉 (xxx)
呉竹のふしみのさとは名のみして夢路たえ行く風の音かな
くれたけの−ふしみのさとは−なのみして−ゆめちたえゆく−かせのおとかな |
03350 |
未入力 按察 (xxx)
此さとは人すむへくもみえなくに竹の葉末に煙こそたて
このさとは−ひとすむへくも−みえなくに−たけのはすゑに−けふりこそたて |
03351 |
未入力 帥 (xxx)
風吹けは日もくれ竹の音はしてふしみの里に人はかへりぬ
かせふけは−ひもくれたけの−おとはして−ふしみのさとに−ひとはかへりぬ |
03352 |
未入力 小宰相 (xxx)
里つつき竹のそのふのちかけれはうきふししけき身をやかこたん
さとつつき−たけのそのふの−ちかけれは−うきふししけき−みをやかこたむ |
03353 |
未入力 俊成女 (xxx)
山かつのかきほのさとの竹まても君か御代をそ友と待つらん
やまかつの−かきほのさとの−たけまても−きみかみよをそ−ともとまつらむ |
03354 |
未入力 少将内侍 (xxx)
かりねとはおもふものからくれ竹のふしみの里に世をやすくさん
かりねとは−おもふものから−くれたけの−ふしみのさとに−よをやすくさむ |
03355 |
未入力 弁内侍 (xxx)
みわたせは竹のしけみにかくろへてかきねあらさぬ里の一村
みわたせは−たけのしけみに−かくろへて−かきねあらさぬ−さとのひとむら |
03356 |
未入力 但馬 (xxx)
よよふとも色はかはらしくれ竹のふしみの里に誰かうゑけむ
よよふとも−いろはかはらし−くれたけの−ふしみのさとに−たれかうゑけむ |
03357 |
未入力 下野 (xxx)
雨はれて竹の葉そよく風の音の又誰か里をおとろかすらん
あめはれて−たけのはそよく−かせのおとの−またたかさとを−おとろかすらむ |
03358 |
未入力 御製 (xxx)
たちかへり波はひけとも梓弓いその岩根はつれなかりけり
たちかへり−なみはひけとも−あつさゆみ−いそのいはねは−つれなかりけり |
03359 |
未入力 道助 (xxx)
あらいそや雪にまかひてよる波はいはほにもさく花かあらぬか
あらいそや−ゆきにまかひて−よるなみは−いはほにもさく−はなかあらぬか |
03360 |
未入力 実氏 (xxx)
おきつ風あらきいそへにたつ浪のかへる岩ねにおつる滝つせ
おきつかせ−あらきいそへに−たつなみの−かへるいはねに−おつるたきつせ |
03361 |
未入力 基家 (xxx)
きよみかた磯よりよする白波をかへす岩ほや関となるらん
きよみかた−いそよりよする−しらなみを−かへすいはほや−せきとなるらむ |
03362 |
未入力 家良 (xxx)
しまつとりつはさをかはしゐる岩にあら磯波のよせぬまもなし
しまつとり−つはさをかはし−ゐるいはに−あらいそなみの−よせぬまもなし |
03363 |
未入力 基良 (xxx)
こゆるきの磯のたまもやなひくらん岩うつ波に浦風そふく
こゆるきの−いそのたまもや−なひくらむ−いはうつなみに−うらかせそふく |
03364 |
未入力 隆親 (xxx)
うちよする磯辺の岩はつれなくておのれくたくるおきつ白波
うちよする−いそへのいはは−つれなくて−おのれくたくる−おきつしらなみ |
03365 |
未入力 為家 (xxx)
梓弓いそへのあまはいはつたひひくしほかれにたまもかるらし
あつさゆみ−いそへのあまは−いはつたひ−ひくしほかれに−たまもかるらし |
03366 |
未入力 公相 (xxx)
あま人のかつく袖もやしをるらんあら磯岩にかくるしらなみ
あまひとの−かつくそてもや−しをるらむ−あらいそいはに−かくるしらなみ |
03367 |
未入力 実雄 (xxx)
むかしへやしらす誰か世のさされ石の波うつ磯の岩となるらん
むかしへや−しらすたかよの−さされいしの−なみうついその−いはとなるらむ |
03368 |
未入力 信覚 (xxx)
うなはらや鵜のゐる岩のあら磯にをりしく浪にぬれぬ日そなき
うなはらや−うのゐるいはの−あらいそに−をりしくなみに−ぬれぬひそなき |
03369 |
未入力 為経 (xxx)
しら浪のあら磯たかくよせくるや岩にもさける花とみゆらむ
しらなみの−あらいそたかく−よせくるや−いはにもさける−はなとみゆらむ |
03370 |
未入力 忠定 (xxx)
一夜ねて涙はかけつ磯枕たかそはたてしいはほなるらん
ひとよねて−なみたはかけつ−いそまくら−たかそはたてし−いはほなるらむ |
03371 |
未入力 資季 (xxx)
としふとも色はかはらし岩かねのさしての磯をあらふしら浪
としふとも−いろはかはらし−いはかねの−さしてのいそを−あらふしらなみ |
03372 |
未入力 頼氏 (xxx)
磯つたひこりしく岩の高けれはよせくる波もさきあかるなり
いそつたひ−こりしくいはの−たかけれは−よせくるなみも−さきあかるなり |
03373 |
未入力 有教 (xxx)
朝日影いそなつみおく岩のうへにあまのぬれきぬ重ねてそほす
あさひかけ−いそなつみおく−いはのうへに−あまのぬれきぬ−かさねてそほす |
03374 |
未入力 師継 (xxx)
こゆるきの磯辺に風や立ちぬらんいはほにもさく花のしら波
こゆるきの−いそへにかせや−たちぬらむ−いはほにもさく−はなのしらなみ |
03375 |
未入力 定嗣 (xxx)
よる浪に磯本ゆすり洗出ててはしめてみゆる岩のきよけさ
よるなみに−いそもとゆすり−あらひいてて−はしめてみゆる−いはのきよけさ |
03376 |
未入力 成実 (xxx)
塩みては岩にも浪はこゆるきのいそちまてやは身を恨むへき
しほみては−いはにもなみは−こゆるきの−いそちまてやは−みをうらむへき |
03377 |
未入力 蓮性 (xxx)
しほかれのひかたの磯の波まよりあらはれ出つるはなれいはかな
しほかれの−ひかたのいその−なみまより−あらはれいつる−はなれいはかな |
03378 |
未入力 顕氏 (xxx)
こゆるきの磯の旅ねの岩枕ならはぬ床と夜をあかすかな
こゆるきの−いそのたひねの−いはまくら−ならはぬとこと−よをあかすかな |
03379 |
未入力 寂能 (xxx)
所わく月と浪とのあら磯をいはほにおふるみる人のなき
ところわく−つきとなみとの−あらいそを−いはほにおふる−みるひとのなき |
03380 |
未入力 為氏 (xxx)
君か代に磯辺のまさことしをへて浪うつ岩と今もならなん
きみかよに−いそへのまさこ−としをへて−なみうついはと−いまもならなむ |
03381 |
未入力 真観 (xxx)
身のたくひありけるものか磯まこす波にくほめる岩のかたそは
みのたくひ−ありけるものか−いそまこす−なみにくほめる−いはのかたそは |
03382 |
未入力 寂西 (xxx)
うこきなき岩にくたけて帰る波磯山本のおとひひくなり
うこきなき−いはにくたけて−かへるなみ−いそやまもとの−おとひひくなり |
03383 |
未入力 為継 (xxx)
塩風にあらいそ波のいくかへりくたけても又岩にかくらん
しほかせに−あらいそなみの−いくかへり−くたけてもまた−いはにかくらむ |
03384 |
未入力 経朝 (xxx)
絶えす立つ磯への浪のよるさへにほさぬ岩根の幾世へぬらん
たえすたつ−いそへのなみの−よるさへに−ほさぬいはねの−いくよへぬらむ |
03385 |
未入力 行家 (xxx)
よる波のちちにくたけて岩かねのこりしく磯に玉そみたるる
よるなみの−ちちにくたけて−いはかねの−こりしくいそに−たまそみたるる |
03386 |
未入力 成茂 (xxx)
よせかへるあらいそ波はくたくれとうこかぬ岩はいつもかはらす
よせかへる−あらいそなみは−くたくれと−うこかぬいはは−いつもかはらす |
03387 |
未入力 隆祐 (xxx)
あま人の磯立ちならしあさりせし岩ほの中もいとまなの身や
あまひとの−いそたちならし−あさりせし−いはほのうちも−いとまなのみや |
03388 |
未入力 禅信 (xxx)
浪洗ふ磯辺のいはほとしふれとこけむす程のひまたにもなし
なみあらふ−いそへのいはほ−としふれと−こけむすほとの−ひまたにもなし |
03389 |
未入力 高倉 (xxx)
身をしたふうきは岩ほの中にても磯への波のかけぬまそなき
みをしたふ−うきはいはほの−うちにても−いそへのなみの−かけぬまそなき |
03390 |
未入力 按察 (xxx)
よるなみに袖はぬるともあら磯の岩ほの中は住みうからしな
よるなみに−そてはぬるとも−あらいその−いはほのうちは−すみうからしな |
03391 |
未入力 帥 (xxx)
世中につれなき物はあらいその波まにたてる岩ほなりけり
よのなかに−つれなきものは−あらいその−なみまにたてる−いはほなりけり |
03392 |
未入力 小宰相 (xxx)
いくかへり岩ほかうへにひひくらん浪のをかくるからことのいそ
いくかへり−いはほかうへに−ひひくらむ−なみのをかくる−からことのいそ |
03393 |
未入力 俊成女 (xxx)
たねまきしゑしまか磯の岩のうへに君か千とせを松そ生ひそふ
たねまきし−ゑしまかいその−いはのうへに−きみかちとせを−まつそおひそふ |
03394 |
未入力 少将内侍 (xxx)
おのつからいそなつみにと行く人につらくもかくる岩の波かな
おのつから−いそなつみにと−ゆくひとに−つらくもかくる−いはのなみかな |
03395 |
未入力 弁内侍 (xxx)
たえすのみ波よせつつくいそのうらにくたけぬ岩も幾世へぬらん
たえすのみ−なみよせつつく−いそのうらに−くたけぬいはも−いくよへぬらむ |
03396 |
未入力 但馬 (xxx)
よる浪はおのれくたけてあら磯に幾世年ふる巌なるらん
よるなみは−おのれくたけて−あらいそに−いくよとしふる−いはほなるらむ |
03397 |
未入力 下野 (xxx)
君か代は磯辺の岩ほうこきなくあまのは袖やまれになつらん
きみかよは−いそへのいはほ−うこきなく−あまのはそてや−まれになつらむ |
03398 |
未入力 御製 (xxx)
をくろさきみつの小島にあさりするたつそ鳴くなる波立つらしも
をくろさき−みつのこしまに−あさりする−たつそなくなる−なみたつらしも |
03399 |
未入力 道助 (xxx)
きてみれはたみのの島の村雨にまなくぬれそふ鶴の毛衣
きてみれは−たみののしまの−むらさめに−まなくぬれそふ−つるのけころも |
03400 |
未入力 実氏 (xxx)
すむ鶴も千代にちとせやかさぬらん岩根におふる松か浦島
すむつるも−ちよにちとせや−かさぬらむ−いはねにおふる−まつかうらしま |
03401 |
未入力 基家 (xxx)
玉津島みかくみことにあふ鶴はふりてや家の道もひらけん
たまつしま−みかくみことに−あふつるは−ふりてやいへの−みちもひらけむ |
03402 |
未入力 家良 (xxx)
かたの浦はなれこしまの塩のまに夕あさりするたつそ鳴くなる
かたのうら−はなれこしまの−しほのまに−ゆふあさりする−たつそなくなる |
03403 |
未入力 基良 (xxx)
浪かくるおきのこしまに鳴く鶴の子をおもふ声は身にしられつつ
なみかくる−おきのこしまに−なくつるの−こをおもふこゑは−みにしられつつ |
03404 |
未入力 隆親 (xxx)
庭の池の中なる島にむれゐつつ万代よはふたつのもろ声
にはのいけの−なかなるしまに−むれゐつつ−よろつよよはふ−たつのもろこゑ |
03405 |
未入力 為家 (xxx)
いかにして月待つ島になく鶴の心のやみをはやはるけまし
いかにして−つきまつしまに−なくつるの−こころのやみを−はやはるけまし |
03406 |
未入力 公相 (xxx)
あかしかたたなひく空の朝霧に島かくれなくたつのもろこゑ
あかしかた−たなひくそらの−あさきりに−しまかくれなく−たつのもろこゑ |
03407 |
未入力 実雄 (xxx)
白妙の鶴の毛衣きてみれはたみののしまに浪そかけける
しろたへの−つるのけころも−きてみれは−たみののしまに−なみそかけける |
03408 |
未入力 信覚 (xxx)
玉津島あしへによするかたをなみ夜そかなしきたつの諸声
たまつしま−あしへによする−かたをなみ−よるそかなしき−たつのもろこゑ |
03409 |
未入力 為経 (xxx)
淡路島山の端ちかき月影にとわたるたつの声のさやけさ
あはちしま−やまのはちかき−つきかけに−とわたるたつの−こゑのさやけさ |
03410 |
未入力 忠定 (xxx)
みしま行くあらいそなみは帰れともしほひにのこるたつの一声
みしまゆく−あらいそなみは−かへれとも−しほひにのこる−たつのひとこゑ |
03411 |
未入力 資季 (xxx)
おきつ島塩風いかにさむからし霜おきまよふ鶴の毛衣
おきつしま−しほかせいかに−さむからし−しもおきまよふ−つるのけころも |
03412 |
未入力 頼氏 (xxx)
子をおもふ声もまかはし塩かれのみしまかくれの松のとも鶴
こをおもふ−こゑもまかはし−しほかれの−みしまかくれの−まつのともつる |
03413 |
未入力 有教 (xxx)
あま衣たみののしまの夕波にぬれて千代そふたつの諸声
あまころも−たみののしまの−ゆふなみに−ぬれてちよそふ−たつのもろこゑ |
03414 |
未入力 師継 (xxx)
あしたつの霜の毛衣さえにけりたみののしまの名にはかくれす
あしたつの−しものけころも−さえにけり−たみののしまの−なにはかくれす |
03415 |
未入力 定嗣 (xxx)
君か代を幾万代と住む鶴はいはひしまよりいはひ来つらし
きみかよを−いくよろつよと−すむつるは−いはひしまより−いはひきつらし |
03416 |
未入力 成実 (xxx)
友鶴のむれゐし事は昔にてみ島かくれに音をのみそなく
ともつるの−むれゐしことは−むかしにて−みしまかくれに−ねをのみそなく |
03417 |
未入力 蓮性 (xxx)
あはしまのまなこにたてる白鶴のしものつはさも年ふりぬらん
あはしまの−まなこにたてる−しらつるの−しものつはさも−としふりぬらむ |
03418 |
未入力 顕氏 (xxx)
篠島の跡のしら波たつそなく住むやみきはの夜寒なるらん
ささしまの−あとのしらなみ−たつそなく−すむやみきはの−よさむなるらむ |
03419 |
未入力 寂能 (xxx)
わたつ海の島のあら磯に住むたつも月のてしほの風いたむなり
わたつうみの−しまのあらいそに−すむたつも−つきのてしほの−かせいたむなり |
03420 |
未入力 為氏 (xxx)
あま衣たみののしまの夕塩に千とせをさしてたつそ鳴くなる
あまころも−たみののしまの−ゆふしほに−ちとせをさして−たつそなくなる |
03421 |
未入力 真観 (xxx)
雨によりみのしまみれはしほのまにみかさをちかみたつなき渡る
あめにより−みのしまみれは−しほのまに−みかさをちかみ−たつなきわたる |
03422 |
未入力 寂西 (xxx)
人目みぬはなれ小島のさひしきに鶴のねふりもたよりあるらし
ひとめみぬ−はなれこしまの−さひしきに−つるのねふりも−たよりあるらし |
03423 |
未入力 為継 (xxx)
あしたつのたてるやいつこ島かくれ浪の絶まは声はかりして
あしたつの−たてるやいつこ−しまかくれ−なみのたえまは−こゑはかりして |
03424 |
未入力 経朝 (xxx)
朝なきの塩風すさむしまかけにをはうちはふききゐるあしたつ
あさなきの−しほかせすさふ−しまかけに−をはうちはふき−きゐるあしたつ |
03425 |
未入力 行家 (xxx)
かちしまの磯吹越ゆるしほ風に夕波さむみたつそなくなる
かちしまの−いそふきこゆる−しほかせに−ゆふなみさむみ−たつそなくなる |
03426 |
未入力 成茂 (xxx)
夕波に塩みちくれはあかしかた島つたひ行くたつそ鳴くなる
ゆふなみに−しほみちくれは−あかしかた−しまつたひゆく−たつそなくなる |
03427 |
未入力 隆祐 (xxx)
くるる夜の島かくれなるあしたつも世にたちまはぬ音をや鳴くらん
くるるよの−しまかくれなる−あしたつも−よにたちまはぬ−ねをやなくらむ |
03428 |
未入力 禅信 (xxx)
あしたつのなくねも遠くきこゆなり波しつかなる松かうらしま
あしたつの−なくねもとほく−きこゆなり−なみしつかなる−まつかうらしま |
03429 |
未入力 高倉 (xxx)
浪かかるおきのこしまにあしたつの思ひみたれてうき音鳴くなり
なみかかる−おきのこしまに−あしたつの−おもひみたれて−うきねなくなり |
03430 |
未入力 按察 (xxx)
はるかなる千代をかけてやひめしまの小松かうへにたつもなくらん
はるかなる−ちよをかけてや−ひめしまの−こまつかうへに−たつもなくらむ |
03431 |
未入力 帥 (xxx)
ゆふされは塩風さむみなくたつををしまのあまはいかか聞くらん
ゆふされは−しほかせさむみ−なくたつを−をしまのあまは−いかかきくらむ |
03432 |
未入力 小宰相 (xxx)
淡路島波もてゆへる山かけに心とけたるとも鶴の声
あはちしま−なみもてゆへる−やまかけに−こころとけたる−ともつるのこゑ |
03433 |
未入力 俊成女 (xxx)
いはひつつ君か代まてと松島におりゐるたつも声そかたらふ
いはひつつ−きみかよまてと−まつしまに−おりゐるたつも−こゑそかたらふ |
03434 |
未入力 少将内特 (xxx)
あしたつの声するかたやつの国のたみののしまのしほひなるらん
あしたつの−こゑするかたや−つのくにの−たみののしまの−しほひなるらむ |
03435 |
未入力 弁内侍 (xxx)
心ありて鳴くにはあらしをくろさきみつの小島のたつの諸声
こころありて−なくにはあらし−をくろさき−みつのこしまの−たつのもろこゑ |
03436 |
未入力 但馬 (xxx)
きても猶たみのの島のかひやなき霜をかさぬる鶴の毛衣
きてもなほ−たみののしまの−かひやなき−しもをかさぬる−つるのけころも |
03437 |
未入力 下野 (xxx)
伊勢島やしほひにあさるあしたつのいふかひもなき音のみなかれて
いせしまや−しほひにあさる−あしたつの−いふかひもなき−ねのみなかれて |
03438 |
未入力 御製 (xxx)
篠の葉のさやく霜夜は水くきの岡のやかたにふしそわつらふ
ささのはの−さやくしもよは−みつくきの−をかのやかたに−ふしそわつらふ |
03439 |
未入力 道助 (xxx)
露おもみもとく立行く篠のはを分くる岡辺の袖もかわかす
つゆおもみ−もとくたちゆく−ささのはを−わくるをかへの−そてもかわかす |
03440 |
未入力 実氏 (xxx)
風わたるをかへの庵のささ枕なれぬる露はなみたともなし
かせわたる−をかへのいほの−ささまくら−なれぬるつゆは−なみたともなし |
03441 |
未入力 基家 (xxx)
よひよひにささわくる袖は露おちて誰かしのひの岡のかよひち
よひよひに−ささわくるそては−つゆおちて−たれかしのひの−をかのかよひち |
03442 |
未入力 家良 (xxx)
嵐吹くさのの岡への朝露に篠分ころもぬれつつそゆく
あらしふく−さののをかへの−あさつゆに−ささわけころも−ぬれつつそゆく |
03443 |
未入力 基良 (xxx)
篠竹のいく夜の霜か岩代の岡の草根にむすほほるらん
ささたけの−いくよのしもか−いはしろの−をかのくさねに−むすほほるらむ |
03444 |
未入力 隆親 (xxx)
岡の辺のしののをささに風過きてxxxみえてそ露はこほるる
をかのへの−しののをささに−かせすきて−xxxみえてそ−つゆはこほるる |
03445 |
未入力 為家 (xxx)
夕つくひさすやむかひの岡のへにみかくれわたる露の玉篠
ゆふつくひ−さすやむかひの−をかのへに−みかくれわたる−つゆのたまささ |
03446 |
未入力 公相 (xxx)
枕ゆふ袖さへぬれぬ水くきのをかのやかたの露のたまささ
まくらゆふ−そてさへぬれぬ−みつくきの−をかのやかたの−つゆのたまささ |
03447 |
未入力 実雄 (xxx)
山風のならしの岡の小篠原そよとはいかてこたへそめけん
やまかせの−ならしのをかの−をささはら−そよとはいかて−こたへそめけむ |
03448 |
未入力 信覚 (xxx)
水茎の岡のやかたのをささはら露のふりはもまたみとりなり
みつくきの−をかのやかたの−をささはら−つゆのふりはも−またみとりなり |
03449 |
未入力 為経 (xxx)
水くきの岡のやかたの小篠原また住みなれぬ程そ住みうき
みつくきの−をかのやかたの−をささはら−またすみなれぬ−ほとそすみうき |
03450 |
未入力 忠定 (xxx)
朝夕にむすへはおつるしら露の小篠かしたや水くきのをか
あさゆふに−むすへはおつる−しらつゆの−をささかしたや−みつくきのをか |
03451 |
未入力 資季 (xxx)
みつくきの岡のかやねの冬枯にみとりの色をのこす玉篠
みつくきの−をかのかやねの−ふゆかれに−みとりのいろを−のこすたまささ |
03452 |
未入力 頼氏 (xxx)
夏ちかく春は成りぬと衣ほすしつかかきねの岡の篠原
なつちかく−はるはなりぬと−ころもほす−しつかかきねの−をかのささはら |
03453 |
未入力 有教 (xxx)
いほりさす岡の篠原一よたにかりそめふしはさそな露けき
いほりさす−をかのささはら−ひとよたに−かりそめふしは−さそなつゆけき |
03454 |
未入力 師継 (xxx)
さのの岡人やこえけん秋風の篠のはさやき寒き在明
さののをか−ひとやこえけむ−あきかせの−ささのはさやき−さむきありあけ |
03455 |
未入力 定嗣 (xxx)
千代ふへき亀の岡なる小篠原うれしきふしのしけき比かな
ちよふへき−かめのをかなる−をささはら−うれしきふしの−しけきころかな |
03456 |
未入力 成実 (xxx)
岡のへの篠分くるあさの袖の露又いかさまにほしかわふらん
をかのへの−ささわくるあさの−そてのつゆ−またいかさまに−ほしかわふらむ |
03457 |
未入力 蓮性 (xxx)
今夜もやさののをかへの秋風に篠葉かりしきひとりかもねん
こよひもや−さののをかへの−あきかせに−ささはかりしき−ひとりかもねむ |
03458 |
未入力 顕氏 (xxx)
とねりこか袖も露けしとも岡のしけきささふのゆくさきるさに
とねりこか−そてもつゆけし−ともをかの−しけきささふの−ゆくさきるさに |
03459 |
未入力 寂能 (xxx)
初霜の岡の篠生にふしわひていく夜に成りぬ夢をたに見す
はつしもの−をかのささふに−ふしわひて−いくよになりぬ−ゆめをたにみす |
03460 |
未入力 為氏 (xxx)
露しけきをかへの小篠をりふしに我か世を何と思ひわたらむ
つゆしけき−をかへのをささ−をりふしに−わかよをなにと−おもひわたらむ |
03461 |
未入力 真観 (xxx)
篠わくる君よひかへせふる里のならしのをかの鳥の音ならは
ささわくる−きみよひかへせ−ふるさとの−ならしのをかの−とりのねならは |
03462 |
未入力 寂西 (xxx)
岡のへにややかりつくすみま草のつかねにましる篠の一村
をかのへに−ややかりつくす−みまくさの−つかねにましる−ささのひとむら |
03463 |
未入力 為継 (xxx)
今夜もや岡のやかたの篠枕忘れぬふしにやとをかるらん
こよひもや−をかのやかたの−ささまくら−わすれぬふしに−やとをかるらむ |
03464 |
未入力 経朝 (xxx)
夕霜のをかへの草はかれにしを猶うちさやく露のたまささ
ゆふしもの−をかへのくさは−かれにしを−なほうちさやく−つゆのたまささ |
03465 |
未入力 行家 (xxx)
わけゆかは袖そしをれんかた岡のあした露けき道の篠原
わけゆかは−そてそしをれむ−かたをかの−あしたつゆけき−みちのささはら |
03466 |
未入力 成茂 (xxx)
かりねする岡のやかたのささ枕さやく霜夜の風のさむけさ
かりねする−をかのやかたの−ささまくら−さやくしもよの−かせのさむけさ |
03467 |
未入力 隆祐 (xxx)
朝霜のむらむらきゆる篠の葉にきりふの岡の名こそかくれね
あさしもの−むらむらきゆる−ささのはに−きりふのをかの−なこそかくれね |
03468 |
未入力 禅信 (xxx)
露むすふ跡たにみえす水くきの岡の篠原秋かせそふく
つゆむすふ−あとたにみえす−みつくきの−をかのささはら−あきかせそふく |
03469 |
未入力 高倉 (xxx)
水くきの岡のこささに露きえてたのむかたなく秋風そふく
みつくきの−をかのこささに−つゆきえて−たのむかたなく−あきかせそふく |
03470 |
未入力 按察 (xxx)
ここにしもなにしけるらむ玉篠やうきふししけきかた恋のをか
ここにしも−なにしけるらむ−たまささや−うきふししけき−かたこひのをか |
03471 |
未入力 帥 (xxx)
暮れかかるなかゐの岡をきてみれは露のみしけき小篠原かな
くれかかる−なかゐのをかを−きてみれは−つゆのみしけき−をささはらかな |
03472 |
未入力 小宰相 (xxx)
みつくきの岡の篠原うちそよきふみかよひける程は見えつつ
みつくきの−をかのささはら−うちそよき−ふみかよひける−ほとはみえつつ |
03473 |
未入力 俊成女 (xxx)
そめそおくやしほの岡の玉篠も君か八千代の末の緑を
そめそおく−やしほのをかの−たまささも−きみかやちよの−すゑのみとりを |
03474 |
未入力 少将内侍 (xxx)
かた岡の朝の露に風過きてそよく小篠の音のはけしさ
かたをかの−あしたのつゆに−かせすきて−そよくをささの−おとのはけしさ |
03475 |
未入力 弁内侍 (xxx)
岡のいほにねての朝けの露消えて嵐もさむき篠の音かな
をかのいほに−ねてのあさけの−つゆきえて−あらしもさむき−ささのおとかな |
03476 |
未入力 但馬 (xxx)
かりそめの今夜はかりのやととへはえそ岩代のをかの篠はら
かりそめの−こよひはかりの−やととへは−えそいはしろの−をかのささはら |
03477 |
未入力 下野 (xxx)
とねりこもうたはたもとそぬれぬへき朝露ふかしとも岡の篠
とねりこも−うたはたもとそ−ぬれぬへき−あさつゆふかし−ともをかのささ |
03478 |
未入力 御製 (xxx)
霜かれの入江になひくなかれあしのしつむ下葉は色もかはらす
しもかれの−いりえになひく−なかれあしの−しつむしたはは−いろもかはらす |
03479 |
未入力 道助 (xxx)
三島江の玉えの蘆のみこもりになかなかしねを誰かしるらん
みしまえの−たまえのあしの−みこもりに−なかなかしねを−たれかしるらむ |
03480 |
未入力 実氏 (xxx)
難波かた葦の下根のいかにして入江にしける草と成りけむ
なにはかた−あしのしたねの−いかにして−いりえにしける−くさとなりけむ |
03481 |
未入力 基家 (xxx)
みかくれて玉江を人や波るらんなひくにしるしきしのあしはら
みかくれて−たまえをひとや−なみるらむ−なひくにしるし−きしのあしはら |
03482 |
未入力 家良 (xxx)
ほにいつるうきねのふしのしけけれはつたのほそ江の草かくれつつ
ほにいつる−うきねのふしの−しけけれは−つたのほそえの−くさかくれつつ |
03483 |
未入力 基良 (xxx)
なこのえに蘆の葉そよく湊風今夜も波にさむくふくらし
なこのえに−あしのはそよく−みなとかせ−こよひもなみに−さむくふくらし |
03484 |
未入力 隆親 (xxx)
難波江やかりしく人のしけけれはみしかき蘆はふしのまもなし
なにはえや−かりしくひとの−しけけれは−みしかきあしは−ふしのまもなし |
03485 |
未入力 為家 (xxx)
えにしあれはなにはの蘆根よしや我かうきふしふしも世世のむくいそ
えにしあれは−なにはのあしね−よしやわか−うきふしふしも−よよのむくいそ |
03486 |
未入力 公相 (xxx)
なにはかたいりえの塩やみちぬらし末葉そ残る葦のむらたち
なにはかた−いりえのしほや−みちぬらし−すゑはそのこる−あしのむらたち |
03487 |
未入力 実雄 (xxx)
なにはえに夕塩遠く満ちぬらしみらくすくなきあしの村立
なにはえに−ゆふしほとほく−みちぬらし−みらくすくなき−あしのむらたち |
03488 |
未入力 信覚 (xxx)
難波江やあしのよのまもまとろまて秋の涙を袖にせくかな
なにはえや−あしのよのまも−まとろまて−あきのなみたを−そてにせくかな |
03489 |
未入力 為経 (xxx)
なにはかた古江の蘆のしをれ葉のよをへて波の下に朽ちぬる
なにはかた−ふるえのあしの−しをれはの−よをへてなみの−したにくちぬる |
03490 |
未入力 忠定 (xxx)
おのれのみ思ひ入江にくちはてて枯葉の蘆根ひく人もなし
おのれのみ−おもひいりえに−くちはてて−かれはのあしね−ひくひともなし |
03491 |
未入力 資季 (xxx)
なにはえやなかれて早き夕塩にみきはのあしのかたなひきなる
なにはえや−なかれてはやき−ゆふしほに−みきはのあしの−かたなひきなる |
03492 |
未入力 頼氏 (xxx)
なには江のあしのうら葉に契りけるたか帰るさを誰にとはまし
なにはえの−あしのうらはに−ちきりける−たかかへるさを−たれにとはまし |
03493 |
未入力 有教 (xxx)
あさみとり浪まにふかき色見えて若葉さしそふみしま江の蘆
あさみとり−なみまにふかき−いろみえて−わかはさしそふ−みしまえのあし |
03494 |
未入力 師継 (xxx)
三島江の玉えの蘆をかりにきてふしうきよはも夢は見えけり
みしまえの−たまえのあしを−かりにきて−ふしうきよはも−ゆめはみえけり |
03495 |
未入力 定嗣 (xxx)
おしてるや難波ほりえを今みれは世をあしはらそにきはひにける
おしてるや−なにはほりえを−いまみれは−よをあしはらそ−にきはひにける |
03496 |
未入力 成実 (xxx)
難波江の塩の末葉のをれかへりいくたひ波のかけて洗はん
なにはえの−しほのすゑはの−をれかへり−いくたひなみの−かけてあらはむ |
03497 |
未入力 蓮性 (xxx)
葦の葉のしけみに露をぬきかへて玉つくり江に村雨そふる
あしのはの−しけみにつゆを−ぬきかへて−たまつくりえに−むらさめそふる |
03498 |
未入力 顕氏 (xxx)
あさきえに根はあらはれてなかれ蘆の塩のみちひのたより待ちけり
あさきえに−ねはあらはれて−なかれあしの−しほのみちひの−たよりまちけり |
03499 |
未入力 寂能 (xxx)
夕なみのしほひにひろふ玉江かたあしまの月やなほみかきけむ
ゆふなみの−しほひにひろふ−たまえかた−あしまのつきや−なほみかきけむ |
03500 |
未入力 為氏 (xxx)
みこもりの入江にしける蘆の根のうきにつけては世をたのみつつ
みこもりの−いりえにしける−あしのねの−うきにつけては−よをたのみつつ |
03501 |
未入力 真観 (xxx)
にこりえに今は枯れたる蘆の根のしたはふへしとおもひやはせし
にこりえに−いまはかれたる−あしのねの−したはふへしと−おもひやはせし |
03502 |
未入力 寂西 (xxx)
なとかかるえにしあれはか難波なるみをの蘆根はうくかたもなき
なとかかる−えにしあれはか−なにはなる−みをのあしねは−うくかたもなき |
03503 |
未入力 為継 (xxx)
難波江や浪にもそよく蘆のはを又しほ風のたえすふくらん
なにはえや−なみにもそよく−あしのはを−またしほかせの−たえすふくらむ |
03504 |
未入力 経朝 (xxx)
なにはえや風さえくらす夕霜に蘆の葉しろくいつる月影
なにはえや−かせさえくらす−ゆふしもに−あしのはしろく−いつるつきかけ |
03505 |
未入力 行家 (xxx)
風わたるなこの入えの夕塩にあしのはしをれよするしらなみ
かせわたる−なこのいりえの−ゆふしほに−あしのはしをれ−よするしらなみ |
03506 |
未入力 成茂 (xxx)
なにはかた蘆の枯葉そかくれ行く入江の塩やたかくみつらん
なにはかた−あしのかれはそ−かくれゆく−いりえのしほや−たかくみつらむ |
03507 |
未入力 隆祐 (xxx)
あらはるる難波の蘆のことのはもおなし入えに又やしつまん
あらはるる−なにはのあしの−ことのはも−おなしいりえに−またやしつまむ |
03508 |
未入力 禅信 (xxx)
さすしほの入江の蘆は波越えてかりほす袖のぬるるかほなる
さすしほの−いりえのあしは−なみこえて−かりほすそての−ぬるるかほなる |
03509 |
未入力 高倉 (xxx)
わひつつはいりえのあしのねをたえてさそふ水をも今は待つかな
わひつつは−いりえのあしの−ねをたえて−さそふみつをも−いまはまつかな |
03510 |
未入力 按察 (xxx)
なにはえや何につけても蘆の根のうき身の程そあはれなりける
なにはえや−なににつけても−あしのねの−うきみのほとそ−あはれなりける |
03511 |
未入力 帥 (xxx)
塩のひる程をも待たすなにはえやあしかる人の見えもするかな
しほのひる−ほとをもまたす−なにはえや−あしかるひとの−みえもするかな |
03512 |
未入力 小宰相 (xxx)
なにはえや風吹きすさむ蘆の葉にすみうかりけん昔をそ思ふ
なにはえや−かせふきすさふ−あしのはに−すみうかりけむ−むかしをそおもふ |
03513 |
未入力 俊成女 (xxx)
波よする入えにたてる乱蘆のおきふしいはふ君か御代かな
なみよする−いりえにたてる−みたれあしの−おきふしいはふ−きみかみよかな |
03514 |
未入力 少将内侍 (xxx)
難波人磯辺をわけてあしたゆくおなし入江にからぬ日もなし
なにはひと−いそへをわけて−あしたゆく−おなしいりえに−からぬひもなし |
03515 |
未入力 弁内侍 (xxx)
なにはかた汀のあしはからしたた入江の浪に袖ぬらすなり
なにはかた−みきはのあしは−からしたた−いりえのなみに−そてぬらすなり |
03516 |
未入力 但馬 (xxx)
うしとのみ世にすみわひぬにこりえの蘆間の波にさわく水鳥
うしとのみ−よにすみわひぬ−にこりえの−あしまのなみに−さわくみつとり |
03517 |
未入力 下野 (xxx)
乱蘆のしをれてのみそ年はふる身のうきふしをおもふ入江に
みたれあしの−しをれてのみそ−としはふる−みのうきふしを−おもふいりえに |
03518 |
未入力 御製 (xxx)
朝日さすかたの浦風しつかにてけふは出てそふあまのつり船
あさひさす−かたのうらかせ−しつかにて−けふはいてそふ−あまのつりふね |
03519 |
未入力 道助 (xxx)
いもか島かたみの浦のもかり舟よるへも見えす波のまにまに
いもかしま−かたみのうらの−もかりふね−よるへもみえす−なみのまにまに |
03520 |
未入力 実氏 (xxx)
さそはるる波のゆききにとしもへぬあまのなかせるうらの捨舟
さそはるる−なみのゆききに−としもへぬ−あまのなかせる−うらのすてふね |
03521 |
未入力 基家 (xxx)
はるはるとつりする舟もあまさかるひなの浪路をおくる浦風
はるはると−つりするふねも−あまさかる−ひなのなみちを−おくるうらかせ |
03522 |
未入力 家良 (xxx)
おしてるやあまのすてたるなには舟浦のしほひに朽ちのこりつつ
おしてるや−あまのすてたる−なにはふね−うらのしほひに−くちのこりつつ |
03523 |
未入力 基良 (xxx)
友船のこきわかれ行くいもかしまのこるかたみの浦そさひしき
ともふねの−こきわかれゆく−いもかしま−のこるかたみの−うらそさひしき |
03524 |
未入力 隆親 (xxx)
へたて行く霞の浦のなみまよりそれともみえぬあまの釣ふね
へたてゆく−かすみのうらの−なみまより−それともみえぬ−あまのつりふね |
03525 |
未入力 為家 (xxx)
和歌の浦身そうき波のあまを舟さすかかさなる跡なわすれそ
わかのうら−みそうきなみの−あまをふね−さすかかさなる−あとなわすれそ |
03526 |
未入力 公相 (xxx)
浪たたぬ浦の朝なきはるはると遠さかり行くおきのとも舟
なみたたぬ−うらのあさなき−はるはると−とほさかりゆく−おきのともふね |
03527 |
未入力 実雄 (xxx)
四の海をさまれる代ののとけさを浦こく舟も思ひしるらん
よつのうみ−をさまれるよの−のとけさを−うらこくふねも−おもひしるらむ |
03528 |
未入力 信覚 (xxx)
あはちしまこき行く舟のほのみえて遠ちにわたる跡のしらなみ
あはちしま−こきゆくふねの−ほのみえて−とほちにわたる−あとのしらなみ |
03529 |
未入力 為経 (xxx)
吹く風のをふの浦波たよりにやたななしを舟さして行くらん
ふくかせの−をふのうらなみ−たよりにや−たななしをふね−さしてゆくらむ |
03530 |
未入力 忠定 (xxx)
うきなからいかになるみのうら風にたゆたふ舟のゆくへしらせよ
うきなから−いかになるみの−うらかせに−たゆたふふねの−ゆくへしらせよ |
03531 |
未入力 資季 (xxx)
わたのはら浦わの波のたたぬまにはるかに出つるあまのつり舟
わたのはら−うらわのなみの−たたぬまに−はるかにいつる−あまのつりふね |
03532 |
未入力 頼氏 (xxx)
すまのうらや誰に恋ひねとうきねする波の枕によするつり舟
すまのうらや−たれにこひねと−うきねする−なみのまくらに−よするつりふね |
03533 |
未入力 有教 (xxx)
塩たるるあまのすて舟うきなからひく人なしにとしをつむかな
しほたるる−あまのすてふね−うきなから−ひくひとなしに−としをつむかな |
03534 |
未入力 師継 (xxx)
もも舟のかちおとたかくきこゆなりみぬめの浦にさ夜やふくらん
ももふねの−かちおとたかく−きこゆなり−みぬめのうらに−さよやふくらむ |
03535 |
未入力 定嗣 (xxx)
きの国のさかひの浦のあまを舟おきつもかりにこき出つるみゆ
きのくにの−さかひのうらの−あまをふね−おきつもかりに−こきいつるみゆ |
03536 |
未入力 成実 (xxx)
しほかまの浦こく舟のつなてなはひく人もなき身をいかにせん
しほかまの−うらこくふねの−つなてなは−ひくひともなき−みをいかにせむ |
03537 |
未入力 蓮性 (xxx)
あしろすきむすふの浦の朝日影はるかに出つるあまのうけ舟
あしろすき−むすふのうらの−あさひかけ−はるかにいつる−あまのうけふね |
03538 |
未入力 顕氏 (xxx)
吹きつたふ和歌の浦風絶えすしてなほ人なみに出つるあまふね
ふきつたふ−わかのうらかせ−たえすして−なほひとなみに−いつるあまふね |
03539 |
未入力 寂能 (xxx)
すみよしのちらぬ松吹くうらかせにうかふ木の葉のあまの釣ふね
すみよしの−ちらぬまつふく−うらかせに−うかふこのはの−あまのつりふね |
03540 |
未入力 為氏 (xxx)
浦波のたよりもしらぬあまを舟うきなからこそ世を渡りけれ
うらなみの−たよりもしらぬ−あまをふね−うきなからこそ−よをわたりけれ |
03541 |
未入力 真観 (xxx)
波も風も音せぬ比の朝なきに船をうけたるみつの浦人
なみもかせも−おとせぬころの−あさなきに−ふねをうけたる−みつのうらひと |
03542 |
未入力 寂西 (xxx)
み舟こき和歌の浦路にいて我を人なとかめそ波の数なり
みふねこき−わかのうらちに−いてわれを−ひとなとかめそ−なみのかすなり |
03543 |
未入力 為継 (xxx)
こき出つる浦路はるかに成りにけりかち音遠しおきつふな人
こきいつる−うらちはるかに−なりにけり−かちおととほし−おきつふなひと |
03544 |
未入力 経朝 (xxx)
あまのすむうらみにくちぬいたつらにとしをのみつむなたのすて舟
あまのすむ−うらみにくちぬ−いたつらに−としをのみつむ−なたのすてふね |
03545 |
未入力 行家 (xxx)
むこの浦のしほせをはやみこく舟のかち音遠く声そきこゆる
むこのうらの−しほせをはやみ−こくふねの−かちおととほく−こゑそきこゆる |
03546 |
未入力 成茂 (xxx)
からさきやきよき浦わにこきかへり神の御舟の跡をしそおもふ
からさきや−きよきうらわに−こきかへり−かみのみふねの−あとをしそおもふ |
03547 |
未入力 隆祐 (xxx)
思ひきや玉しく和歌の浦風に身をうきふねのいてん物とは
おもひきや−たましくわかの−うらかせに−みをうきふねの−いてむものとは |
03548 |
未入力 禅信 (xxx)
高砂や松風たゆむ朝なきに出てんといそく浦のつりふね
たかさこや−まつかせたゆむ−あさなきに−いてむといそく−うらのつりふね |
03549 |
未入力 高倉 (xxx)
かち枕いく夜あかしの浦風に友よふ舟そ波によすなる
かちまくら−いくよあかしの−うらかせに−ともよふふねそ−なみによすなる |
03550 |
未入力 按察 (xxx)
うきをのみしのふの浦に舟出してなきたるあさの我か身かなしも
うきをのみ−しのふのうらに−ふなてして−なきたるあさの−わかみかなしも |
03551 |
未入力 帥 (xxx)
朝夕に浦つたひするあまを舟いつくかさしてとまりなるらん
あさゆふに−うらつたひする−あまをふね−いつくかさして−とまりなるらむ |
03552 |
未入力 小宰相 (xxx)
霧深き浦路はるかに行く舟の風にまかする跡もはかなき
きりふかき−うらちはるかに−ゆくふねの−かせにまかする−あともはかなき |
03553 |
未入力 俊成女 (xxx)
四方の浦にこき行く舟のふな人も君をそいのるやほ万代と
よものうらに−こきゆくふねの−ふなひとも−きみをそいのる−やほよろつよと |
03554 |
未入力 少将内侍 (xxx)
浦風は吹きこそたゆめ朝なきの舟人いかにこきはなるらむ
うらかせは−ふきこそたゆめ−あさなきの−ふなひといかに−こきはなるらむ |
03555 |
未入力 弁内侍 (xxx)
浪まより朝こく舟の見えつるは塩のひぬまの浦路なりけり
なみまより−あさこくふねの−みえつるは−しほのひぬまの−うらちなりけり |
03556 |
未入力 但馬 (xxx)
人なみに誰かはかけん和歌の浦やよるへなきさのあまの捨船
ひとなみに−たれかはかけむ−わかのうらや−よるへなきさの−あまのすてふね |
03557 |
未入力 下野 (xxx)
世をわたる人の心をみくまののうらみかちなるあまのつり舟
よをわたる−ひとのこころを−みくまのの−うらみかちなる−あまのつりふね |
03558 |
未入力 御製 (xxx)
をののえも朽木の杣の山人は世をつくしてや宮木ひくらし
をののえも−くちきのそまの−やまひとは−よをつくしてや−みやきひくらし |
03559 |
未入力 道助 (xxx)
行きかよふ跡こそ見えねそま山のしけき木かけのたのみかたさよ
ゆきかよふ−あとこそみえね−そまやまの−しけきこかけの−たのみかたさよ |
03560 |
未入力 実氏 (xxx)
世中はいつみの杣木とるたみもふるきをさきにひきおこさなむ
よのなかは−いつみのそまき−とるたみも−ふるきをさきに−ひきおこさなむ |
03561 |
未入力 基家 (xxx)
雲かかるまきもひはらもたかしまのみをの杣山いく世へぬらん
くもかかる−まきもひはらも−たかしまの−みをのそまやま−いくよへぬらむ |
03562 |
未入力 家良 (xxx)
山ふかみ宮木ひくてふ杣人のねりそのつなのいかかくるしき
やまふかみ−みやきひくてふ−そまひとの−ねりそのつなの−いかかくるしき |
03563 |
未入力 基良 (xxx)
今は又身さへ朽木のそま山に何ことのはをかきあつむらん
いまはまた−みさへくちきの−そまやまに−なにことのはを−かきあつむらむ |
03564 |
未入力 隆親 (xxx)
宮木ひく杣山人よこととはん風にもれたる花やのこると
みやきひく−そまやまひとよ−こととはむ−かせにもれたる−はなやのこると |
03565 |
未入力 為家 (xxx)
つらきかな山の杣木のわれなからうつすみなはにひかぬ心は
つらきかな−やまのそまきの−われなから−うつすみなはに−ひかぬこころは |
03566 |
未入力 公相 (xxx)
朝夕にみをの杣山たつたみの宮木ひくとや身をしをるらん
あさゆふに−みをのそまやま−たつたみの−みやきひくとや−みをしをるらむ |
03567 |
未入力 実雄 (xxx)
梓弓いつみのそまの山人のやむときもなく宮木ひくらし
あつさゆみ−いつみのそまの−やまひとの−やむときもなく−みやきひくらし |
03568 |
未入力 信覚 (xxx)
立ちなるる杣山河の瀬を早みくたす筏もさをのまそなき
たちなるる−そまやまかはの−せをはやみ−くたすいかたも−さをのまそなき |
03569 |
未入力 為経 (xxx)
をのの音に山ひこたかくこたふなり嶺のひはらに杣木こるらし
をののおとに−やまひこたかく−こたふなり−みねのひはらに−そまきこるらし |
03570 |
未入力 忠定 (xxx)
嵐さへおろしてかかるそま山のかた夕くれはくたけてそ思ふ
あらしさへ−おろしてかかる−そまやまの−かたゆふくれは−くたけてそおもふ |
03571 |
未入力 資季 (xxx)
山ふかくたつ人をなみいたつらに朽木の杣ととしやへぬらむ
やまふかく−たつひとをなみ−いたつらに−くちきのそまと−としやへぬらむ |
03572 |
未入力 頼氏 (xxx)
あしからやひかぬ宮木の見えぬまて八重たつ雲の夕暮の空
あしからや−ひかぬみやきの−みえぬまて−やへたつくもの−ゆふくれのそら |
03573 |
未入力 有教 (xxx)
宮木ひく桧原の山の杣人はよそにや秋の色をみるらん
みやきひく−ひはらのやまの−そまひとは−よそにやあきの−いろをみるらむ |
03574 |
未入力 師継 (xxx)
明日よりあつさの杣にたつ民も君につかふとみや木ひくらし
あしたより−あつさのそまに−たつたみも−きみにつかふと−みやきひくらし |
03575 |
未入力 定嗣 (xxx)
うこきなき岩くに山に宮木ひくたみの数そふ世にもあるかな
うこきなき−いはくにやまに−みやきひく−たみのかすそふ−よにもあるかな |
03576 |
未入力 成実 (xxx)
いかなりしむくいなれはか身はかくて朽木の杣にとしのへぬらん
いかなりし−むくいなれはか−みはかくて−くちきのそまに−としのへぬらむ |
03577 |
未入力 蓮性 (xxx)
しけりあふ嶺のひはらに杣たてている山人のやむ時もなし
しけりあふ−みねのひはらに−そまたてて−いるやまひとの−やむときもなし |
03578 |
未入力 顕氏 (xxx)
杣人のひく手あまたにつなはへてとるやみ山木今くたすなり
そまひとの−ひくてあまたに−つなはへて−とるやみやまき−いまくたすなり |
03579 |
未入力 寂能 (xxx)
そま木とる桧原は色もかはらぬをあたらしくれの山めくりかな
そまきとる−ひはらはいろも−かはらぬを−あたらしくれの−やまめくりかな |
03580 |
未入力 為氏 (xxx)
明けぬ暮れぬいつみの杣にたつたみの我かなけきをはひく方もなし
あけぬくれぬ−いつみのそまに−たつたみの−わかなけきをは−ひくかたもなし |
03581 |
未入力 真観 (xxx)
世を照す日高の杣の宮木守しけきみかけに今は逢ふらし
よをてらす−ひたかのそまの−みやきもり−しけきみかけに−いまはあふらし |
03582 |
未入力 寂西 (xxx)
杣たくみひくやまさきのつなこしにさこそあつさの山とよむらめ
そまたくみ−ひくやまさきの−つなこしに−さこそあつさの−やまとよむらめ |
03583 |
未入力 為継 (xxx)
そまくたすひはらの宮木数数に絶えぬためしと人やひくらん
そまくたす−ひはらのみやき−かすかすに−たえぬためしと−ひとやひくらむ |
03584 |
未入力 経朝 (xxx)
山ひこの空にこたふる音すなりいつれの杣にみや木ひくらん
やまひこの−そらにこたふる−おとすなり−いつれのそまに−みやきひくらむ |
03585 |
未入力 行家 (xxx)
宮木ひくまさきのつなをくりはへて立つ杣人のやすむまそなき
みやきひく−まさきのつなを−くりはへて−たつそまひとの−やすむまそなき |
03586 |
未入力 成茂 (xxx)
むかしより君かためとや神山にたつ杣人もちかひおきけむ
むかしより−きみかためとや−かみやまに−たつそまひとも−ちかひおきけむ |
03587 |
未入力 隆祐 (xxx)
みや木おろすちひきのつなもよわるらしとまりは遠き山の岩根に
みやきおろす−ちひきのつなも−よわるらし−とまりはとほき−やまのいはねに |
03588 |
未入力 禅信 (xxx)
をちこちのしけき宮木をひきよせて杣山河にいかたくむなり
をちこちの−しけきみやきを−ひきよせて−そまやまかはに−いかたくむなり |
03589 |
未入力 高倉 (xxx)
杣人のをののひひきに山ひこやたえぬなけきをうしとこたふる
そまひとの−をののひひきに−やまひこや−たえぬなけきを−うしとこたふる |
03590 |
未入力 按察 (xxx)
そま人のいかにまたれんみわの山しけき歎をひく世有りせは
そまひとの−いかにまたれむ−みわのやま−しけきなけきを−ひくよありせは |
03591 |
未入力 帥 (xxx)
いかはかりくるしかるらむ宮木ひくあつさの杣の山のやま人
いかはかり−くるしかるらむ−みやきひく−あつさのそまの−やまのやまひと |
03592 |
未入力 小宰相 (xxx)
いつとなく杣山かけに立ちなれて世をふる人の道そかはれる
いつとなく−そまやまかけに−たちなれて−よをふるひとの−みちそかはれる |
03593 |
未入力 俊成女 (xxx)
君か代に逢ふうれしさをみや木ひくあつさの杣の民もしるらん
きみかよに−あふうれしさを−みやきひく−あつさのそまの−たみもしるらむ |
03594 |
未入力 少将内侍 (xxx)
山人はこらぬつま木やひろふらん杣のたつきの音を尋ねて
やまひとは−こらぬつまきや−ひろふらむ−そまのたつきの−おとをたつねて |
03595 |
未入力 弁内侍 (xxx)
つきもせぬあつさの杣の宮木守このもかのもに年やへぬらん
つきもせぬ−あつさのそまの−みやきもり−このもかのもに−としやへぬらむ |
03596 |
未入力 但馬 (xxx)
あちきなやそま山人の明暮はおのれくるしきなけ木こるらん
あちきなや−そまやまひとの−あけくれは−おのれくるしき−なけきこるらむ |
03597 |
未入力 下野 (xxx)
宮木ひく杣山人のくれことにいそく家路も待ちやわふらん
みやきひく−そまやまひとの−くれことに−いそくいへちも−まちやわふらむ |
03598 |
未入力 御製 (xxx)
住吉とおもはん人のためなれや岸にしくてふ苔のさむしろ
すみよしと−おもはむひとの−ためなれや−きしにしくてふ−こけのさむしろ |
03599 |
未入力 道助 (xxx)
絶えすのみ岸のしつくはもるれとも苔のみとりもかはらさりけり
たえすのみ−きしのしつくは−もるれとも−こけのみとりも−かはらさりけり |
03600 |
未入力 実氏 (xxx)
行く舟のつなてもたえてふる河の入江の岸も苔むしてけり
ゆくふねの−つなてもたえて−ふるかはの−いりえのきしも−こけむしてけり |
03601 |
未入力 基家 (xxx)
岩代の岸の松かけとしふりておなしみとりにむすふ苔かな
いはしろの−きしのまつかけ−としふりて−おなしみとりに−むすふこけかな |
03602 |
未入力 家良 (xxx)
住吉の浦わの岸による波のおよはぬ程は苔むしにけり
すみよしの−うらわのきしに−よるなみの−およはぬほとは−こけむしにけり |
03603 |
未入力 基良 (xxx)
すみよしのきしかた遠き松か根におのれもふりて残る苔かな
すみよしの−きしかたとほき−まつかねに−おのれもふりて−のこるこけかな |
03604 |
未入力 隆親 (xxx)
いくたひか岸うつ波の洗ふらんとしふりにけるこけの色かな
いくたひか−きしうつなみの−あらふらむ−としふりにける−こけのいろかな |
03605 |
未入力 為家 (xxx)
待つとても誰すみよしのきしもせん浪のかけほす苔のさころも
まつとても−たれすみよしの−きしもせむ−なみのかけほす−こけのさころも |
03606 |
未入力 公相 (xxx)
山深き谷の河水岸ふりてこけのみとりをあらふ岩波
やまふかき−たにのかはみつ−きしふりて−こけのみとりを−あらふいはなみ |
03607 |
未入力 実雄 (xxx)
山高み人もかよはぬ岩岸にいくへかさねて苔のむすらん
やまたかみ−ひともかよはぬ−いはきしに−いくへかさねて−こけのむすらむ |
03608 |
未入力 信覚 (xxx)
早き瀬の岸のいはねにむすこけの緑をあらふ山川の水
はやきせの−きしのいはねに−むすこけの−みとりをあらふ−やまかはのみつ |
03609 |
未入力 為経 (xxx)
すみよしの岸の岩根にむす苔のみとりは松の色やそふらん
すみよしの−きしのいはねに−むすこけの−みとりはまつの−いろやそふらむ |
03610 |
未入力 忠定 (xxx)
岩そそくきしのたるみはしけけれとぬれてかはらぬ苔の色かな
いはそそく−きしのたるみは−しけけれと−ぬれてかはらぬ−こけのいろかな |
03611 |
未入力 資季 (xxx)
あら磯の岸うつなみにとしをへて岩根の苔のいかてむすらん
あらいその−きしうつなみに−としをへて−いはねのこけの−いかてむすらむ |
03612 |
未入力 頼氏 (xxx)
苔深き山の南の山道はいくたひ河のきしになるらん
こけふかき−やまのみなみの−やまみちは−いくたひかはの−きしになるらむ |
03613 |
未入力 有教 (xxx)
春風に浪うつ岸のあさみとり苔の下根も氷とけ行く
はるかせに−なみうつきしの−あさみとり−こけのしたねも−こほりとけゆく |
03614 |
未入力 師継 (xxx)
昔たれおりはしめけん住吉の岸にかたしくこけのさむしろ
むかしたれ−おりはしめけむ−すみよしの−きしにかたしく−こけのさむしろ |
03615 |
未入力 定嗣 (xxx)
見る人は絶えすかもあらん紅葉するみむろの岸の苔の緑に
みるひとは−たえすかもあらむ−もみちする−みむろのきしの−こけのみとりに |
03616 |
未入力 成実 (xxx)
山深み岩根の岸のこけむしろしきりに露はおきあかしつつ
やまふかみ−いはねのきしの−こけむしろ−しきりにつゆは−おきあかしつつ |
03617 |
未入力 蓮性 (xxx)
ふるさととなれるよしのの河岸はいはとかしはもこけおひにけり
ふるさとと−なれるよしのの−かはきしは−いはとかしはも−こけおひにけり |
03618 |
未入力 顕氏 (xxx)
さほ河の岸行く波はあらへともかけてはほさぬ苔の衣手
さほかはの−きしゆくなみは−あらへとも−かけてはほさぬ−こけのころもて |
03619 |
未入力 寂能 (xxx)
苔深ききしの岩やは道もなし昔いかなる人かよひけむ
こけふかき−きしのいはやは−みちもなし−むかしいかなる−ひとかよひけむ |
03620 |
未入力 為氏 (xxx)
かたふちの岩根の岸にむす苔のうつる影さへ深緑なる
かたふちの−いはねのきしに−むすこけの−うつるかけさへ−ふかみとりなる |
03621 |
未入力 真観 (xxx)
我かいほのきしへにさほす衣かとみるまて苔のおひにけるかな
わかいほの−きしへにさほす−ころもかと−みるまてこけの−おひにけるかな |
03622 |
未入力 寂西 (xxx)
片岸の岩根かくれの谷つたひ袖にそ苔の露はこほるる
かたきしの−いはねかくれの−たにつたひ−そてにそこけの−つゆはこほるる |
03623 |
未入力 為経 (xxx)
舟よせぬかた山かけの河岸に苔のみむして人もかよはす
ふねよせぬ−かたやまかけの−かはきしに−こけのみむして−ひともかよはす |
03624 |
未入力 経朝 (xxx)
紅の波もたつたの河きしになほみとりなるこけの色かな
くれなゐの−なみもたつたの−かはきしに−なほみとりなる−こけのいろかな |
03625 |
未入力 行家 (xxx)
滝河や岸の岩根の水はやみいつの波間に苔のむすらん
たきかはや−きしのいはねの−みつはやみ−いつのなみまに−こけのむすらむ |
03626 |
未入力 成茂 (xxx)
岩そそくたるみの岸にむす苔のおなし緑に色そ久しき
いはそそく−たるみのきしに−むすこけの−おなしみとりに−いろそひさしき |
03627 |
未入力 隆祐 (xxx)
苔深きみむろのきしやうつるらん浪も緑の淵とみえけり
こけふかき−みむろのきしや−うつるらむ−なみもみとりの−ふちとみえけり |
03628 |
未入力 禅信 (xxx)
吉野河浪うつ岸の苔のうへにときしもわかぬ露そおきける
よしのかは−なみうつきしの−こけのうへに−ときしもわかぬ−つゆそおきける |
03629 |
未入力 高倉 (xxx)
住吉の岸にとしふる苔莚浪のよるよるまつ風そしく
すみよしの−きしにとしふる−こけむしろ−なみのよるよる−まつかせそしく |
03630 |
未入力 按察 (xxx)
行末を契りやおかんすみよしのきしもせさらむこけの衣に
ゆくすゑを−ちきりやおかむ−すみよしの−きしもせさらむ−こけのころもに |
03631 |
未入力 帥 (xxx)
すみよしの岸の岩根にむす苔はいくらはかりの年かへぬらん
すみよしの−きしのいはねに−むすこけは−いくらはかりの−としかへぬらむ |
03632 |
未入力 小宰相 (xxx)
住吉のきしに年ふる苔莚しきつの浦の浪やかくらむ
すみよしの−きしにとしふる−こけむしろ−しきつのうらの−なみやかくらむ |
03633 |
未入力 俊成女 (xxx)
すみよしの岸のひめ松君か代に苔おひそめて万代やへん
すみよしの−きしのひめまつ−きみかよに−こけおひそめて−よろつよやへむ |
03634 |
未入力 少将内侍 (xxx)
むかひゐる片山岸の柴の屋にあけてもくらき苔の窓かな
むかひゐる−かたやまきしの−しはのやに−あけてもくらき−こけのまとかな |
03635 |
未入力 弁内侍 (xxx)
こけふかき岩にやしはしよとむらん吉野の河の岸の浮波
こけふかき−いはにやしはし−よとむらむ−よしののかはの−きしのうきなみ |
03636 |
未入力 但馬 (xxx)
心とや波うつきしに年をへてかはらぬ苔の色そつれなき
こころとや−なみうつきしに−としをへて−かはらぬこけの−いろそつれなき |
03637 |
未入力 下野 (xxx)
おく山のみやまかくれのかた岸に露のやとかるこけのさ莚
おくやまの−みやまかくれの−かたきしに−つゆのやとかる−こけのさむしろ |
03638 |
未入力 御製 (xxx)
我か心すみもやすると庵しめてみれはにこれる山の井の水
わかこころ−すみもやすると−いほしめて−みれはにこれる−やまのゐのみつ |
03639 |
未入力 道助 (xxx)
影うつす朝な朝なの谷水にうき世はなれてすむかひもなし
かけうつす−あさなあさなの−たにみつに−うきよはなれて−すむかひもなし |
03640 |
未入力 実氏 (xxx)
みち遠く又誰か里にかけつらんまろ木のふねにあまる山水
みちとほく−またたかさとに−かけつらむ−まろきのふねに−あまるやまみつ |
03641 |
未入力 基家 (xxx)
山かけに里遠からぬ谷河やいた井の水の行へなるらん
やまかけに−さととほからぬ−たにかはや−いたゐのみつの−ゆくへなるらむ |
03642 |
未入力 家良 (xxx)
音つるる程こそさらにさひしけれみきりにそそく山の下水
おとつるる−ほとこそさらに−さひしけれ−みきりにそそく−やまのしたみつ |
03643 |
未入力 基良 (xxx)
山深み岩間の水に影とめてあさき心はすむかひもなし
やまふかみ−いはまのみつに−かけとめて−あさきこころは−すむかひもなし |
03644 |
未入力 隆親 (xxx)
さひしさをとふ人あらは山里のかけひの水の音をこたへん
さひしさを−とふひとあらは−やまさとの−かけひのみつの−おとをこたへむ |
03645 |
未入力 為家 (xxx)
小倉山かけのいほりはむすへともせく谷水のすまれやはする
をくらやま−かけのいほりは−むすへとも−せくたにみつの−すまれやはする |
03646 |
未入力 公相 (xxx)
いほりさす山の岩根に住みなれてあるしかほなる松かけの水
いほりさす−やまのいはねに−すみなれて−あるしかほなる−まつかけのみつ |
03647 |
未入力 実雄 (xxx)
身をかくすみ山のおくのかよひちをありとなつけそ谷の下水
みをかくす−みやまのおくの−かよひちを−ありとなつけそ−たにのしたみつ |
03648 |
未入力 信覚 (xxx)
すてはてて我かしめおきしあしひきの山井の水もすみうかりけり
すてはてて−わかしめおきし−あしひきの−やまゐのみつも−すみうかりけり |
03649 |
未入力 為経 (xxx)
山本の岩かきし水それをたにさてすむ程の友とたのまむ
やまもとの−いはかきしみつ−それをたに−さてすむほとの−ともとたのまむ |
03650 |
未入力 忠定 (xxx)
やまふかみ世にすみかぬるむもれ水やるかたもなき我かこころかな
やまふかみ−よにすみかぬる−うもれみつ−やるかたもなき−わかこころかな |
03651 |
未入力 資季 (xxx)
ふりつもる木の葉の下の埋水誰かはくまむ谷のふかさに
ふりつもる−このはのしたの−うもれみつ−たれかはくまむ−たにのふかさに |
03652 |
未入力 頼氏 (xxx)
かくれすむ人のありかもしられけりしきみなかるる山川の水
かくれすむ−ひとのありかも−しられけり−しきみなかるる−やまかはのみつ |
03653 |
未入力 有教 (xxx)
山ふかみ竹のかけひをつたひきて軒端を過くる谷の下水
やまふかみ−たけのかけひを−つたひきて−のきはをすくる−たにのしたみつ |
03654 |
未入力 師継 (xxx)
軒ちかき山下水の音きけはひとりすみ行くわかこころかな
のきちかき−やましたみつの−おときけは−ひとりすみゆく−わかこころかな |
03655 |
未入力 定嗣 (xxx)
あしひきの山にそひたる谷河の水をそ軒に結ひあけつる
あしひきの−やまにそひたる−たにかはの−みつをそのきに−むすひあけつる |
03656 |
未入力 成実 (xxx)
我か庵の軒のかけひの水もりてたえたえにとふ宮こ人かな
わかいほの−のきのかけひの−みつもりて−たえたえにとふ−みやこひとかな |
03657 |
未入力 蓮性 (xxx)
うけくたすかけひの水の中絶えてここには人も音つれそせぬ
うけくたす−かけひのみつの−なかたえて−ここにはひとも−おとつれそせぬ |
03658 |
未入力 顕氏 (xxx)
つたひくる山のしつくやさえぬらんやかてもこほる庭の玉水
つたひくる−やまのしつくや−さえぬらむ−やかてもこほる−にはのたまみつ |
03659 |
未入力 寂能 (xxx)
すみにける心の程もおく山の谷のかけひのみつからそしる
すみにける−こころのほとも−おくやまの−たにのかけひの−みつからそしる |
03660 |
未入力 為氏 (xxx)
すまは又すまれこそせめ山里はかけひの水のあるにまかせて
すまはまた−すまれこそせめ−やまさとは−かけひのみつの−あるにまかせて |
03661 |
未入力 真観 (xxx)
とことはに心も水もささらめく谷の岩やはすむかひもなし
とことはに−こころもみつも−ささらめく−たにのいはやは−すむかひもなし |
03662 |
未入力 寂西 (xxx)
かきやれは庭になかるる山水のよとむ石まをとこ井にそくむ
かきやれは−にはになかるる−やまみつの−よとむいしまを−とこゐにそくむ |
03663 |
未入力 為継 (xxx)
尋来てたのむすみかとおもふにも先影みるは山の井の水
たつねきて−たのむすみかと−おもふにも−まつかけみるは−やまのゐのみつ |
03664 |
未入力 経朝 (xxx)
山河のおのか氷にせかれつつかけひの水の末そもりこぬ
やまかはの−おのかこほりに−せかれつつ−かけひのみつの−すゑそもりこぬ |
03665 |
未入力 行家 (xxx)
せき入るる庭の山水あはれにも音つれ絶えぬ年のへにける
せきいるる−にはのやまみつ−あはれにも−おとつれたえぬ−としのへにける |
03666 |
未入力 成実 (xxx)
おとつれよかけひの水をたのみつつとふ人またぬ山かけの庵
おとつれよ−かけひのみつを−たのみつつ−とふひとまたぬ−やまかけのいほ |
03667 |
未入力 隆祐 (xxx)
石間行く水のたよりを尋ねてそ又いほむすふ人もきにける
いしまゆく−みつのたよりを−たつねてそ−またいほむすふ−ひともきにける |
03668 |
未入力 禅信 (xxx)
住みなるるいほりもちかく結ひけり絶えぬ岩もる山の井の水
すみなるる−いほりもちかく−むすひけり−たえぬいはもる−やまのゐのみつ |
03669 |
未入力 高倉 (xxx)
人目こそかれなはかれめ山さとにかけひの水の音をたにせよ
ひとめこそ−かれなはかれめ−やまさとに−かけひのみつの−おとをたにせよ |
03670 |
未入力 按察 (xxx)
すむ人の心をくみておもふにもさそ山水のにこらさるらん
すむひとの−こころをくみて−おもふにも−さそやまみつの−にこらさるらむ |
03671 |
未入力 帥 (xxx)
おのつからとふ人あらは山里に聞かせまほしき水の音かな
おのつから−とふひとあらは−やまさとに−きかせまほしき−みつのおとかな |
03672 |
未入力 小宰相 (xxx)
つたひくるかけひの水の音にてもすむらん人の心をそくむ
つたひくる−かけひのみつの−おとにても−すむらむひとの−こころをそくむ |
03673 |
未入力 俊成女 (xxx)
たえたえにもれしかけひも君か代と心行くなる水のおとかな
たえたえに−もれしかけひも−きみかよと−こころゆくなる−みつのおとかな |
03674 |
未入力 少将内侍 (xxx)
み草ゐてふるき板井の水よりも住みうき物は秋の山里
みくさゐて−ふるきいたゐの−みつよりも−すみうきものは−あきのやまさと |
03675 |
未入力 弁内侍 (xxx)
なかれ行く水のうたかたうきなからすめはすまるる山のおくかな
なかれゆく−みつのうたかた−うきなから−すめはすまるる−やまのおくかな |
03676 |
未入力 但馬 (xxx)
柴の戸に岩もるし水せきとめて心のみすむやまのかけかな
しはのとに−いはもるしみつ−せきとめて−こころのみすむ−やまのかけかな |
03677 |
未入力 下野 (xxx)
今朝にこるかけひの水はみなかみに誰か仏のあかにくむらん
けさにこる−かけひのみつは−みなかみに−たれかほとけの−あかにくむらむ |
03678 |
未入力 御製 (xxx)
絶えす吹くみ山嵐はかはらねとたたやとからそさひしかりける
たえすふく−みやまあらしは−かはらねと−たたやとからそ−さひしかりける |
03679 |
未入力 道助 (xxx)
山里のまさきのかつらくるる日のそともかくれにあらし吹くなり
やまさとの−まさきのかつら−くるるひの−そともかくれに−あらしふくなり |
03680 |
未入力 実氏 (xxx)
いかにせんすまは住むへき山里の松の嵐をよそになしつる
いかにせむ−すまはすむへき−やまさとの−まつのあらしを−よそになしつる |
03681 |
未入力 基家 (xxx)
たちのこるいほりそふるき吉野山嵐になれて誰か住むらむ
たちのこる−いほりそふるき−よしのやま−あらしになれて−たれかすむらむ |
03682 |
未入力 家良 (xxx)
まはらなるましはの戸ほそあけくれは嶺の嵐のなにたたくらん
まはらなる−ましはのとほそ−あけくれは−みねのあらしの−なにたたくらむ |
03683 |
未入力 基良 (xxx)
吹きすさむ時そともなき嵐かな竹のあみ戸もあれぬはかりに
ふきすさふ−ときそともなき−あらしかな−たけのあみとも−あれぬはかりに |
03684 |
未入力 隆親 (xxx)
明暮は聞きならひける松の戸も嵐に夢を結ひやはする
あけくれは−ききならひける−まつのとも−あらしにゆめを−むすひやはする |
03685 |
未入力 為家 (xxx)
いつはとてなくさまねとも山里のあらしは秋の末そかなしき
いつはとて−なくさまねとも−やまさとの−あらしはあきの−すゑそかなしき |
03686 |
未入力 公相 (xxx)
山里は松の嵐のほかに又事とふ人の音つれもなし
やまさとは−まつのあらしの−ほかにまた−こととふひとの−おとつれもなし |
03687 |
未入力 実雄 (xxx)
おのつからとふもあらしのつてなれはましはのとほそあれまくもをし
おのつから−とふもあらしの−つてなれは−ましはのとほそ−あれまくもをし |
03688 |
未入力 信覚 (xxx)
軒端なる木葉はさらにふりはててをのへの松にあらし吹くなり
のきはなる−このははさらに−ふりはてて−をのへのまつに−あらしふくなり |
03689 |
未入力 為経 (xxx)
わひつつもすめはすまるる山里にしひて嵐の音を聞くかな
わひつつも−すめはすまるる−やまさとに−しひてあらしの−おとをきくかな |
03690 |
未入力 忠定 (xxx)
吹きおろす嵐ならてはとふ人もなくさめかたき秋の山さと
ふきおろす−あらしならては−とふひとも−なくさめかたき−あきのやまさと |
03691 |
未入力 資季 (xxx)
宮こ人絶えて音せぬ山さとに峰の嵐はふかぬ日そなき
みやこひと−たえておとせぬ−やまさとに−みねのあらしは−ふかぬひそなき |
03692 |
未入力 頼氏 (xxx)
人とはぬしつかしのやの谷の戸にさしいる月も嵐吹くなり
ひととはぬ−しつかしのやの−たにのとに−さしいるつきも−あらしふくなり |
03693 |
未入力 有教 (xxx)
嵐吹くかた山かけの松の戸はたたくにつけてさひしかりけり
あらしふく−かたやまかけの−まつのとは−たたくにつけて−さひしかりけり |
03694 |
未入力 師継 (xxx)
うき身世にとふ人あらは山かけの松のあらしにわふとこたへよ
うきみよに−とふひとあらは−やまかけの−まつのあらしに−わふとこたへよ |
03695 |
未入力 定嗣 (xxx)
昔たれ嵐のために松をうゑてみ山のすまひとしをふるらん
むかしたれ−あらしのために−まつをうゑて−みやまのすまひ−としをふるらむ |
03696 |
未入力 成実 (xxx)
松かきやましはのとほそあけくれは嵐になれてさす人もなし
まつかきや−ましはのとほそ−あけくれは−あらしになれて−さすひともなし |
03697 |
未入力 蓮性 (xxx)
山ちかみ嵐ふききてむは玉の黒木の閨はいかかさむけき
やまちかみ−あらしふききて−うはたまの−くろきのねやは−いかかさむけき |
03698 |
未入力 顕氏 (xxx)
さむしろに峰の嵐はかよひきて都にも似ぬ此すまひかな
さむしろに−みねのあらしは−かよひきて−みやこにもにぬ−このすまひかな |
03699 |
未入力 寂能 (xxx)
とことはに吹くか嵐の音羽山いほりあまたも住みうかれつつ
とことはに−ふくかあらしの−おとはやま−いほりあまたも−すみうかれつつ |
03700 |
未入力 為氏 (xxx)
山本の松のかこひのあれまくにあらしよしはし心してふけ
やまもとの−まつのかこひの−あれまくに−あらしよしはし−こころしてふけ |
03701 |
未入力 真観 (xxx)
ことのはをかかる山ふし時にあひて嵐のつてにきこえあけつも
ことのはを−かかるやまふし−ときにあひて−あらしのつてに−きこえあけつも |
03702 |
未入力 寂西 (xxx)
やまかけにたのむ庵も荒れねとや嵐にかろき槙の板ふき
やまかけに−たのむいほりも−あれねとや−あらしにかろき−まきのいたふき |
03703 |
未入力 為継 (xxx)
今更に住みうきやとと成りにけり嶺のあらしを聞くにつけても
いまさらに−すみうきやとと−なりにけり−みねのあらしを−きくにつけても |
03704 |
未入力 経朝 (xxx)
山深み竹のあみ戸の世世をへてたたくは峰の嵐なりけり
やまふかみ−たけのあみとの−よよをへて−たたくはみねの−あらしなりけり |
03705 |
未入力 行家 (xxx)
うたたねの夢のたたちのはてもみす枕にちかく嵐吹く夜は
うたたねの−ゆめのたたちの−はてもみす−まくらにちかく−あらしふくよは |
03706 |
未入力 成茂 (xxx)
山深き柴のあみとは荒れぬるをさすかに何とたたくあらしそ
やまふかき−しはのあみとは−あれぬるを−さすかになにと−たたくあらしそ |
03707 |
未入力 隆祐 (xxx)
嵐吹くそともにそよくなら柴のなれてもつらき山のおくかな
あらしふく−そともにそよく−ならしはの−なれてもつらき−やまのおくかな |
03708 |
未入力 禅信 (xxx)
絶えす吹く嵐そかよふ柴の戸をさしこもりにし冬の山さと
たえすふく−あらしそかよふ−しはのとを−さしこもりにし−ふゆのやまさと |
03709 |
未入力 高倉 (xxx)
山里もそむくうき世をはなれねは絶えぬ嵐の音そさひしき
やまさとも−そむくうきよを−はなれねは−たえぬあらしの−おとそさひしき |
03710 |
未入力 按察 (xxx)
やまさとにすまは嵐の風早く忘られよかし絶えぬおもひも
やまさとに−すまはあらしの−かせはやく−わすられよかし−たえぬおもひも |
03711 |
未入力 帥 (xxx)
山里の柴のあみ戸をささぬ夜は峰の嵐そあけたてはする
やまさとの−しはのあみとを−ささぬよは−みねのあらしそ−あけたてはする |
03712 |
未入力 小宰相 (xxx)
吹きはらふ夜はの嵐のはけしさはならはぬ程そふかき山ちに
ふきはらふ−よはのあらしの−はけしさは−ならはぬほとそ−ふかきやまちに |
03713 |
未入力 俊成女 (xxx)
習ひこし閨のあらしもこのころは吹きこす枝にたへしのふかな
ならひこし−ねやのあらしも−このころは−ふきこすえたに−たへしのふかな |
03714 |
未入力 少将内侍 (xxx)
山さとの草のとさしのさひしきにあけぬ夜すから嵐吹くなり
やまさとの−くさのとさしの−さひしきに−あけぬよすから−あらしふくなり |
03715 |
未入力 弁内侍 (xxx)
木の葉吹く嵐の音も聞きわひぬうけくに今は秋の山さと
このはふく−あらしのおとも−ききわひぬ−うけくにいまは−あきのやまさと |
03716 |
未入力 但馬 (xxx)
吹きはらふ山の嵐のはけしさにたへてもいかか身をかくすへき
ふきはらふ−やまのあらしの−はけしさに−たへてもいかか−みをかくすへき |
03717 |
未入力 下野 (xxx)
何となく身にしるうちの山人も嵐にわひてすみやうかれん
なにとなく−みにしるうちの−やまひとも−あらしにわひて−すみやうかれむ |
03718 |
未入力 御製 (xxx)
小山田のいな葉のこらすかりいほにいたつらにもる夜の雨かな
をやまたの−いなはのこらす−かりいほに−いたつらにもる−よるのあめかな |
03719 |
未入力 道助 (xxx)
しつかすむ門田の庵の軒端まてほなみをよする夕暮の雨
しつかすむ−かとたのいほの−のきはまて−ほなみをよする−ゆふくれのあめ |
03720 |
未入力 実氏 (xxx)
しのすたれたててくらへよ水まさるたつらの庵の雨のあらさに
しのすたれ−たててくらへよ−みつまさる−たつらのいほの−あめのあらさに |
03721 |
未入力 基家 (xxx)
いほむすふ秋の鳥羽田のみたや守雨も時しる御代に逢ふらし
いほむすふ−あきのとはたの−みたやもり−あめもときしる−みよにあふらし |
03722 |
未入力 家良 (xxx)
よせかへる門田のほなみ吹きはらひ風ませにふる秋のむらさめ
よせかへる−かとたのほなみ−ふきはらひ−かせませにふる−あきのむらさめ |
03723 |
未入力 基良 (xxx)
としをふるましはのいほやあれぬらん山田もりそふ秋のむらさめ
としをふる−ましはのいほや−あれぬらむ−やまたもりそふ−あきのむらさめ |
03724 |
未入力 隆親 (xxx)
めくり行く日数もしらぬみ山田の庵とふ物はあきのむらさめ
めくりゆく−ひかすもしらぬ−みやまたの−いほとふものは−あきのむらさめ |
03725 |
未入力 為家 (xxx)
むらさめのもるや山田のかりやかたあらははしはし袖もほさまし
むらさめの−もるややまたの−かりやかた−あらははしはし−そてもほさまし |
03726 |
未入力 公相 (xxx)
おしねもる秋の山田をもる庵の名にさへぬるる村雨の空
おしねもる−あきのやまたを−もるいほの−なにさへぬるる−むらさめのそら |
03727 |
未入力 実雄 (xxx)
門田守るしつかふせやのとまひさしひさに程ふる雨そさひしき
かとたもる−しつかふせやの−とまひさし−ひさにほとふる−あめそさひしき |
03728 |
未入力 信覚 (xxx)
雨そそく軒はにつつく遠山田風の行きに露そたまらぬ
あめそそく−のきはにつつく−とほやまた−かせのゆききに−つゆそたまらぬ |
03729 |
未入力 為経 (xxx)
ふる雨も猶いねかてにもりそへて山田の庵は夢もむすはす
ふるあめも−なほいねかてに−もりそへて−やまたのいほは−ゆめもむすはす |
03730 |
未入力 忠定 (xxx)
ねさめとふいな葉の雨よ過きねたたかならす袖に露かけすとも
ねさめとふ−いなはのあめよ−すきねたた−かならすそてに−つゆかけすとも |
03731 |
未入力 資季 (xxx)
秋はつるかり田のいほのひま荒れて一むら雨の猶やもるらん
あきはつる−かりたのいほの−ひまあれて−ひとむらさめの−なほやもるらむ |
03732 |
未入力 頼氏 (xxx)
いねかての田つらの庵のしはまより夜の雨さへもりあかしつつ
いねかての−たつらのいほの−しはまより−よるのあめさへ−もりあかしつつ |
03733 |
未入力 有教 (xxx)
露おもる山田のいなは雨過きて夕ゐる雲ははるるまもなし
つゆおもる−やまたのいなは−あめすきて−ゆふゐるくもは−はるるまもなし |
03734 |
未入力 師継 (xxx)
我か庵の門田のいねをこきたれてふりくる雨に又やしをれん
わかいほの−かとたのいねを−こきたれて−ふりくるあめに−またやしをれむ |
03735 |
未入力 定嗣 (xxx)
うるほはす雨のふらくに門田なるいつもと柳名にそおふらし
うるほはす−あめのふらくに−かとたなる−いつもとやなき−なにそおふらし |
03736 |
未入力 成実 (xxx)
ふる雨のしたのとかなる比なれやそともの小田の民あつきころ
ふるあめの−したのとかなる−ころなれや−そとものをたの−たみあつきころ |
03737 |
未入力 蓮性 (xxx)
そともなるわさ田のかりほこさめふりもるやしつくに我ぬれにけり
そともなる−わさたのかりほ−こさめふり−もるやしつくに−われぬれにけり |
03738 |
未入力 顕氏 (xxx)
いほちかく秋の雲なすいなはよりわきてふりくるよはのむら雨
いほちかく−あきのくもなす−いなはより−わきてふりくる−よはのむらさめ |
03739 |
未入力 寂能 (xxx)
遠山田かりふのしきの友をなみこぬ夜の雨の数やかくらん
とほやまた−かりふのしきの−ともをなみ−こぬよのあめの−かすやかくらむ |
03740 |
未入力 為氏 (xxx)
ふしわひぬ山田のかりほひたふるに雨もたまらすもりあかしつつ
ふしわひぬ−やまたのかりほ−ひたふるに−あめもたまらす−もりあかしつつ |
03741 |
未入力 真観 (xxx)
いほちかくかりほすいねに雨ふれはとまひきかくる小田のますらを
いほちかく−かりほすいねに−あめふれは−とまひきかくる−をたのますらを |
03742 |
未入力 寂西 (xxx)
うちわひていそく板まもいたつらに門田かりほすむらさめの空
うちわひて−いそくいたまも−いたつらに−かとたかりほす−むらさめのそら |
03743 |
未入力 為継 (xxx)
山本の田中のいほに立ちよりて雨のひま待つ日はくれにけり
やまもとの−たなかのいほに−たちよりて−あめのひままつ−ひはくれにけり |
03744 |
未入力 経朝 (xxx)
小山田のいほもりすさむ秋の雨に猶雲あつきむろのはやわせ
をやまたの−いほもりすさふ−あきのあめに−なほくもあつき−むろのはやわせ |
03745 |
未入力 行家 (xxx)
むらさめにとまふきそへよみ山田のかりほの床は露もこそもれ
むらさめに−とまふきそへよ−みやまたの−かりほのとこは−つゆもこそもれ |
03746 |
未入力 成茂 (xxx)
あせつたふ門田の水は音すみていほもりあかす雨そさひしき
あせつたふ−かとたのみつは−おとすみて−いほもりあかす−あめそさひしき |
03747 |
未入力 隆祐 (xxx)
雨ふれは田中の道は水こえてそのふふみわけかよふ里人
あめふれは−たなかのみちは−みつこえて−そのふふみわけ−かよふさとひと |
03748 |
未入力 禅信 (xxx)
あめそそく門田のいほのかりそめにおけはや露のあたにちるらん
あめそそく−かとたのいほの−かりそめに−おけはやつゆの−あたにちるらむ |
03749 |
未入力 高倉 (xxx)
かりのこす山田のいほにもる物は秋はてかたのしくれなりけり
かりのこす−やまたのいほに−もるものは−あきはてかたの−しくれなりけり |
03750 |
未入力 按察 (xxx)
ひつちおひて秋はてにけるかり庵に人こそなけれ雨はもりつつ
ひつちおひて−あきはてにける−かりいほに−ひとこそなけれ−あめはもりつつ |
03751 |
未入力 帥 (xxx)
門田もるしつかいほりのむらさめはふりみふらすみ袖ぬらしけり
かとたもる−しつかいほりの−むらさめは−ふりみふらすみ−そてぬらしけり |
03752 |
未入力 小宰相 (xxx)
ほしやらて日数もやへむ秋の田のかりほの庵に雨はふりきぬ
ほしやらて−ひかすもやへむ−あきのたの−かりほのいほに−あめはふりきぬ |
03753 |
未入力 俊成女 (xxx)
君か代にあふたのみこそうれしけれいほもる雨のときもたかはす
きみかよに−あふたのみこそ−うれしけれ−いほもるあめの−ときもたかはす |
03754 |
未入力 少将内待 (xxx)
秋の田のかりそめならす袖ぬれていほもる雨はふりそまされる
あきのたの−かりそめならす−そてぬれて−いほもるあめは−ふりそまされる |
03755 |
未入力 弁内侍 (xxx)
山田もるかりほさひしき夕くれに雨さへいたくふりそほちつつ
やまたもる−かりほさひしき−ゆふくれに−あめさへいたく−ふりそほちつつ |
03756 |
未入力 但馬 (xxx)
きけはまつ身にそしみけるかりのこす門田にそよく秋のむらさめ
きけはまつ−みにそしみける−かりのこす−かとたにそよく−あきのむらさめ |
03757 |
未入力 下野 (xxx)
もりあかす秋の山田のかりいほに音もさひしくふるしくれかな
もりあかす−あきのやまたの−かりいほに−おともさひしく−ふるしくれかな |
03758 |
未入力 御製 (xxx)
限なく遠く成行く宮こかなすみたかはらのわたりしてけり
かきりなく−とほくなりゆく−みやこかな−すみたかはらの−わたりしてけり |
03759 |
未入力 道助 (xxx)
あかねさすひのくま川をいそくとて影たにとめす駒そ過行く
あかねさす−ひのくまかはを−いそくとて−かけたにとめす−こまそすきゆく |
03760 |
未入力 実氏 (xxx)
ことつてし昔のあとを思出てて我か袖ほさぬうつの山こえ
ことつてし−むかしのあとを−おもひいてて−わかそてほさぬ−うつのやまこえ |
03761 |
未入力 基家 (xxx)
昨日まて雲井にみえしあしひきの山もむかひに成りにけるかな
きのふまて−くもゐにみえし−あしひきの−やまもむかひに−なりにけるかな |
03762 |
未入力 家良 (xxx)
たまほこの道の中にて夕つくひくれくれ分くる野路のしの原
たまほこの−みちのなかにて−ゆふつくひ−くれくれわくる−のちのしのはら |
03763 |
未入力 基良 (xxx)
ふるさとにめくりやあはん峰の月今夜は雲にたちわかるとも
ふるさとに−めくりやあはむ−みねのつき−こよひはくもに−たちわかるとも |
03764 |
未入力 隆親 (xxx)
分けきつる露のたもとはほしわひぬまた里遠き野への夕暮
わけきつる−つゆのたもとは−ほしわひぬ−またさととほき−のへのゆふくれ |
03765 |
未入力 為家 (xxx)
すみた河事とひわたる宮こ鳥又はるかにや遠さかるらん
すみたかは−こととひわたる−みやことり−またはるかにや−とほさかるらむ |
03766 |
未入力 公相 (xxx)
ふるさとは霞の衣たちへたて山もいくへかこえて来つらん
ふるさとは−かすみのころも−たちへたて−やまもいくへか−こえてきつらむ |
03767 |
未入力 実雄 (xxx)
故郷に心はさそなかよへともくもゐる峰はへたてきにけり
ふるさとに−こころはさそな−かよへとも−くもゐるみねは−へたてきにけり |
03768 |
未入力 信覚 (xxx)
遠方の行きかふ人もほの見えて霞そふかきさやの中山
をちかたの−ゆきかふひとも−ほのみえて−かすみそふかき−さやのなかやま |
03769 |
未入力 為経 (xxx)
はるはるとみやこへたててたひ衣いく野山をかけふもきぬらん
はるはると−みやこへたてて−たひころも−いくのやまをか−けふもきぬらむ |
03770 |
未入力 忠定 (xxx)
はかなしや嵐はかりをさきたてて雲に跡とふ岩のかけ道
はかなしや−あらしはかりを−さきたてて−くもにあととふ−いはのかけみち |
03771 |
未入力 資季 (xxx)
行末を逢ふ人ことにたつねつつまた見ぬ道を過きそわつらふ
ゆくすゑを−あふひとことに−たつねつつ−またみぬみちを−すきそわつらふ |
03772 |
未入力 頼氏 (xxx)
かへりみる都の山も程遠き野中のみちに逢ふ人もかな
かへりみる−みやこのやまも−ほととほき−のなかのみちに−あふひともかな |
03773 |
未入力 有教 (xxx)
風さゆる雪けの雲をめにかけていくかこしちの山とかはしる
かせさゆる−ゆきけのくもを−めにかけて−いくかこしちの−やまとかはしる |
03774 |
未入力 師継 (xxx)
旅の空いきうしといひて帰りこはいつか宮こを立ちわかるへき
たひのそら−いきうしといひて−かへりこは−いつかみやこを−たちわかるへき |
03775 |
未入力 定嗣 (xxx)
あまさかるひなのなかちもへたたらすはこふみつきの民の行きは
あまさかる−ひなのなかちも−へたたらす−はこふみつきの−たみのゆききは |
03776 |
未入力 成実 (xxx)
かへりみる故郷人のおも影も野行き山行き遠さかるなり
かへりみる−ふるさとひとの−おもかけも−のゆきやまゆき−とほさかるなり |
03777 |
未入力 遮性 (xxx)
篠分けし袖こそあらめけふは又谷のそほふきもすそぬらしつ
ささわけし−そてこそあらめ−けふはまた−たにのそほふき−もすそぬらしつ |
03778 |
未入力 顕氏 (xxx)
おくれしと夕をいそく旅人のこえてくるしきあしからの山
おくれしと−ゆふへをいそく−たひひとの−こえてくるしき−あしからのやま |
03779 |
未入力 寂能 (xxx)
一村の里のしるへにたつけふりゆけとも遠みくるる空かな
ひとむらの−さとのしるへに−たつけふり−ゆけともとほみ−くるるそらかな |
03780 |
未入力 為氏 (xxx)
猶ゆかは月待ちいてんあしひきの山かけくらきたにのしたみち
なほゆかは−つきまちいてむ−あしひきの−やまかけくらき−たにのしたみち |
03781 |
未入力 真観 (xxx)
けふさへよ暮れにけるかないはむらも又過きかてにこまはなつみて
けふさへよ−くれにけるかな−いはむらも−またすきかてに−こまはなつみて |
03782 |
未入力 寂西 (xxx)
おくらさてかたへの友を待ちつけよ山下道に日はくれにけり
おくらさて−かたへのともを−まちつけよ−やましたみちに−ひはくれにけり |
03783 |
未入力 為継 (xxx)
夕くれは木枯吹きてさむけれと山路を遠み猶やこえなむ
ゆふくれは−こからしふきて−さむけれと−やまちをとほみ−なほやこえなむ |
03784 |
未入力 経朝 (xxx)
ゆふけふりとふへき里のしるへたに又はるかなるむさしののはら
ゆふけふり−とふへきさとの−しるへたに−またはるかなる−むさしののはら |
03785 |
未入力 行家 (xxx)
旅の空をちかた遠く煙たつ里こそ今日のとまりなるらめ
たひのそら−をちかたとほく−けふりたつ−さとこそけふの−とまりなるらめ |
03786 |
未入力 成茂 (xxx)
ふるさとはたちわかれにし旅衣はるはるきても忘れやはする
ふるさとは−たちわかれにし−たひころも−はるはるきても−わすれやはする |
03787 |
未入力 隆祐 (xxx)
木葉ふる行ての山をみこしちのとほつ高根は雪になりつつ
このはふる−ゆくてのやまを−みこしちの−とほつたかねは−ゆきになりつつ |
03788 |
未入力 禅信 (xxx)
故郷に誰かことつてもなかりけりあふ人からのうつの山こえ
ふるさとに−たかことつても−なかりけり−あふひとからの−うつのやまこえ |
03789 |
未入力 高倉 (xxx)
思立ち心より行くみちなれと露のみふかきたひころもかな
おもひたち−こころよりゆく−みちなれと−つゆのみふかき−たひころもかな |
03790 |
未入力 按祭 (xxx)
立帰り心にたくふみちならは我か故郷をいまもみてまし
たちかへり−こころにたくふ−みちならは−わかふるさとを−いまもみてまし |
03791 |
未入力 帥 (xxx)
旅ころも朝たつ道の露けきにかわくまなくて袖や朽ちなん
たひころも−あさたつみちの−つゆけきに−かわくまなくて−そてやくちなむ |
03792 |
未入力 小宰相 (xxx)
里遠く入野の末のはつを花露なからかせ夜はの枕に
さととほく−いるののすゑの−はつをはな−つゆなからかせ−よはのまくらに |
03793 |
未入力 俊成女 (xxx)
とことはにたひ行くしつか心にもみちある御代はうれしかるらし
とことはに−たひゆくしつか−こころにも−みちあるみよは−うれしかるらし |
03794 |
未入力 少将内侍 (xxx)
たひ衣思ひたつこそはるかなれ我かまたしらぬひなのなか道
たひころも−おもひたつこそ−はるかなれ−わかまたしらぬ−ひなのなかみち |
03795 |
未入力 弁内侍 (xxx)
たひ人の袖をおもへは野も山も露より外のみちやなからん
たひひとの−そてをおもへは−のもやまも−つゆよりほかの−みちやなからむ |
03796 |
未入力 但馬 (xxx)
都出ててはるはるきぬるたひ衣野原の露に袖そしをるる
みやこいてて−はるはるきぬる−たひころも−のはらのつゆに−そてそしをるる |
03797 |
未入力 下野 (xxx)
宇津の山これやむかしの跡ならん露分けわふるつたの下道
うつのやま−これやむかしの−あとならむ−つゆわけわふる−つたのしたみち |
03798 |
未入力 御製 (xxx)
旅人の入野のを花かりふきてつくれるいほにむすふ手枕
たひひとの−いるののをはな−かりふきて−つくれるいほに−むすふたまくら |
03799 |
未入力 道助 (xxx)
たひ衣宮こも遠しふかき夜の夢よむかしの物かたりせよ
たひころも−みやこもとほし−ふかきよの−ゆめよむかしの−ものかたりせよ |
03800 |
未入力 実氏 (xxx)
旅衣はるはるきぬるさ夜枕あけなは心いつちかもせむ
たひころも−はるはるきぬる−さよまくら−あけなはこころ−いつちかもせむ |
03801 |
未入力 基家 (xxx)
峰の雲野原の草を契にて幾夜旅ねの里かはるらん
みねのくも−のはらのくさを−ちきりにて−いくよたひねの−さとかはるらむ |
03802 |
未入力 家良 (xxx)
おく露に袖さへぬれて遠方のあかしのこやにあかしかねつつ
おくつゆに−そてさへぬれて−をちかたの−あかしのこやに−あかしかねつつ |
03803 |
未入力 基良 (xxx)
雲にふす峰の松かけとしふとも忘られかたき岩枕かな
くもにふす−みねのまつかけ−としふとも−わすられかたき−いはまくらかな |
03804 |
未入力 隆親 (xxx)
篠分くる袖より露のやとりにてよすから草の枕にそおく
ささわくる−そてよりつゆの−やとりにて−よすからくさの−まくらにそおく |
03805 |
未入力 為家 (xxx)
あはれなとあひもおもはぬ故郷も旅ねとなれは恋しかるらん
あはれなと−あひもおもはぬ−ふるさとも−たひねとなれは−こひしかるらむ |
03806 |
未入力 公相 (xxx)
しなかとりゐなのささはらふしわひぬ一夜はかりのやととおもへと
しなかとり−ゐなのささはら−ふしわひぬ−ひとよはかりの−やととおもへと |
03807 |
未入力 実雄 (xxx)
露なからむすふを篠のかり枕かりそめふしの幾夜へぬらん
つゆなから−むすふをささの−かりまくら−かりそめふしの−いくよへぬらむ |
03808 |
未入力 信覚 (xxx)
岩かねの苔の莚に露おきて木の葉をりしく秋の旅人
いはかねの−こけのむしろに−つゆおきて−このはをりしく−あきのたひひと |
03809 |
未入力 為経 (xxx)
過きかてに心のとまる松かねを一夜のやととさためつるかな
すきかてに−こころのとまる−まつかねを−ひとよのやとと−さためつるかな |
03810 |
未入力 忠定 (xxx)
旅人も行くにそふはの関はもる夢路とほさぬ峰の松風
たひひとも−ゆくにそふはの−せきはもる−ゆめちとほさぬ−みねのまつかせ |
03811 |
未入力 資季 (xxx)
故郷をおもひ出てつつ草まくらならはぬ床にふしそかねぬる
ふるさとを−おもひいてつつ−くさまくら−ならはぬとこに−ふしそかねぬる |
03812 |
未入力 頼氏 (xxx)
うつり行く道もすからに分けすてし草葉はよるの枕なりけり
うつりゆく−みちもすからに−わけすてし−くさははよるの−まくらなりけり |
03813 |
未入力 有教 (xxx)
今日も又高根のましはをりしきてしくるる雲に夜をや重ねむ
けふもまた−たかねのましは−をりしきて−しくるるくもに−よをやかさねむ |
03814 |
未入力 師継 (xxx)
草枕衣かへしてさぬる夜の夢にはちかしいもかふるさと
くさまくら−ころもかへして−さぬるよの−ゆめにはちかし−いもかふるさと |
03815 |
未入力 定嗣 (xxx)
夜数へて草の枕はなれぬれとねさめは猶そみやこ恋しき
よかすへて−くさのまくらは−なれぬれと−ねさめはなほそ−みやここひしき |
03816 |
未入力 成実 (xxx)
旅ころもつま吹く風の寒き夜に袖をりかへし幾夜かもねん
たひころも−つまふくかせの−さむきよに−そてをりかへし−いくよかもねむ |
03817 |
未入力 蓮性 (xxx)
しのはらやさても心はとまらねとみ草かりふきさすいほりかな
しのはらや−さてもこころは−とまらねと−みくさかりふき−さすいほりかな |
03818 |
未入力 顕氏 (xxx)
しるしらすわきてはいはしあつまちの野かみの里に今夜宿かせ
しるしらす−わきてはいはし−あつまちの−のかみのさとに−こよひやとかせ |
03819 |
未入力 寂能 (xxx)
岩代の岡のかやねにむすふ夜も夢は都にかはらさりけり
いはしろの−をかのかやねに−むすふよも−ゆめはみやこに−かはらさりけり |
03820 |
未入力 為氏 (xxx)
あつまのの篠屋の床のかり枕ふしもならはぬ夜をかさねつつ
あつまのの−ささやのとこの−かりまくら−ふしもならはぬ−よをかさねつつ |
03821 |
未入力 真観 (xxx)
露深きあら野にさてはいかかねん柴かりもてに庵せんこそ
つゆふかき−あらのにさては−いかかねむ−しはかりもてに−いほりせむこそ |
03822 |
未入力 寂西 (xxx)
此里にきやとるまてといそきつる今日の野原の道のはるけさ
このさとに−きやとるまてと−いそきつる−けふののはらの−みちのはるけさ |
03823 |
未入力 為継 (xxx)
行きとまる夕の空といひなからさのみや旅のやとをかるらん
ゆきとまる−ゆふへのそらと−いひなから−さのみやたひの−やとをかるらむ |
03824 |
未入力 経朝 (xxx)
あしひきの山のしつくの露をたにほさてかたしくたひの衣手
あしひきの−やまのしつくの−つゆをたに−ほさてかたしく−たひのころもて |
03825 |
未入力 行家 (xxx)
今夜もや草ひき結ひさすいほのあたのおほ野に我独ねん
こよひもや−くさひきむすひ−さすいほの−あたのおほのに−われひとりねむ |
未入力 成茂 (xxx)
(空白)
xxxxx−xxxxxxx−xxxxx−xxxxxxx−xxxxxxx |
03826 |
未入力 隆祐 (xxx)
ふるさとの猶したはるる暁をたひねわかるる涙とも見よ
ふるさとの−なほしたはるる−あかつきを−たひねわかるる−なみたともみよ |
03827 |
未入力 禅信 (xxx)
旅人の分けて入野のかや莚しきりに露の数そおきそふ
たひひとの−わけているのの−かやむしろ−しきりにつゆの−かすそおきそふ |
03828 |
未入力 高倉 (xxx)
篠枕夜ことにかはるたひねにも露と友にはおきうかりけり
ささまくら−よことにかはる−たひねにも−つゆとともには−おきうかりけり |
03829 |
未入力 按察 (xxx)
くれことに行きとまりぬるやとはあれといつれもさして我はまたしな
くれことに−ゆきとまりぬる−やとはあれと−いつれもさして−われはまたしな |
03830 |
未入力 帥 (xxx)
やとりして思ひしりぬるあはれかな月すむ野への草の枕に
やとりして−おもひしりぬる−あはれかな−つきすむのへの−くさのまくらに |
03831 |
未入力 小宰相 (xxx)
かりにのみ立ちよる人のならひには誰かなこりをかやとにしのはん
かりにのみ−たちよるひとの−ならひには−たかなこりをか−やとにしのはむ |
03832 |
未入力 俊成女 (xxx)
さすらふる身はならはしの旅のやとに猶いはひおく君か御代かな
さすらふる−みはならはしの−たひのやとに−なほいはひおく−きみかみよかな |
03833 |
未入力 少将内侍 (xxx)
おのつからあたなる野への草枕かりそめとても一夜やはねぬ
おのつから−あたなるのへの−くさまくら−かりそめとても−ひとよやはねぬ |
03834 |
未入力 弁内侍 (xxx)
かりそめにむすふ草葉はあたなれとこれも契の枕なりけり
かりそめに−むすふくさはは−あたなれと−これもちきりの−まくらなりけり |
03835 |
未入力 但馬 (xxx)
一夜とてやとかる旅の草枕かりそめふしは夢もむすはす
ひとよとて−やとかるたひの−くさまくら−かりそめふしは−ゆめもむすはす |
03836 |
未入力 下野 (xxx)
篠の庵枕もしらてふしわひぬ一夜の夢もみせぬやま風
ささのいほ−まくらもしらて−ふしわひぬ−ひとよのゆめも−みせぬやまかせ |
03837 |
未入力 御製 (xxx)
行きめくりいさこととはんとまり舟こふる宮この人もありやと
ゆきめくり−いさこととはむ−とまりふね−こふるみやこの−ひともありやと |
03838 |
未入力 道助 (xxx)
ふしなれぬ浦風あらく立ちにけり今夜そ舟のかち枕する
ふしなれぬ−うらかせあらく−たちにけり−こよひそふねの−かちまくらする |
03839 |
未入力 実氏 (xxx)
尋ねてもおなしとまりのうきねせん波路へたつな夜はのとも舟
たつねても−おなしとまりの−うきねせむ−なみちへたつな−よはのともふね |
03840 |
未入力 基家 (xxx)
おのれたにこととへ夜半のおきつなみならはぬ床の浦路なりとも
おのれたに−こととへよはの−おきつなみ−ならはぬとこの−うらちなりとも |
03841 |
未入力 家良 (xxx)
おきつ風あらつのはまの波枕ならはぬもののねんかたもなし
おきつかせ−あらつのはまの−なみまくら−ならはぬものの−ねむかたもなし |
03842 |
未入力 基良 (xxx)
心からうきたる夜はのなみまくら夢路さためぬ浦風そふく
こころから−うきたるよはの−なみまくら−ゆめちさためぬ−うらかせそふく |
03843 |
未入力 隆親 (xxx)
梶枕かたしく波におとろけはふるさとみつる夢もさめつつ
かちまくら−かたしくなみに−おとろけは−ふるさとみつる−ゆめもさめつつ |
03844 |
未入力 為家 (xxx)
たつねみんおなしうきねのとまり舟我か思ふかたにたよりありやと
たつねみむ−おなしうきねの−とまりふね−わかおもふかたに−たよりありやと |
03845 |
未入力 公相 (xxx)
とまりする入江の舟の浮枕浪まにみゆる夢そすくなき
とまりする−いりえのふねの−うきまくら−なみまにみゆる−ゆめそすくなき |
03846 |
未入力 実雄 (xxx)
荻の葉のそよくあたりに舟とめて入江の水に月を見るかな
をきのはの−そよくあたりに−ふねとめて−いりえのみつに−つきをみるかな |
03847 |
未入力 信覚 (xxx)
むろのとや舟のとまりの夕なきにからろにひひく磯の松風
むろのとや−ふねのとまりの−ゆふなきに−からろにひひく−いそのまつかせ |
03848 |
未入力 為経 (xxx)
こきとめてとまひく舟の浮枕ねなくに波のよるそかなしき
こきとめて−とまひくふねの−うきまくら−ねなくになみの−よるそかなしき |
03849 |
未入力 忠定 (xxx)
浪音のさすかならはぬうきねかな袖になれにしみなとなれとも
なみおとの−さすかならはぬ−うきねかな−そてになれにし−みなとなれとも |
03850 |
未入力 資季 (xxx)
舟とむるうきねの床そさためなき汀のしほのなかれひるまに
ふねとむる−うきねのとこそ−さためなき−みきはのしほの−なかれひるまに |
03851 |
未入力 頼氏 (xxx)
磯なれぬうきねのそらはふけにけり湊のおきにのこる月影
いそなれぬ−うきねのそらは−ふけにけり−みなとのおきに−のこるつきかけ |
03852 |
未入力 有教 (xxx)
とへかしなゆらのみなとのかち枕行へもしらぬ波のうきねを
とへかしな−ゆらのみなとの−かちまくら−ゆくへもしらぬ−なみのうきねを |
03853 |
未入力 師継 (xxx)
ふねとめていさみてゆかんおほよとのみつのはま松たちもこそすれ
ふねとめて−いさみてゆかむ−おほよとの−みつのはままつ−たちもこそすれ |
03854 |
未入力 定嗣 (xxx)
すみよしのなこえのはまへみつしほにかちふりたててとまる今夜か
すみよしの−なこえのはまへ−みつしほに−かちふりたてて−とまるこよひか |
03855 |
未入力 成実 (xxx)
よものうみ雲をさまれる月影に波も音せてとまる舟人
よものうみ−くもをさまれる−つきかけに−なみもおとせて−とまるふなひと |
03856 |
未入力 蓮性 (xxx)
けふくれぬなこのはまへに舟とめてあけはいさこらたまもひろはん
けふくれぬ−なこのはまへに−ふねとめて−あけはいさこら−たまもひろはむ |
03857 |
未入力 顕氏 (xxx)
風をいたみ波ちをわけてこく舟の行きつくかたやとまりなるらん
かせをいたみ−なみちをわけて−こくふねの−ゆきつくかたや−とまりなるらむ |
03858 |
未入力 寂能 (xxx)
やとからんすさきの松の風をいたみあるるとまやも人は住みけり
やとからむ−すさきのまつの−かせをいたみ−あるるとまやも−ひとはすみけり |
03859 |
未入力 為氏 (xxx)
こきとむる浦こそかはれよるよるの枕の波はかはらさりけり
こきとむる−うらこそかはれ−よるよるの−まくらのなみは−かはらさりけり |
03860 |
未入力 真観 (xxx)
夕なきにほつつしめなはくりさけてとまりけすらひよする舟人
ゆふなきに−ほつつしめなは−くりさけて−とまりけすらひ−よするふなひと |
03861 |
未入力 寂西 (xxx)
うきねして枕とたのむふなはたにおきならへたるかちもありけり
うきねして−まくらとたのむ−ふなはたに−おきならへたる−かちもありけり |
03862 |
未入力 為継 (xxx)
遠方のしほせをはやみこき過きて浦かくれにそうきねしてける
をちかたの−しほせをはやみ−こきすきて−うらかくれにそ−うきねしてける |
03863 |
未入力 経朝 (xxx)
うちよする波はたかしの浦風にとまりわつらふおきの友舟
うちよする−なみはたかしの−うらかせに−とまりわつらふ−おきのともふね |
03864 |
未入力 行家 (xxx)
今日も猶えそ出てやらぬまつらかた待つもむなしき風のたよりに
けふもなほ−えそいてやらぬ−まつらかた−まつもむなしき−かせのたよりに |
03865 |
未入力 成茂 (xxx)
いもか島かたみの浦にふねとめてなほなつかしみ一夜あかしつ
いもかしま−かたみのうらに−ふねとめて−なほなつかしみ−ひとよあかしつ |
03866 |
未入力 隆祐 (xxx)
むしあけのせとのしほひの出てかてにあたら波ちのおひ風そ吹く
むしあけの−せとのしほひの−いてかてに−あたらなみちの−おひかせそふく |
03867 |
未入力 禅信 (xxx)
かち枕しらぬとまりのさよちとりともよふ声そ友と成りぬる
かちまくら−しらぬとまりの−さよちとり−ともよふこゑそ−ともとなりぬる |
03868 |
未入力 高倉 (xxx)
あはれとも誰かいはまのとまり舟浮きてや波にやとをかるらん
あはれとも−たれかいはまの−とまりふね−うきてやなみに−やとをかるらむ |
03869 |
未入力 按察 (xxx)
松風の音吹きかよふからことの浪のひひきをうきねにそきく
まつかせの−おとふきかよふ−からことの−なみのひひきを−うきねにそきく |
03870 |
未入力 帥 (xxx)
浪かかるしきつの浦のうき枕ならはぬたひはかなしかりけり
なみかかる−しきつのうらの−うきまくら−ならはぬたひは−かなしかりけり |
03871 |
未入力 小宰相 (xxx)
一夜たにかたしく袖をしほるかな誰に宮こをとふのすかこも
ひとよたに−かたしくそてを−しほるかな−たれにみやこを−とふのすかこも |
03872 |
未入力 俊成女 (xxx)
舟とむる浦吹く風も波の音もをさまれる世の声そきこゆる
ふねとむる−うらふくかせも−なみのおとも−をさまれるよの−こゑそきこゆる |
03873 |
未入力 少将内侍 (xxx)
とまり舟おなしみなとにこきよせよ知るもしらぬも我か友とみん
とまりふね−おなしみなとに−こきよせよ−しるもしらぬも−わかともとみむ |
03874 |
未入力 弁内侍 (xxx)
旅衣いつくはあれと袖ぬらす波にうきねのよるそかなしき
たひころも−いつくはあれと−そてぬらす−なみにうきねの−よるそかなしき |
03875 |
未入力 但馬 (xxx)
よせかくる波の枕に夢をたにみぬめのうらにとまるふなひと
よせかくる−なみのまくらに−ゆめをたに−みぬめのうらに−とまるふなひと |
03876 |
未入力 下野 (xxx)
さもあらはあれ今夜はかりの浮ねにはいさ舟とめん波あらくとも
さもあらはあれ−こよひはかりの−うきねには−いさふねとめむ−なみあらくとも |
03877 |
未入力 御製 (xxx)
今も又松浦の海にみわたせはいや遠さかる舟出かなしも
いまもまた−まつらのうみに−みわたせは−いやとほさかる−ふなてかなしも |
03878 |
未入力 道助 (xxx)
波かけてたつやをしまの夕けふりさらてはみゆる山のはもなし
なみかけて−たつやをしまの−ゆふけふり−さらてはみゆる−やまのはもなし |
03879 |
未入力 実氏 (xxx)
うなはらやたゆたふ浪のはてもなしいつくなるらん雲のをちかた
うなはらや−たゆたふなみの−はてもなし−いつくなるらむ−くものをちかた |
03880 |
未入力 基家 (xxx)
ふたみかた浦の島島あくる夜の遠きしほやは春そさひしき
ふたみかた−うらのしましま−あくるよの−とほきしほやは−はるそさひしき |
03881 |
未入力 家良 (xxx)
うなはらやなきたる波のいさり舟おきのすさきにこきまはるみゆ
うなはらや−なきたるなみの−いさりふね−おきのすさきに−こきまはるみゆ |
03882 |
未入力 基良 (xxx)
きはもなきなたのしほちの夕かな空を限にまよふしら波
きはもなき−なたのしほちの−ゆふへかな−そらをかきりに−まよふしらなみ |
03883 |
未入力 隆親 (xxx)
よもすから波ちの月の行へみんいるへきかたの山の端もなし
よもすから−なみちのつきの−ゆくへみむ−いるへきかたの−やまのはもなし |
03884 |
未入力 為家 (xxx)
あけわたるあしやの海の波間よりほのかにめくるきちの遠山
あけわたる−あしやのうみの−なみまより−ほのかにめくる−きちのとほやま |
03885 |
未入力 公相 (xxx)
わたのはらやへの塩路をみわたせは浮きたる雲につつくしら波
わたのはら−やへのしほちを−みわたせは−うきたるくもに−つつくしらなみ |
03886 |
未入力 実雄 (xxx)
うなはらや浪まをわけてみわたせは浮きてなかれぬ淡路島山
うなはらや−なみまをわけて−みわたせは−うきてなかれぬ−あはちしまやま |
03887 |
未入力 信覚 (xxx)
なかむれはなきたるあさの浦風に煙そなひくあまのもしほ火
なかむれは−なきたるあさの−うらかせに−けふりそなひく−あまのもしほひ |
03888 |
未入力 為経 (xxx)
たちいてて波まにみれはすみよしの岸にむかへるあはちしま山
たちいてて−なみまにみれは−すみよしの−きしにむかへる−あはちしまやま |
03889 |
未入力 忠定 (xxx)
朝なきにはれ行く浦の雲まより先あらはるるうき島の松
あさなきに−はれゆくうらの−くもまより−まつあらはるる−うきしまのまつ |
03890 |
未入力 資季 (xxx)
あさなきにうち出ててみれはうなはらやときとき帰るおきつしらなみ
あさなきに−うちいててみれは−うなはらや−ときときかへる−おきつしらなみ |
03891 |
未入力 頼氏 (xxx)
わたつうみに一むらかかる浮雲はちかつくままのあはちしま山
わたつうみに−ひとむらかかる−うきくもは−ちかつくままの−あはちしまやま |
03892 |
未入力 有教 (xxx)
夕なきにおきのしまわのもかり舟むれゐる鳥の数をそへつつ
ゆふなきに−おきのしまわの−もかりふね−むれゐるとりの−かすをそへつつ |
03893 |
未入力 師継 (xxx)
雲の波はるれはちかしすみよしの浦より遠のあはちしま山
くものなみ−はるれはちかし−すみよしの−うらよりをちの−あはちしまやま |
03894 |
未入力 定嗣 (xxx)
ここにして浪間やいつくあまのはら空にまゆかくおきつしまかも
ここにして−なみまやいつく−あまのはら−そらにまゆかく−おきつしまかも |
03895 |
未入力 成実 (xxx)
あはちしま塩風はやく立つ波にかさしの花の色やみたれむ
あはちしま−しほかせはやく−たつなみに−かさしのはなの−いろやみたれむ |
03896 |
未入力 蓮性 (xxx)
風わたるむこのうらわにいててみれは波のしめゆふすみよしの松
かせわたる−むこのうらわに−いててみれは−なみのしめゆふ−すみよしのまつ |
03897 |
未入力 顕氏 (xxx)
うなはらやおき行く舟のほのほのとあかしのせとの島めくるみゆ
うなはらや−おきゆくふねの−ほのほのと−あかしのせとの−しまめくるみゆ |
03898 |
未入力 寂能 (xxx)
おほの山おきそのきりのはれぬれはなかめそ海の限なりける
おほのやま−おきそのきりの−はれぬれは−なかめそうみの−かきりなりける |
03899 |
未入力 為氏 (xxx)
きよみかたうち出ててみれはいほはらのみほのおきつは海しつかなり
きよみかた−うちいててみれは−いほはらの−みほのおきつは−うみしつかなり |
03900 |
未入力 真観 (xxx)
たか世にもまたみぬ海のはてなれとこやそなるらんをちのしら雲
たかよにも−またみぬうみの−はてなれと−こやそなるらむ−をちのしらくも |
03901 |
未入力 寂西 (xxx)
わたつうみはいかなる波のはてならんおきをもおきとみる程そみる
わたつうみは−いかなるなみの−はてならむ−おきをもおきと−みるほとそみる |
03902 |
未入力 為継 (xxx)
わたつ海は波のうへのみかすかにてはるはるみれと山の端もなし
わたつうみは−なみのうへのみ−かすかにて−はるはるみれと−やまのはもなし |
03903 |
未入力 経朝 (xxx)
思ひやる末こそしらね浪まよりみこしのさきのあまのつり船
おもひやる−すゑこそしらね−なみまより−みこしのさきの−あまのつりふね |
03904 |
未入力 行家 (xxx)
こゆるきの磯の波分けみわたせはめにちかからぬおきつしまかな
こゆるきの−いそのなみわけ−みわたせは−めにちかからぬ−おきつしまかな |
03905 |
未入力 成茂 (xxx)
おしてるや波ものとけき朝なきに空にまちかきおきのつり舟
おしてるや−なみものとけき−あさなきに−そらにまちかき−おきのつりふね |
03906 |
未入力 隆祐 (xxx)
夕日さす浪のうへよりたつ煙いかなる浦にもしほやくらん
ゆふひさす−なみのうへより−たつけふり−いかなるうらに−もしほやくらむ |
03907 |
未入力 禅信 (xxx)
吹きおくる塩路も遠き浦風に波の花さくあはちしまやま
ふきおくる−しほちもとほき−うらかせに−なみのはなさく−あはちしまやま |
03908 |
未入力 高倉 (xxx)
はるはると空もひとつにありそ海の雲かとみゆるおきのしら波
はるはると−そらもひとつに−ありそうみの−くもかとみゆる−おきのしらなみ |
03909 |
未入力 按察 (xxx)
あけかたにかとりの海をみわたせは光もうすきあまのいさりひ
あけかたに−かとりのうみを−みわたせは−ひかりもうすき−あまのいさりひ |
03910 |
未入力 帥 (xxx)
なこのうみや波のはれまにみわたせははるかになりぬおきのつり舟
なこのうみや−なみのはれまに−みわたせは−はるかになりぬ−おきのつりふね |
03911 |
未入力 小宰相 (xxx)
わたつ海や限もしらぬ波のうへもおもへはみちはたゆるものかは
わたつうみや−かきりもしらぬ−なみのうへも−おもへはみちは−たゆるものかは |
03912 |
未入力 俊成女 (xxx)
四の海浪もしつかにかよひきてまつらのおきにみゆるふな人
よつのうみ−なみもしつかに−かよひきて−まつらのおきに−みゆるふなひと |
03913 |
未入力 少将内侍 (xxx)
しら雲のかかるとたにもみえぬかな遠くやはらふおきつしほ風
しらくもの−かかるとたにも−みえぬかな−とほくやはらふ−おきつしほかせ |
03914 |
未入力 弁内侍 (xxx)
わたつうみのおきつしら波たえたえにかかるをみれは雲もまかはす
わたつうみの−おきつしらなみ−たえたえに−かかるをみれは−くももまかはす |
03915 |
未入力 但馬 (xxx)
塩風にいつくをさして行く舟の波よりほかは山の端もなし
しほかせに−いつくをさして−ゆくふねの−なみよりほかは−やまのはもなし |
03916 |
未入力 下野 (xxx)
淡路島手にとるはかりみゆれともわたるは遠き波のうへかな
あはちしま−てにとるはかり−みゆれとも−わたるはとほき−なみのうへかな |
03917 |
未入力 御製 (xxx)
いはし水きよき心にすむといふ神のちかひは猶もたのもし
いはしみつ−きよきこころに−すむといふ−かみのちかひは−なほもたのもし |
03918 |
未入力 道助 (xxx)
跡たれて千代ともさらにいはし水ちかひし末そ今もかはらぬ
あとたれて−ちよともさらに−いはしみつ−ちかひしすゑそ−いまもかはらぬ |
03919 |
未入力 実氏 (xxx)
あきつはのすかたの国に跡たるる神のまもりやわか君のため
あきつはの−すかたのくにに−あとたるる−かみのまもりや−わかきみのため |
03920 |
未入力 基家 (xxx)
まもれたたよものやしろのあまつ神君ゆゑにこそ跡もたるらめ
まもれたた−よものやしろの−あまつかみ−きみゆゑにこそ−あともたるらめ |
03921 |
未入力 家良 (xxx)
神さふるきふねの宮の榊葉の千代とさしてもあかぬ御代かな
かみさふる−きふねのみやの−さかきはの−ちよとさしても−あかぬみよかな |
03922 |
未入力 基良 (xxx)
ちはやふる神のめくみのひろまへに祈るかひある君かみよかな
ちはやふる−かみのめくみの−ひろまへに−いのるかひある−きみかみよかな |
03923 |
未入力 隆親 (xxx)
そのかみを思出ててそみくまのの神よかねても君をまつらん
そのかみを−おもひいててそ−みくまのの−かみよかねても−きみをまつらむ |
03924 |
未入力 為家 (xxx)
あきつ島くにつ社のあきらけくまもりはくくむ御代の久しさ
あきつしま−くにつやしろの−あきらけく−まもりはくくむ−みよのひさしさ |
03925 |
未入力 公相 (xxx)
ちはやふる神のやしろのみしめなはなかくも絶えしみよの行末
ちはやふる−かみのやしろの−みしめなは−なかくもたえし−みよのゆくすゑ |
03926 |
未入力 実雄 (xxx)
神かきやみむろの榊ゆふかけて祈るや千代もわか君のため
かみかきや−みむろのさかき−ゆふかけて−いのるやちよも−わかきみのため |
03927 |
未入力 信覚 (xxx)
かみ風やみもすそ河にせきとめてさためおきける君か万代
かみかせや−みもすそかはに−せきとめて−さためおきける−きみかよろつよ |
03928 |
未入力 為経 (xxx)
さそ祈る賀茂のやしろのみつかきの久しき御代のためしなれとは
さそいのる−かものやしろの−みつかきの−ひさしきみよの−ためしなれとは |
03929 |
未入力 忠定 (xxx)
照すなり島の外まて伊勢島や神ちの山にすめる月影
てらすなり−しまのほかまて−いせしまや−かみちのやまに−すめるつきかけ |
03930 |
未入力 資季 (xxx)
神かきのみむろの榊さかへ行く御代のためしとしけりあひつつ
かみかきの−みむろのさかき−さかえゆく−みよのためしと−しけりあひつつ |
03931 |
未入力 頼氏 (xxx)
うこきなき千とせの山のみつかきは久しきみよのしるしなりけり
うこきなき−ちとせのやまの−みつかきは−ひさしきみよの−しるしなりけり |
03932 |
未入力 有教 (xxx)
いはしみつふかきちきりを結ひおきていく万代も君そすむへき
いはしみつ−ふかきちきりを−むすひおきて−いくよろつよも−きみそすむへき |
03933 |
未入力 師継 (xxx)
君かへん御代の久しきしるしにはかねてそいはふかものみつかき
きみかへむ−みよのひさしき−しるしには−かねてそいはふ−かものみつかき |
03934 |
未入力 定嗣 (xxx)
おほ君のみかさの山のみさかきは千代とさしても色はかはらし
おほきみの−みかさのやまの−みさかきは−ちよとさしても−いろはかはらし |
03935 |
未入力 成実 (xxx)
神代よりまもりそきつる我か君のみもすそ河のなかれ久しき
かみよより−まもりそきつる−わかきみの−みもすそかはの−なかれひさしき |
03936 |
未入力 蓮性 (xxx)
代代かけていはふみむろの神やつこいやとこしきに祈りまつらん
よよかけて−いはふみむろの−かみやつこ−いやとこしきに−いのりまつらむ |
03937 |
未入力 顕氏 (xxx)
すへらきのみことつたへし春の日の名におふ宮そ世をまもるらん
すへらきの−みことつたへし−はるのひの−なにおふみやそ−よをまもるらむ |
03938 |
未入力 寂能 (xxx)
君か代はしめもゆるかぬ神風におのれとなひく伊勢の浜荻
きみかよは−しめもゆるかぬ−かみかせに−おのれとなひく−いせのはまをき |
03939 |
未入力 為氏 (xxx)
ちはやふるみむろの榊ゆふかけていのるも君か万代のため
ちはやふる−みむろのさかき−ゆふかけて−いのるもきみか−よろつよのため |
03940 |
未入力 真観 (xxx)
かくしこそかものやしろのゆふかつら上をさまれは下もみたれね
かくしこそ−かものやしろの−ゆふかつら−かみをさまれは−しももみたれね |
03941 |
未入力 寂西 (xxx)
ちはやふる玉津島姫道とめて此ことのはの千代まもりませ
ちはやふる−たまつしまひめ−みちとめて−このことのはの−ちよまもりませ |
03942 |
未入力 為継 (xxx)
神代より名になかれたるいはし水むかしに今そすみかへるらむ
かみよより−なになかれたる−いはしみつ−むかしにいまそ−すみかへるらむ |
03943 |
未入力 経朝 (xxx)
八幡山雲なき峰にすむ月のはれ行く千代は空にみえつつ
やはたやま−くもなきみねに−すむつきの−はれゆくちよは−そらにみえつつ |
03944 |
未入力 行家 (xxx)
にこりなき御代はつきせし石清水滝つなかれの末もはるかに
にこりなき−みよはつきせし−いはしみつ−たきつなかれの−すゑもはるかに |
03945 |
未入力 成茂 (xxx)
みこともりいともかしこし此社いのるしるしの御はこさつけき
みこともり−いともかしこし−このやしろ−いのるしるしの−みはこさつけき |
03946 |
未入力 隆祐 (xxx)
をとこ山なるるみゆきのいやましにまもりそへたる代こそしらるれ
をとこやま−なるるみゆきの−いやましに−まもりそへたる−よこそしらるれ |
03947 |
未入力 禅信 (xxx)
いそのかみふるのやしろもふりにけり君かよはひを猶かさねつつ
いそのかみ−ふるのやしろも−ふりにけり−きみかよはひを−なほかさねつつ |
03948 |
未入力 高倉 (xxx)
君すめはいすすか河のそこきよみかねてそ千代の影もみえける
きみすめは−いすすかかはの−そこきよみ−かねてそちよの−かけもみえける |
03949 |
未入力 按察 (xxx)
伊勢の海やあまてる神もうけひくは波閑なる御代そ久しき
いせのうみや−あまてるかみ−もうけひくは−なみしつかなる−みよそひさしき |
03950 |
未入力 帥 (xxx)
いく千とせふるのやしろと聞きおけはさこそは君の世をまもるらめ
いくちとせ−ふるのやしろと−ききおけは−さこそはきみの−よをまもるらめ |
03951 |
未入力 小宰相 (xxx)
神路山もも枝の松もさらに又いく千代君にちきりおくらむ
かみちやま−ももえのまつも−さらにまた−いくちよきみに−ちきりおくらむ |
03952 |
未入力 俊成女 (xxx)
うこきなくたてし内外の宮柱君にそ末をつたへおきけん
うこきなく−たてしうちとの−みやはしら−きみにそすゑを−つたへおきけむ |
03953 |
未入力 少将内侍 (xxx)
ちはやふる賀茂の瑞籬としをへて久しき世にもつかへてしかな
ちはやふる−かものみつかき−としをへて−ひさしきよにも−つかへてしかな |
03954 |
未入力 弁内侍 (xxx)
君を祈る事はたかはし神かきやゆふしてかけて今なひくらん
きみをいのる−ことはたかはし−かみかきや−ゆふしてかけて−いまなひくらむ |
03955 |
未入力 但馬 (xxx)
八千とせに猶あまりある君か代をまもる神ちの山そのとけき
やちとせに−なほあまりある−きみかよを−まもるかみちの−やまそのとけき |
03956 |
未入力 下野 (xxx)
君まもる宮この南をとこ山万代とこそこゑよはふなり
きみまもる−みやこのみなみ−をとこやま−よろつよとこそ−こゑよはふなり |
03957 |
未入力 御製 (xxx)
久堅のあまの岩戸のあけしよりいつる朝日はくもる時なし
ひさかたの−あまのいはとの−あけしより−いつるあさひは−くもるときなし |
03958 |
未入力 道助 (xxx)
日の光もらす草木もなかりけりxxxxxxのひろきめくみに
ひのひかり−もらすくさきも−なかりけり−xxxxxxの−ひろきめくみに |
03959 |
未入力 実氏 (xxx)
ちはやふる神路の山の朝日影猶君か代にくもりあらすな
ちはやふる−かみちのやまの−あさひかけ−なほきみかよに−くもりあらすな |
03960 |
未入力 基家 (xxx)
いつる日の君の光のます鏡むかふ千とせは空にみゆらし
いつるひの−きみのひかりの−ますかかみ−むかふちとせは−そらにみゆらし |
03961 |
未入力 家良 (xxx)
ひさかたのあまつ日影もくもりなき御代のためとやてりはしめけん
ひさかたの−あまつひかけも−くもりなき−みよのためとや−てりはしめけむ |
03962 |
未入力 基良 (xxx)
くもりなき御代の光はかくしこそ出つる朝日ものとかなりけれ
くもりなき−みよのひかりは−かくしこそ−いつるあさひも−のとかなりけれ |
03963 |
未入力 隆親 (xxx)
神ち山さすや朝日の限なくのとけき御代の光しるしも
かみちやま−さすやあさひの−かきりなく−のとけきみよの−ひかりしるしも |
03964 |
未入力 為家 (xxx)
世を照すよもの光も君かため我か日の本といてはしめけり
よをてらす−よものひかりも−きみかため−わかひのもとと−いてはしめけり |
03965 |
未入力 公相 (xxx)
みかさ山峰たちのほる朝日影空にくもらぬよろつ代の春
みかさやま−みねたちのほる−あさひかけ−そらにくもらぬ−よろつよのはる |
03966 |
未入力 実雄 (xxx)
岩戸出てて日影は今もくもらねはかしこき御代をさそ照すらん
いはといてて−ひかけはいまも−くもらねは−かしこきみよを−さそてらすらむ |
03967 |
未入力 信覚 (xxx)
みかさ山いつる日影ものとかにて千とせの春も君のみそ見む
みかさやま−いつるひかけも−のとかにて−ちとせのはるも−きみのみそみむ |
03968 |
未入力 為経 (xxx)
やすみしるやまと岩根の君か代を照す日影の限なきかな
やすみしる−やまといはねの−きみかよを−てらすひかけの−かきりなきかな |
03969 |
未入力 忠定 (xxx)
君かため雲さへ空にをさまれる御世と朝日の出つる山の端
きみかため−くもさへそらに−をさまれる−みよとあさひの−いつるやまのは |
03970 |
未入力 資季 (xxx)
くもりなき日影をみても君かへんやほ万代を空にしるかな
くもりなき−ひかけをみても−きみかへむ−やほよろつよを−そらにしるかな |
03971 |
未入力 頼氏 (xxx)
空はれてやふしもわかぬ日の本の秋津島根はのとけかりけり
そらはれて−やふしもわかぬ−ひのもとの−あきつしまねは−のとけかりけり |
03972 |
未入力 有教 (xxx)
くもりなき御代のしるしは神ち山照す朝日の光なりけり
くもりなき−みよのしるしは−かみちやま−てらすあさひの−ひかりなりけり |
03973 |
未入力 師継 (xxx)
我か君のやまと島根を出つる日はもろこしまてもあふかさらめや
わかきみの−やまとしまねを−いつるひは−もろこしまても−あふかさらめや |
03974 |
未入力 定嗣 (xxx)
あさひこは千代の影もて我か君の国さかへんと照すへらなり
あさひこは−ちよのかけもて−わかきみの−くにさかえむと−てらすへらなり |
03975 |
未入力 成実 (xxx)
朝日山さしても君かためしとてくもりなき世の千代の行末
あさひやま−さしてもきみか−ためしとて−くもりなきよの−ちよのゆくすゑ |
03976 |
未入力 蓮性 (xxx)
さしなから千代もやへなん朝つくひむかふつけくしひさにふりつつ
さしなから−ちよもやへなむ−あさつくひ−むかふつけくし−ひさにふりつつ |
03977 |
未入力 顕氏 (xxx)
いつる日の光にむかふたひことに君かやちよを祈りてそふる
いつるひの−ひかりにむかふ−たひことに−きみかやちよを−いのりてそふる |
03978 |
未入力 寂能 (xxx)
久堅のくもらて出つる朝日山うこかぬ御代のすゑそはるけき
ひさかたの−くもらていつる−あさひやま−うこかぬみよの−すゑそはるけき |
03979 |
未入力 為氏 (xxx)
明けきあまつ日かけの末遠くさそくもりなく世を照すへき
あきらけき−あまつひかけの−すゑとほく−さそくもりなく−よをてらすへき |
03980 |
未入力 真観 (xxx)
あきらけき時代と誰かしらさらんとよさかのほる峰の朝日に
あきらけき−ときよとたれか−しらさらむ−とよさかのほる−みねのあさひに |
03981 |
未入力 寂西 (xxx)
日の本といふにてしりぬ我か君の国のをさめはいまあきらけし
ひのもとと−いふにてしりぬ−わかきみの−くにのをさめは−いまあきらけし |
03982 |
未入力 為継 (xxx)
くもりなき時そとおもへは久かたのあまつ日影の空にのとけき
くもりなき−ときそとおもへは−ひさかたの−あまつひかけの−そらにのとけき |
03983 |
未入力 経朝 (xxx)
君か代はあまのかく山いつる日の限もしらぬ空にまかせん
きみかよは−あまのかくやま−いつるひの−かきりもしらぬ−そらにまかせむ |
03984 |
未入力 行家 (xxx)
ひさかたのあまの岩戸を出つる日の光はてらせいく万代も
ひさかたの−あまのいはとを−いつるひの−ひかりはてらせ−いくよろつよも |
03985 |
未入力 成茂 (xxx)
君をまもるいつくはあれと日の本に照す日吉は我か宮そこれ
きみをまもる−いつくはあれと−ひのもとに−てらすひよしは−わかみやそこれ |
03986 |
未入力 隆祐 (xxx)
日の本の国のうちなる宮こより君か光も代をてらしけり
ひのもとの−くにのうちなる−みやこより−きみかひかりも−よをてらしけり |
03987 |
未入力 禅信 (xxx)
あさ日影君か光にさしそへてくもりなき代をいまそしりぬる
あさひかけ−きみかひかりに−さしそへて−くもりなきよを−いまそしりぬる |
03988 |
未入力 高倉 (xxx)
みかさ山千とせを松の木のまより出つる朝日の末そくもらぬ
みかさやま−ちとせをまつの−このまより−いつるあさひの−すゑそくもらぬ |
03989 |
未入力 按察 (xxx)
出つるよりのとかなりける春の日の長きや君か御かけなるらん
いつるより−のとかなりける−はるのひの−なかきやきみか−みかけなるらむ |
03990 |
未入力 帥 (xxx)
うこきなきはこやの山を照す日の光のとけきみよにも有るかな
うこきなき−はこやのやまを−てらすひの−ひかりのとけき−みよにもあるかな |
03991 |
未入力 小宰相 (xxx)
しりにけん朝日の山の光より万代かけて照すへしとは
しりにけむ−あさひのやまの−ひかりより−よろつよかけて−てらすへしとは |
03992 |
未入力 俊成女 (xxx)
あまてるや空にくもらぬ日の御影すまん限の我か君のため
あまてるや−そらにくもらぬ−ひのみかけ−すまむかきりの−わかきみのため |
03993 |
未入力 少将内侍 (xxx)
いつる日の光のとけき君か代はさしてちとせの程そみえける
いつるひの−ひかりのとけき−きみかよは−さしてちとせの−ほとそみえける |
03994 |
未入力 弁内侍 (xxx)
空はれて出つる朝日の影を見よ君か光のためしなりけり
そらはれて−いつるあさひの−かけをみよ−きみかひかりの−ためしなりけり |
03995 |
未入力 但馬 (xxx)
しるきかないつる朝日のいく千代もくもらぬ御代の行末の空
しるきかな−いつるあさひの−いくちよも−くもらぬみよの−ゆくすゑのそら |
03996 |
未入力 下野 (xxx)
山の端を出つる日影のくもりなく君か千とせを空にしるかな
やまのはを−いつるひかけの−くもりなく−きみかちとせを−そらにしるかな |