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元久詩歌合 


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作品集名元久詩歌合  
作品集名読みげんきゅうしいかあわせ 
作成年月日元久二年六月十五日(1205年7月3日)
場所 

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さほ姫の朝けの袖やまかふらん霞も白き宇治の川波

さほひめの−あさけのそてや−まかふらむ−かすみもしろき−うちのかはなみ


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にほの海の霞ふきゆく春風に浪もいくよのしかの花園

にほのうみの−かすみふきゆく−はるかせに−なみもいくよの−しかのはなその


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みしま江や露もまたひぬ蘆の葉につのくむほとの春風そ吹く

みしまえや−つゆもまたひぬ−あしのはに−つのくむほとの−はるかせそふく


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里人の玉もの袖やせく春の霞そよとむゐてのしからみ

さとひとの−たまものそてや−せくはるの−かすみそよとむ−ゐてのしからみ


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志賀の浦の浪よりかすむ明ほのに山ふきおろす春の松風

しかのうらの−なみよりかすむ−あけほのに−やまふきおろす−はるのまつかせ


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難波江の蘆の枯葉の春風に秋みし露の袖にこほるる

なにはえの−あしのかれはの−はるかせに−あきみしつゆの−そてにこほるる


00014
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みすしらすたかすむかたそいさり火のほのほの明くる春のよの月

みすしらす−たかすむかたそ−いさりひの−ほのほのあくる−はるのよのつき


00016
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志賀の浦に比良の山おろし吹きぬらん花と散りかふ春のささ波

しかのうらに−ひらのやまおろし−ふきぬらむ−はなとちりかふ−はるのささなみ


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かつらのや川そひ柳浪かけて梅津ははやく春めきにけり

かつらのや−かはそひやなき−なみかけて−うめつははやく−はるめきにけり


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いつくとも霞なかれてみえぬかなたかせのよとの曙の空

いつくとも−かすみなかれて−みえぬかな−たかせのよとの−あけほののそら


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あしろ木にさくらこきませ行く春のいさよふ浪もえやはととむる

あしろきに−さくらこきませ−ゆくはるの−いさよふなみも−えやはととむる


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宮木守なきさの霞たなひきて昔も遠き志賀の花その

みやきもり−なきさのかすみ−たなひきて−むかしもとほき−しかのはなその


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隔てつるまきのを山もたえたえに霞なかるる宇治の川なみ

へたてつる−まきのをやまも−たえたえに−かすみなかるる−うちのかはなみ


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久かたの中なる川は名のみして春は霞におほろなるそら

ひさかたの−うちなるかはは−なのみして−はるはかすみに−おほろなるそら


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志賀の浦のささ浪白く成行くはなからの花に風や吹くらん

しかのうらの−ささなみしろく−なりゆくは−なからのはなに−かせやふくらむ


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いく千世もたえぬみなせの水の面にのとかにすめる春の夜の月

いくちよも−たえぬみなせの−みつのおもに−のとかにすめる−はるのよのつき


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河上はまた横雲のうす緑浪よりかすむ淀の明ほの

かはかみは−またよこくもの−うすみとり−なみよりかすむ−よとのあけほの


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消えかねし蘆間の雪も渚よりけふみ島江の春の一入

きえかねし−あしまのゆきも−なきさより−けふみしまえの−はるのひとしほ


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かすむより緑はふかしまこもおふるみつのみまきの春のかは風

かすむより−みとりはふかし−まこもおふる−みつのみまきの−はるのかはかせ


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かたしきの霞吹きみたる春風に猶さむしろの宇治のはし姫

かたしきの−かすみふきみたる−はるかせに−なほさむしろの−うちのはしひめ


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志賀の浦や打出てし浪の花の上に猶色そふる春の山かせ

しかのうらや−うちいてしなみの−はなのうへに−なほいろそふる−はるのやまかせ


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わかすまぬかたもひとつにかすみけり蘆屋の里をいかてとはまし

わかすまぬ−かたもひとつに−かすみけり−あしやのさとを−いかてとはまし


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音羽川花のしからみ春かけて岩間に色を水のしら浪

おとはかは−はなのしからみ−はるかけて−いはまにいろを−みつのしらなみ


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春はこれいく霞ともしら浪の跡もつきぬる志賀の夕くれ

はるはこれ−いくかすみとも−しらなみの−あともつきぬる−しかのゆふくれ


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蘆の葉のまたうらわかき津国の小屋の隔は霞なりけり

あしのはの−またうらわかき−つのくにの−こやのへたては−かすみなりけり


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石上ふる川のへの柳かけめくみもあへぬ春の色かな

いそのかみ−ふるかはのへの−やなきかけ−めくみもあへぬ−はるのいろかな


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あさつまや雲のをちかたかすむなり花かあらぬか志賀のうら波

あさつまや−くものをちかた−かすむなり−はなかあらぬか−しかのうらなみ


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峰の雲汀の浪に立ちなれて春にそちきる宇治のはし姫

みねのくも−みきはのなみに−たちなれて−はるにそちきる−うちのはしひめ


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けふも又おなし霞や深緑かひある春の跡をたつねて

けふもまた−おなしかすみや−ふかみとり−かひあるはるの−あとをたつねて


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ひはりたつみつの上野になかむれは霞なかるる淀の川なみ

ひはりたつ−みつのうへのに−なかむれは−かすみなかるる−よとのかはなみ


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里わかす花咲きぬれは浪間よりみゆる小島も雲隠れつつ

さとわかす−はなさきぬれは−なみまより−みゆるこしまも−くもかくれつつ


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春の夜のあけのそほ舟ほのほのといく山本をかすみきぬらん

はるのよの−あけのそほふね−ほのほのと−いくやまもとを−かすみきぬらむ


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詠むれは袖にかけけり春のよの朧月夜のすまのうらなみ

なかむれは−そてにかけけり−はるのよの−おほろつきよの−すまのうらなみ


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夕つくよしほみちくらし難波江の蘆の若葉をこゆるしら浪

ゆふつくよ−しほみちくらし−なにはえの−あしのわかはを−こゆるしらなみ


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昔まてあはれをみするつのくにの難波のおきの春の曙

むかしまて−あはれをみする−つのくにの−なにはのおきの−はるのあけほの


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春ふかき心の浪に雲消えて霞そなひくしかの浦風

はるふかき−こころのなみに−くもきえて−かすみそなひく−しかのうらかせ


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見渡せは山本かすむ水無瀬川夕は秋となに思ひけん

みわたせは−やまもとかすむ−みなせかは−ゆふへはあきと−なにおもひけむ


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志賀の浦のおほろ月夜の名残とてくもりもはてぬ曙の空

しかのうらの−おほろつきよの−なこりとて−くもりもはてぬ−あけほののそら


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常盤山秋をしのひて独行く袖の色より鹿や鳴くらん

ときはやま−あきをしのひて−ひとりゆく−そてのいろより−しかやなくらむ


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旅衣けふみかの原露なれぬやとかせ山の秋の夕暮

たひころも−けふみかのはら−つゆなれぬ−やとかせやまの−あきのゆふくれ


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吹きみたる山下風の露のまに秋の哀をおくる月影

ふきみたる−やましたかせの−つゆのまに−あきのあはれを−おくるつきかけ


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心さへうつりもゆくか竜田山梢に秋の色を尋ねて

こころさへ−うつりもゆくか−たつたやま−こすゑにあきの−いろをたつねて


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かつらきやよそに思ひし嶺の雲を袂に分くる秋の夕暮

かつらきや−よそにおもひし−みねのくもを−たもとにわくる−あきのゆふくれ


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しをりしてつらき山とはきかさりさたた此ころの秋の夕暮

しをりして−つらきやまとは−きかさりさ−たたこのころの−あきのゆふくれ


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露おもき山わけ衣吹きかへてうらになれたる秋風のこゑ

つゆおもき−やまわけころも−ふきかへて−うらになれたる−あきかせのこゑ


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道すから友なふ月も影たえぬふけやしぬらんさよの中山

みちすから−ともなふつきも−かけたえぬ−ふけやしぬらむ−さよのなかやま


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と山より野への朝霧わけかへて雲のいくへに日くらしのこゑ

とやまより−のへのあさきり−わけかへて−くものいくへに−ひくらしのこゑ


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袖にしも月かかれとは契りおかす涙はしるやうつの山こえ

そてにしも−つきかかれとは−ちきりおかす−なみたはしるや−うつのやまこえ


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片岡のと山か末の浅茅生に夕日かくれの松虫のこゑ

かたをかの−とやまかすゑの−あさちふに−ゆふひかくれの−まつむしのこゑ


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み山ちの木の下露にぬれゆけは袖にそうつる有明の月

みやまちの−このしたつゆに−ぬれゆけは−そてにそうつる−ありあけのつき


00102
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しをりせし誰かはやとをはつ雁のかりにもわけん峰の秋霧

しをりせし−たれかはやとを−はつかりの−かりにもわけむ−みねのあききり


00104
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よはに猶こゆる名のみやたつた山月のさかりの有明の比

よはになほ−こゆるなのみや−たつたやま−つきのさかりの−ありあけのころ


00106
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と山より雲ゐる袖にやととへは秋をこたへて嵐ふくなり

とやまより−くもゐるそてに−やととへは−あきをこたへて−あらしふくなり


00108
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あすもこむ契を松にしをりしてけふはいなはの峰の秋風

あすもこむ−ちきりをまつに−しをりして−けふはいなはの−みねのあきかせ


00110
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月を猶雲のよそにそおくりける山ちの秋はさをしかのこゑ

つきをなほ−くものよそにそ−おくりける−やまちのあきは−さをしかのこゑ


00112
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あし引の山ち分入る苔の袖わかおく露の色は有りける

あしひきの−やまちわけいる−こけのそて−わかおくつゆの−いろはありける


00114
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立ちぬるる木の下露に鳴く鹿の声きく時の山の夕くれ

たちぬるる−このしたつゆに−なくしかの−こゑきくときの−やまのゆふくれ


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吹きなるる嵐の音もたつた山秋の時雨にまかふ袖かな

ふきなるる−あらしのおとも−たつたやま−あきのしくれに−まかふそてかな


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みよし野のすすわくる袖の秋の露はらはしとても嵐吹くなり

みよしのの−すすわくるそての−あきのつゆ−はらはしとても−あらしふくなり


00120
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ゆくものかたのめし月は霧こめてしかたにまかふ岩のかけ道

ゆくものか−たのめしつきは−きりこめて−しかたにまかふ−いはのかけみち


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鹿そ鳴く岩ふむ峰の苔の上におもひもわかすふる時雨かな

しかそなく−いはふむみねの−こけのうへに−おもひもわかす−ふるしくれかな


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分けきつる跡はいくへの霧こめて今行すゑもさよの中山

わけきつる−あとはいくへの−きりこめて−いまゆくすゑも−さよのなかやま


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しるへせよ山とひこゆる秋の雁跡なさ袖のやへのしら雲

しるへせよ−やまとひこゆる−あきのかり−あとなさそての−やへのしらくも


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道すから桧原槙の葉露落ちてみ山かなしき松風のおと

みちすから−ひはらまきのは−つゆおちて−みやまかなしき−まつかせのおと


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都にも今や衣をうつの山夕霜はらふつたの下道

みやこにも−いまやころもを−うつのやま−ゆふしもはらふ−つたのしたみち


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夕つくよ木の間のかけもはつ雁のなくや雲井の峰の梯

ゆふつくよ−このまのかけも−はつかりの−なくやくもゐの−みねのかけはし


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うす紅葉花におとらぬ梢かな春とおもひししかの山越

うすもみち−はなにおとらぬ−こすゑかな−はるとおもひし−しかのやまこえ


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うつの山分行くつたの下露に物おもふ袖そいととしをるる

うつのやま−わけゆくつたの−したつゆに−ものおもふそてそ−いととしをるる


00132
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かこたしな時雨もる山の秋の露ぬれぬならひの袂なりとも

かこたしな−しくれもるやまの−あきのつゆ−ぬれぬならひの−たもとなりとも


00133
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みよし野の槙たつ山の秋風に衣手うすし道ふかくして

みよしのの−まきたつやまの−あきかせに−ころもてうすし−みちふかくして


00134
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深山ちやいつより秋の色ならんみさりし雲の夕暮の空

みやまちや−いつよりあきの−いろならむ−みさりしくもの−ゆふくれのそら


00135
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竜田山秋ゆく人の袖をみよ木木の梢はしくれさりけり

たつたやま−あきゆくひとの−そてをみよ−ききのこすゑは−しくれさりけり


00136
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雁のくる山の夕霧分過きてしのに衣の露そこほるる

かりのくる−やまのゆふきり−わけすきて−しのにころもの−つゆそこほるる


00137
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しるへせよ吉野の奥の秋の月たれかはここを又尋ぬへき

しるへせよ−よしののおくの−あきのつき−たれかはここを−またたつぬへき


00138
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秋風の袖に吹きまく峰の雲を翅にかけて雁もなくなり

あきかせの−そてにふきまく−みねのくもを−つはさにかけて−かりもなくなり


00139
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時雨れゆく山路も木葉うつろひぬ衣手かなし秋の旅人

しくれゆく−やまちもこのは−うつろひぬ−ころもてかなし−あきのたひひと