[ 日文研トップ ] [ 日文研データベースの案内 ] [ データベースメニュー ]

院四十五番歌合


[ 作品集成立年順 | 作者名順 | 作品集名順 | 語句検索 ]
作品集名院四十五番歌合 
作品集名読みいんよんじゅうごばんうたあわせ 
作成年月日建保三年六月二日(1215年6月30日)
場所 

00001
未入力 (xxx)

春のたつ霞の光ほのほのと空に明けゆくあまのかく山

はるのたつ−かすみのひかり−ほのほのと−そらにあけゆく−あまのかくやま


00002
未入力 (xxx)

朝霞ものおもふ人の袖の色にたへて住むへき春の山かは

あさかすみ−ものおもふひとの−そてのいろに−たへてすむへき−はるのやまかは


00003
未入力 (xxx)

朝ほらけとほき山へのかすみより野はらにいつるうくひすの声

あさほらけ−とほきやまへの−かすみより−のはらにいつる−うくひすのこゑ


00004
未入力 (xxx)

このねぬるあさけの山の松風は霞をわけて花の香そする

このねぬる−あさけのやまの−まつかせは−かすみをわけて−はなのかそする


00005
未入力 (xxx)

山姫のかすみの袖やにほふらん花にうつろふよこ雲の空

やまひめの−かすみのそてや−にほふらむ−はなにうつろふ−よこくものそら


00006
未入力 (xxx)

いつも見しあさゐる雲はそれなからかすみてかはる春のやまかせ

いつもみし−あさゐるくもは−それなから−かすみてかはる−はるのやまかせ


00007
未入力 (xxx)

明ほのやそことも見えはうみ山もひとつにかすむ春はきにけり

あけほのや−そこともみえは−うみやまも−ひとつにかすむ−はるはきにけり


00008
未入力 (xxx)

花はみなちらてもおなし朝霞たなひく山のおくのしら雲

はなはみな−ちらてもおなし−あさかすみ−たなひくやまの−おくのしらくも


00009
未入力 (xxx)

あさ霞たつたの山を秋とはは花のしをりのかひやなからん

あさかすみ−たつたのやまを−あきとはは−はなのしをりの−かひやなからむ


00010
未入力 (xxx)

さくらちるよもの山風うらみてもはらはぬ袖のはなの朝露

さくらちる−よものやまかせ−うらみても−はらはぬそての−はなのあさつゆ


00011
未入力 (xxx)

花のいろは枝にこもれる梢より朝日そにほふみよしのの山

はなのいろは−えたにこもれる−こすゑより−あさひそにほふ−みよしののやま


00012
未入力 (xxx)

大かたも春はおほろの柴の戸に明くるもかすむ山のはの月

おほかたも−はるはおほろの−しはのとに−あくるもかすむ−やまのはのつき


00013
未入力 (xxx)

よしの山峰の朝けのさくら花松の葉青き雪かとそ見る

よしのやま−みねのあさけの−さくらはな−まつのはあをき−ゆきかとそみる


00014
未入力 (xxx)

大かたの春のひかりののとけきに霞にあくるあまのかくやま

おほかたの−はるのひかりの−のとけきに−かすみにあくる−あまのかくやま


00015
未入力 (xxx)

あさなあさなたつたの霞はれすのみあはれつきせぬ山の奥かな

あさなあさな−たつたのかすみ−はれすのみ−あはれつきせぬ−やまのおくかな


00016
未入力 (xxx)

朝日かけにほへるさくらくれなゐのうす花そめのかすむ山のは

あさひかけ−にほへるさくら−くれなゐの−うすはなそめの−かすむやまのは


00017
未入力 (xxx)

横雲やみねに別れてかすむらんさくらそうすきみよしのの山

よこくもや−みねにわかれて−かすむらむ−さくらそうすき−みよしののやま


00018
未入力 (xxx)

山かすむはるやわたりて竜田川今朝は氷の中そたえゆく

やまかすむ−はるやわたりて−たつたかは−けさはこほりの−なかそたえゆく


00019
未入力 (xxx)

早苗とる山田のあせにせく水のにこるにもすむ夕月夜かな

さなへとる−やまたのあせに−せくみつの−にこるにもすむ−ゆふつくよかな


00020
未入力 (xxx)

暮れぬとていそく早苗の小山田に雨そほふりてほとときすなく

くれぬとて−いそくさなへの−をやまたに−あめそほふりて−ほとときすなく


00021
未入力 (xxx)

早苗とる門田になひく夕風を昨日になして又やなかめん

さなへとる−かとたになひく−ゆふかせを−きのふになして−またやなかめむ


00022
未入力 (xxx)

あらたまの年ある御代の秋かけてとるや早苗にけふも暮しつ

あらたまの−としあるみよの−あきかけて−とるやさなへに−けふもくらしつ


00023
未入力 (xxx)

早苗とる山田のたこのぬれころもほしあへすくるる夕月日かな

さなへとる−やまたのたこの−ぬれころも−ほしあへすくるる−ゆふつくひかな


00024
未入力 (xxx)

里とほき田中のもりの夕日影うつりもあへすとるさなへかな

さととほき−たなかのもりの−ゆふひかけ−うつりもあへす−とるさなへかな


00025
未入力 (xxx)

夕されは山田のさなへうちなひき音こそきかねかよふ秋かせ

ゆふされは−やまたのさなへ−うちなひき−おとこそきかね−かよふあきかせ


00026
未入力 (xxx)

五月雨に小田のしめなはふりはへてなかき日くらし早苗とるなり

さみたれに−をたのしめなは−ふりはへて−なかきひくらし−さなへとるなり


00027
未入力 (xxx)

早苗とるしつのをた巻いやしきも君をそいのる雨のゆふくれ

さなへとる−しつのをたまき−いやしきも−きみをそいのる−あめのゆふくれ


00028
未入力 (xxx)

暮れぬとていそく早苗を取りもあへす風たえ雲に過くるむら雨

くれぬとて−いそくさなへを−とりもあへす−かせたえくもに−すくるむらさめ


00029
未入力 (xxx)

早苗とるしつのをた巻秋やくる夕の風の音はたてねと

さなへとる−しつのをたまき−あきやくる−ゆふへのかせの−おとはたてねと


00030
未入力 (xxx)

岡の辺の山田のはらの夕露はさなへよりこそおきはしめけれ

をかのへの−やまたのはらの−ゆふつゆは−さなへよりこそ−おきはしめけれ


00031
未入力 (xxx)

みたしろやおりたつ田子のゆふたすき夕くれかけてさなへとるなり

みたしろや−おりたつたこの−ゆふたすき−ゆふくれかけて−さなへとるなり


00032
未入力 (xxx)

早苗とる岡への小田のさととほみかへさは人のみちまとふらん

さなへとる−をかへのをたの−さととほみ−かへさはひとの−みちまとふらむ


00033
未入力 (xxx)

夕暮は千町のさなへとりとりにさかへん御代にまかせてそ行く

ゆふくれは−ちまちのさなへ−とりとりに−さかへむみよに−まかせてそゆく


00034
未入力 (xxx)

天の下をたのむの早苗くるるまてとれとつきせぬ千代の数かな

あめのしたを−たのむのさなへ−くるるまて−とれとつきせぬ−ちよのかすかな


00035
未入力 (xxx)

小山田やしつかいほさす夕月日袖にかけつつさなへとるなり

をやまたや−しつかいほさす−ゆふつくひ−そてにかけつつ−さなへとるなり


00036
未入力 (xxx)

立ちくらしさなへや民のいとまなみいそかすとても秋は待つらん

たちくらし−さなへやたみの−いとまなみ−いそかすとても−あきはまつらむ


00037
未入力 (xxx)

分行けは其色となき深山木も秋は身にしむ風のおとかな

わけゆけは−そのいろとなき−みやま木も−あきはみにしむ−かせのおとかな


00038
未入力 (xxx)

まねかすはあたにすくへき山ちかは尾花みたるる秋のゆふくれ

まねかすは−あたにすくへき−やまちかは−をはなみたるる−あきのゆふくれ


00039
未入力 (xxx)

分けいらは袂に露やみたれなん心し秋のくさ葉ならねは

わけいらは−たもとにつゆや−みたれなむ−こころしあきの−くさはならねは


00040
未入力 (xxx)

うちわたす遠方のへのしら露によもの木草のいろかはる比

うちわたす−をちかたのへの−しらつゆに−よものこくさの−いろかはるころ


00041
未入力 (xxx)

草枕ゆふかりころもぬれにけりすそのの露も色かはり行く

くさまくら−ゆふかりころも−ぬれにけり−すそののつゆも−いろかはりゆく


00042
未入力 (xxx)

紅葉葉も行へさためぬ秋風にしらぬ野山の道たとりつつ

もみちはも−ゆくへさためぬ−あきかせに−しらぬのやまの−みちたとりつつ


00043
未入力 (xxx)

草のはら露もさなから夕きりのわかそてこめて秋風そふく

くさのはら−つゆもさなから−ゆふきりの−わかそてこめて−あきかせそふく


00044
未入力 (xxx)

常磐山いつはた秋としらさりし袖に見え行く露の色かな

ときはやま−いつはたあきと−しらさりし−そてにみえゆく−つゆのいろかな


00045
未入力 (xxx)

草の原いつくの秋に行きくれてかり寝のまくら露にむすはん

くさのはら−いつくのあきに−ゆきくれて−かりねのまくら−つゆにむすはむ


00046
未入力 (xxx)

虫の音もわか身一の秋かせに露分けわふる小野のしの原

むしのねも−わかみひとつの−あきかせに−つゆわけわふる−をののしのはら


00047
未入力 (xxx)

高まとの野への秋萩行すりの道もとををに花開きにけり

たかまとの−のへのあきはき−ゆきすりの−みちもとををに−はなさきにけり


00048
未入力 (xxx)

秋はなほ時雨れぬ袖も露霜にぬれてゆききの岡のはき原

あきはなほ−しくれぬそても−つゆしもに−ぬれてゆききの−をかのはきはら


00049
未入力 (xxx)

玉ほこの道もやとりもしら露に風の吹きしく小野のしの原

たまほこの−みちもやとりも−しらつゆに−かせのふきしく−をののしのはら


00050
未入力 (xxx)

旅衣なれすはしらし大かたの秋のあはれはおもひこしかと

たひころも−なれすはしらし−おほかたの−あきのあはれは−おもひこしかと


00051
未入力 (xxx)

けふは又山路やふかくなりぬらん昨日にかはるまきの秋かせ

けふはまた−やまちやふかく−なりぬらむ−きのふにかはる−まきのあきかせ


00052
未入力 (xxx)

ふみならす道のたたちをよそにして花にそまとふみやきのの秋

ふみならす−みちのたたちを−よそにして−はなにそまとふ−みやきののあき


00053
未入力 (xxx)

旅人の行きかふ山の下もみちそてにみたるる秋かせそふく

たひひとの−ゆきかふやまの−したもみち−そてにみたるる−あきかせそふく


00054
未入力 (xxx)

鹿の音も袖にこほるる玉ほこの道のこのはは我そそめゆく

しかのねも−そてにこほるる−たまほこの−みちのこのはは−われそそめゆく


00055
未入力 (xxx)

かたしきのころも手さむく時雨れつつ有明の山にかかるむら雲

かたしきの−ころもてさむく−しくれつつ−ありあけのやまに−かかるむらくも


00056
未入力 (xxx)

暁はそらのけしきもたたならてわかそてのみはしくれさりけり

あかつきは−そらのけしきも−たたならて−わかそてのみは−しくれさりけり


00057
未入力 (xxx)

あらし山比さへつらきねさめかなしくれにむせふあかつさのかね

あらしやま−ころさへつらき−ねさめかな−しくれにむせふ−あかつさのかね


00058
未入力 (xxx)

まとろまぬ須磨の関守明けぬとてたゆむまくらもうちしくれつつ

まとろまぬ−すまのせきもり−あけぬとて−たゆむまくらも−うちしくれつつ


00059
未入力 (xxx)

鐘の音の時雨をおくる槙のやにもらてもさむるしののめの夢

かねのおとの−しくれをおくる−まきのやに−もらてもさむる−しののめのゆめ


00060
未入力 (xxx)

真木の戸の明方としもおとろかす寝覚ふりにし比のしくれに

まきのとの−あけかたとしも−おとろかす−ねさめふりにし−ころのしくれに


00061
未入力 (xxx)

あかつきと恨みし人はかれはててうたてしくるるあさちふの宿

あかつきと−うらみしひとは−かれはてて−うたてしくるる−あさちふのやと


00062
未入力 (xxx)

しはしのこる在明の月の山のはにまたきしくれのかきくもりつつ

しはしのこる−ありあけのつきの−やまのはに−またきしくれの−かきくもりつつ


00063
未入力 (xxx)

風の音はみ山もさやに明くる夜の時雨吹きまくならのはかしは

かせのおとは−みやまもさやに−あくるよの−しくれふきまく−ならのはかしは


00064
未入力 (xxx)

涙さへいととしくるるうきくもにのこるともなき床の月かけ

なみたさへ−いととしくるる−うきくもに−のこるともなき−とこのつきかけ


00065
未入力 (xxx)

柴の庵またすみなれぬ明ほのの苔のたもとはしくれせすとも

しはのいほ−またすみなれぬ−あけほのの−こけのたもとは−しくれせすとも


00066
未入力 (xxx)

立田山しくれはすきぬあかつきのゆふつけとりやぬれて鳴くらん

たつたやま−しくれはすきぬ−あかつきの−ゆふつけとりや−ぬれてなくらむ


00067
未入力 (xxx)

暁やこのはもいろはまさるらんしくれよ袖にしむ心ちして

あかつきや−このはもいろは−まさるらむ−しくれよそてに−しむここちして


00068
未入力 (xxx)

うきものとおもひなれたるあかつきのまくらにすくるはつ時雨かな

うきものと−おもひなれたる−あかつきの−まくらにすくる−はつしくれかな


00069
未入力 (xxx)

時雨行くあらしの山の山下に木葉分入るありあけの月

しくれゆく−あらしのやまの−やまもとに−このはわけいる−ありあけのつき


00070
未入力 (xxx)

身にそしるみち有明の初時雨わかぬ草葉の色のふかさを

みにそしる−みちありあけの−はつしくれ−わかぬくさはの−いろのふかさを


00071
未入力 (xxx)

村雲はまた過きはてぬ外山よりしくれにきほふ有明の月

むらくもは−またすきはてぬ−とやまより−しくれにきほふ−ありあけのつき


00072
未入力 (xxx)

鐘の音は秋の寝覚にかはらぬをなほいろふかくとふ時雨かな

かねのおとは−あきのねさめに−かはらぬを−なほいろふかく−とふしくれかな


00073
未入力 (xxx)

かたそきの行あひの霜のいく返り契かむすふすみよしの松

かたそきの−ゆきあひのしもの−いくかへり−ちきりかむすふ−すみよしのまつ


00074
未入力 (xxx)

君か代のちとせにあまる末まても色かはらしと松のいふなる

きみかよの−ちとせにあまる−すゑまても−いろかはらしと−まつのいふなる


00075
未入力 (xxx)

身にかへて君の八千代を祈りおくしるしは末の松のみそみん

みにかへて−きみのやちよを−いのりおく−しるしはすゑの−まつのみそみむ


00076
未入力 (xxx)

手向草露もいくよか契りおきし浜松かえもいろはかはらす

たむけくさ−つゆもいくよか−ちきりおきし−はままつかえも−いろはかはらす


00077
未入力 (xxx)

神路山末も百枝の松の陰にあまてるかけやちきり初めけん

かみちやま−すゑもももえの−まつのかけに−あまてるかけや−ちきりそめけむ


00078
未入力 (xxx)

いつまてか松のしつえにこゆるきのいそちにかかる浪もうらめし

いつまてか−まつのしつえに−こゆるきの−いそちにかかる−なみもうらめし


00079
未入力 (xxx)

限なき時しも君にあふみなるしかのはままついくよふりなん

かきりなき−ときしもきみに−あふみなる−しかのはままつ−いくよふりなむ


00080
未入力 (xxx)

住よしの岸のみつかき神さひて其よもしらぬ松のいろかな

すみよしの−きしのみつかき−かみさひて−そのよもしらぬ−まつのいろかな


00081
未入力 (xxx)

いにしへの人しもあらはたかさこの松をともとかいはましものを

いにしへの−ひとしもあらは−たかさこの−まつをともとか−いはましものを


00082
未入力 (xxx)

おもひそめて君かためしに住吉や松もいく代と神そしるらん

おもひそめて−きみかためしに−すみよしや−まつもいくよと−かみそしるらむ


00083
未入力 (xxx)

すみよしのきしかたよりも浜ひさし久しかるへき御代の松かな

すみよしの−きしかたよりも−はまひさし−ひさしかるへき−みよのまつかな


00084
未入力 (xxx)

限りなく君そ見るへき年をへてなほすゑとほきすみよしの松

かきりなく−きみそみるへき−としをへて−なほすゑとほき−すみよしのまつ


00085
未入力 (xxx)

神代よりいく代かへにしをとめ子かそてふる山のみつかきの松

かみよより−いくよかへにし−をとめこか−そてふるやまの−みつかきのまつ


00086
未入力 (xxx)

思ふことなとすみよしのまつかひもなきさにつらき年のへぬらん

おもふこと−なとすみよしの−まつかひも−なきさにつらき−としのへぬらむ


00087
未入力 (xxx)

奥つ浪きよる浜松としふりてむなしきねのみあらはれそゆく

おきつなみ−きよるはままつ−としふりて−むなしきねのみ−あらはれそゆく


00088
未入力 (xxx)

わか君のよはひを松のかけひろみ下にかくれて万代や経ん

わかきみの−よはひをまつの−かけひろみ−したにかくれて−よろつよやへむ


00089
未入力 (xxx)

君か代にくらふの山の峰の松ふりにし色の千代はものかは

きみかよに−くらふのやまの−みねのまつ−ふりにしいろの−ちよはものかは


00090
未入力 (xxx)

いく千代かなほすみの江の松の陰君かためしのかきりなけれは

いくちよか−なほすみのえの−まつのかけ−きみかためしの−かきりなけれは