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内裏百番歌合 


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作品集名内裏百番歌合  
作品集名読みだいりひゃくばんうたあわせ 
作成年月日建保四年閏六月九日(1216年7月25日)
場所 

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ふる雪にいつれを花とわきもこか折るそて匂ふ春の梅かえ

ふるゆきに−いつれをはなと−わきもこか−をるそてにほふ−はるのうめかえ


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しるしらす分きてはまたす梅花にほふ春辺はあたら夜の月

しるしらす−わきてはまたす−うめのはな−にほふはるへは−あたらよのつき


00003
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雲のゐるとほ山姫の花かつら霞をかけてふくあらしかな

くものゐる−とほやまひめの−はなかつら−かすみをかけて−ふくあらしかな


00004
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ふく風や谷にも春とつけつらむ雪ふるすよりいつるうくひす

ふくかせや−たににもはると−つけつらむ−ゆきふるすより−いつるうくひす


00005
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青柳のいとをみとりによりかけてあはすは春に何をそめまし

あをやきの−いとをみとりに−よりかけて−あはすははるに−なにをそめまし


00006
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ちりぬれとかたみは久しむめの花とまる面かけ袖のうつりか

ちりぬれと−かたみはひさし−うめのはな−とまるおもかけ−そてのうつりか


00007
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君か代のもも木の梅の花なれはあふへきはるもかきりしられす

きみかよの−ももきのうめの−はななれは−あふへきはるも−かきりしられす


00008
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春たつとけふはいはとの神代よりあくれはかすむ天のかく山

はるたつと−けふはいはとの−かみよより−あくれはかすむ−あまのかくやま


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山さくらうつろふころは露なからこほれて匂ふ花のした風

やまさくら−うつろふころは−つゆなから−こほれてにほふ−はなのしたかせ


00010
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玉ほこの道行ふりの春雨におのれしほれて雁のなくらん

たまほこの−みちゆきふりの−はるさめに−おのれしほれて−かりのなくらむ


00011
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よし野河たきついはねのはやき春霞なかるる波の初花

よしのかは−たきついはねの−はやきはる−かすみなかるる−なみのはつはな


00012
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花のかはありとやここにをとめこか袖ふる山にうくひすそなく

はなのかは−ありとやここに−をとめこか−そてふるやまに−うくひすそなく


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うくひすの古巣に誰かことつてし梅さくやとを分きてとへとは

うくひすの−ふるすにたれか−ことつてし−うめさくやとを−わきてとへとは


00014
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青柳の春のけしきもたをやめのかさしの玉の露そみたるる

あをやきの−はるのけしきも−たをやめの−かさしのたまの−つゆそみたるる


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かすみゆくおほつかなさをなかめても誰かみ山の春の夕暮

かすみゆく−おほつかなさを−なかめても−たれかみやまの−はるのゆふくれ


00016
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霞みゆくひかりはそらにかけろふのもゆる野はらの春の夕暮

かすみゆく−ひかりはそらに−かけろふの−もゆるのはらの−はるのゆふくれ


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きのふみし軒はの梅は散りにけりさくらにうつる庭のはるかせ

きのふみし−のきはのうめは−ちりにけり−さくらにうつる−にはのはるかせ


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はる風に鴬さそふ花のかのにほへる山をかへる雁かね

はるかせに−うくひすさそふ−はなのかの−にほへるやまを−かへるかりかね


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あはれとはかにこそしのへ梅花たか袖なれし故郷の月

あはれとは−かにこそしのへ−うめのはな−たかそてなれし−ふるさとのつき


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おのつからいそしのみゐやくもるらむおれるにしきを春の山かけ

おのつから−いそしのみゐや−くもるらむ−おれるにしきを−はるのやまかけ


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はる風に散りゆくかたや晴れぬらむ花よりにしの山のはの月

はるかせに−ちりゆくかたや−はれぬらむ−はなよりにしの−やまのはのつき


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さく花は雪とのみこそふる郷を心のままに風そふきしく

さくはなは−ゆきとのみこそ−ふるさとを−こころのままに−かせそふきしく


00023
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やま河に春ゆく水はよとめとも風にとまらぬ花のしら浪

やまかはに−はるゆくみつは−よとめとも−かせにとまらぬ−はなのしらなみ


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いにしへの春にもかへる心かな雲井の花に物わすれせて

いにしへの−はるにもかへる−こころかな−くもゐのはなに−ものわすれせて


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うらむへきかたこそなけれ春風のやとりさためぬ花の故郷

うらむへき−かたこそなけれ−はるかせの−やとりさためぬ−はなのふるさと


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心あるのきはの風の匂ひかな花ちるへくもふかぬものから

こころある−のきはのかせの−にほひかな−はなちるへくも−ふかぬものから


00027
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しかのあまたいてぬるあとも霞みつつ我かすむかたの山のはもなし

しかのあまた−いてぬるあとも−かすみつつ−わかすむかたの−やまのはもなし


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春のきる霞の袖のうすみとりみたれて花の色そみえゆく

はるのきる−かすみのそての−うすみとり−みたれてはなの−いろそみえゆく


00029
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はつせ川花のみなわの消かてに春あらはるる瀬瀬のしからみ

はつせかは−はなのみなわの−きえかてに−はるあらはるる−せせのしからみ


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さらてたにうつろふ花を山かつのしつ心なく春かせそふく

さらてたに−うつろふはなを−やまかつの−しつこころなく−はるかせそふく


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かさこしや峰の梢のそらはれてふもとあまきる花の白くも

かさこしや−みねのこすゑの−そらはれて−ふもとあまきる−はなのしらくも


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春の夜のおほろ月よに散りつもり花の上にそしくかけはなき

はるのよの−おほろつきよに−ちりつもり−はなのうへにそ−しくかけはなき


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これならて何を此よにしのはまし花にかすめる春の曙

これならて−なにをこのよに−しのはまし−はなにかすめる−はるのあけほの


00034
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春きても雪とは花の降りしきぬあすよりさきにとふ人もなし

はるきても−ゆきとははなの−ふりしきぬ−あすよりさきに−とふひともなし


00035
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花の色はつきしとそ思ふ百敷や大宮人の千代のかさしに

はなのいろは−つきしとそおもふ−ももしきや−おほみやひとの−ちよのかさしに


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みよし野のまき立つくもの木末には花もつれなき色そのこれる

みよしのの−まきたつくもの−こすゑには−はなもつれなき−いろそのこれる


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かつらきやたえすかかれる白雲のよそにもみえぬ山桜かな

かつらきや−たえすかかれる−しらくもの−よそにもみえぬ−やまさくらかな


00038
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みよしのの桜うつろふ春ことにいくよの人の袖匂ふらん

みよしのの−さくらうつろふ−はることに−いくよのひとの−そてにほふらむ


00039
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はつせ山うつろはんとや桜花色かはりゆく峰の白雲

はつせやま−うつろはむとや−さくらはな−いろかはりゆく−みねのしらくも


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花さかぬ山へはなしとなかめてもいくよの春を身にうれふらん

はなさかぬ−やまへはなしと−なかめても−いくよのはるを−みにうれふらむ


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五月雨の雲の晴まを待ちえても月みる程の夜はそすくなき

さみたれの−くものはれまを−まちえても−つきみるほとの−よはそすくなき


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ほとときすたかしののめをねにたてて山のしつくにはねしほるらん

ほとときす−たかしののめを−ねにたてて−やまのしつくに−はねしほるらむ


00043
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風ふけはみなわになひくかりこものみたれてのほる淀のかは舟

かせふけは−みなわになひく−かりこもの−みたれてのほる−よとのかはふね


00044
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待ちかねて更くるまくらにすきぬなり山ほとときす一こゑのやと

まちかねて−ふくるまくらに−すきぬなり−やまほとときす−ひとこゑのやと


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ほとときすなくや五月の雨雲のよそになり行く夕暮のこゑ

ほとときす−なくやさつきの−あまくもの−よそになりゆく−ゆふくれのこゑ


00046
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時鳥ありかしらはやつけやらむ卯花月夜つきよよしとも

ほとときす−ありかしらはや−つけやらむ−うのはなつきよ−つきよよしとも


00047
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小山田のさなへとる手のぬれ衣しほるほとなき五月雨のそら

をやまたの−さなへとるての−ぬれころも−しほるほとなき−さみたれのそら


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夏刈りの蘆ふきわふるなには女の五月雨なからすくる比しも

なつかりの−あしふきわふる−なにはめの−さみたれなから−すくるころしも


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むら雨に秋の露かる玉篠のみしかきよはは暁もなし

むらさめに−あきのつゆかる−たまささの−みしかきよはは−あかつきもなし


00050
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蘆のやのあまのなはたくいさりひのそれかとはかりゆくほたるかな

あしのやの−あまのなはたく−いさりひの−それかとはかり−ゆくほたるかな


00051
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ほとときすおのか五月のみしか夜は夢のうちにやあけんとすらむ

ほとときす−おのかさつきの−みしかよは−ゆめのうちにや−あけむとすらむ


00052
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ほとときすなくよの雨のほとなきに花たち花もうつろひにけり

ほとときす−なくよのあめの−ほとなきに−はなたちはなも−うつろひにけり


00053
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ゆふまくれ花たち花のにほはすは行く郭公なのりしもせし

ゆふまくれ−はなたちはなの−にほはすは−ゆくほとときす−なのりしもせし


00054
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待つ宵のやまひとこえよほとときすうす雲まかふむら雨のそら

まつよひの−やまひとこえよ−ほとときす−うすくもまかふ−むらさめのそら


00055
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夏山のかけゆく道にかさすまてしつくもすすしならの下つゆ

なつやまの−かけゆくみちに−かさすまて−しつくもすすし−ならのしたつゆ


00056
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ほとときすなくや五月の玉くしけふた声聞きてあくるよもかな

ほとときす−なくやさつきの−たまくしけ−ふたこゑききて−あくるよもかな


00057
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ぬれつつも消えせぬものは夏草の草葉にもゆるよひのともし火

ぬれつつも−きえせぬものは−なつくさの−くさはにもゆる−よひのともしひ


00058
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うたたねもふすほとすすし長き夜に蛍みたれて秋そちかつく

うたたねも−ふすほとすすし−なかきよに−ほたるみたれて−あきそちかつく


00059
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あかなくにやすらへそらの郭公夏くははれる年も稀なり

あかなくに−やすらへそらの−ほとときす−なつくははれる−としもまれなり


00060
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夕すすみまさきのかつらふく風にと山をかけて秋やきぬらむ

ゆふすすみ−まさきのかつら−ふくかせに−とやまをかけて−あきやきぬらむ


00061
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みそき川夏のゆく瀬の水はやみかけもとまらぬ六月のそら

みそきかは−なつのゆくせの−みつはやみ−かけもとまらぬ−みなつきのそら


00062
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夏はつるみそきにちかき河風のいはなみたかくかかる白ゆふ

なつはつる−みそきにちかき−かはかせの−いはなみたかく−かかるしらゆふ


00063
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風になひくさののかは浪打ちさやきしらぬ露ちる夕立のそら

かせになひく−さののかはなみ−うちさやき−しらぬつゆちる−ゆふたちのそら


00064
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たち花に枝うつりするほとときす声さくよりもめつらしきかな

たちはなに−えたうつりする−ほとときす−こゑさくよりも−めつらしきかな


00065
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すみなるるときはなつみのかは上に山陰すすしみよしのの里

すみなるる−ときはなつみの−かはかみに−やまかけすすし−みよしののさと


00066
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立ちよれはすすしきのみか夏衣ころもわすれて松のした水

たちよれは−すすしきのみか−なつころも−ころもわすれて−まつのしたみつ


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石はしる滝もととろにちる玉の光すすしき夏の夜の月

いしはしる−たきもととろに−ちるたまの−ひかりすすしき−なつのよのつき


00068
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誰かみそき白ゆふ浪の立田川あか月かけてかよふ秋風

たかみそき−しらゆふなみの−たつたかは−あかつきかけて−かよふあきかせ


00069
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都いててさらにそかへる相坂の山ほとときす関もりやなき

みやこいてて−さらにそかへる−あふさかの−やまほとときす−せきもりやなき


00070
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日くらしのなく山かけはくれぬらむ夕日かかれる峰のしら雲

ひくらしの−なくやまかけは−くれぬらむ−ゆふひかかれる−みねのしらくも


00071
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秋ちかき月のかつらの川上に蛍とひかふかかりひのかけ

あきちかき−つきのかつらの−かはかみに−ほたるとひかふ−かかりひのかけ


00072
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こたへねとそれとはみえぬたそかれやをちかた人の夕貌の花

こたへねと−それとはみえぬ−たそかれや−をちかたひとの−ゆふかほのはな


00073
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たちよれは夏のよそなる柳かけこれよりにしや秋の通路

たちよれは−なつのよそなる−やなきかけ−これよりにしや−あきのかよひち


00074
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玉ほこや露の道しは打ちなひきくもれはすすむ夕立のそら

たまほこや−つゆのみちしは−うちなひき−くもれはすすむ−ゆふたちのそら


00075
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秋ちかき常盤の山にふく風の色こそなけれ身にしみにけり

あきちかき−ときはのやまに−ふくかせの−いろこそなけれ−みにしみにけり


00076
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みつしほのからかのしまに玉もかるあままもみえぬ五月雨のころ

みつしほの−からかのしまに−たまもかる−あままもみえぬ−さみたれのころ


00077
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大沢の池の玉ものみかくれにかはつなくなり五月雨のころ

おほさはの−いけのたまもの−みかくれに−かはつなくなり−さみたれのころ


00078
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ほとときすこゑきくをのの萩かえを雁の涙のいつかそむへき

ほとときす−こゑきくをのの−はきかえを−かりのなみたの−いつかそむへき


00079
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秋たてはせみのをりはへ夏衣日も夕暮は風そすすしき

あきたては−せみのをりはへ−なつころも−ひもゆふくれは−かせそすすしき


00080
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玉にぬく夕かけくさの白露にまた秋遠し五月雨のそら

たまにぬく−ゆふかけくさの−しらつゆに−またあきとほし−さみたれのそら


00081
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夕きりのまかきの秋の花薄をちかたならぬ袖かとそみる

ゆふきりの−まかきのあきの−はなすすき−をちかたならぬ−そてかとそみる


00082
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なほさりのをのの浅茅におく露も草葉にあまる秋の夕暮

なほさりの−をののあさちに−おくつゆも−くさはにあまる−あきのゆふくれ


00083
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さとわかす身にならすよの秋風に荻のはなから露そこほるる

さとわかす−みにならすよの−あきかせに−をきのはなから−つゆそこほるる


00084
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ふる郷はねやの板まに苔むして月さへもらすなりにけるかな

ふるさとは−ねやのいたまに−こけむして−つきさへもらす−なりにけるかな


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雁かねのなきつるなへにをくら山めにみぬ秋をそらにきくかな

かりかねの−なきつるなへに−をくらやま−めにみぬあきを−そらにきくかな


00086
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ときはなる山ちは秋のほかかとてなかむる暮も棹鹿のこゑ

ときはなる−やまちはあきの−ほかかとて−なかむるくれも−さをしかのこゑ


00087
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秋風に小田のかりほのかたよりになひく末葉の露そ色つく

あきかせに−をたのかりほの−かたよりに−なひくすゑはの−つゆそいろつく


00088
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袖にまた人しるらめや浅ちふのをののしの原しのふ秋風

そてにまた−ひとしるらめや−あさちふの−をののしのはら−しのふあきかせ


00089
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紅葉ちるかはせのきりのおのれのみ浮きてなかれぬ秋の色かな

もみちちる−かはせのきりの−おのれのみ−うきてなかれぬ−あきのいろかな


00090
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天川秋こく舟のみなれ棹袖のしつくの露とちるらん

あまのかは−あきこくふねの−みなれさを−そてのしつくの−つゆとちるらむ


00091
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秋の色は心よりこそかはりけれ身にしむ風のいかにそむらん

あきのいろは−こころよりこそ−かはりけれ−みにしむかせの−いかにそむらむ


00092
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あきの夜はとほ山とりの尾上まて月は光もへたてさりけり

あきのよは−とほやまとりの−をのへまて−つきはひかりも−へたてさりけり


00093
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わか庵はをくらの山の近けれはうき世をしかとなかぬ日そなき

わかいほは−をくらのやまの−ちかけれは−うきよをしかと−なかぬひそなき


00094
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おのか秋に行あひのわせをかりかねの鳴くなるなへに露そ置きそふ

おのかあきに−ゆきあひのわせを−かりかねの−なくなるなへに−つゆそおきそふ


00095
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秋たつとおもはぬそらの風にたに松はさひしきみ山への里

あきたつと−おもはぬそらの−かせにたに−まつはさひしき−みやまへのさと


00096
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こし路より秋をいそかす雁かねは初もみちはの折にあふらし

こしちより−あきをいそかす−かりかねは−はつもみちはの−をりにあふらし


00097
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草まくら衣手寒き秋風におけはかつちる野への白露

くさまくら−ころもてさむき−あきかせに−おけはかつちる−のへのしらつゆ


00098
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山ふかき秋の夕をきてみれは木のはしくれて鹿そ鳴くなる

やまふかき−あきのゆふへを−きてみれは−このはしくれて−しかそなくなる


00099
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手向山もみちのにしきぬさはあれと猶月かけのかくる白ゆふ

たむけやま−もみちのにしき−ぬさはあれと−なほつきかけの−かくるしらゆふ


00100
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かすか山やまたかからし秋霧のうへにそ鹿の声はきこゆる

かすかやま−やまたかからし−あききりの−うへにそしかの−こゑはきこゆる


00101
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宮木のにしからむはきや散りぬらむあらはれて鳴く棹鹿のこゑ

みやきのに−しからむはきや−ちりぬらむ−あらはれてなく−さをしかのこゑ


00102
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をしかなくは山のかけのふかけれはあらし待つまの月そすくなき

をしかなく−はやまのかけの−ふかけれは−あらしまつまの−つきそすくなき


00103
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暮れは又わかやとりかはたひ人のかちのの原の萩の下露

くれはまた−わかやとりかは−たひひとの−かちののはらの−はきのしたつゆ


00104
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もろ人の心のうちははるなから千年の秋の月をこそみれ

もろひとの−こころのうちは−はるなから−ちとせのあきの−つきをこそみれ


00105
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たかそめしと山の峰のうすもみちしくれぬ先の秋の夕暮

たかそめし−とやまのみねの−うすもみち−しくれぬさきの−あきのゆふくれ


00106
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諸人の心は月にすみぬらしみやこの秋のふかき夜のそら

もろひとの−こころはつきに−すみぬらし−みやこのあきの−ふかきよのそら


00107
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ひとりすむみ山の秋の風のおとにおのれとのこる棹鹿のこゑ

ひとりすむ−みやまのあきの−かせのおとに−おのれとのこる−さをしかのこゑ


00108
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これそ此わか身にいとふ秋のしもつもれは人の袖の月かけ

これそこの−わかみにいとふ−あきのしも−つもれはひとの−そてのつきかけ


00109
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打ちすさむ衣かりかね声たてつたひねのしもやさえまさるらむ

うちすさむ−ころもかりかね−こゑたてつ−たひねのしもや−さえまさるらむ


00110
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たひ人の身のしろ衣をさをあらみまとほにうつる萩か花摺

たひひとの−みのしろころも−をさをあらみ−まとほにうつる−はきかはなすり


00111
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ゆふくれはかりのつはさのおほひはをもりて降りくる秋のむら雨

ゆふくれは−かりのつはさの−おほひはを−もりてふりくる−あきのむらさめ


00112
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みやこたに夜寒になりぬいかはかりこしの山人衣うつらむ

みやこたに−よさむになりぬ−いかはかり−こしのやまひと−ころもうつらむ


00113
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いささらはこんよをかねてたのめおかむかきりもしらぬ月の光に

いささらは−こむよをかねて−たのめおかむ−かきりもしらぬ−つきのひかりに


00114
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しろたへのしもの衣を打ちわたすをちかた人や袖にしるらむ

しろたへの−しものころもを−うちわたす−をちかたひとや−そてにしるらむ


00115
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時雨れつつはけしくかはる山風にはれ行く月もあけかたのそら

しくれつつ−はけしくかはる−やまかせに−はれゆくつきも−あけかたのそら


00116
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むしのねもいかに恨みてまくすはふ小野の浅茅の色かはりゆく

むしのねも−いかにうらみて−まくすはふ−をののあさちの−いろかはりゆく


00117
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ふしわひぬ秋のよなかき呉竹のさ枝もりくる閨の月かけ

ふしわひぬ−あきのよなかき−くれたけの−さえたもりくる−ねやのつきかけ


00118
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月かけも夜寒になりぬ今よりのね覚を誰かとはんとすらむ

つきかけも−よさむになりぬ−いまよりの−ねさめをたれか−とはむとすらむ


00119
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しつのうつ衣かりかねこゑ寒み羽しろたへに霜や置くらん

しつのうつ−ころもかりかね−こゑさむみ−はねしろたへに−しもやおくらむ


00120
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かきりあれはよしののおくに吹く風は秋なれはとておともかはらす

かきりあれは−よしののおくに−ふくかせは−あきなれはとて−おともかはらす


00121
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神無月あらしにましるむら雨に色こきたれてちる木のはかな

かみなつき−あらしにましる−むらさめに−いろこきたれて−ちるこのはかな


00122
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よしさらはかたみもしもに朽ちはてね今はあたなる秋のしらきく

よしさらは−かたみもしもに−くちはてね−いまはあたなる−あきのしらきく


00123
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ちりはてて木のはおとなき山川のこほりのよそにゆく嵐かな

ちりはてて−このはおとなき−やまかはの−こほりのよそに−ゆくあらしかな


00124
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神無月いつれもろさのまさるらむ木木の木のはとふかき涙と

かみなつき−いつれもろさの−まさるらむ−ききのこのはと−ふかきなみたと


00125
未入力 (xxx)

山かはのもみちのうへのうす氷木のまもりこし月かとそみる

やまかはの−もみちのうへの−うすこほり−このまもりこし−つきかとそみる


00126
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しもふかきなにはの蘆のしたはれてむれゐる鳥のあとそみえゆく

しもふかき−なにはのあしの−したはれて−むれゐるとりの−あとそみえゆく


00127
未入力 (xxx)

しくれゆく閨のひまたになきものをいかてか袖の色を染むらん

しくれゆく−ねやのひまたに−なきものを−いかてかそての−いろをそむらむ


00128
未入力 (xxx)

見るままに雲のはたてそかはり行く山には秋も峰の木からし

みるままに−くものはたてそ−かはりゆく−やまにはあきも−みねのこからし


00129
未入力 (xxx)

秋の色もうつりにけりなむら雲の山のはさらぬ時雨れせしまに

あきのいろも−うつりにけりな−むらくもの−やまのはさらぬ−しくれせしまに


00130
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まかきなる竹の葉さやきおく霜のよとこにさヘや夢も結はす

まかきなる−たけのはさやき−おくしもの−よとこにさヘや−ゆめもむすはす


00131
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冬きてはむすひもなれぬ初しものおくてのいなは風さやくなり

ふゆきては−むすひもなれぬ−はつしもの−おくてのいなは−かせさやくなり


00132
未入力 (xxx)

すみかまのけふりをくもに吹きませて雪のみしろきをのの山風

すみかまの−けふりをくもに−ふきませて−ゆきのみしろき−をののやまかせ


00133
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たひ衣すそのの尾花霜かれてやとりし秋の露をこふらし

たひころも−すそののをはな−しもかれて−やとりしあきの−つゆをこふらし


00134
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木からしも時雨もしらしいほえさす神なみ山のときは木のかけ

こからしも−しくれもしらし−いほえさす−かみなみやまの−ときはきのかけ


00135
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夕暮はなにはのあしひたきそへて小やもあらはにたつけふりかな

ゆふくれは−なにはのあしひ−たきそへて−こやもあらはに−たつけふりかな


00136
未入力 (xxx)

白妙のころもふきこす木からしのやかてしくるるあまのかく山

しろたへの−ころもふきこす−こからしの−やかてしくるる−あまのかくやま


00137
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山風に雪まのけふり打ちなひさ冬こもりせるをののすみかま

やまかせに−ゆきまのけふり−うちなひさ−ふゆこもりせる−をののすみかま


00138
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しも消ゆる日かけに秋やかへるらむ枯のの草に露そかかれる

しもきゆる−ひかけにあきや−かへるらむ−かれののくさに−つゆそかかれる


00139
未入力 (xxx)

朝ほらけさほの川きり冬かけてなくやちとりのなほまよふらん

あさほらけ−さほのかはきり−ふゆかけて−なくやちとりの−なほまよふらむ


00140
未入力 (xxx)

打ちわたすおほかはのへのせをひろみおよはぬ声に千鳥なくなり

うちわたす−おほかはのへの−せをひろみ−およはぬこゑに−ちとりなくなり


00141
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みちのくの野田のたま川みわたせはしほかせかけてこほる月かけ

みちのくの−のたのたまかは−みわたせは−しほかせかけて−こほるつきかけ


00142
未入力 (xxx)

みそらゆく月もまちかしあしかさのよしのの里の雪のあさけに

みそらゆく−つきもまちかし−あしかさの−よしののさとの−ゆきのあさけに


00143
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神無月しくれにけりなあらち山行きかふ袖も色かはるまて

かみなつき−しくれにけりな−あらちやま−ゆきかふそても−いろかはるまて


00144
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あとたのむものさひしさはしらねとも消ゆるはをしき庭の雪かな

あとたのむ−ものさひしさは−しらねとも−きゆるはをしき−にはのゆきかな


00145
未入力 (xxx)

妻木こる山ちは今やたえぬらむ里たにふかきけさの白雪

つまきこる−やまちはいまや−たえぬらむ−さとたにふかき−けさのしらゆき


00146
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風さえて日かけもりこぬ谷川にむすふ氷はいくへなるらむ

かせさえて−ひかけもりこぬ−たにかはに−むすふこほりは−いくへなるらむ


00147
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み山川木の葉かくれにゆく水のたえたえのこる秋のいろかな

みやまかは−このはかくれに−ゆくみつの−たえたえのこる−あきのいろかな


00148
未入力 (xxx)

うら風のはわけのしもやつもるらむよなよなあしのおとそかれゆく

うらかせの−はわけのしもや−つもるらむ−よなよなあしの−おとそかれゆく


00149
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紅葉せし四方の山へはあれはてて月よりほかの秋そのこらぬ

もみちせし−よものやまへは−あれはてて−つきよりほかの−あきそのこらぬ


00150
未入力 (xxx)

ふる雪のときともわかぬふしのねはよその色にや冬をしるらむ

ふるゆきの−ときともわかぬ−ふしのねは−よそのいろにや−ふゆをしるらむ


00151
未入力 (xxx)

いたつらに松の木末しうつもれぬ誰ふみ分けて峰のしら雪

いたつらに−まつのこすゑし−うつもれぬ−たれふみわけて−みねのしらゆき


00152
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山里はしつのをたまさいやしきになかき夜あかぬ雪はふりつつ

やまさとは−しつのをたまさ−いやしきに−なかきよあかぬ−ゆきはふりつつ


00153
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此ころは雪をしるしとみわの山なみしろたへの杉のむら立

このころは−ゆきをしるしと−みわのやま−なみしろたへの−すきのむらたち


00154
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しほくもりしほ風あらき岩の上に妻木をりたち誰あかすらん

しほくもり−しほかせあらき−いはのうへに−つまきをりたち−たれあかすらむ


00155
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ふな人のかよふ浪ちはあとたえて氷そしかのうらつたひゆく

ふなひとの−かよふなみちは−あとたえて−こほりそしかの−うらつたひゆく


00156
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かり衣すそのもふかし箸たかのとかへる山の峰の白雪

かりころも−すそのもふかし−はしたかの−とかへるやまの−みねのしらゆき


00157
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ふる雪に庭の木のははうつもれてあらしそ遠き冬の山里

ふるゆきに−にはのこのはは−うつもれて−あらしそとほき−ふゆのやまさと


00158
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雪しろき刈田のはらをみわたせはあたにすみこし庭そのこれる

ゆきしろき−かりたのはらを−みわたせは−あたにすみこし−にはそのこれる


00159
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草のはらかれにし人はおともせてあらぬと山の松の雪折

くさのはら−かれにしひとは−おともせて−あらぬとやまの−まつのゆきをれ


00160
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けさよりは行瀬の水もあさもよひきの川上か氷りしぬらむ

けさよりは−ゆくせのみつも−あさもよひ−きのかはかみか−こほりしぬらむ


00161
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一すちにうきになしてもたのまれすかはるにやすき人の心は

ひとすちに−うきになしても−たのまれす−かはるにやすき−ひとのこころは


00162
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あふ事はしのふの衣あはれなとまれなる色に乱れそめけむ

あふことは−しのふのころも−あはれなと−まれなるいろに−みたれそめけむ


00163
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おもひあれはつれなき色もかはりけりえやはいはねの松のした露

おもひあれは−つれなきいろも−かはりけり−えやはいはねの−まつのしたつゆ


00164
未入力 (xxx)

いかなれは涙のあめはひまなきにあふくま河の瀬たえしぬらん

いかなれは−なみたのあめは−ひまなきに−あふくまかはの−せたえしぬらむ


00165
未入力 (xxx)

身を秋の人の心はしら露のおくてのいなは風も吹きあへす

みをあきの−ひとのこころは−しらつゆの−おくてのいなは−かせもふきあへす


00166
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あた人を待つ夜ふけ行く山のはにそらたのめせぬ有明の月

あたひとを−まつよふけゆく−やまのはに−そらたのめせぬ−ありあけのつき


00167
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恨みわひ待つとはなくて此よひの在明の月をなくなくそみる

うらみわひ−まつとはなくて−このよひの−ありあけのつきを−なくなくそみる


00168
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うきものと思ひそいつる有明のつれなくみえし袖の別は

うきものと−おもひそいつる−ありあけの−つれなくみえし−そてのわかれは


00169
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うたたねにつれなくみえし面かけは夢と知りても猶やうらみん

うたたねに−つれなくみえし−おもかけは−ゆめとしりても−なほやうらみむ


00170
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人めもるわか通路のしのすすきいつとかまたん秋のさかりを

ひとめもる−わかかよひちの−しのすすき−いつとかまたむ−あきのさかりを


00171
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わか恋はをしまの海人のとまひさし久しく成りぬ波にしをれて

わかこひは−をしまのあまの−とまひさし−ひさしくなりぬ−なみにしをれて


00172
未入力 (xxx)

うきめのみおひてみたるるいはの上にたねある松のなをたのみつつ

うきめのみ−おひてみたるる−いはのうへに−たねあるまつの−なをたのみつつ


00173
未入力 (xxx)

かたしきの涙にぬるるさよ衣よしさは朽ちね人にしられて

かたしきの−なみたにぬるる−さよころも−よしさはくちね−ひとにしられて


00174
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めのまへに風もふきあへすうつりゆく心の花も色はみえけり

めのまへに−かせもふきあへす−うつりゆく−こころのはなも−いろはみえけり


00175
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中中にあはすは何をかたいとのおもひみたれぬ夕暮そなき

なかなかに−あはすはなにを−かたいとの−おもひみたれぬ−ゆふくれそなき


00176
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秋の田のわさほのかつらゆふかけてむすふ契りはかりにたになし

あきのたの−わさほのかつら−ゆふかけて−むすふちきりは−かりにたになし


00177
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ひとりふすよとのつきはしよとともに思ひそわたるまののうら風

ひとりふす−よとのつきはし−よとともに−おもひそわたる−まののうらかせ


00178
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夕暮の露には色もなかりきとまつわか袖をわれそとかむる

ゆふくれの−つゆにはいろも−なかりきと−まつわかそてを−われそとかむる


00179
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しらさりき袖になかるる涙川うきて思ひのかかりける世を

しらさりき−そてになかるる−なみたかは−うきておもひの−かかりけるよを


00180
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わか袖はくち木の杣にたつ民のたつきもしらす恋ひやわたらん

わかそては−くちきのそまに−たつたみの−たつきもしらす−こひやわたらむ


00181
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よる浪のおよはぬうらの玉松のねにあらはれぬ色そつれなき

よるなみの−およはぬうらの−たままつの−ねにあらはれぬ−いろそつれなき


00182
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こぬ人をまつ帆のうらの夕なきにやくやもしほのみもこかれつつ

こぬひとを−まつほのうらの−ゆふなきに−やくやもしほの−みもこかれつつ


00183
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まつしまや我か身のかたにやくしほのけふりのすゑをとふ人もかな

まつしまや−わかみのかたに−やくしほの−けふりのすゑを−とふひともかな


00184
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うたかひしゐもりのあとはそれなから人の心のあせにけるかな

うたかひし−ゐもりのあとは−それなから−ひとのこころの−あせにけるかな


00185
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ぬきみたる涙の玉のをとめ子か袖に哀をかけてたにとへ

ぬきみたる−なみたのたまの−をとめこか−そてにあはれを−かけてたにとへ


00186
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わたつうみの涙のあわとうく袖やよるへもしらぬ海人の捨舟

わたつうみの−なみたのあわと−うくそてや−よるへもしらぬ−あまのすてふね


00187
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まきもくのあなしの川の河風になひく玉ものみたれてそ思ふ

まきもくの−あなしのかはの−かはかせに−なひくたまもの−みたれてそおもふ


00188
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けふりたにおよはぬそらに消えわひぬいかかはすまの蜑のもしほ火

けふりたに−およはぬそらに−きえわひぬ−いかかはすまの−あまのもしほひ


00189
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いかにせんしけみにましる花の色の人にしられぬ露のふかさを

いかにせむ−しけみにましる−はなのいろの−ひとにしられぬ−つゆのふかさを


00190
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とはれしはむかしかたりのゆふ暮に思ひもいれぬ荻の上風

とはれしは−むかしかたりの−ゆふくれに−おもひもいれぬ−をきのうはかせ


00191
未入力 (xxx)

いたつらにあはすは何をなく涙かけてたのまん玉のをもなし

いたつらに−あはすはなにを−なくなみた−かけてたのまむ−たまのをもなし


00192
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いかにせんねをなくむしのから衣人もとかめぬそての涙を

いかにせむ−ねをなくむしの−からころも−ひともとかめぬ−そてのなみたを


00193
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たつねこしふしみの里のなのみして草の枕に夢もむすはす

たつねこし−ふしみのさとの−なのみして−くさのまくらに−ゆめもむすはす


00194
未入力 (xxx)

浪まよりそむきにみゆるおくのしま我をやなはの恨みはてつる

なみまより−そむきにみゆる−おくのしま−われをやなはの−うらみはてつる


00195
未入力 (xxx)

かへるさをしはしとなかぬとりのねにあくるもまたぬしののめの道

かへるさを−しはしとなかぬ−とりのねに−あくるもまたぬ−しののめのみち


00196
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おとは川たきつ心をせきかねてあふさか山の名さへうらめし

おとはかは−たきつこころを−せきかねて−あふさかやまの−なさへうらめし


00197
未入力 (xxx)

なみた河みをはやなからゆく水の浅き瀬もなき恋の道かな

なみたかは−みをはやなから−ゆくみつの−あさきせもなき−こひのみちかな


00198
未入力 (xxx)

いたつらに心のまつにふく風のおとにも人をきかすなりゆく

いたつらに−こころのまつに−ふくかせの−おとにもひとを−きかすなりゆく


00199
未入力 (xxx)

白露のあか月ことにくたかけのくたけてそなくあかぬ恨に

しらつゆの−あかつきことに−くたかけの−くたけてそなく−あかぬうらみに


00200
未入力 (xxx)

しかのあまの奥になつさふともしひのうきにつれなき浪に消えなん

しかのあまの−おきになつさふ−ともしひの−うきにつれなき−なみにきえなむ