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内裏百番歌合


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作品集名内裏百番歌合 
作品集名読みだいりひゃくばんうたあわせ 
作成年月日承久元年七月廿七日(1219年9月7日)
場所 

00001
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わけし野の露の衣手それなから霞にまよふ荻の焼はら

わけしのの−つゆのころもて−それなから−かすみにまよふ−をきのやけはら


00002
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かすみ行く野原の草のみとりまてあらはれそむる松のかけかな

かすみゆく−のはらのくさの−みとりまて−あらはれそむる−まつのかけかな


00003
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春日野の霞のころも山かせに忍ふもちすり乱れてそ行く

かすかのの−かすみのころも−やまかせに−しのふもちすり−みたれてそゆく


00004
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はるたつといふはかりみんいつくとて行ききにかすむ野へのあけほの

はるたつと−いふはかりみむ−いつくとて−ゆききにかすむ−のへのあけほの


00005
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ひとりやはわくともわかむ春霞妻もこもれる野への若草

ひとりやは−わくともわかむ−はるかすみ−つまもこもれる−のへのわかくさ


00006
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たか里をとふひののへに行きくれてたのむ草はの猶かすむらん

たかさとを−とふひののへに−ゆきくれて−たのむくさはの−なほかすむらむ


00007
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分行けは霞そふかきあさ緑はつかに見ゆる野への若草

わけゆけは−かすみそふかき−あさみとり−はつかにみゆる−のへのわかくさ


00008
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行すゑのなかめはかすみへたてけり心にとほき武蔵野のはら

ゆくすゑの−なかめはかすみ−へたてけり−こころにとほき−むさしののはら


00009
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うちわたす遠かた人のたもとまて緑にかすむ野への明ほの

うちわたす−をちかたひとの−たもとまて−みとりにかすむ−のへのあけほの


00010
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宿からむ末野の里のしるへまて霞にまよふ夕煙かな

やとからむ−すゑののさとの−しるへまて−かすみにまよふ−ゆふけふりかな


00011
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ふみしたく雪まの野への若草を跡たに見えすかすむ空かな

ふみしたく−ゆきまののへの−わかくさを−あとたにみえす−かすむそらかな


00012
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ふみわけし雪まの草もそれなからかすむ野原の松の村立

ふみわけし−ゆきまのくさも−それなから−かすむのはらの−まつのむらたち


00013
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をちかたや行きかふ人の袖もなし霞やふかき武蔵野の原

をちかたや−ゆきかふひとの−そてもなし−かすみやふかき−むさしののはら


00014
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ふみなれし野中の道もわすれ水今朝は霞の絶間たになし

ふみなれし−のなかのみちも−わすれみつ−けさはかすみの−たえまたになし


00015
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みちとほきいく野の霞いくへとも程こそしらね春の夕暮

みちとほき−いくののかすみ−いくへとも−ほとこそしらね−はるのゆふくれ


00016
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春日野の草はのかすみうちはらひ行く袖しろき春の旅人

かすかのの−くさはのかすみ−うちはらひ−ゆくそてしろき−はるのたひひと


00017
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かすみつつ春は来にけりあつまちやふしのすそ野の雪の村消

かすみつつ−はるはきにけり−あつまちや−ふしのすそのの−ゆきのむらきえ


00018
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白妙の袖もみとりにうつもれて霞分行く野へのささ原

しろたへの−そてもみとりに−うつもれて−かすみわけゆく−のへのささはら


00019
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夕つく夜かすむ末野に行く人のすけのを笠に春風そ吹く

ゆふつくよ−かすむすゑのに−ゆくひとの−すけのをかさに−はるかせそふく


00020
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春日野やをち方人はかすめとも猶ふる雪に跡そみえける

かすかのや−をちかたひとは−かすめとも−なほふるゆきに−あとそみえける


00021
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しをりせし椎柴かけてさく花に緑まれなる春の山かせ

しをりせし−しひしはかけて−さくはなに−みとりまれなる−はるのやまかせ


00022
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春くるるよし野にふかき山さとは花よりおくのあるしをそ思ふ

はるくるる−よしのにふかき−やまさとは−はなよりおくの−あるしをそおもふ


00023
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山人もすまていくよのいしのゆか霞に花は猶にほひつつ

やまひとも−すまていくよの−いしのゆか−かすみにはなは−なほにほひつつ


00024
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石はしるよしのの滝もよそなからいとはぬ花の限をそみる

いしはしる−よしののたきも−よそなから−いとはぬはなの−かきりをそみる


00025
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山かせに雲のいくへを分けきても吹きこす花の峰のしら雪

やまかせに−くものいくへを−わけきても−ふきこすはなの−みねのしらゆき


00026
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あさほらけ雲も霞もうつもれて花の底なるみよしのの山

あさほらけ−くももかすみも−うつもれて−はなのそこなる−みよしののやま


00027
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桜花いくへかさねてみねの雲よしのの奥にたつね来にけり

さくらはな−いくへかさねて−みねのくも−よしののおくに−たつねきにけり


00028
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徒に花やちるらん高円の尾上の宮の春のゆふくれ

いたつらに−はなやちるらむ−たかまとの−をのへのみやの−はるのゆふくれ


00029
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よしの山花はかきりもなかりけりゆけともふかき峰の白雲

よしのやま−はなはかきりも−なかりけり−ゆけともふかき−みねのしらくも


00030
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三芳野やこれよりおくの山桜にほひもふかし峰の白雲

みよしのや−これよりおくの−やまさくら−にほひもふかし−みねのしらくも


00031
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みねふかき山さくらとのいたつらに明けぬくれぬと花そふりしく

みねふかき−やまさくらとの−いたつらに−あけぬくれぬと−はなそふりしく


00032
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たつねすはたか名にたててふりなましみ山かくれの花の埋木

たつねすは−たかなにたてて−ふりなまし−みやまかくれの−はなのうもれき


00033
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今よりやそれともわかむよしの山うつろふ花にかかる白雲

いまよりや−それともわかむ−よしのやま−うつろふはなに−かかるしらくも


00034
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かすみこしたかまの桜あらはれてと山の花やけふのしらくも

かすみこし−たかまのさくら−あらはれて−とやまのはなや−けふのしらくも


00035
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花にあかぬみちのまにまにたつぬれは山は吉野のおくものこらす

はなにあかぬ−みちのまにまに−たつぬれは−やまはよしのの−おくものこらす


00036
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よしの山かすめる方の春風に木の下しらぬ花のかそする

よしのやま−かすめるかたの−はるかせに−このもとしらぬ−はなのかそする


00037
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たれしめて花をみるらん白雲の絶えすたなひく峰の松かき

たれしめて−はなをみるらむ−しらくもの−たえすたなひく−みねのまつかき


00038
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みよしのの山の霞や晴れぬらん花もあらはに行くあらしかな

みよしのの−やまのかすみや−はれぬらむ−はなもあらはに−ゆくあらしかな


00039
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みよし野の山のあなたの桜花人にしられぬ人やみるらん

みよしのの−やまのあなたの−さくらはな−ひとにしられぬ−ひとやみるらむ


00040
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桜さく深山はくもにうつもれて風のわたせる花のかけはし

さくらさく−みやまはくもに−うつもれて−かせのわたせる−はなのかけはし


00041
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今はとて鴬かへる春雨にぬれてそ花の跡はみるへき

いまはとて−うくひすかへる−はるさめに−ぬれてそはなの−あとはみるへき


00042
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夕日かけうつろふ山のいはつつししをるる色に春雨そふる

ゆふひかけ−うつろふやまの−いはつつし−しをるるいろに−はるさめそふる


00043
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鴬のかへるふるすやたつぬらん雲にあまねき春雨の空

うくひすの−かへるふるすや−たつぬらむ−くもにあまねき−はるさめのそら


00044
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なきとむる花や藤なみ鴬のしひてそきゐる雨にぬれつつ

なきとむる−はなやふちなみ−うくひすの−しひてそきゐる−あめにぬれつつ


00045
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しをれにし花のなこりの色とめてほさしや袖に雨はふりつつ

しをれにし−はなのなこりの−いろとめて−ほさしやそてに−あめはふりつつ


00046
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ぬれてをる藤の下陰露ちりて春はいくかの夕くれの雨

ぬれてをる−ふちのしたかけ−つゆちりて−はるはいくかの−ゆふくれのあめ


00047
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大方の空にも春やをしむらん雲間も見えぬくれの雨かな

おほかたの−そらにもはるや−をしむらむ−くもまもみえぬ−くれのあめかな


00048
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おなしくはぬるとも花の陰ならて青はの山に春雨そふる

おなしくは−ぬるともはなの−かけならて−あをはのやまに−はるさめそふる


00049
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行く春のなこりの空やうき雲のおのれしをるる雨の夕暮

ゆくはるの−なこりのそらや−うきくもの−おのれしをるる−あめのゆふくれ


00050
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此暮とたれにたのめて行く春のふれとも雨にさはらさるらん

このくれと−たれにたのめて−ゆくはるの−ふれともあめに−さはらさるらむ


00051
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あすよりはおのか名にたにととまらししはしなはれそ春雨の空

あすよりは−おのかなにたに−ととまらし−しはしなはれそ−はるさめのそら


00052
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けふのみとなかむはかりの夕くれにはては物うき春雨の空

けふのみと−なかむはかりの−ゆふくれに−はてはものうき−はるさめのそら


00053
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花はみな木のもとしろく散りはてて枝もさひしく春雨そふる

はなはみな−このもとしろく−ちりはてて−えたもさひしく−はるさめそふる


00054
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春雨にさくや藤なみむらさきに色こきたるる松の下露

はるさめに−さくやふちなみ−むらさきに−いろこきたるる−まつのしたつゆ


00055
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時鳥いつれの山を出てかてによこ雲近きこゑ忍ふらん

ほとときす−いつれのやまを−いてかてに−よこくもちかき−こゑしのふらむ


00056
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ほとときすやすらふよはの鐘の音に明行く山の月そのこれる

ほとときす−やすらふよはの−かねのおとに−あけゆくやまの−つきそのこれる


00057
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時鳥いつるあなしの山かつら今や里人かけてまつらん

ほとときす−いつるあなしの−やまかつら−いまやさとひと−かけてまつらむ


00058
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ほとときすさ月まつまの一こゑになきもふるさぬあり明の空

ほとときす−さつきまつまの−ひとこゑに−なきもふるさぬ−ありあけのそら


00059
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ほとときす山のはならぬ一こゑをたたよひかぬるしののめのくも

ほとときす−やまのはならぬ−ひとこゑを−たたよひかぬる−しののめのくも


00060
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なこりさヘをしみそあへぬ時鳥一こゑあかすあかすよの空

なこりさヘ−をしみそあへぬ−ほとときす−ひとこゑあかす−あかすよのそら


00061
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たれか又山時鳥過きぬとてあり明の空の月をみるらん

たれかまた−やまほとときす−すきぬとて−ありあけのそらの−つきをみるらむ


00062
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ほとときすまたやすらひの一こゑに天のとあくるしののめの空

ほとときす−またやすらひの−ひとこゑに−あまのとあくる−しののめのそら


00063
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時鳥ねぬに明行く空よりもなこりそあかぬをちの一声

ほとときす−ねぬにあけゆく−そらよりも−なこりそあかぬ−をちのひとこゑ


00064
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時鳥しはしかたらへみしか夜はあかつきとてもなこりやはある

ほとときす−しはしかたらへ−みしかよは−あかつきとても−なこりやはある


00065
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うき物と思ひわすれん時鳥一こゑならぬ暁もかな

うきものと−おもひわすれむ−ほとときす−ひとこゑならぬ−あかつきもかな


00066
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郭公おのれまちても有明のつれなく見えし月はかはらす

ほとときす−おのれまちても−ありあけの−つれなくみえし−つきはかはらす


00067
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時鳥たた一こゑを鳴きすてて月につれなきあり明の空

ほとときす−たたひとこゑを−なきすてて−つきにつれなき−ありあけのそら


00068
未入力 (xxx)

郭公たた一声のやすらひにしはしはのこれあり明の月

ほとときす−たたひとこゑの−やすらひに−しはしはのこれ−ありあけのつき


00069
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ほとときすたた一こゑのみしか夜にしはしなこりの暁もかな

ほとときす−たたひとこゑの−みしかよに−しはしなこりの−あかつきもかな


00070
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時鳥いかにしのはん一こゑの行方見せぬ明くれの空

ほとときす−いかにしのはむ−ひとこゑの−ゆくすゑみせぬ−あけくれのそら


00071
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あし引の山ほとときすこゑはして行かた見せぬ明くれの空

あしひきの−やまほとときす−こゑはして−ゆくかたみせぬ−あけくれのそら


00072
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あまの戸をおしあけ方の時鳥横雲なからこゑそきえ行く

あまのとを−おしあけかたの−ほとときす−よこくもなから−こゑそきえゆく


00073
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暁とおもはてしもやほとときすまた中空の月になくらん

あかつきと−おもはてしもや−ほとときす−またなかそらの−つきになくらむ


00074
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郭公身をつむ鶴をあはれとや雲まにきゆるをちの一こゑ

ほとときす−みをつむつるを−あはれとや−くもまにきゆる−をちのひとこゑ


00075
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吹きみたす玉江のあしのこす波の秋かせまたぬ袖そすすしき

ふきみたす−たまえのあしの−こすなみの−あきかせまたぬ−そてそすすしき


00076
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夏草のしけれるかけをうつしてもむすふにあかぬ山の井の水

なつくさの−しけれるかけを−うつしても−むすふにあかぬ−やまのゐのみつ


00077
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かりねせし玉江のあしにみかくれて秋のとなりのかせそすすしき

かりねせし−たまえのあしに−みかくれて−あきのとなりの−かせそすすしき


00078
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夕は川夏行くなみのいは小菅ぬきもさためぬ玉そみたるる

ゆふはかは−なつゆくなみの−いはこすけ−ぬきもさためぬ−たまそみたるる


00079
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ふしなれぬ玉江のあしを折りしきてむすふ夢ちの夜半そみしかき

ふしなれぬ−たまえのあしを−をりしきて−むすふゆめちの−よはそみしかき


00080
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行く川の浪にしたかふみたれあしのさてもみきはははなれさりけり

ゆくかはの−なみにしたかふ−みたれあしの−さてもみきはは−はなれさりけり


00081
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夏ふかくなりにけらしなすすしくもみきはのまこも末はなみよる

なつふかく−なりにけらしな−すすしくも−みきはのまこも−すゑはなみよる


00082
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はつせ河わたる瀬よりも又ふかしみきはにたてる杉の下草

はつせかは−わたるせよりも−またふかし−みきはにたてる−すきのしたくさ


00083
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夕暮はみつのみまきにかる草のつかのまはかりかよふ秋かせ

ゆふくれは−みつのみまきに−かるくさの−つかのまはかり−かよふあきかせ


00084
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春きてもあらはに見えし玉桙の野沢のし水草かくれつつ

はるきても−あらはにみえし−たまほこの−のさはのしみつ−くさかくれつつ


00085
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夏草にかくれてすみしぬま水のは末にこゆる五月雨の比

なつくさに−かくれてすみし−ぬまみつの−はすゑにこゆる−さみたれのころ


00086
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露にふす草のしけみにかくろへて行方見えぬのちの玉川

つゆにふす−くさのしけみに−かくろへて−ゆくすゑみえぬ−のちのたまかは


00087
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くみてしる人やなからん夏草のしけみにしつむゐての玉川

くみてしる−ひとやなからむ−なつくさの−しけみにしつむ−ゐてのたまかは


00088
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たき川や落ちてみたるる玉ささのはわけすすしき水の色かな

たきかはや−おちてみたるる−たまささの−はわけすすしき−みつのいろかな


00089
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くみに行く野中の清水しる人もわするはかりにしける夏草

くみにゆく−のなかのしみつ−しるひとも−わするはかりに−しけるなつくさ


00090
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さみたれのふるやよとののあやめ草引く手にこゆるせせのしら波

さみたれの−ふるやよとのの−あやめくさ−ひくてにこゆる−せせのしらなみ


00091
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夏ふかき野沢の草のみかくれて下葉朽行く五月雨の比

なつふかき−のさはのくさの−みかくれて−したはくちゆく−さみたれのころ


00092
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夏の池のみきはすすしき松かけのあさちもあをき庭の色かな

なつのいけの−みきはすすしき−まつかけの−あさちもあをき−にはのいろかな


00093
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瀬をはやみ岩間もほそき谷川に草のかけたる水のしからみ

せをはやみ−いはまもほそき−たにかはに−くさのかけたる−みつのしからみ


00094
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山川にいはこす浪のありま菅おのつからおく露そみたるる

やまかはに−いはこすなみの−ありますけ−おのつからおく−つゆそみたるる


00095
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たかための涙なるらん夕くれの籬の露に秋はきにけり

たかための−なみたなるらむ−ゆふくれの−まかきのつゆに−あきはきにけり


00096
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秋かせに夕やつらき露やおく袖も草はもしをれてそふる

あきかせに−ゆふへやつらき−つゆやおく−そてもくさはも−しをれてそふる


00097
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夕くれの草の庵の秋の袖ならはぬ人やしほらてもみん

ゆふくれの−くさのいほりの−あきのそて−ならはぬひとや−しほらてもみむ


00098
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秋風もはらひそやらぬくるる野の草はの数における白露

あきかせも−はらひそやらぬ−くるるのの−くさはのかすに−おけるしらつゆ


00099
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夕暮の袖にしをるる嵐かな草はのほかの露や数そふ

ゆふくれの−そてにしをるる−あらしかな−くさはのほかの−つゆやかすそふ


00100
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夕されはたもとにふかくおく露のもろきならひに秋かせそふく

ゆふされは−たもとにふかく−おくつゆの−もろきならひに−あきかせそふく


00101
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うつり行く心の色もかはるらん秋の夕の萩の上の露

うつりゆく−こころのいろも−かはるらむ−あきのゆふへの−はきのうへのつゆ


00102
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我か袖の露ふきとほす秋風も夕されよりや色をしるらん

わかそての−つゆふきとほす−あきかせも−ゆふされよりや−いろをしるらむ


00103
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たか秋をうらむともなき夕くれも身をしる袖に露そこほるる

たかあきを−うらむともなき−ゆふくれも−みをしるそてに−つゆそこほるる


00104
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草のはら風まつほとの夕くれをわか物かほにおける白露

くさのはら−かせまつほとの−ゆふくれを−わかものかほに−おけるしらつゆ


00105
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おく露になひく草はのおもけれは吹くともみえぬ秋の夕風

おくつゆに−なひくくさはの−おもけれは−ふくともみえぬ−あきのゆふかせ


00106
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吹きはらふ野はらの風の夕くれも袖にそとまる秋の白露

ふきはらふ−のはらのかせの−ゆふくれも−そてにそとまる−あきのしらつゆ


00107
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まくすはらうら葉もしろく乱れつつかせのままなる秋の夕露

まくすはら−うらはもしろく−みたれつつ−かせのままなる−あきのゆふつゆ


00108
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秋風の夕日かくれのふもとより露見えそはぬ草のはそなき

あきかせの−ゆふひかくれの−ふもとより−つゆみえそはぬ−くさのはそなき


00109
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あさちふのをののしのはら数ことに露をさかりの秋の夕暮

あさちふの−をののしのはら−かすことに−つゆをさかりの−あきのゆふくれ


00110
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夕されは風まつほとの露にまたなひきはてぬる野への萩原

ゆふされは−かせまつほとの−つゆにまた−なひきはてぬる−のへのはきはら


00111
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くるしさははらひもはてす秋の田のかりほのいほのとまの白露

くるしさは−はらひもはてす−あきのたの−かりほのいほの−とまのしらつゆ


00112
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なく鹿の涙にまかふ夕かなおのかすむのの秋のしら露

なくしかの−なみたにまかふ−ゆふへかな−おのかすむのの−あきのしらつゆ


00113
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ささかにの手引のいともたゆむらん草の露ふく秋の夕風

ささかにの−てひきのいとも−たゆむらむ−くさのつゆふく−あきのゆふかせ


00114
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み山には夕きりつもるささのはのそれかとはかりおけるしら露

みやまには−ゆふきりつもる−ささのはの−それかとはかり−おけるしらつゆ


00115
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長きよのしもの衣をうちわひてねぬ人しるきあさちふの宿

なかきよの−しものころもを−うちわひて−ねぬひとしるき−あさちふのやと


00116
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蝉のはのよるのあらしやさむからん暁ふかく衣うつなり

せみのはの−よるのあらしや−さむからむ−あかつきふかく−ころもうつなり


00117
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情なく吹く秋かせそをしふらんこぬよの床に衣うてとは

なさけなく−ふくあきかせそ−をしふらむ−こぬよのとこに−ころもうてとは


00118
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あさ衣おもふになにの色もあらしとうつや夜ふかき音そ身にしむ

あさころも−おもふになにの−いろもあらしと−うつやよふかき−おとそみにしむ


00119
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長き夜を我さヘねてそから衣たかうつこゑにあくるしののめ

なかきよを−われさヘねてそ−からころも−たかうつこゑに−あくるしののめ


00120
未入力 (xxx)

さえにけり涙もいまやもろこしの秋の心にうつ衣かな

さえにけり−なみたもいまや−もろこしの−あきのこころに−うつころもかな


00121
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なかき夜に秋のはつ霜おきあかしあさのさ衣うちしらむなり

なかきよに−あきのはつしも−おきあかし−あさのさころも−うちしらむなり


00122
未入力 (xxx)

きく人も身にしむはかりうちわひぬいかなる色の衣なるらん

きくひとも−みにしむはかり−うちわひぬ−いかなるいろの−ころもなるらむ


00123
未入力 (xxx)

こぬさとも秋をいそかす風の音もねぬよかさねて衣うつなり

こぬさとも−あきをいそかす−かせのおとも−ねぬよかさねて−ころもうつなり


00124
未入力 (xxx)

秋かせや身にさむからんなか月のくるる夜ことに衣うつなり

あきかせや−みにさむからむ−なかつきの−くるるよことに−ころもうつなり


00125
未入力 (xxx)

今よりの身にしむはかり吹く風にたゆまぬ物と衣うつなり

いまよりの−みにしむはかり−ふくかせに−たゆまぬものと−ころもうつなり


00126
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なかき夜の暁かたの木からしにねさめもしるく衣うつなり

なかきよの−あかつきかたの−こからしに−ねさめもしるく−ころもうつなり


00127
未入力 (xxx)

長月やねさめよさむになるままにのこるさとなく衣うつなり

なかつきや−ねさめよさむに−なるままに−のこるさとなく−ころもうつなり


00128
未入力 (xxx)

さ夜ころもうちねぬおともあはれなり秋の思ひをたのむ枕に

さよころも−うちねぬおとも−あはれなり−あきのおもひを−たのむまくらに


00129
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うつままに衣やうすく成りぬらんきむたにちかさつちの音かな

うつままに−ころもやうすく−なりぬらむ−きむたにちかさ−つちのおとかな


00130
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たかやとそまつ秋かせを身にしめて夜さむの衣うちはしむらん

たかやとそ−まつあきかせを−みにしめて−よさむのころも−うちはしむらむ


00131
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さゆるよのうらかせいかにさむからんあまのをとめも衣うつなり

さゆるよの−うらかせいかに−さむからむ−あまのをとめも−ころもうつなり


00132
未入力 (xxx)

あしひきのみ山おろしにたくふなりふもとの里に衣うつこゑ

あしひきの−みやまおろしに−たくふなり−ふもとのさとに−ころもうつこゑ


00133
未入力 (xxx)

秋かせはいたらぬ袖もなきものをたかさとよりか衣うつらん

あきかせは−いたらぬそても−なきものを−たかさとよりか−ころもうつらむ


00134
未入力 (xxx)

ふけぬるか此里人はおともせて外山のいほに衣うつなり

ふけぬるか−このさとひとは−おともせて−とやまのいほに−ころもうつなり


00135
未入力 (xxx)

露しけきまかきの山となけれともしをれにけりな秋の紅葉は

つゆしけき−まかきのやまと−なけれとも−しをれにけりな−あきのもみちは


00136
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木すゑにはしくるるほとの色もなしあらしにおつる庭の紅葉は

こすゑには−しくるるほとの−いろもなし−あらしにおつる−にはのもみちは


00137
未入力 (xxx)

もる山も木の下まてそしくるなりわか袖のこせ軒の紅葉は

もるやまも−このもとまてそ−しくるなり−わかそてのこせ−のきのもみちは


00138
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しくるなりとはぬさと人見るはかり庭の梢に秋をのこすな

しくるなり−とはぬさとひと−みるはかり−にはのこすゑに−あきをのこすな


00139
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おとつれし時雨もよわる梢より庭のあらしの色そふり行く

おとつれし−しくれもよわる−こすゑより−にはのあらしの−いろそふりゆく


00140
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初時雨ふるきまかきの夕暮にぬれてこかるる秋の紅葉は

はつしくれ−ふるきまかきの−ゆふくれに−ぬれてこかるる−あきのもみちは


00141
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紅葉はのこかれて見ゆる木末かな衛士のたくひのよるはもえつつ

もみちはの−こかれてみゆる−こすゑかな−ゑしのたくひの−よるはもえつつ


00142
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しくれつつ木のはのおつる庭のおもにつもるあはれも色まさりつつ

しくれつつ−このはのおつる−にはのおもに−つもるあはれも−いろまさりつつ


00143
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秋をへてかはらぬ庭の松かせによその紅葉の色そしくるる

あきをへて−かはらぬにはの−まつかせに−よそのもみちの−いろそしくるる


00144
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紅葉はのちりなむ後や庭の面のみとりも□□□秋の山さと

もみちはの−ちりなむのちや−にはのおもの−みとりも□□□−あきのやまさと


00145
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紅葉ははみちもなきまて成りにけり時雨れし後の庭の秋かせ

もみちはは−みちもなきまて−なりにけり−しくれしのちの−にはのあきかせ


00146
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時雨こそ庭の木すゑもそめつらめ立田の山もよその秋かは

しくれこそ−にはのこすゑも−そめつらめ−たつたのやまも−よそのあきかは


00147
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時雨たにまたせぬ庭のはつ紅葉暁かけて霜やおくらん

しくれたに−またせぬにはの−はつもみち−あかつきかけて−しもやおくらむ


00148
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あかねさすあさひもしらぬ山かけに庭のひかりは紅葉なりけり

あかねさす−あさひもしらぬ−やまかけに−にはのひかりは−もみちなりけり


00149
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霜をまつ軒はの紅葉またちらてあらしそおつる庭の朽はに

しもをまつ−のきはのもみち−またちらて−あらしそおつる−にはのくちはに


00150
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おなしえをわきけん色のみゆるかな夕日うつろふ庭のもみちは

おなしえを−わきけむいろの−みゆるかな−ゆふひうつろふ−にはのもみちは


00151
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しくれけるやとの梢の紅葉はに色ふきわくる庭の秋かせ

しくれける−やとのこすゑの−もみちはに−いろふきわくる−にはのあきかせ


00152
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山さとの庭のまゆみのうす紅葉しくるともなき秋の色かな

やまさとの−にはのまゆみの−うすもみち−しくるともなき−あきのいろかな


00153
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山さとはとはぬ人めも紅葉はもかねてうつろふ秋のゆふ暮

やまさとは−とはぬひとめも−もみちはも−かねてうつろふ−あきのゆふくれ


00154
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しくるなりまかきの山のうす紅葉ころもてかけて色に出てつつ

しくるなり−まかきのやまの−うすもみち−ころもてかけて−いろにいてつつ


00155
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久堅のあまつ川かせこほるらし月のみそらの雲もさえつつ

ひさかたの−あまつかはかせ−こほるらし−つきのみそらの−くももさえつつ


00156
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きふね川ゆく瀬の月もさゆる夜にうへこす玉はあられなりけり

きふねかは−ゆくせのつきも−さゆるよに−うへこすたまは−あられなりけり


00157
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あまの川こほりによとむかけさえて行かたおそき月そ久しき

あまのかは−こほりによとむ−かけさえて−ゆくかたおそき−つきそひさしき


00158
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みそらゆく月より北の谷かせに人にしられてあられふるなり

みそらゆく−つきよりきたの−たにかせに−ひとにしられて−あられふるなり


00159
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さえわひてはらへは袖のさむしろになほ霜ふかき月そのこれる

さえわひて−はらへはそての−さむしろに−なほしもふかき−つきそのこれる


00160
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袖におく霜よのかねのうちとけてあとは涙にこほる月影

そてにおく−しもよのかねの−うちとけて−あとはなみたに−こほるつきかけ


00161
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ももしきやいくよかさねてみかは水こほりをむすふ冬のよの月

ももしきや−いくよかさねて−みかはみつ−こほりをむすふ−ふゆのよのつき


00162
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月かけのきよきかはらの霜のうへにたれあととへる千鳥鳴くらん

つきかけの−きよきかはらの−しものうへに−たれあととへる−ちとりなくらむ


00163
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おく霜はそれとわくへき色もなし月そさえ行く小野のあさちふ

おくしもは−それとわくへき−いろもなし−つきそさえゆく−をののあさちふ


00164
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ささの葉の夜ふかき霜やこほるらん月もあらしもさえまさるかな

ささのはの−よふかきしもや−こほるらむ−つきもあらしも−さえまさるかな


00165
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むら雲はよそなる陰も時雨れけり嵐ふく夜の山の端の月

むらくもは−よそなるかけも−しくれけり−あらしふくよの−やまのはのつき


00166
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さえくらし霰ふるよの袖のうへにうらむる月そ千千にくたくる

さえくらし−あられふるよの−そてのうへに−うらむるつきそ−ちちにくたくる


00167
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かささきのわたせる橋もさえぬらん袖に霜おく長き夜の月

かささきの−わたせるはしも−さえぬらむ−そてにしもおく−なかきよのつき


00168
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山のはに雲もまかはぬ秋よりも時雨をいつるいさよひの月

やまのはに−くももまかはぬ−あきよりも−しくれをいつる−いさよひのつき


00169
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時雨れつるみねの村雲たえたえにあらはれわたる冬のよの月

しくれつる−みねのむらくも−たえたえに−あらはれわたる−ふゆのよのつき


00170
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夜をさむみ氷りにけりな水の面にうつるともなき池の月影

よをさむみ−こほりにけりな−みつのおもに−うつるともなき−いけのつきかけ


00171
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霜こほる有明の月もとふとりのあすかの川せいかにさゆらん

しもこほる−ありあけのつきも−とふとりの−あすかのかはせ−いかにさゆらむ


00172
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むは玉のよるはかさねてさえけらしかれ野の草の霜のうへの月

むはたまの−よるはかさねて−さえけらし−かれののくさの−しものうへのつき


00173
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山かせに時雨やとほく成りぬらん雲にたまらぬ有明の月

やまかせに−しくれやとほく−なりぬらむ−くもにたまらぬ−ありあけのつき


00174
未入力 (xxx)

つれつれと夜わたる月のおのつから霜にやとかるかささきの橋

つれつれと−よわたるつきの−おのつから−しもにやとかる−かささきのはし


00175
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秋の色はさそひはてたる雪のうちにおとものこらぬ木からしの杜

あきのいろは−さそひはてたる−ゆきのうちに−おとものこらぬ−こからしのもり


00176
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木からしのもりのおち葉におく霜の色なき色をうつむしら雪

こからしの−もりのおちはに−おくしもの−いろなきいろを−うつむしらゆき


00177
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はつ雪のいのるやなにの手向していそくいはたの杜の白ゆふ

はつゆきの−いのるやなにの−たむけして−いそくいはたの−もりのしらゆふ


00178
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冬枯はこのはへたてすふる雪のもりのやしろはうつもれにけり

ふゆかれは−このはへたてす−ふるゆきの−もりのやしろは−うつもれにけり


00179
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山姫のなほゆふかくる色なれや雪のふりはのもりの下葉は

やまひめの−なほゆふかくる−いろなれや−ゆきのふりはの−もりのしたはは


00180
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おほあらきのもりの下草うつもれて雪そふかくは成りまさりける

おほあらきの−もりのしたくさ−うつもれて−ゆきそふかくは−なりまさりける


00181
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かせさやくもりのおち葉のおともせす夜はの白雪いくへかさねつ

かせさやく−もりのおちはの−おともせす−よはのしらゆき−いくへかさねつ


00182
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問ふ人も秋風まてそまたれけるいくたの杜の雪のゆふ暮

とふひとも−あきかせまてそ−またれける−いくたのもりの−ゆきのゆふくれ


00183
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秋の色をはらふと見えし木からしの杜の梢は雪もたまらす

あきのいろを−はらふとみえし−こからしの−もりのこすゑは−ゆきもたまらす


00184
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くれてゆくとしもいまはとふる雪にいとと思ひそもりの下草

くれてゆく−としもいまはと−ふるゆきに−いととおもひそ−もりのしたくさ


00185
未入力 (xxx)

雪も又とはれぬままにふりしきぬいく田の杜の冬のゆふ暮

ゆきもまた−とはれぬままに−ふりしきぬ−いくたのもりの−ふゆのゆふくれ


00186
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あた人の立ちよるあとものこりけり野中のもりの雪の夕暮

あたひとの−たちよるあとも−のこりけり−のなかのもりの−ゆきのゆふくれ


00187
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ちりつもる木のはにたにもうつもれし杜の下草雪ふりにけり

ちりつもる−このはにたにも−うつもれし−もりのしたくさ−ゆきふりにけり


00188
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色わかぬこすゑの雪のつもるにも常盤の杜の陰はみえけり

いろわかぬ−こすゑのゆきの−つもるにも−ときはのもりの−かけはみえけり


00189
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かねてたに冬にうつろふ神なひのもりの梢につもる白雪

かねてたに−ふゆにうつろふ−かみなひの−もりのこすゑに−つもるしらゆき


00190
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ふる雪に野へはさなからうつもれて猶あとのこるもりの下道

ふるゆきに−のへはさなから−うつもれて−なほあとのこる−もりのしたみち


00191
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山風は梢はかりやはらふらん下草しらぬもりのしらゆき

やまかせは−こすゑはかりや−はらふらむ−したくさしらぬ−もりのしらゆき


00192
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神なひの杜の木からしこゑもなし下草かけておもるしらゆき

かみなひの−もりのこからし−こゑもなし−したくさかけて−おもるしらゆき


00193
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明けわたるけしきのもりにたつさきのうは毛にふかく雪はふりつつ

あけわたる−けしきのもりに−たつさきの−うはけにふかく−ゆきはふりつつ


00194
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木からしのもりの梢もつもり行くよころの雪をみやははらはぬ

こからしの−もりのこすゑも−つもりゆく−よころのゆきを−みやははらはぬ