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作品集名 | 宗尊親王百五十番歌合 |
作品集名読み | むねたかしんのうひゃくごじゅうばんうたあわせ |
作成年月日 | 弘長元年七月七日(1261年8月4日) |
場所 |
00001 |
未入力 (xxx)
たのめこし人の玉章今はとてかへすににたる春の雁かね
たのめこし−ひとのたまつさ−いまはとて−かへすににたる−はるのかりかね |
00002 |
未入力 (xxx)
鴬をさそふ花の香うらみてもぬきうす衣たちやかぬらん
うくひすを−さそふはなのか−うらみても−ぬきうすころも−たちやかぬらむ |
00003 |
未入力 (xxx)
うきやみの春こそおそき物ならめ鴬たにもはやきなかなん
うきやみの−はるこそおそき−ものならめ−うくひすたにも−はやきなかなむ |
00004 |
未入力 (xxx)
春も猶雪けにみえてさほ姫の霞すそ引くふしのしは山
はるもなほ−ゆきけにみえて−さほひめの−かすみすそひく−ふしのしはやま |
00005 |
未入力 (xxx)
匂まてかはらさりせはしら雪のきえてや梅の花はわかまし
にほひまて−かはらさりせは−しらゆきの−きえてやうめの−はなはわかまし |
00006 |
未入力 (xxx)
かへる雁いそけやいそけさくら花にほひつきぬる身はあちきなし
かへるかり−いそけやいそけ−さくらはな−にほひつきぬる−みはあちきなし |
00007 |
未入力 (xxx)
谷陰はまた雪ふかき鴬の何を春とかなきはしむらん
たにかけは−またゆきふかき−うくひすの−なにをはるとか−なきはしむらむ |
00008 |
未入力 (xxx)
関路には花咲きぬらし不破山の槙のはこしにかかる白雲
せきちには−はなさきぬらし−ふはやまの−まきのはこしに−かかるしらくも |
00009 |
未入力 (xxx)
あすか風いたつらならす吹きにけりふる郷とほくにほふ梅かえ
あすかかせ−いたつらならす−ふきにけり−ふるさととほく−にほふうめかえ |
00010 |
未入力 (xxx)
春は又ねくらさたむる梅かえにさきもさかすも鴬そなく
はるはまた−ねくらさたむる−うめかえに−さきもさかすも−うくひすそなく |
00011 |
未入力 (xxx)
志賀のうらや浪まにやとる月かけのかすむやとくるこほりなるらん
しかのうらや−なみまにやとる−つきかけの−かすむやとくる−こほりなるらむ |
00012 |
未入力 (xxx)
花みれは今や今やと思ふまに待つ心ちする春の山風
はなみれは−いまやいまやと−おもふまに−まつここちする−はるのやまかせ |
00013 |
未入力 (xxx)
うらみはや煙をそへてもしほやくあまりにかすむ春の夜の月
うらみはや−けふりをそへて−もしほやく−あまりにかすむ−はるのよのつき |
00014 |
未入力 (xxx)
足引の山のかけ野は猶さえていつの雪まにわかなつままし
あしひきの−やまのかけのは−なほさえて−いつのゆきまに−わかなつままし |
00015 |
未入力 (xxx)
このころもかすまさりせはわたつみのなみの花には春もしられし
このころも−かすまさりせは−わたつみの−なみのはなには−はるもしられし |
00016 |
未入力 (xxx)
あかす見るわかつらきにや今は又おもひなされん春の明ほの
あかすみる−わかつらきにや−いまはまた−おもひなされむ−はるのあけほの |
00017 |
未入力 (xxx)
山かつの垣ねつつきにこゑすなり梅かかあかぬ春のうくひす
やまかつの−かきねつつきに−こゑすなり−うめかかあかぬ−はるのうくひす |
00018 |
未入力 (xxx)
梅の花心のままに匂ふらし風をさまれる御世のはつ春
うめのはな−こころのままに−にほふらし−かせをさまれる−みよのはつはる |
00019 |
未入力 (xxx)
花みてはかへる心のあらはこそ分けいる山にしをりをもせめ
はなみては−かへるこころの−あらはこそ−わけいるやまに−しをりをもせめ |
00020 |
未入力 (xxx)
なくさむる方こそなけれよこ雲のたえまかすめる春の曙
なくさむる−かたこそなけれ−よこくもの−たえまかすめる−はるのあけほの |
00021 |
未入力 (xxx)
涙にそ又やとしつる春の月うきはかはらぬ本の身にして
なみたにそ−またやとしつる−はるのつき−うきはかはらぬ−もとのみにして |
00022 |
未入力 (xxx)
別ちのつらさはさそな有明の月の空ゆく春の雁かね
わかれちの−つらさはさそな−ありあけの−つきのそらゆく−はるのかりかね |
00023 |
未入力 (xxx)
身をうしと思はぬ人の心にもかくやかなしき春の明ほの
みをうしと−おもはぬひとの−こころにも−かくやかなしき−はるのあけほの |
00024 |
未入力 (xxx)
なかめてもいかてかたへむ霞みつつ花さへにほふ春の明ほの
なかめても−いかてかたへむ−かすみつつ−はなさへにほふ−はるのあけほの |
00025 |
未入力 (xxx)
春雨のしつくにぬれむ梅の花をらてにほひや袖にうつると
はるさめの−しつくにぬれむ−うめのはな−をらてにほひや−そてにうつると |
00026 |
未入力 (xxx)
いとわかもなく鴬か谷の戸に出てうかれてや春をまつらん
いとわかも−なくうくひすか−たにのとに−いてうかれてや−はるをまつらむ |
00027 |
未入力 (xxx)
春の夜のあくると山に咲く花のあらはれわたる横雲の空
はるのよの−あくるとやまに−さくはなの−あらはれわたる−よこくものそら |
00028 |
未入力 (xxx)
みよし野の山は雪ふりさゆれとも春の光のしるくも有るかな
みよしのの−やまはゆきふり−さゆれとも−はるのひかりの−しるくもあるかな |
00029 |
未入力 (xxx)
桜さく春の心は雲なれやゆきてかからぬ山のはもなし
さくらさく−はるのこころは−くもなれや−ゆきてかからぬ−やまのはもなし |
00030 |
未入力 (xxx)
うすくもりかすめる空やうつるらん出てぬににこる山川の水
うすくもり−かすめるそらや−うつるらむ−いてぬににこる−やまかはのみつ |
00031 |
未入力 (xxx)
さほ姫も山の桜やかさすらん霞の袖の花にかかれる
さほひめも−やまのさくらや−かさすらむ−かすみのそての−はなにかかれる |
00032 |
未入力 (xxx)
身にうとき春のつらさや忘るらむ花にほさるる墨染の袖
みにうとき−はるのつらさや−わするらむ−はなにほさるる−すみそめのそて |
00033 |
未入力 (xxx)
たをやめのさくらかさせる折ことに雲のみつつも色やそふらん
たをやめの−さくらかさせる−をりことに−くものみつつも−いろやそふらむ |
00034 |
未入力 (xxx)
あつまにもはや咲きにけり山桜花の宮この春そゆかしき
あつまにも−はやさきにけり−やまさくら−はなのみやこの−はるそゆかしき |
00035 |
未入力 (xxx)
み芳野の花にはしかしもろこしにおなし名たかき山はありとも
みよしのの−はなにはしかし−もろこしに−おなしなたかき−やまはありとも |
00036 |
未入力 (xxx)
春ふかくゆはたそむてふ紫の藤さきかかるかしは木の杜
はるふかく−ゆはたそむてふ−むらさきの−ふちさきかかる−かしはきのもり |
00037 |
未入力 (xxx)
春はたた花に心をつくはねの木の本ことに立ちそなれぬる
はるはたた−はなにこころを−つくはねの−このもとことに−たちそなれぬる |
00038 |
未入力 (xxx)
散りはてむ後をいかにと思ふよりかねてかなしき山さくらかな
ちりはてむ−のちをいかにと−おもふより−かねてかなしき−やまさくらかな |
00039 |
未入力 (xxx)
いつはとは時はわかねとかへる雁なきてわかるる暁そうき
いつはとは−ときはわかねと−かへるかり−なきてわかるる−あかつきそうき |
00040 |
未入力 (xxx)
ちりのこる春もこそあれ有りて世のはてとないひそ花のきかくに
ちりのこる−はるもこそあれ−ありてよの−はてとないひそ−はなのきかくに |
00041 |
未入力 (xxx)
大方の春も程なき夢の世にみはてぬ花の色そかなしき
おほかたの−はるもほとなき−ゆめのよに−みはてぬはなの−いろそかなしき |
00042 |
未入力 (xxx)
あかてちる花のなこりをいかにせむ又こむ春を憑まさりせは
あかてちる−はなのなこりを−いかにせむ−またこむはるを−たのまさりせは |
00043 |
未入力 (xxx)
をしめともとまらて散りぬあたし世のさらぬ別を春やみすらん
をしめとも−とまらてちりぬ−あたしよの−さらぬわかれを−はるやみすらむ |
00044 |
未入力 (xxx)
あたにのみ風のならはすさくら花匂ひやさそふはしめなるらん
あたにのみ−かせのならはす−さくらはな−にほひやさそふ−はしめなるらむ |
00045 |
未入力 (xxx)
みよし野のよしのの山のみねこえて人つてならぬ花をみるかな
みよしのの−よしののやまの−みねこえて−ひとつてならぬ−はなをみるかな |
00046 |
未入力 (xxx)
ふる郷は花咲きぬらしなら山の小松か上に雲のかかれる
ふるさとは−はなさきぬらし−ならやまの−こまつかうへに−くものかかれる |
00047 |
未入力 (xxx)
ちる花のみをになかるる芳野川春のゆくせはよとまさりけり
ちるはなの−みをになかるる−よしのかは−はるのゆくせは−よとまさりけり |
00048 |
未入力 (xxx)
雪とのみふるのやしろのさくら花神も心にまかせやはする
ゆきとのみ−ふるのやしろの−さくらはな−かみもこころに−まかせやはする |
00049 |
未入力 (xxx)
春ことにちるをうしとはいひなから又こりすまに花をみるかな
はることに−ちるをうしとは−いひなから−またこりすまに−はなをみるかな |
00050 |
未入力 (xxx)
桜花心つからにちるたにもかなしきものを春の山かせ
さくらはな−こころつからに−ちるたにも−かなしきものを−はるのやまかせ |
00051 |
未入力 (xxx)
花にこそ嵐もふかめ涙をは何のさそふそ春の曙
はなにこそ−あらしもふかめ−なみたをは−なにのさそふそ−はるのあけほの |
00052 |
未入力 (xxx)
散る花のわかれにたへて命たにあらはと後の春をまつかな
ちるはなの−わかれにたへて−いのちたに−あらはとのちの−はるをまつかな |
00053 |
未入力 (xxx)
ゆくさきにみえつる雲や芳野山今きてたをる桜なるらん
ゆくさきに−みえつるくもや−よしのやま−いまきてたをる−さくらなるらむ |
00054 |
未入力 (xxx)
分けすくる跡もさくらに成りにけり雲ゐる山の花を尋ねて
わけすくる−あともさくらに−なりにけり−くもゐるやまの−はなをたつねて |
00055 |
未入力 (xxx)
心からうつろふ花の色をたに猶まちかねて吹くあらしかな
こころから−うつろふはなの−いろをたに−なほまちかねて−ふくあらしかな |
00056 |
未入力 (xxx)
いとはしよまかははまかへ花とたに思ひなしてはみねのしら雲
いとはしよ−まかははまかへ−はなとたに−おもひなしては−みねのしらくも |
00057 |
未入力 (xxx)
よし野川はやくそ色に出てにける岩なみたかき岸の山吹
よしのかは−はやくそいろに−いてにける−いはなみたかき−きしのやまふき |
00058 |
未入力 (xxx)
ちる花にわかれてなけく年もへぬいつか桜の我におくれん
ちるはなに−わかれてなけく−としもへぬ−いつかさくらの−われにおくれむ |
00059 |
未入力 (xxx)
ちりなから高根の花は天の川岩にくたくる波かとそみる
ちりなから−たかねのはなは−あまのかは−いはにくたくる−なみかとそみる |
00060 |
未入力 (xxx)
よし野川高根の花のかけみえてちらぬ桜そそこになかるる
よしのかは−たかねのはなの−かけみえて−ちらぬさくらそ−そこになかるる |
00061 |
未入力 (xxx)
衣衣のあかつき山のほとときす誰にわかれて音をは鳴くらん
きぬきぬの−あかつきやまの−ほとときす−たれにわかれて−ねをはなくらむ |
00062 |
未入力 (xxx)
時鳥はねをやかほにおほふらんなくより外の音もきこえす
ほとときす−はねをやかほに−おほふらむ−なくよりほかの−おともきこえす |
00063 |
未入力 (xxx)
誰としもわきて憑めぬほとときす空にかたらふこゑそきこゆる
たれとしも−わきてたのめぬ−ほとときす−そらにかたらふ−こゑそきこゆる |
00064 |
未入力 (xxx)
さひしさをともにききてもなくさまむ里にないてそ山時鳥
さひしさを−ともにききても−なくさまむ−さとにないてそ−やまほとときす |
00065 |
未入力 (xxx)
身のうさに物思ひをれは夏の夜の月さへみえぬ五月雨の空
みのうさに−ものおもひをれは−なつのよの−つきさへみえぬ−さみたれのそら |
00066 |
未入力 (xxx)
つくまえのぬまえの水やさむからしひとくるしめのあやめ引くなり
つくまえの−ぬまえのみつや−さむからし−ひとくるしめの−あやめひくなり |
00067 |
未入力 (xxx)
待つことはいつくもわかし時鳥誰か里よりかはつ音なくらん
まつことは−いつくもわかし−ほとときす−たかさとよりか−はつねなくらむ |
00068 |
未入力 (xxx)
夏山の木かくれおほみ郭公今かなくらん谷陰にして
なつやまの−こかくれおほみ−ほとときす−いまかなくらむ−たにかけにして |
00069 |
未入力 (xxx)
なきふりて後は何せむほとときす先はつ音こそきかまほしけれ
なきふりて−のちはなにせむ−ほとときす−まつはつねこそ−きかまほしけれ |
00070 |
未入力 (xxx)
一夜ゆふあやめの枕秋ならは七夕つめにかさましものを
ひとよゆふ−あやめのまくら−あきならは−たなはたつめに−かさましものを |
00071 |
未入力 (xxx)
すみわふる宿にやすらへ郭公うきにそなれも音をはなくらん
すみわふる−やとにやすらへ−ほとときす−うきにそなれも−ねをはなくらむ |
00072 |
未入力 (xxx)
年毎にまたてはきかす郭公なくへきころは限あれとも
としことに−またてはきかす−ほとときす−なくへきころは−かきりあれとも |
00073 |
未入力 (xxx)
卯の花のかきほの月のむら雲はさきとたえたる青葉なりけり
うのはなの−かきほのつきの−むらくもは−さきとたえたる−あをはなりけり |
00074 |
未入力 (xxx)
たのめぬにとはぬは人のうらみかと思ふかほなるほとときすかな
たのめぬに−とはぬはひとの−うらみかと−おもふかほなる−ほとときすかな |
00075 |
未入力 (xxx)
里なれてなくなるものを時鳥まつ我からやつれなかるらん
さとなれて−なくなるものを−ほとときす−まつわれからや−つれなかるらむ |
00076 |
未入力 (xxx)
くもりてもいくかに成りぬかかみなるあは野の原の五月雨のころ
くもりても−いくかになりぬ−かかみなる−あはののはらの−さみたれのころ |
00077 |
未入力 (xxx)
待ちかぬる山のあなたの郭公月とともにやいてんとすらん
まちかぬる−やまのあなたの−ほとときす−つきとともにや−いてむとすらむ |
00078 |
未入力 (xxx)
卯の花のさけるあたりを過きゆけは有明ならぬ暁そなき
うのはなの−さけるあたりを−すきゆけは−ありあけならぬ−あかつきそなき |
00079 |
未入力 (xxx)
卯の花のさける盛は山かつのかこひかねたるかきねとそみる
うのはなの−さけるさかりは−やまかつの−かこひかねたる−かきねとそみる |
00080 |
未入力 (xxx)
妻恋の時やきぬらん郭公忍ふにまくるよはの一こゑ
つまこひの−ときやきぬらむ−ほとときす−しのふにまくる−よはのひとこゑ |
00081 |
未入力 (xxx)
かた糸のあはての杜の時鳥夜はすからに妻やこふらん
かたいとの−あはてのもりの−ほとときす−よるはすからに−つまやこふらむ |
00082 |
未入力 (xxx)
時鳥思はむ中のためしとや鳴き別れてもとほさかるらん
ほとときす−おもはむなかの−ためしとや−なきわかれても−とほさかるらむ |
00083 |
未入力 (xxx)
郭公かなしき物そ今よりは夕は我に声なきかせそ
ほとときす−かなしきものそ−いまよりは−ゆふへはわれに−こゑなきかせそ |
00084 |
未入力 (xxx)
時鳥いかなる鳥そおきかへりきけともあかぬこゑになくらん
ほとときす−いかなるとりそ−おきかへり−きけともあかぬ−こゑになくらむ |
00085 |
未入力 (xxx)
深山にはなきふるしたる郭公きかぬ宮この人やまつらん
みやまには−なきふるしたる−ほとときす−きかぬみやこの−ひとやまつらむ |
00086 |
未入力 (xxx)
聞初めて後は心のなかなかにいとと空なるほとときすかな
ききそめて−のちはこころの−なかなかに−いととそらなる−ほとときすかな |
00087 |
未入力 (xxx)
茂りあふかけさへくらき山の井のあさくはみえぬ五月雨の比
しけりあふ−かけさへくらき−やまのゐの−あさくはみえぬ−さみたれのころ |
00088 |
未入力 (xxx)
いとひてし世の卯の花や咲きぬらん衣のうらの玉川の里
いとひてし−よのうのはなや−さきぬらむ−ころものうらの−たまかはのさと |
00089 |
未入力 (xxx)
待ちわひぬなけやう月の時鳥きかていく夜に成りぬとかしる
まちわひぬ−なけやうつきの−ほとときす−きかていくよに−なりぬとかしる |
00090 |
未入力 (xxx)
一こゑに明くる夜そとは郭公まちもならはぬ人やいひけん
ひとこゑに−あくるよそとは−ほとときす−まちもならはぬ−ひとやいひけむ |
00091 |
未入力 (xxx)
荒れはててあやめもわかぬふる郷にひとり時しる軒のたち花
あれはてて−あやめもわかぬ−ふるさとに−ひとりときしる−のきのたちはな |
00092 |
未入力 (xxx)
滝にこそ水まさるらし山しなの音羽の里のさみたれの比
たきにこそ−みつまさるらし−やましなの−おとはのさとの−さみたれのころ |
00093 |
未入力 (xxx)
川舟のつなてにかかるあやめ草かねてよとのに誰か引くらん
かはふねの−つなてにかかる−あやめくさ−かねてよとのに−たれかひくらむ |
00094 |
未入力 (xxx)
夕立に水まさりぬとよはふなりとまりうかるる淀の川舟
ゆふたちに−みつまさりぬと−よはふなり−とまりうかるる−よとのかはふね |
00095 |
未入力 (xxx)
埋水さすかにありと浮草の玉えにやとる夏の夜の月
うもれみつ−さすかにありと−うきくさの−たまえにやとる−なつのよのつき |
00096 |
未入力 (xxx)
しはしこそあつめても身を憑みしか物うき窓に飛ふ蛍かな
しはしこそ−あつめてもみを−たのみしか−ものうきまとに−とふほたるかな |
00097 |
未入力 (xxx)
秋ちかき天の川への夕やみに星かとみえて飛ふ蛍かな
あきちかき−あまのかはへの−ゆふやみに−ほしかとみえて−とふほたるかな |
00098 |
未入力 (xxx)
いにしへの人や成りけむ郭公花橘に宿かりてなく
いにしへの−ひとやなりけむ−ほとときす−はなたちはなに−やとかりてなく |
00099 |
未入力 (xxx)
涼しさに又も結はむいはしろの野中にたてる松の下水
すすしさに−またもむすはむ−いはしろの−のなかにたてる−まつのしたみつ |
00100 |
未入力 (xxx)
限ありてはるれははるる習そと思はさりせは五月雨のころ
かきりありて−はるれははるる−ならひそと−おもはさりせは−さみたれのころ |
00101 |
未入力 (xxx)
さみたれのころならねはやかち人のわたれとぬれぬえとはいひけん
さみたれの−ころならねはや−かちひとの−わたれとぬれぬ−えとはいひけむ |
00102 |
未入力 (xxx)
ゆきてみむ岩ねつたひの道しあらは音たに涼し山の滝つせ
ゆきてみむ−いはねつたひの−みちしあらは−おとたにすすし−やまのたきつせ |
00103 |
未入力 (xxx)
影やとす月さへあかて曇りけりむすへはにこる山の井の水
かけやとす−つきさへあかて−くもりけり−むすへはにこる−やまのゐのみつ |
00104 |
未入力 (xxx)
なかきねのしつくなからやあやめ草五月の玉と袖にかけまし
なかきねの−しつくなからや−あやめくさ−さつきのたまと−そてにかけまし |
00105 |
未入力 (xxx)
いつか又月まちいてむあま雲のたえまもみえぬ五月雨のころ
いつかまた−つきまちいてむ−あまくもの−たえまもみえぬ−さみたれのころ |
00106 |
未入力 (xxx)
みむろにや夕立すらし立田川くつれぬきしの水のにこれる
みむろにや−ゆふたちすらし−たつたかは−くつれぬきしの−みつのにこれる |
00107 |
未入力 (xxx)
郭公きなくたよりにうゑしかとたたいたつらに匂ふたち花
ほとときす−きなくたよりに−うゑしかと−たたいたつらに−にほふたちはな |
00108 |
未入力 (xxx)
川上に夕立すらしまきもくのひはらかそまに迷ふ村雲
かはかみに−ゆふたちすらし−まきもくの−ひはらかそまに−まよふむらくも |
00109 |
未入力 (xxx)
老か身のためともなかし時鳥なときく度に涙おつらん
おいかみの−ためともなかし−ほとときす−なときくたひに−なみたおつらむ |
00110 |
未入力 (xxx)
分侘ひて駒なつむらしかり人の弓末にあまるふしの夏草
わけわひて−こまなつむらし−かりひとの−ゆすゑにあまる−ふしのなつくさ |
00111 |
未入力 (xxx)
夜もすから影もみたれて難波なる蘆まの池にとふ蛍かな
よもすから−かけもみたれて−なにはなる−あしまのいけに−とふほたるかな |
00112 |
未入力 (xxx)
日影さすかたも涼しく成りにけり山のあなたに夕立の雲
ひかけさす−かたもすすしく−なりにけり−やまのあなたに−ゆふたちのくも |
00113 |
未入力 (xxx)
くたりせに今やなるらむ鵜かひ舟乱れてはやきかかり火のかけ
くたりせに−いまやなるらむ−うかひふね−みたれてはやき−かかりひのかけ |
00114 |
未入力 (xxx)
窓ちかく音吹きそよく呉竹のは分のかせに夏そ忘るる
まとちかく−おとふきそよく−くれたけの−はわけのかせに−なつそわするる |
00115 |
未入力 (xxx)
いかにせむねぬに明けゆくことわりをさそとおもへと短夜の空
いかにせむ−ねぬにあけゆく−ことわりを−さそとおもへと−みしかよのそら |
00116 |
未入力 (xxx)
夏虫のあくれは何に忍ふらん夜とてみえぬおのか影かは
なつむしの−あくれはなにに−しのふらむ−よるとてみえぬ−おのかかけかは |
00117 |
未入力 (xxx)
ふかき夜に哀とそみる夏虫のおほろけならすもゆる思ひを
ふかきよに−あはれとそみる−なつむしの−おほろけならす−もゆるおもひを |
00118 |
未入力 (xxx)
郭公心をしりてなかはなけまたてもきかむ人はあやなし
ほとときす−こころをしりて−なかはなけ−またてもきかむ−ひとはあやなし |
00119 |
未入力 (xxx)
いにしへの忘かたみの袖のかにうゑてくやしき軒の橘
いにしへの−わすれかたみの−そてのかに−うゑてくやしき−のきのたちはな |
00120 |
未入力 (xxx)
あま雲の上ゆく月のます鏡みぬめのうらの五月雨の比
あまくもの−うへゆくつきの−ますかかみ−みぬめのうらの−さみたれのころ |
00121 |
未入力 (xxx)
みるままに山のはとほく影すみて松にわかるる秋の夜の月
みるままに−やまのはとほく−かけすみて−まつにわかるる−あきのよのつき |
00122 |
未入力 (xxx)
身を身そと思ひしよたにかきくれて涙にみしは秋のよの月
みをみそと−おもひしよたに−かきくれて−なみたにみしは−あきのよのつき |
00123 |
未入力 (xxx)
彦星の妻むかへ舟きよれとて八十のわたりにひれぬらすらん
ひこほしの−つまむかへふね−きよれとて−やそのわたりに−ひれぬらすらむ |
00124 |
未入力 (xxx)
なからへはしはしも月をみるへきに山のはちかき身こそつらけれ
なからへは−しはしもつきを−みるへきに−やまのはちかき−みこそつらけれ |
00125 |
未入力 (xxx)
秋萩の花咲きそむるころよりやひとりある鹿の妻をこふらん
あきはきの−はなさきそむる−ころよりや−ひとりあるしかの−つまをこふらむ |
00126 |
未入力 (xxx)
侘ひつつもすみならひぬる世の中の又あちきなき秋の夕暮
わひつつも−すみならひぬる−よのなかの−またあちきなき−あきのゆふくれ |
00127 |
未入力 (xxx)
出つるより雲なき空も秋風のふくれはさゆる月のかけかな
いつるより−くもなきそらも−あきかせの−ふくれはさゆる−つきのかけかな |
00128 |
未入力 (xxx)
すむ月の光を猶もあかすとや雲の跡ふくよはの秋風
すむつきの−ひかりをなほも−あかすとや−くものあとふく−よはのあきかせ |
00129 |
未入力 (xxx)
秋のくる方をや空にしりぬらん西より出つるみか月の影
あきのくる−かたをやそらに−しりぬらむ−にしよりいつる−みかつきのかけ |
00130 |
未入力 (xxx)
かへるさに花をみ捨てしうらみまて月に晴れたる初かりのこゑ
かへるさに−はなをみすてし−うらみまて−つきにはれたる−はつかりのこゑ |
00131 |
未入力 (xxx)
鹿のたつ岡へのわさ田かりにたにあはぬつまをや恋ひてなくらん
しかのたつ−をかへのわさた−かりにたに−あはぬつまをや−こひてなくらむ |
00132 |
未入力 (xxx)
分けゆかは散りもやせむと秋萩の花ゆゑ花に遠さかりぬる
わけゆかは−ちりもやせむと−あきはきの−はなゆゑはなに−とほさかりぬる |
00133 |
未入力 (xxx)
今更に思ひをそへて歎くへき人のためとや秋のきぬらん
いまさらに−おもひをそへて−なけくへき−ひとのためとや−あきのきぬらむ |
00134 |
未入力 (xxx)
雁のくる嶺の秋かせさむき夜の深けぬる空にすめる月かな
かりのくる−みねのあきかせ−さむきよの−ふけぬるそらに−すめるつきかな |
00135 |
未入力 (xxx)
秋の空わきて夕と思はねと心のすむそあやしかりける
あきのそら−わきてゆふへと−おもはねと−こころのすむそ−あやしかりける |
00136 |
未入力 (xxx)
玉藻かる大宮人やなかむらんこふしのさきの秋のよの月
たまもかる−おほみやひとや−なかむらむ−こふしのさきの−あきのよのつき |
00137 |
未入力 (xxx)
女郎花さけるあたりの草枕野をなつかしみ一夜のみかる
をみなへし−さけるあたりの−くさまくら−のをなつかしみ−ひとよのみかる |
00138 |
未入力 (xxx)
草の原はにしたかひておく露をもらさすやとる秋の夜の月
くさのはら−はにしたかひて−おくつゆを−もらさすやとる−あきのよのつき |
00139 |
未入力 (xxx)
さひしさをとふ人あれや日くらしのなく山里の秋のはつかせ
さひしさを−とふひとあれや−ひくらしの−なくやまさとの−あきのはつかせ |
00140 |
未入力 (xxx)
秋といへは誰に契りてをみなへし花の心のうつりゆくらん
あきといへは−たれにちきりて−をみなへし−はなのこころの−うつりゆくらむ |
00141 |
未入力 (xxx)
身にさむく秋かせふきぬいかに又かなしき物とね覚せられん
みにさむく−あきかせふきぬ−いかにまた−かなしきものと−ねさめせられむ |
00142 |
未入力 (xxx)
聞初めていくかになれは秋かせの身にしむほとの音に吹くらん
ききそめて−いくかになれは−あきかせの−みにしむほとの−おとにふくらむ |
00143 |
未入力 (xxx)
うきことのいかにそへはか秋の夜の月みる度に涙おつらん
うきことの−いかにそへはか−あきのよの−つきみるたひに−なみたおつらむ |
00144 |
未入力 (xxx)
彦星の心いく度かよふらん妻待つよひのかささきのはし
ひこほしの−こころいくたひ−かよふらむ−つままつよひの−かささきのはし |
00145 |
未入力 (xxx)
草のはの露をはよその哀にて月にや秋の涙おつらん
くさのはの−つゆをはよその−あはれにて−つきにやあきの−なみたおつらむ |
00146 |
未入力 (xxx)
かなしともいはむはかりのことのははなほさりなれや秋の夕暮
かなしとも−いはむはかりの−ことのはは−なほさりなれや−あきのゆふくれ |
00147 |
未入力 (xxx)
七夕の妻むかへ舟こき出てぬと空に告けこせ天の川かせ
たなはたの−つまむかへふね−こきいてぬと−そらにつけこせ−あまのかはかせ |
00148 |
未入力 (xxx)
おとつれてなかなかおつる涙かなあやなく吹きそ荻の上風
おとつれて−なかなかおつる−なみたかな−あやなくふきそ−をきのうはかせ |
00149 |
未入力 (xxx)
かなしさのかきりは秋の夕そと哀しらする荻のおとかな
かなしさの−かきりはあきの−ゆふへそと−あはれしらする−をきのおとかな |
00150 |
未入力 (xxx)
さひしさにたへてすむ身の心たに猶うかれぬる山の秋風
さひしさに−たへてすむみの−こころたに−なほうかれぬる−やまのあきかせ |
00151 |
未入力 (xxx)
いにしへのあきつの野への宮はしら霧こそたれて跡ものこらす
いにしへの−あきつののへの−みやはしら−きりこそたれて−あとものこらす |
00152 |
未入力 (xxx)
空蝉の木の葉の衣のうすもみち露やむなしき色にそむらん
うつせみの−このはのきぬの−うすもみち−つゆやむなしき−いろにそむらむ |
00153 |
未入力 (xxx)
いつとてもかはらぬ空の月かけをいかにみし夜か心すみけん
いつとても−かはらぬそらの−つきかけを−いかにみしよか−こころすみけむ |
00154 |
未入力 (xxx)
秋きても岩ねの松はつれなきに涙色つく苔の袖かな
あききても−いはねのまつは−つれなきに−なみたいろつく−こけのそてかな |
00155 |
未入力 (xxx)
久方の月の氷のなとり川なき名あらはす波の音かな
ひさかたの−つきのこほりの−なとりかは−なきなあらはす−なみのおとかな |
00156 |
未入力 (xxx)
白露の玉まくたゐの朝かせにかりいほの萩のちらまくもをし
しらつゆの−たままくたゐの−あさかせに−かりいほのはきの−ちらまくもをし |
00157 |
未入力 (xxx)
吹きしほる秋の嵐にちる露のあたのおほ野は色付きにけり
ふきしほる−あきのあらしに−ちるつゆの−あたのおほのは−いろつきにけり |
00158 |
未入力 (xxx)
見るままに猶も袂のぬれそははいかにほさまし秋の夜の月
みるままに−なほもたもとの−ぬれそはは−いかにほさまし−あきのよのつき |
00159 |
未入力 (xxx)
秋深けぬいつまてとてかきりきりすかへに生ひたる草になくらん
あきふけぬ−いつまてとてか−きりきりす−かへにおひたる−くさになくらむ |
00160 |
未入力 (xxx)
紅葉せぬときはの山にふる雨は秋もみとりの色やそふらん
もみちせぬ−ときはのやまに−ふるあめは−あきもみとりの−いろやそふらむ |
00161 |
未入力 (xxx)
宵のまも月に心はのこらねとたへぬおもひの明かたの空
よひのまも−つきにこころは−のこらねと−たへぬおもひの−あけかたのそら |
00162 |
未入力 (xxx)
うちつけに心そとまる今夜きてみそめのさきの秋の夜の月
うちつけに−こころそとまる−こよひきて−みそめのさきの−あきのよのつき |
00163 |
未入力 (xxx)
白浪のよるゆく舟の追かせにとわたりのこる月のさやけさ
しらなみの−よるゆくふねの−おひかせに−とわたりのこる−つきのさやけさ |
00164 |
未入力 (xxx)
さのみかく涙はおちし山颪に鹿の音そはぬ夕なりせは
さのみかく−なみたはおちし−やまおろしに−しかのねそはぬ−ゆふへなりせは |
00165 |
未入力 (xxx)
思ひやる浦のはつしまおなしくはゆきてやみまし秋の夜の月
おもひやる−うらのはつしま−おなしくは−ゆきてやみまし−あきのよのつき |
00166 |
未入力 (xxx)
尾花ふくかりいほさむみ秋かせに宇治の宮こは衣うつなり
おはなふく−かりいほさむみ−あきかせに−うちのみやこは−ころもうつなり |
00167 |
未入力 (xxx)
もしほやく渚にとほく漕く舟や煙にうとき月をみるらん
もしほやく−なきさにとほく−こくふねや−けふりにうとき−つきをみるらむ |
00168 |
未入力 (xxx)
人はいさてるもくもるもうき身には月みて後そよをもなくさむ
ひとはいさ−てるもくもるも−うきみには−つきみてのちそ−よをもなくさむ |
00169 |
未入力 (xxx)
いつをかはかきりにもせむ六十年まてみれともあかぬ秋のよの月
いつをかは−かきりにもせむ−むそちまて−みれともあかぬ−あきのよのつき |
00170 |
未入力 (xxx)
いはき山こえてそみつるいそさきのこのみの浜の秋の夜の月
いはきやま−こえてそみつる−いそさきの−このみのはまの−あきのよのつき |
00171 |
未入力 (xxx)
思ふ事せめてかなはぬうき身とや月も涙に猶くもるらし
おもふこと−せめてかなはぬ−うきみとや−つきもなみたに−なほくもるらし |
00172 |
未入力 (xxx)
契をはあたにもいはし女郎花結ひなれたる露の玉章
ちきりをは−あたにもいはし−をみなへし−むすひなれたる−つゆのたまつさ |
00173 |
未入力 (xxx)
音なしの里とはいはしすむ人のあれはや今も衣うつらん
おとなしの−さととはいはし−すむひとの−あれはやいまも−ころもうつらむ |
00174 |
未入力 (xxx)
何故の涙ならねはうらみても人にはいはぬ秋の夕暮
なにゆゑの−なみたならねは−うらみても−ひとにはいはぬ−あきのゆふくれ |
00175 |
未入力 (xxx)
夜半に吹く嵐をさむみ高まとのをのへの里に衣うつなり
よはにふく−あらしをさむみ−たかまとの−をのへのさとに−ころもうつなり |
00176 |
未入力 (xxx)
月をたにくもらてみせよ大かたの秋にはたへぬ涙なりけり
つきをたに−くもらてみせよ−おほかたの−あきにはたへぬ−なみたなりけり |
00177 |
未入力 (xxx)
ふりはへてよはにこえすはすすか川八十瀬の月のかけをみましや
ふりはへて−よはにこえすは−すすかかは−やそせのつきの−かけをみましや |
00178 |
未入力 (xxx)
板まもる月に心やかはるらむふくれは影の床にかれゆく
いたまもる−つきにこころや−かはるらむ−ふくれはかけの−とこにかれゆく |
00179 |
未入力 (xxx)
そのことと思ひわかねと秋の夜の月みてはなと袖のぬるらん
そのことと−おもひわかねと−あきのよの−つきみてはなと−そてのぬるらむ |
00180 |
未入力 (xxx)
深けぬとてにしにや月の成りぬらん出てつる嶺に影むかふなり
ふけぬとて−にしにやつきの−なりぬらむ−いてつるみねに−かけむかふなり |
00181 |
未入力 (xxx)
さゆる夜も月そなかるる久かたの天の川せやこほらさるらん
さゆるよも−つきそなかるる−ひさかたの−あまのかはせや−こほらさるらむ |
00182 |
未入力 (xxx)
みる程は命におとる木の葉かなはかなき物とかせや吹くらん
みるほとは−いのちにおとる−このはかな−はかなきものと−かせやふくらむ |
00183 |
未入力 (xxx)
みるままに色かはりゆく浅茅生のしののしはふも霜かれにけり
みるままに−いろかはりゆく−あさちふの−しののしはふも−しもかれにけり |
00184 |
未入力 (xxx)
神世よりすはのみうみに影とめて氷をわたる冬の夜の月
かみよより−すはのみうみに−かけとめて−こほりをわたる−ふゆのよのつき |
00185 |
未入力 (xxx)
立田川もみちのひまに猶みれは紅くくる冬のよの月
たつたかは−もみちのひまに−なほみれは−くれなゐくくる−ふゆのよのつき |
00186 |
未入力 (xxx)
いかるかのよるかの池はこほれともとみのを河そたえすなかるる
いかるかの−よるかのいけは−こほれとも−とみのをかはそ−たえすなかるる |
00187 |
未入力 (xxx)
冬草のはつかにのこるあともなし雪まもみえぬ春日のの原
ふゆくさの−はつかにのこる−あともなし−ゆきまもみえぬ−かすかののはら |
00188 |
未入力 (xxx)
さひしさをいかにしのへと積るらん問ふ人もなき庭の白雪
さひしさを−いかにしのへと−つもるらむ−とふひともなき−にはのしらゆき |
00189 |
未入力 (xxx)
相坂の関のこなたや時雨るらんおとはの山に雲かかるなり
あふさかの−せきのこなたや−しくるらむ−おとはのやまに−くもかかるなり |
00190 |
未入力 (xxx)
ふみ分けし紅葉の跡もみえぬまて又ふりかくす庭のしら雪
ふみわけし−もみちのあとも−みえぬまて−またふりかくす−にはのしらゆき |
00191 |
未入力 (xxx)
しはしこそよそにもみつれかつらきや高まの雲は時雨れきにけり
しはしこそ−よそにもみつれ−かつらきや−たかまのくもは−しくれきにけり |
00192 |
未入力 (xxx)
山かつら暁かけて時雨るなりね覚の空に冬やきぬらん
やまかつら−あかつきかけて−しくるなり−ねさめのそらに−ふゆやきぬらむ |
00193 |
未入力 (xxx)
志賀の浦のなみを氷に吹きなして独のこれる松かせのこゑ
しかのうらの−なみをこほりに−ふきなして−ひとりのこれる−まつかせのこゑ |
00194 |
未入力 (xxx)
中空にうきたる雲のいつくより風にまかせて時雨れきぬらん
なかそらに−うきたるくもの−いつくより−かせにまかせて−しくれきぬらむ |
00195 |
未入力 (xxx)
神な月いかに契りて待人の涙にまかふ時雨なるらん
かみなつき−いかにちきりて−まつひとの−なみたにまかふ−しくれなるらむ |
00196 |
未入力 (xxx)
夕されはさみねの島になく千鳥あらいそみちに塩やみつらん
ゆふされは−さみねのしまに−なくちとり−あらいそみちに−しほやみつらむ |
00197 |
未入力 (xxx)
神な月時雨吹きまく音すなりみねの嵐に木の葉ふる比
かみなつき−しくれふきまく−おとすなり−みねのあらしに−このはふるころ |
00198 |
未入力 (xxx)
かみなひの里わかぬ月の清きせに妻よふ千鳥なく音かなしも
かみなひの−さとわかぬつきの−きよきせに−つまよふちとり−なくねかなしも |
00199 |
未入力 (xxx)
山河のあさせもみえぬ淵にさへうはなみたてて鴨そなくなる
やまかはの−あさせもみえぬ−ふちにさへ−うはなみたてて−かもそなくなる |
00200 |
未入力 (xxx)
舟よはふふしの河とのあさなきに先なきわたる友千とりかな
ふねよはふ−ふしのかはとの−あさなきに−まつなきわたる−ともちとりかな |
00201 |
未入力 (xxx)
風あらき奥つしほせのうき枕たたよふ波に千鳥鳴くなり
かせあらき−おきつしほせの−うきまくら−たたよふなみに−ちとりなくなり |
00202 |
未入力 (xxx)
秋に又時雨かへたる空もなしいかなる雲の冬とみすらん
あきにまた−しくれかへたる−そらもなし−いかなるくもの−ふゆとみすらむ |
00203 |
未入力 (xxx)
木の葉とは槙の板戸におとつれてききもなされぬ村時雨かな
このはとは−まきのいたとに−おとつれて−ききもなされぬ−むらしくれかな |
00204 |
未入力 (xxx)
散りはてし木の葉の後は槙のやに聞きもまかはぬ時雨ふるなり
ちりはてし−このはののちは−まきのやに−ききもまかはぬ−しくれふるなり |
00205 |
未入力 (xxx)
もみち葉を谷の岩ほにさそひ置きておのれせかるる水の音かな
もみちはを−たにのいはほに−さそひおきて−おのれせかるる−みつのおとかな |
00206 |
未入力 (xxx)
冬きぬとしらせて今朝はふるものを何か時雨のさためなからん
ふゆきぬと−しらせてけさは−ふるものを−なにかしくれの−さためなからむ |
00207 |
未入力 (xxx)
紅の衣かけほすさほ山に染むる時雨の雨はいとはす
くれなゐの−ころもかけほす−さほやまに−そむるしくれの−あめはいとはす |
00208 |
未入力 (xxx)
神な月もろき木の葉に音さえて時雨せさする冬はきにけり
かみなつき−もろきこのはに−おとさえて−しくれせさする−ふゆはきにけり |
00209 |
未入力 (xxx)
煙たにたえて程ふる山里におのれ柴をる嶺のしら雪
けふりたに−たえてほとふる−やまさとに−おのれしはをる−みねのしらゆき |
00210 |
未入力 (xxx)
時雨にはつひにつれなき松も猶下はそおつる木からしの風
しくれには−つひにつれなき−まつもなほ−したはそおつる−こからしのかせ |
00211 |
未入力 (xxx)
山ふかみ風もはらはぬ松かえに積りあまりて落つるしら雪
やまふかみ−かせもはらはぬ−まつかえに−つもりあまりて−おつるしらゆき |
00212 |
未入力 (xxx)
ふみ分けて今日こむ人をまつひとや雪を哀と思はさるらん
ふみわけて−けふこむひとを−まつひとや−ゆきをあはれと−おもはさるらむ |
00213 |
未入力 (xxx)
待つ人のとはぬもつらしなかなかにつもらてきえね庭のしら雪
まつひとの−とはぬもつらし−なかなかに−つもらてきえね−にはのしらゆき |
00214 |
未入力 (xxx)
芳野山み雪そふかく積りぬるふるき都の跡を尋ねて
よしのやま−みゆきそふかく−つもりぬる−ふるきみやこの−あとをたつねて |
00215 |
未入力 (xxx)
ふり積る雪にをれふすときは木のしつえを分くる杜のした道
ふりつもる−ゆきにをれふす−ときはきの−しつえをわくる−もりのしたみち |
00216 |
未入力 (xxx)
冬さむみ雪ふりかかる玉かつらみならぬ木にも花咲きにけり
ふゆさむみ−ゆきふりかかる−たまかつら−みならぬきにも−はなさきにけり |
00217 |
未入力 (xxx)
風さゆる湊入えのみかくれにうきて波よるあちのむら鳥
かせさゆる−みなといりえの−みかくれに−うきてなみよる−あちのむらとり |
00218 |
未入力 (xxx)
かきくらしふれとたまらぬ波の上にうかへる雪やあまのつり舟
かきくらし−ふれとたまらぬ−なみのうへに−うかへるゆきや−あまのつりふね |
00219 |
未入力 (xxx)
冬も猶あさ沢水のそこみえてさされかくれぬうす氷かな
ふゆもなほ−あささはみつの−そこみえて−さされかくれぬ−うすこほりかな |
00220 |
未入力 (xxx)
ふしのねをみさりしほとや外にのみ雪のみ山はありとききけん
ふしのねを−みさりしほとや−ほかにのみ−ゆきのみやまは−ありとききけむ |
00221 |
未入力 (xxx)
たをやめの袖ふく山やさえつらむあすかの里にふれるしら雪
たをやめの−そてふくやまや−さえつらむ−あすかのさとに−ふれるしらゆき |
00222 |
未入力 (xxx)
冬さむみかつこほりゆく山川のみをにそ浪の音はきこゆる
ふゆさむみ−かつこほりゆく−やまかはの−みをにそなみの−おとはきこゆる |
00223 |
未入力 (xxx)
山かつのこやのたれとのひまとめて雪ふりいるる庭の松かせ
やまかつの−こやのたれとの−ひまとめて−ゆきふりいるる−にはのまつかせ |
00224 |
未入力 (xxx)
とはれつる跡ともしはしみるへきに猶ふりかくす庭のしら雪
とはれつる−あとともしはし−みるへきに−なほふりかくす−にはのしらゆき |
00225 |
未入力 (xxx)
鴨のゐるかるの池水こほる夜も入江めくりて波そのこれる
かものゐる−かるのいけみつ−こほるよも−いりえめくりて−なみそのこれる |
00226 |
未入力 (xxx)
玉水も今こほるらむ岩そそく滝の宮こは雪降りにけり
たまみつも−いまこほるらむ−いはそそく−たきのみやこは−ゆきふりにけり |
00227 |
未入力 (xxx)
霜こほる入江にしろきをしかものうは毛に積る冬のよの月
しもこほる−いりえにしろき−をしかもの−うはけにつもる−ふゆのよのつき |
00228 |
未入力 (xxx)
久方の雲の上なるふしのねの雪は何よりふりつもるらん
ひさかたの−くものうへなる−ふしのねの−ゆきはなにより−ふりつもるらむ |
00229 |
未入力 (xxx)
なるみかた今朝やしほひに成りぬらん外よりあさく積るしら雪
なるみかた−けさやしほひに−なりぬらむ−ほかよりあさく−つもるしらゆき |
00230 |
未入力 (xxx)
こほる夜もたなかみ川のあしろ木にさそふ水あれやひをのよるらん
こほるよも−たなかみかはの−あしろきに−さそふみつあれや−ひをのよるらむ |
00231 |
未入力 (xxx)
跡たえていく夜か積るまつ人のとはて暮れぬる庭のしら雪
あとたえて−いくよかつもる−まつひとの−とはてくれぬる−にはのしらゆき |
00232 |
未入力 (xxx)
嵐ふく嶺にわかれて行く雲の一村さえてふるあられかな
あらしふく−みねにわかれて−ゆくくもの−ひとむらさえて−ふるあられかな |
00233 |
未入力 (xxx)
かくはかりふるにかひなきうき世ともしらてや雪の猶積るらん
かくはかり−ふるにかひなき−うきよとも−しらてやゆきの−なほつもるらむ |
00234 |
未入力 (xxx)
つもれとも道ある御代をしるへにて雪に朝たつ野への旅人
つもれとも−みちあるみよを−しるへにて−ゆきにあさたつ−のへのたひひと |
00235 |
未入力 (xxx)
いつのまにとはぬと人をうらむらん今朝こそつもれ庭の初雪
いつのまに−とはぬとひとを−うらむらむ−けさこそつもれ−にはのはつゆき |
00236 |
未入力 (xxx)
槙の屋に過くる霰や雲まよりこほりてくたる時雨なるらん
まきのやに−すくるあられや−くもまより−こほりてくたる−しくれなるらむ |
00237 |
未入力 (xxx)
風吹けは入江の蘆の末さわき鴨のはかひにこほる白波
かせふけは−いりえのあしの−すゑさわき−かものはかひに−こほるしらなみ |
00238 |
未入力 (xxx)
灯のあかしかねたるね覚かな山颪吹きて霰ふる夜は
ともしひの−あかしかねたる−ねさめかな−やまおろしふきて−あられふるよは |
00239 |
未入力 (xxx)
みつ塩のおよはぬ松もふる雪の入りぬる磯のなみの下草
みつしほの−およはぬまつも−ふるゆきの−いりぬるいその−なみのしたくさ |
00240 |
未入力 (xxx)
風さえて日影暮れゆくそま川のこほらぬさきといそく筏し
かせさえて−ひかけくれゆく−そまかはの−こほらぬさきと−いそくいかたし |
00241 |
未入力 (xxx)
葛のはにかせ待つ露の玉衣うらみぬまてもぬるる袖かな
くすのはに−かせまつつゆの−たまころも−うらみぬまても−ぬるるそてかな |
00242 |
未入力 (xxx)
なみた川袖のはやせにたへかねてみるめもしらぬ人を恋ひつつ
なみたかは−そてのはやせに−たへかねて−みるめもしらぬ−ひとをこひつつ |
00243 |
未入力 (xxx)
さのみよも忍ひははてししのすすき今はほにいててかくとしらせよ
さのみよも−しのひははてし−しのすすき−いまはほにいてて−かくとしらせよ |
00244 |
未入力 (xxx)
いかにして涙は袖にとまるらむかよふ心はひまもなき身に
いかにして−なみたはそてに−とまるらむ−かよふこころは−ひまもなきみに |
00245 |
未入力 (xxx)
恋ひわふる身はふしのねの雲かくれ下の煙をしる人そなき
こひわふる−みはふしのねの−くもかくれ−したのけふりを−しるひとそなき |
00246 |
未入力 (xxx)
憑めおく今夜も深けぬ偽のなき世ならはと独恋ひつつ
たのめおく−こよひもふけぬ−いつはりの−なきよならはと−ひとりこひつつ |
00247 |
未入力 (xxx)
うき物と思ひなれにし暁は独ぬる夜もおきそ侘ひぬる
うきものと−おもひなれにし−あかつきは−ひとりぬるよも−おきそわひぬる |
00248 |
未入力 (xxx)
待佗ひてくらせる宵はねんかたのあらはや人を夢にたにみん
まちわひて−くらせるよひは−ねむかたの−あらはやひとを−ゆめにたにみむ |
00249 |
未入力 (xxx)
待侘ひて今夜も深けぬとはかりもつれなき人にいかてしらせん
まちわひて−こよひもふけぬ−とはかりも−つれなきひとに−いかてしらせむ |
00250 |
未入力 (xxx)
夏虫の影はかりこそみえねとも身をはなれたる思ひやはある
なつむしの−かけはかりこそ−みえねとも−みをはなれたる−おもひやはある |
00251 |
未入力 (xxx)
物思ふ我みなかみのたきつせは袖によとまぬ涙なりけり
ものおもふ−わかみなかみの−たきつせは−そてによとまぬ−なみたなりけり |
00252 |
未入力 (xxx)
契るとも憑まむ物か玉かつらはふ木あまたの人の心を
ちきるとも−たのまむものか−たまかつら−はふきあまたの−ひとのこころを |
00253 |
未入力 (xxx)
しらせはやま砂かくれのはまつつら下にくるしく思ふ心を
しらせはや−まさこかくれの−はまつつら−したにくるしく−おもふこころを |
00254 |
未入力 (xxx)
恋ひしなむ後にあふ世の有るへくは猶をしからぬ命ならまし
こひしなむ−のちにあふよの−あるへくは−なほをしからぬ−いのちならまし |
00255 |
未入力 (xxx)
涙こそ人の心のつらさをも先知りそめて袖ぬらしけれ
なみたこそ−ひとのこころの−つらさをも−まつしりそめて−そてぬらしけれ |
00256 |
未入力 (xxx)
いかにせむあまり人めを忍ふまに希なる中と成りぬへきかな
いかにせむ−あまりひとめを−しのふまに−まれなるなかと−なりぬへきかな |
00257 |
未入力 (xxx)
松にふる時雨の雨にかはらめやつれなき人にそむる心は
まつにふる−しくれのあめに−かはらめや−つれなきひとに−そむるこころは |
00258 |
未入力 (xxx)
たまさかに逢ふとしみつる夢をたにうつつもつらき床の秋かせ
たまさかに−あふとしみつる−ゆめをたに−うつつもつらき−とこのあきかせ |
00259 |
未入力 (xxx)
いかにせむ心はかりはかよへともつつむそ中のへたてなりける
いかにせむ−こころはかりは−かよへとも−つつむそなかの−へたてなりける |
00260 |
未入力 (xxx)
忘れては猶またれけりこめやとは思ふものから秋の夕暮
わすれては−なほまたれけり−こめやとは−おもふものから−あきのゆふくれ |
00261 |
未入力 (xxx)
偽と思ふものからまたるるや猶うとまれぬ情なるらん
いつはりと−おもふものから−またるるや−なほうとまれぬ−なさけなるらむ |
00262 |
未入力 (xxx)
いさや猶あかてこそとて別れなはひとりひとりやうしと思はむ
いさやなほ−あかてこそとて−わかれなは−ひとりひとりや−うしとおもはむ |
00263 |
未入力 (xxx)
衣衣の別よりやは有明の月をつらしといひはしめけむ
きぬきぬの−わかれよりやは−ありあけの−つきをつらしと−いひはしめけむ |
00264 |
未入力 (xxx)
今はとて思ひたえなむ恨みても後さへとはぬ人のつらさを
いまはとて−おもひたえなむ−うらみても−のちさへとはぬ−ひとのつらさを |
00265 |
未入力 (xxx)
我か恋はあふをかきりと思ひしに何ゆゑ今朝も涙おつらん
わかこひは−あふをかきりと−おもひしに−なにゆゑけさも−なみたおつらむ |
00266 |
未入力 (xxx)
袖にたにしはしはつつめ心こそ涙にまくるうき身なりとも
そてにたに−しはしはつつめ−こころこそ−なみたにまくる−うきみなりとも |
00267 |
未入力 (xxx)
みれは先おもひそいつる久方の月にや人の影をそふらん
みれはまつ−おもひそいつる−ひさかたの−つきにやひとの−かけをそふらむ |
00268 |
未入力 (xxx)
うすくなる人の契は夏山の梢にさらす蝉のはころも
うすくなる−ひとのちきりは−なつやまの−こすゑにさらす−せみのはころも |
00269 |
未入力 (xxx)
にし木木をちつかと誰かかきりけむ逢ふまてとこそたてもつくさめ
にしききを−ちつかとたれか−かきりけむ−あふまてとこそ−たてもつくさめ |
00270 |
未入力 (xxx)
人めのみしけき野はらの埋水下にかよひし道そたえぬる
ひとめのみ−しけきのはらの−うもれみつ−したにかよひし−みちそたえぬる |
00271 |
未入力 (xxx)
今は又影たにみえぬうき人のかたみの水はなみたなりけり
いまはまた−かけたにみえぬ−うきひとの−かたみのみつは−なみたなりけり |
00272 |
未入力 (xxx)
忘れむと思ひねならは何しかも人たのめなるよはのつらさそ
わすれむと−おもひねならは−なにしかも−ひとたのめなる−よはのつらさそ |
00273 |
未入力 (xxx)
あた人の情はかりにいつはりをしらてやふかくたのめそめけん
あたひとの−なさけはかりに−いつはりを−しらてやふかく−たのめそめけむ |
00274 |
未入力 (xxx)
おもへたたいく程ならぬ世の中にあはてやみなむ後のつらさを
おもへたた−いくほとならぬ−よのなかに−あはてやみなむ−のちのつらさを |
00275 |
未入力 (xxx)
暁はかへる袖こそぬれまされとまるもおなし別なれとも
あかつきは−かへるそてこそ−ぬれまされ−とまるもおなし−わかれなれとも |
00276 |
未入力 (xxx)
なほさりに思ふといひし一ことはつらき中にも忘れさりけり
なほさりに−おもふといひし−ひとことは−つらきなかにも−わすれさりけり |
00277 |
未入力 (xxx)
いかさまにうらみよとてか逢ひみての後さへ人のつれなかるらん
いかさまに−うらみよとてか−あひみての−のちさへひとの−つれなかるらむ |
00278 |
未入力 (xxx)
暁はけにいひしらぬつらさともおもはてしもやわかれ初めけん
あかつきは−けにいひしらぬ−つらさとも−おもはてしもや−わかれそめけむ |
00279 |
未入力 (xxx)
たえはてむかことを人にまたれては我か恨さへとかに成りける
たえはてむ−かことをひとに−またれては−わかうらみさへ−とかになりける |
00280 |
未入力 (xxx)
さては猶とほさかりけるうき人に逢ひそめなはと何おもひけん
さてはなほ−とほさかりける−うきひとに−あひそめなはと−なにおもひけむ |
00281 |
未入力 (xxx)
なにせむに憑みそめけむあきつはの袖ふるいもかうすき契を
なにせむに−たのみそめけむ−あきつはの−そてふるいもか−うすきちきりを |
00282 |
未入力 (xxx)
入かたの月やは人にをしへけむあかて有明のわかれせよとは
いりかたの−つきやはひとに−をしへけむ−あかてありあけの−わかれせよとは |
00283 |
未入力 (xxx)
うらみしなこれはなへての恨みとも思ひなさるるつらさなりせは
うらみしな−これはなへての−うらみとも−おもひなさるる−つらさなりせは |
00284 |
未入力 (xxx)
佗ひつつもねられさりけりかきくもる雨にも人の猶またれつつ
わひつつも−ねられさりけり−かきくもる−あめにもひとの−なほまたれつつ |
00285 |
未入力 (xxx)
うき物とみるもつらしな今はとてかへるみちには有明の月
うきものと−みるもつらしな−いまはとて−かへるみちには−ありあけのつき |
00286 |
未入力 (xxx)
君ゆゑにしぬるとたにもしらせはや世のはかなさになしもこそせめ
きみゆゑに−しぬるとたにも−しらせはや−よのはかなさに−なしもこそせめ |
00287 |
未入力 (xxx)
おのつから逢ふに命をかふるかとをしからぬ身のなからふるかな
おのつから−あふにいのちを−かふるかと−をしからぬみの−なからふるかな |
00288 |
未入力 (xxx)
年月は忍ひしものを今はたたしらはしれとや袖のぬるらん
としつきは−しのひしものを−いまはたた−しらはしれとや−そてのぬるらむ |
00289 |
未入力 (xxx)
ことのははかれにしものを露の身の何にかかりて年のへぬらん
ことのはは−かれにしものを−つゆのみの−なににかかりて−としのへぬらむ |
00290 |
未入力 (xxx)
みちのくにありてふ川の埋木のいつあらはれてうき名とりけん
みちのくに−ありてふかはの−うもれきの−いつあらはれて−うきなとりけむ |
00291 |
未入力 (xxx)
これなくは忘るる時も有りなましかたみや何のつらさなるらん
これなくは−わするるときも−ありなまし−かたみやなにの−つらさなるらむ |
00292 |
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かはりゆく人のならひのことのはや時雨も染めぬもみちなるらん
かはりゆく−ひとのならひの−ことのはや−しくれもそめぬ−もみちなるらむ |
00293 |
未入力 (xxx)
あふとみる夢はたえぬるね覚こそうき暁の別なりけれ
あふとみる−ゆめはたえぬる−ねさめこそ−うきあかつきの−わかれなりけれ |
00294 |
未入力 (xxx)
忘らるる身をうき物とうらみても人のつらさは猶まさりけり
わすらるる−みをうきものと−うらみても−ひとのつらさは−なほまさりけり |
00295 |
未入力 (xxx)
哀とや人もおもはむ数ならぬ身より外なる恨なりせは
あはれとや−ひともおもはむ−かすならぬ−みよりほかなる−うらみなりせは |
00296 |
未入力 (xxx)
わきもこかかつらき山のみねの雲心にかけて年もへにけり
わきもこか−かつらきやまの−みねのくも−こころにかけて−としもへにけり |
00297 |
未入力 (xxx)
身のうさをおもひしらてや有明をつれなき物と人のなしけん
みのうさを−おもひしらてや−ありあけを−つれなきものと−ひとのなしけむ |
00298 |
未入力 (xxx)
命こそかきり有りけれあふことのたえはいくへき身とやおもひし
いのちこそ−かきりありけれ−あふことの−たえはいくへき−みとやおもひし |
00299 |
未入力 (xxx)
わすれしのことのは山の下もみちいかにうつろふ契なるらむ
わすれしの−ことのはやまの−したもみち−いかにうつろふ−ちきりなるらむ |