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作品集名 | 三十六人歌合 |
作品集名読み | さんじゅうろくにんうたあわせ |
作成年月日 | 弘長二年九月(1262年10月半ば過ぎあたり頃) |
場所 |
00001 |
未入力 (xxx)
はれかたき身の思ひこそうかりけれ霞める月も秋やまつらむ
はれかたき−みのおもひこそ−うかりけれ−かすめるつきも−あきやまつらむ |
00002 |
未入力 (xxx)
あけかたの天の戸わたる月かけにうき人さへや衣うつらん
あけかたの−あまのとわたる−つきかけに−うきひとさへや−ころもうつらむ |
00003 |
未入力 (xxx)
やきすてしあととも見えぬ夏草に今はたもえてゆくほたるかな
やきすてし−あとともみえぬ−なつくさに−いまはたもえて−ゆくほたるかな |
00004 |
未入力 (xxx)
秋草のかれ葉か下のきりきりすいつまていきて人にきかれむ
あきくさの−かれはかしたの−きりきりす−いつまていきて−ひとにきかれむ |
00005 |
未入力 (xxx)
たなはたの恋やつもりてあまのかはまれなるなかの淵となるらむ
たなはたの−こひやつもりて−あまのかは−まれなるなかの−ふちとなるらむ |
00006 |
未入力 (xxx)
松かけの入海かけてしらすけのみなとふきこす秋の山かせ
まつかけの−いりうみかけて−しらすけの−みなとふきこす−あきのやまかせ |
00007 |
未入力 (xxx)
遠さかるあまの小船もあはれなりゆらのみなとの秋の夕暮
とほさかる−あまのをふねも−あはれなり−ゆらのみなとの−あきのゆふくれ |
00008 |
未入力 (xxx)
秋の雨に桐の葉おつるゆふくれをおもひすつるそまつにまされる
あきのあめに−きりのはおつる−ゆふくれを−おもひすつるそ−まつにまされる |
00009 |
未入力 (xxx)
身をすつる人やみるらんからくにの虎ふす野辺の秋の夜の月
みをすつる−ひとやみるらむ−からくにの−とらふすのへの−あきのよのつき |
00010 |
未入力 (xxx)
山もとの末野のさとのあけほのにまた人わけぬ雪を見るかな
やまもとの−すゑののさとの−あけほのに−またひとわけぬ−ゆきをみるかな |
00011 |
未入力 (xxx)
日影さす枯野のまくす霜とけて過きにし秋にかへる露かな
ひかけさす−かれののまくす−しもとけて−すきにしあきに−かへるつゆかな |
00012 |
未入力 (xxx)
山人は出てたるあとのあきのいほのこれる鶴や夜半になくらん
やまひとは−いてたるあとの−あきのいほ−のこれるつるや−よはになくらむ |
00013 |
未入力 (xxx)
何とかく色かはるらむ木にもあらす草にもあらぬ人のことのは
なにとかく−いろかはるらむ−きにもあらす−くさにもあらぬ−ひとのことのは |
00014 |
未入力 (xxx)
こころなき岩木における露まても秋をはいかておもひしるらむ
こころなき−いはきにおける−つゆまても−あきをはいかて−おもひしるらむ |
00015 |
未入力 (xxx)
逢ふ事はいつにならへるこころとてひとりぬる夜のかなしかるらむ
あふことは−いつにならへる−こころとて−ひとりぬるよの−かなしかるらむ |
00016 |
未入力 (xxx)
またよひのはやまのほくしもえそめてしかまつとたにいかてしらせむ
またよひの−はやまのほくし−もえそめて−しかまつとたに−いかてしらせむ |
00017 |
未入力 (xxx)
いとひても後をいかにとおもふこそなほ世にとまる心なりけれ
いとひても−のちをいかにと−おもふこそ−なほよにとまる−こころなりけれ |
00018 |
未入力 (xxx)
世やはうき人やはつらきおほかたの身を思はぬはこころなりけり
よやはうき−ひとやはつらき−おほかたの−みをおもはぬは−こころなりけり |
00019 |
未入力 (xxx)
この里は角田河原もほととほしいかなる鳥にみやことはまし
このさとは−すみたかはらも−ほととほし−いかなるとりに−みやことはまし |
00020 |
未入力 (xxx)
わたりする人もあはれやまさるらむすみたかはらの春の明ほの
わたりする−ひともあはれや−まさるらむ−すみたかはらの−はるのあけほの |
00021 |
未入力 (xxx)
分けゆけはそれとも見えぬ朝ほらけとほきそ春のかすみなりける
わけゆけは−それともみえぬ−あさほらけ−とほきそはるの−かすみなりける |
00022 |
未入力 (xxx)
三吉野のやまのはかすむはることに身はあら玉のとしそふり行く
みよしのの−やまのはかすむ−はることに−みはあらたまの−としそふりゆく |
00023 |
未入力 (xxx)
伊勢のあまの玉ものすそやまかふらん霞にとほきおきつしらなみ
いせのあまの−たまものすそや−まかふらむ−かすみにとほき−おきつしらなみ |
00024 |
未入力 (xxx)
としことに後のはるともしらさりき花にいくたひなれてみつらん
としことに−のちのはるとも−しらさりき−はなにいくたひ−なれてみつらむ |
00025 |
未入力 (xxx)
村雨にあきの露かるたまささのみしかきよははあかつきもなし
むらさめに−あきのつゆかる−たまささの−みしかきよはは−あかつきもなし |
00026 |
未入力 (xxx)
さしも草さしもひまなき五月雨に伊吹のたけのいかにもゆらん
さしもくさ−さしもひまなき−さみたれに−いふきのたけの−いかにもゆらむ |
00027 |
未入力 (xxx)
吹きかよふ音たにかはれやましろのときはの森の秋のはつかせ
ふきかよふ−おとたにかはれ−やましろの−ときはのもりの−あきのはつかせ |
00028 |
未入力 (xxx)
夕されは露吹きおとすあきかせに末葉かたよるをののしのはら
ゆふされは−つゆふきおとす−あきかせに−すゑはかたよる−をののしのはら |
00029 |
未入力 (xxx)
おく露にあはれはかけよかすか野にのこる古枝のあきはきのはな
おくつゆに−あはれはかけよ−かすかのに−のこるふるえの−あきはきのはな |
00030 |
未入力 (xxx)
伊勢島やしほひのかたのみわたりにいそかすやとる秋の夜の月
いせしまや−しほひのかたの−みわたりに−いそかすやとる−あきのよのつき |
00031 |
未入力 (xxx)
みなと河秋ゆく水のいろそこきのこる山なくしくれふるらし
みなとかは−あきゆくみつの−いろそこき−のこるやまなく−しくれふるらし |
00032 |
未入力 (xxx)
紅葉葉を染めてしくるるあきやまに晩田のおしねほしやかぬらん
もみちはを−そめてしくるる−あきやまに−おくてのおしね−ほしやかぬらむ |
00033 |
未入力 (xxx)
いほりさすいなはの雲もうちなひき山田のはらは時雨れてそゆく
いほりさす−いなはのくもも−うちなひき−やまたのはらは−しくれてそゆく |
00034 |
未入力 (xxx)
うかりけるたかあふ事のならひよりゆふつけとりのねにわかるらん
うかりける−たかあふことの−ならひより−ゆふつけとりの−ねにわかるらむ |
00035 |
未入力 (xxx)
しりなからいとはぬ世こそかなしけれわかためつらき身を思ふとて
しりなから−いとはぬよこそ−かなしけれ−わかためつらき−みをおもふとて |
00036 |
未入力 (xxx)
ふかき夜に人しらしとてしほりつる袖のなみたを月にみえぬる
ふかきよに−ひとしらしとて−しほりつる−そてのなみたを−つきにみえぬる |
00037 |
未入力 (xxx)
あきつはのすかたのくににあとたるる神のまもりはわか君のため
あきつはの−すかたのくにに−あとたるる−かみのまもりは−わかきみのため |
00038 |
未入力 (xxx)
いかにせむくもるなみたのますかかみうらみしよりそ秋はたえにし
いかにせむ−くもるなみたの−ますかかみ−うらみしよりそ−あきはたえにし |
00039 |
未入力 (xxx)
ふりぬとも何なけくらん君か代に老といふものそ身はさかえける
ふりぬとも−なになけくらむ−きみかよに−おいといふものそ−みはさかえける |
00040 |
未入力 (xxx)
しのひかねなみたの玉の緒をたえて恋のみたれそ袖にみえゆく
しのひかね−なみたのたまの−ををたえて−こひのみたれそ−そてにみえゆく |
00041 |
未入力 (xxx)
天河あさせふむまにたなはたのまちつる夜半も更けやしぬらむ
あまのかは−あさせふむまに−たなはたの−まちつるよはも−ふけやしぬらむ |
00042 |
未入力 (xxx)
真葛原うら葉もしろくみたれつつかせのままなる秋のゆふつゆ
まくすはら−うらはもしろく−みたれつつ−かせのままなる−あきのゆふつゆ |
00043 |
未入力 (xxx)
霜かれの野もせの草はわかことや世にふりはててしほれ侘ふらん
しもかれの−のもせのくさは−わかことや−よにふりはてて−しほれわふらむ |
00044 |
未入力 (xxx)
消えのこるためしもかなしかすかやまはるの光にもるるしら雪
きえのこる−ためしもかなし−かすかやま−はるのひかりに−もるるしらゆき |
00045 |
未入力 (xxx)
いかてかは唐舟のほのかにもわかこふらくをしらせそめまし
いかてかは−もろこしふねの−ほのかにも−わかこふらくを−しらせそめまし |
00046 |
未入力 (xxx)
さをしかもこのまの月のかけみてや心つくしのつまをこふらむ
さをしかも−このまのつきの−かけみてや−こころつくしの−つまをこふらむ |
00047 |
未入力 (xxx)
あつさ弓はるかにとはぬ日かすをもこころつよくや恨みはてまし
あつさゆみ−はるかにとはぬ−ひかすをも−こころつよくや−うらみはてまし |
00048 |
未入力 (xxx)
岩に生ふるためしを何にたのみけむつひにつれなき松の色かな
いはにおふる−ためしをなにに−たのみけむ−つひにつれなき−まつのいろかな |
00049 |
未入力 (xxx)
みことのりうけてつたへしわかこころくもらぬほとそ神やしるらむ
みことのり−うけてつたへし−わかこころ−くもらぬほとそ−かみやしるらむ |
00050 |
未入力 (xxx)
蓮葉の露のうき世としりなからにこりにしむは心なりけり
はちすはの−つゆのうきよと−しりなから−にこりにしむは−こころなりけり |
00051 |
未入力 (xxx)
雁かねのつはさにかくるあしのはは雲路まとはぬしをりなるへし
かりかねの−つはさにかくる−あしのはは−くもちまとはぬ−しをりなるへし |
00052 |
未入力 (xxx)
あすしらぬわか身なからも桜はなうつろふ色そけふはかなしき
あすしらぬ−わかみなからも−さくらはな−うつろふいろそ−けふはかなしき |
00053 |
未入力 (xxx)
かくはかり名残をしくは身にそへる秋ともさらに何なけくらむ
かくはかり−なこりをしくは−みにそへる−あきともさらに−なになけくらむ |
00054 |
未入力 (xxx)
我かためになくむしのねにあらねともね覚なれはやかなしかるらむ
わかために−なくむしのねに−あらねとも−ねさめなれはや−かなしかるらむ |
00055 |
未入力 (xxx)
待つ人はむなしきくれになにとまたあしたゆくくるささかにの糸
まつひとは−むなしきくれに−なにとまた−あしたゆくくる−ささかにのいと |
00056 |
未入力 (xxx)
しらま弓いるさのやまの夕霧に立ちかくれてや鹿はなくらむ
しらまゆみ−いるさのやまの−ゆふきりに−たちかくれてや−しかはなくらむ |
00057 |
未入力 (xxx)
おなしくは浦にかきおけもしほくさはては煙も立ちははなれし
おなしくは−うらにかきおけ−もしほくさ−はてはけふりも−たちははなれし |
00058 |
未入力 (xxx)
身のうさをなけくにあまるなみたにそしのふにたへぬ色はみえける
みのうさを−なけくにあまる−なみたにそ−しのふにたへぬ−いろはみえける |
00059 |
未入力 (xxx)
いつまてか夜さむのころもぬきかけてあはれと民をおもひしりけむ
いつまてか−よさむのころも−ぬきかけて−あはれとたみを−おもひしりけむ |
00060 |
未入力 (xxx)
としをへてつらきこころのかきりをもみはててよわる玉のをもかな
としをへて−つらきこころの−かきりをも−みはててよわる−たまのをもかな |
00061 |
未入力 (xxx)
立ちかふるけふは卯月のはしめとや神のみむろにさかきとるらむ
たちかふる−けふはうつきの−はしめとや−かみのみむろに−さかきとるらむ |
00062 |
未入力 (xxx)
いくあきもかはらぬかけの月もまた万代かけてなほちきるかな
いくあきも−かはらぬかけの−つきもまた−よろつよかけて−なほちきるかな |
00063 |
未入力 (xxx)
よしさらはこしちをたひといひなさむ秋はみやこにかへる雁かね
よしさらは−こしちをたひと−いひなさむ−あきはみやこに−かへるかりかね |
00064 |
未入力 (xxx)
秋の夜はすまの関守すみかへて月やゆききの人ととむらむ
あきのよは−すまのせきもり−すみかへて−つきやゆききの−ひとととむらむ |
00065 |
未入力 (xxx)
すくもたくもしほのけふりなひけたた恨みし末のしるへにもせむ
すくもたく−もしほのけふり−なひけたた−うらみしすゑの−しるへにもせむ |
00066 |
未入力 (xxx)
よそにのみみつのはま松としをへてつれなき色にかくる波かな
よそにのみ−みつのはままつ−としをへて−つれなきいろに−かくるなみかな |
00067 |
未入力 (xxx)
はかなくもおもひなくさむこころかなおなし世にふるたのみはかりに
はかなくも−おもひなくさむ−こころかな−おなしよにふる−たのみはかりに |
00068 |
未入力 (xxx)
おのつからひかすもみえぬたに河の岩間の氷いくへともなし
おのつから−ひかすもみえぬ−たにかはの−いはまのこほり−いくへともなし |
00069 |
未入力 (xxx)
あらしふくみねのしの屋の草まくらかりねの夢はむすふともなし
あらしふく−みねのしのやの−くさまくら−かりねのゆめは−むすふともなし |
00070 |
未入力 (xxx)
千年ふるためしはいまそしら雪のかさねてつもる嶺の松か枝
ちとせふる−ためしはいまそ−しらゆきの−かさねてつもる−みねのまつかえ |
00071 |
未入力 (xxx)
おきつかせ吹あけのはまの白妙になほすみのほる秋の夜の月
おきつかせ−ふきあけのはまの−しろたへに−なほすみのほる−あきのよのつき |
00072 |
未入力 (xxx)
いかにせむ散りにしはなのおもかけをわすれむとすれはみねの白雲
いかにせむ−ちりにしはなの−おもかけを−わすれむとすれは−みねのしらくも |
00073 |
未入力 (xxx)
時わかすいつもゆふへはあるものをあきしもなとかかなしかるらむ
ときわかす−いつもゆふへは−あるものを−あきしもなとか−かなしかるらむ |
00074 |
未入力 (xxx)
うたかひしいのちのうちにさきにけりあはれなりける庭のはなかな
うたかひし−いのちのうちに−さきにけり−あはれなりける−にはのはなかな |
00075 |
未入力 (xxx)
しはしたになほ立ちかへれまくすはらうらかれてゆく秋のわかれち
しはしたに−なほたちかへれ−まくすはら−うらかれてゆく−あきのわかれち |
00076 |
未入力 (xxx)
つらかりし時こそあらめ逢ひみての後さへものはなそやかなしき
つらかりし−ときこそあらめ−あひみての−のちさへものは−なそやかなしき |
00077 |
未入力 (xxx)
松島やあまのもしほ木それならてこりぬおもひに立つけふりかな
まつしまや−あまのもしほき−それならて−こりぬおもひに−たつけふりかな |
00078 |
未入力 (xxx)
人をこそつらしと思ふになみたさへなとうきたひに身をはなるらむ
ひとをこそ−つらしとおもふに−なみたさへ−なとうきたひに−みをはなるらむ |
00079 |
未入力 (xxx)
いかなりし秋になみたの落ちそめて身はならはしと袖のぬるらむ
いかなりし−あきになみたの−おちそめて−みはならはしと−そてのぬるらむ |
00080 |
未入力 (xxx)
さためなくさても世にふるこのころの時雨のやとやわか身なるらん
さためなく−さてもよにふる−このころの−しくれのやとや−わかみなるらむ |
00081 |
未入力 (xxx)
おほ空に吹きくるかせのにほふかな雲のうへにもはなやさくらん
おほそらに−ふきくるかせの−にほふかな−くものうへにも−はなやさくらむ |
00082 |
未入力 (xxx)
むかしよりうつろふからにうらむるをくるしき世とや花のちるらむ
むかしより−うつろふからに−うらむるを−くるしきよとや−はなのちるらむ |
00083 |
未入力 (xxx)
よのつねの身よりほかなる秋ならはなへての露に袖はぬらさし
よのつねの−みよりほかなる−あきならは−なへてのつゆに−そてはぬらさし |
00084 |
未入力 (xxx)
下もえやくるしかるらむなくこゑもきこえぬむしのよはのおもひは
したもえや−くるしかるらむ−なくこゑも−きこえぬむしの−よはのおもひは |
00085 |
未入力 (xxx)
されはとていとひもはてぬ世の中をうきたひことに何なけくらん
されはとて−いとひもはてぬ−よのなかを−うきたひことに−なになけくらむ |
00086 |
未入力 (xxx)
偽のまたれしことも今はなしそれたにいつとたのめおかねは
いつはりの−またれしことも−いまはなし−それたにいつと−たのめおかねは |
00087 |
未入力 (xxx)
あはれなり草のかけにも白露のかかるへしとはおもはさりしを
あはれなり−くさのかけにも−しらつゆの−かかるへしとは−おもはさりしを |
00088 |
未入力 (xxx)
秋風は雲のちりをやはらふらむ空のかかみの夜半の月かけ
あきかせは−くものちりをや−はらふらむ−そらのかかみの−よはのつきかけ |
00089 |
未入力 (xxx)
何とてかこと葉にふたつわかるらむよきもあしきも一こころを
なにとてか−ことはにふたつ−わかるらむ−よきもあしきも−ひとつこころを |
00090 |
未入力 (xxx)
明石潟なみの音にやかよふらむうらより遠のをかの松かせ
あかしかた−なみのおとにや−かよふらむ−うらよりをちの−をかのまつかせ |
00091 |
未入力 (xxx)
天地の外なるやまにのかれねはかくても花にものやおもはむ
あめつちの−ほかなるやまに−のかれねは−かくてもはなに−ものやおもはむ |
00092 |
未入力 (xxx)
富士のねはさきけるはなのならひまてなほときしらぬ山さくらかな
ふしのねは−さきけるはなの−ならひまて−なほときしらぬ−やまさくらかな |
00093 |
未入力 (xxx)
天河もみちのはしやあきをへてわたれとたえぬにしきなるらむ
あまのかは−もみちのはしや−あきをへて−わたれとたえぬ−にしきなるらむ |
00094 |
未入力 (xxx)
うきをしるなみたのとかといひなして袖よりかすむ秋の夜の月
うきをしる−なみたのとかと−いひなして−そてよりかすむ−あきのよのつき |
00095 |
未入力 (xxx)
物おもはていつれのとしの秋まてか露にたもとのしられさりけむ
ものおもはて−いつれのとしの−あきまてか−つゆにたもとの−しられさりけむ |
00096 |
未入力 (xxx)
秋きても岩ねのとこはつれなきになみた色つく苔の袖かな
あききても−いはねのとこは−つれなきに−なみたいろつく−こけのそてかな |
00097 |
未入力 (xxx)
荻のはにありけるものを花ゆゑにはるもうかりしかせのやとりは
をきのはに−ありけるものを−はなゆゑに−はるもうかりし−かせのやとりは |
00098 |
未入力 (xxx)
いかにしてなみたは袖にとまるらんかよふこころはひまもなきみに
いかにして−なみたはそてに−とまるらむ−かよふこころは−ひまもなきみに |
00099 |
未入力 (xxx)
とものうらの磯辺にたてるむろの木につなける舟のぬしはたれそも
とものうらの−いそへにたてる−むろのきに−つなけるふねの−ぬしはたれそも |
00100 |
未入力 (xxx)
なからへはしはしも月をみるへきに山のはちかき身こそつらけれ
なからへは−しはしもつきを−みるへきに−やまのはちかき−みこそつらけれ |
00101 |
未入力 (xxx)
春雨のあまねききみのめくみとはたのむものからぬるる袖かな
はるさめの−あまねききみの−めくみとは−たのむものから−ぬるるそてかな |
00102 |
未入力 (xxx)
難波かたかすまぬなみもかすみけりうつるもくもるおほろ月夜に
なにはかた−かすまぬなみも−かすみけり−うつるもくもる−おほろつきよに |
00103 |
未入力 (xxx)
やまのはのつらさはかりやのこるらん雲よりほかにあくる月かけ
やまのはの−つらさはかりや−のこるらむ−くもよりほかに−あくるつきかけ |
00104 |
未入力 (xxx)
晴れくもるかけをみやこにさきたててしくるとつくる山のはの月
はれくもる−かけをみやこに−さきたてて−しくるとつくる−やまのはのつき |
00105 |
未入力 (xxx)
ものことに忘かたみをとめおきてなみたのたゆむ時のまそなき
ものことに−わすれかたみを−とめおきて−なみたのたゆむ−ときのまそなき |
00106 |
未入力 (xxx)
中中に又たのまるる世なりけりかはるへしとも契りやはせし
なかなかに−またたのまるる−よなりけり−かはるへしとも−ちきりやはせし |
00107 |
未入力 (xxx)
今は又身さへ朽木のそまやまになにことのはをかきあつめけむ
いまはまた−みさへくちきの−そまやまに−なにことのはを−かきあつめけむ |
00108 |
未入力 (xxx)
今は又ちらてもまかふしくれかなひとりふりゆく庭の松かせ
いまはまた−ちらてもまかふ−しくれかな−ひとりふりゆく−にはのまつかせ |
00109 |
未入力 (xxx)
いたつらにあまのいさりひたくなはのくるしきほとを知る人もなし
いたつらに−あまのいさりひ−たくなはの−くるしきほとを−しるひともなし |
00110 |
未入力 (xxx)
ほのほのとあけのそほ舟こきかへりけふりしらめる浦のもしほ火
ほのほのと−あけのそほふね−こきかへり−けふりしらめる−うらのもしほひ |
00111 |
未入力 (xxx)
しめゆひしまかきやたわになりぬらん花おもけなる庭の山吹
しめゆひし−まかきやたわに−なりぬらむ−はなおもけなる−にはのやまふき |
00112 |
未入力 (xxx)
散るをうしと思ひしはなそまたれける春くることにもの忘して
ちるをうしと−おもひしはなそ−またれける−はるくることに−ものわすれして |
00113 |
未入力 (xxx)
足曳のやましたかせのいつのまに音ふきかへて秋はきぬらん
あしひきの−やましたかせの−いつのまに−おとふきかへて−あきはきぬらむ |
00114 |
未入力 (xxx)
天河おなしかたののをみなへし秋とちきりてたれをまつらん
あまのかは−おなしかたのの−をみなへし−あきとちきりて−たれをまつらむ |
00115 |
未入力 (xxx)
ひとりねはなかきならひのあきのよをあかしかねてや鹿もなくらん
ひとりねは−なかきならひの−あきのよを−あかしかねてや−しかもなくらむ |
00116 |
未入力 (xxx)
山里にいつしか人のまたるるやすみはつましき心なるらん
やまさとに−いつしかひとの−またるるや−すみはつましき−こころなるらむ |
00117 |
未入力 (xxx)
夕しほや遠つひかたにみちぬらんなきてちかつく友ちとりかな
ゆふしほや−とほつひかたに−みちぬらむ−なきてちかつく−ともちとりかな |
00118 |
未入力 (xxx)
いとへとて思ひしらする世の中をうきたひことになにうらむらん
いとへとて−おもひしらする−よのなかを−うきたひことに−なにうらむらむ |
00119 |
未入力 (xxx)
しろたへの我かころもてをかたしきてひとりやねなむいもに恋ひつつ
しろたへの−わかころもてを−かたしきて−ひとりやねなむ−いもにこひつつ |
00120 |
未入力 (xxx)
みし代こそ思ひ出ててもしのはるれしらぬむかしのなそやこひしき
みしよこそ−おもひいてても−しのはるれ−しらぬむかしの−なそやこひしき |
00121 |
未入力 (xxx)
かくはかりくるるわかれをしたふとは思ひもしらす春やゆくらん
かくはかり−くるるわかれを−したふとは−おもひもしらす−はるやゆくらむ |
00122 |
未入力 (xxx)
おのかすむこしちのはなはまたさかしいそかてかへれはるの雁かね
おのかすむ−こしちのはなは−またさかし−いそかてかへれ−はるのかりかね |
00123 |
未入力 (xxx)
またれつる時はさ月になりにけり小田の早苗もいまいそくらし
またれつる−ときはさつきに−なりにけり−をたのさなへも−いまいそくらし |
00124 |
未入力 (xxx)
五月雨のふりわけかみはかたすきて井つつにあまる水のしらなみ
さみたれの−ふりわけかみは−かたすきて−ゐつつにあまる−みつのしらなみ |
00125 |
未入力 (xxx)
としなみもさこそこゆらめふる雪につもる日数のすゑのまつやま
としなみも−さこそこゆらめ−ふるゆきに−つもるひかすの−すゑのまつやま |
00126 |
未入力 (xxx)
長月のきくのしらつゆ淵とならはまかきの島は外にもとめし
なかつきの−きくのしらつゆ−ふちとならは−まかきのしまは−ほかにもとめし |
00127 |
未入力 (xxx)
思ひ侘ひうきおもかけやなくさむとみれはかなしき在明の月
おもひわひ−うきおもかけや−なくさむと−みれはかなしき−ありあけのつき |
00128 |
未入力 (xxx)
春日野の野守のかかみこれなれやよそにみかさの山のはの月
かすかのの−のもりのかかみ−これなれや−よそにみかさの−やまのはのつき |
00129 |
未入力 (xxx)
かはらやの下にこかるるゆふけふりたえぬおもひのありとたにみよ
かはらやの−したにこかるる−ゆふけふり−たえぬおもひの−ありとたにみよ |
00130 |
未入力 (xxx)
浦人の蘆火たくやのすすけたる身にはなにはの事も物うし
うらひとの−あしひたくやの−すすけたる−みにはなにはの−こともものうし |
00131 |
未入力 (xxx)
かすめともまよはてかへる雁かねは去年のこしちや空にしるらん
かすめとも−まよはてかへる−かりかねは−こそのこしちや−そらにしるらむ |
00132 |
未入力 (xxx)
一枝は折りてかへらんやまさくら家つとなから見ぬ人のため
ひとえたは−をりてかへらむ−やまさくら−いへつとなから−みぬひとのため |
00133 |
未入力 (xxx)
桜花にほふやいつこみよし野のきさ山きはに霞たつらし
さくらはな−にほふやいつこ−みよしのの−きさやまきはに−かすみたつらし |
00134 |
未入力 (xxx)
春霞かすむとみれはやまのはの雲まもくもる夜半の月影
はるかすみ−かすむとみれは−やまのはの−くもまもくもる−よはのつきかけ |
00135 |
未入力 (xxx)
またみねはおもかけもなしなにしかもまののかや原霞みたるらん
またみねは−おもかけもなし−なにしかも−まののかやはら−かすみたるらむ |
00136 |
未入力 (xxx)
しのひねとたれいひそめてほとときすきくへきころを待ちすくすらん
しのひねと−たれいひそめて−ほとときす−きくへきころを−まちすくすらむ |
00137 |
未入力 (xxx)
みことのり道にそむかぬゆゑとてや海のほかにもまもりあるらむ
みことのり−みちにそむかぬ−ゆゑとてや−うみのほかにも−まもりあるらむ |
00138 |
未入力 (xxx)
吹くからに雲はかからし紅葉するあらしの山はいつしくれけむ
ふくからに−くもはかからし−もみちする−あらしのやまは−いつしくれけむ |
00139 |
未入力 (xxx)
いかならむ時かあらはにしらるへきくににむくゆる心ありとも
いかならむ−ときかあらはに−しらるへき−くににむくゆる−こころありとも |
00140 |
未入力 (xxx)
黒髪をてならすたひにいとふかなあはれいつかとおもひみたれて
くろかみを−てならすたひに−いとふかな−あはれいつかと−おもひみたれて |
00141 |
未入力 (xxx)
をとめ子かかさしのさくら咲きにけり袖ふるやまにかかるしらくも
をとめこか−かさしのさくら−さきにけり−そてふるやまに−かかるしらくも |
00142 |
未入力 (xxx)
きてもみよとなにかは人につけやらむ我かやとにのみ月はすましを
きてもみよと−なにかはひとに−つけやらむ−わかやとにのみ−つきはすましを |
00143 |
未入力 (xxx)
今よりのころもかりかねあきかせにたか夜寒とかなきてきぬらん
いまよりの−ころもかりかね−あきかせに−たかよさむとか−なきてきぬらむ |
00144 |
未入力 (xxx)
時わかぬこしのしらねの雪をみて秋とはいかに雁のきぬらむ
ときわかぬ−こしのしらねの−ゆきをみて−あきとはいかに−かりのきぬらむ |
00145 |
未入力 (xxx)
よそにきくわかね覚たになかきよをあかすやしつか衣うつらむ
よそにきく−わかねさめたに−なかきよを−あかすやしつか−ころもうつらむ |
00146 |
未入力 (xxx)
あすかには衣うつなりたをやめか袖のあきかせ夜寒なるらん
あすかには−ころもうつなり−たをやめか−そてのあきかせ−よさむなるらむ |
00147 |
未入力 (xxx)
山のはに更けて出てたる月かけのはつかにたにもいかてしらせむ
やまのはに−ふけていてたる−つきかけの−はつかにたにも−いかてしらせむ |
00148 |
未入力 (xxx)
長月のつつきのはらの草の葉にことしはいたくおける露かな
なかつきの−つつきのはらの−くさのはに−ことしはいたく−おけるつゆかな |
00149 |
未入力 (xxx)
さりともとわかあらましにたのまれて行末しらぬみこそをしけれ
さりともと−わかあらましに−たのまれて−ゆくすゑしらぬ−みこそをしけれ |
00150 |
未入力 (xxx)
いかはかりみのあやまりのつもるらむあはれわか世のありのすさみに
いかはかり−みのあやまりの−つもるらむ−あはれわかよの−ありのすさみに |
00151 |
未入力 (xxx)
天つ空なとて神代のはしめよりはるはかりたつ霞なるらむ
あまつそら−なとてかみよの−はしめより−はるはかりたつ−かすみなるらむ |
00152 |
未入力 (xxx)
梅のはなそれとみえねと折るそてのぬるるや雪のしるしなるらむ
うめのはな−それとみえねと−をるそての−ぬるるやゆきの−しるしなるらむ |
00153 |
未入力 (xxx)
なみたにはさらてもぬるるわか袖をしらてや秋の露はおくらん
なみたには−さらてもぬるる−わかそてを−しらてやあきの−つゆはおくらむ |
00154 |
未入力 (xxx)
もしほやくけふりは空に消えぬれとはるとや月の猶かすむらむ
もしほやく−けふりはそらに−きえぬれと−はるとやつきの−なほかすむらむ |
00155 |
未入力 (xxx)
忘らるるうきなをよそにしられしと人待かほにくらすころかな
わすらるる−うきなをよそに−しられしと−ひとまちかほに−くらすころかな |
00156 |
未入力 (xxx)
村雨はやかてはれぬる小山田のまさらぬ水に早苗とるなり
むらさめは−やかてはれぬる−をやまたの−まさらぬみつに−さなへとるなり |
00157 |
未入力 (xxx)
つらからはいかにせむとてゆくすゑの心もしらす思ひそむらん
つらからは−いかにせむとて−ゆくすゑの−こころもしらす−おもひそむらむ |
00158 |
未入力 (xxx)
木葉こそかせのさそへはもろからめなとか涙のあきはおつらん
このはこそ−かせのさそへは−もろからめ−なとかなみたの−あきはおつらむ |
00159 |
未入力 (xxx)
うかりける人のことのはなけけとてなと偽の有る世なるらん
うかりける−ひとのことのは−なけけとて−なといつはりの−あるよなるらむ |
00160 |
未入力 (xxx)
何とかは人にもいまはかたるへきみのうきほとはよそにみゆらむ
なにとかは−ひとにもいまは−かたるへき−みのうきほとは−よそにみゆらむ |
00161 |
未入力 (xxx)
みる人のなきかかすそふはることに花もあたなる世をやしるらん
みるひとの−なきかかすそふ−はることに−はなもあたなる−よをやしるらむ |
00162 |
未入力 (xxx)
沖つかせうきねの袖をふきかへしうらつたひ行く秋の夜の月
おきつかせ−うきねのそてを−ふきかへし−うらつたひゆく−あきのよのつき |
00163 |
未入力 (xxx)
蛍とふきしの木かけのあまのかは星の林の名にやたつちん
ほたるとふ−きしのこかけの−あまのかは−ほしのはやしの−なにやたつちむ |
00164 |
未入力 (xxx)
木の葉ちるかたののはちにあきくれて舟なかしたるあまのかはなみ
このはちる−かたののはちに−あきくれて−ふねなかしたる−あまのかはなみ |
00165 |
未入力 (xxx)
冬河の淵ともあらてよとめるやいかにせをせく氷なるらむ
ふゆかはの−ふちともあらて−よとめるや−いかにせをせく−こほりなるらむ |
00166 |
未入力 (xxx)
三吉野のたきつ早瀬にすむ月や冬もこほらぬ氷なるらん
みよしのの−たきつはやせに−すむつきや−ふゆもこほらぬ−こほりなるらむ |
00167 |
未入力 (xxx)
なからへてあるもつらきかためなれはうきやわかみの命なるらむ
なからへて−あるもつらきか−ためなれは−うきやわかみの−いのちなるらむ |
00168 |
未入力 (xxx)
こぬ人をいく夜か月にうらむらんわか影にのみまくらならへて
こぬひとを−いくよかつきに−うらむらむ−わかかけにのみ−まくらならへて |
00169 |
未入力 (xxx)
そむくへきうき世中のことわりをしりてまよふは心なりけり
そむくへき−うきよのなかの−ことわりを−しりてまよふは−こころなりけり |
00170 |
未入力 (xxx)
紅葉葉の色なる袖のみなとこそこころのあきのとまりなりけれ
もみちはの−いろなるそての−みなとこそ−こころのあきの−とまりなりけれ |
00171 |
未入力 (xxx)
雲よりもよそになりゆくかつらきのたかまのさくらあらしふくらし
くもよりも−よそになりゆく−かつらきの−たかまのさくら−あらしふくらし |
00172 |
未入力 (xxx)
なへて世のおもふかなかのならひにはわかれありとや春もゆくらん
なへてよの−おもふかなかの−ならひには−わかれありとや−はるもゆくらむ |
00173 |
未入力 (xxx)
秋のののをはなにましるしかの音は色にやつまをこひわたるらん
あきののの−をはなにましる−しかのねは−いろにやつまを−こひわたるらむ |
00174 |
未入力 (xxx)
いつくよりあはれをかせのさそひきて荻の上葉の音となすらん
いつくより−あはれをかせの−さそひきて−をきのうははの−おととなすらむ |
00175 |
未入力 (xxx)
手にならすかひこそなけれあつさゆみひけはなかのみ遠さかりゆく
てにならす−かひこそなけれ−あつさゆみ−ひけはなかのみ−とほさかりゆく |
00176 |
未入力 (xxx)
あはてこそ恋をいのりとたのみしかいまはたなにかいのちなるへき
あはてこそ−こひをいのりと−たのみしか−いまはたなにか−いのちなるへき |
00177 |
未入力 (xxx)
きぬきぬのたもとにわけし月かけはたかなみたにかやとりはつらん
きぬきぬの−たもとにわけし−つきかけは−たかなみたにか−やとりはつらむ |
00178 |
未入力 (xxx)
捨てやらぬこころからにやいてさらむうきよの関はもる人もなし
すてやらぬ−こころからにや−いてさらむ−うきよのせきは−もるひともなし |
00179 |
未入力 (xxx)
里とほみしほやくうらはみえわかて煙にかかるおきつしらなみ
さととほみ−しほやくうらは−みえわかて−けふりにかかる−おきつしらなみ |
00180 |
未入力 (xxx)
うきも猶さこそはあれとことわりを世になくさめて身そふりにける
うきもなほ−さこそはあれと−ことわりを−よになくさめて−みそふりにける |
00181 |
未入力 (xxx)
人にのみつらさはみえてふくかせの心にかなふやまさくらかな
ひとにのみ−つらさはみえて−ふくかせの−こころにかなふ−やまさくらかな |
00182 |
未入力 (xxx)
たえたえにたなひく雲もあらはれてまかひもはてぬ山桜かな
たえたえに−たなひくくもも−あらはれて−まかひもはてぬ−やまさくらかな |
00183 |
未入力 (xxx)
冬さむみしのふのやまのたにみつは音にもたてすさそこほるらん
ふゆさむみ−しのふのやまの−たにみつは−おとにもたてす−さそこほるらむ |
00184 |
未入力 (xxx)
かへりみるほとそ雲ゐの大江やまいくのの道や末になりぬる
かへりみる−ほとそくもゐの−おほえやま−いくののみちや−すゑになりぬる |
00185 |
未入力 (xxx)
みる夢のさめてもさすかかなしきはいかにねしよの名残なるらむ
みるゆめの−さめてもさすか−かなしきは−いかにねしよの−なこりなるらむ |
00186 |
未入力 (xxx)
逢ふ事のたえまかちなるつらさかと思ひしほとの契たになし
あふことの−たえまかちなる−つらさかと−おもひしほとの−ちきりたになし |
00187 |
未入力 (xxx)
いとせめて待つにたへたる我か身そとしらてや人はつれなかるらん
いとせめて−まつにたへたる−わかみそと−しらてやひとは−つれなかるらむ |
00188 |
未入力 (xxx)
いかにせむ恋路のすゑにせきすゑてゆけともとほき逢さかのやま
いかにせむ−こひちのすゑに−せきすゑて−ゆけともとほき−あふさかのやま |
00189 |
未入力 (xxx)
ちかひてしいのちにかへてわするるはうきわれからに身をやすつらん
ちかひてし−いのちにかへて−わするるは−うきわれからに−みをやすつらむ |
00190 |
未入力 (xxx)
おのか音につらきわかれはありとたにおもひもしらて鳥やなくらん
おのかねに−つらきわかれは−ありとたに−おもひもしらて−とりやなくらむ |
00191 |
未入力 (xxx)
なかき日のもりのしめなはくりかへしあかすかたらふ郭公かな
なかきひの−もりのしめなは−くりかへし−あかすかたらふ−ほとときすかな |
00192 |
未入力 (xxx)
あはれをはいつくにそふるかけならむつらさかすめる春の夜の月
あはれをは−いつくにそふる−かけならむ−つらさかすめる−はるのよのつき |
00193 |
未入力 (xxx)
しほれつる夜のまの露のひるまたに草はやすめぬ秋のむらさめ
しをれつる−よのまのつゆの−ひるまたに−くさはやすめぬ−あきのむらさめ |
00194 |
未入力 (xxx)
さほ姫のわか袖ひとつおほ空にありとやはるの霞たつらん
さほひめの−わかそてひとつ−おほそらに−ありとやはるの−かすみたつらむ |
00195 |
未入力 (xxx)
月ならて夜川にさせるかかりひもおなしかつらの光なりけり
つきならて−よかはにさせる−かかりひも−おなしかつらの−ひかりなりけり |
00196 |
未入力 (xxx)
月たにも霞みかへたる春の夜に山のはてらす花の色かな
つきたにも−かすみかへたる−はるのよに−やまのはてらす−はなのいろかな |
00197 |
未入力 (xxx)
かた岡のもりのこのはも色つきぬわさ田のおしね今や刈らまし
かたをかの−もりのこのはも−いろつきぬ−わさたのおしね−いまやからまし |
00198 |
未入力 (xxx)
谷の戸は夕しほさしてあまころもすそまの山にあきかせそふく
たにのとは−ゆふしほさして−あまころも−すそまのやまに−あきかせそふく |
00199 |
未入力 (xxx)
あらしこそ外山のみねのときは木に雪けしくれてかかる村雲
あらしこそ−とやまのみねの−ときはきに−ゆきけしくれて−かかるむらくも |
00200 |
未入力 (xxx)
思ふ事けになくさむる月ならはこけのたもとは秋やほさまし
おもふこと−けになくさむる−つきならは−こけのたもとは−あきやほさまし |
00201 |
未入力 (xxx)
ささなみや遠さかりゆくにほのうみは氷そうらのしほひなりける
ささなみや−とほさかりゆく−にほのうみは−こほりそうらの−しほひなりける |
00202 |
未入力 (xxx)
さりとてもありはてぬよのはかなきになとしぬはかりこひしかるらん
さりとても−ありはてぬよの−はかなきに−なとしぬはかり−こひしかるらむ |
00203 |
未入力 (xxx)
わかれねよ夢路といひしかねことをなとそのままにたのまさるらむ
わかれねよ−ゆめちといひし−かねことを−なとそのままに−たのまさるらむ |
00204 |
未入力 (xxx)
きぬきぬにならはいかにと思ふよりよふかくおつるわかなみたかな
きぬきぬに−ならはいかにと−おもふより−よふかくおつる−わかなみたかな |
00205 |
未入力 (xxx)
たらちねの親のみる世と祈りこしわかかねことを神やうけけむ
たらちねの−おやのみるよと−いのりこし−わかかねことを−かみやうけけむ |
00206 |
未入力 (xxx)
いかにせむしなはともにとおもふ身はおなしかきりのいのちならすは
いかにせむ−しなはともにと−おもふみは−おなしかきりの−いのちならすは |
00207 |
未入力 (xxx)
荒磯にこけむすはかりとしへたるいはほはいつの真砂なるらむ
あらいそに−こけむすはかり−としへたる−いはほはいつの−まさこなるらむ |
00208 |
未入力 (xxx)
今まてもあるは思ひのほかなれはみを歎くへきことわりもなし
いままても−あるはおもひの−ほかなれは−みをなけくへき−ことわりもなし |
00209 |
未入力 (xxx)
みしめひく三輪のひはらもふりにけりこれや神代のしるしなるらん
みしめひく−みわのひはらも−ふりにけり−これやかみよの−しるしなるらむ |
00210 |
未入力 (xxx)
おこたらぬ身にこそおもへすみよしの神はまことに道まほりけり
おこたらぬ−みにこそおもへ−すみよしの−かみはまことに−みちまもりけり |