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作品集名 | 詩歌合 |
作品集名読み | しいかあわせ |
作成年月日 | 正和三年(1314年) |
場所 |
00002 |
未入力 (xxx)
猶さゆるまのの入江の春風にうち出つる波の音そすくなき
なほさゆる−まののいりえの−はるかせに−うちいつるなみの−おとそすくなき |
00004 |
未入力 (xxx)
難波江や有明の空の春霞かすむ波まに月そかたふく
なにはえや−ありあけのそらの−はるかすみ−かすむなみまに−つきそかたふく |
00006 |
未入力 (xxx)
見わたせは霞そふかき堀江こくたななし小船音はかりして
みわたせは−かすみそふかき−ほりえこく−たななしをふね−おとはかりして |
00008 |
未入力 (xxx)
難波えや霞みもやらぬ曙にほのみえわたる蘆のむら立
なにはえや−かすみもやらぬ−あけほのに−ほのみえわたる−あしのむらたち |
00010 |
未入力 (xxx)
冬枯のまのの入江の朝かすみまた春あさくみゆるころかな
ふゆかれの−まののいりえの−あさかすみ−またはるあさく−みゆるころかな |
00012 |
未入力 (xxx)
名のみしてみかかぬ玉の身にしあれや光もかすむ春のよの月
なのみして−みかかぬたまの−みにしあれや−ひかりもかすむ−はるのよのつき |
00014 |
未入力 (xxx)
難波えやかすめる比の夕塩に梅かかみちて春風そ吹く
なにはえや−かすめるころの−ゆふしほに−うめかかみちて−はるかせそふく |
00016 |
未入力 (xxx)
朧なる月は残りて住吉のなこの入江の春の明ほの
おほろなる−つきはのこりて−すみよしの−なこのいりえの−はるのあけほの |
00018 |
未入力 (xxx)
難波江やあし火の煙たえぬまも春はおのれと霞む空かな
なにはえや−あしひのけふり−たえぬまも−はるはおのれと−かすむそらかな |
00020 |
未入力 (xxx)
心あてにそことはかりにしられける霞にこもる住の江の松
こころあてに−そことはかりに−しられける−かすみにこもる−すみのえのまつ |
00022 |
未入力 (xxx)
明けやすきいなさほそ江のよはの月かすめる影もみる程そなき
あけやすき−いなさほそえの−よはのつき−かすめるかけも−みるほとそなき |
00024 |
未入力 (xxx)
湊江やあしまの小舟こきこきてかすめる方にまたさかりつつ
みなとえや−あしまのをふね−こきこきて−かすめるかたに−またさかりつつ |
00026 |
未入力 (xxx)
こほらても遠さかりけり霞たつまのの入江の春のうら波
こほらても−とほさかりけり−かすみたつ−まののいりえの−はるのうらなみ |
00028 |
未入力 (xxx)
下もえの難波入江の蘆の葉ももにあらはれて春めきにけり
したもえの−なにはいりえの−あしのはも−もにあらはれて−はるめきにけり |
00030 |
未入力 (xxx)
難波えやかすむ波まのみをつくし春のしるしはさてもみえけり
なにはえや−かすむなみまの−みをつくし−はるのしるしは−さてもみえけり |
00032 |
未入力 (xxx)
よる波もたち帰り行くなこの江にたくひをみする春の雁かね
よるなみも−たちかへりゆく−なこのえに−たくひをみする−はるのかりかね |
00034 |
未入力 (xxx)
短夜の名とりの川のはやきせになかれてやすく明くる月影
みしかよの−なとりのかはの−はやきせに−なかれてやすく−あくるつきかけ |
00036 |
未入力 (xxx)
秋ちかくむすふ岩井の水の音も涼しさまさる夏の夕暮
あきちかく−むすふいはゐの−みつのおとも−すすしさまさる−なつのゆふくれ |
00038 |
未入力 (xxx)
水□面に涼しくやとる月みれは夏をわすれて秋かとそおもふ
みつ□おもに−すすしくやとる−つきみれは−なつをわすれて−あきかとそおもふ |
00040 |
未入力 (xxx)
深山より音つれてくる松の風滝のひひきもすすしかりけり
みやまより−おとつれてくる−まつのかせ−たきのひひきも−すすしかりけり |
00042 |
未入力 (xxx)
谷川のひひきをそへてなく蝉の梢の空に山風そふく
たにかはの−ひひきをそへて−なくせみの−こすゑのそらに−やまかせそふく |
00044 |
未入力 (xxx)
草あをき谷の木かけの岩つたひ落ちくる水の色の涼しさ
くさあをき−たにのこかけの−いはつたひ−おちくるみつの−いろのすすしさ |
00046 |
未入力 (xxx)
鵜かひ舟さすやいつくの枝川に光を分けてみゆる篝火
うかひふね−さすやいつくの−えたかはに−ひかりをわけて−みゆるかかりひ |
00048 |
未入力 (xxx)
見る程もなつみの川の短夜の月そいりぬる山陰にして
みるほとも−なつみのかはの−みしかよの−つきそいりぬる−やまかけにして |
00050 |
未入力 (xxx)
我とまたむすはぬ袖も涼しきは谷の小川の岩そそくおと
われとまた−むすはぬそても−すすしきは−たにのをかはの−いはそそくおと |
00052 |
未入力 (xxx)
足引の山下水の草かくれかくれもはてすとふほたるかな
あしひきの−やましたみつの−くさかくれ−かくれもはてす−とふほたるかな |
00054 |
未入力 (xxx)
滝川の岩にくたけてちる玉の数より外にとふ蛍かな
たきかはの−いはにくたけて−ちるたまの−かすよりほかに−とふほたるかな |
00056 |
未入力 (xxx)
涼しさを行せの波にさきたてて水のこころも秋や待つらん
すすしさを−ゆくせのなみに−さきたてて−みつのこころも−あきやまつらむ |
00058 |
未入力 (xxx)
五月雨になかれもいとと早瀬川いつのよとみに淵と成るらん
さみたれに−なかれもいとと−はやせかは−いつのよとみに−ふちとなるらむ |
00060 |
未入力 (xxx)
明けぬとてはや漕帰るほとなれやう船のかかり数そすくなき
あけぬとて−はやこきかへる−ほとなれや−うふねのかかり−かすそすくなき |
00062 |
未入力 (xxx)
此ままにまたもきかてや山の井のあかす過きつる郭公かな
このままに−またもきかてや−やまのゐの−あかすすきつる−ほとときすかな |
00064 |
未入力 (xxx)
川上や夕立ちつらん落滝つくもらぬかたも水まさるなり
かはかみや−ゆふたちつらむ−おちたきつ−くもらぬかたも−みつまさるなり |
00066 |
未入力 (xxx)
秋ふかきみ山の奥の木枯に光もさむき有明の月
あきふかき−みやまのおくの−こからしに−ひかりもさむき−ありあけのつき |
00068 |
未入力 (xxx)
紅葉する外山の嶺の木木の色今いくしほと猶しくるらん
もみちする−とやまのみねの−ききのいろ−いまいくしほと−なほしくるらむ |
00070 |
未入力 (xxx)
秋山や木木の梢は色つけと松のみなとかつれなかるらん
あきやまや−ききのこすゑは−いろつけと−まつのみなとか−つれなかるらむ |
00072 |
未入力 (xxx)
いととまたあはれをそへてかなしきは山路の秋のさをしかの声
いととまた−あはれをそへて−かなしきは−やまちのあきの−さをしかのこゑ |
00074 |
未入力 (xxx)
吹きわくる夜半の嵐の程はかり月の影ふむまきの下道
ふきわくる−よはのあらしの−ほとはかり−つきのかけふむ−まきのしたみち |
00076 |
未入力 (xxx)
衣うつ音はかりこそあはれなれ霧にこもれる秋の山里
ころもうつ−おとはかりこそ−あはれなれ−きりにこもれる−あきのやまさと |
00078 |
未入力 (xxx)
霧のうちは先暮れそめて夕より鹿なきたちぬ秋の山里
きりのうちは−まつくれそめて−ゆふへより−しかなきたちぬ−あきのやまさと |
00080 |
未入力 (xxx)
あすは見し紅葉しくるる秋風に有明さむき長月の山
あすはみし−もみちしくるる−あきかせに−ありあけさむき−なかつきのやま |
00082 |
未入力 (xxx)
霧ふかきをくらの山に鳴く鹿はおほつかなくて妻や恋ふらん
きりふかき−をくらのやまに−なくしかは−おほつかなくて−つまやこふらむ |
00084 |
未入力 (xxx)
まつ風に山田のひたの音つれてさひしさそふる秋のかり庵
まつかせに−やまたのひたの−おとつれて−さひしさそふる−あきのかりいほ |
00086 |
未入力 (xxx)
しけりあふみ山かくれにたつ鹿はすそ野に月の影や待つらん
しけりあふ−みやまかくれに−たつしかは−すそのにつきの−かけやまつらむ |
00088 |
未入力 (xxx)
秋ふかき色よりみゆれ露霜のかさなる山のおくの紅葉は
あきふかき−いろよりみゆれ−つゆしもの−かさなるやまの−おくのもみちは |
00090 |
未入力 (xxx)
嵐吹くみやまの秋にこととへは月より外はすむ人もなし
あらしふく−みやまのあきに−こととへは−つきよりほかは−すむひともなし |
00092 |
未入力 (xxx)
遠近の山路もふかき夕霧にたつきもしらす鹿やなくらん
をちこちの−やまちもふかき−ゆふきりに−たつきもしらす−しかやなくらむ |
00094 |
未入力 (xxx)
あれまさるみ山のいほの秋風に夜さむしられて月はすむらん
あれまさる−みやまのいほの−あきかせに−よさむしられて−つきはすむらむ |
00096 |
未入力 (xxx)
紅葉葉の色はわかれす暮れはててさそふ音のみ残る山風
もみちはの−いろはわかれす−くれはてて−さそふおとのみ−のこるやまかせ |
00098 |
未入力 (xxx)
見しままの月□そいまも残りけるかれのの霜の秋のおもかけ
みしままの−つき□そいまも−のこりける−かれののしもの−あきのおもかけ |
00100 |
未入力 (xxx)
色色のもとの千草は霜かれて雪に花咲く野への曙
いろいろの−もとのちくさは−しもかれて−ゆきにはなさく−のへのあけほの |
00102 |
未入力 (xxx)
冬されは野守のかかみ氷りゐて空にのみすむ月を見るかな
ふゆされは−のもりのかかみ−こほりゐて−そらにのみすむ−つきをみるかな |
00104 |
未入力 (xxx)
うらかるるのへの尾花に風さえて霜の下葉の色にさひしき
うらかるる−のへのをはなに−かせさえて−しものしたはの−いろにさひしき |
00106 |
未入力 (xxx)
跡もなき雪にそまよふいなみ野や末はなみちにやとる月影
あともなき−ゆきにそまよふ−いなみのや−すゑはなみちに−やとるつきかけ |
00108 |
未入力 (xxx)
狩りくらしうたのまはにの浅茅生に草とる鷹のつかれやるかな
かりくらし−うたのまはにの−あさちふに−くさとるたかの−つかれやるかな |
00110 |
未入力 (xxx)
さひしさは秋みしよりも真葛はふをののあさちの冬かれの色
さひしさは−あきみしよりも−まくすはふ−をののあさちの−ふゆかれのいろ |
00112 |
未入力 (xxx)
雪のうちを誰かはとはん草をたにふみ分けさりし野への曙
ゆきのうちを−たれかはとはむ−くさをたに−ふみわけさりし−のへのあけほの |
00114 |
未入力 (xxx)
面影もかはりはてぬる冬の野に秋みしままの月そ残れる
おもかけも−かはりはてぬる−ふゆののに−あきみしままの−つきそのこれる |
00116 |
未入力 (xxx)
むらむらに積るとみゆる白雪はかれ野に残るを花なりけり
むらむらに−つもるとみゆる−しらゆきは−かれのにのこる−をはななりけり |
00118 |
未入力 (xxx)
なく虫の声こそあらめ秋の色の霜に残らぬ野への冬かれ
なくむしの−こゑこそあらめ−あきのいろの−しもにのこらぬ−のへのふゆかれ |
00120 |
未入力 (xxx)
穂に出てし秋をそみする冬かれのまのの尾花に積る白雪
ほにいてし−あきをそみする−ふゆかれの−まののをはなに−つもるしらゆき |
00122 |
未入力 (xxx)
霜かれの冬野の草はくちぬともまたさかふへき春を待つらし
しもかれの−ふゆののくさは−くちぬとも−またさかふへき−はるをまつらし |
00124 |
未入力 (xxx)
時しらぬ富士の高根の冬の色をすそ野に見せて積る雪かな
ときしらぬ−ふしのたかねの−ふゆのいろを−すそのにみせて−つもるゆきかな |
00126 |
未入力 (xxx)
音さゆるをのの篠原すゑさわき風もみたれてふる霰かな
おとさゆる−をののしのはら−すゑさわき−かせもみたれて−ふるあられかな |
00128 |
未入力 (xxx)
あまの川宿かるさとのちりけれはかたのの御狩日はくれぬとも
あまのかは−やとかるさとの−ちりけれは−かたののみかり−ひはくれぬとも |
00130 |
未入力 (xxx)
たひ衣分行く袖もしをるらし暁おきの道芝のつゆ
たひころも−わけゆくそても−しをるらし−あかつきおきの−みちしはのつゆ |
00132 |
未入力 (xxx)
明けそむる嶺のよこ雲たえたえにたち分れ行くのへの旅人
あけそむる−みねのよこくも−たえたえに−たちわかれゆく−のへのたひひと |
00134 |
未入力 (xxx)
たひ衣暁露に立ちぬれていく山路をか分けてきつらん
たひころも−あかつきつゆに−たちぬれて−いくやまちをか−わけてきつらむ |
00136 |
未入力 (xxx)
ふみなれぬ野行き山行きゆきなやみ□□かるいほに有明の月
ふみなれぬ−のゆきやまゆき−ゆきなやみ−□□かるいほに−ありあけのつき |
00138 |
未入力 (xxx)
かへりみる宿を夜ふかく立ちにけり跡にそ鳥の声もきこゆる
かへりみる−やとをよふかく−たちにけり−あとにそとりの−こゑもきこゆる |
00140 |
未入力 (xxx)
月残るゐなの湊の波まくら暁かけてみるゆめもなし
つきのこる−ゐなのみなとの−なみまくら−あかつきかけて−みるゆめもなし |
00142 |
未入力 (xxx)
とまるへき宿をさためて行くたひのとほきにいそく暁の空
とまるへき−やとをさためて−ゆくたひの−とほきにいそく−あかつきのそら |
00144 |
未入力 (xxx)
つか□□て出てし心も鳥かなくあつまのたひに有明の月
つか□□て−いてしこころも−とりかなく−あつまのたひに−ありあけのつき |
00146 |
未入力 (xxx)
一夜たにとまる名残のおほけれは行末いかに有明の月
ひとよたに−とまるなこりの−おほけれは−ゆくすゑいかに−ありあけのつき |
00148 |
未入力 (xxx)
鳥のねは枕にちかく聞きなれて都そとほく日数かさなる
とりのねは−まくらにちかく−ききなれて−みやこそとほく−ひかすかさなる |
00150 |
未入力 (xxx)
いそきたついく暁かなれぬらん宿かへてきく鳥の声声
いそきたつ−いくあかつきか−なれぬらむ−やとかへてきく−とりのこゑこゑ |
00152 |
未入力 (xxx)
東路や都にいそくしるへせよ関よりにしの有明の月
あつまちや−みやこにいそく−しるへせよ−せきよりにしの−ありあけのつき |
00154 |
未入力 (xxx)
しるしらすおなし宿かるたひ人のわかれもをしき鳥の声かな
しるしらす−おなしやとかる−たひひとの−わかれもをしき−とりのこゑかな |
00156 |
未入力 (xxx)
明けぬ□□たか名残とはなけれとも又この里に立別れつつ
あけぬ□□−たかなこりとは−なけれとも−またこのさとに−たちわかれつつ |
00158 |
未入力 (xxx)
明けぬとてわかねさめにやいそくらん鳥のねきかぬ野への旅人
あけぬとて−わかねさめにや−いそくらむ−とりのねきかぬ−のへのたひひと |
00160 |
未入力 (xxx)
いく夜かはかはる旅ねになかむらんおなし空なる有明の月
いくよかは−かはるたひねに−なかむらむ−おなしそらなる−ありあけのつき |