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作品集名 | 持明院殿御歌合 |
作品集名読み | じみょういんどのおんうたあわせ |
作成年月日 | 康永元年十一月四日(1342年12月2日) |
場所 |
00001 |
未入力 (xxx)
花かをる空もひとつの朝ほらけ日影をこめてかすむ山のは
はなかをる−そらもひとつの−あさほらけ−ひかけをこめて−かすむやまのは |
00002 |
未入力 (xxx)
さしそむる梢の日影うつりにほひあさけそ花の時には有りける
さしそむる−こすゑのひかけ−うつりにほひ−あさけそはなの−ときにはありける |
00003 |
未入力 (xxx)
さきみちて木すゑもおもる花のうへにかかやきそむる朝日影かな
さきみちて−こすゑもおもる−はなのうへに−かかやきそむる−あさひかけかな |
00004 |
未入力 (xxx)
しののめのなかめのままに明けはてて花に日かけそややにほひぬる
しののめの−なかめのままに−あけはてて−はなにひかけそ−ややにほひぬる |
00005 |
未入力 (xxx)
あけまさる山はかすみのややはれてふもとにかをる花のむらむら
あけまさる−やまはかすみの−ややはれて−ふもとにかをる−はなのむらむら |
00006 |
未入力 (xxx)
よるの雨の露をのこせる花のうへににほひをそふる朝日かけかな
よるのあめの−つゆをのこせる−はなのうへに−にほひをそふる−あさひかけかな |
00007 |
未入力 (xxx)
よをこむるみねのかすみはくらけれと軒はのはなそ明けしらみゆく
よをこむる−みねのかすみは−くらけれと−のきはのはなそ−あけしらみゆく |
00008 |
未入力 (xxx)
あかなくにけふも暮れめや朝またき花になかめはうつしそめぬる
あかなくに−けふもくれめや−あさまたき−はなになかめは−うつしそめぬる |
00009 |
未入力 (xxx)
夜のほとは雲かと見えしをちかたの木すゑそ花の色になり行く
よのほとは−くもかとみえし−をちかたの−こすゑそはなの−いろになりゆく |
00010 |
未入力 (xxx)
なかめむかふ心も色にうつろひぬ軒はのはなの春のあさ明
なかめむかふ−こころもいろに−うつろひぬ−のきはのはなの−はるのあさあけ |
00011 |
未入力 (xxx)
さきおもる軒はの花の朝開きあたにちるへき物としもなし
さきおもる−のきはのはなの−あさひらき−あたにちるへき−ものとしもなし |
00012 |
未入力 (xxx)
昨日より花の気色はやや見えてけさはむらむらひらけそめぬる
きのふより−はなのけしきは−ややみえて−けさはむらむら−ひらけそめぬる |
00013 |
未入力 (xxx)
ひとしきり村雨すくる夕暮に折しもきなく時鳥かな
ひとしきり−むらさめすくる−ゆふくれに−をりしもきなく−ほとときすかな |
00014 |
未入力 (xxx)
郭公いまひとこゑとしたふまに名残の空も暮れはてにけり
ほとときす−いまひとこゑと−したふまに−なこりのそらも−くれはてにけり |
00015 |
未入力 (xxx)
なきてゆく夕への空の時鳥やよしはしともいふほとそなき
なきてゆく−ゆふへのそらの−ほとときす−やよしはしとも−いふほとそなき |
00016 |
未入力 (xxx)
時鳥なほさりに待つ暮ならはこの一こゑはきかすそあらまし
ほとときす−なほさりにまつ−くれならは−このひとこゑは−きかすそあらまし |
00017 |
未入力 (xxx)
五月雨の名残はれやらぬ夕暮にすかたは見えて鳴く郭公
さみたれの−なこりはれやらぬ−ゆふくれに−すかたはみえて−なくほとときす |
00018 |
未入力 (xxx)
一こゑを夕への雲になきすてて行かた見えぬ山ほとときす
ひとこゑを−ゆふへのくもに−なきすてて−ゆくかたみえぬ−やまほとときす |
00019 |
未入力 (xxx)
夕つくよにほふたかねのほのほのとなのりてすくるやま郭公
ゆふつくよ−にほふたかねの−ほのほのと−なのりてすくる−やまほとときす |
00020 |
未入力 (xxx)
あはれをはおのかものとそなのるなるたそかれ時の山郭公
あはれをは−おのかものとそ−なのるなる−たそかれときの−やまほとときす |
00021 |
未入力 (xxx)
暮れてしもここにかたらふ郭公こよひはかりのやとりとらなん
くれてしも−ここにかたらふ−ほとときす−こよひはかりの−やとりとらなむ |
00022 |
未入力 (xxx)
夕つくよ木の間ほのかに影もりて涼しきのきになく郭公
ゆふつくよ−このまほのかに−かけもりて−すすしきのきに−なくほとときす |
00023 |
未入力 (xxx)
なかめつる軒はの空にくれはててこゑのみすくるやま郭公
なかめつる−のきはのそらに−くれはてて−こゑのみすくる−やまほとときす |
00024 |
未入力 (xxx)
郭公待ちくれにしもなくならは今一こゑををしますもかな
ほとときす−まちくれにしも−なくならは−いまひとこゑを−をしますもかな |
00025 |
未入力 (xxx)
山ふかみうき世のほかにすむ月は秋のあはれのきはもおよはす
やまふかみ−うきよのほかに−すむつきは−あきのあはれの−きはもおよはす |
00026 |
未入力 (xxx)
月はいまみねの松よりいてそめて山したみちはかけももり来す
つきはいま−みねのまつより−いてそめて−やましたみちは−かけももりこす |
00027 |
未入力 (xxx)
山ふかみ真木の葉分に月もりてあはれをしをる秋風の音
やまふかみ−まきのはわけに−つきもりて−あはれをしをる−あきかせのおと |
00028 |
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あらしたにおとつれぬかなふくる夜の秋なか月をみ山辺のいほ
あらしたに−おとつれぬかな−ふくるよの−あきなかつきを−みやまへのいほ |
00029 |
未入力 (xxx)
夜もすからひとりみ山のおくの月あはれのそこをたれかしるらん
よもすから−ひとりみやまの−おくのつき−あはれのそこを−たれかしるらむ |
00030 |
未入力 (xxx)
山ふかみしけき木の間をもる霜に月にそあかぬなさけこそそへ
やまふかみ−しけきこのまを−もるしもに−つきにそあかぬ−なさけこそそへ |
00031 |
未入力 (xxx)
山ふかき松やひはらの枝しけみもりくる月のかけそすくなき
やまふかき−まつやひはらの−えたしけみ−もりくるつきの−かけそすくなき |
00032 |
未入力 (xxx)
秋さむみちるや木の葉に枝すきてみ山かくれの月そはれ行く
あきさむみ−ちるやこのはに−えたすきて−みやまかくれの−つきそはれゆく |
00033 |
未入力 (xxx)
深けぬるかむかひのをかに見る月のこの山もとにかけのちかつく
ふけぬるか−むかひのをかに−みるつきの−このやまもとに−かけのちかつく |
00034 |
未入力 (xxx)
松のこのま真木の葉分に猶もりて月はみ山のおくもすみけり
まつのこのま−まきのはわけに−なほもりて−つきはみやまの−おくもすみけり |
00035 |
未入力 (xxx)
おのつから木のまを月やもりぬらんむらむらしろき山の下道
おのつから−このまをつきや−もりぬらむ−むらむらしろき−やまのしたみち |
00036 |
未入力 (xxx)
いつくとてわきてはすまぬ光しもあはれのそふや山かけの月
いつくとて−わきてはすまぬ−ひかりしも−あはれのそふや−やまかけのつき |
00037 |
未入力 (xxx)
ふみ分けて行くへきかたも見えわかす雪かきくらす野辺の夕暮
ふみ分けて−ゆくへきかたも−みえわかす−ゆきかきくらす−のへのゆふくれ |
00038 |
未入力 (xxx)
をちかたは空もひとつにしらみあひぬ遠き野原の雪の明ほの
をちかたは−そらもひとつに−しらみあひぬ−とほきのはらの−ゆきのあけほの |
00039 |
未入力 (xxx)
世世ふりし跡をはのこせ春日野のおとろか道をうつむ白雪
よよふりし−あとをはのこせ−かすかのの−おとろかみちを−うつむしらゆき |
00040 |
未入力 (xxx)
けさはまた分けける人の跡もなしつもるままなる野辺の白雪
けさはまた−わけけるひとの−あともなし−つもるままなる−のへのしらゆき |
00041 |
未入力 (xxx)
をやみなく猶かきたれてふる雪にかすみて見ゆる野への遠方
をやみなく−なほかきたれて−ふるゆきに−かすみてみゆる−のへのをちかた |
00042 |
未入力 (xxx)
ふりしきてはれぬる雪の朝あけに猶うすきれる野辺の遠方
ふりしきて−はれぬるゆきの−あさあけに−なほうすきれる−のへのをちかた |
00043 |
未入力 (xxx)
行さきも過きつるかたも見えす成りぬかきたれてふるの辺の白雪
ゆくさきも−すきつるかたも−みえすなりぬ−かきたれてふる−のへのしらゆき |
00044 |
未入力 (xxx)
おのつからのこるしはふもうつもれて見る見るつもる野へのしら雪
おのつから−のこるしはふも−うつもれて−みるみるつもる−のへのしらゆき |
00045 |
未入力 (xxx)
ふりうつむ雪にしらめる野辺のすゑにたかすむなれや煙たつなり
ふりうつむ−ゆきにしらめる−のへのすゑに−たかすむなれや−けふりたつなり |
00046 |
未入力 (xxx)
むらむらにうつみもはてすふりはれて雪間さひしき野への色かな
むらむらに−うつみもはてす−ふりはれて−ゆきまさひしき−のへのいろかな |
00047 |
未入力 (xxx)
先たちて過行くともも見えぬまて雪吹きみたす野への夕風
さきたちて−すきゆくともも−みえぬまて−ゆきふきみたす−のへのゆふかせ |
00048 |
未入力 (xxx)
竹のおくにたつる煙も見えわかす雪にくれゆく野への遠方
たけのおくに−たつるけふりも−みえわかす−ゆきにくれゆく−のへのをちかた |
00049 |
未入力 (xxx)
たえなむのかこともとむるをりしもあれあやなく人をうらみけるかな
たえなむの−かこともとむる−をりしもあれ−あやなくひとを−うらみけるかな |
00050 |
未入力 (xxx)
さてされはかくてやはてむ恨みしもけにたえねとはおもひやはせし
さてされは−かくてやはてむ−うらみしも−けにたえねとは−おもひやはせし |
00051 |
未入力 (xxx)
それゆゑのかきりとしらはいかはかりそことも人をうらみさらまし
それゆゑの−かきりとしらは−いかはかり−そこともひとを−うらみさらまし |
00052 |
未入力 (xxx)
あはれとももしかくやとていひ出てしうらみそなかきかきりなりける
あはれとも−もしかくやとて−いひいてし−うらみそなかき−かきりなりける |
00053 |
未入力 (xxx)
しらすとよあはれやされはいひ出てしその一ことをかきりなれとは
しらすとよ−あはれやされは−いひいてし−そのひとことを−かきりなれとは |
00054 |
未入力 (xxx)
うきにたへすそむきたりにし我を今はくやしつらしといふかひもなし
うきにたへす−そむきたりにし−われをいまは−くやしつらしと−いふかひもなし |
00055 |
未入力 (xxx)
おもひかねしその一ふしのうらみゆゑあはれやそれをかきりなりける
おもひかねし−そのひとふしの−うらみゆゑ−あはれやそれを−かきりなりける |
00056 |
未入力 (xxx)
うききはをしはしうらみむと思ふまにおほえす中のとほさかりぬる
うききはを−しはしうらみむと−おもふまに−おほえすなかの−とほさかりぬる |
00057 |
未入力 (xxx)
おもひとりしわかこころからうらみのきてたちかへり又恋しきやなそ
おもひとりし−わかこころから−うらみのきて−たちかへりまた−こひしきやなそ |
00058 |
未入力 (xxx)
さまさまにうらみていてしあかつきのあはれやされはかきり成りける
さまさまに−うらみていてし−あかつきの−あはれやされは−かきりなりける |
00059 |
未入力 (xxx)
いひたちしさらすはよしの一ことにあはれやさてもとほさかりぬる
いひたちし−さらすはよしの−ひとことに−あはれやさても−とほさかりぬる |
00060 |
未入力 (xxx)
人は猶いとひまさりてたえけるにうき身をしらてなにうらみけむ
ひとはなほ−いとひまさりて−たえけるに−うきみをしらて−なにうらみけむ |
00061 |
未入力 (xxx)
いつのまに見えつる夢そうちとけてぬるともなしの草の枕に
いつのまに−みえつるゆめそ−うちとけて−ぬるともなしの−くさのまくらに |
00062 |
未入力 (xxx)
嵐吹く夜半のかりねの旅枕ゆめもさたかに見えすそ有りける
あらしふく−よはのかりねの−たひまくら−ゆめもさたかに−みえすそありける |
00063 |
未入力 (xxx)
吹きたゆむ嵐のひまに見る夢のさむるははやき松かねのとこ
ふきたゆむ−あらしのひまに−みるゆめの−さむるははやき−まつかねのとこ |
00064 |
未入力 (xxx)
見る程はたたふるさとの夢さめて草の枕そさらに露けき
みるほとは−たたふるさとの−ゆめさめて−くさのまくらそ−さらにつゆけき |
00065 |
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松風も吹きたゆまなん草枕しのふみやこの夢に見ゆやと
まつかせも−ふきたゆまなむ−くさまくら−しのふみやこの−ゆめにみゆやと |
00066 |
未入力 (xxx)
またなれぬたひねのとこの夢さめてふる里にのみあるここちする
またなれぬ−たひねのとこの−ゆめさめて−ふるさとにのみ−あるここちする |
00067 |
未入力 (xxx)
松かねや嵐の床の草枕むすふとなしのゆめそみしかき
まつかねや−あらしのとこの−くさまくら−むすふとなしの−ゆめそみしかき |
00068 |
未入力 (xxx)
夢にたにうつつになるる海山のいはきならてはみやこをも見ぬ
ゆめにたに−うつつになるる−うみやまの−いはきならては−みやこをもみぬ |
00069 |
未入力 (xxx)
都おもふこころのゆきて見ゆれはや草の枕も夢もたえせぬ
みやこおもふ−こころのゆきて−みゆれはや−くさのまくらも−ゆめもたえせぬ |
00070 |
未入力 (xxx)
ふる里の見えつる夢をなつかしみ朝たつやとの名残とそ思ふ
ふるさとの−みえつるゆめを−なつかしみ−あさたつやとの−なこりとそおもふ |
00071 |
未入力 (xxx)
ふる里のうつつもおなしかりの世はたひねの夢も何かはかなき
ふるさとの−うつつもおなし−かりのよは−たひねのゆめも−なきかはかなき |
00072 |
未入力 (xxx)
夜な夜なにかはるたひねの宿なれと夢にはおなしみやこをそ見る
よなよなに−かはるたひねの−やとなれと−ゆめにはおなし−みやこをそみる |