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作品集名 | 持明院殿御歌合 |
作品集名読み | じみょういんでんのおんうたあわせ |
作成年月日 | 康永元年十一月廿一日(1342年12月19日) |
場所 |
00001 |
未入力 (xxx)
山松の木すゑをはらふ夕嵐につもるほとなくおつるしらゆき
やままつの−こすゑをはらふ−ゆふあらしに−つもるほとなく−おつるしらゆき |
00002 |
未入力 (xxx)
ふりうつむ嶺の木すゑやこほるらん嵐もきかぬ雪の山かけ
ふりうつむ−みねのこすゑや−こほるらむ−あらしもきかぬ−ゆきのやまかけ |
00003 |
未入力 (xxx)
雪おもるみねの木すゑは音もせて猶吹きさゆる山のした風
ゆきおもる−みねのこすゑは−おともせて−なほふきさゆる−やまのしたかせ |
00004 |
未入力 (xxx)
明けそむる空もひとつにしらみあひて梢をうつむ雪の山のは
あけそむる−そらもひとつに−しらみあひて−こすゑをうつむ−ゆきのやまのは |
00005 |
未入力 (xxx)
ふみ分けて人の行きかふあとなれやとほつ山辺の雪のむらきえ
ふみ分けて−ひとのゆきかふ−あとなれや−とほつやまへの−ゆきのむらきえ |
00006 |
未入力 (xxx)
松ひとりときはの色をあらはして木のはのこらぬ冬かれのやま
まつひとり−ときはのいろを−あらはして−このはのこらぬ−ふゆかれのやま |
00007 |
未入力 (xxx)
冬枯の木の葉さはらぬたかねよりこほりていつる月そまちかき
ふゆかれの−このはさはらぬ−たかねより−こほりていつる−つきそまちかき |
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ましりつる木木のもみちはちりはてて松のみのこる山の色かな
ましりつる−ききのもみちは−ちりはてて−まつのみのこる−やまのいろかな |
00009 |
未入力 (xxx)
なかめやるみやこの空のはるるまも猶山さむみ雪はちりつつ
なかめやる−みやこのそらの−はるるまも−なほやまさむみ−ゆきはちりつつ |
00010 |
未入力 (xxx)
木の葉なき木すゑのけしき山さひて吹くや嵐のおともすさまし
このはなき−こすゑのけしき−やまさひて−ふくやあらしの−おともすさまし |
00011 |
未入力 (xxx)
さえあるる都の空はみそれにて雪になり行くをちのとほ山
さえあるる−みやこのそらは−みそれにて−ゆきになりゆく−をちのとほやま |
00012 |
未入力 (xxx)
松のうへにつもれる雪を吹きたてて嵐そわたるをちの山もと
まつのうへに−つもれるゆきを−ふきたてて−あらしそわたる−をちのやまもと |
00013 |
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おのつからこほらぬひまはふり消えてむらむらしろき池のうへの雪
おのつから−こほらぬひまは−ふりきえて−むらむらしろき−いけのうへのゆき |
00014 |
未入力 (xxx)
枯れたてるあしの葉こしに日影見えてささ波さむき夕暮の池
かれたてる−あしのはこしに−ひかけみえ−てささ波さむき−ゆふくれのいけ |
00015 |
未入力 (xxx)
池のおもの村村こほる朝あけにかれはのあしの霜もすさまし
いけのおもの−むらむらこほる−あさあけに−かれはのあしの−しももすさまし |
00016 |
未入力 (xxx)
水の色も冬のこころをうけしれやこほらぬまても見れはすさまし
みつのいろも−ふゆのこころを−うけしれや−こほらぬまても−みれはすさまし |
00017 |
未入力 (xxx)
池さむみあしのかれ葉を吹く風にこほるたえまはささ波のたつ
いけさむみ−あしのかれはを−ふくかせに−こほるたえまは−ささなみのたつ |
00018 |
未入力 (xxx)
池の水のこほれるうへにふりかかる雪はさなからきえすそ有りける
いけのみつの−こほれるうへに−ふりかかる−ゆきはさなから−きえすそありける |
00019 |
未入力 (xxx)
つねよりも夜やさむからし山川のはやき岩まもけさは氷れる
つねよりも−よやさむからし−やまかはの−はやきいはまも−けさはこほれる |
00020 |
未入力 (xxx)
朝さむきほとはこほりて山水の日影になれはまたそなかるる
あささむき−ほとはこほりて−やまみつの−ひかけになれは−またそなかるる |
00021 |
未入力 (xxx)
庭のおものみきはも見えすふる雪に氷かさなる程そしらるる
にはのおもの−みきはもみえす−ふるゆきに−こほりかさなる−ほとそしらるる |
00022 |
未入力 (xxx)
とちまさる氷のしたに音はしてうへにそ見えぬ山川の水
とちまさる−こほりのしたに−おとはして−うへにそみえぬ−やまかはのみつ |
00023 |
未入力 (xxx)
なつみ川山かけよりやこほるらんなかれのすゑのたえたえに行く
なつみかは−やまかけよりや−こほるらむ−なかれのすゑの−たえたえにゆく |
00024 |
未入力 (xxx)
へたてつるあたりの木の葉ちりはてて池あらはなる水そさひしき
へたてつる−あたりのこのは−ちりはてて−いけあらはなる−みつそさひしき |
00025 |
未入力 (xxx)
うちつけになにかあはれのふかからん人のこころのきはもしらぬに
うちつけに−なにかあはれの−ふかからむ−ひとのこころの−きはもしらぬに |
00026 |
未入力 (xxx)
いまさらは雲はあはれの色もなし我になかめのそふにそありける
いまさらは−くもはあはれの−いろもなし−われになかめの−そふにそありける |
00027 |
未入力 (xxx)
人もはやあはれになひく色を見てわれも一きはおもひそふころ
ひともはや−あはれになひく−いろをみて−われもひときは−おもひそふころ |
00028 |
未入力 (xxx)
あたし色にそましと思ふをなにそこの昨日にもにぬ雲風の空
あたしいろに−そましとおもふを−なにそこの−きのふにもにぬ−くもかせのそら |
00029 |
未入力 (xxx)
おもふらむこころの色もまたしらぬいまたになにのあはれなるらん
おもふらむ−こころのいろも−またしらぬ−いまたになにの−あはれなるらむ |
00030 |
未入力 (xxx)
ことのはのかはすあはれをちきりにてよしたた人になれてこそ見め
ことのはの−かはすあはれを−ちきりにて−よしたたひとに−なれてこそみめ |
00031 |
未入力 (xxx)
あやしくも見し面影のうかひきてやかてもまよふ我かこころかな
あやしくも−みしおもかけの−うかひきて−やかてもまよふ−わかこころかな |
00032 |
未入力 (xxx)
しらせねはつらきこころも見えなくに今よりなにとおつるなみたそ
しらせねは−つらきこころも−みえなくに−いまよりなにと−おつるなみたそ |
00033 |
未入力 (xxx)
中中に音せてたたやすこさましいひ出してもいかかとおもへは
なかなかに−おとせてたたや−すこさまし−いひいたしても−いかかとおもへは |
00034 |
未入力 (xxx)
けにもそのふかき心のきはを見は哀にたたすなひきもやせん
けにもその−ふかきこころの−きはをみは−あはれにたたす−なひきもやせむ |
00035 |
未入力 (xxx)
もらしてもいかかとおもふやすらひにいまの人間をまた過しぬる
もらしても−いかかとおもふ−やすらひに−いまのひとまを−またすくしぬる |
00036 |
未入力 (xxx)
おもひそむるこころの後はなにとなく見かはすさまも日頃にやにぬ
おもひそむる−こころののちは−なにとなく−みかはすさまも−ひころにやにぬ |
00037 |
未入力 (xxx)
うらみかねうさにまかせて見るはてのたえぬはかりも哀いつまて
うらみかね−うさにまかせて−みるはての−たえぬはかりも−あはれいつまて |
00038 |
未入力 (xxx)
人はなとなれしそとたにわするらんかはらぬおなし我か身とおもふに
ひとはなと−なれしそとたに−わするらむ−かはらぬおなし−わかみとおもふに |
00039 |
未入力 (xxx)
つらしともいふまてもなしこれやいまはかきりと見ゆる人のけ色に
つらしとも−いふまてもなし−これやいまは−かきりとみゆる−ひとのけしきに |
00040 |
未入力 (xxx)
おなし世のたのみもけにはさのみやの哀のそこそよははかなしき
おなしよの−たのみもけには−さのみやの−あはれのそこそ−よははかなしき |
00041 |
未入力 (xxx)
玉のをよたえなてあはれ中中にその一ころのなさけみし世に
たまのをよ−たえなてあはれ−なかなかに−そのひところの−なさけみしよに |
00042 |
未入力 (xxx)
我もよしとおもひとらるるうききはにまたすてかぬるなけの一こと
われもよしと−おもひとらるる−うききはに−またすてかぬる−なけのひとこと |
00043 |
未入力 (xxx)
うかるへきちきりのすゑをしらすしてはかなく人をたのみけるかな
うかるへき−ちきりのすゑを−しらすして−はかなくひとを−たのみけるかな |
00044 |
未入力 (xxx)
こころつくす恋もいのちもこれやきはいまはおもひにたゆへくもなき
こころつくす−こひもいのちも−これやきは−いまはおもひに−たゆへくもなき |
00045 |
未入力 (xxx)
我はかりなれし名残をすてかねておなし世になほふるもつれなし
われはかり−なれしなこりを−すてかねて−おなしよになほ−ふるもつれなし |
00046 |
未入力 (xxx)
玉きはるいのちやつひにつれもなき我かこふらくのかきりなるらん
たまきはる−いのちやつひに−つれもなき−わかこふらくの−かきりなるらむ |
00047 |
未入力 (xxx)
後の世を又いたつらになさむとやいのちのきはを人にとふらん
のちのよを−またいたつらに−なさむとや−いのちのきはを−ひとにとふらむ |
00048 |
未入力 (xxx)
むすひおきし契やいまはつきぬらんこころのほかにとほさかり行く
むすひおきし−ちきりやいまは−つきぬらむ−こころのほかに−とほさかりゆく |
00049 |
未入力 (xxx)
いまは我うき世をよそにすみそめの夕のいろのあはれなるかな
いまはわれ−うきよをよそに−すみそめの−ゆふへのいろの−あはれなるかな |
00050 |
未入力 (xxx)
にほひつるみねの日影は入りはててみとり色こき夕暮の山
にほひつる−みねのひかけは−いりはてて−みとりいろこき−ゆふくれのやま |
00051 |
未入力 (xxx)
うつり行く日影のままにそめなしてみとりの山もいろそかはれる
うつりゆく−ひかけのままに−そめなして−みとりのやまも−いろそかはれる |
00052 |
未入力 (xxx)
ものことにかりの色そとおもふにはこころにとまるひとこともなし
ものことに−かりのいろそと−おもふには−こころにとまる−ひとこともなし |
00053 |
未入力 (xxx)
うつりつる夕日の色はきえはてて木くらさまさる松原の山
うつりつる−ゆふひのいろは−きえはてて−こくらさまさる−まつはらのやま |
00054 |
未入力 (xxx)
なかめなすをりからうかふ哀なれや雲にかはれる色はあらしを
なかめなす−をりからうかふ−あはれなれや−くもにかはれる−いろはあらしを |
00055 |
未入力 (xxx)
なこりにほふ入日のあとの雲の色のさむるたえまにほしそ見え行く
なこりにほふ−いりひのあとの−くものいろの−さむるたえまに−ほしそみえゆく |
00056 |
未入力 (xxx)
久かたの雲のみとりはそめなさぬいろにもあらぬ色にそありける
ひさかたの−くものみとりは−そめなさぬ−いろにもあらぬ−いろにそありける |
00057 |
未入力 (xxx)
夕つくひ色ある雲にとふ鳥の数あらはなるにしのやまのは
ゆふつくひ−いろあるくもに−とふとりの−かすあらはなる−にしのやまのは |
00058 |
未入力 (xxx)
有明のすくなき影はよわくさして雲の色こきあかつきの空
ありあけの−すくなきかけは−よわくさして−くものいろこき−あかつきのそら |
00059 |
未入力 (xxx)
うつりつる入日のなこり暮れやらてしはしいろこき山のはの雲
うつりつる−いりひのなこり−くれやらて−しはしいろこき−やまのはのくも |
00060 |
未入力 (xxx)
山のはのとほつうらわはくれやらて夕日の色そ波にのこれる
やまのはの−とほつうらわは−くれやらて−ゆふひのいろそ−なみにのこれる |
00061 |
未入力 (xxx)
ねくらよりとひわかれゆくあさからすこなたかなたにこゑのきこゆる
ねくらより−とひわかれゆく−あさからす−こなたかなたに−こゑのきこゆる |
00062 |
未入力 (xxx)
のきはなる松に嵐の音やめはあとよりひひくいりあひのかね
のきはなる−まつにあらしの−おとやめは−あとよりひひく−いりあひのかね |
00063 |
未入力 (xxx)
老いらくはあかつきまたすね覚して夜ふかき鐘の声をきくかな
おいらくは−あかつきまたす−ねさめして−よふかきかねの−こゑをきくかな |
00064 |
未入力 (xxx)
しつかなるね覚の床の明かたにとほちのかねのこゑそきこゆる
しつかなる−ねさめのとこの−あけかたに−とほちのかねの−こゑそきこゆる |
00065 |
未入力 (xxx)
ねくらさわく林のとりはしつまりてのとかにくるる入あひのこゑ
ねくらさわく−はやしのとりは−しつまりて−のとかにくるる−いりあひのこゑ |
00066 |
未入力 (xxx)
竹ちかきやとのゆふへのむらすすめねくらあらそふ声もさわかし
たけちかき−やとのゆふへの−むらすすめ−ねくらあらそふ−こゑもさわかし |
00067 |
未入力 (xxx)
よこ雲のややわかれゆく山のはにわたるからすのこゑもあけぬる
よこくもの−ややわかれゆく−やまのはに−わたるからすの−こゑもあけぬる |
00068 |
未入力 (xxx)
一しきりなきつる鳥は声やみてまた夜はふかきあかつきの床
ひとしきり−なきつるとりは−こゑやみて−またよはふかき−あかつきのとこ |
00069 |
未入力 (xxx)
山ふかきあはれの中にこもりけりそれとしもなき鳥の声声
やまふかき−あはれのうちに−こもりけり−それとしもなき−とりのこゑこゑ |
00070 |
未入力 (xxx)
窓ちかき軒はの竹になきそめてあくるすすめのこゑそきこゆる
まとちかき−のきはのたけに−なきそめて−あくるすすめの−こゑそきこゆる |
00071 |
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吹きよわりまたふききほひいくしきりみねよりおろす山の松風
ふきよわり−またふききほひ−いくしきり−みねよりおろす−やまのまつかせ |
00072 |
未入力 (xxx)
庭つとりはおとしてなくこゑのうちの森の木すゑに月かたふきぬ
にはつとり−はおとしてなく−こゑのうち−の森のこすゑに−つきかたふきぬ |