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仙洞歌合_崇光院


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作品集名仙洞歌合_崇光院 
作品集名読みせんとううたあわせ_すうこういん 
作成年月日応安三年〜四年(1370年〜1371年頃)
場所 

00001
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かすみあへすいつしか春と弓はりの月もおしてやおほろ夜のそら

かすみあへす−いつしかはると−ゆみはりの−つきもおしてや−おほろよのそら


00002
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かすみしくふもとのむらはほのかにて入日はれたる山のはのまつ

かすみしく−ふもとのむらは−ほのかにて−いりひはれたる−やまのはのまつ


00003
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久かたのそらにかすみのおほふよりはるのけしきそ四方にみちぬる

ひさかたの−そらにかすみの−おほふより−はるのけしきそ−よもにみちぬる


00004
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かすめともはるはすくなしみか月のたたさはかりににほふ雲まは

かすめとも−はるはすくなし−みかつきの−たたさはかりに−にほふくもまは


00005
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さえやまぬかすみのそこのうすひかりとけぬゆきけをしたにこむらし

さえやまぬ−かすみのそこの−うすひかり−とけぬゆきけを−したにこむらし


00006
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あさつくひかすみていつる山のはにきえあへぬ雪もさえよわるらし

あさつくひ−かすみていつる−やまのはに−きえあへぬゆきも−さえよわるらし


00007
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はるの日はかすむとすれとつねよりもひかりことなる物にそありける

はるのひは−かすむとすれと−つねよりも−ひかりことなる−ものにそありける


00008
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わか君の千とせのはるのはしめとやくもりなき日のかけそのとけき

わかきみの−ちとせのはるの−はしめとや−くもりなきひの−かけそのとけき


00009
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入りはつるおほろ月夜のあとならしかすみもふかきあけほののそら

いりはつる−おほろつきよの−あとならし−かすみもふかき−あけほののそら


00010
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国土にはるのこころやおほふらしくもゆき雨もさらにほとこす

あめつきに−はるのこころや−おほふらし−くもゆきあめも−さらにほとこす


00011
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空ははやかすみなからになほさえてあらしにましるゆきの夕くれ

そらははや−かすみなからに−なほさえて−あらしにましる−ゆきのゆふくれ


00012
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ゆくこともかすみにおそき月かけのあくるいそかぬおほろ夜の空

ゆくことも−かすみにおそき−つきかけの−あくるいそかぬ−おほろよのそら


00013
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宮このみはるにやあるらむきえやらぬゆきの山をはかすみへたてて

みやこのみ−はるにやあるらむ−きえやらぬ−ゆきのやまをは−かすみへたてて


00014
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さえあれしゆきふるとしの雲の色にかすみかはれる空ののとけさ

さえあれし−ゆきふるとしの−くものいろに−かすみかはれる−そらののとけさ


00015
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つくつくとおとせぬ雨のうちしめりかすみもくるるいろとなりゆく

つくつくと−おとせぬあめの−うちしめり−かすみもくるる−いろとなりゆく


00016
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ふる雨ののとけきおとにあかしかねみしかきはるの夜ともおほえす

ふるあめの−のとけきおとに−あかしかね−みしかきはるの−よともおほえす


00017
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みるままに山のはちかくしつむ日のくれなゐにほふ夕霞かな

みるままに−やまのはちかく−しつむひの−くれなゐにほふ−ゆふかすみかな


00018
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あささむき春のこころもあらはれてかすみのひまもゆきの山のは

あささむき−はるのこころも−あらはれて−かすみのひまも−ゆきのやまのは


00019
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かきくらしふるとはすれとあはゆきのきえやすきにそ春はしらるる

かきくらし−ふるとはすれと−あはゆきの−きえやすきにそ−はるはしらるる


00020
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秋もよしかすみのそこに影ふけて月にこもれる春のあはれは

あきもよし−かすみのそこに−かけふけて−つきにこもれる−はるのあはれは


00021
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なにをかもはるとはいはむ風さむみ霞みもあへすあは雪のふる

なにをかも−はるとはいはむ−かせさむみ−かすみもあへす−あはゆきのふる


00022
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そらはいまかすみの色にくれはててのきのしつくにのこるはる雨

そらはいま−かすみのいろに−くれはてて−のきのしつくに−のこるはるさめ


00023
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いしはしるたきつしら浪おときよみ秋よりさきのあきそきにける

いしはしる−たきつしらなみ−おときよみ−あきよりさきの−あきそきにける


00024
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枝なひくあをはの風は吹きたちてこのしたきよき庭の池水

えたなひく−あをはのかせは−ふきたちて−このしたきよき−にはのいけみつ


00025
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手をたゆみいは井の水のいくむすひ夏をもしらてけふそくれぬる

てをたゆみ−いはゐのみつの−いくむすひ−なつをもしらて−けふそくれぬる


00026
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すすむまのうたたねなからふくる夜のまくらにひひく庭のまし水

すすむまの−うたたねなから−ふくるよの−まくらにひひく−にはのましみつ


00027
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夕すすみ袖ふくあしのはかせまてそよたた秋の庭の池水

ゆふすすみ−そてふくあしの−はかせまて−そよたたあきの−にはのいけみつ


00028
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みちみえぬ草にまかする夏野をもわくれは人のあとはありけり

みちみえぬ−くさにまかする−なつのをも−わくれはひとの−あとはありけり


00029
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影しけきやとの木すゑのふかみとりうつるもすすし庭の池水

かけしけき−やとのこすゑの−ふかみとり−うつるもすすし−にはのいけみつ


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みな月のてるひにうへはぬるけれと水のこころのそこそすすしき

みなつきの−てるひにうへは−ぬるけれと−みつのこころの−そこそすすしき


00031
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かよひくる風のやとりそしられぬる木かけすすしくむすふ泉に

かよひくる−かせのやとりそ−しられぬる−こかけすすしく−むすふいつみに


00032
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もとよりの池の心も君かいますみなすからにすすしさそそふ

もとよりの−いけのこころも−きみかいま−すみなすからに−すすしさそそふ


00033
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みるもすすしこけむす山のいはかねにたきりておつる滝のしら玉

みるもすすし−こけむすやまの−いはかねに−たきりておつる−たきのしらたま


00034
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水みえぬみさひのうへは風たちて池のこころもすすしからしや

みつみえぬ−みさひのうへは−かせたちて−いけのこころも−すすしからしや


00035
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むすふての袖にも秋のかよふまていつみの水に夏そわするる

むすふての−そてにもあきの−かよふまて−いつみのみつに−なつそわするる


00036
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すすしさはおとになかるる谷水の行かたみえぬはやましけ山

すすしさは−おとになかるる−たにみつの−ゆくかたみえぬ−はやましけやま


00037
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みな月のあつさまされるころしもあれ水の心はすすしさそそふ

みなつきの−あつさまされる−ころしもあれ−みつのこころは−すすしさそそふ


00038
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むすはねとすすしくもあるか谷あひの岩ねにおつるたきのしら玉

むすはねと−すすしくもあるか−たにあひの−いはねにおつる−たきのしらたま


00039
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たちよれは夕もまたぬすすしさよ水のこころにあきやちかつく

たちよれは−ゆふへもまたぬ−すすしさよ−みつのこころに−あきやちかつく


00040
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岩つたふ水のなかれもくらきよにひひきをとめてすすむ木のもと

いはつたふ−みつのなかれも−くらきよに−ひひきをとめて−すすむこのもと


00041
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はちす葉のつゆもきよけき夕木かけすすしくむかふ庭の池水

はちすはの−つゆもきよけき−ゆふこかけ−すすしくむかふ−にはのいけみつ


00042
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しけりそふみきはのあしはおともせてささなみしろき池の夕かせ

しけりそふ−みきはのあしは−おともせて−ささなみしろき−いけのゆふかせ


00043
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影うつすそこの色さへふかみとりむすふもすすしまつの下水

かけうつす−そこのいろさへ−ふかみとり−むすふもすすし−まつのしたみつ


00044
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杉たてるそともの谷に水みえて木かけすすしみ鷺あそふなり

すきたてる−そとものたにに−みつみえて−こかけすすしみ−さきあそふなり


00045
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そめつくす紅葉の中の山まつはさめたる色やおのか秋なる

そめつくす−もみちのうちの−やままつは−さめたるいろや−おのかあきなる


00046
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雨はれて雲のみたるるおひ風にいろこきはきそ露なからちる

あめはれて−くものみたるる−おひかせに−いろこきはきそ−つゆなからちる


00047
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した葉すくきしの柳を吹くかせの身にしむからに秋そかなしき

したはすく−きしのやなきを−ふくかせの−みにしむからに−あきそかなしき


00048
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夜をこむる雲ときりとにすゑとちて田のもにおそきあけほのの色

よをこむる−くもときりとに−すゑとちて−たのもにおそき−あけほののいろ


00049
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はつ霜のをかへのはしをそめわけてかた枝あきなる夕つくひかな

はつしもの−をかへのはしを−そめわけて−かた枝あきなる−ゆふつくひかな


00050
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秋山にしもふりおほふときはきのかはらぬ色もかはるころかな

あきやまに−しもふりおほふ−ときはきの−かはらぬいろも−かはるころかな


00051
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山ひめのそむる紅葉のにしきにもいろやはおとる秋はきの花

やまひめの−そむるもみちの−にしきにも−いろやはおとる−あきはきのはな


00052
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うゑてみる君かまかきのしらきくは老せぬあきのかさしなりけり

うゑてみる−きみかまかきの−しらきくは−おいせぬあきの−かさしなりけり


00053
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秋はきの花さく野へに立ちよれは袖にもうつるにしきなりけり

あきはきの−はなさくのへに−たちよれは−そてにもうつる−にしきなりけり


00054
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つゆ霜になへてしほれし秋草のはなのおととときくやさくらむ

つゆしもに−なへてしをれし−あきくさの−はなのおととと−きくやさくらむ


00055
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うす霧はまた晴れやらぬあさあけの露にしかるる花のすゑすゑ

うすきりは−またはれやらぬ−あさあけの−つゆにしかるる−はなのすゑすゑ


00056
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さきつくすはなの八千種いろいろにもみちのあきもした葉にそみる

さきつくす−はなのやちくさ−いろいろに−もみちのあきも−したはにそみる


00057
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あさまたきまかきをわけてうつる日に露みたれたるはなのいろいろ

あさまたき−まかきをわけて−うつるひに−つゆみたれたる−はなのいろいろ


00058
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なかめわふる心のあきはさかりなれとまたほにいてぬしののをすすき

なかめわふる−こころのあきは−さかりなれと−またほにいてぬ−しののをすすき


00059
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あきはきの花野の風のむらすすきむらむらかかる露かとそみる

あきはきの−はなののかせの−むらすすき−むらむらかかる−つゆかとそみる


00060
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ときは木に色わくまてはもみちしぬはや秋山のつゆのした染

ときはきに−いろわくまては−もみちしぬ−はやあきやまの−つゆのしたそめ


00061
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秋ふかき柳のかみよあはれわか老のすかたのたくひとそみる

あきふかき−やなきのかみよ−あはれわか−おいのすかたの−たくひとそみる


00062
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露おもき小花かうへもほのほのと月よりしらむあけかたの庭

つゆおもき−をはなかうへも−ほのほのと−つきよりしらむ−あけかたのには


00063
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こくうすくおなし時雨のそめわけて一木に色のかはるもみち葉

こくうすく−おなししくれの−そめわけて−ひときにいろの−かはるもみちは


00064
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花しめる霧のまかきのあさあけにまた夜のままの露の玉はき

はなしめる−きりのまかきの−あさあけに−またよのままの−つゆのたまはき


00065
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なひきつつく田の面のいなははるはるとほなみをたてて風わたるみゆ

なひきつつく−たのものいなは−はるはると−ほなみをたてて−かせわたるみゆ


00066
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秋ふかみもとすくはきは色さひてのこるすゑ葉に花そしをるる

あきふかみ−もとすくはきは−いろさひて−のこるすゑはに−はなそしをるる


00067
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ふるゆきにねくらの竹やうつむらんのきはにさわくむら鳥のこゑ

ふるゆきに−ねくらのたけや−うつむらむ−のきはにさわく−むらとりのこゑ


00068
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しほかせに吹きかへされてむら千鳥二たひおなしうらになくなり

しほかせに−ふきかへされて−むらちとり−ふたたひおなし−うらになくなり


00069
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なきてわたるこゑこそしるきしら鷺のつはさのいろもゆきの山もと

なきてわたる−こゑこそしるき−しらさきの−つはさのいろも−ゆきのやまもと


00070
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はらはねと羽かせにおちてはし鷹のみかりの袖は雪もかわかす

はらはねと−はかせにおちて−はしたかの−みかりのそては−ゆきもかわかす


00071
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一とほりこほりかねたるやま河のはやせはかりやにほのかよひ路

ひととほり−こほりかねたる−やまかはの−はやせはかりや−にほのかよひち


00072
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ひととほりこほりのこれるあとはかりなみかきたつる池のをしかも

ひととほり−こほりのこれる−あとはかり−なみかきたつる−いけのをしかも


00073
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うかれてやなれもなくらむ和歌の浦に我かともちとりさ夜ふかき声

うかれてや−なれもなくらむ−わかのうらに−わかともちとり−さよふかきこゑ


00074
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そらこほる雲のむらむらゆき散りてかりかねさむき冬のあさあけ

そらこほる−くものむらむら−ゆきちりて−かりかねさむき−ふゆのあさあけ


00075
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つららゐる池のみきはの岩のうへになれもさむけきをしの一つれ

つららゐる−いけのみきはの−いはのうへに−なれもさむけき−をしのひとつれ


00076
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さえさむき雪気のそらの夕ひかりにほへる雲もわたる雁かね

さえさむき−ゆきけのそらの−ゆふひかり−にほへるくもも−わたるかりかね


00077
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いもねすてききこそあかせ霜はらふ羽音もさむき池の水とり

いもねすて−ききこそあかせ−しもはらふ−はおともさむき−いけのみつとり


00078
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あらすなる和歌のうらみの霜のつるふりぬとたにもしる人やみる

あらすなる−わかのうらみの−しものつる−ふりぬとたにも−しるひとやみる


00079
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行きかへりよるへなきさのうら千とり代代のむかしのあとを尋ねて

ゆきかへり−よるへなきさの−うらちとり−よよのむかしの−あとをたつねて


00080
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けたもののいは木につのをかけまくもかしこきあとは雪もみせしを

けたものの−いはきにつのを−かけまくも−かしこきあとは−ゆきもみせしを


00081
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おもひやるつはさもさむしかきくらすふふきのそらをわたるかりかね

おもひやる−つはさもさむし−かきくらす−ふふきのそらを−わたるかりかね


00082
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はらひあへすうは毛に霜はかかれともかものあをはの色そかはらぬ

はらひあへす−うはけにしもは−かかれとも−かものあをはの−いろそかはらぬ


00083
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かきくらすはやしの雪のゆふくれはねくらあらそふ鳥たにもなし

かきくらす−はやしのゆきの−ゆふくれは−ねくらあらそふ−とりたにもなし


00084
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冬川の氷のうへになく千とりなみもまかはぬこゑのさやけさ

ふゆかはの−こほりのうへに−なくちとり−なみもまかはぬ−こゑのさやけさ


00085
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さえとほり雨さへこほる夕くれになくやからすのこゑもさむけき

さえとほり−あめさへこほる−ゆふくれに−なくやからすの−こゑもさむけき


00086
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夕からすつねよりこゑのさひしきはおのかねくらや雪にかはれる

ゆふからす−つねよりこゑの−さひしきは−おのかねくらや−ゆきにかはれる


00087
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ききなれぬまくらの池の水とりのうは毛の霜をはらふよなよな

ききなれぬ−まくらのいけの−みつとりの−うはけのしもを−はらふよなよな


00088
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風あるるゆきけの雲のうすひかりさむきみそらをわたる雁かね

かせあるる−ゆきけのくもの−うすひかり−さむきみそらを−わたるかりかね


00089
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人ももしおもひいつやの一ことをいのちののちにきかむ身もかな

ひとももし−おもひいつやの−ひとことを−いのちののちに−きかむみもかな


00090
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うしつらしおもひやとるとおもふよりこひしきことの又たへすなる

うしつらし−おもひやとると−おもふより−こひしきことの−またたへすなる


00091
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いかにせむいつはりならぬことの葉のたのむになせはたのみかたきを

いかにせむ−いつはりならぬ−ことのはの−たのむになせは−たのみかたきを


00092
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契るとてつらきをさへはゆるしかたやあはれならはそあはれなるへき

ちきるとて−つらきをさへは−ゆるしかたや−あはれならはそ−あはれなるへき


00093
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人こころうくなるとてもそれによりていまのあはれはかへしとおもふを

ひとこころ−うくなるとても−それによりて−いまのあはれは−かへしとおもふを


00094
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なさけこそいまはたうけれ契りしを命になしてものおもふ身は

なさけこそ−いまはたうけれ−ちきりしを−いのちになして−ものおもふみは


00095
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こひわひて夢なりともとたのむ夜は又あやにくにみえすそありける

こひわひて−ゆめなりともと−たのむよは−またあやにくに−みえすそありける


00096
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伊勢の海につりするあまのうけなはのうけひくまてに恋ひむとそ思ふ

いせのうみに−つりするあまの−うけなはの−うけひくまてに−こひむとそおもふ


00097
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いまはたたうらみしとてもうらむるよ人のつらさはみはてしものを

いまはたた−うらみしとても−うらむるよ−ひとのつらさは−みはてしものを


00098
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あふとみて我にはさめぬ夢もかな人はうつつになしもなさすも

あふとみて−われにはさめぬ−ゆめもかな−ひとはうつつに−なしもなさすも


00099
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いくふしのうさのあまりを思ひとるにつれなやなにそ又あはれなる

いくふしの−うさのあまりを−おもひとるに−つれなやなにそ−またあはれなる


00100
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あふとみはゆめにいのちをかぬとてもそのおもかけはたれかのこさむ

あふとみは−ゆめにいのちを−かぬとても−そのおもかけは−たれかのこさむ


00101
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おもへとはたれかをしへし□しとても人やはうきと身にかへせとも

おもへとは−たれかをしへし−□しとても−ひとやはうきと−みにかへせとも


00102
未入力 (xxx)

人こころつらきかきりのうらみをはいはてやのこる契なるへき

ひとこころ−つらきかきりの−うらみをは−いはてやのこる−ちきりなるへき


00103
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しのひこめ我たにつつむこころともしらてなみたはもれんとやする

しのひこめ−われたにつつむ−こころとも−しらてなみたは−もれむとやする


00104
未入力 (xxx)

つくしみる人のこころのつらさにもまけぬあはれに思ひわひぬる

つくしみる−ひとのこころの−つらさにも−まけぬあはれに−おもひわひぬる


00105
未入力 (xxx)

うきに又かはらむすゑもたとられすちきるあはれの心まよひに

うきにまた−かはらむすゑも−たとられす−ちきるあはれの−こころまよひに


00106
未入力 (xxx)

うき身ゆゑと人のつらさもゆるされて契ひとつのあはれにそなる

うきみゆゑと−ひとのつらさも−ゆるされて−ちきりひとつの−あはれにそなる


00107
未入力 (xxx)

人はしらぬなさけも我にのこるとて心のみするおもひねの夢

ひとはしらぬ−なさけもわれに−のこるとて−こころのみする−おもひねのゆめ


00108
未入力 (xxx)

なほきりのなさけはかりとみゆるにもしらはや人のそこのこころを

なほきりの−なさけはかりと−みゆるにも−しらはやひとの−そこのこころを


00109
未入力 (xxx)

一すちにうらみてみはとおもひしやなほもなさけのある世なりけん

ひとすちに−うらみてみはと−おもひしや−なほもなさけの−あるよなりけむ


00110
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とははやな人もわすれぬ夢ならは見し夜の後も物やおもふと

とははやな−ひともわすれぬ−ゆめならは−みしよののちも−ものやおもふと


00111
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神やしるみかさのもりのみしめなはすくなれとのみおもふこころは

かみやしる−みかさのもりの−みしめなは−すくなれとのみ−おもふこころは


00112
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雨のおとはしつけき夜半にふりなしてこころにしめるねやのともしひ

あめのおとは−しつけきよはに−ふりなして−こころにしめる−ねやのともしひ


00113
未入力 (xxx)

いてぬまもなほやたゆたふなみ風のあらき磯辺のあまのつり舟

いてぬまも−なほやたゆたふ−なみかせの−あらきいそへの−あまのつりふね


00114
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身をなけき世のはかなさを思ふまにおほえすふけぬよはのともしひ

みをなけき−よのはかなさを−おもふまに−おほえすふけぬ−よはのともしひ


00115
未入力 (xxx)

こよひ又あけぬとつくるかねの音にうき世の夢もおとろかれつつ

こよひまた−あけぬとつくる−かねのおとに−うきよのゆめも−おとろかれつつ


00116
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みるもくるしはこふやしほのあま小舟からくしてこそ世をわたるらめ

みるもくるし−はこふやしほの−あまをふね−からくしてこそ−よをわたるらめ


00117
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みつき物はこひもあへす川舟ののほれはくたる淀の小車

みつきもの−はこひもあへす−かはふねの−のほれはくたる−よとのをくるま


00118
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わかのうらになほき風まつすて小舟またも入江によらさらめかも

わかのうらに−なほきかせまつ−すてをふね−またもいりえに−よらさらめかも


00119
未入力 (xxx)

うつるらん時をもわかぬまとのうちにあかつきふかきかねそきこゆる

うつるらむ−ときをもわかぬ−まとのうちに−あかつきふかき−かねそきこゆる


00120
未入力 (xxx)

あつさ弓おしてむかしにかへさはやすきにしか□のみな恋しさを

あつさゆみ−おしてむかしに−かへさはや−すきにしか□の−みなこひしさを


00121
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いかにして代代のむかしをつたへましとかきおく筆のあとそかしこき

いかにして−よよのむかしを−つたへましと−かきおくふての−あとそかしこき


00122
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をりをりはなみたもかかるしらかみの老てまくらもはつかしの身や

をりをりは−なみたもかかる−しらかみの−おいてまくらも−はつかしのみや


00123
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たれもみないましそ夢はさますらめおなし時なるあか月のかね

たれもみな−いましそゆめは−さますらめ−おなしときなる−あかつきのかね


00124
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しつみける身をしら玉のゆくへたに時へたたらぬせむかたやなき

しつみける−みをしらたまの−ゆくへたに−ときへたたらぬ−せむかたやなき


00125
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いまも又あつめはつきし和歌のうらにひろひのこせる玉のかすかす

いまもまた−あつめはつきし−わかのうらに−ひろひのこせる−たまのかすかす


00126
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四方のうみなみしつかにてみつき物たえすそなふるみふねこくなり

よものうみ−なみしつかにて−みつきもの−たえすそなふる−みふねこくなり


00127
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ふけはつる夜のこころにひひきなしてねよとのかねのまれになるほと

ふけはつる−よるのこころに−ひひきなして−ねよとのかねの−まれになるほと


00128
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なれなれて千世も八千代もかくしこそおなしよるへの和歌のとも舟

なれなれて−ちよもやちよも−かくしこそ−おなしよるへの−わかのともふね


00129
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ひひきくる入あひのこゑもおくふかみふりぬる寺のあはれいくとせ

ひひきくる−いりあひのこゑも−おくふかみ−ふりぬるてらの−あはれいくとせ


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風にうきてたゆたふなみにまかせつつよるへなきさの和歌の浦舟

かせにうきて−たゆたふなみに−まかせつつ−よるへなきさの−わかのうらふね


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おもふかたのうらわにあらぬ玉もにはひろはれし名もさもあらはあれ

おもふかたの−うらわにあらぬ−たまもには−ひろはれしなも−さもあらはあれ


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かかけてもほのほみしかきともし火のまとかすかなる雨の夜すから

かかけても−ほのほみしかき−ともしひの−まとかすかなる−あめのよすから