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文明十二年千句　８巻

作品集名	文明十二年千句　８巻
作品集名読み	ぶんめいじゅうにねんせんく
作成年月日	文明十二年四月十日～＊日（1480年5月19日～＊日）
場所

文明十二年千句　第一：夢想［うしとしの］

文明十二年千句　第二：何人［ひとはさへ］

文明十二年千句　第三：何路［よものなつ］

文明十二年千句　第四：何木［なもしるし］

文明十二年千句　第□：何水［うのはなの］

文明十二年千句　第八：一字露顕［わかはもて］

文明十二年千句　第九：何田［あめのよは］

文明十二年千句　第十：白何［まつりする］

文明十二年千句　第一：夢想［うしとしの］

句番号	句
001	うまとしの－もとほななはの－よを□□め
002	なつのみやまは－みなまつのいろ
003	たまかきも－うつきのつきの－ひかりにて
004	あけのこるよの－かせそやはらく
005	ふねいたせ－しつかになりぬ－うらのなみ
006	はるのものとて－かすみわたりつ
007	ひろきのに－ことりむらかり－さへつりて
008	かつさくらより－にほふこのもと
009	やまやまの－はなのさかりは－いかならむ
010	あめふりはるる－みねのをちこち
011	いりあひを－くるるしるへに－せきこえて
012	とひよるやとの－さとのひとむら
013	くさまくら－つきをよすかに－こよひねむ
014	むしをともにて－あかしこそすれ
015	ややさむき－のへのあきかせ－ふくなへに
016	きけはいつくも－ころもをそうつ
017	そてのへに－はきかにほひは－あさからて
018	おもひもやるに－ひとのとへかし
019	ふたりこそ－みまくほしけれ－ゆきのくれ
020	おくやますみの－ふゆのさひしさ
021	かせのおと－しはのとほそを－ひきとちて
022	ちりはかきたく－□□のこのもと
023	よのなかは－いてておもひを－はらふみに
024	こころのなきや－まよひはつらむ
025	つみとかの－つもるゆくへを－しらせはや
026	みやこのほかは－しはしたにうし
027	いつくにて－みれともつきは－かはらぬに
028	わかなみたこそ－あきとしくるれ
029	わすれめや－きりたちひとの－そのすかた
030	わかれしあとの－ちかきおもかけ
031	とほさかる－なかとおもへと－きのふけふ
032	ひかすをふねに－おくるおほうみ
033	ふるさとの－はなもさこそと－なみをみて
034	はるもくれぬと－ふちやさくらむ
035	かすむそら－ときのうつるも－おほほえす
036	よはふけいまた－いてぬありあけ
037	つれなきを－まつみのあきは－そてほさて
038	つゆとちきりの－なりゆくそうき
039	かくとたに－いはぬこころの－むすほほれ
040	かけてたのまむ－このひたちおひ
041	もろこしも－かしまのかみの－したかへて
042	ゆききそやすき－ふねのかちとり
043	ふけはまた－なみのこたふる－かせのおと
044	すすしさまさる－いはかねのまつ
045	ゆふたちの－あらふまさこは－うちなひき
046	ふみならしゆく－にはのやまかけ
047	のとなれる－さとはまかきに－しかなきて
048	たかうゑけるそ－きくのひともと
049	つきやしる－とほきゆかりの－こととはむ
050	ゆめちにたにも－あふひとのなき
051	うらむれは－つひにねもせて－あかすよに
052	なかなかうきそ－かねことのすゑ
053	はなちりし－あとのやまかせ－ふきやみて
054	はるさめしけき－たひのひとまり
055	かすむえに－ふねつなきおく－ゆふまくれ
056	うらのいへゐに－かへるあまひと
057	かかるよを－さたむるやとと－なほすみて
058	おとろへゆけは－つきもうきかけ
059	あききての－なみたやわれに－かきるらむ
060	いのちのつゆは－そなたにもあり
061	いそくなよ－とはむもしらぬ－のちのくれ
062	しはしわかれの－そてそひかふる
063	かすみより－うめのしたかせ－にほひきて
064	ゆくもおほえぬ－はつせちのはる
065	うすゆきの－ふるのはまたも－さえかへり
066	こほりなかるる－かはなみのおと
067	もえいつる－みきはのくさを－ふみわけて
068	かへりもやらす－たつあさるなり
069	つきのよに－たれもねむりや－さますらむ
070	みにしみしみと－かせのふくころ
071	あきしらぬ－まつをいほりの－かきほにて
072	つくりすてたる－やまのふるはた
073	をかはには－うちわたしたる－はしもあり
074	ところところの－こまのあしおと
075	いりかたき－のりのこころは－たとたとし
076	あかつきおきに－かへるふるてら
077	ほしいのる－ひとははれたる－かたにいて
078	あまりのやみは－しのはれもせす
079	わかれちの－おほつかなきに－ゆきつれて
080	おもひたつたの－やまこゆるなり
081	かせふけは－あたらもみちの－ちりやせむ
082	いりかたをしき－つきのあさあけ
083	うしといふ－あきをもいまは－したひきて
084	つゆなみたなる－いにしへのあと
085	たれかさて－くみわすれゐの－みつさひぬ
086	おくにさとある－やまかけのみち
087	はなもいま－さくかとはかり－とひそゆく
088	またみぬかたの－はるはゆかしも
089	うくひすの－きゐるこゑをも－ききよりて
090	こほりかたまる－たけのはのゆき
091	ふゆはたた－かせふかねとも－さゆるよに
092	まくらにとほき－かねのさひしさ
093	おきいてて－ゆくもあすかの－てらそかし
094	みをいたつらに－なさぬすてひと
095	かくれかを－ゆふへのつきの－あはれみて
096	のきにもりいる－あきかせのおと
097	をきのは□－□□ちりちり□－□□□□□
098	なのたつふみは－かへしてもうし
099	ことのはの－みちはつきせぬ－ものなれや
100	かみのみかけと－あふくもののふ

文明十二年千句　第二：何人［ひとはさへ］

句番号	句
001	ひとはさへ－ちえのかけある－しけりかな
002	もりになたかき－はつほとときす
003	むらさめの－あとにゆふひの－なほさして
004	なかれてすめる－やまみつのすゑ
005	こほりとく－ほとやにこりし－はるのかは
006	いそきてたれも－ねせりつむころ
007	あさかすみ－のとかなるのに－うちいてて
008	たひゆくそてに－つきそのこれる
009	おもひやる－みやこのあきの－いかはかり
010	くさのいほりの－をきのうはかせ
011	さひしきは－すみかにしのふ－むしのこゑ
012	またかれかれに－なれるわかなか
013	ひとこころ－いつくのたれに－うつるらむ
014	こむといひしか－おそきゆふくれ
015	いつはりの－はなにもとはは－よもあらし
016	さくらとみれは－きゆるしらくも
017	よしのにも－たかねははるや－なかるらむ
018	やまふかけなる－たきなみのこゑ
019	つきふくる－あきのあかつき－ものすこく
020	あはれもよほし－しきそなくなる
021	とふひとは－よもきのにはの－つゆふりて
022	わかまつかたの－きえぬおもかけ
023	きぬきぬの－なさけをたのむ－のちのくれ
024	かはりゆくかと－おもひてそふる
025	かせませの－ほとはゆきにも－やまくらし
026	よをふかくなす－まつのひとむら
027	たかさとそ－それともしらぬ－そののたけ
028	とまふくふねや－きしによるらむ
029	ゆふまくれ－かはへのとりの－たちさわき
030	からすなくなり－あけかたのつき
031	いちひとの－いそくはみちの－つゆわけて
032	しくれもきりも－ふるのやまもと
033	あきのいろ－なとかはすきに－なかるらむ
034	かるるはあやな－くさくさのはな
035	みやこには－ふゆもなかめの－あるものを
036	なににかさのみ－はるをまつらむ
037	たひたたは－たたおそきひの－かけそかし
038	かすみをわけて－かりのゆくこゑ
039	はなすやの－はやくやよひは－すきてけり
040	はなにあたりて－ふくかせはうし
041	いはなみや－くたすいかたを－しふくらむ
042	おりたちふねを－ひくはあさきせ
043	ふりかへり－みれはやまこそ－さかしけれ
044	つつらをりなる－をかこえのみち
045	ふくるよも－あかしのさとに－つきいてて
046	うらかなしくも－あきそくれぬる
047	いそくみも－いそかぬもうつ－からころも
048	まちわひぬるを－きてもとへかし
049	ゆかむとも－いひつおもひつ－なくなへに
050	ひとりねなから－あけはてにけり
051	こえやらぬ－せきのとやまの－かりまくら
052	これもきこえつ－とほさとのとり
053	つはくらめ－とこよのくにの－つてなれや
054	みぬかたもさそ－はなはさくらむ
055	あさまたき－いつくのそらも－うちかすみ
056	さしくるひかけ－ころもほせとや
057	あめはるる－あまのかくやま－みかさやま
058	やまとことはも－みちあまたあり
059	なにのこる－むかしのひとの－かすかすに
060	みはしられすや－よにくちなまし
061	あふことの－かたしくとこに－ふちありて
062	ふかきおもひや－しつみはてなむ
063	うらみをも－かたりてむねを－はるけはや
064	ふしのけふりは－たつかたたぬか
065	きてみれは－なからのはしの－あとはかり
066	あしへのちとり－いつちゆきのひ
067	つりたるる－ともなしをふね－こきうけて
068	いとかしこくは－つみはつくらし
069	のちのよの－うきはむくひと－きくものを
070	あけゆくまては－なかつきのつき
071	つひにねぬ－よすかなくなり－きりきりす
072	あきのつらさは－みにもかきらし
073	すさましく－このはちるおと－まつのかせ
074	のこるくさみな－たかきふるさと
075	おいぬれは－かりにもたれに－とはれまし
076	すかたいやしく－みゆるしはひと
077	そてさむみ－をののおくには－すみやきて
078	けにかくれすよ－けたもののあと
079	はるのたを－よるやふすゐの－かへすらむ
080	こころをつくる－はなのこのころ
081	うちかすむ－まかきにきくを－うゑおきて
082	とほきあきをも－つきにこそまて
083	くちぬらし－あまのかはらの－かよひふね
084	なほほしあへす－つゆにかすそて
085	ほともなき－わかれのあした－のちのくれ
086	みることくなる－きみかおもかけ
087	ふるみやを－たつねていれは－くさわけて
088	まつやあるしと－ひとりたつらむ
089	なつやまは－よものあらしの－ひまなるに
090	こころつくしは－はるにこそあれ
091	あめのあと－かすみにつきの－はれやらて
092	なかなかしひも－つひにくれけり
093	いくたひか－はこふたききの－ねりそなは
094	こひのおもには－なほそくるしき
095	おきうかる－またねのあした－かたかへて
096	うすくやならむ－のこるまくらか
097	なつかけて－さくやまふきに－そてをかけ
098	むすひよるへの－ゐてのたまみつ
099	ちよまても－すまむとおもふ－やとりにて
100	けにかくれなや－たかきいへひと

文明十二年千句　第三：何路［よものなつ］

句番号	句
001	よものなつ－たかねははなの－なかめかな
002	そらゆくつきの－あけやすきころ
003	ほとときす－まつよのしはし－のこれかし
004	かりねのやとに－すくるむらさめ
005	つゆわくる－のへのあさけに－たちいてて
006	みやこのあきを－あとにわすれす
007	かへりみる－こすゑのもみち－いろいろに
008	おくのあらしの－さむきたにのと
009	はつゆきは－いつくのやまに－ふりぬらむ
010	はれつくもりつ－しくれてそくる
011	さためなき－ひとのこころの－そらたのめ
012	さのみはまたし－いつはりのすゑ
013	はなさかは－つけむといひし－はるくれて
014	おそきさくらを－たつねてもみむ
015	かすめとも－かせまたさむき－みやまへに
016	たききをもきる－みねのそまひと
017	ふねのほる－このみなかみに－みちありて
018	のりのかとにも－いれはさまさま
019	あかつきの－つきにかねなり－とりもなき
020	つゆやなみたの－かすそつくせる
021	こひとあき－ひとかたならぬ－わかれにて
022	さこそなこりも－ののみやのあと
023	こえてゆく－すすかのやまは－たたしはし
024	うきよのなかを－ふりもすてはや
025	こころある－ひとはまつすむ－かくれかに
026	いちをなしても－たちよるやたれ
027	けふここに－まつりをいそく－かみのまへ
028	とりのなにきく－かものみつかき
029	つききよき－かはのかみしも－あくるよに
030	きりまにあきの－かせそみえたる
031	いろありし－ききのひとはの－ちりそめて
032	むかしのにはそ－たたちりとなる
033	まよひくる－こころをいまは－はらははや
034	くもにふすみは－すみそめのそて
035	をのやまや－こえゆくみねの－くるるひに
036	ふしのゆきふる－ひえのおほたけ
037	さえにけり－ちさとにわたる－かせのおと
038	ものさひしやと－とをそひきぬる
039	つきのいる－のちはねやもる－ひとりゐに
040	かたらひよれな－よるのまつむし
041	けふのみの－あきのなこりを－うちわひて
042	きけはなみたに－なれるいりあひ
043	かせのこゑ－またてもはなや－ちりなまし
044	はるのひなみに－せきしすゑはや
045	かすみさへ－はやのもうすく－たつあした
046	ねくらをいつる－やまのうくひす
047	たえたるを－いまやつくらむ－うたのみち
048	そのいへいへそ－なほもさかゆく
049	やすきよに－たみのかまとの－にきはひて
050	のほるみつきは－けにもくにくに
051	ゆるすまも－なみたのそてを－いかかせむ
052	しのふゆふへは－つきもおそかれ
053	おほかたの－あきといひつつ－まつものを
054	うらみのくすは－かれねこひくさ
055	つゆほとも－ねさすこころの－なかれかし
056	いそやまもとを－くれてゆくふね
057	しらなみの－たつときくこそ－あやしけれ
058	もりもはやしも－かけそくらかる
059	よろつきの－みなしけりあふ－ころなれや
060	くもゐもたかく－なくせみのこゑ
061	つれてとふ－ほたるやそらに－みたるらむ
062	となりにひとる－よはあけにけり
063	さわかしき－すまのなるかみ－うみにきき
064	ふきくるかせの－おともたかしほ
065	あまのすむ－あしやはなみや－あらすらむ
066	こころのあるは－ゆきもいとはす
067	よしやちれ－ちるともみむと－はなにきて
068	はるのわかれを－をしまぬはなし
069	かのほとけ－あとをとへとや－そらかくれ
070	かすみこめては－やまもしられす
071	ふもとなる－さとにやとりや－かりてまし
072	□□□□□□□－□□□□□□□
073	□□□□□－そてなる□□□－□□として
074	いほりさしぬる－をたのさひしさ
075	しつはわか－みをつゆなりと－よもしらし
076	きゆるかすには－たれかもるへき
077	うたかたの－みつのあはれを－なみにみて
078	わたるあやうき－ふねのはやかは
079	□□□□□－□□□□□□□－□□□□□
080	□□□□□□□－□□□□□□□
081	□□□□□－□□□□□□□－□□□□□
082	□□□□□□□－□□□□□□□
083	□□□□□－□□□□□□□－□□□□□
084	□□□□□□□－□□□□□□□
085	□□□□□－□□□□□□□－□□□□□
086	□□□□□□□－□□□□□□□
087	□□□□□－□□□□□□□－□□□□□
088	□□□□□□□－□□□□□□□
089	□□□□□－□□□□□□□－□□□□□
090	□□□□□□□－□□□□□□□
091	□□□□□－□□□□□□□－□□□□□
092	□□□□□□□－□□□□□□□
093	□□□□□－□□□□□□□－□□□□□
094	□□□□□□□－□□□□□□□
095	□□□□□－□□□□□□□－□□□□□
096	□□□□□□□－□□□□□□□
097	□□□□□－□□□□□□□－□□□□□
098	□□□□□□□－□□□□□□□
099	□□□□□－□□□□□□□－□□□□□
100	□□□□□□□－□□□□□□□

文明十二年千句　第四：何木［なもしるし］

句番号	句
001	なもしるし－にはにませゆふ－かきつはた
002	うきくさしける－なかのいけみつ
003	ゆくはるは－うつるひなみや－さそふらむ
004	かすみなからも－ありあけのつき
005	よもすから－かへるやとほき－かりのこゑ
006	たれもたひにて－おもふわかかた
007	みちいそく－こころやあとに－のこるらむ
008	もみちのみねそ－かへりみらるる
009	まつたてる－やまをしくれの－あきこえて
010	くれてのはらに－くたるしかのね
011	かはかみに－かけたるはしを－うちわたり
012	いたれることも－やすきかのきし
013	そのをしへ－まもれるひとは－かしこくて
014	たけのはやしは－みをすつるかた
015	いまここに－うきよかたりに－なくさみつ
016	みやこのつては－きくもなつかし
017	うつのやま－うつつにきつつ－ゆめのうち
018	まくらににほふ－はなはいつくそ
019	よもあけは－うめのありかを－たつねみむ
020	はやほころふる－やとのうくひす
021	とほさとは－かすみのころも－そてかけて
022	やすむやいかに－をののくさかり
023	しものおく－すすきあさちの－かれわたり
024	あきふかくなる－つきのあさかけ
025	はまかはの－ふねすさましく－さすしほに
026	いかたのさをそ－とりとりにゆく
027	うきとりの－なれもなれもと－とこかへて
028	はやあけかたに－なれるゆきのよ
029	いかにして－おきわかるへき－きぬきぬそ
030	まれにかさぬる－そてのたまくら
031	なみたなと－あひみてたにも－こほるらむ
032	ひとのこころそ－ことはよりしる
033	くにふりは－あまたしなにも－あるものを
034	まなひえかたき－みつくきのあと
035	たくひなし－ひともとかすむ－をかのまつ
036	さくはなさかり－かせもおよはし
037	のとかにと－いのれるみよや－みえぬらむ
038	むかしのままの－よつのてらてら
039	のりにいる－のそみもみつの－くるまにて
040	うしやひつしの－ときはかすあり
041	よるひるの－いくかになりぬ－ものおもひ
042	ねてもさめても－なみたとをしれ
043	こころより－そらなるつきも－うちくもり
044	うきもつらきも－われからのあき
045	さひしくも－もにすむむしの－こゑたてて
046	あしひたくやの－あはれをそしる
047	くさのいほ－かきほまはらに－あれはてぬ
048	いつもとやなき－かせにみたれき
049	はるよりも－そのふにうりを－うゑおきて
050	ひもあたたかに－なほやなりなむ
051	たひたつも－たよりなくては－うかるへし
052	いつくのしまも－とほうみのふね
053	くるかりや－なみのちさとを－わたるらむ
054	しはしはあきの－かせそよわかる
055	おくつゆに－まゆみのすゑは－いろつきて
056	いるてふつきの－をしきうきくも
057	みるうちに－いくたひかよの－かはるらむ
058	たえすませかし－きみのまつこと
059	みゆきせし－みちのうきはし－ふりにけり
060	さらにゆきなる－はなのこのした
061	あやにくに－はるのまつかせ－ふきあれて
062	たれかとひこむ－かすむやまさと
063	ならひつつ－ちきらぬくれも－まちうかれ
064	つらきなかれの－をむなとそなる
065	さみたれの－みつのふかたを－うゑかねて
066	またいたふねの－さなへひくらむ
067	をりをりは－すさひにうたを－うたふこゑ
068	ふけてもつきの－おそきあきのよ
069	みにそしむ－まくらのうへの－やまおろし
070	かりねののへの－つゆのさむしろ
071	うきたひに－こころをのへむ－かたもなし
072	まつしままては－とほきあつまち
073	うつしても－ちかのしほかま－みるへきに
074	ゑもたたふての－うみとこそなれ
075	おもかけを－とめぬるひとに－なみたおち
076	ねてのあさけの－とこのくろかみ
077	うさつらさ－ちちにこころの－うちみたれ
078	こかねそうちの－まひなひとなる
079	□□□□□－□□□□□□□－□□□□□
080	□□□□□□□－□□□□□□□
081	□□□□□－□□□□□□□－□□□□□
082	□□□□□□□－□□□□□□□
083	□□□□□－□□□□□□□－□□□□□
084	□□□□□□□－□□□□□□□
085	□□□□□－□□□□□□□－□□□□□
086	□□□□□□□－□□□□□□□
087	□□□□□－□□□□□□□－□□□□□
088	□□□□□□□－□□□□□□□
089	□□□□□－□□□□□□□－□□□□□
090	□□□□□□□－□□□□□□□
091	□□□□□－□□□□□□□－□□□□□
092	□□□□□□□－□□□□□□□
093	□□□□□－□□□□□□□－□□□□□
094	□□□□□□□－□□□□□□□
095	□□□□□－□□□□□□□－□□□□□
096	□□□□□□□－□□□□□□□
097	□□□□□－□□□□□□□－□□□□□
098	□□□□□□□－□□□□□□□
099	□□□□□－□□□□□□□－□□□□□
100	□□□□□□□－□□□□□□□

文明十二年千句　第□：何水［うのはなの］

句番号	句
001	うのはなの－したはははるの－ゆきのかな
002	なつともみえす－やまはかすみて
003	ありあけや－けさみねとほく－のこるらむ
004	ふなてもよほす－あきのうらうら
005	おきつそら－かりのこゑこゑ－ほにあけて
006	なみやかくらむ－みたれたるあし
007	さとひとの－とりおくたきき－はこふひに
008	くもるをそれと－おもふむらさめ
009	やまもとに－ゆふへのかせの－ひとしきり
010	さむきをふゆの－ならひとそしる
011	かけこほる－くもゐのつきを－なかめゐて
012	おりたつたつや－ひとりねむれる
013	はなにさへ－むかしのにはは－ひともなし
014	はるのみやちそ－さひわたりたる
015	うちむかふ－かみのみいけは－のとかにて
016	そとものはまは－あるるなみおと
017	かせのひや－あまのいへふね－つなくらむ
018	さとのあたりに－はなちかふこま
019	□□□□□－□□□□□□□－□□□□□
020	□□□□□□□－□□□□□□□
021	□□□□□－□□□□□□□－□□□□□
022	□□□□□□□－□□□□□□□
023	□□□□□－□□□□□□□－□□□□□
024	□□□□□□□－□□□□□□□
025	□□□□□－□□□□□□□－□□□□□
026	みやまのあきを－つきもしらすや
027	すさましや－まなくしくれて－うきねさめ
028	おいのなみたそ－もろくなりぬる
029	とふかたも－いまはすくなき－ともなれや
030	けにものうきは－はるすきてのち
031	おそさくら－はなはあれとも－はかくれて
032	こすゑのかすみ－たちもはなれす
033	おもかけや－わすれかたみに－のこるらむ
034	あふきのかせの－ちらすたきもの
035	をりをりは－ひとりおもひて－なくはかり
036	よにいつまてか－すむみならまし
037	つかへねは－あれともひとの－かすならす
038	きみしろしめせ－たのむことのは
039	うくひすの－のかみのかたに－こゑはして
040	はるをもとめよ－ふはのせきもり
041	ちるはなも－をしまはしはし－のこれかし
042	かすみにきゆる－かねのあはれさ
043	けふくれぬ－あすのいのちは－いさしらす
044	よのまのほとの－ゆめのたのしみ
045	とほくきく－ありのみやこも－つきやみむ
046	くちきのほらは－ほたるすむあき
047	したはちる－きしのやなきの－ねはうきて
048	□□□□□□□－□□□□□□□
049	□□□□□－□□□□□□□－□□□□□
050	□□□□□□□－□□□□□□□
051	□□□□□－□□□□□□□－□□□□□
052	□□□□□□□－□□□□□□□
053	□□□□□－□□□□□□□－□□□□□
054	さけるさくらを－たれにゆつらむ
055	われはけふ－かすみとともに－たひたちぬ
056	そらにさへつる－とりはなにとり
057	いりてすむ－おくやまかけの－しつけきに
058	つきのあととて－とふひともなし
059	ののみやの－わかれかなしき－あきふけて
060	ふゆちかくなる－もりのこからし
061	ゆふつゆの－そてにさはりて－さむきころ
062	とほくゆききの－みなとえのふね
063	しほききる－やまちやあさく－なりぬらむ
064	そのなひさしき－たきさしのこと
065	ふえたけの－よのいにしへは－きくはかり
066	ふしのあはする－うたのこゑこゑ
067	まひひとの－かさしのそての－いろいろに
068	ゆきをめくらす－くものひとむら
069	かたそらに－ふしのゆふたち－ふりすきて
070	あしからやまを－いそきゆくみち
071	さくはなや－そまきにもれて－のこるらむ
072	かすみのおくの－まつはいくもと
073	このころは－すつくるたかの－つまこめて
074	ききすなくなり－のへのをちかた
075	つきはいり－ひはさしいつる－あさほらけ
076	□□□□□□□－□□□□□□□
077	□□□□□－□□□□□□□－□□□□□
078	□□□□□□□－□□□□□□□
079	□□□□□－□□□□□□□－□□□□□
080	□□□□□□□－□□□□□□□
081	□□□□□－□□□□□□□－□□□□□
082	おもひなほして－とははとへかし
083	いつはりの－こころことはは－きくもうし
084	みをすてはやと－いふはいくたひ
085	めくりぬる－むくひのゆくへ－またしらて
086	かのこかるよに－まよふやまみち
087	ゆふやみの－そらのほしさへ－みえもせす
088	となへてむかふ－とこゑひとこゑ
089	うまれなむ－そのあかつきは－とほかるに
090	わすれすすくへ－たのむみほとけ
091	うみにうく－かすみのあみは－よるもなし
092	はるたつくもそ－めちにしらるる
093	みよしのは－のこるかたなき－はなさかり
094	あをねかみねそ－まつはかりなる
095	すてひとは－むしろもこけの－ころもにて
096	すめはすまるる－いはやとのうち
097	のきはもる－つきをみてこそ－なくさむに
098	かせよしのふの－つゆなみたしそ
099	はなのさく－ちくさはあきの－すさひにて
100	たむけにかなふ－これやことのは

文明十二年千句　第八：一字露顕［わかはもて］

句番号	句
001	わかはもて－あきみせかほの－かへてかな
002	かけなるつゆも－ゆきのうのはな
003	きしをうつ－なみのしらたま－ゆふかけて
004	つきにいてむと－まつやふなひと
005	たひころも－そてのおひかせ－ややさむみ
006	すすきたつのを－わけのこさはや
007	うつらふす－あすのかりはを－おもひつつ
008	かたやまのへを－たれかへるらむ
009	はつゆきの－ふむあとはかり－きえてみゆ
010	こころしてゆけ－わたすふるはし
011	そてはみな－かかるうらみに－くちやせむ
012	かたりなくさみ－あふよしもかな
013	まついてし－ひとをたつねて－すつるよに
014	せはくすみなす－かくれかのうち
015	おくやまも－よそめしけきの－はなさきて
016	うすきかすみは－たつとしもなし
017	はるといふ－しるしにはさて－なにかせむ
018	しくれてさむき－このかむなつき
019	かけにある－よもきあさちも－かれわたり
020	むしのなくねの－あはれなるくれ
021	おほかたの－あきとおもへは－さとふりて
022	かけもすくなく－のこるありあけ
023	やまのはに－よこくもきゆる－あさほらけ
024	なみをはなれて－とふとりのこゑ
025	つなきおく－ふねやうかはに－かかるらむ
026	ゆふやみいかに－かかりたくひと
027	たちそへる－そのおもかけを－わすれすよ
028	そてひくはかり－おもひこそすれ
029	ことのねは－いつくのみやの－うちやらむ
030	なにはのみちの－あとはなつかし
031	はるてらす－ひらののまつの－ゆききえて
032	かすみてたにも－さむききたかせ
033	まくらいつ－おほろつきよに－ならへなむ
034	またこりすまの－ひとをこそまて
035	こひせしと－わかれしときは－いひなから
036	さすかわすれぬ－のちのくれかた
037	なつやまに－はるみしはなの－とものきて
038	なけほとときす－うくひすのあと
039	さみたれも－はやふりすさむ－このころに
040	またたきたてよ－ふるきしほかま
041	かよひちも－あまのすみかは－ちかかりき
042	いさとひよりて－やとりからなむ
043	なれてこそ－こころのほとも－しるへけれ
044	けふをはしめに－つかふあらたか
045	すすならす－いぬのやりなは－ゆるすなよ
046	たそかれときそ－かねかすかなる
047	つきおそき－をのへおろしの－ふきおちて
048	ものすさましき－やまかけのいほ
049	あきといへは－みやこたにしも－すみうきに
050	またあさきりの－まかきなすころ
051	ゆくふねの－ほのほのみゆる－あかしかた
052	おもひやるにも－つらきとほたひ
053	かへりきて－あはむもしらぬ－あたしみに
054	うゑてそおきし－ふるさとのはな
055	かはらすも－はるはむかしの－はるのかけ
056	にひとしいはふ－けふのことふき
057	すゑかけて－とそのさかつき－とりとりに
058	あふきさしぬる－まひひとのそて
059	あつきひに－なにをかさして－くらすらむ
060	ひとはなたにも－なつくさのかけ
061	のへのしも－あきをはしめて－ふるかとよ
062	つゆさむくなる－のきのむらさめ
063	きりきりす－とほそをたのみ－つとふこゑ
064	つきのにはにや－ひとはよるらむ
065	みつうみを－みれはさなから－かかみにて
066	そのなところを－しかのからさき
067	ゆきにけさ－たくひもあらぬ－ひとつまつ
068	なかめはなほも－ふゆふかきころ
069	はるあきの－いろにはたれか－うつるらむ
070	きてもとへかし－うめのかころも
071	やまかくれ－かすみのそこの－みちわけて
072	とくるこほりに－かはつなくなり
073	みなかみや－ゆふひのとかに－のこるらむ
074	みれはさなから－はなそたきなる
075	ふきいたす－かせにこのまの－おくありて
076	ふゆのけしきの－さえまさりけり
077	あきのそら－きりにもつきは－くもりしに
078	かねをうらむる－よこそなかけれ
079	わかなかも－ちきりかれはの－まくすはら
080	またかへりきて－いつかとはれむ
081	このゆふへ－おもひおくりて－かなしきに
082	こえゆくかたの－そてのやまかせ
083	たつぬるを－しるかとはなの－うちかをり
084	ひとそなかなか－こころなきはる
085	とりはみな－のりのことはを－さへつりて
086	すすめあつまる－ふるてらのまと
087	あききぬと－さとのかとたや－もりぬらむ
088	きりもなるこも－ひきそはへたる
089	つきやとる－つゆこそかせに－こほれけれ
090	またとほつまに－そてをみせはや
091	これほとの－おもひともしれ－こひころも
092	うらなくあらは－なほやたのまむ
093	しまかけの－まつをたよりに－ふねよせて
094	さとをみやれは－すみよしのかみ
095	ありかたや－ちりにましはる－そのちかひ
096	ふしをかむこそ－つしやしろなれ
097	おりたちて－くちひくうまの－けをまきて
098	みちのくかねは－ひとのたからそ
099	すめらきの－よよにはたえぬ－みつきもの
100	まつりたたして－なせるおほうち

文明十二年千句　第九：何田［あめのよは］

句番号	句
001	あめのよは－なほひかりある－ほたるかな
002	なかれいつみの－たままつのかけ
003	あさことの－にはのやまかせ－すすしくて
004	たひたつやとの－とをあくるころ
005	おほそらを－みれはひはいて－つきはいり
006	かくれあらはれ－くもまゆくかり
007	たちきゆる－きりのまかきの－ひととほり
008	いろつくをたに－みちやつつける
009	おのかもる－のへをすみかと－ひとのきて
010	いちのかへさの－さとのゆふくれ
011	とくすてて－よのましはりを－いとははや
012	こころまつゆく－あらましのやま
013	つけならふ－はなのたよりを－まちかねて
014	おとつれおそき－はるのともとち
015	かねははや－きこえてのちも－なかきひに
016	ふねこきよする－こやなにはかた
017	あきふくる－あはちのせとの－なみあれて
018	わたるをしかの－またかへるこゑ
019	つきみれは－さめたるゆめの－うれしきに
020	いまさへとへと－おもふあかつき
021	こひしさの－こころひとつに－あくかれて
022	みやこわすれぬ－ひなのさとひと
023	さすらふる－うきよそのまま－いてよかし
024	やまのさくらも－ちりはつるころ
025	またたつは－はなのかたみか－みねのくも
026	かすみのうちに－ひひくたきなみ
027	わかそての－なみたもよそに－もれやせむ
028	しのふこころの－よわりはてぬる
029	ふけてのち－とはむとすれは－つきいてて
030	ひとをもうらみ－あきをかこちつ
031	よしやかせ－おもひもみには－しむものを
032	いほりのとほそ－ひきたてにけり
033	やまさとの－まとうつしくれ－ひまなくて
034	ゆきなれはこそ－みまくほしけれ
035	またとほき－つしまつたひの－ふねのみち
036	こころつくしの－たひはわれのみ
037	かみもさそ－かへらむみやこ－おもふらむ
038	つひのすみかの－にしをねかひて
039	いるつきを－なかめそおくる－さかのやま
040	かねはきこえて－のちもなかきよ
041	おきそふる－そてのつゆしも－はらひわひ
042	すすきのしたは－かるるむしのね
043	のこるこそ－こころほそけれ－わかいのち
044	ひとみなおるる－ふねのあたなみ
045	みきはにや－いそのやまみち－つつくらむ
046	それとみえたる－すまのをかこえ
047	まつたてる－あかしのさとは－こかくれて
048	いほりをきけは－ことのねそする
049	いくたひか－よはのむらさめ－すきぬらむ
050	はれみはれすみ－つきそふけゆく
051	あきさむき－くもゐをたつの－なきすてて
052	かりたにつれて－おるるむらとり
053	えにしある－なかなれはとや－たのむらむ
054	かはりはせねと－とひはこぬひと
055	とほつまは－われもこころに－まかせぬに
056	ふぬもかよはぬ－うみこしのさと
057	やまみちを－めくりてゆかは－くれやせむ
058	はなのみゆきに－をしきはるのひ
059	みやこけふ－かすかまつりも－はやすきて
060	かへりみかさそ－かすみわたれる
061	ひとくもり－あめふるかたに－いつるとき
062	おもひそあへぬ－はつほとときす
063	なつきては－またいくかにも－ならなくに
064	はやくさすてふ－さとのいみたけ
065	むらむらの－さかひはかきに－あるものを
066	とひわけてきく－ふしみふかくさ
067	くれはつる－みちのゆくへは－たとたとし
068	いかてかつきの－おそくいつらむ
069	やまのはの－きりふきはらふ－あきのかせ
070	あたらもみちの－かつちるもをし
071	ひとえたも－をらてやすきむ－はきかはな
072	もとのこころの－いまそかはれる
073	なひくかと－けふはととむる－かへしふみ
074	ほすともそては－なにやたちなむ
075	わかれちの－やすらふひまに－よはあけて
076	みねにたなひく－よこくものそら
077	つきやまた－かすみかくれに－のこるらむ
078	かへるときけは－とほきかりかね
079	あまひとの－はるのひかたに－あさりして
080	はなにこころを－かけぬうたてさ
081	あきののを－わくれはくさを－ふみしたき
082	つゆそたまれる－こまのつめかた
083	なくなれは－なみたもやある－くつわむし
084	をくらのさとの－くれそさひしき
085	そらよりも－やまにやくもの－かかるらむ
086	しくれまたふり－きゆるはつゆき
087	ふゆされは－さえぬるつきの－あけかたに
088	きけはちとりの－こゑそむらかる
089	ふねしはし－しほあひをまつ－かたとまり
090	たちよるかけは－うらのまつはら
091	のにやまに－かせもおとなき－なつのひに
092	もてるあふきそ－すさひなりける
093	せめていま－かたみをみるに－なくさみて
094	このままあはぬ－はていかかせむ
095	とはれぬを－まつこころこそ－つれなけれ
096	いくたひそてに－やとすありあけ
097	よなよなの－つゆになれたる－くさまくら
098	ゆふへはきりに－やまをこえつつ
099	たけかりに－いたらぬかたは－なかりけり
100	しめちかはらは－みなかみのくに

文明十二年千句　第十：白何［まつりする］

句番号	句
001	まつりする－こよひやかみも－みとのつき
002	かなふたむけに－とれるさかきは
003	たひにたつ－くものやへやま－あめはれて
004	みねのかすみに－もるるうめかか
005	まつかせや－はるさへとほく－おくるらむ
006	かへるかかりの－うらにゆくこゑ
007	つりたるる－をふねをみれは－おきなるに
008	あまのすみかの－しつかなるくれ
009	さよころも－つきまつさとは－うつものを
010	あきさむくなる－そてのはつしも
011	しくれふる－あとのくさはは－つゆふかみ
012	またわけぬのそ－はるけかりける
013	あすのみち－おもひやらるる－やとりにて
014	かねにしらるる－ゆふくれのやま
015	たつねはや－いつくにはなの－のこるらむ
016	かすみかくれに－とりのなくこゑ
017	かせふかぬ－すたちのをのは－のとかにて
018	やまとことはそ－かたりなくさむ
019	ひきさせる－ことをむしろに－しはしおき
020	とこにもりくる－つきをこそみれ
021	あきふかき－のきのこのはは－ちりつきて
022	にはなるくさの－はなそしをるる
023	ひにそへて－なほしもいたく－ふるなへに
024	ほたたくふゆの－むしのあはれさ
025	あらしふく－やまのすみかの－いかはかり
026	みなかはすゑに－くたるいかたし
027	みなとえに－いてゆくふねは－さをとりて
028	しをるるころも－いまやほすらむ
029	さとさとの－しつかたつらを－うゑあけぬ
030	さみたれしのに－あまりふるころ
031	いつかさて－つきみるよはに－なりてまし
032	たひねのあきは－こかけやまかけ
033	もみちある－かたにやとりを－とひよりて
034	きけはしかなく－のこそちかけれ
035	うつりゆく－ときひやはやく－くれぬらむ
036	ゆめのはるとも－いまそおとろく
037	まとろめる－ひとよのうちに－としこえて
038	こそとやいはむ－やまもかすます
039	はなさかり－よそめはさらに－ゆきのそら
040	みわたしちかき－よしのかつらき
041	なにのこる－そのいははしの－あとふりて
042	あけすきぬれは－たちわかれけり
043	またいつと－いふひまもなき－しのひちに
044	たれかしるらむ－よをいつるひと
045	かしこきは－たけのはやしそ－すみところ
046	ここかとゆらの－てらのおこなひ
047	あかにくむ－ゐとのみつから－きよかるに
048	かねのおとして－あらふはなさら
049	あかつきの－あかきはつきや－のこるらむ
050	ともしひかとよ－ほたるとふあき
051	うきわかれ－おもひきえはや－つゆなみた
052	いかてまつへき－またのちのくれ
053	ほとはけに－とほやまさくら－かへりきて
054	みやこのはるそ－なかめかちなる
055	よこくもの－のこれるよもも－かすむひに
056	さめてそなほも－ゆめのうきはし
057	あきちかき－ころはたえつる－かせふきて
058	たかくなりぬる－そののなつをき
059	のきはには－またたちそふる－まつもあり
060	つきもやはみむ－かかるやまさと
061	ひくらしの－こゑはかりこそ－ゆふへなれ
062	くもきりなひき－あめのふるかた
063	ゆくへをも－しらぬのなかの－みちすから
064	あふひともかな－こととひてまし
065	おもかけの－むかしをのこす－きはふりて
066	けにひさしきは－こけにさくはな
067	ゆききゆる－やまのしつくや－かすむらむ
068	こほりなかるる－たにのみつおと
069	うくひすの－たきとはききて－いまたみす
070	わかうきなみた－なににくらへむ
071	ものおもひ－まさこのかすも－かすならて
072	うたのことのは－またかはさはや
073	いまもその－かみよのことは－おほえぬに
074	ゆめのつけこそ－なほあらたなれ
075	すゑまても－おやのをしへを－わするなよ
076	しをりをみてそ－かへるやまみち
077	うちいてて－かりはのかのこ－くるるひに
078	よるをまちてや－ともしをもせむ
079	おこたらす－ふみよむまとに－むかひゐて
080	こひしきこころ－うちもおかめや
081	しのふれは－つきになかなか－よもとはし
082	おもひたゆへき－ひとりねのあき
083	おとつれは－のわきならては－きかぬころ
084	ふるさととほく－すめるおくやま
085	みぬひとに－みせはやかかる－ゆきのくれ
086	をりてかへれる－はなのひとえた
087	ふちなみに－まさるかさしは－よもあらし
088	はるををしむも－そてはぬれけり
089	めもかすみ－こころもよわく－なれるみに
090	いのちおもへは－このうちのとり
091	あらいそを－はなれもやらす－つなきふね
092	かかれるなみの－みするまつかね
093	つゆをのみ－たつねてつきや－やとるらむ
094	ひろきのはらは－きりもくもらす
095	たかさとも－あきはすみうき－こころにて
096	たみもひまなく－いなはかるころ
097	くさにさく－はなをみてこそ－くらすひに
098	にしきのはかま－はきをうつせり
099	もののふの－おもふのそみの－ことたりて
100	きみかみくにの－をさまれるとき

文明十二年千句 ８巻

文明十二年千句 第一：夢想［うしとしの］

文明十二年千句 第二：何人［ひとはさへ］

文明十二年千句 第三：何路［よものなつ］

文明十二年千句 第四：何木［なもしるし］

文明十二年千句 第□：何水［うのはなの］

文明十二年千句 第八：一字露顕［わかはもて］

文明十二年千句 第九：何田［あめのよは］

文明十二年千句 第十：白何［まつりする］

文明十二年千句　８巻

文明十二年千句　第一：夢想［うしとしの］

文明十二年千句　第二：何人［ひとはさへ］

文明十二年千句　第三：何路［よものなつ］

文明十二年千句　第四：何木［なもしるし］

文明十二年千句　第□：何水［うのはなの］

文明十二年千句　第八：一字露顕［わかはもて］

文明十二年千句　第九：何田［あめのよは］

文明十二年千句　第十：白何［まつりする］